JP2001089248A - セラミック基板の製造方法及びそれに使用する冶具 - Google Patents

セラミック基板の製造方法及びそれに使用する冶具

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JP2001089248A
JP2001089248A JP26849199A JP26849199A JP2001089248A JP 2001089248 A JP2001089248 A JP 2001089248A JP 26849199 A JP26849199 A JP 26849199A JP 26849199 A JP26849199 A JP 26849199A JP 2001089248 A JP2001089248 A JP 2001089248A
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Takashi Kudo
貴士 工藤
Katsura Matsubara
桂 松原
Tetsuya Maeda
哲也 前田
Masaya Ito
正也 伊藤
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 グリーンシートの脱脂時又は脱脂体の焼成時
に発生する反り等の変形を防止するため、脱脂又は焼成
を冶具で挟んで行うにあたり、両面から均等に効率よく
ガス抜きする。 【解決手段】 グリーンシート51を挟んだ際に、それ
に多数の部位にて当接でき、発生するガスがグリーンシ
ートの周縁より外側に流通可能に側面7に連なるように
凹部5が形成された、上下2つの冶具1、1の各主平面
によって、その両面側から挟んで脱脂する。脱脂体の焼
成も同様、その両面側から挟んでする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配線基板等をなす
セラミック基板の製造方法に関する。詳しくはその製造
におけるグリーンシートの脱脂方法又は脱脂(処理)さ
れた脱脂体の焼成方法、及びそのグリーンシートの脱脂
時又は脱脂体の焼成時に発生する反り等の変形を防止す
るため、グリーンシート又は脱脂体の上面に載せられ又
は下面に敷かれるなどしてこれらを挟み付ける冶具に関
する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素、アルミナ、窒化アルミなどを
素材とするセラミック製配線基板は、セラミック粉体
(粉末)に焼結助剤、可塑材、結合材、潤滑材等を加え
て混合してスラリーを調製する工程、セラミックのグリ
ーンシートを成形する工程、グリーンシートを脱脂する
工程及び脱脂体を焼成する工程などの各工程を経て製造
される。この各工程のうち、脱脂(脱バインダ)工程
は、グリーンシートに含まれる有機成分をガス化して除
去する工程であり、この工程においては良好な焼結体
(基板)を得るため、反りや割れ(切れ)などを発生さ
せないようにするのが重要である。そして、このために
は有機成分(以下ガスともいう)の揮発(飛散)を妨げ
ることなく、グリーンシートを平均に押え付けることが
要求される。
【0003】そのための技術としては例えば、特開昭6
2−119170号、特開平3−295866号の各公
報記載の技術が知られている。このうち、特開昭62−
119170号公報記載の技術は、グリーンシートを脱
脂する際、それに、セラミックなどの耐熱材からなり、
厚さ方向に貫通穴のある押し板(穴付き押し板ともい
う)を載せて加熱するというものである。このような押
し板(錘)を用いることで、反りや割れなどを防止する
と共に、その貫通穴からガス抜きを積極的に行わせると
いうものである。
【0004】また、特開平3−295866号の公報記
載の技術は、多孔質体の板でグリーンシートを両面から
挟みつけて加熱し、脱脂するというものである。すなわ
ち、反りの防止と共に、多孔質の連続気孔を利用してガ
ス抜きをするというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開昭62−1191
70号公報記載の技術は、平面状の敷き板の上にグリー
ンシートを置き、その上面に穴付き押し板を載せて加熱
し、脱脂するというものである。したがって、上面側か
らは穴付き押し板の穴を通してガスを積極的に抜くこと
ができるが、下面側からはそのようなガス抜きは行うこ
とができない。すなわち、同公報記載の技術では、グリ
ーンシートの上面側には穴付き押し板が載る一方、下面
側は通気性のない敷き板であるため、上側からのガス抜
きはできるが、下側からはガスが抜けないため、ガス抜
きが上下において不均一となる。
【0006】この結果として脱脂体に反りが発生しやす
いことや脱脂体中に残存する炭素が偏在するといった問
題があった。すなわち、反りの発生や残存する炭素の偏
り防止のためには上下方向から均一に分解ガスを抜くこ
とが有効であるが、特開昭62−119170号公報記
載の技術では、ガスの抜けの上下不均一により、上面側
に重ねられるグリーンシートと、下面側に重ねられるグ
リーンシートとは、その品質(特性)にばらつきがでる
といった問題があった。
【0007】また、脱脂しようとするグリーンシートの
厚さやその枚数が変われば、反り防止のために必要とさ
れる押し板の錘としての最適値(重量)も変化する。と
ころが、特開昭62−119170号公報記載の技術で
その変化に対応するためには、厚さ(又は重量)の異な
る穴付き押し板を複数用意しておく必要がある。という
のは、最適重量となるように、穴付き押し板の上面に穴
のない通常の押し板或いは錘を載せることにすれば、そ
の穴をふさぐことになり、ガス抜きに支障がでるためで
ある。つまり、特開昭62−119170号公報記載の
穴付き押し板では、ガスの抜けの上下均一性の確保や最
適重量の確保には困難がある。
【0008】また、特開平3−295866号の公報記
載の技術のように多孔質体の板でグリーンシートを両面
から挟みつけて加熱する方法では、上下方向から均一に
分解ガスを抜くことは可能である。しかし、ガスの通路
が多孔質の連続気孔であり微小のため、ガス抜き性(通
気性)が本質的に悪いといった問題がある。
【0009】さらに、セラミック基板の製造において
は、こうして脱脂処理された脱脂体を焼成する場合にも
反りや割れを防ぐ必要があるため、同様に押し板等を載
せることが提案されている。ところが特開昭62−11
9170号公報記載の穴付き押し板では、その穴が貫通
しているためにその穴の部位では焼成時における好まし
い材料雰囲気が逃げてしまい焼成体の近傍に保持されな
い。また、特開平3−295866号の公報記載の多孔
質体からなる板を用いる場合には、その構成上、脱脂体
と略全面接触となるために焼成収縮を阻害し、結果とし
て焼結体の焼結性(密度)を低くするといった問題があ
った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、セラミック基
板の製造における上記した諸種の問題点を解決するため
に成されたもので、請求項1に記載の発明は、セラミッ
ク基板の製造におけるグリーンシートの脱脂工程におい
て、主平面に、該主平面側にてグリーンシートを挟んだ
際に、グリーンシートに多数の部位にて当接できると共
にグリーンシートから発生するガスがグリーンシートの
周縁より外側に流通可能の凹部が形成されてなる2つの
冶具の該主平面によって、1又は重ねられた複数のグリ
ーンシートをその両面側から挟んで脱脂することを特徴
とする。
【0011】本発明では例えば前記凹部を備えてなる一
方の冶具を、その凹部を上向きにして置き、この冶具の
上にグリーンシートを置き、そのグリーンシートの上面
に、他方の前記冶具を、その凹部を下向きにして載せて
脱脂するのである。このようにして脱脂する場合、グリ
ーンシートは凹部相互間の多数の凸部先端面に当接する
と共に、発生するガスは、上下の冶具の凹部を通ってグ
リーンシートの周縁からその外側に排出される。すなわ
ち、従来の方法のように下面側が通気性のない敷き板に
よる脱脂と異なり、発生するガスは上面側からだけでな
く、下面側からも抜かれるし、多孔質体のようなガス抜
き性の低さもなく上下両面から均等にしかも容易にガス
抜きできる。したがって、単に反りの発生を防げるだけ
でなく脱脂体中に炭素が残存することも有効に防止でき
る。
【0012】そして、反りの発生防止のために加重する
必要がある場合において、上に載せた冶具の上に、従来
使用されている平板状の押し板などを載せたとしてもガ
ス抜きに影響を与えることもない。一方、このような冶
具は重過ぎればその重みによって脱脂体に割れを発生さ
せる。本発明における冶具によれば、必要に応じて錘を
載せることで最適重量が得られることから、軽めに形成
しておくことで、各種重量の押し板を用意するまでもな
く、効率よくしかも最適重量にて基板の製造ができる。
【0013】なお、本発明における冶具は、凹部が存在
する主平面が冶具の表裏両面のうちの片面にあればよ
く、したがって両面にあってもよい。また、本発明にお
ける、グリーンシートに多数の部位にて当接できると共
にグリーンシートから発生するガスがグリーンシートの
周縁より外側に流通可能の凹部の態様としては、連続す
る1つの凹部又は複数の凹部が主平面を多数に分割する
ものや、該主平面を多数に分割することなく凹部自体が
多数存在するものでもよい。さらに、ガスがグリーンシ
ートの周縁より外側に流通可能であればよく、したがっ
て凹部は、冶具の側面に連なっているものでも、側面に
連なっていなくともよい。側面に連なっていなくとも、
グリーンシートを挟んだ際に、凹部がグリーンシートの
周縁からその外側に延びていればガスはグリーンシート
の周縁より外側に流通可能のためである。
【0014】なお、凹部が主平面を多数に分割するもの
としては、凹部が縦横に格子状(格子溝状)をなすもの
や、網目状をなすもの、さらには凹部が多数平行に或い
は放射状に配置されかつ側面に連なっているものがあげ
られる。また主平面を多数に分割することなく凹部自体
が多数存在するものとしては、凹部が多数平行に配置さ
れかつ側面に連なっていないものがあげられる。
【0015】ガス抜き性等を考慮すると、凹部の数或い
は凹部相互間の凸部の数はなるべく多数あるとよい。そ
して、凹部は一主平面の全体にわたって平均ないし均等
に配置されているのがよい。なお、凹部は、なるべく狭
い幅をなし、小さいピッチで配置されているのが好まし
い。また冶具の一主平面の形状、大きさは、グリーンシ
ートの全面がカバーできる大きさ、形状とするのが好ま
しい。なお、本発明に使用する両冶具は、物理的に同一
のものでなくともよい。
【0016】また請求項2に記載の発明は、セラミック
基板の製造における脱脂体の焼成工程において、主平面
に、該主平面側にて脱脂体を挟んだ際に、脱脂体に多数
の部位にて当接できると共に脱脂体から発生するガスが
脱脂体の周縁より外側に流通可能の凹部が形成されてな
る2つの冶具の該主平面によって、1又は重ねられた複
数の脱脂体をその両面側から挟んで焼成することを特徴
とする。
【0017】請求項1に記載の発明は、グリーンシート
の脱脂についてのものであるが、請求項2に記載の発明
は、脱脂体の焼成についてのものであり、同様の冶具を
用いたものである。このような焼成による場合には、脱
脂体に対して冶具が全面接触とならないので、焼成時に
おける収縮に伴う摩擦も小さい。したがって収縮が阻害
されにくく、焼結性のよい(高密度)の焼結体を得るこ
とができる。これに加えて、焼成過程では冶具がその凹
部によって焼成品(セラミック基板)との間に空間を形
成するようしてカバーするため、好ましい材料雰囲気を
保持できる。
【0018】さらに請求項3に記載のセラミック基板の
製造方法は、主平面に、該主平面側にてグリーンシート
を挟んだ際に、グリーンシートに多数の部位にて当接で
きると共にグリーンシートから発生するガスがグリーン
シートの周縁より外側に流通可能の凹部が形成されてな
る2つの冶具の該主平面によって、1又は重ねられた複
数のグリーンシートをその両面側から挟んで脱脂し、そ
の後、前記両冶具に挟まれた状態の脱脂体を焼成するこ
とを特徴とする。
【0019】このように、脱脂工程と焼成工程とを続け
ることで、冶具のセット手間が一度ですむ上に、品質の
高いセラミック基板が効率よく製造できる。
【0020】また請求項4に記載の発明は、セラミック
基板の製造におけるグリーンシートの脱脂時又は脱脂体
の焼成時に発生する反り等の変形を防止するため、その
グリーンシート又は脱脂体を挟むのに使用される冶具で
あって、主平面に、該主平面側にてグリーンシート又は
脱脂体を挟んだ際に、グリーンシート又は脱脂体に多数
の部位にて当接できると共にグリーンシート又は脱脂体
から発生するガスがグリーンシート又は脱脂体の周縁よ
り外側に流通可能の凹部が形成されてなることを特徴と
する。
【0021】本発明の冶具における、グリーンシート又
は脱脂体に多数の部位にて当接できると共にグリーンシ
ート又は脱脂体から発生するガスがグリーンシート又は
脱脂体の周縁より外側に流通可能の凹部の態様としては
次のようである。すなわち、連続する1つの凹部又は複
数の凹部が主平面を多数に分割するものや、該主平面を
多数に分割することなく凹部自体が多数存在するもので
もよいなど、前記したのと同様であり、また凹部の数、
その相互間の凸部の数、凹部の配置についても前記した
のと同様である。そして、ガス抜き性や焼結収縮を考慮
すると、請求項5に記載の発明のように、グリーンシー
ト又は脱脂体を挟んだ際の該グリーンシート又は脱脂体
に対応する領域面積に対し、前記凹部の存在面積が30
%以上となるように設定するのが好ましい。なお脱脂工
程でのガス抜き性を考慮すると凹部の深さは1mm以上
とするのが適切である。
【0022】そして、前記凹部に対する凸部先端面(グ
リーンシート又は脱脂体に当接する表面)の表面粗さ
を、Rz(十点平均あらさ):10μm以上とするとよ
い。この表面粗さは、収縮の小さい脱脂工程には影響し
ないが、収縮が大きい焼成工程では、このようにRzで
10μm以上とするのがよい。焼成時の密着による焼き
付きが防止できるためである。ここにRz(十点平均あ
らさ)とは、JIS(日本工業規格)に定義される表面
粗さをいう。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1〜図4
を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の製法
に使用する冶具1の正面図であリ、図2はその平面図で
ある。この冶具1は、例えばセラミック製で、一定厚さ
の正方形板状部材の一主平面(片面)3に、縦横に一定
間隔で一定の幅、深さの凹部(凹溝)5が格子状に配
置、形成され、その各凹部5は側面7に開口するように
連なっている。すなわち、本形態では、平面視、微小な
正方形の凸部8が一定間隔(凹部)をおいて縦横に配置
されている。この構成により、ガスはこの凹部5におい
て自由に行き来可能でありかつ冶具1の外側(外部)に
放出可能にされている。なお、主平面3の大きさは脱脂
すべきグリーンシートより一回り大きく形成されてい
る。
【0024】このような冶具1の材質は、グリーンシー
トの材質や脱脂温度及びその後の焼成温度を考慮し、脱
脂又は焼成時にグリーンシート又は脱脂体と反応したり
変質しないものとすればよい。したがって脱脂のみに用
いる場合にはカーボン製のものでもよいし、その表面に
セラミックをコーティングしたものでもよい。なお高温
焼成となる場合にはSiC(炭化珪素)、BN(窒化ホ
ウ素)等が好ましい材質である。
【0025】このような冶具1にて、グリーンシートを
脱脂するに当っては次のようである(図3参照)。すな
わち、冶具1をその凹部5を上にして敷く。そして、こ
の冶具1の上に所定枚数のグリーンシート51を重ねて
置く。ただし、シート間にはセラミック粉末を離型材と
して適量塗布する。そして、最上面のグリーンシートの
上面に、もうひとつの冶具1を、その凹部5がグリーン
シート51に対向するようにして載せ、グリーンシート
を挟みつける。こうしてセットしたものを所定の雰囲気
中にて加熱して脱脂する。またこうして得られた脱脂体
を焼成する場合にも同様にすればよい。
【0026】しかして、脱脂工程においてグリーンシー
ト51は冶具1、1にてその多数の凸部先端面が当接し
て挟まれているため、反りの発生は防止される。そし
て、脱脂過程でシートから発生するガスは、冶具1の凹
部5に解放され、それが連なる側面7に至り外部に排出
されるため、積極的にガス抜きされる。このとき、上面
側だけでなく下面側においても同様にガス抜きが行われ
る。したがって、反りのない、しかも上下均質の脱脂体
と成すことができる。
【0027】なお、反りの防止のための重量が足りない
場合には、冶具1の上に適当重さの錘を置くか、また別
の冶具を置けばよいが、このようにしてもガスの流通に
は何らの影響も与えない。すなわち、本発明では反りの
発生防止に必要な重量を、ガス抜きに支障を及ぼすこと
なく容易に得ることができるので、異なる重量の冶具を
各種用意する必要がなく効率的である。
【0028】また、このようにして得られた脱脂体をそ
の後焼成する場合には次のようである。すなわち、焼成
時においても冶具の押え付け作用により反りの発生が防
止されるが、このとき、冶具は凸部8の先端面でのみ接
触しているため、摩擦が小さく、したがって収縮を阻害
しにくいので焼結体の密度ないし寸法の安定性も高い。
しかも、冶具1の凹部5は、その焼成過程において焼成
品(セラミック基板)との間に所定の空間を形成し、好
ましい材料雰囲気を保持できるので焼結性の安定ないし
向上が期待される。
【0029】ここで、窒化珪素を主成分とするセラミッ
クグリーンシートについて、前記形態の冶具の主平面の
全面積に対する凹部の存在面積、つまりシートに対する
凸部8の接触面積の異なるものを用いて脱脂し、その脱
脂体の外観を検査すると共に脱脂後の炭素量を検査し
た。そして、その脱脂体を焼成して焼結体の焼結性とし
てその密度を調べ、グリーンシートに対する治具の接触
面積の違いによる脱脂性と、焼結性の関係を確認した。
結果は表1に示した通りである。
【0030】ただし、グリーンシートは、厚さ0.5m
mで100mm×100mmの大きさのもので、離型用
セラミック粉末を適量塗布して10枚重ね、これを前記
したように冶具にて上下で挟み、面圧が10g/cm
となるようにした。この状態の下で、大気中で450
℃に昇温して脱脂を行い、次いで、そのままの状態で窒
素雰囲気中で約1700℃で焼成し、厚さ約0.4mm
の基板を得た。
【0031】一方、冶具は120mm正方形の板で、凹
部5は一定の幅(1.0mm)の矩形溝(深さ1mm)
であり、縦横に同一の一定間隔で格子状に配置、形成し
たものとし、凹部の存在する面積比が0から61%とな
るようにそのピッチ(間隔)を変えたものを10個ずつ
製造し、使用した。なお、凸部8の先端面(グリーンシ
ートに当接する表面)の表面粗さはRz:10μmであ
る。
【0032】
【表1】
【0033】表1に示したように、凹部の存在する面積
比が21%以下(試料No.1〜3)では、脱脂体に割れ
が発生し、炭素の存在が目視で認められた。また、この
残存する炭素量は0.33%以上と多かった。さらに、
焼結体の焼結性についても同面積比が21%以下のもの
では、密度は、95.2%以下と低くかった。凹部が少
ないため、すなわち接触面積が多いために収縮が妨げら
れたものと考えられる。これらのことより、主平面のグ
リーンシートに対応する領域面積に対する凹部の存在面
積は30%以上とするのが適切である。なお、凹部(矩
形溝)の幅は、0.5mm〜1.5mmの範囲とすると
よい。0.5mm以上とすると、十分にガス抜き(通気
性)が良くなり、1.5mm以下であると、凹部の影響
により脱脂体及び焼結体の表面に凹凸が生じるのを防止
できるためである。
【0034】次に、凹部面積が31%で、しかも凸部先
端面の表面粗さがRzで、2μm、10μm、30μm
とした冶具を使用し、同様にして脱脂をし、つづけて焼
結し、表面粗さが、焼結性に与える影響を確認した。結
果は表2に示した通りである。
【0035】
【表2】
【0036】表2示したように、試料No.8のように表
面粗さがRz:2μmと精度が高いと、得られた焼結体
の密度は90%と焼結性が悪く、最悪の場合には焼結体
と冶具とに密着(焼付く)が生じた。これに対して試料
No.9、10のように表面粗さがRz:10μm、R
z:30μmの冶具を使用した場合では、得られた焼結
体の密度は98.8%、99.5%と焼結性が飛躍的に
向上した。これより、焼結については表面粗さはRz:
10μmよりも大きい(粗い)方が良いことが分かる。
【0037】なお図4は、本発明の冶具21の別形態を
示すもので、凹部5のある主面側から見た平面図であ
る。この冶具21は、凹部5が前記形態と同様に縦横に
格子状に配置されているものの側面7には連なっていな
い。このものでは、同図中、2点鎖線で示すような領域
Rでグリーンシートを挟むものである。すなわち、この
ようにして挟み付けた際においては、凹部5がグリーン
シートの周縁からその外側に延びている。したがって、
グリーンシート面から発生するガスはグリーンシートの
周縁より外側に流通するので前記形態と同様の効果があ
る。
【0038】前記においては、脱脂工程及び焼成工程を
続けた場合について説明したが、本発明は脱脂工程のみ
としても、或いは焼成工程のみとしても、それぞれにお
いて効果がある。また、治具における凹部は、ガス抜き
或いは収縮の点からはそれが広いほうがよい。一方、反
りの発生防止のために狭い方がよい。両工程に用いる場
合には、これらを考慮して凹部の幅(寸法)、凹部相互
間(凸部)の幅、配置等を設計すればよい。なお、凹部
は縦横の一方向のみの格子状としてもよいし、放射状と
してもよいなど、適宜の平面的態様として具体化でき
る。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の脱脂によれば、グリーンシートは凹部相互間の多数の
凸部先端面に当接する上に、多孔質体のようなガス抜き
性の低さもなく、しかも下面側が通気性のない敷き板に
よる脱脂と異なり、発生するガスは、上下両面から均等
にしかも容易にガス抜きできる。したがって、単に反り
の発生を防げるだけでなく脱脂体中に炭素が残存するこ
とも有効に防止できる。
【0040】本発明の焼成によれば、脱脂体に対して冶
具が全面接触とならないので、焼成時における収縮が阻
害されにくく、焼結性のよい焼結体を得ることができ
る。加えて焼成過程では冶具がその凹部によって焼成品
との間に空間を形成するようしてカバーするため、好ま
しい材料雰囲気を保持できる結果、焼成体の品質の向上
を図ることができる。
【0041】さらに、本発明の治具によれば、反りの発
生防止のために加重する必要がある場合において、下向
きに載せた冶具の上に、従来使用されている平板状の押
し板などを載せたとしてもガス抜きに影響を与えること
もない。したがって、適当な重量の錘を載せることで、
最適重量を得ることができるから、各種の重量の冶具を
用意する必要がないので冶具の管理も容易であり、効率
的に基板の製造ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冶具の実施形態の正面図及び一部
拡大図。
【図2】図1の冶具を凹部側からみた平面図及び一部拡
大図。
【図3】図1の治具を用いた本発明の方法を説明する
図。
【図4】別形態の冶具を凹部側からみた平面図及び一部
拡大図。
【符号の説明】
1、21 冶具 3 冶具の主平面 5 冶具の凹部 8 冶具の凸部 51 グリーンシート
フロントページの続き (72)発明者 前田 哲也 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 伊藤 正也 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック基板の製造におけるグリーン
    シートの脱脂工程において、 主平面に、該主平面側にてグリーンシートを挟んだ際
    に、グリーンシートに多数の部位にて当接できると共に
    グリーンシートから発生するガスがグリーンシートの周
    縁より外側に流通可能の凹部が形成されてなる2つの冶
    具の該主平面によって、1又は重ねられた複数のグリー
    ンシートをその両面側から挟んで脱脂することを特徴と
    するセラミック基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 セラミック基板の製造における脱脂体の
    焼成工程において、 主平面に、該主平面側にて脱脂体を挟んだ際に、脱脂体
    に多数の部位にて当接できると共に脱脂体から発生する
    ガスが脱脂体の周縁より外側に流通可能の凹部が形成さ
    れてなる2つの冶具の該主平面によって、1又は重ねら
    れた複数の脱脂体をその両面側から挟んで焼成すること
    を特徴とするセラミック基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 主平面に、該主平面側にてグリーンシー
    トを挟んだ際に、グリーンシートに多数の部位にて当接
    できると共にグリーンシートから発生するガスがグリー
    ンシートの周縁より外側に流通可能の凹部が形成されて
    なる2つの冶具の該主平面によって、1又は重ねられた
    複数のグリーンシートをその両面側から挟んで脱脂し、
    その後、前記両冶具に挟まれた状態の脱脂体を焼成する
    ことを特徴とするセラミック基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 セラミック基板の製造におけるグリーン
    シートの脱脂時又は脱脂体の焼成時に発生する反り等の
    変形を防止するため、そのグリーンシート又は脱脂体を
    挟むのに使用される冶具であって、 主平面に、該主平面側にてグリーンシート又は脱脂体を
    挟んだ際に、グリーンシート又は脱脂体に多数の部位に
    て当接できると共にグリーンシート又は脱脂体から発生
    するガスがグリーンシート又は脱脂体の周縁より外側に
    流通可能の凹部が形成されてなることを特徴とする冶
    具。
  5. 【請求項5】 請求項4において、グリーンシート又は
    脱脂体を挟んだ際の該グリーンシート又は脱脂体に対応
    する領域面積に対し、前記凹部の存在面積が30%以上
    あることを特徴とする冶具。
  6. 【請求項6】 前記凹部に対する凸部先端面の表面粗さ
    を、Rz:10μm以上としたことを特徴とする請求項
    4又は5に記載の冶具。
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