JP2001086733A - 電力用半導体スイッチのゲート駆動回路 - Google Patents
電力用半導体スイッチのゲート駆動回路Info
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Abstract
の、構成が簡単で、必要な電源容量を低減したゲート駆
動回路を提供する。 【解決手段】パルス駆動すべき電力用半導体スイッチ1
2のカソードに接続された直流電源11の正極と、電力
用半導体スイッチのゲートとの間にオン用半導体スイッ
チング素子13とリアクトル14との直列回路を接続す
ると共に、前記オン用半導体スイッチング素子とリアク
トルとの接続点と、前記直流電源負極との間に、負極側
がアノードとなるようにフリーホイールダイオード17
を接続し、前記電力用半導体スイッチのゲートと前記直
流電源の負極との間にオフ用の半導体スイッチング素子
16を接続する。ゲート駆動回路の寄生インダクタンス
15のために、リアクトル14間に発生する高い逆誘起
電圧によって、急激に立ち上がる電流をゲートに供給し
てパルス駆動する。
Description
のゲート駆動回路、特に電力用半導体スイッチを鋭い立
ち上がりで高速でオンするパルス駆動回路に関するもの
である。
力技術がある。これは、ゆっくりと蓄積したエネルギー
を1千万分の1秒というきわめて短い時間に1億ワット
以上の瞬時パワーとして放出させるものであるが、でき
るだけ急速にエネルギーを放出させるために、高電圧で
かつ超高速で動作するスイッチング素子が不可欠であ
り、この目的のためにギャップスイッチやサイラトロン
が用いられている。しかし、これらのスイッチは高い繰
り返し周波数で動作することに問題があると共に、寿命
が短いという問題があった。
的高電圧、大電流で高速スイッチング特性を持ったサイ
リスタ、静電誘導サイリスタ、ゲートターンオフサイリ
スタ(GTO)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ
(IGBT)などの半導体スイッチング素子が提案さ
れ、実用化されるようになっている。これらの半導体ス
イッチング素子を複数個直列に接続したものは、パルス
パワー用超高電圧電力用半導体スイッチとして使用でき
る可能性がある。
駆動させるためには可能な限り高速でターンオンさせる
必要がある。そのためのトリガ信号としては、ターンオ
ンの初期の数十nsecの短時間、非常に高速で立ち上がる
大きな電流をゲートに流し、その後、50μsec程度の
間、1A程度の連続オン電流を流す必要がある。このよう
に電力用半導体スイッチをパルス駆動するためのゲート
駆動回路は従来幾つか提案されている。
動するための従来のゲート駆動回路の一例を示すもので
ある。直流電源として、オン用の直流電源1と、オフ用
の直流電源2とが設けられている。オン用の直流電源1
の両端には、抵抗3とコンデンサ4とが接続され、これ
ら抵抗とコンデンサとの間の接続点は、オン用スイッチ
ング素子5を経て制御すべき電力用半導体スイッチ6の
ゲートGに接続されている。直流電源からゲートに至る
回路部分の合計寄生インダクタンスを、オン用スイッチ
ング素子5と電力用半導体スイッチ6のゲートGとの間
に接続したインダクタ7として表す。
充電抵抗として動作すると共に、電力用半導体スイッチ
6をオン状態に保持するための電流をゲートに供給する
ものである。さらに、電力用半導体スイッチ6のカソー
ドKは、オン用直流電源1の負極に接続されており、オ
ン用スイッチング素子5とインダクタ7との接続点は、
オフ用スイッチング素子8を経てオフ用直流電源2の負
極に接続されている。
動回路の動作を、図2に示す信号波形を参照して説明す
る。電力用半導体スイッチ6がオフ状態に維持されてい
るときは、制御回路9の制御の下でオン用スイッチング
素子5(SW5)はオフ、オフ用スイッチング素子8
(SW8)はオンとなっている。したがって、コンデン
サ4は、オン用直流電源1から抵抗3を介してこの電源
の電圧E1に充電されている。時刻t0において、オン用ス
イッチング素子5をオフからオンへ切り換えると、コン
デンサ4に蓄えられていたエネルギーはこのスイッチン
グ素子を経て電力用半導体スイッチ6のゲートGからカ
ソードKへ流れることになる。このように電力用半導体
スイッチ6のゲートGを流れる電流の最大値をI2で示
す。このように大きな電流がゲートに流れるので、電力
用半導体スイッチ6はターンオンする。その後ゲート電
流が流れ続ける間、電力用半導体スイッチ6はオン状態
を持続し、時刻t1においてオン用スイッチング素子5
をオフ、オフ用スイッチング素子8をオンすることによ
りターンオフされる。
としたときにゲートに流れる電流iGの上昇率(diG/dt)
は、オン用直流電源1の電圧E1と、図1においてインダ
クタ7で表されている寄生インダクタンスLSとによって
決まる。すなわち、diG/dt=E1/LS で与えられる。この
寄生インダクタンスLSは、通常100nH程度であり、また
ゲート電流iGの上昇率(diG/dt)は3000A/μsec以上が
要求される。したがって、オン用直流電源1の電圧E1と
しては300V以上必要となる。
ーンオンさせるために必要なゲートに供給する電荷量Q
は決まっている。この電荷量Qはコンデンサ4に蓄えら
れている電荷量と等しく、これによるエネルギーは1/2
×QE1で表される。このエネルギーを蓄えるために抵抗
3で発生する損失も1/2×QE1となり、オン用直流電源1
から供給されるエネルギーはこれらの合計に等しく、QE
1となる。
の容量を0.5μFとし、パルス駆動の繰り返し周波数を2K
Hzとすると、オン用直流電源1から供給される電力は90
Wとなる。この電力に、電力用半導体スイッチ6を50μs
ecの間、連続的にオン状態に保持するための電力30Wを
加えると、オン用直流電源1から供給される電力は120W
と非常に大きなものとなる。
速でターンオンさせてパルス駆動するためには、きわめ
て大きな電力を供給することができるオン用直流電源1
が必要となり、ゲート駆動回路が複雑で、大型となり、
コストも高いものとなる。
ート駆動回路の他の例を示すものであるが、第1図に示
したものと比較すると、オン用直流電源1の正極と、オ
ン用スイッチング素子5との間に、抵抗3とコンデンサ
4との並列回路を接続した点が相違しているだけであ
る。このようなゲート駆動回路の動作は、図1に示した
ものと殆ど同一であり、上述したところと同じ動作条件
では、オン用直流電源1はきわめて大きな電力を供給で
きるものであるとする必要がある。
チをパルス駆動するために、ターンオン時にゲートに急
激に大電流を流そうとすると、ゲート電源容量が過大と
なり、多数の電力用半導体スイッチを直列接続するよう
な用途では重大な問題となる。また、ゲート駆動回路で
の損失が大きいため、ゲート駆動回路が大型化し、シス
テムの構築に支障を来すという問題もある。
来の欠点を解消し、簡単な回路で、大きなゲート電流を
急激に流して電力用半導体スイッチをパルス駆動できる
ゲート駆動回路を提供しようとするものである。
力用半導体スイッチをパルス駆動するゲート駆動回路に
おいて、一方の極が、電力用半導体スイッチの主電極に
接続される直流電源と、前記電力用半導体スイッチの主
電極とゲートとの間に接続されたリアクトルおよび第1
のスイッチング素子の直列回路と、前記電力用半導体ス
イッチのゲートと直流電源の他方の極との間に接続され
た第2のスイッチング素子とを具え、前記電力用半導体
スイッチをオフ状態に保つために、前記第1のスイッチ
ング素子をオフ状態に、第2のスイッチング素子をオン
状態に維持し、電力用半導体スイッチをターンオンする
際には、前記第1のスイッチング素子をオフ状態からオ
ン状態へ切換えて前記リアクトルにエネルギーを蓄えた
後に、前記第2のスイッチング素子をオン状態からオフ
状態に切換えて、前記リアクトルに蓄えたエネルギーを
電力用半導体スイッチのゲートに急激に流すことによっ
て電力用半導体スイッチをターンオンするように構成し
たことを特徴とするものである。
ッチのゲート駆動回路においては、前記リアクトルをエ
ネルギー蓄積手段として用い、このリアクトルに出力電
圧の低い直流電源から所要の電流となるまで流し、蓄積
した誘導エネルギーを開放する際に生じる高い誘起電圧
を利用して急激に立ち上がるゲート電流を電力用半導体
スイッチのゲートに流すことにより、低電力損失で高性
能の電力用半導体スイッチ用ゲート駆動回路を実現する
ことができる。
例においては、前記第1および第2のスイッチング素子
を半導体スイッチング素子で構成し、前記電力用半導体
スイッチがオンとなった後にも、前記第1の半導体スイ
ッチング素子をオン状態に継続して維持することによっ
て電力用半導体スイッチをオン状態に保持するゲート電
流を、前記リアクトルに蓄えられているエネルギーによ
って生成するように構成する。あるいはまた、前記第1
のスイッチング素子と前記リアクトルとの接続点と、前
記第2のスイッチング素子の前記直流電源の他方の極に
接続された端子との間にフリーフォイルダイオードを接
続し、前記電力用半導体スイッチがターンオンした後
に、前記第1のスイッチング素子をオフ状態として、電
力用半導体スイッチにゲート電流を流しつつ前記リアク
トルに蓄えられているエネルギーを前記フリーフォイル
ダイオードを経て前記直流電源へ回生し、その後第1の
スイッチング素子を再びオン状態として電力用半導体ス
イッチをオン状態に保持するためのゲート電流を、前記
リアクトルに蓄えられているエネルギーによって生成す
るように構成することもできる。さらに、連続したパル
ス駆動を行うためには、前記第2の半導体スイッチング
素子をオンとして電力用半導体スイッチをターンオフす
ると同時に、前記第1の半導体スイッチング素子をオフ
として次のターンオン動作に備えるように構成すること
ができる。
ッチング素子を半導体スイッチング素子で構成すると共
に、前記第2のスイッチング素子を、このスイッチング
素子自身がオン状態からオフ状態に切り換わるときに、
前記リアクトルの両端に発生される逆誘起電圧でブレー
クダウンする特性を有する半導体スイッチング素子で構
成するのが好適である。また、前記第1の半導体スイッ
チング素子とリアクトルとの接続点と、前記直流電源の
他方の端子との間にフリーホイールダイオードを接続
し、前記第1の半導体スイッチング素子がオフしたとき
に、前記リアクトルの電流を流し続ける経路を確保し、
リアクトルに過電圧が発生しないようにするのが好適で
ある。
て、電力用半導体スイッチを連続的にオン状態に保つた
めの電流を、リアクトルと直列に接続されたスイッチン
グ素子をチョッピング動作させて得るようにした駆動回
路を提案している。このようにスイッチング素子をチョ
ッピング動作させるためには、正側電源と負側電源との
2つの電源が必要であり、電源回路が複雑となる。ま
た、この駆動回路を、電力用半導体スイッチをパルス駆
動するための駆動回路として用いることについても何ら
示唆していない。すなわち、リアクトルへの電流を転流
する際に、大きな逆誘起電圧が発生し、これが寄生イン
ダクタンスに印加されることによって急激に立ち上がる
電流をゲートに流すという本発明の基本的な動作原理に
ついては何も教示していない。
体スイッチのゲート駆動回路の一実施例の基本的な構成
を示す回路図である。直流電源11の正極を電力用半導
体スイッチ12のカソードKに接続すると共に、この正
極と電力用半導体スイッチ12のゲートGとの間に、オ
ン用のスイッチング素子13とリアクトル14との直列
回路を接続する。電力用半導体スイッチ12のゲートG
とリアクトル14との間には寄生インダクタンスを表す
インダクタ15が接続されている。さらに、リアクトル
14とゲートGとの接続点と、直流電源11の負極との
間にはオフ用のスイッチング素子16を接続する。ま
た、オン用のスイッチング素子13とリアクトル14と
の接続点と、直流電源11の負極との間には、アノード
を負極に接続したダイオード17を設ける。このダイオ
ード17は、フリーホイールダイオードとして作用する
ものである。さらに、オン用スイッチング素子13およ
びオフ用スイッチング素子16のオンオフを制御する制
御回路18を設ける。
を、図5に示す信号波形図をも参照して説明する。電力
用半導体スイッチ12がオフ状態にあるときは、オン用
スイッチング素子13(SW13)はオフ状態にあり、
オフ用スイッチング素子16(SW16)はオン状態に
ある。この状態で、時刻t0において、制御回路18によ
りオン用スイッチング素子13をオフ状態からオン状態
に切り換えると、直流電源11の正極から、スイッチン
グ素子13、リアクトル14およびオフ用スイッチング
素子16を経て直流電源の負極に至る回路が形成され、
リアクトル14に流れる電流が直線的に増大していく。
ここで、直流電源11の電圧をEとし、リアクトル14
のインダクタンスをLとすると、リアクトルに流れる電
流の勾配は、E/Lとなる。
電流が所望の値I1となるが、このとき制御回路18に
よってオフ用スイッチング素子16をオン状態からオフ
状態に切り換えると、リアクトル14に流れていた電流
が電力用半導体スイッチ12のゲートGへ転流しようと
するが、上述したように、電力用半導体スイッチのカソ
ードKとゲートGとの間に少なからず存在する寄生イン
ダクタンス(図4ではインダクタ15で示す)のため
に、リアクトル14に流れていた電流が直ちに転流する
ことはできず、したがってリアクトル14に大きな逆誘
起電圧が発生する。
する大きな逆誘起電圧は、オフ用スイッチング素子16
に加わるが、このスイッチング素子は半導体スイッチン
グ素子で構成されるので、最大定格電圧があり、これを
越えると破損してしまうことになる。そこで、本発明の
好適な実施例では、このオフ用のスイッチング素子16
を半導体スイッチング素子で構成し、これを最大定格電
圧でブレークダウンして、リアクトル14の誘導エネル
ギーの一部分を吸収する機能を持った半導体デバイスを
用いる。このような半導体デバイスとしては、例えばイ
ンターナショナル社製のHEXFETがある。このような半導
体スイッチング素子16のブレークダウン電圧をVBとす
ると、リアクトル14による逆誘起電圧は、(VB−E)
に抑圧される。
スLSを表すインダクタ15にも印加されるので、(VB−
E)/LSの勾配で電流は立ち上がり、急激に増大してい
く。インダクタ15の電流がゲート電流と等しくなる時
刻t2で、オフ用スイッチング素子16のブレークダウン
は止まり、このスイッチング素子には電流が流れなくな
るので、電力用半導体スイッチ12のゲート電流だけを
流すようになる。このように、オフ用のスイッチング素
子16がブレークダウンしている期間が、ゲート電流の
上昇期間となる。
クタ15で表される寄生インダクタンスLSを100nHと
し、ゲート電流iGの上昇率diG/dtを3000A/μsecとし、
直流電源11の電圧Eを30Vとすると、ブレークダウン電
圧VBは330Vとなるようにすれば良い。この期間における
リアクトル14の電流の減少量を40A程度とすると、リ
アクトル14のインダクタンスLは、(VB−E)×50nsec
/40A=375nHとなる。
4の電流I1は190A必要となる。このとき、リアクトル1
4に蓄えられた電磁エネルギーは1/2×L×I1 2となり、
これが直流電源11から供給される。この電力は、パル
ス動作の繰り返し周波数を上述した従来技術で説明した
のと同じ2KHzとすると、1/2×375nH×190 2×2KHz=13.5
Wとなり、従来例の120Wの約1/9と非常に小さなものとな
る。
用半導体スイッチ12のゲートG−カソードK−オン用
スイッチング素子13の経路を経てリアクトル14の残
留電磁エネルギー(=1/2×L×I2 2)による電流がゲート
電流として環流し、回路による損失に応じて減衰してい
くが、連続オン電流として、従来例よりも大きな電荷量
をゲートGに供給することができる。このように、本発
明においては、電力用半導体スイッチ12をターンオン
とした後、この状態を維持するためのエネルギーをリア
クトル14の残留エネルギーから得るようにしており、
直流電源11から供給しているものではない点も従来の
ものとの顕著な相違点である。
12をターンオフするには、制御回路18によってオン
用スイッチング素子13をオン状態からオフ状態とし、
オフ用スイッチング素子16をオフ状態からオン状態と
することにより、電力用半導体スイッチのカソードKが
直流電源11の正極に接続され、ゲートGが負極に接続
されるので、電力用半導体スイッチのゲート・カソード
間は逆バイアスされ、確実にターンオフすることができ
る。
うに、制御回路18によって、オン用スイッチング素子
13は時刻t0においてオフからオンに切り換えられ、
時刻t5においてオンからオフに切り換えられ、オフ用
スイッチング素子16は時刻t1においてオンからオフ
に切り換えられ、時刻t5においてオフからオンへ切り
換えるようにしている。したがって、電力用半導体スイ
ッチ12がオンした後は、リアクトル14の磁気エネル
ギーは電力用半導体スイッチのゲート−カソード、オン
用半導体装置13を通るルートで循環されているが、電
力用半導体スイッチのゲートには不必要に大きな電流が
流れることになる。このように大きなゲート電流は回路
損失を招き、半導体装置のゲート駆動回路全体としての
運転効率を低下させる要因となっている。
チのゲート駆動回路の他の実施例における動作を示すも
のである。本例の回路構成そのものは、図4に示したも
のと同じであるが、制御回路18によるオン用スイッチ
ング素子13の駆動の仕方が相違している。したがっ
て、その部分における動作を説明すれば足りるが、全動
作について上述した実施例よりも詳細に説明する。
常オフ状態にあるモードであり、オン用スイッチング素
子13がオフ、オフ用スイッチング素子16がオンとな
っており、電力用半導体スイッチ12のゲートGとカソ
ードKとの間に直流電源11の電圧Eが、逆極性に印加
されており、電力用半導体スイッチは確実にオフ状態を
保っている。勿論、このモードIではリアクトル14の
電流は零である。
電力用半導体スイッチ12を急峻なゲート電流でターン
オンさせるために、予めリアクトル14にゲートに必要
な電流を流しておくための期間である。このために、時
刻t0において、制御回路18によってオン用スイッチ
ング素子13をオンとして、リアクトル14に直流電源
11の電圧Eを加えてリアクトルに電流をI1まで立ち
上げる。
御回路18によってオフ用スイッチング素子16をオフ
とする。したがってリアクトル14を流れていた電流は
電力用半導体スイッチ12のゲートへ転流しようとする
が、このゲート周りに存在する寄生インダクタンスのた
めに直ちには流れないので、リアクトル14の両端間に
は過大な逆誘起電圧が発生しようとする。上述したよう
に、この逆電圧が高いほど、電力用半導体スイッチに流
れるゲート電流のdi/dtは大きくなり好都合となるが、
この電圧はオフ用スイッチング素子16にも印加される
ので、このオフ用スイッチング素子の定格電圧を越える
と、このスイッチング素子は破壊してしまう恐れがあ
る。オフ用スイッチング素子16として、決まった電圧
でブレークダウンし、サージ電力を吸収する能力があ
り、しかもオン抵抗も低いインターナショナル整流器社
のパワーMOSFETを使用することにより、スイッチング素
子の破壊の問題は解決できる。
レークダウン電圧をEbとすると、リアクトル14は
(Eb−E)の電圧でクランプされる。また、この電圧
は電力用半導体スイッチ12のゲート周辺の寄生インダ
クタンス15にも印加されるので、ゲート電流は急激に
立ち上がり、リアクトル14を流れる電流に等しくなる
とクランプ状態が解除されてこのモードIIIは終了す
る。この時間がゲート電流の立ち上がり時間となるの
で、従来と同等の立ち上がりdi/dt特性を有するゲート
電流を流すためには、電圧(Eb−E)を300Vとす
る必要がある。したがって、このモードIIIの時間は、
例えば50nsときわめて短いので、ブレークダウンで
消費される瞬時パワーは大きいがエネルギーは大きくは
ない。また.モードIIIの終了時にリアクトル14を流れ
る電流はI2まで減少する。
たクランプ期間が完了した後、ピークに達したゲート電
流を直ちに減少させないように、時刻t1でオフ用スイ
ッチング素子16をオフした後もオン用スイッチング素
子13のオン状態を短時間持続させる。このとき、リア
クタ14から電力用半導体スイッチ12のゲートG−カ
ソードK、オン用スイッチング素子13を経て電流が還
流することになるが、このような環流期間は必ずしも設
ける必要はない。この環流期間の終了時にはリアクトル
14を流れる電流はI3まで低下する。
る。すなわち、上述したモードIVで第1の環流期間を継
続していくと、電力用半導体スイッチ12のゲートに必
要以上の電荷を注入し、エネルギーを無駄に消費してし
まうことになる。そこで、本実施例では、電力用半導体
スイッチ12のゲートターンオンに必要な量の電荷の注
入が行なわれたらリアクトル14のゲート電流を電力用
半導体スイッチ12を連続的にオンするのに要するレベ
ルまで急速に減少させるようにしている。すなわち、時
刻t3において、オン用スイッチング素子13をオフと
して、このスイッチング素子を流れていた電流をフリー
ホイールダイオード17へ転流して直流電源11へ回生
するようしている。オン用スイッチング素子13をオフ
とすると、リアクトル14から電力用半導体スイッチ1
2のゲートG−カソードK−直流電源11−フリーホイ
ールダイオード17−リアクトル14へと流れ、直流電
源11に回生することになる。この回生期間の終了時に
はリアクトル14の電流はI4まで減少する。
刻t4においてオン用スイッチング素子13をオンとし
て、電力用半導体スイッチ12を連続的にオン状態に維
持するためのゲート電流、すなわち連続オン電流I
4〜5(例えば1A程度)を必要な期間(例えば50μ
s程度)流し続けるものであり、減衰率はできるだけ小
さくするのが望ましい。
御回路18によって時刻t5において、オン用スイッチ
ング素子13をオフとするとともにオフ用スイッチング
素子16をオンとして電力用半導体スイッチ12をター
ンオフした後、このターンオフ状態を持続する。ここ
で、オフ用スイッチング素子16をオンすると、電力用
半導体スイッチ12のゲート・カソード間に電源電圧E
が逆電圧として印加され、カソードからゲートへ向けて
ゲート引き抜き電流が流れ、電力用半導体スイッチを確
実にターンオフさせることができる。パルスパワー回路
に適用する場合には、このときには電力用半導体スイッ
チ12のアノード電流は零であるので、ゲート引き抜き
電流は余り流れない。本例では、オフ用スイッチング素
子16をオンすると同時にオン用スイッチング素子13
をオフとしているが、このタイミングに多少の遅れや進
みがあっても差し支えない。すなわち、これらのスイッ
チング素子13および16が同時にオンとなる状態が短
時間存在しても、直列にリアクトル14が接続されてい
るので、大きな短絡電流の発生を抑止することができ
る。上述したようにオフ用スイッチング素子16がオン
すると、リアクトル14−スイッチング素子16−フリ
ーホイールダイオード17−リアクトル14の経路が形
成され、初期電流I5が環流し、リアクトル14の残留
磁気エネルギーが回路の損失として無駄に消費されるこ
とになる。したがって、初期電流I5の大きさが決めら
れているとすれば、リアクトル14のインダクタンス値
を小さくするのが得策であることがわかる。
路図、図8はその動作を示す波形図である。本例では、
図8の最上段に示すような制御信号Sを入力してオン用
スイッチング素子13およびオフ用スイッチング素子1
6に対する駆動信号を生成させている。図7に示すよう
に、制御信号Sをインバータ21へ入力してその反転信
号を生成する。制御信号Sは抵抗22およびダイオード
23の並列回路を経てNAND回路24の一方の入力端
子へ供給し、このNAND回路の他方の入力端子へはイ
ンバータ21から出力される反転信号を供給する。ま
た、NAND回路24の一方の入力端子は抵抗22と相
俟って放電時定数を決めるコンデンサ25に接続する。
よびダイオード27の並列回路を経てNAND回路28
の一方の入力端子に接続し、このNAND回路の他方の
入力端子にはインバータ21から出力される制御信号S
の反転信号を供給する。さらに、このNAND回路28
の一方の入力端子は抵抗26と共に放電時定数を決める
コンデンサ29に接続する。NAND回路24からはオ
ン用スイッチング素子14のオン信号が供給され、NA
ND回路28からはオフ用スイッチング素子16のオン
信号が供給される。
であると共に図8の波形図からその動作は理解できるの
で、以下簡単に説明する。時刻t0において制御信号S
が立ち上がり、その反転信号が立ち下がるためNAND
回路24およびNAND回路28の一方の入力信号が
「0」となり、コンデンサ25および29の電圧に関わ
らずNAND回路24の出力は引き続き「1」となり、
NAND回路28の出力は「0」から「1」へ変化す
る。したがって時刻t0から再び反転信号ーSが「1」
となる時刻t1の期間ではオン用スイッチング素子13
とオフ用スイッチング素子16は同時にオンとなる。
下がると、その反転信号が立ち上がり、一方時刻t0で
急速充電されたコンデンサ25は抵抗22により放電さ
れ、時刻t5で閾値に達するまでは「1」とみなされる
ため、NAND回路24の出力信号は「0」へ変化し、
オフ用スイッチング素子16をオフとする。これにより
時刻t1まで充電されていたコンデンサ29は抵抗26
により放電され、時刻t4で閾値に達するまでは「1」
とみなされるためNAND回路28の出力信号が「0」
へ変化し、オン用スイッチング素子13をオフとする。
閾値に達すると、NAND回路28の出力信号は「1」
に反転し、オン用スイッチング素子13のオン信号が
「1」となる。その後、コンデンサ25の電圧が閾値に
達した時刻t5においてNAND回路24の出力信号は
「1」に反転し、オフ用スイッチング素子16のオン信
号は「1」となると共にコンデンサ29がダイオード2
7により急速に充電されるためNAND回路28の出力
信号も「0」に反転し、オン用スイッチング素子13の
オン信号が「0」となる。
は、モードIIの開始時刻t0とモードIIIの開始時刻t
1を規定する立ち上がりおよび立ち下がりを有する制御
信号Sを用いることによって、それ以後のモードの開始
タイミングを制御回路の抵抗およびコンデンサの時定数
を適切に設定することによって決めることができる。
ものではなく、幾多の変更や変形が可能である。例え
ば、上述した実施例では電力用半導体スイッチとしてゲ
ートターンオフサイリスタ(GTO)としたが、IGBT、サイ
リスタ、SIサイリスタ、バイポーラトランジスタなどの
電力用半導体デバイスを用いることもできる。
用およびオフ用のスイッチング素子を用いているが、こ
れは半導体素子が適しており、バイポーラトランジス
タ、MOSFETなどの半導体スイッチング素子を用い
ることができる。また、フリーフォイルダイオードの代
わりに半導体スイッチング素子を使用することもでき
る。
導体スイッチのゲート駆動回路によれば、簡単な回路で
かつ小さい電力で、急激に増大するゲート電流を電力用
半導体スイッチのゲートに流すことができる。
ルの電流がピークに達した後に、オン用スイッチング素
子をオフとすることによってリアクトルを流れる電流を
フリーホイールダイオードを経て直流電源に流す電流回
生期間を設けたため、リアクトルの磁気エネルギーを直
流電源に回生することができ、電力消費を尚一層小さく
することができる。
の一例を示す回路図である。
ある。
ある。
動回路の一実施例を示す回路図である。
ある。
動回路の他の実施例における動作を示す信号波形図であ
る。
動回路の制御回路の一例の構成を示す回路図である。
ある。
3 オン用スイッチング素子、 14 リアクトル、
15 寄生インダクタ、 16オフ用スイッチング素
子、 17 フリーホイールダイオード、18 制御回
路、 21 インバータ、 22、26 抵抗、 2
3、27 ダイオード、 24、28 NAND回路、
25、29 コンデンサ
Claims (6)
- 【請求項1】制御すべき電力用半導体スイッチをパルス
駆動するゲート駆動回路において、一方の極が、電力用
半導体スイッチの主電極に接続される直流電源と、前記
電力用半導体スイッチの主電極とゲートとの間に接続さ
れたリアクトルおよび第1のスイッチング素子の直列回
路と、前記電力用半導体スイッチのゲートと直流電源の
他方の極との間に接続された第2のスイッチング素子と
を具え、前記電力用半導体スイッチをオフ状態に保つた
めに、前記第1のスイッチング素子をオフ状態に、第2
のスイッチング素子をオン状態に維持し、電力用半導体
スイッチをターンオンする際には、前記第1のスイッチ
ング素子をオフ状態からオン状態へ切換えて前記リアク
トルにエネルギーを蓄えた後に、前記第2のスイッチン
グ素子をオン状態からオフ状態に切換えて、前記リアク
トルに蓄えたエネルギーを電力用半導体スイッチのゲー
トに急激に流すことによって電力用半導体スイッチをタ
ーンオンするように構成したことを特徴とする電力用半
導体スイッチのゲート駆動回路。 - 【請求項2】前記電力用半導体スイッチがターンオンし
た後にも、前記第1のスイッチング素子を継続してオン
状態に維持することによって電力用半導体スイッチをオ
ン状態に保持するためのゲート電流を、前記リアクトル
に蓄えられているエネルギーによって生成するように構
成したことを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体
スイッチのゲート駆動回路。 - 【請求項3】前記第2のスイッチング素子をオフ状態か
らオン状態に切換えて電力用半導体スイッチをターンオ
フするのと同時に、前記第1のスイッチング素子をオン
状態からオフ状態に切換えて次のターンオン動作に備え
るように構成したことを特徴とする請求項2に記載の電
力用半導体スイッチのゲート駆動回路。 - 【請求項4】前記第1のスイッチング素子を半導体スイ
ッチング素子で構成すると共に、前記第2のスイッチン
グ素子を、このスイッチング素子自身がオン状態からオ
フ状態に切り換わるときに、前記リアクトルの両端に発
生される逆誘起電圧でブレークダウンする特性を有する
半導体スイッチング素子で構成したことを特徴とする請
求項1〜3の何れかに記載の電力用半導体スイッチのゲ
ート駆動回路。 - 【請求項5】パルス駆動すべき電力用半導体スイッチの
カソードに接続された直流電源の正極と、電力用半導体
スイッチのゲートとの間にオン用半導体スイッチング素
子とリアクトルとの直列回路を接続すると共に、前記オ
ン用半導体スイッチング素子とリアクトルとの接続点
と、前記直流電源の負極との間に、負極側がアノードと
なるようにフリーホイールダイオードを接続し、前記電
力用半導体スイッチのゲートと前記直流電源の負極との
間にオフ用の半導体スイッチング素子を接続したことを
特徴とする電力用半導体スイッチのゲート駆動回路。 - 【請求項6】前記電力用半導体スイッチがターンオンし
た後に、前記オン用半導体スイッチング素子をオフ状態
として、電力用半導体スイッチにゲート電流を流しつつ
前記リアクトルに蓄えられているエネルギーを前記フリ
ーホイールダイオードを経て前記直流電源へ回生し、そ
の後オン用半導体スイッチング素子を再びオン状態とし
て電力用半導体スイッチをオン状態に保持するためのゲ
ート電流を、前記リアクトルに蓄えられているエネルギ
ーによって生成するように構成したことを特徴とする請
求項5に記載の電力用半導体スイッチのゲート駆動回
路。
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