JP4113405B2 - 半導体素子のゲート駆動回路及び半導体装置 - Google Patents

半導体素子のゲート駆動回路及び半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部から入力されるトリガパルス信号によって、半導体素子のターンオンとターンオフとを制御できる半導体素子のゲート駆動回路及び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、半導体デバイスの進歩により、比較的高電圧、大電流で高速スイッチング特性を有するサイリスタ、静電誘導サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの半導体スイッチング素子が提案され、実用化に至っている。
【0003】
これらの半導体スイッチング素子を複数個直列に接続したものは、パルスパワー用超高電圧電力用半導体スイッチとして使用することができる。
【0004】
このような電力用半導体スイッチをパルス駆動させるためには、可能な限り高速でターンオンさせる必要がある。そのためのトリガ信号としては、ターンオンの初期の数10nsecの短時間、非常に高速で立ち上がる大きな電流をゲートに流し、その後、50μsec程度の間、1A程度の連続オン電流を流す必要がある。このような電力用半導体スイッチをパルス駆動するためのゲート駆動回路は、従来から様々な回路が提案されている。
【0005】
図4に示すゲート駆動回路100は、そのうちの1つの例であり、第1半導体スイッチ104と、第2半導体スイッチ114と、インダクタ106と、フリーホイールダイオード116とを有するゲート駆動信号発生部111と、第1半導体スイッチ104及び第2半導体スイッチ114に対してそれぞれスイッチング制御信号CS1及びCS2を供給する制御信号発生部112とを有する。
【0006】
そして、直流電源102から第1半導体スイッチ104を介してインダクタ106に蓄積された電磁エネルギーが放出されることによって、ゲート駆動信号である電流IGが、インダクタ106から電力用半導体素子108のゲート端子Gに流れ、電力用半導体素子108がターンオンされるというものである(例えば特許文献1参照)。
【0007】
このゲート駆動回路100の特徴は、該ゲート駆動回路100の寄生インダクタンス(図4において寄生インダクタ110として示す)によって、インダクタ106に高い逆誘起電圧が発生し、電流IGは急峻な立ち上がりを有する大電流となるので、電力用半導体スイッチ108は極めて短時間でターンオンされることにある。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−86733号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のようなゲート駆動回路100においては、オン動作を行わせるためのタイミングを外部からのトリガパルス信号によって規定するようにしているが、オフ動作を行わせるためのタイミング、即ち、ターンオフさせるタイミングは、遅延回路等により内部設定する以外に方法がなかった。
【0010】
そのため、高電圧パルス発生回路又は大電流パルス発生回路において、複数個の電力用半導体スイッチ108を直列に接続したとき、それぞれの電力用半導体スイッチ108のターンオフのタイミングを一致させることが非常に困難であるという問題があった。
【0011】
本発明は上記した問題を考慮してなされたものであり、電力用半導体スイッチのターンオフのタイミングも外部から容易に調整することができ、電力用半導体スイッチを複数個接続した場合においても、各電力用半導体スイッチのターンオフのタイミングをほぼ一致させることができる半導体素子のゲート駆動回路及び半導体装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体素子のゲート駆動回路は、少なくとも2個の半導体スイッチと1個のインダクタとの挙動によって、半導体素子のゲート端子にゲート駆動信号を供給し、該半導体素子をターンオンさせるオン動作と、前記ゲート駆動信号の供給を停止し、該半導体素子をターンオフさせるオフ動作とを行うゲート駆動信号供給系と、前記半導体スイッチに対して制御信号を供給する制御信号発生部とを有し、前記制御信号発生部は、入力されるトリガパルス信号の第1のパルスに基づいて、前記オン動作のための制御信号を生成し、入力される第2のパルスに基づいて、前記オフ動作のための制御信号を生成することを特徴とする。
【0013】
まず、制御信号発生部の外部から供給されるトリガパルス信号は第1のパルスと第2のパルスとを有する。
【0014】
そして、制御信号発生部に第1のパルスが入力されることで、該制御信号発生部からオン動作のための制御信号が出力されることになる。オン動作は、前記第1のパルスの立ち上がりに基づいて、前記インダクタに対する電磁エネルギーの蓄積が開始され、前記第1のパルスの立ち下がりに基づいて、前記インダクタから前記電磁エネルギーが放出されることにより、該半導体素子のゲート端子に前記ゲート駆動信号が供給される動作を含む。
【0015】
その後、制御信号発生部に第2のパルスが入力されることで、該制御信号発生部からオフ動作のための制御信号が出力され、これにより、ゲート駆動信号の供給が停止され、前記半導体素子がターンオフすることとなる。
【0016】
トリガパルス信号は、外部から供給可能であるため、第1のパルスの出力タイミング(第1のパルスの制御信号発生部への入力タイミング)及び第2のパルスの出力タイミング(第2のパルスの制御信号発生部への入力タイミング)を自由に設定することができる。
【0017】
従って、複数の半導体素子を直列に接続しても、それぞれの半導体素子におけるターンオフの時間のばらつきは殆ど発生しない。
【0018】
そして、制御信号発生部の前段に、前記制御信号発生部に前記トリガパルス信号を供給するパルス信号発生部を接続し、このパルス信号発生部において、第1及び第2のパルスの各パルス幅、各パルス振幅並びにパルス周期を任意に設定できるようにしてもよい。
【0019】
また、前記構成において、制御信号発生部の入力段に絶縁トランスを有することが好ましい。これにより、前記トリガパルス信号が、絶縁トランスを介してゲート駆動回路に入力される形態となるため、複数の半導体素子を直列に接続しても、それぞれの半導体素子とアースとの間は高電圧絶縁がなされる。
【0020】
この場合、第1のパルスの極性と第2のパルスとの極性を互いに逆にすることで、絶縁トランスにおける偏磁作用の発生を抑制することができる。特に、前記第1のパルスにおけるパルス波形の積分値と前記第2のパルスにおけるパルス波形の積分値とがほぼ同じになるように設定すれば、絶縁トランスにおける鉄心の偏磁作用の発生並びに飽和を抑制することができ、好ましい。
【0021】
このようなことから、本発明に係る半導体素子のゲート駆動回路においては、信頼性の高い高電圧パルス発生回路、並びに大電流パルス発生回路を実現することができる。
【0022】
なお、前記半導体スイッチとしては、パワーMOSFETが好ましい。また、前記半導体素子としては、静電誘導サイリスタ(SIThy)、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)等の接合型ゲート構造を有する電流駆動型の半導体素子が好ましい。
【0023】
次に、本発明に係る半導体装置は、半導体素子と、少なくとも2個の半導体スイッチと1個のインダクタとの挙動によって、該半導体素子のゲート端子にゲート駆動信号を供給し、該半導体素子をターンオンさせるオン動作と、前記ゲート駆動信号の供給を停止し、該半導体素子をターンオフさせるオフ動作とを行うゲート駆動信号供給系と、前記半導体スイッチに対して制御信号を供給する制御信号発生部とを有するゲート駆動回路とを具備し、前記制御信号発生部は、入力されるトリガパルス信号の第1のパルスに基づいて、前記オン動作のための制御信号を生成し、入力される第2のパルスに基づいて、前記オフ動作のための制御信号を生成することを特徴とする。
【0024】
これにより、電力用半導体スイッチのターンオフのタイミングも外部から容易に調整することができ、電力用半導体スイッチを複数個接続した場合においても、各電力用半導体スイッチのターンオフのタイミングをほぼ一致させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る半導体素子のゲート駆動回路及び半導体装置の好適な実施の形態例を図1〜図3を参照しながら説明する。
【0026】
本実施の形態に係る半導体装置10は、図1に示すように、本実施の形態に係るゲート駆動回路12と、パルス駆動すべき電力用半導体スイッチ14とを有する。
【0027】
電力用半導体スイッチ14としては、静電誘導サイリスタ(SIThy)、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)等の接合型ゲート構造を有する電流駆動型の半導体素子が好ましい。これら電流駆動型の半導体素子は、ゲートインピーダンスが極めて低いので、立ち上がりが急峻で大電流のゲート駆動信号を該半導体素子のゲート端子に供給すれば、高速にターンオンすることが可能である。
【0028】
ゲート駆動回路12は、電力用半導体スイッチ14のゲート端子Gにゲート駆動信号としての電流IGを供給し、電力用半導体スイッチ14を短時間でターンオンさせる。そして、このゲート駆動回路12は、ゲート駆動信号発生部16と、制御信号発生部18とを有する。
【0029】
ゲート駆動信号発生部16は、ゲート端子Gに供給されるゲート駆動信号を発生する部分であり、直流電源20と、フリーホイールダイオード22と、第1半導体スイッチ24と、数百nH程度のインダクタ26と、第2半導体スイッチ28とを有する。
【0030】
ここで、ゲート駆動信号発生部16の各回路要素の接続関係を説明する。直流電源20は、正極が電力用半導体スイッチ14のカソード端子Kに接続され、また、該正極と電力用半導体スイッチ14のゲート端子Gとの間に、第1半導体スイッチ24とインダクタ26の直列回路とが接続されている。
【0031】
電力用半導体スイッチ14のゲート端子Gとインダクタ26との間には、ゲート駆動回路12の寄生インダクタンスが現れた形態となっている(図1において寄生インダクタ27として示す)。
【0032】
電力用半導体スイッチ14のゲート端子Gとインダクタ26との接続点と、直流電源20の負極との間には、第2半導体スイッチ28が接続されている。また、第1半導体スイッチ24とインダクタ26との接続点と、直流電源20の負極との間には、フリーホイールダイオード22がアノードを直流電源20の負極側となるように接続されている。
【0033】
この実施の形態では、第1半導体スイッチ24及び第2半導体スイッチ28として、共に、例えばアバランシェ形ダイオードが内蔵されたnチャネル型パワーMOSトランジスタを用いている。
【0034】
パルス信号発生部17は、トリガパルス信号TSを発生して制御信号発生部に供給する。このトリガパルス信号TSは、図3に示すように、正極性の第1のパルスTS1と、負極性の第2のパルスTS2とを有し、第1及び第2のパルスTS1及びTS2の各パルス幅、パルス周期及び各振幅は、このパルス信号発生部17において任意に設定される。特に、本実施の形態では、第1のパルスTS1におけるパルス波形の積分値と第2のパルスTS2におけるパルス波形の積分値とがほぼ同じになるように設定してある。
【0035】
制御信号発生部18は、第1半導体スイッチ24及び第2半導体スイッチ28にそれぞれスイッチング制御信号(第1制御信号CS1及び第2制御信号CS2)を供給する回路である。具体的には、例えば図2に示すように、絶縁トランス34と、第1制御信号発生部36と、第2制御信号発生部38とを有する。
【0036】
絶縁トランス34は、1つの1次巻線42と2つの2次巻線44及び46を有する。1次巻線42には上述したパルス信号発生部17からのトリガパルス信号TSが入力される。
【0037】
一方の2次巻線44は、抵抗48とダイオード50とからなる整流回路と共に、第1パルス検出回路45を構成する。該第1パルス検出回路45は、トリガパルス信号TSから第1のパルスTS1を検出し、正極性のパルスP1として出力する。
【0038】
他方の2次巻線46は、抵抗66とダイオード68とからなる整流回路と共に、第2パルス検出回路47を構成する。該第2パルス検出回路47は、トリガパルス信号TSから第2のパルスTS2を検出し、正極性のパルスP2として出力する。
【0039】
第1制御信号発生部36は、パルスP1がセット入力、パルスP2がリセット入力されるフリップフロップ回路(FF1)56と、パルスP1を反転するインバータ52と、該インバータ52から出力されるパルスの立ち上がりタイミング(パルスP1の立ち下がりタイミング)に基づいて所定のパルス幅を有する正極性のパルスP3を出力するパルス発生器54と、該パルス発生器54から出力されるパルスP3を反転するインバータ58と、該インバータ58からの出力とフリップフロップ回路56からの出力との論理積をとって第1制御信号CS1として出力するAND回路60とを有する。
【0040】
第2制御信号発生部38は、前記パルス発生器54からのパルスP3がセット入力、パルスP2がリセット入力されるフリップフロップ回路(FF2)62と、該フリップフロップ回路62からの出力を反転して第2制御信号CS2として出力するインバータ64とを有する。
【0041】
次に、この実施の形態に係る半導体装置10の動作について図3も参照しながら説明する。
【0042】
まず、初期状態(区間A)においては、図2に示す第1制御信号発生部36のフリップフロップ回路56の出力及び第2制御信号発生部38のフリップフロップ回路62の出力が共に低レベルとなっていることから、第1制御信号CS1は低レベル、第2制御信号CS2は高レベルとなっており、これにより、第1半導体スイッチ24はオフ状態、第2半導体スイッチ28はオン状態とされている。
【0043】
トリガパルス信号TSの第1のパルスTS1が立ち上がった時点t1から区間Bが開始され、第1制御信号CS1が高レベルとなって、第1半導体スイッチ24がオン状態となる。これにより、図1において直流電源20の正極から第1半導体スイッチ24、インダクタ26及び第2半導体スイッチ28を経て直流電源20の負極に至る回路が形成され、インダクタ26に流れる電流ILが直線的に増大していく。つまり、インダクタ26に対する電磁エネルギーの蓄積が行われる。この状態は、第1のパルスTS1のパルス幅の期間にわたって継続する。
【0044】
この区間Bは、電力用半導体スイッチ14のターンオンの準備期間であり、電力用半導体スイッチ14を急峻なゲート電流IGでターンオンさせるために、予めインダクタ26に必要な電流を流しておくための期間である。この期間においてインダクタ26に流しておくべき必要な電流の値は予め設定され、従って、第1のパルスTS1のパルス幅は、インダクタ26に流れる電流の値が所定の値となるように設定される。
【0045】
次に、トリガパルス信号TSの第1のパルスTS1が立ち下がった時点t2から区間Cが開始される。t2時点においては、図2のパルス発生器54からパルスP3が出力されることから、第1制御信号CS1及び第2制御信号CS2が共に低レベルとなって、第1半導体スイッチ24及び第2半導体スイッチ28が共にオフ状態となる。この段階で、これまでインダクタ26に蓄積されていた前記電磁エネルギーは、ゲート駆動信号の電流IGとして放出される。
【0046】
電力用半導体スイッチ14のゲート端子Gとインダクタ26との間には、寄生インダクタ27が存在するため、インダクタ26には、大きな逆誘起電圧が発生し、インダクタ26に流れていた電流ILは瞬時にゲート端子Gに流れることはない。つまり、区間Cの終了時点t3においてIG=ILとなるような、時間の遅れを伴う電流IGが該ゲート端子Gに供給されることになる。但し、この時間の遅れは数百ns以下であるので、該電流IGは、立ち上がりが急峻で、かつ、大電流となる。
【0047】
電流IGが上昇して該電流IGの値が電力用半導体スイッチ14のゲートトリガ電流値になった時点で、電力用半導体スイッチ14はターンオンされる。該電力用半導体スイッチ14のターンオンによって、アノード端子Aとカソード端子Kとの間はオフ状態からオン状態に変化し、該電力用半導体スイッチ14に対して並列に接続された図示しない主回路を還流する順電流IFが流れる。
【0048】
ここで、電力用半導体スイッチ14のゲートインピーダンスは極めて低いので、区間Cという短時間(数百ns以下)に急峻に立ち上がる電流IGによって、該電力用半導体スイッチ14は短時間でターンオンされる。また、ゲート駆動回路12の出力電圧VGも急峻に上昇する。一方、電流ILは、急峻に減少する。
【0049】
上述の時点t3から区間Dが開始され、ゲート端子Gに供給された電流IGは、カソード端子Kを経由して直流電源20の正極に流れる。更に、電流IGは、フリーホイールダイオード22を経由してインダクタ26の一端30に還流される。これは、インダクタ26に蓄積された電磁エネルギーが、直流電源20に回生されることを意味する。即ち、この区間Dは回生期間として定義できる。この回生期間は、パルス発生器54から出力されるパルスP3のパルス幅にて設定される。
【0050】
その後、前記パルスP3が立ち下がった時点t4から区間Eが開始され、第1制御信号CS1が高レベルとなって第1半導体スイッチ24がオン状態となる。これにより、電流IGは、インダクタ26の他端32からゲート端子Gとカソード端子Kと第1半導体スイッチ24とを介して、インダクタ26の一端30へと還流される。そのため、電磁エネルギーは、インダクタ26と電力用半導体スイッチ14と第1半導体スイッチ24とを有する閉ループ回路で放出される。
【0051】
なお、区間Eにおいて、電流IG、IL及び出力電圧VGは、時間の経過に伴って緩やかに減少する。
【0052】
そして、第2のパルスTS2の立ち上がった時点t5から区間Fが開始され、第1制御信号CS1は低レベル、第2制御信号CS2は高レベルとなって、第1半導体スイッチ24はオフ状態、第2半導体スイッチ28はオン状態となる。このとき、電力用半導体スイッチ14はターンオフすることとなる。つまり、電力用半導体スイッチ14のカソード端子Kが直流電源20の正極に接続され、ゲート端子Gが第2半導体スイッチ28を介して負極に接続されるため、電力用半導体スイッチ14のゲート・カソード間は逆バイアスされ、確実にターンオフされることになる。
【0053】
インダクタ26に残留している電磁エネルギーは、インダクタ26と第2半導体スイッチ28とフリーホイールダイオード22とによる閉ループ回路に電流ILが流れることにより、完全に放出される。
【0054】
このように、本実施の形態に係るゲート駆動回路12並びに半導体装置10においては、トリガパルス信号TSにおける第1のパルスTS1に基づいて、電力用半導体スイッチ14のターンオンの準備から実際のターンオンを制御し、第2のパルスTS2に基づいて電力用半導体スイッチ14のターンオフを制御するようにしている。
【0055】
しかも、トリガパルス信号TSは、外部から供給可能であり、特に、本実施の形態では、パルス信号発生部17にて第1及び第2のパルスTS1及びTS2の各パルス幅、各パルス振幅並びにパルス周期を任意に設定するようにしているため、第1のパルスTS1の出力タイミング(第1のパルスTS1の制御信号発生部18への入力タイミング)及び第2のパルスTS2の出力タイミング(第2のパルスTS2の制御信号発生部18への入力タイミング)を自由に設定することができる。
【0056】
従って、複数の電力用半導体スイッチ14を直列に接続しても、それぞれの電力用半導体スイッチ14におけるターンオフの時間のばらつきは殆ど発生しない。
【0057】
特に、本実施の形態では、制御信号発生部18の入力段に絶縁トランス34を接続するようにしている。そのため、トリガパルス信号TSが、絶縁トランス34を介してゲート駆動回路12に入力される形態となるため、複数の電力用半導体スイッチ14を直列に接続しても、それぞれの電力用半導体スイッチ14とアースとの間は高電圧絶縁がなされる。
【0058】
上述の例では、トリガパルス信号TSにおける第1のパルスTS1を正極性、第2のパルスTS2を負極性としたが、もちろん、第1のパルスTS1を負極性、第2のパルスTS2を正極性にしてもよい。また、制御信号発生部18の回路構成によっては、第1及び第2のパルスTS1及びTS2の極性を共に同極性としてもよい。
【0059】
しかし、本実施の形態のように、高信頼性のために絶縁トランス34を用いる場合は、トリガパルス信号TSの第1及び第2のパルスTS1及びTS2は、互いに逆極性であることが好ましい。これにより、絶縁トランス34における偏磁作用の発生を抑制することができる。
【0060】
特に、本実施の形態では、第1のパルスTS1におけるパルス波形の積分値と第2のパルスTS2におけるパルス波形の積分値とがほぼ同じになるように設定しているため、絶縁トランス34における偏磁作用の発生の抑制並びに飽和の抑制に有利となる。偏磁作用並びに飽和を抑制することによって、絶縁トランス34のギャップレス化が実現でき、該半導体装置10の製造コストを低減することができる。
【0061】
このようなことから、本実施の形態に係るゲート駆動回路12並びに半導体装置10においては、信頼性の高い高電圧パルス発生回路、並びに大電流パルス発生回路を実現することができる。
【0062】
また、1つのトリガパルス信号TSによって、電力用半導体スイッチ14のターンオンとターンオフとを制御することができるため、ゲート駆動回路12は、ターンオン用又はターンオフ用の配線を不要とすることができ、半導体装置10の回路構成を簡素化することができる。
【0063】
また、電力用半導体スイッチ14のターンオン及びターンオフのタイミングを全てトリガパルス信号TSによって行うので、該電力用半導体スイッチ14のターンオンとターンオフとをより正確に行うことができる。
【0064】
なお、本発明に係る半導体素子のゲート駆動回路及び半導体装置は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【0065】
【発明の効果】
本発明に係る半導体素子のゲート駆動回路及び半導体装置は、電力用半導体スイッチのターンオフのタイミングも外部から容易に調整することができ、電力用半導体スイッチを複数個接続した場合においても、各電力用半導体スイッチのターンオフのタイミングをほぼ一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る半導体装置並びにゲート駆動回路の回路図である。
【図2】制御信号発生部の回路図である
【図3】ゲート駆動回路の各部における電圧と電流の時間的変化を示す波形図である。
【図4】従来技術に係るゲート駆動回路の回路図である。
【符号の説明】
10…半導体装置 12…ゲート駆動回路
14…電力用半導体スイッチ 16…ゲート駆動信号発生部
17…パルス信号発生部 18…制御信号発生部
20…直流電源 22…フリーホイールダイオード
24…第1半導体スイッチ 26…インダクタ
28…第2半導体スイッチ 34…絶縁トランス
TS…トリガパルス信号 TS1…第1のパルス
TS2…第2のパルス CS1…第1制御信号
CS2…第2制御信号

Claims (5)

  1. 少なくとも2個の半導体スイッチと1個のインダクタとの挙動によって、半導体素子のゲート端子にゲート駆動信号を供給し、該半導体素子をターンオンさせるオン動作と、前記ゲート駆動信号の供給を停止し、該半導体素子をターンオフさせるオフ動作とを行うゲート駆動信号供給系と、
    前記半導体スイッチに対して制御信号を供給する制御信号発生部とを有し、
    前記制御信号発生部は、入力されるトリガパルス信号の第1のパルスに基づいて、前記オン動作のための制御信号を生成し、入力される第2のパルスに基づいて、前記オフ動作のための制御信号を生成し、
    前記オン動作は、前記第1のパルスの立ち上がりに基づいて、前記インダクタに対する電磁エネルギーの蓄積が開始され、
    前記第1のパルスの立ち下がりに基づいて、前記インダクタから前記電磁エネルギーが放出されることにより、該半導体素子のゲート端子に前記ゲート駆動信号が供給される動作を含むことを特徴とする半導体素子のゲート駆動回路。
  2. 請求項1記載の半導体素子のゲート駆動回路において、
    前記トリガパルス信号を発生し、前記制御信号発生部に供給するパルス信号発生部を有することを特徴とする半導体素子のゲート駆動回路。
  3. 請求項1記載の半導体素子のゲート駆動回路において、
    前記制御信号発生部の入力段に絶縁トランスを有する場合に、
    前記第1のパルスと第2のパルスとは互いに極性が逆であることを特徴とする半導体素子のゲート駆動回路。
  4. 請求項記載の半導体素子のゲート駆動回路において、
    前記第1のパルスにおけるパルス波形の積分値と前記第2のパルスにおけるパルス波形の積分値とがほぼ同じであることを特徴とする半導体素子のゲート駆動回路。
  5. 半導体素子と、
    少なくとも2個の半導体スイッチと1個のインダクタとの挙動によって、該半導体素子のゲート端子にゲート駆動信号を供給し、該半導体素子をターンオンさせるオン動作と、前記ゲート駆動信号の供給を停止し、該半導体素子をターンオフさせるオフ動作とを行うゲート駆動信号供給系と、
    前記半導体スイッチに対して制御信号を供給する制御信号発生部とを有するゲート駆動回路とを具備し、
    前記制御信号発生部は、入力されるトリガパルス信号の第1のパルスに基づいて、前記オン動作のための制御信号を生成し、入力される第2のパルスに基づいて、前記オフ動作のための制御信号を生成し、
    前記オン動作は、前記第1のパルスの立ち上がりに基づいて、前記インダクタに対する電磁エネルギーの蓄積が開始され、
    前記第1のパルスの立ち下がりに基づいて、前記インダクタから前記電磁エネルギーが放出されることにより、該半導体素子のゲート端子に前記ゲート駆動信号が供給される動作を含むことを特徴とする半導体装置。
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