JP2001086647A - 制動抵抗の制御方法および装置 - Google Patents

制動抵抗の制御方法および装置

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JP2001086647A
JP2001086647A JP26025399A JP26025399A JP2001086647A JP 2001086647 A JP2001086647 A JP 2001086647A JP 26025399 A JP26025399 A JP 26025399A JP 26025399 A JP26025399 A JP 26025399A JP 2001086647 A JP2001086647 A JP 2001086647A
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Japan
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accident
time
braking
braking resistor
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JP26025399A
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English (en)
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Atsushi Jitsukata
淳 實方
Masahiko Amano
雅彦 天野
Junichi Makino
淳一 牧野
Takuji Senda
卓二 千田
Hidekazu Tsukada
英一 塚田
Takeshi Goto
健 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku Electric Power Co Inc
Hitachi Ltd
Original Assignee
Tohoku Electric Power Co Inc
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】制動抵抗の開放タイミングを事故の種類に応じ
て自動的に最適化して、電力系統を確実に安定化する制
動抵抗装置の制御装置を提供する。 【解決手段】発電機G1から送電される母線B1、送電
線L1を含む、2回線の電力系統で、系統事故時に発電
機G1の加速抑制を行うための制動抵抗装置1を発電機
の至近端に設けている。事故時、投入決定用信号を受信
した制御装置13は開閉器12をオンして制動抵抗11
を投入し、発電機G1からの電力を消費して加速を押さ
える。一方、発電機G1の回転子加速度偏差△ωを検出
して、△ωが予め設定されている負のしきい値ωset
に達すると、開閉器12をオフして制動抵抗11を開放
する。ωsetは2回線にまたがる不平衡事故時の安定
度条件から決定し、事故によるdω/dtの違いを利用
して、1回三相平衡事故や1回線の不平衡事故などの開
放タイミングにもそのまま適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統安定化制
御装置に関わり、事故時に電力系統内の加速抑制対象と
なる発電機の至近端に投入する制動抵抗装置の制御方法
と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】制動抵抗装置は制動抵抗器と開閉器から
なり、投入・開放制御装置によって制御される。電力系
統の事故時に加速抑制対象となる発電機の至近端に投入
し、発電機の加速エネルギーを消費することにより発電
機加速を抑制して、電力系統を安定化する。制動抵抗器
には金属抵抗器などが用いられ、開閉器には機械式遮断
器や半導体遮断器が用いられる。制動抵抗器は投入・開
放制御装置からの指令により、開閉器を閉じることで投
入され、開閉器を開くことで開放される。
【0003】ところで、制動抵抗器の容量が過大であっ
たり、電力系統への投入時間が長すぎると、逆に電力系
統の安定度を低下させてしまう。そのため、制動抵抗装
置は抵抗器を適切な容量とし、また投入後の適切な時期
に開放する必要がある。
【0004】例えば、文献「電力系統の安定度(社団法
人電気協同研究会編;電気協同研究第34巻第5号,昭
和54年1月,P206〜217)」に記載されている
ように、制動抵抗器の容量は発電機の動揺を小さくする
ため、発電機の加速エネルギーと減速エネルギーがバラ
ンスする時の位相角、つまり最大位相角が制動抵抗器開
放後の発電機の位相角平衡点に近くなるように容量を決
定する。ここで、位相角とは、電力系統内で基準となる
発電機の内部誘起電圧に対する加速抑制対象となる発電
機の内部誘起電圧の位相角を指す。
【0005】また、制動抵抗器の開放制御方法として、
投入後一定時間経過後に開放する方法、あるいは、発電
機の回転子回転速度偏差を検出し、偏差が零となった時
点で開放する方法が説明されている。前者の開放制御方
法では、あらかじめ制動抵抗器の投入から開放までの経
過時間を検討しておき、投入・開放制御装置に投入から
開放までの継続時間を設定し、制動抵抗器投入後に投入
・開放制御装置に設定された時間が経過した時点で開放
指令を出す。後者の開放制御方法では、発電機に回転子
回転速度検出器を設置し、検出された回転子回転速度が
制動抵抗器の投入後に零となった時点(発電機の位相角
最大)で投入・開放制御装置から開放指令を出す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した制動抵抗器の
開放制御方法には、以下に述べるような問題点がある。
投入後一定時間経過後に開放する方法の場合、制動抵抗
器が投入の対象となる事故の種類、例えば1回線平衡事
故と2回線不平衡事故では、系統安定化に最適な投入継
続時間が異なるのにも拘らず、その継続時間を自動的に
変更することができない。
【0007】また、加速抑制対象となる発電機の回転速
度偏差が零となった時点で開放する方法は、1回線の三
相平衡事故や1回線の不平衡事故の場合には有効であ
る。しかし、発電機至近端における1相2線地絡や2相
3線地絡のような2回線にまたがる不平衡事故時には、
開放タイミングが早過ぎて発電機が再び加速し、電力系
統の安定化ができずにルート断となってしまうことがあ
る。
【0008】本発明の目的は、従来技術の問題点を克服
し、事故の種類によらず制動抵抗器投入後の開放タイミ
ングを最適化できる制動抵抗器の制御方法及び装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明は、電力系統事故時に系統内の発電機の加速を抑制
し系統を安定化するために、対象となる発電機の近くに
制動抵抗を投入・開放する制御方法において、前記発電
機の回転子の回転速度偏差の負の所定値をしきい値と
し、前記制動抵抗の投入後に前記発電機から計測した回
転速度偏差が前記しきい値に達する事故種別により異な
る時刻に、前記制動抵抗を開放することを特徴とする。
【0010】前記しきい値は、2回線にまたがる三相不
平衡事故時の電力系統の安定化指標が安定とされる値と
なるように開放タイミングを決定し、該開放タイミング
での回転速度偏差値から前記しきい値を整定する。ま
た、前記安定化指標が安定とされる値は、前記発電機の
過渡第2波と過渡第3波の振幅の比が最小及びその近傍
となる。
【0011】また、2回線にまたがる不平衡事故での開
放タイミングが再閉路時刻の前となる場合、前記制動抵
抗の開放による回転速度偏差の増加によって前記発電機
が不安定に陥る前に再閉路されるように前記しきい値を
整定することを特徴とする。
【0012】本発明の方法を適用する制御装置は、発電
機から変圧器を介して電力供給される三相2回線以上の
電力系統に対し前記発電機の近傍に開閉器を介して接続
/切離しする制動抵抗を備え、電力系統事故時に前記制
動抵抗を投入・開放する装置において、系統安定化に必
要な前記制動抵抗の投入継続時間を事故の種別に応じて
可変できるように、前記発電機の回転速度偏差の負のし
きい値を格納する手段と、事故の検出信号を受信して前
記制動抵抗の投入指令を出力する手段と、前記発電機か
ら計測される回転速度偏差が前記しきい値に到達した時
刻に前記制動抵抗の開放指令を出力する手段とから構成
される。
【0013】本発明の作用を説明する。不平衡事故の場
合、地絡が発生した送電線の遮断器を開放して地絡を除
去し、三相不平衡状態で送電した後、1秒程度の時間を
おいてから再閉路を行い、三相平衡送電へと戻す。再閉
路については、1相1線地絡のような2回線にまたがら
ない不平衡事故の場合は、仮に再閉路に失敗しても、残
った回線により三相平衡送電へ戻すことができる。しか
し、1相2線地絡や2相3線地絡のように、2回線にま
たがる不平衡事故で再閉路に失敗した場合は、三相平衡
送電へ戻すことができずルート断となってしまう。
【0014】電力系統の中で、発電機は系統全体から見
て放射状となった送電線に変圧器を介して接続されてい
る場合が多い。このような送電線において1相2線地絡
や2相3線地絡のように2回線にまたがる不平衡事故が
発生すると、再閉路前の三相不平衡状態での送電期間中
は、送電線の逆相および零相インピーダンスや発電機と
送電線との間に接続されている変圧器の零相インピーダ
ンスなどの影響で、送電線のインピーダンスは1回線の
三相平衡送電時の2倍以上に増大する。そのため、2回
線にまたがる不平衡事故時には、送電線が三相不平衡状
態となっている期間は発電機が系統に出せる電気出力が
小さくなるため回転子が加速し続け、再閉路を行うこと
で初めて安定に送電できるようになる場合が多い。
【0015】本発明は、上記の理由により、発電機の回
転速度偏差(△ω)の変化(d△ω/dt)が1回線事
故と2回線にまたがる事故によって大きく相違すること
を利用し、事故種別に応じて異なる制動抵抗の開放タイ
ミングを唯一のしきい値、すなわち、回転速度偏差△ω
の負の所定値により決定している。これにより、1回線
の事故と2回線にまたがる不平衡事故に対し、簡単且つ
確実に系統安定化が可能になる制動抵抗の投入・開放制
御を実現できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
用いて説明する。図1は電力系統内に設けた制動抵抗装
置と投入・開放制御装置の概略構成を示す。制動抵抗装
置1は抵抗器11、開閉器12から構成され、電力系統内の
加速抑制対象となる発電機G1の至近端の母線B1に接
続されている。発電機G1とB1なしL1は図示を省略
した変圧器を介して接続され、発電機G1は系統全体か
ら見て放射状となった送電線Lに変圧器を介して接続さ
れている。投入・開放制御装置13は制動抵抗装置1の投
入および開放を決定し、遮断器12に投入および開放指令
を出力する。
【0017】投入・開放制御装置13は、系統事故発生時
に図示しない系統安定化装置から発行される事故検知信
号(又は投入決定用信号)を入力すると、常時は開放の
開閉器12に投入指令を出力する。一方、発電機G1の回転
子の回転速度偏差Δωを検出する回転速度偏差検出装置
14からΔωを入力し、予め設定されている回転速度偏差
の負のしきい値130(Δωset)と比較し、条件(Δω≦
Δωset)を満足するときに、開閉器12に開放指令を出
力する。
【0018】投入指令により、制動抵抗装置1の遮断器
12が閉じた時は抵抗器11に電流が流れ、加速抑制対象の
発電機G1の加速エネルギーを熱エネルギーとして消費
し、発電機G1の加速が抑制される。また、開放指令によ
り、遮断器12が開いた時は抵抗器11を流れる電流は零と
なり、発電機G1の加速抑制は終了する。
【0019】図2に投入・開放制御装置の構成を示す。
投入・開放制御装置13は投入決定用信号を入力する入力
手段21と投入決定手段22、回転速度偏差Δωを入力する
開放決定用信号入力手段23と開放決定手段24と、投入・
開放指令出力手段25から構成される。なお、投入・開放
指令は1つの制御指令のオン/オフとして扱うこともで
きる。
【0020】投入決定用信号入力手段21から入力された
投入決定用信号について、投入決定手段22は投入条件を
満たすか否かを判断し、満たしている場合に出力手段25
から投入指令信号を出力する。なお、投入決定用信号は
制動抵抗装置1の投入対象となる事故の検知信号であれ
ばよく、例えば事故に関する保護リレー信号を用いても
よいし、母線B1の電圧などを用いてもよい。
【0021】一方、投入された制動抵抗装置1を開放す
る場合は、開放決定用信号入力手段21に入力された発電
機G1の回転子の回転速度偏差Δωについて、開放決定手
段24が開放条件130を満たすか否かを判断して、満たし
ている場合に開放指令信号を出力する。
【0022】図3は開放決定手段の処理の一例を示すフ
ローチャートである。開放決定手段24の処理は投入指令
の発行後、回転速度偏差Δωのサンプリング周期で繰り
返される。まず、発電機G1の回転子の回転速度偏差Δω
と予め設定されている負の速度偏差しきい値ωsetを比
較し、開放条件であるΔω≦ωsetを満足しているか判
定する(ステップ31)。条件を満たしていれば(Ye
s)、開放指令信号を発生し(ステップ32)、条件を
満たしていなければ(No)終了する。
【0023】次に、開放条件に用いる速度偏差しきい値
ωsetの設定方法を説明する。図4は、系統事故時にお
ける回転速度偏差Δωの時間変化と制動抵抗器の動作タ
イミングを示す。(a)は、系統事故で制動抵抗を動作
させた場合の発電機G1の回転子の回転速度偏差Δωの時
間変化で、1回線の三相平衡事故時および2回線にまた
がる不平衡事故時の例を示している。なお、開放条件と
なる速度偏差しきい値ωsetが、両事故に共用できる負
の所定値に設定されている。また、(b)は1回線の三
相平衡事故時の制動抵抗の投入・開放、(c)は2回線
にまたがる不平衡事故時の制動抵抗の投入・開放のタイ
ムチャートである。
【0024】図示のT0で系統事故が発生し、T1で制動
抵抗器が投入されると、三相平衡事故による発電機の加
速エネルギーによる回転速度偏差△ωが短期間に抑制さ
れ、時刻T2で偏差0、時刻T3で△ω=ωsetとなるの
で、時刻T3で制動抵抗器が開放され系統は安定に復旧
する。この1回線の三相平衡事故時には、残り1回線が
三相平衡状態を維持しているので再閉路の必要はない。
一方、2回線にまたがる不平衡事故時には、発電機の加
速エネルギーによる回転速度偏差△ωの抑制は1回線事
故に比べて遅い変化となり、時刻T4で偏差0、時刻T5
で△ω=ωsetとなって制動抵抗が開放され、時刻T6
再閉路が行われる。
【0025】上述のように、Δωが零となる以降の制動
抵抗投入中に、Δωの時間変化の割合(dΔω/dt)
が、1回線の三相平衡事故時と2回線にまたがる不平衡
事故時で大きく相違するのは次の理由による。すなわ
ち、電力系統内で変圧器を介して発電機が設置されてい
るような送電線において、1回線の三相平衡事故の場
合、地絡を除去するために地絡の発生した回線の遮断器
を三相とも開放して開放後は三相平衡状態で送電するの
で、送電線のリアクタンスが事故前の2倍となる。これ
に対し、2回線にまたがる不平衡事故の場合は、地絡を
除去するために地絡の発生した送電線の遮断器を開放し
て開放後は三相不平衡状態で送電するが、この送電期間
中は送電線の零相リアクタンスおよび変圧器の零相リア
クタンスの影響により、送電線のリアクタンスが事故前
の5倍程度まで大きくなる。この事故状態における送電
線のリアクタンスの大きな違いにより、発電機が系統に
出せる電気出力、ひいてはΔωの時間変化にも大きな相
違が生じる。つまり、1回線の三相平衡事故時のリアク
タンス変化は相対的に小さいのでΔωの時間変化が大き
く、2回線にまたがる不平衡事故時のリアクタンス変化
は相対的に大きいのでΔωの時間変化が小さくなる。
【0026】この事故系統特性の違いを利用して、本実
施例では1回線の事故と2回線にまたがる不平衡事故に
共通に用いる制動抵抗開放時のΔωのしきい値ωsetを
次のように決定している。すなわち、電力系統における
事故が2回線にまたがる不平衡事故の場合について系統
モデルによるシミュレーションを行い、制動抵抗を投入
して発電機G1の回転子の加速を抑制し、かつ、電力系
統の安定度指標が最も安定とされるような制動抵抗の開
放時刻(T5)を求め、このT5におけるΔωの値(負の
値)を、制動抵抗開放時のΔωのしきい値ωsetとして
整定する。1回線の三相平衡事故時等にもωsetが適用
され、制動抵抗の開放時刻はT2となる。
【0027】このように、2回線にまたがる不平衡事故
の安定度を基に制動抵抗を開放するΔωのしきい値ωse
tを決定しても、dΔω/dtの違いから1回線三相平
衡事故にも適用でき、系統への投入時間が長過ぎて安定
度を低下させることはない。これにより、2回線にまた
がる不平衡事故と1回線の三相平衡事故時の開放タイミ
ングを、ただ1つのΔωのしきい値ωsetによって決定
できるので、開放制御が単純かつ高速化でき、制御装置
の構成を簡単化できる。
【0028】電力系統の安定度指標は、例えば、発電機
G1の位相角動揺の過渡第2波A2と過渡第3波の振幅
3の比が最小となる場合(λ=A3/A2)に最も安定
となるので、この振幅比を採用するのが望ましい。但
し、電力系統の安定度指標はこれに限られるものではな
く、例えば発電機G1の位相角動揺の包絡線の減衰係数
を用いてもよい。
【0029】本実施例で設定されるΔωのしきい値ωse
tは、2回線にまたがる不平衡事故に対し、系統モデル
によるシミュレーションから電力系統の安定度指標が最
も安定とされるように、制動抵抗の開放時刻T5を求
め、発電機特性から時刻T5の回転速度偏差Δωを算出
して設定する。なお、時刻T5については、再閉路を行
う時刻T6の近傍のT6よりも前の時刻となるが、理論上
は再閉路を行う時刻T6に一致しても、時刻T6よりも後
の時刻であってもよい。
【0030】上記のように、制動抵抗開放時のΔωの値
ωsetは2回線にまたがる不平衡事故時の電力系統の安
定度指標が最も安定とされる値となるように整定され、
制動抵抗は再閉路を行う時刻T6の近傍の時刻T5で開放
される。一方、1回線の三相平衡事故時は、一般にはΔ
ωが零となる時刻T2が最適開放時刻とされる。本実施
例では、以下に説明するように、Δω=ωsetとなる開
放時刻T3はΔω=0の時刻T2から0.1秒以下の遅れ
を有している。しかし、1回線三相不平衡事故の場合
は、2回線にまたがる不平衡事故に比べて安定度的に軽
く、この程度の遅れが系統の安定化を損なうことはな
い。
【0031】ここで、2回線にまたがる不平衡事故時の
系統の安定度により整定されたωsetに基づいて、1回
線の三相平衡事故時の制動抵抗の開放時刻T3を決定し
ても、電力系統の安定度に影響を生じないことを説明す
る。1回線三相平衡事故(仮に、事故Aと呼ぶ)のT2
からT3までに要する時間と、2回線にまたがる不平衡
事故(仮に、事故Bと呼ぶ)のT4からT5までに要する
時間を考察する。
【0032】発電機の運動方程式から、事故A及び事故
B時における発電機G1から送電線への送電電力PL を
比較すると、送電線のリアクタンス変化に反比例するの
で、事故Aは事故Bの約2.5倍(PLA≒2.5PLB)と
なる。また、制動抵抗の消費電力PR を発電機G1の機
械入力(タービン出力)PM の10〜20%とすると、
事故Bで再閉路前に制動抵抗を開放すると発電機G1が
再加速するので、PLBの取り得る範囲はPM の80〜1
00%となる。これより、事故B時の発電機G1の回転
加速度は、dωA/dt>−0.3PMとなり、同様に、事
故A時は、dωB/dt>−1.1PMとなるので、平均的
に見た事故A時のωの傾きの絶対値は事故B時に対して
3.7倍(≒1.1/0.3)以上となる。
【0033】このように、平均的に見たωの傾きの絶対
値が3.7倍以上違うということは、ωがωsetに到
達する時間でみると、事故A時は事故B時の0.27倍
(≒0.3/1.1)以下となる。事故B時において
は、事故発生T0から再閉路T6までは一般に1.0秒、
事故発生から制動抵抗投入により△ω=0となる
(T4)までに0.5〜0.7秒かかるので、T4からT
5までに要する最大時間は0.3〜0.5秒である。実
際にはT4とT6の間のT5で制動抵抗が開放されるの
で、T4からT5までに要する時間はより短いものとな
る。したがって、事故A時のT2からT3までに要する時
間は最大でも、0.5×0.27=0.135秒以下と
なり、実際には0.1秒以下となる。
【0034】以上に説明した事故種別で異なる△ωの時
間変化と開放時間の関係を、図5から図7を用いて説明
する。図5と図6は、2回線にまたがる不平衡事故での
回転速度偏差Δωと位相角θの時間変化を示す動作説明
図で、前者は本実施例を適用した場合、後者は従来の場
合である。
【0035】図5(a)に回転速度偏差Δω(図4と同
じ)、(b)に位相角θ、(c)に制動抵抗の投入・開
放タイミング(図4と同じ)を示している。回転速度ω
と位相角θは積分関係となるので、回転速度偏差Δω=
0となる時刻T4での位相角θ4が最大値を示している。
また、ΔωがΔωsetとなった時刻T5で制動抵抗を開放
しているので、事故送電線の再閉路を行う時刻T6まで
のΔωの増加は小さく、θ4からθ6への変化も小さい。
【0036】一方、図6ではΔωが零となった時刻T4
の近傍で制動抵抗を開放しているので、時刻T4から再
閉路を行う時刻T6までに、Δωが増加して発電機G1
は再び加速する。位相角もθ4からθ6’へと増加し、本
実施例による最大値θ4よりも大きな値となる。位相角
θの最大値が安定な範囲であれば、その後の再閉路によ
ってΔω、θはともに低減できる。しかし、位相角θが
大きくなるに従って発電機G1の動揺が大きくなり、θ
が安定な範囲を超えると発電機G1が脱調し電力系統が
不安定となる。
【0037】図7は、本実施例を用いた場合の1回線の
三相平衡事故時の動作説明図で、図4と同じ動作特性に
加えて位相角θの時間的変化を示している。図示のよう
に、ΔωがΔωsetとなった時刻T3で制動抵抗を開放し
ている。時刻T3における発電機G1の位相角θ3は、Δ
ωが零となる時刻T2における発電機G1の最大位相角
θ2に近い値となるので、電力系統の安定度は従来のΔ
ωが零となった時点で制動抵抗を開放する場合と殆ど変
わらない。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、2回線にまたがる不平
衡事故時の系統安定度に基づいて求めた制動抵抗開放時
刻での回転速度偏差の負の所定値を、事項種別によらな
い共通のしきい値として開放タイミングを決定し、1回
線の三相平衡事故時等には位相角最大値付近で制動抵抗
を開放し、2回線にまたがる不平衡事故時には再加速が
問題とならない再閉路に近い時刻で制動抵抗を開放する
ので、簡単且つ確実に電力系統を安定化することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動抵抗制御装置とそれを適用する電
力系統の概略図。
【図2】本発明の一実施例による制動抵抗制御装置の構
成図。
【図3】制動抵抗の開放タイミングを決定する方法を示
すフローチャート。
【図4】1回線の三相平衡事故および2回線にまたがる
不平衡事故における発電機回転子の回転速度偏差の時間
変化と、制動抵抗の投入・開放タイミングを示す動作説
明図。
【図5】2回線にまたがる不平衡事故時における発電機
の回転速度偏差および位相角の時間変化と、本実施例の
制動抵抗投入・開放タイミングを示す動作説明図。
【図6】2回線にまたがる不平衡事故時の転速度偏差お
よび位相角の時間変化と、従来の制動抵抗の投入・開放
タイミングを示す動作説明図。
【図7】1回線の三相平衡事故時の発電機の回転速度偏
差および位相角の時間変化と、本実施例の制動抵抗の投
入・開放タイミングを示す動作説明図。
【符号の説明】
1…制動抵抗装置、11…抵抗器、12…開閉器、13
…制御装置、14…回転速度偏差検出装置、21…投入
決定用信号入力手段、22…投入決定手段、23…開放
決定用信号入力手段、24…開放決定手段、25…投入
・開放指令出力手段、130…しきい値(ωset)、G
1…加速抑制対象の発電機。
フロントページの続き (72)発明者 天野 雅彦 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 牧野 淳一 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内 (72)発明者 千田 卓二 宮城県仙台市青葉区一番町三丁目7番1号 東北電力株式会社内 (72)発明者 塚田 英一 宮城県仙台市青葉区一番町三丁目7番1号 東北電力株式会社内 (72)発明者 後藤 健 宮城県仙台市青葉区一番町三丁目7番1号 東北電力株式会社内 Fターム(参考) 5G066 AD02 5H590 AA11 AA30 CC01 CC24 CE01 EA14 FB01 FC21 FC25 GB05 HA11 HA27 JA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統事故時に系統内の発電機の加速
    を抑制し系統を安定化するために、対象となる発電機の
    近くに制動抵抗を投入・開放する制御方法において、 前記発電機の回転子の回転速度偏差の負の所定値をしき
    い値とし、前記制動抵抗の投入後に前記発電機から計測
    した回転速度偏差が前記しきい値に達する事故種別によ
    り異なる時刻に、前記制動抵抗を開放することを特徴と
    する制動抵抗の制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記しきい値は、2回線にまたがる三相不平衡事故時の
    電力系統の安定化指標が安定とされる値となるように開
    放タイミングを決定し、該タイミングの回転速度偏差か
    ら前記しきい値を整定することを特徴とする制動抵抗の
    制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記安定化指標が安定とされる値は、前記発電機の過渡
    第2波と過渡第3波の振幅の比が最小及びその近傍とな
    る制動抵抗の制御方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3において、 2回線にまたがる不平衡事故での開放タイミングが再閉
    路時刻の前となる場合、前記制動抵抗の開放による回転
    速度偏差の増加によって前記発電機が不安定に陥る前に
    再閉路されるように前記しきい値を整定することを特徴
    とする制動抵抗の制御方法。
  5. 【請求項5】 発電機から変圧器を介して電力供給され
    る三相2回線以上の電力系統に対し前記発電機の近傍に
    開閉器を介して接続/切離しする制動抵抗を備え、電力
    系統事故時に前記制動抵抗を投入・開放する制御装置に
    おいて、 系統安定化に必要な前記制動抵抗の投入継続時間を事故
    の種別に応じて可変できるように、前記発電機の回転速
    度偏差の負のしきい値を格納する手段と、事故の検出信
    号を受信して前記制動抵抗の投入指令を出力する手段
    と、前記発電機から計測される回転速度偏差が前記しき
    い値に到達した時刻に前記制動抵抗の開放指令を出力す
    る手段を設けたことを特徴とする制動抵抗の制御装置。
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