JP2001084591A - 多値記録再生方法および相変化型多値記録用媒体 - Google Patents

多値記録再生方法および相変化型多値記録用媒体

Info

Publication number
JP2001084591A
JP2001084591A JP30370799A JP30370799A JP2001084591A JP 2001084591 A JP2001084591 A JP 2001084591A JP 30370799 A JP30370799 A JP 30370799A JP 30370799 A JP30370799 A JP 30370799A JP 2001084591 A JP2001084591 A JP 2001084591A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
section
reflected light
light intensity
level
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30370799A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Ono
孝志 大野
Michikazu Horie
通和 堀江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP30370799A priority Critical patent/JP2001084591A/ja
Publication of JP2001084591A publication Critical patent/JP2001084591A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】相変化媒体を利用した新規な原理に基づく多値
記録再生方法を提供する。 【解決手段】エネルギービームの照射によって結晶状態
と非晶質状態との間で相変化を生じる記録層を有する情
報記録用媒体に対して、記録用エネルギービームを照射
し、局所的に前記記録層を溶融せしめ、凝固時の冷却に
より非晶質マークを形成することにより、情報の記録を
行う記録再生方法において、主として前記凝固時におけ
る再結晶化過程と非晶質化過程との競合により非晶質マ
ークの大きさを制御し、再生用光ビームの照射領域から
の反射光強度が、その領域内にある結晶領域と非晶質領
域の光学特性の差及びそれらの面積に応じて3以上の多
段階の記録レベルに制御されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多値記録再生方法
および相変化型多値記録用媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報量の増大に伴い高密度で且つ
高速に大量のデータの記録・再生が出来る記録媒体が求
められているが、光記録媒体、特に光ディスクは、正に
こうした用途に応えるものとして期待されている。斯か
る光ディスクには、一度だけ記録が可能な追記型と、記
録・消去が何度でも可能な書き換え型がある。そして、
書き換え型光ディスクとしては、光磁気効果を利用した
光磁気媒体や可逆的な結晶状態の変化に伴う反射光強度
変化を利用した相変化媒体が挙げられる。
【0003】相変化媒体は、外部磁界を必要とせず、レ
ーザー光のパワーを変調するだけで記録・消去が可能で
あり、記録・再生装置を小型化できるという利点を有す
る。また、現在主流の800nm程度の波長での記録消
去可能な媒体から、特に記録層などの材料を変更するこ
となく短波長光源による高密度化も可能である。
【0004】現在、実用化されている書換可能な相変化
型記録媒体では、結晶状態を未記録・消去状態として、
非晶質のマークを形成する。非晶質マークは、通常、記
録層を融点より高い温度まで加熱し、急冷することによ
って形成される。消去(結晶化)は、記録層の結晶化温
度よりは高く、融点直上または融点よりは低い温度まで
記録層を加熱して行う。所謂1ビームオーバーライト可
能な相変化媒体においては、上記の消去と再記録過程を
1つの集束光ビームの強度変調のみによって行うことが
可能である。1ビームオーバーライト可能な相変化媒体
では、記録媒体の層構成およびドライブの回路構成が簡
単になる。このため、安価で高密度な大容量記録システ
ムとして注目されている。
【0005】相変化型媒体は、上記の様に、短波長化に
より集束光ビームの径を小さくして記録されるマークの
サイズを縮小することにより、高密度化が容易ある。現
状では、780nmで出力50mW程度のレーザーダイ
オードが低価格で広く用いられ、例えば書き換え型のコ
ンパクトディスクとして相変化記録技術に応用されてい
る。また、最近では、630〜660nmのレーザーダ
イオードが入手可能であり、書き換え型のDVDもこの
様な出力30mW程度の高出力赤色レーザーダイオード
の開発に合わせて実用化に近づいている。高密度化の要
求は留まることなく、極めて初期の開発段階であるが、
既に青色(約400nm)レーザーダイオードを用いて
DVDの2〜3倍の記録密度を達成する試みも盛んに行
われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、相変化
媒体の高密度化を単純に光源の短波長化に期待するなら
ば自ずと限界が有る。短波長の高出力なレーザーダイオ
ードの寿命については未だ解決すべき問題が多く、実験
的にはともかく実用化にはまだ時間がかかる。更に、ス
ポットが微小になるにつれ、焦点面の傾きの影響が大き
くなったり焦点深度が浅くなってフォーカスオフセット
のマージンがなくなる等の問題も生じる。一方、非晶質
マーク自体が0.01μm以下といった微小な大きさに
なったとき安定に存在し得るかという問題も未解決のま
まである。
【0007】記録再生ビームの微小化のみに依存した光
記録媒体の高密度化では、あくまで光学的分解能による
限界が存在し、特に相変化媒体においてはいわゆる磁気
超解像の様な現象は期待できない。屈折率の温度変化を
利用した様な超解像現象も一部では提案されているが、
繰り返し再生において記録マークが劣化するなど本質的
な問題点を抱えている。
【0008】光学的分解能の限界を打破し、光学的限界
を超えて高密度化を可能にする1つの方法として、多値
記録が注目されている。これは、例えば、再生専用のコ
ンパクトディスクにおいて、マーク長を変調するかわり
に、基板上のピットの深さを多段階に制御して変調度の
多値化を図る技術である(“15GB and NoB
lue Laser”、Data Storage誌、
1997年4月号、カバーストーリー及びpp27−3
2)。
【0009】上記の様な変調度の多レベル化による多値
記録は、原則的には連続的な反射光強度(変調度)変化
を有限個の離散的レベルに制御することによって実現さ
れる。反射光強度変化を用いて情報の記録再生を行う相
変化媒体を多値記録に適用しようというのは自然な流れ
である。
【0010】しかしながら、相変化記録を応用し、この
様な多値レベルを実際に記録、好ましくは繰り返しオー
バーライト出来る様な記録媒体は現在のところ存在しな
い。相変化媒体において複数の変調度を再現性よく記録
できる媒体と記録方法の何れもが未完成だからである。
通常は結晶と非晶質の2状態ないしは高々3状態を記録
レベルとして用いる(特開昭61−3324号公報、特
開昭62−259229号公報、特開平10−1249
25号公報)。
【0011】また、相異なる結晶状態や結晶と非晶質の
混合比を変えて平均的な光学特性を多段階に制御しよう
とする試みもある。
【0012】しかしながら、相異なる結晶状態間の光学
特性差は小さすぎて識別が難しい上、結晶と非晶質の混
合状態を多段階で再現性良く制御するのも困難であり、
4値以上の多値レベルを再現性良く得ることは難しい。
また、その様な混合状態は不安定で、非晶質部分が結晶
に転化し易いため、記録された情報の経時安定性に乏し
いという問題がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題点は、記録ビー
ムによる記録層の溶融後の凝固時の再結晶化を起こさし
め、それを利用して非晶質マークの大きさを多段階に制
御すれば解決する。要旨として、本発明は以下の発明を
包含する。
【0014】(1)エネルギービームの照射によって結
晶状態と非晶質状態との間で相変化を生じる記録層を有
する情報記録用媒体に対して、記録用エネルギービーム
を照射し、局所的に前記記録層を溶融せしめ、凝固時の
冷却により非晶質マークを形成することにより、情報の
記録を行う記録再生方法において、主として前記凝固時
における再結晶化過程と非晶質化過程との競合により非
晶質マークの大きさを制御し、再生用光ビームの照射領
域からの反射光強度が、その領域内にある結晶領域と非
晶質領域との光学特性の差及びそれらの面積に応じて3
以上の多段階の記録レベルに制御されていることを特徴
とする多値記録再生方法。
【0015】(2)非晶質マークが形成されている領域
に記録用エネルギービームを照射して記録層を溶融する
ことによって該非晶質マークを消去し、凝固時に新たに
非晶質領域と再結晶化領域を形成することにより、非晶
質マークの重ね書きを行う(1)に記載の方法。
【0016】(3)記録用エネルギービーム及び再生用
光ヒームとして、記録層面におけるスポット径が2μm
以下である光ビームを用いる(1)又は(2)に記載の
方法。
【0017】(4)記録及び再生用光ビームが楕円形状
でありかつその記録層面におけるスポット形状が、その
長軸をビーム走査方向に対して略垂直な方向とする楕円
ビームである(3)に記載の方法。
【0018】(5)記録媒体に対して記録用エネルギー
ビームを相対的に走査せしめて走査方向に沿って溶融領
域を形成して非晶質マークを形成するに際し、走査方向
に対する非晶質マークの幅を変化させることによってそ
の大きさを制御するとともに、上記非晶質マークの幅
が、多段階の記録レベルの何れにおいても再生用エネル
ギービームの走査方向に対する幅より小さくなされてい
る(1)〜(4)の何れかに記載の方法。
【0019】(6)記録媒体に対して記録用集束光ビー
ムを相対的に走査せしめて走査方向に沿って溶融領域を
形成して非晶質マークを形成するに際し、走査方向に対
する非晶質マークの長さを変化させることによってその
大きさを制御するとともに、上記の非晶質マークの長さ
が、多段階の記録レベルの何れにおいても再生用エネル
ギービームの走査方向に対する長さより小さくなされて
いる(1)〜(5)の何れかに記載の方法。
【0020】(7)1つの記録レベル区間から他の記録
レベル区間に遷移する際に、結晶状態に相当する記録レ
ベル区間を必ず経る請求項(1)〜(6)の何れかに記
載の方法。
【0021】(8)各非晶質マークは結晶領域に囲まれ
て孤立しており、各孤立した非晶質マークに対応した反
射光強度のピーク間隔を基準長さTで一定とする(7)
に記載の方法。
【0022】(9)孤立した尖頭波形のピーク間隔が基
準長さTの整数倍であり、ピーク間隔LT(Lはn種類
の整数)とm段階の記録レベルの2種類の可変値により
多値記録を行う(8)に記載の方法。
【0023】(10)記録レベル区間が、n種類の長さ
を有する台形状の波形を有し該台形状の区間の長さ及び
該台形状の区間の間の長さの少なくとも一方が変調され
ている(7)に記載の方法。
【0024】(11)1つの記録レベル区間から他のレ
ベル区間へ遷移するときに基準となる記録レベルを経由
することなく連続的に遷移する請求項(1)〜(6)の
何れかに記載の方法。
【0025】(12)1つの記録レベル区間の記録用エ
ネルギービーム照射時間の一部又は全部を、1つ以上の
記録パルス区間と1つ以上の遮断区間とに分離すると共
に、該記録レベル区間内における記録用エネルギービー
ムのパワーを、記録パルス区間においては、記録層を溶
融するに足るパワーPwとし、遮断区間においては、P
wよりも小さい0を含むPbとし、且つ、該照射時間内
の記録用エネルギービームの照射パターンを変化させる
ことによって非晶質マークの大きさを制御する(1)〜
(11)の何れかに記載の方法。
【0026】(13)遮断区間において照射する記録用
エネルギービームのパワーPbは、0≦Pb≦0.2P
wを満足する(12)に記載の方法。
【0027】(14)Pb及びPwの大きさを変化させ
ることにより、照射時間内の記録用エネルギービームの
照射パターンを変化させる(12)又は(13)に記載
の方法。
【0028】(15)記録パルス区間及び/又は遮断区
間の長さを変化させることにより、照射時間内の記録用
エネルギービームの照射パターンを変化させる請求項
(12)〜(14)の何れかに記載の方法。
【0029】(16)再生用光ビームの径rbを記録区
間Tの空間的長さTs以上とする(1)〜(15)の何
れかに記載の方法。
【0030】(17)1つの記録レベル区間を形成する
ための記録用エネルギービーム照射時間の一部又は全部
を、1つの記録パルス区間とその前及び/及び後に付随
する遮断区間との分離すると共に、該記録レベル区間内
における記録用エネルギービームのパワーを、記録パル
ス区間においては、記録層を溶融するに足るパワーPw
とし、遮断区間においては、Pwよりも小さい0を含む
Pbとし、且つ、Pw、Pb、記録パルス区間の長さ、
及び/又は遮断区間の長さを変化させることによって非
晶質マークの大きさを制御する(16)に記載の方法。
【0031】(18)記録レベル区間の長さが基準長さ
Tであり、非晶質マークの大きさの制御を、記録パルス
区間の記録レベル区間に対応するデューティー比を変化
させることによって行う(17)に記載の方法。
【0032】(19)記録レベルの数が4以上である請
求項(1)〜(18)の何れかに記載の方法。
【0033】(20)最も強い反射光強度Rcと最も弱
い反射光強度Raとを包含する反射光強度範囲をm個
(m>1)の区間に分割し、最大の反射光強度を有する
区間は最も強い反射光強度Rcを包含し、最小の反射光
強度を有する区間は最も弱い反射光強度Raを包含する
様にm個の区間を設定し、得られた反射光強度が上記m
個の区間のどれに属するかを以て、どの記録レベルに相
当するかを判断する(1)〜(19)の何れかに記載の
方法。
【0034】(21)m個の区間が、互いに等しい反射
光強度範囲の幅を有する(29)に記載の方法。
【0035】(22)m個の区間の反射光強度の幅がR
cに近いほど広くなっている(20)に記載の方法。
【0036】(23)エネルギービームの照射によって
結晶状態と非晶質状態との間で相変化を生じる記録層を
有する情報記録用媒体であって、該記録層における溶融
状態からの再結晶化が、結晶領域からの結晶成長によっ
て実質的に進行することを特徴とする多値記録用媒体。
【0037】(24)記録層が、Sbを含む合金組成を
有する(23)に記載の媒体。
【0038】(25)共晶点よりもSbを過剰に含むS
bTe合金組成を有する(24)に記載の媒体。
【0039】(26)記録層が次の組成を含む(24)
に記載の媒体。
【化3】Mx(SbyTe1-y1-x (ただし、0<x≦0.2、0.6≦y、M=In、G
a、Zn、Ge、Sn、Si、Cu、Au、Ag、P
d、Pt、Pb、Bi、Cr、Co、O、S、N、S
e、Ta、Nb、V、Zr、Hf及び希土類金属から成
る群から選ばれる少なくとも1種である。)
【0040】(27)記録層が次の組成を含む請求項
(26)に記載の媒体。
【0041】
【化4】M’αGeβ(SbγTe1-γ1-α―β (ただし、M’はInおよび/またはGa、0.001
≦α≦0.1、0.001≦β≦0.15、0.65≦
γ≦0.85)
【0042】(28)記録層の上下に保護層を設け、一
方の保護層の記録層に対する反対側の面に反射層を設け
てなる(23)〜(27)の何れかに記載の媒体。
【0043】(29)記録層の膜厚が1nm以上30n
m以下、記録層と反射層の間に設けた誘電体保護層の膜
厚が60nm以下であり、反射層がAl、Ag又はAu
を主成分とする合金である(28)に記載の媒体。
【0044】(30)反射層の面積抵抗率が0.1〜
0.6Ω/□である(28)又は(29)に記載の媒
体。
【0045】(31)デューティー比の変化に対して、
反射光強度が略直線的な変化を示す(18)に記載の方
法に用いる(23)〜(30)の何れかに記載の媒体。
【0046】(32)デューティー比が95%以上の場
合には、非晶質マークが生成しない(18)に記載の方
法に用いる(23)〜(31)の何れかに記載の媒体。
【0047】(33)最も小さい反射光強度Raが得ら
れるデューティー比をDa(%)、最も小さい反射光強
度Rcが得られるデューティー比をDc(%)とすると
き、Dc−Da≧50%である(31)又は(32)に
記載の媒体。
【0048】
【発明の実施の形態】先ず、本発明に係る多値記録・再
生方法について説明する。本発明の記録及び再生は、通
常、円板状の情報記録用媒体を回転させながらエネルギ
ービームを照射する等の方法により、媒体に対してエネ
ルギービームを相対的に走査しながら行われる。
【0049】本発明における多値記録は、エネルギービ
ームの照射によって結晶状態と非晶質状態との間で相変
化を生じさせる記録層を有する情報記録用媒体に対し
て、記録用エネルギービームを照射し、局所的に前記記
録層を溶融せしめ、凝固時の冷却によって非晶質マーク
を形成させることによって行う。この際、未記録状態あ
るいは消去状態は結晶状態に相当する。
【0050】本発明は、上記冷却によって非晶質マーク
を形成する際に伴う、結晶化領域からの結晶成長による
の再結晶化現象を積極的に利用し、最終的に凝固が完了
したときの非晶質マークの面積を制御するという基本原
理を応用している。この点、本発明における多値記録再
生方法は、前述した各公知文献に記載された従来の多値
記録方式とは全く異なるものである。
【0051】本発明における非晶質マーク形成過程を詳
細に述べる。ここで、結晶状態を未記録状態とする。先
ず、記録用エネルギービームを照射して局所的に記録層
を溶融させる。その後、エネルギービームの強度を十分
低くする等の方法により、発熱源を実質的に除去すれ
ば、記録層内の周辺部への熱伝導や、記録層に接する保
護層や反射層等の他の層への熱伝導及び、基板への熱伝
導等により溶融領域は冷却される。通常、媒体に対して
記録用エネルギービームを相対的に移動させながら記録
を行うので、ある溶融領域の冷却は、該溶融領域からエ
ネルギービームが離れていく過程の中で進行する。
【0052】非晶質の形成の一般的条件として、溶融領
域の温度の単位時間当たりの冷却速度がある一定の値
(臨界冷却速度)を超えた場合に、液体状態の乱雑な原
子配列を保ったまま再凝固するということがある。この
臨界冷却速度は、本発明で用いる様な相変化型記録媒体
では1〜100ケルビン/ナノ秒であると見積もられて
いる。溶融領域全体の冷却速度が臨界冷却速度より低け
れば、急冷によって全体が再結晶化する。
【0053】本発明においては、溶融領域の凝固時に再
結晶化を起こさせ、これを積極的に用いる。すなわち、
本発明は、記録層の溶融凝固時における再結晶化能力を
積極的に利用するものであって、一旦固化して形成され
た非晶質マークの一部を別途に再結晶化してマークのサ
イズを制御する必要はない。また、溶融領域の面積のみ
を制御して非晶質マークの面積を制御するものでもな
い。ただし、本発明においては、一旦形成された非晶質
マークを別のエネルギビームによって一部結晶かする操
作や、溶融領域の面積の制御する操作を伴っていてもよ
い。
【0054】本発明においては結晶状態を未記録状態と
して想定しているから、通常、溶融領域の周辺部は結晶
状態となっており、通常、再凝固時の再結晶化はこれら
周辺の結晶領域から進む。本発明においては、周辺の結
晶領域からの結晶成長速度と溶融領域の冷却速度との競
合のバランスで周辺部の再結晶化領域の大きさが決ま
り、残部が非晶質マークとなる。本発明では、この様に
溶融領域の再凝固の際に再結晶化する現象を「自己再結
晶化」と呼ぶことにする。
【0055】図1は、孤立した非晶質マークを形成させ
る場合の再結晶化の様子と得られる反射光強度を示す模
式図、図2は、再結晶化領域の幅のみが変化した連続し
た非晶質マークを形成させる場合の再結晶化の様子と売
られる反射光強度を示す模式図である。
【0056】図1及び2において、未記録の結晶状態の
領域1(初期結晶化領域)と自己再結晶化によって形成
された結晶状態の領域2(再結晶化領域)とは便宜上異
なる図柄とした。厳密には、上記2つの結晶状態は、結
晶粒径や方位などの点で必ずしも同一ではないことが多
いが、本発明では、この2つの結晶状態が光学的に識別
不可能であることが好ましい。結晶状態の差により反射
光強度が微妙に異なると、再生信号のノイズとなるから
である。従って、上記2つの結晶状態の反射光強度は、
好ましくは±30%、より好ましく±10%の範囲で一
致させる。
【0057】前記の様に、エネルギービームの照射によ
る溶融領域における結晶成長速度と冷却速度とのバラン
スで再結晶化領域2と非晶質マーク3の大きさが決ま
る。従って、本発明においては、このバランスを制御す
ることにより、図1(a)の(I)〜(IV)の様に、幅
及び長さの異なる非晶質マークを形成させたり、図2
(a)の様に、ビーム走査方向に対する幅が変化する連
続的な非晶質マークを形成させる。
【0058】図1(a)及び図2(a)に示した様に、
媒体に対して相対的に記録用エネルギービームを走査さ
せる場合、非晶質マークの大きさの制御方法としては、
走査方向に対する非晶質マークの幅を変化させる方法
(図1(a)及び図2(a))や、走査方向に対する非
晶質マークの長さを変化させる方法(図1(a))を挙
げることが出来る。
【0059】前者の場合、非晶質マークの幅は、多段階
の記録レベルの何れにおいても、再生用光ビームの記録
層面における走査方向に対する幅よりも小さくするのが
好ましい。また、後者の場合、非晶質マークの長さは、
多段階の記録レベルの何れにおいても、再生用光ビーム
の記録層面における走査方向に対する長さよりも小さく
するのが好ましい。これらの結果、正確な多値再生が可
能となる。ただし、前者の場合、非晶質マークが小さ過
ぎるとクロストークが大きくなるので、通常、再生用光
ビームの記録層面における走査方向の幅の1/2以上と
する。
【0060】何れの場合においても、本発明において
は、再生用光ビームの照射領域(図1及び2において再
生用光ビームの外縁4よりも内側の領域)からの反射光
強度は、その領域内にある、非晶質マーク3からなる非
晶質領域と初期結晶化領域及び再結晶化領域からなる結
晶領域との光学特性の差及び面積に応じて様々にな値と
なる。
【0061】再生用光ビームの記録層面での照射領域
(スポット)内における非晶質マークの数は、有限個で
あればよく、1つ又は複数であってもよい。スポット内
に複数の非晶質マークが存在する場合、これを全体とし
て1つの記録レベル区間と見做し、1つの照射領域から
の1つの反射光強度レベルを生成させてもよい。また、
それぞれの非晶質マークを1つの記録レベル区間に対応
させて、それぞれから反射光強度レベルを生成させても
よい。後者の場合は、1つの記録レベル区間の空間的長
さがスポットの大きさよりも小さいことに相当し、高密
度化を実現する上で好ましい。
【0062】非晶質マークの大きさは、通常0.01m
m以上とする。小さ過ぎるとマークの安定性が損なわれ
ることがある。一方、非晶質マークの大きさは、通常1
0μm以下とする。マークが大き過ぎると高密度化が達
成し難くなる。
【0063】記録レベル区間における溶融領域あるいは
非晶質マークが再生光ビームにて光学的に分離識別でき
るほどに不連続になることは、十分な再生を損なうこと
がある。しかし、光学的分解能の限界以下で不連続であ
ることを平均反射光強度を調整するために積極的に用い
ることも出来る。また、記録レベル区間における非晶質
マークの大きさは必ずしも一定である必要はなく、光学
的分解能以下であれば変動していてもよい。あくまで光
学的に識別できる範囲内で均一な反射光強度を形成して
いればよい。再生光ビームの光学的分解能より十分小さ
い程度に不連続または不均一であっても、再生光強度は
再生光ビーム内で平均化されるからである。その様な不
連続または不均一な長さの目安は、勿論、再生光ビーム
の径rbより小さいことである。より具体的には、再生
光ビームの波長をλ、集束用対物レンズの開口数をNA
とした際、概ね0.5λ/NA、特に0.1λ/NAよ
り小さくすることである。
【0064】通常、記録には集束されたエネルギービー
ムが用いられ、具体的には光ビームや電子ビームなどが
用いられるが、好ましくは光ビームである。ビームの大
きさは、記録層面上において、通常2μm以下、好まし
くは1μm以下である。ビーム径が大き過ぎると高密度
化が困難になる。再生は光照射による反射光強度差の検
出による方法が最も容易であり好ましい。再生用のビー
ムスポットの大きさは、非晶質マークサイズ、特にマー
ク幅に対して同程度か若干大き目であるのが好ましい。
光学的分解能の影響により、反射光は非晶質マークその
ものとその周辺の結晶領域の両方の反射光の影響を受け
るため、再生光ビームスポット内の非晶質マークの割合
が高いほどに反射光強度は全面が非晶質状態の時の反射
光強度に近づく。
【0065】すなわち、図3に示す、媒体と再生のため
の光学系との位置関係を示す模式的断面図において、光
検出器30にて検出される再生用光ビームの反射光強度
は、集束されたビームスポット内の結晶領域(領域1と
領域2との和)と非晶質領域(非晶質マーク3)との面
積比で決定される。基本的にはビームスポット内の各点
の反射光が対物レンズに集光された積分値となるが、こ
れに加えて、結晶状態と非晶質状態の反射光の位相差が
両状態の反射光の間に干渉をもたらし、この干渉効果も
考慮して最終的に対物レンズ20に戻ってくる反射光の
総和が決まり、それによって再生信号40が得られる。
何れにせよ、再生ビームスポット内の結晶領域と非晶質
領域の面積比を、所望の反射光強度となる様に正確に制
御することが本発明の多値記録においては重要なことで
ある。ここで、再生用光ビームがレーザー光の様なガウ
シアンビームの場合、その径r0はビーム中心の強度か
ら1/e2に強度が低下する位置を以て定義される。
【0066】記録用のエネルギービームと再生用のエネ
ルギービームとは、共に、光ビーム、特に、記録層面に
おけるスポット径が2μm以下である光ビームを用いる
ことが装置を簡便化する上で好ましい。また、それによ
り、従来の結晶/非晶質2値レベル間の変調を利用した
相変化光記録技術を応用できる。
【0067】光ビームの光源としては、通常、レーザー
光、特に、半導体レーザー光が用いられる。この際、N
A(開口数)0.4以上の対物レンズで集光されたガウ
シアンビームを用いるのが好ましい。光ビームの波長
は、通常、記録時と再生時とで同じとする。半導体レー
ザーとしては、通常、波長600〜800nm程度が用
いられる。勿論、高密度化には短波長で高NAであること
が有利であり、波長400nm程度の青色レーザーや、
NAが1.0以上の近接場光学系を用いることも可能で
ある。レーザー光を用いた場合は、ノイズを制御するた
めに高周波重畳をかけてもよい。
【0068】通常、ガウシアン集束光ビームのスポット
形状は楕円形状である。楕円形状のビームを記録及び/
又は再生に用いた場合は、その長軸をビーム走査方向に
対して略垂直とするのが好ましい。その結果、マーク長
を小さくして高密度化を達成し、かつ、非晶質マークの
幅の制御範囲を広く取ることが出来る。この様な楕円形
状の光ビームは、ビーム走査方向の光学的分解能を高め
る点で、個々の記録レベル間の分離が容易になり、一記
録レベル区間の長さを短縮できる。以下では、特に断ら
ない限り、記録再生を共に同一の集束光ビームを用いる
場合を想定して説明する。
【0069】記録層に保護層などを合わせて記録媒体を
多層構造とした場合、非晶質と結晶質との多層構造を通
した見かけ上の反射光強度は、ある程度任意に変化させ
ることが出来る。通常、非晶質状態の反射光強度が結晶
状態のそれよりも低い。そこで、反射光強度は、例え
ば、図1及び2の(a)図に示した非晶質マークの長さ
もしくは幅の大小に伴い、図1及び図2の(b)に示し
た様に変化する。従って、これらの反射光強度を3以上
の有限個の反射光強度レベルに制御することにより、3
以上の記録レベルを有する多値記録再生が可能となる。
記録レベルの個数は、好ましくは4以上であるが、余り
にも大きいのも現実的でないので通常100以下、好ま
しくは50以下である。
【0070】なお、結晶状態の反射光強度を基準として
信号振幅(反射光強度の変化の幅)を規格化したものが
変調度である。ここで、最も強い反射光強度をRcと
し、最も低いのをRaとすると、Rcとしては、消去状
態として、再生時のビームスポット内が全て結晶状態で
ある(以下、このレベルを結晶レベルということがあ
る)値Rc0をそのまま利用することが好ましい。反射光
の基準として最も安定した強度が得られるからである。
この場合、上記変調度を0.5以上とするのが各反射強
度レベルよりも明確に区別できるので好ましい。
【0071】本発明において、実際の再生信号波形は、
必ずしも、図1(b)及び図2(b)の様に完全な方形
波となっておらず、例えば、図11として示す、実際の
信号波形と概念としての方形波形とを対比して示す概念
図において、実際の信号波形111として示す様に、通
常、再生光ビームの光学的分解能の限界のためになまっ
た波形となる。以下では、波形のなまりを考慮しない、
原理的な方形波形を以て多値レベルの検出原理について
述べる。
【0072】本発明においては、記録レベル区間の設け
方に応じ、以下の様な2種の記録方式が考えられる。
【0073】先ず、第1の方法は、1つの反射光強度レ
ベルに対応する記録レベル区間同士の間に必ず基準とな
る記録レベル区間を存在させ、各非晶質マークに対応し
た反射光強度が多値のレベルを有する方法である。
【0074】基準となる記録レベル区間においては、通
常、結晶レベルの反射光強度レベルが用いられる。図4
及び図5は、上記第1の方法による、記録レベル区間毎
の反射光強度レベルの配列の一例を示す模式図である。
何れにおいても、反射光強度レベルは、反射光強度の大
きな順に、レベル0、レベル1、・・・レベル7迄の8
つに分かれている。また、レベル0は結晶レベルとなっ
ている。
【0075】T1〜T8で示される記録レベル区間は、そ
れぞれ隣の記録レベル区間との間に、必ず基準となる記
録レベル区間として結晶レベルが存在している。すなわ
ち、1つの記録レベル区間から次の記録レベル区間に遷
移する際に、必ず結晶状態に相当する記録レベル区間を
経ている。この場合、各非晶質マークは結晶状態領域に
囲まれて孤立している。図4の場合、各記録レベル区間
の長さを、長さTで一定としている。この場合、検出が
容易であるとの利点がある。
【0076】図4に示す様な方法を用いた場合、光学分
解能の制限からくる波形のなまりの影響が軽減される。
また、一旦基準となるレベルに戻ることで、前後の非晶
質マーク形成の際の熱伝導により正確な再結晶化過程が
乱されるという問題が軽減されてシステムのマージンが
増す。しかし、記録密度は向上させ難い。そこで、記録
密度を向上させるため、孤立した尖頭波形のピーク間隔
を基準長さTの整数倍の範囲で変化させ、ピーク間隔の
長さLT(Lはn種類の整数)とm段階の記録レベルの
2種類の可変値により、多値記録を行うことが出来る。
【0077】上記の方法は、更に、孤立した尖塔波形を
長さLTを有する台形状の波形に代え、マーク及び/又
はマーク間の長さを変調することにより、図5に示す様
に、一般的なマーク長記録における非晶質マーク部の変
調度を多値化した方法に拡張される。すなわち、この方
法においては、記録レベル区間の間に必ず基準となる記
録レベルを存在させると共に、記録レベル区間をn種類
の長さを有する台形状の波形とし、該台形状の区間の長
さ及び該台形状の区間の間の基準となる記録レベルの長
さの少なくとも一方を変調する。図5中、T1〜T3で
示される記録レベル区間は、それぞれ基準となる区間T
の整数倍(順に、3倍、5倍、3倍)となっており、こ
れら方形状の記録区間の長さと、記録区間の間に存在す
る結晶レベルの長さとが変調されている。
【0078】上記第1の方法は、1つの記録レベルから
他のレベルに遷移する際に基準となる記録レベルを必ず
経由するものであり、その結果、正確なマークを形成す
ることが出来る。
【0079】記録密度を更に向上させる観点から、図6
に示す様に、1つの反射光強度レベルに対応する1つの
記録レベル区間から他の記録レベル区間へ遷移する際に
基準となる記録レベル区間を経由することなく連続的に
遷移させる第2の方法が好ましい。
【0080】図6は、上記第2の方法による、記録レベ
ル区間毎の反射光強度レベルの配列の一例を示す模式図
である。反射光強度レベルは、反射光強度の大きな順
に、レベル0、レベル1、・・・レベル7迄の8つに分
かれている。また、レベル0は結晶レベルとなってい
る。T1〜T23で示される記録レベル区間は、それぞれ
隣の記録レベル区間との間に、基準となる記録レベルを
経由することなく連続的に次の記録レベル区間に遷移し
ている。
【0081】図4及び図5においては、基準となる記録
レベル区間として結晶レベルを用いており、一方、図6
においても結晶レベルの記録レベル区間も存在している
ことがある。しかし、図6においては、結晶レベルも1
つの他の記録レベルと同様に扱っており、遷移の際に必
ずしも結晶レベルを経由していない点で、図4及び図5
に示す方法とは異なっている。
【0082】上記第2の方法によれば、より高密度の記
録が行えるという利点がある。ただし、非晶質マークの
大きさを前記第1の方法に比べ、より正確に制御する必
要がある。
【0083】反射光強度レベルの判定方法としては、所
定の範囲の反射光強度をm個(m>1)の区間に分割
し、得られた反射光強度がm個に上記m個の区間のどこ
に属するかを以て行うのが通常である。この際、上記所
定の範囲において最大の反射光強度を有する区間は、媒
体における最も強い反射光強度Rcを包含し、上記所定
の範囲において最小の反射光強度を有する区間は、媒体
における最も弱い反射光強度Raを包含する様にm個の
区間を設定するのがダイナミックレンジを大きくするこ
とが出来るので好ましい。
【0084】各区間の反射光強度の幅Δi(iは1〜m
の整数)は、何れのiにおいても、同じ大きさとするの
が再生装置をより簡便に出来る点で好ましい。例えば、
判定方法の好ましい態様として、図4〜6に示す様に、
反射光強度の幅ΔをΔ=(Rc−Ra)/(m−1)で
均等とし、(Rc−kΔ)±1/2Δ(ただし、kは0
〜m−1迄の整数)なる項を境界とするm個の区間を設
定し、得られた反射光強度がこの何れかに属することを
以て判定する。一方、再結晶化させる領域の多い区間、
すなわち、通常は反射光強度の大きい区間ほど、再結晶
化過程の制御が困難なことが多いため、ΔiをRcに近
い領域ほど広くとっておくことも、再結晶化のゆらぎに
よる反射光強度の変動に対して冗長度がより大きくとれ
る点で有効である。
【0085】再生時においては、記録レベル区間と時間
的に同期をとって反射光強度Rがどの反射光強度レベル
に属するかを判定するのが好ましい。そのためには、一
定数の記録レベル区間毎にタイミング検出用のマークを
記録することが好ましい。このマークの反射光強度は、
RaからRcの何れの値でもよい。また、隣接する非晶
質マークとの波形なまりの影響を受けない様にするた
め、そのマーク長は長めに設定するのが好ましい。
【0086】上記の様な多値記録を実現するための、精
密な非晶質マークサイズの制御を可能にする記録用エネ
ルギービームの照射パターンについて以下に述べる。
【0087】非晶質マークのサイズは、記録に用いるエ
ネルギービームのサイズが一定で強度が変調されている
とすれば、主に以下の2つの要因に支配される。
【0088】(1)非晶質となるべき溶融領域の面積:
基本的には記録用エネルギービームの強度が強いと記録
層の温度が高くなり、溶融領域の面積は大きくなる。
【0089】(2)溶融領域の冷却速度:溶融領域が再
凝固するときの再結晶化領域の面積は、再凝固時の冷却
速度で決まり、冷却速度が高いほど再結晶化領域は狭く
なる。
【0090】本発明においては、1つの非晶質マークを
形成するために、単一のパワーの記録用エネルギービー
ムを照射するのではなく、大小異なるパワーの少なくと
も2つのビームを用い、それらの大きさと照射時間を制
御することにより、記録層に形成される溶融領域の冷却
速度、すなわち、再結晶化領域の大きさを制御するのが
好ましい。具体的には、1つの記録レベル区間の記録用
エネルギービームの照射時間の一部又は全部を、記録層
を溶融するに足るパワーPwのビームを照射する記録パ
ルスと、それに付随する、弱いパワーを照射する1つ以
上の遮断区間とに分離するのが好ましい。
【0091】この場合、記録パルス区間でのパワーPw
とその時間幅Twは溶融領域の大きさを制御し、遮断区
間でのパワーPbとその時間幅Tbは冷却速度を制御す
ると考えられる。これらPw、Pb、Tw、Tb、記録
パルス間の数、遮断区間の数などを要素とする照射パタ
ーンを変化させることにより、非晶質マークの大きさを
制御する。図7は、1つの記録レベル区間Tにおけるエ
ネルギービームの照射パターンを示す図である。図7に
おいては、(a)、(b)、(c)何れの場合も、一記
録レベル区間Tにおいて複数の記録パルス及び遮断区間
を有しており、それによって一層精密な非晶質マーク幅
の制御を可能としている。
【0092】図7(a)はPw、Pb、Peの3つのパ
ワーを用いて非晶質マークを形成させる例である。ここ
で、Pwは記録層を溶融させるに足るパワーであり、P
bは記録層を融点以上には昇温させないパワー(Pw>
Pb)である。Pbは特に冷却速度に関係し、Pbが低
いほど冷却速度を高めることが出来る。冷却効果を有効
に作用させるための条件は、通常Pb≦0.5Pe、好
ましくはPb≦0.2Peである。Pbは、通常2mW
以下とするが、フォーカスやトラッキングサーボに支障
がない限りゼロとすることも出来る。より好ましくは再
生に用いる光ビームのパワーPrと同じとする。
【0093】Peは非晶質マークを完全に再結晶化する
に必要なパワーであり、通常、0.3≦Pe/Pw≦
1.0である。Peが高すぎると記録層の溶融部分が広
すぎて完全に再結晶化せず、結局、非晶質マークが形成
される。Peは、実際上、記録層を固相での結晶化温度
以上、融点近傍に昇温させるパワーである。ここで、P
eは、結晶状態の反射光強度レベルを達成するために用
いられるのであり、一旦形成された先行する非晶質マー
クの一部を再結晶化するために用いられるものではな
い。再結晶化そのものは、あくまでPb等によって制御
された自己再結晶化によって達成される。
【0094】図7の例は、記録用エネルギービームの照
射パターンにおいて、Pbのみを変化させることによ
り、非晶質マークの大きさを制御する例である。図中、
左から右の記録レベル区間に移動するに従い、Pwは、
Pw’、Pw’’の様に大きくなっている。この場合、
Pwが大きくなるに従って溶融領域の冷却速度が下が
り、その結果、図中、右の記録レベル区間に移動するに
従って非晶質マークを小さくすることが出来る。
【0095】先頭パルスのみその値を大きくすることに
より、先頭と後続のパルスでPwを異なる様にしてもよ
い(図7(b))。また、マーク後端でのみその値を小
さくすることにより、中間の遮断区間とマーク後端の遮
断区間とでPbを異なった値にしてもよい(図7
(c))。これにの方法は、後端でのマーク形状を整え
る上で効果的である。特に、一記録レベルの前後のマー
クの熱干渉の影響を補正する際に、マーク前端の最初の
パルスのPwやマーク後端の最後の遮断区間のPbをそ
れぞれ前後の記録レベルに応じて調整することは、マー
ク長すなわち一記録レベル区間Tの長さを短縮して高密
度化する際に有効である。
【0096】結晶レベルを生成させるためには、単に、
消去パワーPeのパワーのビームを照射すればよい。勿
論、区間T全体をPeのみで照射するだけでなく、マー
ク前後端にパワーの異なる区間を設けた方が正確な制御
が可能になる場合もある。非晶質マークの大きさを変化
させるためには、Pb及びPwの値を変化させてもよ
く、また、Tbの値を変化させてもよい。一般に時間を
変化させる方が容易なので後者が好ましい。
【0097】図7に示す例は、PbとPwとの2つのパ
ワーに加えて消去パワーPeを用いているが、本発明に
おいては、Peを用いず、「自己再結晶化」をより積極
的に利用し、記録層を溶融するパワーPwと記録層の温
度上昇を固相における結晶化温度以下にとどめるバイア
スパワーPbとの間の変調のみで多値記録を実現するこ
とも可能であり、好ましい。その結果、記録パワー制御
回路をより簡便にすることが出来る。これは、図7
(a)、(b)、(c)において、Pe=Pwと設定す
ればよいことに相当する。この場合も、Pw及びTwに
よって溶融領域の面積を制御し、Pb及びTbによって
該溶融領域の凝固時の冷却速度を制御していると考えら
れる。例えば、1つの記録区間にPwのパワーのみを一
様に照射すると、自己再結晶化によって溶融領域は全て
結晶化し、結晶レベルになる。
【0098】上記の場合、Pbは実質的に記録層になん
ら物理的変化を生じさせない程度に低いことが好まし
く、通常、0≦Pb≦0.2Pwとする。より好ましく
は、再生に用いるパワーPrと略同じパワーとする。具
体的には、0≦Pb≦2mWとするのが好ましい。
【0099】なお、オーバーライトを行う場合は、Pw
のオン/オフに拘わらず、一旦は全ての領域を溶融させ
る必要があり、オフパルスPbの区間が必要以上に長く
とることは余り好ましくない。遮断区間の長さTbは、
概ね記録用のエネルギービームの径と同程度以下である
ことが好ましい。
【0100】図8は、本発明におけるエネルギービーム
ノ照射パターンの他の一例を示す説明図である。図8に
おいては、記録レベル区間Tにおける記録パルス区間を
n個に分割し(それぞれの区間の時間幅をTw1、Tw
2、……・・、Twnとする)、各々に付随して遮断区
間(それぞれの区間の時間幅をTb1、Tb2、……・
・、Tbnとする)を設けている。図8(a)では、記
録パルス区間と遮断区間の繰り返し周期は一定としてあ
る。また、図8(b)は、図8(a)から記録パルス区
間と遮断区間との比を変更した例である。図8(c)
は、更に、繰り返し周期も変化させた例である。図8に
おいても、前記と同様に、PeをPwに置き換えて照射
してもよい。
【0101】本発明においては、記録パルス区間幅Tw
及び遮断区間幅Tbをそれぞれ各パルス及び遮断区間ご
とに変更することも可能であるが、図8(d)に示す様
に、特にマーク長の前後端でのみ異なる値とすることが
有効である。すなわち、Tw1>Tw2=Tw3=Tw
4=・・・=Twnとして最前端の記録パルス区間のみ
を長めにしたり、Tbn>Tb1=Tb2=Tb3=・
・・=Tbn−1として最後端の遮断区間のみ長めにす
ることが、マークの始端と後端とをより正確に制御でき
る点で有効である。
【0102】また、前後のマークからの熱干渉の影響を
補正するために、前後端の記録パルス区間幅や遮断区間
幅を、前後の記録レベルに応じて調整することは、マー
ク長すなわち一記録レベル区間Tを短縮し、高密度化す
るときに有効である。
【0103】図9は本発明におけるエネルギービームの
照射パターンの更に他の一例を示す説明図である。図9
に示す照射パターンは、図7における記録パワー制御と
図8における記録パルス区間幅/遮断区間幅制御とを組
み合わせて用いた例である。この様な複雑な制御は、マ
ーク長を短縮した場合、前後の記録レベルに応じて補正
を行う際に有効である。
【0104】特に、各記録レベルからの遷移を連続的に
行う前記第2の方法の場合、先行するレベルから後続す
るレベルへの熱干渉の影響が著しいので、連続する2レ
ベルの組み合わせに応じた照射パターンの制御が必要で
ある。例えば、例えば、8レベルの多値記録を行う場
合、8×8=64通りの記録パルスパターンをROMメ
モリ等に記憶させておいて、照射パターンを発生させる
ことが好ましい。
【0105】従来、相変化光記録、特にマーク長変調記
録においては、非晶質マーク長の制御のため、本発明に
類似した照射パターン方式が用いられることがあった。
しかし、それは、出来るだけ非晶質マーク部分における
反射光強度(変調度)を一定に保つために用いられてお
り、そのため、再結晶化領域を出来るだけ抑制すること
を主眼として制御されていた。一方、本発明における前
記照射パターンは、各非晶質マークにおける再結晶化過
程を積極的に利用し且つ制御するために用いられる。
【0106】本発明においては、より高密度に記録を行
うため、記録レベル区間の空間的長さTsを再生光ビー
ムのスポットの長さrb以下とするのが好ましい。この
際、一記録レベル区間の長さTは、時間的にも空間的に
も一定値とするのが好ましい。なぜなら、その様な短い
記録レベル区間の長さ変化を意図的に検出することは困
難だからである。また、記録用エネルギービームの径も
再生ビームの径と同程度の大きさが好ましい。
【0107】なお、一記録レベル区間の長さTsがより
小さ過ぎると光学的に識別不能となってしまうことがあ
るので、Tsは(1/4)rb以上とするのが好まし
い。
【0108】上記の様な極く短い記録レベル区間におけ
る記録用エネルギービームの照射方法としては、前記の
照射方法を採用することが出来る。中でも、1つの記録
レベル区間を形成するための記録用エネルギービームの
照射時間の一部又は全部を、1つの記録レベル区間とそ
の前及び/又は後に付随する遮断区間とに分離する共
に、該記録レベル区間内における記録用エネルギービー
ムのパワーを、記録パルス間においては、記録層を溶融
するに足るパワーPwとし、遮断区間においては、Pw
よりも小さい0を含むパワーPbとし、且つ、Pw、P
b、記録パルス区間の長さ及び/又は遮断区間の長さを
変化させるのが制御の容易さの点で好ましい。照射パタ
ーンについては前記と同様である。この場合、Pbにつ
いては、出来るだけ0に近づけて自己再結晶化を抑制し
易い様にするのが好ましい。
【0109】より好ましくは、図23に示された照射パ
ターンの様に、記録レベル区間の長さをT0で一定と
し、記録パルス区間の記録レベル区間に対する比として
のデューティー比を変化させることにより、非晶質マー
クの大きさの制御を行う。これにより、エネルギービー
ム制御が容易となる。記録パルス区間のデューティー比
が100%である場合は、「自己再結晶化」により、略
初期結晶化状態の反射光強度に戻る様にするのが好まし
い。すなわち、更に好ましい態様においては、エネルギ
ービームのパワーとしてPwとPbの2つのパワーのみ
を用いる。
【0110】図23において、記録パルス区間τのデュ
ーティー比を増加させると、当初は溶融領域の拡大で非
晶質マーク面積が拡大し、反射光強度は低下する。しか
し、更に、デューティ比を増加させると、反射光強度最
小の点を経て、以後は単調に増加する。これは、むしろ
遮断区間が短くなって溶融領域の冷却速度が低下し、却
って、再結晶化領域が増えるからである。図23に示す
様な記録方式を用いる場合、特に、上記デューティー比
の増加と共に反射光強度が単調に増加する区間を利用
し、デューティー比のみで、反射光強度を多段階に制御
することが好ましい。従って、この際に用いるデューテ
ィー比に対し、反射光強度が略比例して変化する様な媒
体を用いるのが好ましい。
【0111】また、最小の反射光強度Raおよび最大の
反射光強度Rcが得られるデューティー比をそれぞれD
a(%)、Dc(%)とするとき、Dc−Da≧50%
となる媒体を用いるのが好ましい。Dc−Daの値が小
さ過ぎると、デューティー比の変化に対する反射光強度
変化が急になり過ぎて制御困難となる。実際上は95%
以上の記録パルスのデューティー比で溶融領域が略完全
に再結晶化する媒体を用いるのが好ましい。
【0112】更に、RcとRaとの間をm分割し(m+
1)個のレベルの多値記録を行う場合、(Dc−Da)
/(m+1)≧5(%)とするのが好ましい。この場
合、1レベル間のシフトに平均5%以のデューティー比
変化を対応させることになる。この様にすることによ
り、デューティーの小さな変化で異なる反射光強度レベ
ルに記録されてしまう誤りを防止することが出来る。特
に、個々のレベル間の遷移に少なくとも3%のデューテ
ィー比変化を与えるのが好ましい。
【0113】再結晶化領域の割合が非常に高くなると、
非晶質マークの面積を正確に制御することが難しくな
り、同一のデューティー比で得られる反射光強度がばら
つきやすい。この場合、付加的に記録パルスパワーPw
を記録レベルに応じて変化させることにより、溶融領域
の面積を制御することも好ましい。すなわち、あるデュ
ーティー比以上では、Pwを若干小さ目にし、溶融領域
の面積自体を小さくするのが好ましい。この方式は、再
生用光ビームに対して大きめの非晶質マークを形成する
に当たり記録パルス区間を複数設ける場合にも有効であ
る。
【0114】また、図24に示された照射パターンの様
に、記録パルス区間を更に連続した2区間に分割し、先
行する区間でのPwをPw1、その照射区間をτ1、後続
する区間でのPwをPw2、その照射区間をτ2とし、τ
1/τ2の比を保ちながら、(τ1+τ2)のデューティー
比をT0の周期内において変化させてもよい。
【0115】上記の場合、Pw1は主として溶融領域の
形状、面積を制御し、Pw2は、主として当該溶融領域
の冷却速度を制御する役割を有する。τ1とτ2の何れか
一方を固定して他方のみを変化させてもよいが、制御の
容易さから、Pw1とPw2との比を一定に保たせるのが
好ましい。デューティー比が高いほど低パワーのPw2
の寄与が大きくなる様にすると、溶融領域面積の増大を
抑制できる。更に、図25に示された照射パターンの様
に、Pbの値を変化させて再結晶化領域を制御してもよ
い。
【0116】上記の様な極めて短い記録レベル区間を用
いた多値記録方式において、非晶質マークは、結晶レベ
ルに戻る場合を除いて走査方向に連続しており、主とし
て、その幅が変化していてもよいし、一記録レベル区間
に孤立した非晶質マークが存在してもよい。特に後者の
場合、非晶質マークの形状は楕円である必要はなく、場
合によっては、矢羽形状を取り得る。特に、凝固時の再
結晶化が周辺部の結晶領域からの結晶成長の進行によっ
て支配されている場合は、図26に示す様に、特にマー
ク後端から固化が進行するため、矢羽形状となり易い。
【0117】図26で示される、非晶質マークの形状と
その形成過程を示す概念図において、記録エネルギービ
ームが走査方向に進行した場合を考えると、初期結晶化
領域1の一部が溶融されてから凝固する際に再結晶化
し、その結果、ビームの走査方向に沿った再結晶化領域
2が形成される。ここで、非晶質マーク3が形成される
場合を考えると、溶融領域自体は略楕円形を有すると考
えられる。しかし、後続の記録パルスからの余熱効果も
あって、相対的に後端の固相結晶領域262との境界か
らの結晶成長が進み易い。一方、溶融領域先端部では、
冷却速度は前方への熱の逃げで確保されているので略溶
融領域の形状を保って非晶質化される。その結果、非晶
質マーク3は矢羽形状となる。
【0118】上記の様な矢羽形状の非晶質マークの長さ
は、十分に0.01μmのオーダーまで制御できるの
で、高密度の非晶質マーク面積制御に有効である。
【0119】なお、一記録レベル区間がビーム径より小
さい場合は、前後の記録レベル区間の記録における記録
パワーの余熱の影響を受け易いから、前後の記録レベル
区間も考慮し、上記デューティー比や、Pw,Pw1
Pw2,Pb等を補正することも必要になる場合があ
る。前記T0を完全に一定としないで前後のレベルに応
じて微調整することも補正手段としては有効である。
【0120】本発明の多値記録再生方法は、記録層の全
面が結晶状態である媒体に適用することも出来るが、所
謂オーバーライトに用いるのが好ましい、その結果、繰
り返し記録において、記録する操作とは別に、形成され
た非晶質マークを消去する操作をする必要がなくなる。
具体的には、非晶質マークが形成されている領域に記録
用エネルギービームを照射して記録層を溶融することに
よって該非晶質マークを消去し、凝固時に新たに非晶質
領域と再結晶化領域を形成することにより、非晶質マー
クの重ね書きを行う。
【0121】本発明の多値記録用媒体は、既に確立され
た多値記録再生技術により再生可能である。一般に、反
射光強度は、図11の符号112で示される様に完全な
方形波にならず、再生光ビームの光学的分解能に限界が
あるために、同図の符号111の様ななまった波形とな
る。この様になまった波形であっても適当な再生回路を
通して補正することにより、元の反射光強度レベルを検
出できることは、文献(SPIE、Vol.3109
(1997)、pp98−104)等によって示されて
いる。
【0122】光学的ななまりを補正した後、各反射光強
度レベルを検出する。この様な検出方法は、基本的には
アナログ・ディジタル変換手法と同等である。その詳細
は、特開平8−236693号公報における記載があ
る。また、一記録レベル区間の長さが再生用光ビームの
径rb以下の場合の再生方法は、アメリカ特許第5,8
18,806号明細書に記載されている。
【0123】本発明の多値記録用相変化媒体は、結晶−
非晶質間で相変化を生じる記録層を有する。該記録層
は、特に溶融再凝固時における再結晶化が著しい材料を
選ぶのが好ましい。特に融点近傍での結晶成長速度が大
きく、比較的低温での結晶核生成速度および結晶成長速
度が遅いものが適している。記録層の溶融する大きさが
記録ビームの大きさと同程度の場合は、再結晶化によ
り、再び大部分が結晶レベルに戻ってしまうほど再凝固
時の再結晶化が著しい材料が好ましい。
【0124】特に、記録層を溶融し得る記録パワーPw
を連続的(直流的)に照射した際には略完全に再結晶化
してしまい、固相における再結晶化温度より十分低い温
度にしか昇温しないオフパワーPbを付随させて照射し
た場合にだけ非晶質化する様な媒体が好ましい。従っ
て、Pwのみを直流的に照射した場合、反射光強度は略
未記録結晶状態と同じレベル迄戻ることで確認できる。
この様な記録層としては、溶融状態からの再結晶化が実
質的に結晶領域からの結晶成長によって進行するものが
好ましい。
【0125】具体的な記録層の材料としては、Sbを含
む合金、特にSbを含む共晶合金が挙げられる。特に好
ましい材料としては、共晶点組成より過剰にSbを含む
共晶合金である。より具体的にはSb0.6Te0.4組成よ
りも過剰にSbを含む2元合金をベースにし、そこに更
に添加金属Mとして、In、Ga、Zn、Ge、Sn、
Si、Cu、Au、Ag、Pd、Pt、Pb、Bi、C
r、Co、O、S、N、Se、Ta、Nb、V、Zr、
Hf及び希土類金属のうちの少なくとも1種を含有させ
たものである。
【0126】上記の様な組成は、通常、Mx(SbyTe
1-y1-x(ただし、0<x≦0.2、0.6≦y)で表
される。上記yとしては好ましくは0.65≦y≦0.
85である。上記xとしては好ましくは0.01〜0.
1である。Xが大き過ぎると相分離を誘発することがあ
る。添加金属Mとして、上記の中でも、Ag、In、G
a及びGe、特にGeが好ましい。
【0127】特に、GeとSbとTeとの合計量に対し
てGeを0.1〜15原子%程度加えたGe、Sb及び
Teを含む合金組成は、高速再結晶化特性を損ねること
なく、非晶質の経時安定性を高めることが出来るので好
ましい。更にまた、M’αGeβ(SbγTe1-γ
1-α-β(M’はIn及び/又はGa、α=0.001
〜0.1、β=0.001〜0.15、γ=0.65〜
0.85)なる組成で示される様なGe、Sb、Te及
びIn及び/又はGaを含む組成は、結晶粒界のノイズ
が抑制できるので好ましい。
【0128】また、Ag、In、Sb及びTeを含む合
金組成もノイズレベルが低いので好適に用いられる。I
nは、結晶化温度を上昇させて経時安定性を高める効果
があり、室温での保存安定性を確保するため、通常、A
g、In、Sb及びTeの合計量に対して通常3原子%
以上含有させる。ただし、余りに多く含まれていると相
分離が生じ易く、繰りしオーバーライトにより偏析が起
きるため、通常は8原子%以下である。Agは成膜直後
の非晶質膜の初期化を容易にする効果がある。通常、そ
の存在量は、上記合計量に対して10原子%以下であ
り、多すぎると、むしろ経時安定性を損ねることがあ
る。また、AgとInをあわせて前記合計量に対して1
3原子%以下とするのが繰り返しオーバーライト時の偏
析を抑制するので好ましい。
【0129】なお、オーバーライト可能な相変化記録層
材料として広く知られている、GeTe−Sb2Te3
似2元系材料は、結晶化温度Tcが150〜200℃で
あり、Tc以上かつ融点(600℃前後)近傍よりも、
50〜100℃低い固相でのみ、非晶質領域の再結晶化
を示すものであり、融点近傍あるいは溶融再凝固時の再
結晶化速度が非常に遅い。従って、この材料を記録層に
用いた媒体の場合は、一旦非晶質マークを形成した後、
更にもエネルギービームを照射して固相における結晶化
温度以上で融点以下に昇温しなければ、再結晶化し殆ど
進行しないことが多い。また、図26に模式的に示した
様な矢羽形状の非晶質マークを得るのも困難である。
【0130】本発明において、通常、記録層の成膜後の
状態は非晶質である。そこで、通常、記録層全面を結晶
化し、初期化された状態(未記録状態)とする。前記の
好ましい記録層は、成膜直後には結晶成長の核が殆どな
く、固相での結晶化は困難であることが多いが、溶融再
結晶化によって初期化できる。この際、記録層の溶融は
局所的で且つ1ミリ秒程度以下の短時間とするのが好ま
しい。溶融領域が広かったり、溶融時間または冷却時間
が長すぎると、熱のために媒体自体の一部が破壊された
り、変形したりすることがある。
【0131】上記の様な熱履歴を与える場合は、長軸が
100〜300μm、短軸が1〜3μmに集束された、
波長600〜1000nm程度の高出力半導体レーザー
光を照射し、短軸方向を走査方向として1〜10m/s
の線速度で走査することが好ましい。同じ集束光でも円
形に近いと、溶融領域が広すぎるために再非晶質化が起
き易く、また、媒体へのダメージが大きくなり易い。
【0132】記録層の厚さは、通常100nm以下、好
ましくは30nm以下とされる。記録層の厚みが薄すぎ
ると、十分なコントラストが得られ難く、また、結晶化
速度が遅くなる傾向があり、短時間での記録消去が困難
となり易い。一方、記録層の厚さは、通常1nm以上、
好ましくは5nm以上とされる。記録層の厚みが厚すぎ
ると、やはり光学的なコントラストが得難くなり、ま
た、クラックが生じ易くなる。
【0133】更に、記録層の厚さは、前記RcとRaと
が(Rc−Ra)/Rc≧0.5以上となる様な大きな
コントラストを得るため、実際上10〜30nmが特に
好ましい。マーク端のジッタ及び繰り返しオーバーライ
ト耐久性を向上させるため、記録層は20nm以下とす
ることが最も好ましい。
【0134】また、記録層の密度は、バルク密度ρの8
0%以上であることが好ましく、90%以上であること
が更に好ましい。ここでいう、バルク密度とは、勿論、
合金塊を作成して実測することも出来るが、下記(1)
式を用いて求めてもよい。
【0135】
【数1】ρ=Σmiρi・・・(1) (ただし、miは成分iの原子%、ρi成分iの原子
量)
【0136】記録層の密度を大きくするためには、スパ
ッタ成膜法の場合、成膜時のスパッタガス(Ar等の希
ガス)の圧力を低くする、ターゲット正面に近接して基
板を配置する等により、記録層に照射される高エネルギ
ーAr量を多くするのが好ましい。高エネルギーAr
は、スパッタのためにターゲットに照射されるArイオ
ンが、一部跳ね返されて基板側に到達するものか、プラ
ズマ中のArイオンが基板全面のシース電圧で加速され
て基板に達するものかの何れかである。この様な高エネ
ルギーの希ガスの照射効果をatomic peeni
ng効果という。一般的に用いられるArガスでのスパ
ッタの場合は、Atomic peening効果によ
り、Arがスパッタ膜に混入される。膜中のAr量によ
り、Atomic peening効果を見積ることが
出来る。
【0137】すなわち、Ar量が少なければ、高エネル
ギーAr照射効果が少ないことを意味し、密度の疎な膜
が形成され易い。一方、Ar量が多ければ、高エネルギ
ーArの照射が激しく、密度は高くなるものの、膜中に
取り込まれたArが繰り返しオーバーライト時にvoi
dとなって析出し、繰り返しの耐久性を劣化させる原因
となり易い(J.Appl.Phys., Vol.78(1995), pp6980-6
988)。
【0138】記録層中の適当なAr量は0.1〜1.5
原子%である。更に、直流スパッタリングよりも高周波
スパッタリングを用いた方が膜中のAr量を少なくして
高密度膜が得られるので好ましい。同時に、0.1〜5
原子%のO、N、S、Seを添加することにより、記録
層の光学定数を微調整することが出来る。しかし、5原
子%を超える添加量では、結晶化速度を低下させ消去性
能を悪化させることがある。
【0139】本発明に用いられる相変化媒体の層構成の
例を以下に示す。記録層は、通常、基板上に設けられ
る。基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリ
オレフィン等の透明樹脂や透明ガラスを用いることが出
来る。なかでも、ポリカーボネート樹脂は、CDにおい
て最も広く用いられている実績もあり、安価でもあるの
で最も好ましい。具体的には、図10で示される模式的
断面図の様に、基板1a/下部保護層(誘電体)2a/
記録層3a/上部保護層(誘電体)4a/反射層5aの
構成とし、その上を紫外線または熱硬化性の樹脂または
樹脂シートによって被覆(保護コート層6a)すること
が好ましい。
【0140】上記の構成は、通常基板を介して記録再生
用光ビームを照射する方式に採用される。一方、基板上
に、反射層、下部保護層、記録層及び上部保護層をこの
順に設け、その上に通常0.1μm〜0.1mm程度の
保護コートを設ける構成を採用することも出来る。この
場合は、通常、上部保護層側から記録再生用光ビームを
照射する方式に採用される。
【0141】記録層、保護層および反射層は、通常、ス
パッタリング法などによって形成される。記録膜用ター
ゲット、保護膜用ターゲット、必要な場合には反射層材
料用ターゲットを同一真空チャンバー内に設置したイン
ライン装置で膜形成を行うことが各層間の酸化や汚染を
防ぐ点で好ましい。
【0142】通常、記録時の高温による変形を防止する
ため、記録層の少なくとも一方の面、好ましくは両面に
保護層が設けられる。また、通常、記録層で発生した熱
をより有効に逃がすために反射層が設けられる。すなわ
ち、好ましい層構成においては、記録層の上下に保護層
が設けられ、一方の保護層の記録層に対する反対側の面
上に反射層が設けられる。記録層と反射層との間の保護
層は、記録層と反射層の相互拡散を防止し、記録層の変
形を抑制しつつ、反射層へ効率的に熱を逃すという機能
を持つ。
【0143】上記の層構成のうち、本発明においては、
特に急冷構造と呼ばれる層構成が好ましい。急冷構造に
よれば、放熱を促進し、記録層再凝固時の冷却速度を高
める層構成の採用により、制御不能なまでに過剰な再結
晶化の問題を回避しつつ、高速結晶化による高消去比を
実現することが出来る。このため、記録層と反射層との
間の保護層の膜厚の上限は通常60nmとされる。厚す
ぎると、保護層自体の熱膨張による変形が大きくなり、
特に、繰り返し記録を行った際の信号劣化が著しくなる
ことがある。一方、保護層の膜厚の下限は通常5nmと
される。薄すぎると、記録層溶融時の変形等によって破
壊され易く、また、放熱効果が大きすぎて記録に要する
パワーが不必要に大きくなる。
【0144】保護層の材料としては、一般的には、透明
性が高く高融点である金属や半導体の酸化物、硫化物、
窒化物、炭化物の他、Ca、Mg、Li等のフッ化物及
びこれらの混合物等を用いることが出来る。好ましい材
料は、硫化物等の形でS原子を含有する。更に好ましい
材料は、ZnS、ZnO、TaS2又は希土類硫化物を
単独または混合物として50〜90mol%含み、融点
または分解温度が1000℃以上の耐熱性化合物から成
る複合誘電体である。より具体的には、La、Ce、N
d、Y等の希土類の硫化物を60〜90mol%含む複
合誘電体が好ましい。ZnS、ZnO又は希土類硫化物
の組成の範囲は、70〜90mol%が好ましい。
【0145】上記の化合物と混合されるべき融点または
分解点が1000℃以上の耐熱化合物材料としては、M
g、Ca、Sr、Y、La、Ce、Ho、Er、Yb、
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Al、S
i、Ge、Pb等の酸化物、窒化物、炭化物の他、C
a、Mg、Li等のフッ化物が挙げられる。ZnOと混
合されるべき材料としては、Y、La、Ce、Nd等の
希土類の硫化物または硫化物と酸化物の混合物が好まし
い。これらの酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、フッ化
物は、必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折
率などの制御のために組成を制御したり、混合して用い
ることも有効である。
【0146】繰り返し記録特性を考慮した場合、保護層
の密度は、バルク状態の80%以上であることが機械的
強度の面から好ましい(Thin Solid Fil
ms、第278巻(1996年)、74〜81ペー
ジ)。混合物誘電体薄膜を用いる場合は、バルク密度ρ
として次の式(2)の理論密度を用いる。
【0147】
【数2】 ρ=Σmiρi ・・・・・(2) (ただし、miは各成分iのモル濃度、ρiは単独のバ
ルク密度)
【0148】反射層の材料としては、Al、Ag、Au
を主成分とする合金が好ましい。特に好ましくはAl合
金又はAg合金である。これらの金属は熱伝導率が高
く、記録層から保護層を介して熱を奪い、記録層再凝固
時の冷却速度を非晶質マーク形成に十分なだけ高めるの
に有効である。また、反射光強度が高いために、上下の
保護層および記録層と合わせた層構成において、光学的
な多重干渉効果により、変調度を高めるにも有効であ
る。放熱効果は、膜厚と熱電導率によって規定される
が、薄膜状態の熱電導率はバルク値よりも1〜2桁小さ
い場合が多く、実測も困難であるが、測定の容易な面積
抵抗率を放熱効果の指標とすることが出来る。面積抵抗
率は、物質固有の体積抵抗率を膜厚で除した値である。
【0149】体積抵抗率は、熱電導率に略反比例すると
考えられるので、これを膜厚で除した値は、熱電導率に
膜厚を掛けた値に比例すると考えられ、反射層の放熱効
果を直接把握することが出来る。本発明では、反射層の
放熱効果をより一層確保することが好ましく、従って、
反射層の面積抵抗率を小さくするのが好ましい。その値
は、通常0.1〜0.6Ω/□である。
【0150】Al合金反射反射層材料としては、好まし
くは、AlにTa、Ti、Co、Cr、Si、Sc、H
f、Pd、Pt、Mg、Zr、Mo、Si、Mg及びM
nからなる群から選ばれ少なくとも一種の添加元素を
0.2〜2原子%含むAl合金が挙げられる。この様な
合金は、添加元素濃度に比例して体積抵抗率が増加し、
また、耐ヒロック性が改善されることが知られている
(日本金属学会誌、第59巻(1995)、P673〜
678、J.Vac.Sci.Tech.、A14(1
996)、pp.2728〜2735等)。添加元素量が
0.2原子%未満では、耐ヒロック性は不十分であるこ
とが多い。また、2原子%より多いと非晶質マーク形成
に必要な高熱伝導率が得られないことがある。
【0151】経時安定性をより高めるため、添加成分と
してはTaが好ましい。特に、ZnSを含有する保護層
と接する場合、Ta含有量が0.5〜0.8原子%のA
lTa合金は、耐食性、密着性、高熱伝導率の全てをバ
ランス良く満足するので好ましい。また、Taを採用す
る場合、僅か0.5原子%の添加で純AlやAl−Mg
−Si合金に比べて成膜レートが30〜40%アップす
るという製造上好ましい効果が得られる。
【0152】上記Al合金を反射層として用いる場合、
好ましい膜厚は50〜300nmである。膜厚が薄すぎ
る場合は純Alでも放熱効果は不十分であり、厚すぎる
場合は、熱が水平方向より垂直方向に逃げるため、水平
方向の熱分布改善に寄与しないし、また、反射層そのも
のの熱容量が大きく、却って記録層の冷却速度が遅くな
り、非晶質マークの形成が妨げられることがある。
【0153】反射層材料として好ましAg合金として
は、Ti、V、Ta、Nb、W、Co、Cr、Si、G
e、Sn、Sc、Hf、Pd、Rh、Au、Pt、M
g、Zr、Mo及びMnからなる群から選ばれる少なく
とも一種の添加元素を0.2〜5原子%含むAg合金が
挙げられる。経時安定性をより高めるため、添加元素と
しては、Ti、Mg及びPdが好ましい。
【0154】上記のAg合金を反射層として用いる場
合、好ましい膜厚は20〜150nmである。膜厚が薄
すぎる場合は純Agでも放熱効果は不十分であり、厚す
ぎる場合は、熱が水平方向より垂直方向に逃げるため、
水平方向の熱分布改善に寄与しないし、また、不必要に
厚い膜は生産性を低下させる。
【0155】上記のAlへの添加元素およびAgへの添
加元素の濃度に比例し、体積抵抗率が増加する。不純物
の添加は、一般的に結晶粒径を小さくし、粒界の電子散
乱を増加させて熱伝導率を低下させると考えられる。添
加不純物量の調節は、結晶粒径を大きくすることで材料
本来の高熱伝導率を得るために有効である。
【0156】なお、反射層は通常スパッタ法や真空蒸着
法で形成されるが、ターゲットや蒸着材料そのものの不
純物量もさることながら、成膜時に混入する水分や酸素
量も含めて全不純物量を2原子%以下とするのが好まし
い。このためにプロセスチャンバの到達真空度は1×1
-3Pa以下とすることが好ましい。
【0157】高い熱伝導率を得るため、上記の様に不純
物量を少なくするのが好ましい。一方、AlやAgの純
金属は耐食性や耐ヒロック性に劣る傾向がある。従っ
て、不純物と純金属との両者のバランスを考慮して最適
組成を決める。
【0158】更なる高熱伝導と高信頼性を得るための手
段としては、反射層を多層化することも有効である。こ
の場合、少なくとも1層は、上記Al合金、Ag合金又
はAu合板として実質的に放熱効果に寄与させ、他の層
により、耐食性、保護層との密着性、耐ヒロック性を改
善させるのが好ましい。この場合、上記少なくとも一層
の膜厚は、反射層全体の50%以上とするのが好まし
い。
【0159】金属中最も高熱伝導率および低体積抵抗率
であるAgは、Sを含む保護層との相性が悪く、繰り返
しオーバーライトした場合の劣化がやや速いという傾向
があり、また、高温高湿の加速試験環境下で腐食を生じ
易い傾向がある。そこで、好ましい多層反射層として上
記Agを用い、保護層との間に界面層としてAlを主成
分とする層を設けることも有効である。Al合金として
は、前述と同様のAl合金が挙げられる。
【0160】界面層が厚すぎると保護効果が不十分とな
ることがあり、薄すぎると放熱効果が不十分となること
がある、従って、界面層は5〜100nmとするのが好
ましい。更に、Ag合金膜とAl合金とで多層反射層と
する場合、AgとAlは比較的相互拡散し易い組み合わ
せであるため、Al表面を酸化して界面酸化層を設ける
ことが好ましい。界面酸化層が厚すぎる場合、それが熱
抵抗となり、放熱性が損なわれる。従って、界面酸化層
は、通常10nm以下、好ましくは5nm以下とする。
【0161】反射層の多層化は、高い体積抵抗率の材料
と低い体積抵抗率の材料とを組み合わせて所望の膜厚で
所望の面積抵抗率を得るためにも有効である。合金化に
よって体積抵抗率を調節する場合は、ターゲット製造コ
スト、ひいては媒体の原材料比を上昇させることがあ
る。例えば、純AlやAgの層と上記添加元素単体の薄
膜とを多層化して所望の体積抵抗率を得ることも有効で
ある。それによって媒体コストを抑制できる場合があ
る。
【0162】本発明の媒体は、特に形状に限定されず、
長方形のカード状でも円盤状のディスク形状でもよい。
記録再生のためには、記録用エネルギービーム及び再生
用光ビームを相対的に移動させる必要があるが、円盤状
とすれば、それの回転より容易に相対移動できる。この
様にして記録様光ビームを移動させつつ、その強度を変
調させ、一連の非晶質マーク列を形成することが出来
る。
【0163】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【0164】実施例1 射出成形により、トラックピッチ1.6μm、溝幅0.
5μm、溝深さ37nmのトラッキング用溝を形成した
厚さ1.2mmのポリカーボネート樹脂基板上に、(Z
nS)85(SiO215から成る110nmの下部保護
層、Ag5In5Sb61Te29から成る17nmの相変化
型記録層、(ZnS)80(SiO220から成る46nm
の上部保護層、Al99.5Ta0.5から成る220nmの
反射層をスパッタ法により順次に形成し、更に、その上
に紫外線硬化樹脂から成る約4μmの保護層をスピンコ
ート法により形成した。その後、長径約70μm、短径
約1μmに集光した波長830nmの半導体レーザー光
を照射し、線度2.5m/sで短軸方向に走査しながら
記録層を結晶化(初期化)した。
【0165】記録再生評価には、パルステック社製DD
U1000テスタ(レーザー波長780nm、NA=
0.55)を用い、線速2.4m/sにおいて溝内に記
録再生を行った。
【0166】なお、用いたレーザービームの記録層面に
おけるスポット形状は、走査方向に1.27μm、その
垂直方向に1.23μmの楕円形状であった。最大の反
射光強度を示すレベル0は消去(結晶状態)とし、そこ
から反射光強度が順に低いレベルに移行する様に記録レ
ベルを変化させ、全部でレベル0〜7迄8段階に多値レ
ベルの変調を行った。
【0167】レベル0は、消去パワーPe=6.5mW
のレーザービームを照射することによって結晶レベルと
して得た。他のレベルは記録パワーPw=13mW、バ
イアスパワーPb=0.8mWで図7(a)の様な照射
パターンを変化させらることによって得た。ここで、記
録パワー13mWのレーザーを照射するパルス幅をT
w、バイアスパワーPbのレーザーを照射する区間の幅
をTbとし、Tw及びTbを各レベルに応じて以下の表
1の様に変化させた。
【0168】なお、記録レベル区間の長さTは1μ秒
(マーク長2.4μm)で略一定とした。また、記録パ
ルス区間及び遮断区間の数は、TwとTbを一組にし、
N(Tw+Tb)が略1μ秒となる様に、14〜50程
度の範囲でNの数を調整した。
【0169】
【表1】
【0170】図12は、上記の結果得られた再生波形で
ある。図12に示す様に、Rcに相当するレベル0から
Raに相当するレベル7迄8値の記録レベルが整然と観
察された。しかも、この波形は10回オーバーライト後
に得られたものである。
【0171】記録済の記録層を剥離して透過型電子顕微
鏡で観察を行ったところ、非晶質マークが走査方向に対
してとぎれることなく、一記録レベル区間Tに相当する
約2.4μm毎に幅が変化していることが確認された。
また、非晶質マークと多結晶領域とは整然と分離されて
おり、非晶質と多結晶の混合状態でないことも確認され
た。
【0172】表1のパルス分割方法を維持しながら、記
録パルスのパワーPwを変化させ同様の再生波形を観察
した結果を図13〜16に示す。13mW(図15)の
場合に8レベルが明確に観察された。Pw11mW(図
13)、Pw12mW(図14)及びPw14mW(図
16)ではRc近傍もしくはRa近傍で波形がひずんで
隣接レベルとの区別が不明確になっていることが分か
る。0レベルに近いレベほど再結晶化領域の割合が大き
く、その結果、ばらつきが大きくなっている。
【0173】そこで、次に、レベル1及び2に対する記
録パワーをPw1、レベル3〜7に対する記録パワーを
Pw2とし、また、レベル0における記録(消去)パワ
ーをPeとするとき、Pw2/Pw1=12/11、Pe
/Pw2=0.5でそれぞれ一定として表1のパルス分
割方法を適用し、記録パワーを変化させた。得られた再
生波形を図17〜21に示す。
【0174】なお、図中、表題で示されている様に、図
17〜21をそれぞれの例で用いた記録用ビームのPw
1、Pw2及びPeは、Pw2/Pw1/Peと表記する
と、順に、11/10.1/5.5、12/11/6、
13/11.9/6.5、14/12.8/7、15/
13.8/7.5(単位mW)である。図13〜16に
示す場合に比べてPwの変化に対してより広い範囲(P
2=12〜14mW)のPw2で明確な8値レベルが維
持されていることが分かる。
【0175】なお、実施例1で用いた何れの値のPwに
おいても、それを媒体に直流的に照射した際は、溶融後
の再結晶化によって元の未記録の結晶状態と略同じ反射
光強度となった。ここで、「略同じ」とは±30%の範
囲で一致することを示す。
【0176】実施例2 射出成形により、トラックピッチ0.74μm、溝幅
0.3μm、溝深さ35nmのトラッキング用溝を形成
した厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂基板上に、
(ZnS)80(SiO220から成る64nmの下部保
護層、Ge5Sb69Te26から成る18nmの相変化型
記録層、(ZnS)85(SiO215から成る20nmの
上部保護層、Al99.5Ta0.5から成る200nmの反
射層をスパッタ法により順次に形成し、更に、その上に
紫外線硬化樹脂から成る約4μmの保護層をスピンコー
ト法により形成した。
【0177】そして、同様の層構成の0.6mm基板を
もう1枚用意し、遅延硬化性の紫外線硬化型接着剤(ソ
ニーケミカルSK7000)にて記録層面を内側にして
貼り合せた。その後、長径約70μm、短径約1μmに
集光した波長約830nmの半導体レーザー光を照射
し、線速2.5m/sで短軸方向に走査しながら両面の
記録層を結晶化(初期化)した。
【0178】記録再生評価には、パルステック社製DD
U1000テスタ(波長637nm、NA=0.63)
を用い、線速2.4m/sにおいて溝内に記録再生を行
った。記録再生光ビームのスポット径は、走査方向、そ
の直交方向(半径方向)共に0.87μmであった。レ
ベル0は消去(結晶状態)とし、そこから反射光強度が
順に低いレベルに移行する様に記録レベルを変化させ、
全部でレベル0〜レベル7迄8段階に多値レベルの変調
を行った。
【0179】レベル0は消去パワーPe=6.0mWの
レーザービームを照射することによって結晶レベルとし
て得た。他のレベルはレベル1、2、3、4に対する記
録パワーを9.7mW、レベル6、7に対する記録パワ
ーを13mWとし、また、全ての場合においてPb=
0.5mWとし、表2のパルス分割方法を適用して図7
(a)の様な照射パターンを変化させることによって得
た。
【0180】なお、記録レベル区間の長さTは400ナ
ノ秒(マーク長0.96μm)で略一定とした。また、
記録パルス区間及び遮断区間の数は、TwとTbを一組
にし、N(Tw+Tb)が略400ナノ秒となる様に、
Nの数を7〜14程度の範囲で調整した。
【0181】
【表2】
【0182】図22は、上記の結果得られた再生波形で
ある。図22に示す様に、Rcに相当するレベル0から
Raに相当するレベル7迄8値の記録レベルが整然と観
察された。しかも、この波形は10回オーバーライト後
に得られたものである。
【0183】なお、実施例2で用いた何れのPwにおい
ても、それを媒体に直流的に照射した際は、溶融後の再
結晶化によって元の未記録の結晶状態と略同じ反射光強
度となった。ここで、「略同じ」とは±30%の範囲で
一致することを示す。
【0184】実施例3 本実施例では、本記録媒体および記録方法が記録層の溶
融再凝固時の再結晶化を積極的に利用し、非晶質マーク
形成時の再凝固過程における再結晶化と過程と非晶質化
過程の競合により非晶質マークの面積を制御しているこ
とを明らかにする。
【0185】射出成形により、トラックピッチ1.6μ
m、溝幅約0.5μm、溝深さ約37nmのトラッキン
グ用溝を形成した厚さ1.2mmtのポリカーボネート
樹脂基板上に、(ZnS)80(SiO220から成る9
2nmの下部保護層、In8Ge5Sb64Te23から成る
19nmの相変化型記録層、(ZnS)80(SiO2
20から成る35nmの上部保護層、Al99.5Ta0.5から
成る250nmの反射層をスパッタ法により順次に形成
し、更に、その上に紫外線硬化樹脂から成る厚さ約4μ
mの保護層をスピンコート法により形成した。
【0186】その後、長径約70μm、短径約1μmに
集光した波長830nmの半導体レーザー光約700m
Wを約3mn/sで移動させながら基板を介して照射
し、記録層を結晶化(初期化)した。初期結晶化状態の
反射光強度は、別途下記のテスタで溶融再結晶化させた
ときの反射光強度と殆ど同じであった。実際上、記録層
を一旦溶融させた後、再凝固時に再結晶化させて初期化
を行っている。反射層の面積抵抗率は0.5Ω/□であ
った。抵抗率の測定は、ダイアインスツルメント社製ロ
レスターMPを用いた。その測定方法はJIS K71
94に対応している。
【0187】記録再生評価には、パルステック社製DD
U1000テスタ(波長780nm、NA=0.55)
を用い、線速4.8m/sにおいて記録再生を行った。
上記光源は、波長約780nmのレーザーをNA=0.
55のレンズで集束し、基板を介して記録層面に照射す
るものである。その集束ビームのスポット形状は、溝方
向が1.27μm、溝直交方向(半径方向)が1.23
μmである。
【0188】上記媒体に直流的に記録パワーPwを照射
した。ここでは、ディスクの半径30〜50mmの半径
位置において、連続的に形成された溝上に集束光ビーム
が照射される様にトラッキングサーボをかけながら、デ
ィスクが一回転する間Pwを一定にし、線速度4.8m
/sで集束光ビームを相対的に移動させた。上記ビーム
径からみれば、殆ど無限長の間、Pwが連続的に照射さ
れていることになる。このうち、1個所だけ、記録パワ
ーを遮断し、Pb=0.8mWのパワーに時間Tbだけ
低下させた。Pbは十分に小さく、記録層は固相での結
晶化温度より十分低い温度にしか昇温されない。また、
再生光のパワーはPbと同じ0.8mWとした。
【0189】図27〜32、図33〜38及び図41〜
46に、照射パターン及び反射光強度の変動を示した。
横軸は時間軸である。縦軸下段は照射レーザーパワーを
PwからPbに切り替えるタイミング信号を表し、上段
は再生光反射光強度に比例した出力電圧となっている。
タイミング信号レベルが低いときはPb、高いときはP
wを照射している。ここで、記録パワー/バイアスパワ
ーの照射と再生光による再生は同時に行っていないが、
再生波形はバイアスパワーPbの照射位置と同期を取っ
ている。従って、パワーPbの光ビームを時間Tbだけ
照射したことによって生じた記録層の変化は、再生光に
よる反射光強度変化として、同期が取れた状態で検出さ
れている。
【0190】図27〜32に、ある位置においてPwか
らPbに瞬時に低下させ、以後はPbなるパワーで直流
的に照射した場合の照射パターンと反射光強度を示す。
また、Tb=200nsecで一定としてPwを変化さ
せた場合の照射パターンと反射光強度を図33〜38に
示す。ここで、PwからPbへの切り替えに要する時
間、すなわち、レーザー光パワーの立ち上がり時間は概
ね2ナノ秒程度より短く、殆ど瞬時に完了していると見
做せる。図27〜32及び図33〜38は、それぞれ順
にPw=7、8、10、12、14、16mWに対応し
ている。何れの場合も、Pwが8mW以上の場合だけ、
非晶質化による反射光強度の低下が見られ、少なくとも
8mW以上では、記録層が溶融していると考えられる。
【0191】また、図27〜32においてPwが8mW
以上の場合にだけ、Pw→Pbとした付近にのみ反射光
強度低下が生じている。ここで、この反射光強度低下の
前後においては、図27〜32の場合も図33〜38の
場合も、反射光強度は略等しいレベルを維持している。
特に、Pbなるパワーのビームを直流的に照射している
図27〜32の場合、Pbなるパワーのビームのみを照
射した部分は、記録層になんら変化が生じておらず、初
期結晶状態を保っていると考えられる。
【0192】Pw直流照射でもPb直流照射でも同じ反
射光強度レベルが得られていることから、Pw直流照射
の場合は、溶融した記録層が再凝固時に全部再結晶化さ
れ、少なくとも光学的には識別されない様な程度に、初
期結晶状態と同じ結晶状態に戻っていることを示してい
る。
【0193】図39及び図40に上記の再結晶化の様子
を模式的に示す。図39はPwからPbへと低下させた
ままにした場合である。Pwのパワーのビームが直流的
に照射されていても、ある一瞬に溶融している面積形状
は、略照射ビームの径の程度であり、その形状は一定の
ままビームに付随してビーム走査方向に図中左から右へ
移動していると考えられる。Pwを直流的に照射した領
域では初期結晶化領域1の一部が溶融されてから凝固す
る際に、一旦形成された溶融領域はそのまますべて再結
晶化し、再結晶化領域2となる。
【0194】一方、PwからPbへと瞬時に切り替えた
点近傍においては、記録層の冷却速度が一時的に大きく
なって、非晶質形成のための臨界冷却速度を越えるため
に非晶質化されて非晶質マークが形成される。Pbなる
パワーのビームが直流的に照射されている部分5では、
記録層の溶融自体が起きないので、初期結晶領域1のま
まである。
【0195】なお、図39では、再結晶化領域と初期結
晶化領域を異なる模様で区別したが、両結晶状態は、反
射光強度が略同じである限り、実質的に区別されない。
【0196】一方、図40に、Pwを時間TbだけPb
とし、以後は再びPwに戻した場合の様子を模式的に示
す。この場合は、非晶質マーク後端が図39の場合より
比較的短くなる傾向がある。それは、Tbの後に再び照
射されるPwの余熱効果により、Tbによる冷却速度増
大が抑制されているためと考えられる。この場合、非晶
質マークに続く部分が再結晶化領域2になっている点で
図39の場合と異なっている。すなわち、図40におい
て「現在の溶融領域6」は、ビーム走査に伴い図中右方
向に移動いて行くが、図39に示す場合は、同様、凝固
の際、自己再結晶化によって全て結晶化されて結晶化領
域2となる。
【0197】図41〜46に、Pw=12mW、Pb=
0.8mWで一定とし、Tbを変化させた場合の照射パ
ターンと反射光強度を示す。図41〜46は、それぞれ
順にTb=10、30、50、100、200、400
ナノ秒に対応している。
【0198】Tbが略5ナノ秒以上のとき、溶融領域後
端部の記録層の冷却速度は臨界冷却速度非晶質マークが
形成された。Tbが増加するにつれ、溶融領域自体の面
積が大きくなり、その結果、非晶質マークが大きくなっ
ている(反射光強度低下が顕著になる)が、Tbが20
0ナノ秒以上では略一定となっていることが分かる。こ
れより、Tbが約200ナノ秒以下の範囲では、Pwか
らPbへと変化する直前の溶融領域の一部のみが非晶質
化され、かつ、その面積はオフパワーPb及び区間Tb
で決まる冷却速度で支配されていることが分かる。Tb
が約200ナノ秒以上になると、オフパルスによる温度
変化制御の影響が及ぶ範囲が限られているために、たと
え冷却速度が増大していたとしても、非晶質マーク後端
の再結晶化領域の形状は一定になると考えられる。
【0199】何れにせよ、非晶質マークの面積はオフパ
ルス区間Tbにおける冷却速度により、記録層自体の有
する「自己再結晶化」を一部制限して再結晶化領域を制
限するメカニズムによって支配されていること、一旦形
成された固化した非晶質マークが後続の記録パルスで別
途消去されているのではないことが分かる。
【0200】なお、図27〜32、図33〜38及び図
41〜46における反射光強度低下領域は、透過電子顕
微鏡観察において、記録再生ビーム走査方向における長
さが0.01μmから1μmの非晶質マークであること
を確認した。何れの場合にも、マーク後端は矢羽形状近
い形状をしていた。
【0201】また、TEMによれば、1個オフパルスP
bを設けることにより、連続的な領域をしめる1個の非
晶質マークが形成されることが観察された。このこと
は、再凝固時の再結晶化が溶融領域周辺部の結晶領域を
核として結晶成長して進んでいることを示している。こ
れは、溶融領域内部や一旦固化した非晶質マーク内部か
らの核生成、核成長によって結晶化度を制御する多値記
録方式とは、根本的に異なるところである。
【0202】更に、上記と同様の媒体を用い、Pw及び
Pbの2値の変調により「自己再結晶化」を利用した多
値記録を試みた。この際、Pbの照射時間Tbの変化に
より反射光強度レベルを多段階に制御し、一方、Pbの
パワーのビームの照射区間の間隔の変化により、孤立
ピーク間の変調も行った。
【0203】上記の記録再生光ビームの走査速度4.8
m/s、記録レベル区間Tの時間的長さを1000ナノ
秒、空間的長さを4.8μmとした。一対のPwとPb
の記録用ビームの照射パターンは、図47の下段の様
に、記録パルス区間と遮断区間とを設け、Pwを12m
Wで一定、Pbは0.8mWとするパターンとした。1
つの記録パルス区間と1つの遮断区間との合計時間Tt0
は、Tt0=125ナノ秒で一定とし、8Tt0にて一定の
記録レベル区間とした。Tt0におけるPw照射時間の割
合、つまりデューティー比のみを変化させて反射光強度
を変化させた。得られた反射光強度の変化を図47の上
段に示す。
【0204】図48に上記のデューティー比制御により
8値の多値記録を行った例を示す。一記録レベル区間
は、8個のPwとPbの組から形成された、8個の孤立
した非晶質マークを含み、これらの反射光強度の平均値
(再生光ビームの光学的空間分解能のなまりを利用した
平均化)により、一記録レベルの間は略一定の反射光強
度を維持できている。
【0205】個々の記録レベルを形成するに用いたデュ
ーティー比は、図48中に時間Tt0に対するPw照射区
間の割合(%)として示している。Pw、Pbの2段階
の記録パワーレベルを交互に照射し、そのデューティー
比を制御するだけで、整然とした8値多値記録が実現で
きたことが分かる。また、95%以上のデューティー比
で略完全に初期結晶レベルに戻っていることが分かる。
また、最小の反射光強度となるときのデューティー比は
44%、最大の反射光強度となるときのデューティー比
は96%であって、50%以上のデューティー比範囲で
反射光強度の変化が得られていることも分かる。
【0206】図49に上記8値レベルを元に一記録レベ
ル区間の長さをTt0の個数で変化させた場合の再生波形
を示す。図中に各レベルを形成するために用いたデュー
ティー比(%)と、Tt0の個数(%の後で掛け算で示し
た数字)を示した。すなわち、64%×16は、Pwを
デューティー64%で照射した区間Tt0を16個連続さ
せて形成したことを示す。
【0207】なお、本実施例において、繰り返し100
0回のオーバライトを行ったが、各反射光強度は初期状
態を維持していた。
【0208】実施例4 射出成形により、トラックピッチ0.74μm、溝幅約
0.3μm、溝深さ約30nmのトラッキング用溝を形
成した厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂基板上
に、(ZnS)80(SiO220から成る68nmの下部
保護層、In3Ge5Sb69Te23から成る18nmの相
変化型記録層、(ZnS)85(SiO2 15から成る2
0nmの上部保護層、Al99.5Ta0.5から成る250
nmの反射層、をスパッタ法により順次に形成し、更
に、その上に紫外線硬化樹脂から成る約4μmの保護層
厚さをスピンコート法により形成した。
【0209】そして、同様の層構成の厚さ0.6mmの
基板をもう1枚用意し、ホットメルト型接着剤にて記録
層面を内側にして貼り合せた。その後、長径約70μ
m、短径約1μmに集光した波長約830nmの半導体
レーザー光を線速3〜4m/sで走査しながら記録層面
に照射し、両面の記録層を結晶化(初期化)した。
【0210】記録再生評価にはパルステック社製DDU
1000テスタ(波長約660nm、NA=0.6)を
用い、線速3.5m/sにおいて溝内に記録再生を行っ
た。再生光パワーPrは0.7mWとした。記録再生ビ
ームのスポット径は、走査方向で0.97μm、それに
直交する方向で0.94μmである。
【0211】図50に、記録パワーPwを12mW、バ
イアスパワーPbを0.7mWとしてPwを直流的に照
射し、ある瞬間にPbに切り替えた場合の反射光強度
(上段)と、照射パターン(下段)を示す。パワーを変
化させたた直後のみ、反射光強度が低下し、非晶質マー
クが形成されていることが分かる。また、Pwのパワー
を継続している間は、溶融後に初期結晶状態と同じ反射
光強度に回復しており、「自己再結晶化」する能力の高
い媒体であることが分かる。
【0212】上記の媒体に、下記の照射パターンで記録
を行った。すなわち、Pw13mWとPb0.7mwの
2つのパワーを用い、Pwのパワーで照射する記録パル
ス区間とPbのパワーで照射する遮断区間との割合を変
化させて反射光強度を制御した。
【0213】なお、記録パルス区間と遮断区間とは併せ
てT0=110ナノ秒とし、これを一記録レベルの区間
とした(長さ0.385μm)。
【0214】図52は、得られた反射率を示す図であ
る。13段階の反射光強度が得られていることが分か
る。
【0215】なお、各レベルはT0を8回繰り返して記
録しているので、記録レベル区間の長さ8T0=880
ナノ秒とみなすことも出来る。すなわち、記録レベル区
間が3.08μmで、その形成に8対の記録パルスとオ
フパルスの組み合わせを用いたともみなせる。
【0216】各レベルを達成するために用いた記録パル
ス区間のデューティー比は、図52中各レベル毎に記載
されている。具体的には、最低の記録レベルL1から最
高の記録レベルL13迄、それぞれの記録レベルを達成
するためのデューティーは反射光強度の低いほうから、
L1は27.3%、L2は36.4%、L3は45.5
%、L4は50.0%、L5は54.5%、L6は5
9.1%、L7は63.6%、L8は68.2%、L9
は72.7%、L10は77.3%、L11は81.9
%、L12は86.4%、L13は90.9%である。
【0217】上記の場合、それぞれの非晶質マークは、
TEM観察では、図39に示す様な矢羽形状をしてお
り、それぞれの非晶質マークの大多数は、結晶領域に囲
まれて孤立していることが確認された。ただし、より大
きな非晶質マークにおいては、その後端の一部が隣接す
る記録レベル区間の非晶質マークとつながっていた。
【0218】一方、図51に、上記の例においてT0
110ナノ秒ごとに、前記デューティー比を変化させて
記録レベルを変化させた場合の反射率の変化を示す。左
から順にL1−L5、L5−L8、L9−L11と示さ
れた部分は、それぞれ、L1とL5、L5とL8、L9
とL11の2レベル間で交互にT0毎に記録レベルを遷
移させていることに対応する。同図の右半分において、
L4、L5、L6、・・・L10と示された部分は、8
0毎に遷移させた例であり、L4から順にL10迄遷
移している。8T0毎に形成された記録レベルは、前後
のレベルとの光学的な干渉により平均的なレベルとして
再生されている。
【0219】一方、110ns毎に変化させた場合は、
個々のレベルが変化していることを確認できるが、その
反射光強度は再生光ビームの光学的分解能の関係によ
り、必ずしも、8T0毎に変化させた場合と一致しな
い。この様に、長さが再生光ビームの径より小さな記録
レベル区間は、再生光波形がなまっているため、前述の
アメリカ特許5,818,806号明細書に記された様
な、光学的な伝達関数(modulation transfer functi
on)の逆関数を考慮した電子回路またはソフトウェアー
によるフィルターを用意し、生波形をこのフィルターを
介して再生すれば、図52の各反射光強度L1〜L13
に帰属させ復元することが出来る。
【0220】なお、本実施例において、変調度(%)
(この場合(Rc−Ra/Rc・100))は50%以
上であった。
【0221】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、多値記録
方式に相変化媒体を利用した新規な原理に基づく多値記
録再生方法および相変化型多値記録用媒体が提供され
る。この多値記録再生方法にれば、非晶質マークが安定
であり、また、多段階の記録レベル間の光学特性差を大
きく出来、更に、非晶質マークの境界が明瞭であるた
め、より小さいマークを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非晶質マークを形成される場合の再結晶化の様
子の一例と得られる反射光強度とを示す模式図
【図2】非晶質マークを形成される場合の再結晶化の様
子の他の一例と得られる反射光強度とを示す模式図
【図3】媒体と再生のための光学系との位置関係を示す
模式的断面図
【図4】記録レベル区間毎の反射光強度レベルの配列の
一例を示す模式図
【図5】記録レベル区間毎の反射光強度レベルの配列の
他の一例を示す模式図
【図6】記録レベル区間毎の反射光強度レベルの配列の
更に他の一例を示す模式図
【図7】エネルギービームの照射パターンの一例を示す
説明図
【図8】エネルギービームの照射パターンの他の一例を
示す説明図
【図9】エネルギービームの照射パターンの更に他の一
例を示す説明図
【図10】本発明の媒体の層構成の一例を示す模式的断
面図
【図11】実際の再生信号波形の一例と概念としての方
形波形とを対比して示す模式図
【図12】実施例1で得られた再生波形を示す説明図
【図13】実施例1で得られた再生波形を示す説明図
(Pw=11mW)
【図14】実施例1で得られた再生波形を示す説明図
(Pw=12mW)
【図15】実施例1で得られた再生波形を示す説明図
(Pw=13mW)
【図16】実施例1で得られた再生波形を示す説明図
(Pw=14mW)
【図17】実施例1の他の例で得られた再生波形を示す
説明図(Pw=11/10.1/5.5mW)
【図18】実施例1の他の例で得られた再生波形を示す
説明図(Pw=12/11/6mW)
【図19】実施例1の他の例で得られた再生波形を示す
説明図(Pw=13/11.9/6.5mW)
【図20】実施例1の他の例で得られた再生波形を示す
説明図(Pw=14/12.8/7mW)
【図21】実施例1の他の例で得られた再生波形を示す
説明図(Pw=15/13.8/7.5mW)
【図22】実施例2で得られた再生波形を示す説明図
【図23】本発明におけるエネルギービームの照射パタ
ーンの好ましい一例を示す説明図
【図24】本発明におけるエネルギービームの照射パタ
ーンの他の好ましい一例を示す説明図
【図25】本発明におけるエネルギービームの照射パタ
ーンの更に他の好ましい一例を示す説明図
【図26】非晶質マークの形状とその形成過程を示す模
式図
【図27】実施例3における照射パターンと反射光強度
とを示す説明図
【図28】実施例3における照射パターンと反射光強度
とを示す説明図
【図29】実施例3における照射パターンと反射光強度
とを示す説明図
【図30】実施例3における照射パターンと反射光強度
とを示す説明図
【図31】実施例3における照射パターンと反射光強度
とを示す説明図
【図32】実施例3における照射パターンと反射光強度
とを示す説明図
【図33】実施例3の他の例における照射パターンと反
射光強度とを示す説明図
【図34】実施例3の他の例における照射パターンと反
射光強度とを示す説明図
【図35】実施例3の他の例における照射パターンと反
射光強度とを示す説明図
【図36】実施例3の他の例における照射パターンと反
射光強度とを示す説明図
【図37】実施例3の他の例における照射パターンと反
射光強度とを示す説明図
【図38】実施例3の他の例における照射パターンと反
射光強度とを示す説明図
【図39】結晶化の様子を表す模式図
【図40】結晶化の様子を表す模式図
【図41】実施例3の更に他の例における照射パターン
と反射光強度とを示す説明図
【図42】実施例3の更に他の例における照射パターン
と反射光強度とを示す説明図
【図43】実施例3の更に他の例における照射パターン
と反射光強度とを示す説明図
【図44】実施例3の更に他の例における照射パターン
と反射光強度とを示す説明図
【図45】実施例3の更に他の例における照射パターン
と反射光強度とを示す説明図
【図46】実施例3の更に他の例における照射パターン
と反射光強度とを示す説明図
【図47】実施例3の多値記録の例における記録ビーム
の照射パターンと反射光強度とを示す説明図
【図48】実施例3の多値記録の例における再生波形を
示す説明図
【図49】実施例3の他の多値記録の例における再生波
形を示す説明図
【図50】実施例4における照射パターンと反射光強度
とを示す説明図
【図51】実施例4の多値記録の例における再生波形を
示す説明図
【図52】実施例4の多値記録の他の例における再生波
形を示す説明図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 EA32 EA40 FA01 FA12 FA14 FA23 FB04 FB05 FB06 FB07 FB09 FB10 FB12 FB15 FB16 FB17 FB19 FB20 FB21 FB22 FB23 FB24 FB25 FB27 FB30 5D029 JA01 JB11 JB46 JC01 JC02 WA01 WA20 WB11 WD10 5D090 AA01 BB05 CC01 CC14 DD03 FF12 HH01 KK01 KK03

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エネルギービームの照射によって結晶状
    態と非晶質状態との間で相変化を生じる記録層を有する
    情報記録用媒体に対して、記録用エネルギービームを照
    射し、局所的に前記記録層を溶融せしめ、凝固時の冷却
    により非晶質マークを形成することにより、情報の記録
    を行う記録再生方法において、主として前記凝固時にお
    ける再結晶化過程と非晶質化過程との競合により非晶質
    マークの大きさを制御し、再生用光ビームの照射領域か
    らの反射光強度が、その領域内にある結晶領域と非晶質
    領域との光学特性の差及びそれらの面積に応じて3以上
    の多段階の記録レベルに制御されていることを特徴とす
    る多値記録再生方法。
  2. 【請求項2】 非晶質マークが形成されている領域に記
    録用エネルギービームを照射して記録層を溶融すること
    によって該非晶質マークを消去し、凝固時に新たに非晶
    質領域と再結晶化領域を形成することにより、非晶質マ
    ークの重ね書きを行う請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 記録用エネルギービーム及び再生用光ヒ
    ームとして、記録層面におけるスポット径が2μm以下
    である光ビームを用いる請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 記録及び再生用光ビームが楕円形状であ
    りかつその記録層面におけるスポット形状が、その長軸
    をビーム走査方向に対して略垂直な方向とする楕円ビー
    ムである請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 記録媒体に対して記録用エネルギービー
    ムを相対的に走査せしめて走査方向に沿って溶融領域を
    形成して非晶質マークを形成するに際し、走査方向に対
    する非晶質マークの幅を変化させることによってその大
    きさを制御するとともに、上記非晶質マークの幅が、多
    段階の記録レベルの何れにおいても再生用エネルギービ
    ームの走査方向に対する幅より小さくなされている請求
    項1〜4の何れかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 記録媒体に対して記録用集束光ビームを
    相対的に走査せしめて走査方向に沿って溶融領域を形成
    して非晶質マークを形成するに際し、走査方向に対する
    非晶質マークの長さを変化させることによってその大き
    さを制御するとともに、上記の非晶質マークの長さが、
    多段階の記録レベルの何れにおいても再生用エネルギー
    ビームの走査方向に対する長さより小さくなされている
    請求項1〜5の何れかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 1つの記録レベル区間から他の記録レベ
    ル区間に遷移する際に、結晶状態に相当する記録レベル
    区間を必ず経る請求項1〜6の何れかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 各非晶質マークは結晶領域に囲まれて孤
    立しており、各孤立した非晶質マークに対応した反射光
    強度のピーク間隔を基準長さTで一定とする請求項7に
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 孤立した尖頭波形のピーク間隔が基準長
    さTの整数倍であり、ピーク間隔LT(Lはn種類の整
    数)とm段階の記録レベルの2種類の可変値により多値
    記録を行う請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 記録レベル区間が、n種類の長さを有
    する台形状の波形を有し該台形状の区間の長さ及び該台
    形状の区間の間の長さの少なくとも一方が変調されてい
    る請求項7に記載の方法。
  11. 【請求項11】1つの記録レベル区間から他のレベル区
    間へ遷移するときに基準となる記録レベルを経由するこ
    となく連続的に遷移する請求項1〜6の何れかに記載の
    方法。
  12. 【請求項12】1つの記録レベル区間の記録用エネルギ
    ービーム照射時間の一部又は全部を、1つ以上の記録パ
    ルス区間と1つ以上の遮断区間とに分離すると共に、該
    記録レベル区間内における記録用エネルギービームのパ
    ワーを、記録パルス区間においては、記録層を溶融する
    に足るパワーPwとし、遮断区間においては、Pwより
    も小さい0を含むパワーPbとし、且つ、該照射時間内
    の記録用エネルギービームの照射パターンを変化させる
    ことによって非晶質マークの大きさを制御する請求項1
    〜11の何れかに記載の方法。
  13. 【請求項13】遮断区間において照射する記録用エネル
    ギービームのパワーPbは、0≦Pb≦0.2Pwを満
    足する請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】Pb及びPwの大きさを変化させること
    により、照射時間内の記録用エネルギービームの照射パ
    ターンを変化させる請求項12又は13に記載の方法。
  15. 【請求項15】記録パルス区間及び/又は遮断区間の長
    さを変化させることにより、照射時間内の記録用エネル
    ギービームの照射パターンを変化させる請求項12〜1
    4の何れかに記載の方法。
  16. 【請求項16】再生用光ビームの径rbを記録区間Tの
    空間的長さTs以上とする請求項1〜15の何れかに記
    載の方法。
  17. 【請求項17】1つの記録レベル区間を形成するための
    記録用エネルギービーム照射時間の一部又は全部を、1
    つの記録パルス区間とその前及び/及び後に付随する遮
    断区間との分離すると共に、該記録レベル区間内におけ
    る記録用エネルギービームのパワーを、記録パルス区間
    においては、記録層を溶融するに足るパワーPwとし、
    遮断区間においては、Pwよりも小さい0を含むパワー
    Pbとし、且つ、Pw、Pb、記録パルス区間の長さ、
    及び/又は遮断区間の長さを変化させることによって非
    晶質マークの大きさを制御する請求項16に記載の方
    法。
  18. 【請求項18】記録レベル区間の長さが基準長さTであ
    り、非晶質マークの大きさの制御を、記録パルス区間の
    記録レベル区間に対応するデューティー比を変化させる
    ことによって行う請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】記録レベルの数が4以上である請求項1
    〜18の何れかに記載の方法。
  20. 【請求項20】最も強い反射光強度Rcと最も弱い反射
    光強度Raとを包含する反射光強度範囲をm個(m>
    1)の区間に分割し、最大の反射光強度を有する区間は
    最も強い反射光強度Rcを包含し、最小の反射光強度を
    有する区間は最も弱い反射光強度Raを包含する様にm
    個の区間を設定し、得られた反射光強度が上記m個の区
    間のどれに属するかを以て、どの記録レベルに相当する
    かを判断する請求項1〜19の何れかに記載の方法。
  21. 【請求項21】m個の区間が、互いに等しい反射光強度
    範囲の幅を有する請求項29に記載の方法。
  22. 【請求項22】m個の区間の反射光強度の幅がRcに近
    いほど広くなっている請求項20に記載の方法。
  23. 【請求項23】エネルギービームの照射によって結晶状
    態と非晶質状態との間で相変化を生じる記録層を有する
    情報記録用媒体であって、該記録層における溶融状態か
    らの再結晶化が、結晶領域からの結晶成長によって実質
    的に進行することを特徴とする多値記録用媒体。
  24. 【請求項24】記録層が、Sbを含む合金組成を有する
    請求項23に記載の媒体。
  25. 【請求項25】共晶点よりもSbを過剰に含むSbTe
    合金組成を有する請求項24に記載の媒体。
  26. 【請求項26】記録層が次の組成を含む請求項24に記
    載の媒体。 【化1】Mx(SbyTe1-y1-x (ただし、0<x≦0.2、0.6≦y、M=In、G
    a、Zn、Ge、Sn、Si、Cu、Au、Ag、P
    d、Pt、Pb、Bi、Cr、Co、O、S、N、S
    e、Ta、Nb、V、Zr、Hf及び希土類金属から成
    る群から選ばれる少なくとも1種である。)
  27. 【請求項27】記録層が次の組成を含む請求項26に記
    載の媒体。 【化2】M’αGeβ(SbγTe1-γ1-α―β (ただし、M’はInおよび/またはGa、0.001
    ≦α≦0.1、0.001≦β≦0.15、0.65≦
    γ≦0.85)
  28. 【請求項28】記録層の上下に保護層を設け、一方の保
    護層の記録層に対する反対側の面に反射層を設けてなる
    請求項23〜27の何れかに記載の媒体。
  29. 【請求項29】記録層の膜厚が1nm以上30nm以
    下、記録層と反射層の間に設けた誘電体保護層の膜厚が
    60nm以下であり、反射層がAl、Ag又はAuを主
    成分とする合金である請求項28に記載の媒体。
  30. 【請求項30】反射層の面積抵抗率が0.1〜0.6Ω
    /□である請求項28又は29に記載の媒体。
  31. 【請求項31】デューティー比の変化に対して、反射光
    強度が略直線的な変化を示す請求項18に記載の方法に
    用いる請求項23〜30の何れかに記載の媒体。
  32. 【請求項32】デューティー比が95%以上の場合に
    は、非晶質マークが生成しない請求項18に記載の方法
    に用いる請求項23〜31の何れかに記載の媒体。
  33. 【請求項33】最も小さい反射光強度Raが得られるデ
    ューティー比をDa(%)、最も小さい反射光強度Rc
    が得られるデューティー比をDc(%)とするとき、D
    c−Da≧50%である請求項31又は32に記載の媒
    体。
JP30370799A 1998-10-26 1999-10-26 多値記録再生方法および相変化型多値記録用媒体 Pending JP2001084591A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30370799A JP2001084591A (ja) 1998-10-26 1999-10-26 多値記録再生方法および相変化型多値記録用媒体

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30429098 1998-10-26
JP10-304290 1998-10-26
JP11-196386 1999-07-09
JP19638699 1999-07-09
JP30370799A JP2001084591A (ja) 1998-10-26 1999-10-26 多値記録再生方法および相変化型多値記録用媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001084591A true JP2001084591A (ja) 2001-03-30

Family

ID=27327235

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30370799A Pending JP2001084591A (ja) 1998-10-26 1999-10-26 多値記録再生方法および相変化型多値記録用媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001084591A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002099791A1 (fr) * 2001-06-05 2002-12-12 Tdk Corporation Procede permettant de mesurer des donnees caracteristiques pour un support d'enregistrement optique multiniveau et procede d'evaluation pour un support d'enregistrement optique multiniveau
WO2002099793A1 (en) * 2001-06-05 2002-12-12 Tdk Corporation Multi-level optical recording medium
JP2003507218A (ja) * 1999-08-18 2003-02-25 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 再書き込み可能な光学情報記録媒体
WO2003021582A1 (fr) * 2001-08-10 2003-03-13 Tdk Corporation Procede permettant de determiner des donnees caracteristiques d'un support d'enregistrement optique multi-niveau et support d'enregistrement optique multi-niveau
JP2003100991A (ja) * 2001-09-20 2003-04-04 Ricoh Co Ltd 相変化型不揮発性メモリ素子、該相変化型不揮発性メモリ素子を用いたメモリアレーおよび該相変化型不揮発性メモリ素子の情報記録方法
US7102969B2 (en) 2001-09-12 2006-09-05 Tdk Corporation Multi-level optical recording medium reproducing method and reproducing device
US7126897B2 (en) 2002-03-18 2006-10-24 Ricoh Company, Ltd. Multi-level information recording apparatus, multi-level information recording method, multi-level information recording medium and multi-level information recording-reproducing apparatus
US7221637B2 (en) 2001-06-05 2007-05-22 Tdk Corporation Multi-level optical recording medium, multi-level recording method, and multi-level reproduction method
US7548505B2 (en) 2001-07-18 2009-06-16 Sony Corporation Optical recording medium having a relationship between groove width and track pitch

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003507218A (ja) * 1999-08-18 2003-02-25 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 再書き込み可能な光学情報記録媒体
WO2002099791A1 (fr) * 2001-06-05 2002-12-12 Tdk Corporation Procede permettant de mesurer des donnees caracteristiques pour un support d'enregistrement optique multiniveau et procede d'evaluation pour un support d'enregistrement optique multiniveau
WO2002099793A1 (en) * 2001-06-05 2002-12-12 Tdk Corporation Multi-level optical recording medium
US7221637B2 (en) 2001-06-05 2007-05-22 Tdk Corporation Multi-level optical recording medium, multi-level recording method, and multi-level reproduction method
US7548505B2 (en) 2001-07-18 2009-06-16 Sony Corporation Optical recording medium having a relationship between groove width and track pitch
US8110343B2 (en) 2001-07-18 2012-02-07 Sony Corporation Manufacturing method for optical recording and reproducing medium stamper
WO2003021582A1 (fr) * 2001-08-10 2003-03-13 Tdk Corporation Procede permettant de determiner des donnees caracteristiques d'un support d'enregistrement optique multi-niveau et support d'enregistrement optique multi-niveau
US7102969B2 (en) 2001-09-12 2006-09-05 Tdk Corporation Multi-level optical recording medium reproducing method and reproducing device
JP2003100991A (ja) * 2001-09-20 2003-04-04 Ricoh Co Ltd 相変化型不揮発性メモリ素子、該相変化型不揮発性メモリ素子を用いたメモリアレーおよび該相変化型不揮発性メモリ素子の情報記録方法
US7126897B2 (en) 2002-03-18 2006-10-24 Ricoh Company, Ltd. Multi-level information recording apparatus, multi-level information recording method, multi-level information recording medium and multi-level information recording-reproducing apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100486324B1 (ko) 다가 기록재생 방법 및 상 변화 다가 기록 매체
US5848043A (en) Modulation of laser power in accordance with a linear velocity by pulse division schemes
US6411579B2 (en) Optical recording method and optical recording medium
JP3171103B2 (ja) 光記録方法および光記録媒体
JPH09282661A (ja) 光記録方法、装置及び光記録媒体
JP4255202B2 (ja) 光記録方法
JP3899770B2 (ja) 光学的情報記録用媒体並びにその再生方法及び記録方法
JP2001084591A (ja) 多値記録再生方法および相変化型多値記録用媒体
JP3584634B2 (ja) 光学的情報記録用媒体
JP4073581B2 (ja) 光学的情報記録用媒体及び光記録方法
JP2002074741A (ja) 光学的情報記録用媒体
JP2005153338A (ja) 光記録媒体
JP3651231B2 (ja) 光学的情報記録用媒体
JP2001273638A (ja) 相変化型記録媒体の記録方法
JP3731372B2 (ja) 光学的情報記録用媒体並びにその再生方法及び記録方法
JP2003303443A (ja) 相変化型記録媒体
JP2001056958A (ja) 光学的情報記録用媒体及び光記録方法
JP3493913B2 (ja) 光学的情報記録用媒体
JP4357169B2 (ja) 情報記録媒体
JP3455521B2 (ja) 光記録方法
JP2007038685A (ja) 光学的情報記録用媒体並びにその再生方法及び記録方法
JP2008207438A (ja) 相変化記録材料及び情報記録用媒体
JP2003016643A (ja) 光記録方法および光学的情報記録媒体
JP2006239868A (ja) 相変化型光記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20031028

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20051124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20051128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061106