JP2001083298A - 静電閉じ込め核融合装置 - Google Patents

静電閉じ込め核融合装置

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JP2001083298A
JP2001083298A JP25777199A JP25777199A JP2001083298A JP 2001083298 A JP2001083298 A JP 2001083298A JP 25777199 A JP25777199 A JP 25777199A JP 25777199 A JP25777199 A JP 25777199A JP 2001083298 A JP2001083298 A JP 2001083298A
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anode
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cathode
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Yoshiya Higuchi
佳也 樋口
Yoshihiko Nagamine
嘉彦 長峯
Takashi Okazaki
隆司 岡崎
Kazuhiro Takeuchi
一浩 竹内
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Hitachi Ltd
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    • Y02E30/10Nuclear fusion reactors

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極から放出される熱電子が陽極に到達する
のを抑制し、電源電流を効率的にイオン電流に変換して
核融合反応の効率を向上させる。 【解決手段】 球状の真空容器10の外側に磁場発生用
の円形コイル9を設置し、真空容器10内の陰極1に磁
場を印加することができるようにした。真空容器10の
内部には、陰極1、第1及び第2の陽極が収納され、陰
極1と第1及び第2の陽極2,3間には加速電源が接続
されている。、陰極1は絶縁碍子11で装置上部から支
持され、この絶縁碍子11を通る軸と円形コイル9の中
心軸とが共通になるようにし、上下一対のコイルで磁場
発生用のコイル9を構成する。これにより、放出された
熱電子を第1の陽極2に到達しにくくし、電源電流を効
果的にイオンの加速に用いて中性子発生の効率を高めこ
とが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核融合によりエネ
ルギーまたは中性子を発生させる核融合装置に係り、特
に、陰極から放出される熱電子を制御する構成に特徴の
ある静電閉じ込め核融合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、放射性同位体の製造、金属探査、
材料試験、半導体プロセスなどに中性子を利用するニー
ズが増大している。従来は原子炉または加速器によりこ
れらの中性子を得ていたが、装置構成が大規模になり、
中性子を必要とする拠点ごとにこれらの装置を設置する
ことは困難であった。しかし、最近静電閉じ込め型の核
融合装置を用いた中性子発生実験が成功を納め、小型の
中性子源としての活用が期待されている。静電閉じ込め
型の核融合装置は例えば「プラズマ・核融合学会誌 第
73巻第10号」(1997年10月)の1080ページに解説記
事が記載されている。該装置では、通常球形もしくは円
筒形の同心電極を真空容器の内部に設置し、グロー放電
などの手段で重水素イオンまたは3重水素イオンを生成
し、これらのイオンを装置の中心に向かって静電的に加
速して核融合反応を起こし、中性子を発生させる。
【0003】図8に従来の典型的な静電閉じ込め核融合
装置の電極構成と回路構成を示す。本静電閉じ込め核融
合装置は篭状の陰極1と、球面板状の第1陽極2及びメ
ッシュ状第2陽極3とから電極が構成されている。この
ように電極を配置し、第1陽極2と第2陽極3の間の空
間でグロー放電あるいはフィラメントを用いた熱電離な
どでプラズマ4を生成する。プラズマ4中のイオン5は
第2陽極3を通過し、陰極1と第2陽極3との間にかけ
られた電界により陰極1中心に向かってさらに加速され
る。イオン5は篭状の陰極1をすり抜け、一旦、篭状の
陰極1の中心を通過するが、慣性運動エネルギーにより
再び反対方向の第2陽極3に向かって飛行する。しか
し、減速電界の作用を受け、再び陰極1に向かって加速
されるようになり、以下、このような動作を篭状の陰極
1に衝突するまで繰り返す。
【0004】このようなイオン5の集団は高エネルギー
状態で陰極1の中心を往復するため、陰極1の中心では
高エネルギーイオンの密度が高まり、核融合反応が起こ
るようになる。装置によっては第2陽極3がなく第1陽
極2と陰極1との間でグロー放電を起こしてプラズマ4
を生成し、第1陽極2と陰極1との間の電界で直ちに陰
極1の中心に向かってイオン5を加速するものもある
が、本質的な動作は同じである。
【0005】このとき加速電源6から供給される電流の
行方を図8を用いて以下に考察してみる。加速電源6の
負極側には陰極1、正極側には第2陽極3が接続され
る。陰極1と第2陽極3間は加速空間となり、絶縁され
る。従って電源回路はこの加速空間を飛行する荷電粒子
によって初めて接続され、電源6の両端を結ぶ閉回路に
なる。通常の動作では、陽極3側から飛行したイオン5
が最終的に陰極1と衝突し、陰極1に帯電していた電子
と結合して中性気体となり遊離する。このとき、陰極1
からは電子が消失するため、これを定常的に供給する電
子の流れが電流7になる。電流7の方向は電子の移動方
向と反対であるとして定義されているため、これは陰極
1から電源6へと向かう電流である。
【0006】このようにして「電源6の正極→第2陽極
3→イオン流れ→陰極1→電子流れ→電源6の負極」に
至る閉回路が形成されて、電流7が消費される。従って
この状態では電源供給電流7はすべてイオン電流に変換
されて核融合反応に寄与することになる。しかしエネル
ギーである電力の行方を追ってみると次のようなことが
わかる。 電源電力は陰極1と第2陽極3との間にかかった電
圧でイオンを加速するのに消費される。 加速されて得たイオンのエネルギーの一部は中心の
プラズマを熱化するのに使われるが、大部分は陰極1と
の衝突時に陰極1の熱化に使われてしまう。 加熱された陰極1は真空のため伝熱では十分に冷却
できず、高温になり輻射量が増大することによって熱平
衡に達する。 このとき計算によると、陰極半径75mm、陰極表面積
1304cm2の場合、加速電圧100kV、イオン電
流1Aで陰極温度は2500Kに達する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように静電閉じ込
め核融合装置の問題点は、中心部に配置された篭状の陰
極1にイオンが衝突し、該陰極1が加熱されて高温にな
ることである。高出力の中性子束を得ようとすると必然
的に投入電力を上げねばならないが、こうすると陰極の
高温化はさらに進み、ついには陰極1の融点に達してし
まう。従って高出力化には限界があると考えられてい
る。
【0008】一方、本発明の発明者は、さらに次のよう
な問題があることを見いだした。従来は、陰極にタング
ステン・タンタルなどの高融点金属を用いれば、陰極の
到達温度は前記のようにそれら高融点金属の融点近傍
(約3000K)まで許されると考えられていた。しか
し、これらの高融点金属は2000K程度に加熱される
と急激に熱電子を放出する。この状況は図9に示したグ
ラフにより説明される。図9のグラフは金属の熱電子放
出を記述するRichardson-Dushmanの式を、横軸に温度、
縦軸に放出電流をとってプロットしたものである。物質
に依存する仕事関数φはタンタルの4.2eVを用い
た。図9のグラフから分かるようにタンタルは1800
Kまでほとんど熱電子を放出しないが、2000K位か
ら急激に熱電子放出量が増大していく。
【0009】次に、これにより何が起こるかを再び図8
を用いて説明する。前節では電源供給電流は加速空間を
飛行するイオン5によって運ばれるとしていた。しかし
陰極1から熱電子8が放出されるとこの様相が一変す
る。正電荷を持つイオン5にとっては第2陽極3から陰
極1に向かう正電界が加速電界になるが、負電荷を持つ
電子8にとっては陰極1から第2陽極3に向かう方向に
加速電界となる。従って陰極1から放出された熱電子8
は直ちに加速されて第2陽極3または第1陽極2に到達
する。この電子電流が電源電流の第2の閉回路になり前
述のイオン電流の回路と並列の関係になる。しかし、例
えば重水素イオンと電子を比較すると質量の比は366
6:1で圧倒的に電子の方が軽い。一方、駆動力である
静電気力は同じため、電子電流の方が圧倒的に流れやす
いことになり、結果、電源電流は電子電流にそのほとん
どを支配される。そのため2000Kを超えると、イオ
ン電流は実質的に流れなくなり、核融合反応は止まって
しまう。ただしイオン電流が流れなくなると陰極1の加
熱も低下するため、陰極温度が下がって熱電子放出が止
み、再びイオン電流が流れると思われる。従って、陰極
温度は2000K程度で飽和すると考えられる。一方、
イオン電流も陰極温度は2000K程度に達するところ
で同時に飽和し、これ以上の核融合反応の増大はできな
い。
【0010】また、電源を定電圧動作にした場合、20
00Kを越えたところから急激に抵抗が減少するため、
電流が急増し保護回路が作動して電源が停止することが
考えられる。このとき電源の保護回路が動作できる時定
数を下回って電流が急増すると、電源を破壊する可能性
もある。
【0011】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、高出力の中性子束を発生することがで
きる静電閉じ込め核融合装置を提供することにある。
【0012】また、他の目的は、急激な電流増加により
電源に障害を与えることを未然に防ぐことができる静電
閉じ込め核融合装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明は、静電閉じ込め核融合装置の一部または全体に
磁場を印加し、陰極から放出される熱電子の軌道を偏向
して陽極に向かうことを妨げるように構成したことを特
徴とする。
【0014】さらに具体的には、第1の手段は、真空容
器、電極、該電極に電圧を印加する電源装置、及びイオ
ンや電子などの荷電粒子を生成する手段を備え、該荷電
粒子群を電極間の電気的作用により加速し、さらに該加
速荷電粒子群を電気的作用により空間の領域に集合せし
める静電閉じ込め核融合装置において、前記荷電粒子群
が生成および/または集合する領域に磁場を印加する手
段を設けた構成とした。
【0015】この場合、前記電極は第1および第2の少
なくとも2つの電極を含み、第2の電極がこれより相対
的に低い電位の電圧が印加される第1の電極を取り囲
み、該第1の電極から発生する熱電子の一部を前記磁場
を印加する手段により空間の一部の領域に閉じ込めるよ
うにする。さらに、陽極として機能する前記第2の電極
を第1の陽極と第2の陽極とから構成し、前記第1およ
び第2の陽極の間で生成したイオンを第2の陽極を通し
て前記第1の電極方向に電界で加速するようにする。ま
た、前記磁場を印加する手段は熱電子を発生する第1の
電極に選択的に強い磁場を印加するように配置する。
【0016】また、前記第1及び第2の電極を同心球殻
状の部材で構成し、前記磁場を印加する手段により生成
した磁力線の一部が前記第2の電極または真空容器と交
差する部位に前記第2の電極または真空容器の一部を覆
うように絶縁性の部材を配置する。その際、前記磁場を
印加する手段により生成した磁力線の一部が前記第2の
陽極と交差する部位に開口部を設ける。また、前記第1
の電極を絶縁材からなる支持部材により装置の中心部に
固定し、前記支持部材の中心軸を通る延長線上で、かつ
第1の陽極の前記支持部材の固定部とは反対側の部位を
覆うように絶縁性の部材を配置するようにしてもよい。
【0017】さらに、磁力線の中心軸方向と絶縁材から
なる支持部材の中心軸とが一致するように当該支持部材
を配置し、前記第2の陽極の前記中心軸上に位置する部
位に開口部を設け、第1の陽極またはこれに相当する真
空容器内壁に絶縁性の部材を配置して前記第1の陽極ま
たは該真空容器の一部を覆うように配置してもよい。
【0018】第2の手段は、第1の手段において、各電
極を同心円筒面状の部材で構成し、装置の外部に該同心
円筒面状電極の軸方向に磁場を発生する手段を設けた構
成とした。
【0019】この場合、前記各電極の同心円筒軸が交差
する内壁に絶縁性の部材を設け、該内壁を覆うように配
置し、前記電極の円筒軸が交差する内壁の部位から前記
円筒軸に沿って絶縁碍子を延設し、第1の電極を支持す
るようにする。さらに、前記磁場を印加する手段を真空
容器の外部に円筒軸に沿って配された複数のコイルから
構成し、これらのコイルがHelmholtzコイルとして作用
するようコイルの平均半径とコイル間隔とが1:2に近
い値になるよう配置するとよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明の実
施形態について説明する。
【0021】<第1の実施形態>図1は第1の実施形態
に係る静電閉じ込め核融合装置(以下、単に「核融合装
置」と称する。)の概略構成図である。同図において、
本実施形態に係る核融合装置は、球状の真空容器10の
外側に磁場発生用の円形コイル9を設置し、真空容器1
0内の陰極1に磁場を印加することができるようにした
もので、真空容器10の内部には、図8に示した従来例
と同等の各構成要素が収納されている。ただし、陰極1
は図のように絶縁碍子11で装置上部から支持される。
この絶縁碍子11を通る軸と円形コイル9の中心軸とが
共通になるようにし、上下一対のコイルで磁場発生用の
コイル9を構成する。円形コイル9の中心軸を絶縁碍子
11の軸に一致させた理由は後で説明する。その他の構
成は前述の従来例と同等に構成されているので、ここで
は、重複する説明は省略する。
【0022】熱電子を磁場で効果的にトラップするには
強い磁場を印加して偏向半径を小さくすることが望まし
い。しかし、同時にイオンの軌道もわずかであるが偏向
され、陰極1の中心における集束性に影響を与えてしま
う。重水素イオンの場合、その偏向半径は同じ運動エネ
ルギーを持つ電子の約600倍であるが、これにより本
来陰極1の中心の一点で集束するはずのイオンが中心を
通らなくなる。この問題を評価するため、図2と図3に
この状況を計算した例を示す。
【0023】図2は装置全体に紙面裏面から手前に向か
う一様磁場を印加した場合の、陰極放出熱電子の軌道1
2を示す。磁場強度は1000G、電子の熱速度は25
00K相当、半径75mmの陰極1に−100kVを印
加し、半径400mmの陽極3は接地電位とした。この
場合、電子は陰極・陽極間の1/2程度まで到達する
が、再び陰極1側に折り返す軌道12を描く。一方、図
3は印加磁場と電場を同じ条件にした場合のイオンの軌
道13を描いたものである。イオンは直線に近い軌道1
3を描くが、折り返しごとにわずかに軌道が偏向される
ため、その軌道13は陰極1の中心を通らず、中心には
穴20が開いているのが見て取れる。
【0024】この問題は陰極1がある中心軸近傍には強
い磁場を印加して電子の偏向半径を小さくし、イオンの
運動エネルギーが減少する外側では磁場を弱くしてイオ
ン軌道への影響を小さくすることで解決できる。
【0025】図4と図5に半径1mの大型の静電閉じ込
め核融合装置において、一様磁場でなく、装置上下に断
面が扁平で開口径の小さなコイル9を装備した場合の磁
場計算例を示す。図4は外半径1.6mのコイルに10
0000アンペア・ターンの電流を流した場合の磁力線
形状14を示し、図5は装置赤道断面上の磁束密度分布
を示している。図のように断面が扁平で開口径の小さな
コイル9を用いると中心軸に近い領域に選択的に強い磁
場を作ることができる。これにより実際の磁場配位では
上記問題が低減され、解決されると考えられる。したが
って、前述のように円形コイル9の中心軸が絶縁碍子1
1からずれると、図5に示したような磁場のピークが中
心軸からずれ、陰極1近傍の所望の位置に強い磁場を形
成することができなくなる。そこで、前述のように、円
形コイル9の中心軸を絶縁碍子11に軸に一致させるよ
うにしている。
【0026】しかし、本実施形態ではまだ以下に説明す
る問題がある。
【0027】すなわち、図4に示したように磁力線14
は陰極1を取り囲む紡錘形になっている。このときこの
磁力線14に直交する向きに運動する電子は前記の計算
例のようにトラップできるものの、磁力線14に沿って
運動する電子の運動は抑制できない。また本体系では半
径方向に電子に対する加速電界が掛けられているので、
赤道面15をわずかに外れた電子に対して磁力線14に
沿う方向に加速を与え、その結果として、電子は磁力線
14に巻き付くように上下方向に運動し上部の碍子11
か下部の陽極3の底面に衝突してしまう。このとき下部
の陽極3の底面に衝突する電子は、前述したような陰極
・陽極間をつなぐ電子電流として寄与する。
【0028】そこで本実施形態では、図1に示すように
装置の上部と下部の陽極3に開口部16を設け、さらに
接地電位にある真空容器10、もしくは第1陽極2を接
地電位にしてある場合は、第1陽極2の天井部と底面と
に皿上の絶縁物17を設置する。このようにすることで
磁力線14に沿ってガイドされてきたイオン5を皿上の
絶縁物17で受け止め、電流として遮断することができ
る。この構造にすると当然ながら天井部と底面の部分か
らはイオン5は出射されなくなるが、従来の性能に変化
を与えない。その理由を以下に説明する。
【0029】すなわち、図6のように静電閉じ込め核融
合装置では、陰極1に高電圧が印加されるため、大直径
の絶縁碍子11で陰極1を支持することが必要になる。
しかしこの構造では陰極中心を通って往復できるイオン
の領域は図6の斜線部分18だけになる。これ以外の領
域ではたとえ底部からイオンが出射されても、陰極中心
通過後には絶縁碍子11に衝突してしまうため、中心部
分のイオン密度の増大にはほとんど寄与しない。従っ
て、図1のようにこの部分ではイオン放出を止め、第2
陽極3に開口部16を設け、接地電位部分に絶縁の皿1
7を設置しても問題はない。
【0030】このように構成すると、陰極1が熱電子放
出領域まで加熱されても、放出された熱電子を陽極に到
達しにくくすることができ、電源電流を効果的にイオン
の加速に用いることが可能となり、陰極1部分にイオン
をより多く入射させることができるので、中性子発生の
効率を高めることが可能になる。
【0031】また、放出された熱電子を陽極に到達しに
くくすることができるので、定電圧駆動の場合に、急激
な電流増加によって電源に障害を与えるおそれが極小に
なる。
【0032】<第2の実施形態>図7は本発明の第2の
実施形態に係る静電閉じ込め核融合装置の概略構成図で
ある。
【0033】この実施形態は、第1の実施形態における
球状の静電閉じ込め核融合装置を、円筒状の静電閉じ込
め核融合装置へ適用した例である。図9にその概念を示
す。円筒状の静電閉じ込め核融合装置では、これまで説
明してきた球形の装置の構成をすべて円筒形状に変形し
たものである。ただし、陰極1を保持する絶縁碍子11
は半径方向からではなく、軸方向の両端から延ばして支
持させることができる。そのため球形の装置のように絶
縁碍子11がイオンの飛行を妨げることがない。本実施
形態では磁場を印加するコイル9を図7のように円筒型
装置の外側から軸方向に複数並設して、軸方向の磁場を
印加できるようにした。コイル9を並べる間隔は、内部
磁場が中心軸に沿って一様になるようにHelmholtz型の
コイルの配位にすることが望ましい。Helmholtz型のコ
イルの配位は、例えば共立出版社「電磁気学演習」の2
33ページに記載されており、コイル半径とコイル間隔
の比を1:2にとるというものである。この磁場配位で
は電極に印加された電界と磁界とが至るところ直交する
ため、発生した熱電子は磁力線に沿って加速されること
はない。ただし磁力線に沿った熱拡散は起こるため、軸
方向の内壁に絶縁物17を設置し、電子電流として流れ
ることを防止する。
【0034】その他、特に説明しない各部は前述の第1
の実施形態と同等に構成され、同等に機能する。
【0035】
【発明の効果】以上のように、荷電粒子群が生成および
/または集合する領域に磁場を印加する手段を設けた本
発明によれば、陰極が熱電子放出領域まで加熱されて
も、放出された熱電子を陽極に到達しにくくすることが
でき、電源電流を効果的にイオンの加速に用いることが
できるので、中性子発生の効率を高めることが可能にな
る。
【0036】また、放出された熱電子を陽極に到達しに
くくすることができるので、急激な電流増加によって電
源に障害を与えることを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る核融合装置の概略構
成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における電子の軌道計算結
果を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるイオンの軌道計算
結果を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態における磁力線の計算結果
を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態における磁場分布の計算結
果を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態及び従来装置におけるイオ
ン分布を示す概念図である。
【図7】本発明の他の実施形態における核融合装置の概
略構成を示す断面図である。
【図8】本発明の対象となる静電閉じ込め核融合装置の
構成と作用を示す概念図である。
【図9】熱電子放出特性を示すRichardson-Dushmanの式
をプロットしたグラフである。
【符号の説明】
1 陰極 2 第1陽極 3 第2陽極 4 プラズマ 5 イオン 6 電源 7 電源電流 8 熱電子 9 コイル 10 真空容器 11 碍子 16 開口部 17 絶縁部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡崎 隆司 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 (72)発明者 竹内 一浩 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器、電極、該電極に電圧を印加す
    る電源装置、及び荷電粒子を生成する手段を備え、該荷
    電粒子群を電極間の電気的作用により加速し、さらに該
    加速荷電粒子群を電気的作用により空間の領域に集合せ
    しめる静電閉じ込め核融合装置において、 前記荷電粒子群が生成および/または集合する領域に磁
    場を印加する手段を設けたことを特徴とする静電閉じ込
    め核融合装置。
  2. 【請求項2】 前記電極が第1および第2の少なくとも
    2つの電極を含み、第2の電極がこれより相対的に低い
    電位の電圧が印加される第1の電極を取り囲み、該第1
    の電極から発生する熱電子の一部を前記磁場を印加する
    手段により空間の一部の領域に閉じ込めることを特徴と
    する請求項1記載の静電閉じ込め核融合装置。
  3. 【請求項3】 陽極として機能する前記第2の電極が第
    1の陽極と第2の陽極とからなり、前記第1および第2
    の陽極の間で生成したイオンを第2の陽極を通して前記
    第1の電極方向に電界で加速することを特徴とする請求
    項2記載の静電閉じ込め核融合装置。
  4. 【請求項4】 熱電子を発生する第1の電極に選択的に
    強い磁場を印加するように、前記磁場を印加する手段を
    配置したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    1項に記載の静電閉じ込め核融合装置。
  5. 【請求項5】 前記第1及び第2の電極を同心球殻状の
    部材で構成し、前記磁場を印加する手段により生成した
    磁力線の一部が前記第2の電極または真空容器と交差す
    る部位に前記第2の電極または真空容器の一部を覆うよ
    うに絶縁性の部材を配置したことを特徴とする請求項1
    ないし4のいずれか1項に記載の静電閉じ込め核融合装
    置。
  6. 【請求項6】 前記磁場を印加する手段により生成した
    磁力線の一部が前記第2の陽極と交差する部位に開口部
    を設けたことを特徴とする請求項5記載の静電閉じ込め
    核融合装置。
  7. 【請求項7】 前記第1の電極を絶縁材からなる支持部
    材により装置の中心部に固定し、前記支持部材の中心軸
    を通る延長線上で、かつ第1の陽極の前記支持部材の固
    定部とは反対側の部位を覆うように絶縁性の部材を配置
    したことを特徴とする請求項3または4に記載の静電閉
    じ込め核融合装置。
  8. 【請求項8】 磁力線の中心軸方向と絶縁材からなる支
    持部材の中心軸とが一致するように当該支持部材を配置
    し、前記第2の陽極の前記中心軸上に位置する部位に開
    口部を設け、第1の陽極またはこれに相当する真空容器
    内壁に絶縁性の部材を配置して前記第1の陽極または該
    真空容器の一部を覆うように配置したことを特徴とする
    請求項3または4に記載の静電閉じ込め核融合装置。
  9. 【請求項9】 各電極を同心円筒面状の部材で構成し、
    装置の外部に該同心円筒面状電極の軸方向に磁場を発生
    する手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし4の
    いずれか1項に静電閉じ込め核融合装置。
  10. 【請求項10】 前記各電極の同心円筒軸が交差する内
    壁に、絶縁性の部材を設け、該内壁を覆うように配置し
    たことを特徴とする請求項9記載の静電閉じ込め核融合
    装置。
  11. 【請求項11】 前記電極の円筒軸が交差する内壁の部
    位から前記円筒軸に沿って絶縁碍子を延設し、第1の電
    極を支持することを特徴とする請求項9または10に記
    載の静電閉じ込め核融合装置。
  12. 【請求項12】 前記磁場を印加する手段が真空容器の
    外部に円筒軸に沿って配された複数のコイルからなり、
    かつ、これらのコイルがHelmholtzコイルとして作用す
    るようコイルの平均半径とコイル間隔とが1:2に近い
    値になるよう配置されていることを特徴とする請求項9
    ないし11のいずれか1項に記載の静電閉じ込め核融合
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10212825C1 (de) * 2002-03-22 2003-07-17 Astrium Gmbh Entladungsgrid für eine elektrische Neutronenquelle
JP2011501237A (ja) * 2007-10-24 2011-01-06 ハラメイン,ナツシム 磁気流体力学シミュレーション装置および方法
JP2017091710A (ja) * 2015-11-06 2017-05-25 株式会社東芝 核融合中性子発生装置および核融合中性子発生方法

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