JP2001081304A - 自己修復性ポリフェニレンエーテル樹脂材料 - Google Patents

自己修復性ポリフェニレンエーテル樹脂材料

Info

Publication number
JP2001081304A
JP2001081304A JP25755199A JP25755199A JP2001081304A JP 2001081304 A JP2001081304 A JP 2001081304A JP 25755199 A JP25755199 A JP 25755199A JP 25755199 A JP25755199 A JP 25755199A JP 2001081304 A JP2001081304 A JP 2001081304A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyphenylene ether
self
catalyst
resin material
molecular weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25755199A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazumichi Uchida
一路 内田
Chishiro Minamitani
千城 南谷
Kunihiko Takeda
邦彦 武田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP25755199A priority Critical patent/JP2001081304A/ja
Publication of JP2001081304A publication Critical patent/JP2001081304A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用環境での劣化を防止できるポリフェ
ニレンエーテル樹脂材料を提供する。 【構成】 a)ポリフェニレンエーテルまたはポリフェ
ニレンエーテルを含む樹脂組成物、b)a)のポリフェ
ニレンエーテルを該当するモノマー、オリゴマーから実
質的に合成することのできる有効量の触媒からなる自己
修復性ポリフェニレンエーテル樹脂材料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な自己修復能力
を有するポリフェニレンエーテル系高分子材料に関す
る。
【0002】
【従来技術】従来ポリフェニレンエーテル樹脂は耐熱
性、電気特性、耐酸性、耐アルカリ性、寸法安定性等に
優れ、しかも低比重、低吸水性であるなどの優れた特性
を有する樹脂であり広く使用されている。しかし、ポリ
フェニレンエーテル系樹脂に限らず一般に高分子材料は
光や熱、媒体接触、応力負荷等の使用環境(大きくは自
然環境によるエネルギー)下にさらされるうちに徐々に
劣化し、本来の優れた特性を失っていく。従来はこの様
なポリフェニレンエーテル系樹脂材料の劣化現象を防止
するため、安定剤や強化剤を混合し耐久性を向上させる
ことに主眼をおいて検討がなされてきた。このことは換
言すれば外部から加えられたエネルギーをポリフェニレ
ンエーテル高分子自体に作用させずに添加剤により散逸
させることでポリフェニレンエーテル系材料の劣化を防
止するという受動的な方法であったと言えよう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の方
法では、外部から加えられたエネルギーは添加剤に集中
し、やがて添加剤の効果が無くなれば、ポリフェニレン
エーテル材料は劣化し使用に耐えられなくなるであろう
ことは想像に難くない。添加剤の量を多くすればそれだ
け劣化は抑制されると考えられるが、この場合はポリフ
ェニレンエーテル本来が有する優れた性質はその材料の
初期段階から発揮されなくなってしまう。
【0004】また高分子はその殆どが石油資源から作ら
れることを考えると、今後ますます材料のリサイクルや
長寿命化が希求されていくことになると考えられる。
【0005】従って、従来のポリフェニレンエーテル系
材料の劣化を防止するために何らかの添加剤を混合する
といった従来からの受動的な方法ではなく、ポリフェニ
レンエーテルの劣化は必ず発生するものと捉え、材料が
劣化したらそれを積極的に修復し元の状態を回復させる
という発想による能動的自己修復による劣化防止方法と
それを実現できる材料の開発が急務であると認識され
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】我々は前記された課題を
解決するため、ポリフェニレンエーテル材料の能動的自
己修復による劣化防止という観点に基づき鋭意検討を行
った結果、本発明に至った。即ち本発明は、a)ポリフ
ェニレンエーテル、またはポリフェニレンエーテルを含
む樹脂組成物、b)a)のポリフェニレンエーテルを該
当するモノマー、オリゴマーから実質的に合成すること
のできる有効量の触媒、からなる自己修復性ポリフェニ
レンエーテル樹脂材料である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明のa成分として用いられることがで
きるポリフェニレンエーテルとは次に示す一般式(1)
【0009】
【化1】
【0010】の繰り返し単位を含むものであり、構成単
位のα、あるいはβからなる単独重合体、あるいはα、
βを含む共重合体が使用できる。共重合体の場合、好ま
しくはαに対してβは10wt%迄の範囲で用いること
ができる。ポリフェニレンエーテル単独重合体の例とし
ては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル
−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニ
レン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6
−i−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2−エチル−6−i−プロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−i−プロピル−1,
4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−フ
ェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6
−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2−メチル−6−クロロ−1,4−フェニレン)エー
テル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,
4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ク
ロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2
−メチル−6−メトキシ−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2−メチル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2,6−ジ(p−フルオロフェニル)−1,4−フェ
ニレン)エーテル、等のホモポリマーが挙げられるが、
本発明の趣旨からこれらの例には限定はされない。
【0011】工業的に重要なポリフェニレンエーテルの
例はポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エ
ーテルである。
【0012】ポリフェニレンエーテル共重合体の例とし
ては例えば、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾ
ールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,
3,6−トリメチルフェノールとの共重合体等、ポリフ
ェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレン
エーテル共重合体を含有する。
【0013】また本発明のポリフェニレンエーテルには
本発明の趣旨に反しない限り、従来ポリフェニレンエー
テルに存在させても良いことが提案されている他の種々
のフェニレンエーテルユニットが含有していてもかまわ
ない。少量存在させることが提案されているものの例と
しては、一般式(2)に示すように末端基として特公平
7−47634号公報等記載のアミノアルキル置換末端
基(γ)や4−ヒドロキシビフェニル末端基(δ)、
【0014】
【化2】
【0015】高分子鎖中の異種構造として一般式(3)
に示すような特開平1−297428号公報、特開昭6
3−301222号公報記載の、2−(ジアルキルアミ
ノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット
(ε)や2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチ
ル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット(ζ)、
【0016】
【化3】
【0017】更には、特公昭61−20575号公報記
載のキノン結合ポリフェニレンエーテル(η)
【0018】
【化4】
【0019】も存在を許容される。
【0020】更に、特開平2−276823号公報、特
開昭63−108059号公報、特開昭59−5972
4号公報等に記載されている、炭素−炭素二重結合を持
つ化合物により変性されたポリフェニレンエーテルをも
含有する。
【0021】本発明におけるポリフェニレンエーテルを
含む樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル成分以外の
成分を含有してなる組成物を指す。ポリフェニレンエー
テル以外の成分は本発明の効果を妨げない限り特に限定
はされない。従って本発明ではポリフェニレンエーテル
を含む樹脂組成物という表現は、ポリフェニレンエーテ
ルを含む樹脂組成物中にポリフェニレンエーテル以外の
少なくとも1種以上の有機化合物が含有されるものと定
義する。
【0022】ポリフェニレンエーテル成分以外の有機化
合物成分でポリマー成分としてはポリスチレン、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ゴム変性ポリスチレン、アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジ
エンゴムに代表されるエラストマー及びその水添ゴム等
のビニル系重合ポリマーとポリフェニレンエーテルとの
組成物及びアロイ、ポリアミド、ポリカーボネート、ポ
リエステル、ポリフェニレンフルフィド等縮合系ポリマ
ーとポリフェニレンエーテルとの組成物及びアロイ等が
挙げられる。またポリフェニレンエーテルとこれらを相
溶化させるための相溶化剤などを含むものも含有する。
【0023】ポリフェニレンエーテル成分以外の有機化
合物成分で低分子量の成分として好ましく使用されるも
のは、可塑剤、難燃剤に類するものである。難燃剤では
燐系の難燃剤が好ましい。
【0024】例を列挙すると、リン酸トリ−2−エチル
ヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、
クレジルジフェニルフォスフェート、キシレニルジフェ
ニルフォスフェート、ビスフェノールA−ビス(ジフェ
ニルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジク
レジルフォスフェート)等に代表されるリン酸エステル
類、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ
オクチルに代表されるフタル酸エステル類、グリセリン
モノオレイン酸エステル、アジピン酸ジアルキル、セバ
シン酸ジアルキル等に代表される脂肪族一(または)二
塩基酸エステル類、ジエチレングリコールジベンゾエー
トに代表される二価アルコールエステル類、ブチルフタ
リルブチルグリコレート等のオキシ酸エステル類が挙げ
られるがこれらの例に限定されるものではない。
【0025】またポリフェニレンエーテル成分以外の成
分は1種類以上のものを組み合わせて使用することもで
きる。
【0026】本発明においては必須ではないが、有機化
合物として更に水素供与能力を持つ化合物を加えること
が有効であることが多い。この様な化合物は一般に3級
水素を有する脂肪族あるいは芳香族炭化水素化合物また
はフェノール性水酸基を持つ化合物である。例を挙げる
と、トリフェニルメタン、クメン等の3級水素を持つ化
合物、3級水素を持つ炭化水素オキシ基を持つフタル酸
エステル類であり、フェノール性水酸基を持つ化合物は
通常アデカスタブ(旭電化)、スミライザー(住友化
学)、イルガノックス(チバ・スペシャリティ・ケミカ
ルズ)等の商標名で呼ばれるものが良い結果を与えるこ
とが多いがこれらに限定されない。これらの化合物は1
種でも用いられ得るし、何種類かを併用しても良い。
【0027】この様なポリフェニレンエーテル及びポリ
フェニレンエーテルを含む樹脂組成物に必要であれば、
本発明の効果を阻害しない限りにおいて更に任意の成分
を含有させることができる。例えば、着色剤、離型剤、
ガラス繊維、炭素繊維等の補強剤、炭酸カルシウム、タ
ルク等の充填剤等が挙げられる。
【0028】本発明のb成分はa成分のポリフェニレン
エーテルを該当するモノマー、オリゴマーから実質的に
合成することのできる有効量の触媒である。
【0029】本発明におけるポリフェニレンエーテルに
該当するモノマーに相当する単位は一般式(1)で述べ
たようなものが1個である1価フェノール類である。オ
リゴマーに相当する単位は一般式(1)で述べた様な単
位を複数個有する低分子量の連鎖であり具体的には2以
上の重合度を持つ連鎖である。これらを重合可能な触媒
であれば特に種類は限定されない。様々な図書、刊行物
に記載されている様な任意の触媒が用いられ得る。具体
的には銅アミン系の触媒、マンガンキレート系の触媒な
どが好例である。これらの触媒は1種類の触媒系でも用
いられ得るし、数種の系の触媒を混合した混合系からな
るものでも良い。
【0030】触媒の使用量は特に限定されないが、望み
の自己修復能力を発揮するに必要な量を用いればよい。
この量を本発明では有効量と表現している。触媒系の中
で好適なものは、該当するモノマー、オリゴマーを酸素
含有雰囲気下で重合させてポリフェニレンエーテルを得
る重合反応をさせた際に高活性である触媒系である。こ
の様な高活性な触媒の例として銅アミン系の触媒として
はジアミン系の触媒を使用することが挙げられる。この
様なものの例としては例えば、特開昭49−41490
号公報記載の銅/2座配位第3級アミン系の触媒、特開
昭53−30698号、特開昭59−131627号、
特開昭59−196318号各公報記載の銅化合物/2
級ジアミン/3級モノアミン/臭素化合物/2級モノア
ミン系の触媒、特開昭63−135423号、特開昭6
3−142029号、特開昭63−304025号、特
開昭64−119号、特開平1−45427号、特開平
1−33131号、特開平1−158035号の各公報
記載の銅化合物/3級ジアミンと特殊な2級アミン類か
らなるような触媒系を用いる方法、特開平10−878
18号公報記載の銅ジアミン触媒系に特殊なアニオンを
用いる方法、特開平10−237172号公報記載の銅
/非対称ジアミンを用いる方法等、各公報に記載されて
いる例が挙げられる。また同じく高活性なマンガンキレ
ート触媒系の例としては例えば、特開昭51−3499
5号や特開昭51−34996号公報記載のマンガン/
ヒドロキシオキシム触媒系、特開昭51−87600号
公報記載のマンガン/ヒドロキシアレーンオキシム触媒
系、特開昭53−79992号公報記載のマンガン/フ
ェニルベンゾインオキシム系触媒、特開昭53−799
94号公報記載のマンガン/ベンゾインオキシムを含む
ポリマーによるキレート触媒系、特開昭58−1932
9号公報記載のマンガン/オルソヒドロキシアゾ化合物
系の触媒、特開昭62−86019号公報記載のマンガ
ン/サリチリデンジアミンまたはトリアミン系の触媒、
特開昭62−95319号公報記載のマンガン/ビスサ
リチリデンジアミン系の触媒等、各公報に記載されてい
る例が挙げられる。
【0031】この様な高活性な触媒系を用いることの利
点は本発明にとってb成分の触媒の使用量(有効量)自
体を低下させることができることにあるが、用いる触媒
が低活性であっても、必要に応じて望みの自己修復能力
を発揮するに必要な量を用いればよいのであって、本発
明においては高活性に特にこだわる必要はない。触媒の
有効量は本発明が適用される条件により一概には言えな
いが、通常本発明のポリフェニレンエーテル1モルに対
して、触媒の金属成分が0.00001モルから10モ
ルの範囲で用いられることが好結果を与えることが多
い。
【0032】a成分とb成分の混合手段は特に限定され
ず既知のいかなる方法も使用することができる。例えば
a成分とb成分が溶ける溶媒中で双方を溶解させ任意の
方法で溶媒を除去する方法、a成分とb成分の溶液をミ
キサー等で混合する方法、押出機での混練等の方法が代
表的であろう。
【0033】この様にして得たポリフェニレンエーテル
の混合物を通常の方法で構造材等に成型できる。a成分
とb成分とを混合した後の混合物は既に自己修復性を有
しているので、場合によっては最終製品となるまで不活
性ガス雰囲気下での作業が好ましいが特にこの作業は必
須ではない。
【0034】
【実施例】次に工業的に重要なポリ(2,6−ジメチル
−1,4−フェニレン)エーテルについて本発明を更に
具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら
制限されるものではない。
【0035】(ポリフェニレンエーテルの合成)実施例
と比較例で用いるポリフェニレンエーテルは特開平1−
33131号公報に記載されている方法に従って、溶媒
にトルエンとメタノールを使用し、ジブチルアミンの存
在下で2,6−キシレノールを酸化カップリング重合さ
せて製造した。即ち、還流冷却器、パドル翼型攪拌器及
び底部に酸素導入用の焼結ガラスフィルターを備えたジ
ャケット付きセパラブル型のガラス製反応器に150g
の2,6−キシレノールを379.6gのトルエンと2
53.1gのメタノールに溶かした溶液を加え、次いで
1.3602gの塩化第二銅2水和物と7.655gの
35%濃塩酸を843.6gのメタノールに溶かした溶
液と39.967gのN,N,N’,N’−テトラメチ
ルジアミノプロパンと15.072のジ−n−ブチルア
ミンを1265.4gのトルエンに溶かした溶液を混合
し、良く溶解させた溶液の217.3gを反応器に加
え、底部から酸素を導入し酸化カップリング反応を開始
した。重合中、重合温度は40℃を保つように調整し
た。重合時間を適宜変え、所定の重合時間終了後、エチ
レンジアミン4酢酸4ナトリウム塩を含むメタノールを
ポリフェニレンエーテル樹脂の約3倍重量添加して重合
を終了させた。これを40℃で温洗浄後濾別し、繰り返
し何度もメタノールで洗浄し白色のウェットポリマーを
得て、140℃で真空乾燥させてサンプルのポリフェニ
レンエーテルを得た。各例ではそれぞれ重合度(分子
量)の異なるサンプルを使用した。
【0036】(ポリフェニレンエーテルの分子量)ポリ
フェニレンエーテルの分子量は次の方法で測定した。嶋
津製作所製の高速液体クロマトグラフィー(LC−10
A)と視外可視分光光度型(SPD−10A)からなる
GPCシステムを用いて、カラムは昭和電工製のSho
dexK−806M、移動相はクロロホルム、流速0.
8ml/min、カラムオーブン内温度は40℃、単分
散ポリスチレンを検量線として使用した。サンプルのポ
リフェニレンエーテル濃度は0.005g/10mlク
ロロホルム溶液である。
【0037】(実施例と比較例のサンプルの調整)本発
明では自己修復能力を示す材料の試験を実施例等にて行
う。この為、自己修復試験を行うためのサンプルの取り
扱いには試験誤差を最小にするための十分なる注意が必
要である。以下にその注意点について記載する。
【0038】自己修復試験を行うためのサンプルの調整
及び自己修復試験終了後のサンプルの分析の為の処理は
すべて窒素置換されたグローブボックス内で行った。自
己修復試験に共するサンプルはフィルム試験片とダンベ
ル試験片の2種類がある。
【0039】まずフィルム試験片の作成について記載す
る。窒素置換されたグローブボックス内でフィルム試験
片を作成するに当たり次の触媒溶液を準備した。触媒溶
液はポリフェニレンエーテルの合成の項で述べた触媒と
基本的に同一のものである。 即ち、0.0416gの塩化第二銅2水和物と0.1
966gの35%濃塩酸を3gのメタノールにとかし、
1.596gのN,N,N’,N’−テトラメチルジア
ミノプロパンを100gのクロロホルムに溶かした溶液
を混合し、触媒の溶けた溶液を準備した。一方、ポリ
フェニレンエーテル単独(またはポリフェニレンエーテ
ル組成物の場合は更に有機化合物が入っているもの)が
入ったサンプル管にこの触媒液を所定量加え更に希釈溶
解の為にクロロホルムを所定量加え、均一溶液が得られ
るまで攪拌を行った。この溶液をフラットシャーレ上
に移し、温度70℃に設定したホットプレート上で水平
を保ちながら1時間乾燥させフィルム試験片を作成し
た。
【0040】次にダンベル試験片の作成について記載す
る。フィルム試験片の時と同様に窒素置換されたグロー
ブボックス内において、0.45gの塩化第二銅2水
和物とを15.4gのN,N,N’,N’−テトラメチ
ルジアミノプロパンを2.01gのメタノールにとか
し、触媒の溶けた溶液を準備した。一方、ポリフェニ
レンエーテル単独(またはポリフェニレンエーテル組成
物の場合は更に有機化合物が入っているもの)が入った
サンプル管にこの触媒液を所定量加え良く混合させた。
次いで東洋精機製作所製のミニテストプレス機で1/3
2インチの厚みの板を230℃でプレスし成型を行っ
た。成型後、ダンベル試験片を抜き打ち加工した。試験
片の形状を図1に示す。
【0041】試験片は、実施例等の試験に共する時以外
は窒素置換されたデシケータ内に保管された。試験終了
後のサンプルは速やかに窒素で置換されたグローブボッ
クス内に移動させ、分子量の測定用サンプルを調整し
た。
【0042】(自己修復モデル試験方法)フィルム試験
片をデシケータ内に入れ、酸素で置換する。直ちに40
℃に保たれた恒温乾燥機に入れ、所定時間放置する。試
験前と試験後のポリフェニレンエーテルの分子量を測定
する。
【0043】(疲労試験方法)疲労試験はダンベル試験
片を使用し、今田製作所製の引張圧縮試験機(SV−2
01)を用いて行う。疲労試験における静荷重をポリフ
ェニレンエーテル単独の引張強度の5分の1とし、正弦
的変位により試験片に圧縮がかからないように上限と下
限を設定する。空気雰囲気で25℃における1Hzの周
波数で測定を行う。破断したら試験終了とする。破断し
た試料の破断面近傍を削り取り、試験前と試験後のポリ
フェニレンエーテルの分子量を測定する。
【0044】以下の実施例で実施例1、2、3及び比較
例1はフィルム試験片を用いた自己修復モデル試験例を
示し、実施例4、5、6、7、8及び比較例2はダンベ
ル試験片を用いた疲労試験例を示す。
【0045】
【実施例1】ポリフェニレンエーテルの分子量=750
0であるポリフェニレンエーテルが0.5g、フタル酸
ジメチルが0.5gからなるポリフェニレンエーテル組
成物に触媒溶液を1.0g(Cu/ポリフェニレンエー
テル=0.019モル比)加え、更にクロロホルム9g
を加えた溶液からフィルム試験片を作成した。これを自
己修復モデル試験に共した。試験前の分子量が7500
であったのに対し、5日間、40℃の酸素雰囲気中で保
管すると分子量は12000へ上昇したことが判った。
【0046】
【実施例2】実施例1ポリフェニレンエーテルの分子量
=49000にした以外は実施例1と全く同じ条件で行
った。試験前の分子量が49000であったのに対し、
5日間、40℃の酸素雰囲気中で保管すると分子量は試
験前の1.3倍に上昇したことが判った。
【0047】
【比較例1】実施例2で触媒溶液を入れない(フィルム
試験片を作成するために溶解させる必要があるのでクロ
ロホルムのみを加えて溶解させた溶液からフィルム試験
片を作成したのみ)以外は実施例2と全く同じ条件で行
った。この場合は、試験の前後で分子量の増大は観測さ
れなかった。
【0048】
【実施例3】実施例2でフタル酸ジメチルの代わりにリ
ン酸トリフェニル(TPP)を同重量加えた以外は実施
例2と全く同じ条件で行った。試験前の分子量が490
00であったのに対し、5日間、40℃の酸素雰囲気中
で保管すると分子量は実施例2と同様に試験前の1.3
倍に上昇したことが判った。
【0049】実施例1、実施例2、実施例3及び比較例
1の結果から、本発明のポリフェニレンエーテル材料は
酸素雰囲気下において高分子化を誘起し、分子量の増大
が見られることが判る。このことは通常の使用において
も、分子量の低下を誘起する何らかの劣化が発生した際
に、本発明のポリフェニレンエーテル材料は劣化による
分子量の低下を修復することができることが明らかであ
る。このことについて以下の実施例で詳述する。
【0050】
【実施例4】ポリフェニレンエーテル60gに対し、触
媒溶液を17.86g(Cu/ポリフェニレンエーテル
=2.28モル比)加えた混合物からダンベル試験片を
作成した。疲労試験前の分子量は52700であった
が、疲労試験後の分子量は54000に増大したことが
判った。
【0051】
【実施例5】実施例4で触媒溶液を5.95g(Cu/
ポリフェニレンエーテル=0.75モル比)にした以外
は実施例4と全く同じ条件で行った。疲労試験前の分子
量は51400であったが、疲労試験後の分子量は51
600であり、分子量が変化しないことが判った。
【0052】
【比較例2】実施例4で触媒溶液を加えずにダンベル試
験片を作成した以外は実施例4と全く同じ条件で行っ
た。疲労試験前の分子量は51200であったが、疲労
試験後の分子量は50500であり、疲労試験によりポ
リフェニレンエーテルの分子量が低下してしまったこと
が判った。
【0053】実施例4、実施例5及び比較例2の結果か
らこの条件の疲労試験においてポリフェニレンエーテル
は分子量の減少が観測されるが、本発明の材料とする事
で分子量は回復し、自己修復能力を有する材料となって
いることが判る。
【0054】
【実施例6】実施例5でポリフェニレンエーテル60g
に対し、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを12g加え
たポリフェニレンエーテル組成物を使用した以外は実施
例5と全く同じ条件で行った。疲労試験前の分子量は5
1400であったが、疲労試験後の分子量は52000
であり、分子量が増大したことが判った。
【0055】
【実施例7】実施例6で触媒溶液を4.76g(Cu/
ポリフェニレンエーテル=0.6モル比)にした以外は
実施例6と全く同じ条件で行った。疲労試験前の分子量
は51400であったが、疲労試験後の分子量は515
00であり、分子量が変化しないことが判った。
【0056】
【実施例8】実施例7でステアリル−β−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
トの代わりにリン酸トリフェニルを12g加えたポリフ
ェニレンエーテル組成物を使用した以外は実施例7と全
く同じ条件で行った。疲労試験前の分子量は51400
であったが、疲労試験後の分子量は51500であり、
分子量が変化しないことが判った。
【0057】実施例5、実施例6、実施例7及び実施例
8の結果から、燐系難燃剤や水素供与化合物は本発明の
材料の自己修復能力を効果的にし、加える触媒の量(有
効量)を低減できることが判る。
【0058】本発明の趣旨から、実施例で詳述した例に
とどまらず、他のいかなる改変も含むことができること
を理解されたい。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、ポリフェニレンエーテ
ル系の材料に関しポリフェニレンエーテル系の材料が劣
化した場合に、それを積極的に修復し元の状態を回復さ
せるといった能動的自己修復による劣化防止方法とそれ
を実現できる材料を提供することができる。この材料
は、環境に調和した次世代の構造材等に広く応用が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に使用したダンベル試験片の説
明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/16 C08L 101/00 Fターム(参考) 4J002 AC032 AC112 BB032 BB122 BC032 BN142 BN152 CF002 CG002 CH071 CL002 CN012 EA049 EH057 EH097 EH127 EH147 EN036 EN116 EQ016 ES016 EW048 FA010 FD027 FD138 FD206

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)ポリフェニレンエーテル、またはポ
    リフェニレンエーテルを含む樹脂組成物、 b)a)のポリフェニレンエーテルを該当するモノマ
    ー、オリゴマーから実質的に合成することのできる有効
    量の触媒、からなる自己修復性ポリフェニレンエーテル
    樹脂材料。
  2. 【請求項2】 ポリフェニレンエーテルを含む樹脂組成
    物中にポリフェニレンエーテル以外の少なくとも1種以
    上の有機化合物が含有されることからなる請求項1記載
    の自己修復性ポリフェニレンエーテル樹脂材料。
  3. 【請求項3】 有機化合物の少なくとも一つが可塑剤で
    ある請求項2記載の自己修復性ポリフェニレンエーテル
    樹脂材料。
  4. 【請求項4】 有機化合物の少なくとも一つが燐系難燃
    剤である請求項2記載の自己修復性ポリフェニレンエー
    テル樹脂材料。
  5. 【請求項5】 有機化合物の少なくとも一つが水素供与
    能力を持つ化合物である請求項2記載の自己修復性ポリ
    フェニレンエーテル樹脂材料。
  6. 【請求項6】 水素供与能力を持つ化合物が3級水素を
    有する脂肪族あるいは芳香族炭化水素化合物またはフェ
    ノール性水酸基を持つ化合物である請求項5記載の自己
    修復性ポリフェニレンエーテル樹脂材料。
JP25755199A 1999-09-10 1999-09-10 自己修復性ポリフェニレンエーテル樹脂材料 Pending JP2001081304A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25755199A JP2001081304A (ja) 1999-09-10 1999-09-10 自己修復性ポリフェニレンエーテル樹脂材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25755199A JP2001081304A (ja) 1999-09-10 1999-09-10 自己修復性ポリフェニレンエーテル樹脂材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001081304A true JP2001081304A (ja) 2001-03-27

Family

ID=17307862

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25755199A Pending JP2001081304A (ja) 1999-09-10 1999-09-10 自己修復性ポリフェニレンエーテル樹脂材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001081304A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006003905A1 (ja) * 2004-07-01 2006-01-12 Mitsui Chemicals, Inc. 自己修復性材料
WO2007069765A1 (ja) * 2005-12-16 2007-06-21 Japan Advanced Institute Of Science And Technology 自己修復材料

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006003905A1 (ja) * 2004-07-01 2006-01-12 Mitsui Chemicals, Inc. 自己修復性材料
WO2007069765A1 (ja) * 2005-12-16 2007-06-21 Japan Advanced Institute Of Science And Technology 自己修復材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6761989B2 (en) Polymer electrolyte and method for producing the same
US7268193B2 (en) Branched polyphenylene polymers
JP2010525153A (ja) 難燃剤ハロゲン化ポリマー組成物
TW200734402A (en) High-performance poly(aryl ether sulfone) composition
US10047224B2 (en) Cured product of polyphenylene ether-containing resin composition
JP7317213B2 (ja) 熱可塑性エラストマー、組成物、及び成形体
CN110099878A (zh) 多层玻璃用密封材料和多层玻璃
GB2395952A (en) Block copolymer and use thereof
KR20160003802A (ko) 폴리아릴에테르설폰 공중합체
JP2001081304A (ja) 自己修復性ポリフェニレンエーテル樹脂材料
WO1990015836A1 (en) Self-polymerizable phenylquinoxalines
US5476910A (en) Thermoplastic polyesters containing perfluoropolyoxyalkylene sequence
TWI809679B (zh) 聚苯醚、其製造方法、熱硬化組合物、預浸體、及積層體
EP3904424A1 (en) Poly(arylene ether ketone) resin, production method for same, and molded article
JP5625259B2 (ja) ポリフェニレンエーテル共重合体及びその製造方法
JPWO2021014800A1 (ja) ポリアリーレンエーテルケトン樹脂及びその製造方法、並びに成形体
JP2005290124A (ja) ポリフェニレンエーテル樹脂組成物
JPH10310619A (ja) 硬化性樹脂組成物、樹脂硬化物ならびに電気抵抗体
JPH05163352A (ja) ポリエーテルスルホンの製造法
EP3679085B1 (en) Modified polyaryl ether ketones
JP2023005442A (ja) ポリアリーレンエーテルケトン樹脂及びその製造方法、並びに樹脂組成物及び成形体
JPH06184300A (ja) 芳香族ポリエーテル及びその製造方法並びにトリアジン化合物
JP3266988B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2021020972A (ja) ポリアリーレンエーテルケトン樹脂及びその製造方法、並びに成形体
CN117106172A (zh) 聚苯醚、树脂组合物、树脂膜、预浸料和覆金属层积板

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20040220