JP2001079867A - 発泡成形用金型装置 - Google Patents

発泡成形用金型装置

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JP2001079867A
JP2001079867A JP25767399A JP25767399A JP2001079867A JP 2001079867 A JP2001079867 A JP 2001079867A JP 25767399 A JP25767399 A JP 25767399A JP 25767399 A JP25767399 A JP 25767399A JP 2001079867 A JP2001079867 A JP 2001079867A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】発泡成形体の先端部分の段差部の充填むらを解
消して、高低段差形状を精度よく成形する。 【解決手段】 凹型インサイド12aの外周は、固定枠
金物12bに固定され、凸型インサイド13aの外周
は、中間金型3を介して固定枠金物13bに固定され、
その間にキャビティ11が形成されている。この中間金
型3には、充填体側に低段部11bと高段部11aの段
差形状を形成するよう段差が設けられ、インサイド12
aと前記中間金型3との間には、外部に通じる独立通路
22に連通している第1の通気開口21を形成するパー
トラインが配置されるとともに、前記中間金型3の、前
記段差の高段部11aの上面部分に対面する部分には、
別個に前記独立通路22に連通している第2の通気開口
31aがを設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスチレンなど
の発泡性樹脂原料ビーズから発泡成形体を得るための発
泡成形方法に用いられる金型装置の改良に関する。特に
成形精度に優れ、蓋と容器の密閉性を向上できる蓋付き
容器状成形体を成形するための発泡成形用金型装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ここで、本発明の背景となる発泡成形方
法の概要を説明すると、この発泡成形に用いられる金型
装置の配置は、図12の断面略図に示すように、凸型1
3と凹型12が対向配置され、その各インサイド12
a、13aは発泡成形体が充填成形されるキャビティ1
1を形成している。そして、このインサイド12a、1
3aには、加熱用スチームや減圧排気などの用役を通す
ことができるよう多数のコアベント12y、13yが配
設されている。また、凸型13と凹型12とは、図示の
状態から凸型13を横方向に移動させて、キャビティ1
1に充填、成形された発泡成形体を取り出せるよう型開
きすることができる。
【0003】また、これら凹、凸型12、13の内部に
は、外部からスチーム、圧縮空気などの用役が供給され
る凹側チャンバ12xと凸側チャンバ13xが形成さ
れ、インサイド12aのほぼ中央には原料ビーズをキャ
ビテイ11内に充填するための充填器3が凹側チャンバ
12xを貫通して配置されている。なお、これら凹、凸
型12、13の上部には、スチームなど用役を供給する
ための用役口14、15が設けられ、下部には用役口1
6、17が設けられ、排気、吸気あるいはドレンなどの
用役に供されている。
【0004】このような発泡成形用金型装置を用いて、
発泡成形体を製造するには、先ず、原料タンク(図示せ
ず)から所定の発泡性樹脂を予備発泡させた原料ビーズ
を充填器3を通じてキャビティ11内に送入し充填した
後、凹側チャンバ12xと凸側チャンバ13xに加熱用
スチームを供給して加熱し、発泡融着させた後、冷却固
化させて、発泡成形体として取り出すという順に行われ
る。
【0005】そして、この発泡性原料ビーズの充填方法
として、従来から、1)凸型13を僅かに移動させ、凸
型13と凹型12との合わせ目を開いた状態、いわゆる
クラッキングを設けることにより、キャビテイ11内を
パートライン16から型間空間を経て大気圧に連通し開
放した状態において、充填器3に供給される充填エアに
より原料ビーズを機械的にキャビティ11中に搬送して
充填するクラッキング法がある。
【0006】また、次に、2)原料タンクの容器内を、
発泡性ポリスチレン樹脂の場合を例にすると、0.2〜
1.5kg/cm2 程度に加圧し、型閉めし、かつ、コ
アベント12y、13yから凹側チャンバ12xと凸側
チャンバ13xを通じて大気圧に開放した状態のキャビ
テイ11内に、その差圧を利用して発泡性樹脂の原料ビ
ーズを搬送して充填する加圧充填法がある。
【0007】さらに、3)原料タンクの圧力を、発泡ポ
リポロピレン樹脂の場合を例にすると、前記加圧充填法
より高めの1.0〜5.0kg/cm2 程度に加圧し、
かつ、チャンバ12x、13x内をそれより若干マイナ
ス圧に調整して、その差圧により原料ビーズを圧縮状態
のまま搬送して、キャビティ11内に充填する圧縮充填
法などが知られている。この場合には、前記のクラッキ
ングを設けないので、パートライン自体は閉状態に維持
され、充填が行われる。これらの充填方法は、要するに
原料タンクとキャビテイ11の間に適度な差圧を設け
て、この差圧に基づいて原料ビーズを送入するものであ
る。
【0008】ところで、近年、発泡成形体製の気密性の
高い蓋付き容器にニーズが増加し、それに応えて蓋と容
器本体とを図13に示すような凹凸嵌合形状に成形する
ようになった。しかし、このように、容器側の外周先端
に高段部11a、低段部11bの2段の段差を設け、そ
の高段部11aを蓋側の凹溝11dに嵌合させて、気密
性を高く維持するには、双方の先端部分の形状自体を精
度良く成形する必要もあった。
【0009】このような先端部分の高低段差を形成する
には、図12に例示するように、インサイド13aの充
填体の外周先端部分に相当する部位に多数のコアベント
13zを設けて、クラッキング法によって対応してい
た。図12の要部を拡大して示す断面図、図14に示す
通り、原料ビーズの充填時には、低段部11bの充填エ
アは開口したパートライン16から排気され、また高段
部11aの充填エアは、コアベント13zの多数の通気
孔からチャンバ13xに排気されるようにして、充填体
の先端部分が精度よく成形できるよう意図されていた。
【0010】しかしながら、前記多数のコアベントは密
接して配置すると、金型強度を低下させるので20mm
以下の間隔には配置できないこと、このコアベントは大
気に解放されていないことなどの理由で、前記充填体の
高段部11aの充填エアを均一に排気することができ
ず、その角隅部11cの充填が不十分となり、成形精度
が甘くなるという問題点があった。さらに、充填法のう
ち、加圧充填法や圧縮充填法では、図14におけるよう
に開口したパートライン16から排気することがないの
で、低段部11bのパートラインに沿った角隅部の充填
も不十分になるという問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたものであり、クラッキング
法、加圧充填法、および圧縮充填法などにおいて、発泡
成形体の先端部分の段差部の充填むらを解消して、高低
段差形状を精度よく成形することが可能となる構造の金
型装置を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の問題は、原料ビー
ズを充填して得られる充填体の先端部分に沿って段差を
成形するための金型装置であって、その充填体の先端部
分近傍に沿って第1の通気開口を形成するパートライン
を配置し、かつその第1の通気開口を外部に通じる独立
通路に連通させるとともに、前記段差部分には、少なく
とも第1の通気開口とは別個に第2の通気開口を設け、
この第2の通気開口も前記独立通路に連通させたことを
特徴とする本発明の発泡成形用金型装置によって解決す
ることができる。
【0013】この本発明の発泡成形用金型装置によれ
ば、充填体の先端部分には、パートラインにより形成さ
れる第1通気開口と、段差部分には、この第1通気開口
とは別個の第2通気開口とが設けられ、その双方が同じ
独立通路によって排気され得るので、充填むらを生じや
すい部位であっても、その充填不足を補うことができ、
高低段差部分の充填密度を平均化することが可能とな
る。
【0014】また、成形体が、このように高低段差を設
けるような複雑形状の場合には、金型も複雑になるので
幾何学的容量が大きくなるのは避けられず、その結果,
その部分の熱容量も増加することから、加熱や冷却を行
う成形操作時に、温度の上昇、または温度降下に遅延が
発生し、他の部分との間に品質差が生じる問題が見られ
た。また、この遅延を解消するため操作時間を延長する
と、他の部分が過熱状態あるいは過冷却状態となった
り、サイクルタイムの延長やエネルギロスになる不具合
があった。しかし、このような問題は、前記本発明の発
泡成形用金型装置における独立通路を、加圧空気、スチ
ーム、冷却水などの供給用、それらの排出用、または減
圧排気用を含む用役に供される通路に適用することによ
り解決することができる。すなわち、前記の熱容量が比
較的大きくなった部分に供給する用役を他の部分とは異
なった条件、例えば加熱速度や、冷却速度を独立してコ
ントロールしながら供給できるから、前記した遅延現象
を解消することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の発泡成形用金型装
置に係る実施形態について、図1〜11を参照しながら
説明する。先ず、第1実施形態を示す図1において、凹
型インサイド12aの外周部分は、凹型側固定枠金物1
2bを介して凹型フレーム(図示せず)に固定され、同
時に、凸型インサイド13aの外周は、中間金型3を介
して凸型側固定枠金物13bに固定され、この固定枠金
物13bは、凸型フレーム(図示せず)に固定されてい
て、インサイド12a、13a間に原料ビーズが充填さ
れ得るキャビティ11が形成されている。
【0016】この場合、前記中間金型3には、キャビテ
ィ11に露出する面に段差が設けられ、充填体側に低段
部11bと高段部11aの段差形状を形成するよう設定
されている。そして、この第1実施形態の特徴とすると
ころは、インサイド12aと前記中間金型3との間に第
1の通気開口21を形成するパートラインが配置され、
この第1の通気開口21は、凹凸型間に形成され外部に
通じる独立通路22に連通しているとともに、前記中間
金型3の、前記段差の高段部11aの上面部分に対面す
る部分には、第1の通気開口21とは別個に第2の通気
開口31aが設けられ、この第2の通気開口31aも中
間通路31bを通じて前記独立通路22に連通している
点にある。
【0017】ここで、第2の通気開口31aは、高段部
11aの全周の上面に対面する部分に、かつ角隅部に近
接させた部分に、2列に配置された幅0.3〜0.6m
m程度のスリット孔とし、その内部先端を中間通路31
bに到達する深さに穿設している。なお、平行細線で記
入された中間通路31bは、径3〜6mm程度の円形キ
リ孔または長円形エンドミル長孔を独立通路22側から
穿設して、前記第2の通気開口31aに通じるスリット
孔に連絡するように設けられている。このような構造に
よれば、充填体の高段部11aの充填エアが、第2の通
気開口31aから中間通路31bを経て、前記独立通路
22にスムーズに排気されるから、従来発生していた充
填むらを効果的に防止できる。また、本発明の金型装置
は、完全に型閉めした状態で、クラッキング法、加圧充
填法、および圧縮充填法などの圧力条件を採用して充填
を行うことができるものである。
【0018】なお、図1では、中間金型3には、第3の
通気開口31cが、低段部11bの上面に対面して設け
られ、中間通路31dを通じて前記独立通路22に連通
していて、この低段部11bにおける原料ビーズの充填
不足を補うように構成されている。また、この実施形態
の変形として、図2に示すよう、前記中間金型3の下部
に、補助金型32を追加固定すれば、第2の通気開口3
1a、第3の通気開口31cの位置を新たに、第2の通
気開口32a、第3の通気開口32cに変更することに
なるので、充填体の大きさが、この補助金型32の高さ
分だけ、小さくなるよう調節できる。従って、製品の大
きさを変更するような場合に迅速に、かつ容易に対応す
ることができるようになる。
【0019】第2の実施形態を図3によって説明する。
図3において、凹型インサイド12aの外周部分は、凹
型側固定枠金物12bを介して凹型フレーム(図示せ
ず)に固定され、同時に、凸型インサイド13aの外周
部分は、凸型側固定枠金物13bを介して凸型フレーム
(図示せず)に固定されていて、インサイド12a、1
3a間に原料ビーズが充填され得るキャビティ11が形
成されている。そして、この第2実施形態の特徴とする
ところは、インサイド13aの先端部分には、充填体の
段差形状を形成するために段差を設けた中間金型4が配
設され、この中間金型4は、少なくとも前記段差の高段
部11aの上面部分に対面する部分を構成する多孔質部
材41と、前記段差の低段部11bの上面部分に対面す
る部分を構成する補助部材42とからなるものである。
そして、インサイド12aと前記中間金型4の補助部材
42との間に第1の通気開口21を形成するパートライ
ンが配置され、この第1の通気開口21は、凹凸型間に
形成され外部に通じる独立通路22に連通しているとと
もに、多孔質部材41の無数の内部連通気孔は、キャビ
ティ11側に無数の第2の通気開口を形成し、かつ中間
通路42aを通じて前記独立通路22に連通している点
にある。なお、この中間通路42aは、第1実施形態の
中間通路31bと同様に準備される。
【0020】かくして、前記多孔質部材41の内部連通
気孔は、充填体の高段部11aの充填エアを、中間通路
42aを経て、前記独立通路22にスムーズに排気でき
るから、第1実施形態と同様に充填むらを効果的に防止
できるものである。なお、前記多孔質部材41として
は、金属粒子を焼結した、いわゆる焼結金属体が適当で
あり、また、この実施形態では、前記中間金型4は、多
孔質部材41と補助部材42から形成したが、これをす
べて多孔質部材で構成するようにしてもよい。
【0021】第3の実施形態を図4を参照して説明す
る。この実施形態では、インサイド12a、13aの最
先端部分に第1の通気開口21を形成するパ−トライン
を設定し、この第1の通気開口21を、凹凸型間に形成
され外部に通じている独立通路22に連通させるととも
に、先端部分には、充填体の高段部11a、低段部11
bを成形可能とする、コアベント51、52を段差を設
けて備えた中間金型5を配置した点に特徴がある。各コ
アベント51、52は、他の実施形態に同じく第2の通
気開口の機能を果たして各段差部分の排気を促すもので
あるが、最も排気しにくい最先端部分は、直面した第1
の通気開口21から排気できるので、十分な効果が期待
できる。
【0022】第4の実施形態を図5を参照して説明す
る。この実施形態では、第1、第2実施形態に同様な位
置に中間金型6が配置され、これには、キャビティ11
に露出する面に段差が設けられ、充填体側に低段部11
bと高段部11aの段差形状を形成するよう設定されて
いる。そして、インサイド12aと低段部11bの中間
金型6とに間に第1に通気開口21を形成するパートラ
インが配置され、凹凸型間に形成され外部に通じる独立
通路22に連通しているとともに、前記中間金型6の、
高段部11aの上面部分に対面する部分には、第2の通
気開口を形成するコアベント61が、例えば約20mm
ピッチに設けられ、スリット状の中間通路62を通じて
前記独立通路22に連通しているうえ、さらに、高段部
11aの上面角隅部に対面してキリ孔を直列に、例えば
10mmピッチに透設した点が特徴である。この実施形
態では、第2の通気開口の他、高段部11aの上面角隅
部に対面してキリ孔を設けたので、充填むらを効果的に
防止できる。
【0023】第5の実施形態を図6、7を参照して説明
する。この実施形態では、第1、第2実施形態と同様な
位置に中間金型7が配置され、これには、キャビティ1
1に露出する面に段差が設けられ、充填体側に低段部と
高段部の段差形状を形成するよう設定されている。そし
て、インサイド12aと低段部側の中間金型7との間に
第1に通気開口21を形成するパートラインが配置さ
れ、これは凹凸型間に形成され外部に通じる独立通路2
2に連通している。そして、前記中間金型7の、充填体
の高段部の上面部分に対面する両側の角隅部分には、第
2の通気開口71a、71bを形成するスリット状の中
間通路72、73が設けられ前記独立通路22に連通し
ている点が特徴である。
【0024】図7は、この中間金型7の部分を取り出し
た斜視図であり、金属ブロック74、75を積み重ね一
体化したもので、金属ブロック75には、複数個のスリ
ット形成用溝72a、73aが穿設してあり、インサイ
ド13aに固定したときに、スリット状の中間通路7
2、73を形成する。この実施形態では、第2の通気開
口71a、71bが、充填操作時に最も充填エアが抜け
にくい部位である、充填体の高段部の上面部分に対面す
る両側の角隅部分に形成されるので、充填むら防止に極
めて効果的である。
【0025】第6の実施形態を図8、9を参照して説明
する。この実施形態では、蓋付き容器の蓋部分を成形す
るためのものであり、キャビティ11の先端部分に形成
された高段部11c、11e、凹溝部11dに対応する
中間金型8を設けた金型装置である。基本的構造は、先
の第5実施形態に共通するもので、キャビティ11に露
出する面に中間金型8の段差が設けられ、充填体側に前
記段差形状を形成するよう設定されている。そして、イ
ンサイド12aと中間金型8との間に第1に通気開口2
1を形成するパートラインが配置され、これは凹凸型間
に形成され外部に通じる独立通路22に連通している。
そして、前記中間金型8の、充填体の高段部11c、1
1eのそれぞれの上面部分に対面する角隅部分には、第
2の通気開口81a、81bを形成するスリット状の中
間通路82、83が設けられ前記独立通路22に連通し
ている点が特徴である。
【0026】図9は、この中間金型8の部分を取り出し
た斜視図であり、金属ブロック84、85を積み重ね一
体化したもので、金属ブロック84には、複数個のスリ
ット形成用溝82aが、金属ブロック85には、複数個
のスリット形成用溝83aが穿設してあり、インサイド
13aに固定したときに、スリット状の中間通路82、
83を形成するように準備される。この実施形態では、
すでに述べた容器側に高段部11aが勘着され得る凹溝
部11dを備えた蓋を発泡成形するための金型装置であ
り、前記第2の通気開口81a、81bが、充填時の充
填エアを効果的に排気するので、充填体の充填むらを防
止でき、気密性の高い蓋を製作することができる。
【0027】本発明では、以上説明したように、所定の
第2の通気開口を設けるものであるが、具体的には、適
応部位の形状特性に応じて、キリ孔、コアベント、スリ
ット孔および多孔質部材の多数の連通孔の1種または2
種以上からなる組合せを適宜採用できる。また、以上の
説明では、充填体先端部分の構造を主に高低2段の段差
構造を事例にして説明したが、本発明の適用対象は、そ
の実施形態の構造に限定されるものでなく、原料ビ−ズ
の充填に際して排気状況に差が生じて、充填にむらが生
じるようなあらゆる形状を含み、本発明金型装置は適用
できる。なお、以上の各実施形態における、第1と第2
の通気開口は、原料ビーズの充填時に充填エアを排気す
るものであるから、供給される原料ビーズのサイズより
小さい口径または目開きに設定するものであり、通常
は、例えば、0.2〜0.7mm程度に設定する。
【0028】次に、本発明の他の実施形態について、図
10、11を参照して説明する。前記した実施形態にお
いては、キャビティ11から外部に通じる独立通路22
は、充填エアの排気用通路として説明されているが、こ
の新しい実施形態では、図10に例示するように、独立
通路22は排気系統に接続されるのみならず、発泡融着
処理の加熱用のスチーム、発泡処理後の冷却用の冷却
水、離型処理時の加圧空気などの供給、排出系統に接続
されたり、金型内の脱気や冷却処理のための真空減圧用
の排気系統に接続されるなどして、発泡成形処理におい
て用いられ得る前記各種用役の一種以上に供される通路
としての機能を兼ね備えた点に特徴がある。ここで独立
通路22を外部に連絡させるには、図10に例示するよ
うに、固定枠金物12bの部分からチャンバ12xを貫
通する連絡通路22aによって外部に通ずる構造の他、
図11に例示するように、金型12のフレームに設けら
れた、独立通路22と外部を連絡する新規な用役口22
bを利用する構造も適宜に採用できる。
【0029】このように、独立通路22を排気以外の用
役に兼用すれば、通常、充填体に用役を作用させるの
は、凸型チャンバ13x、および凹型チャンバ12xか
らコアベントを通じて行われるのに対して、あたかもこ
の独立通路が、第3のチャンバとして機能するのであっ
て、このように新たな通路から充填体に直接用役を作用
させることにより、充填むらの解消ほか、原料ビ−ズの
融着程度も均質化され、パートライン近傍の品質問題を
解消することができるようになる。また、インサイドの
パートライン近傍の加熱または冷却操作時の昇温または
降温の遅延を解消できるので、サイクルタイムを、例え
ば、独立通路を持たない場合135秒/1サイクルであ
ったものを95秒/1サイクルに短縮できるなど、生産
性の向上とあわせてエネルギロスの節減に効果がある。
【0030】
【発明の効果】本発明の発泡成形用金型装置は、以上に
説明したように構成されているので、発泡成形体の先端
部分の段差部の充填むらを解消して高低段差形状を精度
よく成形することが可能となり、発泡成形体からなる、
気密性に優れた蓋付き容器を生産することができる。ま
た、本発明の金型装置は、充填体の先端部分に、充填、
加熱、冷却など各発泡成形操作を独立して加えることが
できるので、成形体の品質を向上できる上、生産性の向
上に寄与するという優れた効果がある。よって本発明は
従来の問題点を解消した発泡成形用金型装置として、そ
の工業的価値は極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を説明するための要部断
面図。
【図2】第1実施形態の変化を説明するための要部断面
図。
【図3】第2実施形態を説明するための要部断面図。
【図4】第3実施形態を説明するための要部断面図。
【図5】第4実施形態を説明するための要部断面図。
【図6】第5実施形態を説明するための要部断面図。
【図7】第5実施形態の部分斜視図。
【図8】第6実施形態を説明するための要部断面図。
【図9】第6実施形態の部分斜視図。
【図10】本発明の他の実施形態を説明するための要部
断面図。
【図11】同上。
【図12】従来の金型装置の概要を示す断面図。
【図13】蓋付き容器の1例を示す断面図。
【図14】従来の金型装置の部分を示す断面図。
【符号の説明】
11 キャビティ、11a 高段部、11b 低段部、
12 凹型、12x凹型チャンバ、12a 凹型インサ
イド、12b 固定枠金物、13 凸型、13x 凸型
チャンバ、13a 凸型インサイド、13b 固定枠金
物、21 第1の通気開口、22 独立通路、22a
連絡通路、22b 用役口、3 中間金型、31a 第
2の通気開口、31b 中間通路、31c 第3の通気
開口、32 補助金型、32a 第2の通気開口、32
c 第3の通気開口。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月4日(2000.4.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 発泡成形用金型装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスチレンなど
の発泡性樹脂原料ビーズから発泡成形体を得るための発
泡成形方法に用いられる金型装置の改良に関する。特に
成形精度に優れ、蓋と容器の密閉性を向上できる蓋付き
容器状成形体を成形するための発泡成形用金型装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ここで、本発明の背景となる発泡成形方
法の概要を説明すると、この発泡成形に用いられる金型
装置の配置は、図12の断面略図に示すように、凸型1
3と凹型12が対向配置され、その各インサイド12
a、13aは発泡成形体が充填成形されるキャビティ1
1を形成している。そして、このインサイド12a、1
3aには、加熱用スチームや減圧排気などの用役を通す
ことができるよう多数のコアベント12y、13yが配
設されている。また、凸型13と凹型12とは、図示の
状態から凸型13を横方向に移動させて、キャビティ1
1に充填、成形された発泡成形体を取り出せるよう型開
きすることができる。
【0003】また、これら凹、凸型12、13の内部に
は、外部からスチーム、圧縮空気などの用役が供給され
る凹側チャンバ12xと凸側チャンバ13xが形成さ
れ、インサイド12aのほぼ中央には原料ビーズをキャ
ビテイ11内に充填するための充填器3が凹側チャンバ
12xを貫通して配置されている。なお、これら凹、凸
型12、13の上部には、スチームなど用役を供給する
ための用役口14、15が設けられ、下部には用役口1
6、17が設けられ、排気、吸気あるいはドレンなどの
用役に供されている。
【0004】このような発泡成形用金型装置を用いて、
発泡成形体を製造するには、先ず、原料タンク(図示せ
ず)から所定の発泡性樹脂を予備発泡させた原料ビーズ
を充填器3を通じてキャビティ11内に送入し充填した
後、凹側チャンバ12xと凸側チャンバ13xに加熱用
スチームを供給して加熱し、発泡融着させた後、冷却固
化させて、発泡成形体として取り出すという順に行われ
る。
【0005】そして、この発泡性原料ビーズの充填方法
として、従来から、1)凸型13を僅かに移動させ、凸
型13と凹型12との合わせ目を開いた状態、いわゆる
クラッキングを設けることにより、キャビテイ11内を
パートライン16から型間空間を経て大気圧に連通し開
放した状態において、充填器3に供給される充填エアに
より原料ビーズを機械的にキャビティ11中に搬送して
充填するクラッキング法がある。
【0006】また、次に、2)原料タンクの容器内を、
発泡性ポリスチレン樹脂の場合を例にすると、0.2〜
1.5kg/cm2 程度に加圧し、型閉めし、かつ、コ
アベント12y、13yから凹側チャンバ12xと凸側
チャンバ13xを通じて大気圧に開放した状態のキャビ
テイ11内に、その差圧を利用して発泡性樹脂の原料ビ
ーズを搬送して充填する加圧充填法がある。
【0007】さらに、3)原料タンクの圧力を、発泡ポ
リポロピレン樹脂の場合を例にすると、前記加圧充填法
より高めの1.0〜5.0kg/cm2 程度に加圧し、
かつ、チャンバ12x、13x内をそれより若干マイナ
ス圧に調整して、その差圧により原料ビーズを圧縮状態
のまま搬送して、キャビティ11内に充填する圧縮充填
法などが知られている。この場合には、前記のクラッキ
ングを設けないので、パートライン自体は閉状態に維持
され、充填が行われる。これらの充填方法は、要するに
原料タンクとキャビテイ11の間に適度な差圧を設け
て、この差圧に基づいて原料ビーズを送入するものであ
る。
【0008】ところで、近年、発泡成形体製の気密性の
高い蓋付き容器にニーズが増加し、それに応えて蓋と容
器本体とを図13に示すような凹凸嵌合形状に成形する
ようになった。しかし、このように、容器側の外周先端
に高段部11a、低段部11bの2段の段差を設け、そ
の高段部11aを蓋側の凹溝11dに嵌合させて、気密
性を高く維持するには、双方の先端部分の形状自体を精
度良く成形する必要もあった。
【0009】このような先端部分の高低段差を形成する
には、図12に例示するように、インサイド13aの充
填体の外周先端部分に相当する部位に多数のコアベント
13zを設けて、クラッキング法によって対応してい
た。図12の要部を拡大して示す断面図、図14に示す
通り、原料ビーズの充填時には、低段部11bの充填エ
アは開口したパートライン16から排気され、また高段
部11aの充填エアは、コアベント13zの多数の通気
孔からチャンバ13xに排気されるようにして、充填体
の先端部分が精度よく成形できるよう意図されていた。
【0010】しかしながら、前記多数のコアベントは密
接して配置すると、金型強度を低下させるので20mm
以下の間隔には配置できないこと、このコアベントは大
気に解放されていないことなどの理由で、前記充填体の
高段部11aの充填エアを均一に排気することができ
ず、その角隅部11cの充填が不十分となり、成形精度
が甘くなるという問題点があった。さらに、充填法のう
ち、加圧充填法や圧縮充填法では、図14におけるよう
に開口したパートライン16から排気することがないの
で、低段部11bのパートラインに沿った角隅部の充填
も不十分になるという問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたものであり、クラッキング
法、加圧充填法、および圧縮充填法などにおいて、蓋付
き容器に用いられる発泡成形体の外周先端部分の段差部
の充填むらを解消して、高低段差形状を精度よく成形す
ることが可能となる構造の金型装置を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の問題は、多数のコ
アベントを配設した、凸型と凹型のインサイドの間に形
成されるキャビティに原料ビーズを充填して得られる
器となる箱形状または蓋となる平板形状の充填体の外周
先端部分に沿って高段部と低段部の段差を成形するため
の金型装置であって、その充填体の先端部分の一方の段
差を成形する金型側に第1の通気開口を形成する隙間の
あるパートラインを配置し、かつその第1の通気開口を
凸型と凹型の間に形成され外部に通じる独立通路に連通
させるとともに、前記先端部分の他方の段差を成形する
金型側には、少なくとも第1の通気開口とは別個に第2
の通気開口を設け、この第2の通気開口も前記独立通路
に連通させたことを特徴とする本発明の発泡成形用金型
装置によって解決することができる。
【0013】この本発明の発泡成形用金型装置によれ
ば、容器となる箱形状または蓋となる平板形状の充填体
外周先端部分の一方の段差を成形する金型側には、
間のあるパートラインにより形成される第1通気開口
と、先端部分の他方の段差を成形する金型側には、この
第1通気開口とは別個の第2通気開口とが設けられ、そ
の双方が同じ独立通路によって排気され得るので、充填
むらを生じやすい部位であっても、その充填不足を補う
ことができ、高低段差部分の充填密度を平均化すること
が可能となる。
【0014】また、成形体が、このように高低段差を設
けるような複雑形状の場合には、金型も複雑になるので
幾何学的容量が大きくなるのは避けられず、その結果,
その部分の熱容量も増加することから、加熱や冷却を行
う成形操作時に、温度の上昇、または温度降下に遅延が
発生し、他の部分との間に品質差が生じる問題が見られ
た。また、この遅延を解消するため操作時間を延長する
と、他の部分が過熱状態あるいは過冷却状態となった
り、サイクルタイムの延長やエネルギロスになる不具合
があった。しかし、このような問題は、前記本発明の発
泡成形用金型装置における独立通路を、加圧空気、スチ
ーム、冷却水などの供給用、それらの排出用、または減
圧排気用を含む用役に供される通路に適用することによ
り解決することができる。すなわち、前記の熱容量が比
較的大きくなった部分に供給する用役を他の部分とは異
なった条件、例えば加熱速度や、冷却速度を独立してコ
ントロールしながら供給できるから、前記した遅延現象
を解消することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の発泡成形用金型装
置に係る実施形態について、図1〜11を参照しながら
説明する。先ず、第1実施形態を示す図1において、凹
型インサイド12aの外周部分は、凹型側固定枠金物1
2bを介して凹型フレーム(図示せず)に固定され、同
時に、凸型インサイド13aの外周は、中間金型3を介
して凸型側固定枠金物13bに固定され、この固定枠金
物13bは、凸型フレーム(図示せず)に固定されてい
て、インサイド12a、13a間に原料ビーズが充填さ
れ得るキャビティ11が形成されている。
【0016】この場合、前記中間金型3には、キャビテ
ィ11に露出する面に段差が設けられ、充填体側に低段
部11bと高段部11aの段差形状を形成するよう設定
されている。そして、この第1実施形態の特徴とすると
ころは、インサイド12aと前記中間金型3の低段部1
1b側との間に第1の通気開口21を形成する隙間のあ
パートラインが配置され、この第1の通気開口21
は、凹凸型間に形成され外部に通じる独立通路22に連
通しているとともに、前記中間金型3の、前記段差の高
段部11aの上面部分に対面する金型部分には、第1の
通気開口21とは別個に第2の通気開口31aが設けら
れ、この第2の通気開口31aも中間通路31bを通じ
て前記独立通路22に連通している点にある。
【0017】ここで、第2の通気開口31aは、高段部
11aの全周の上面に対面する金型部分に、かつ角隅部
に近接させた部分に、2列に配置された幅0.3〜0.
6mm程度のスリット孔とし、その内部先端を中間通路
31bに到達する深さに穿設している。なお、平行細線
で記入された中間通路31bは、径3〜6mm程度の円
形キリ孔または長円形エンドミル長孔を独立通路22側
から穿設して、前記第2の通気開口31aに通じるスリ
ット孔に連絡するように設けられている。このような構
造によれば、充填体の高段部11aの充填エアが、第2
の通気開口31aから中間通路31bを経て、前記独立
通路22にスムーズに排気されるから、従来発生してい
た充填むらを効果的に防止できる。また、本発明の金型
装置は、完全に型閉めした状態で、クラッキング法、加
圧充填法、および圧縮充填法などの圧力条件を採用して
充填を行うことができるものである。
【0018】なお、図1では、中間金型3には、第3の
通気開口31cが、低段部11bの上面に対面する金型
面に設けられ、中間通路31dを通じて前記独立通路2
2に連通していて、この低段部11bにおける原料ビー
ズの充填不足を補うように構成されている。また、この
実施形態の変形として、図2に示すよう、前記中間金型
3の下部に、補助金型32を追加固定すれば、第2の通
気開口31a、第3の通気開口31cの位置を新たに、
第2の通気開口32a、第3の通気開口32cに変更す
ることになるので、充填体の大きさが、この補助金型3
2の高さ分だけ、小さくなるよう調節できる。従って、
製品の大きさを変更するような場合に迅速に、かつ容易
に対応することができるようになる。
【0019】第2の実施形態を図3によって説明する。
図3において、凹型インサイド12aの外周部分は、凹
型側固定枠金物12bを介して凹型フレーム(図示せ
ず)に固定され、同時に、凸型インサイド13aの外周
部分は、凸型側固定枠金物13bを介して凸型フレーム
(図示せず)に固定されていて、インサイド12a、1
3a間に原料ビーズが充填され得るキャビティ11が形
成されている。そして、この第2実施形態の特徴とする
ところは、インサイド13aの先端部分には、充填体
に低段部11bと高段部11aの段差形状を形成するた
めに段差を設けた中間金型4が配設され、この中間金型
4は、少なくとも前記段差の高段部11aの上面部分に
対面する金型部分を構成する多孔質部材41と、前記段
差の低段部11bの上面部分に対面する金型部分を構成
する補助部材42とからなるものである。そして、イン
サイド12aと前記中間金型4の補助部材42との間に
第1の通気開口21を形成する隙間のあるパートライン
が配置され、この第1の通気開口21は、凹凸型間に形
成され外部に通じる独立通路22に連通しているととも
に、多孔質部材41の無数の内部連通気孔は、キャビテ
ィ11側に無数の第2の通気開口を形成し、かつ中間通
路42aを通じて前記独立通路22に連通している点に
ある。なお、この中間通路42aは、第1実施形態の中
間通路31bと同様に準備される。
【0020】かくして、前記多孔質部材41の内部連通
気孔は、充填体の高段部11aの充填エアを、中間通路
42aを経て、前記独立通路22にスムーズに排気でき
るから、第1実施形態と同様に充填むらを効果的に防止
できるものである。なお、前記多孔質部材41として
は、金属粒子を焼結した、いわゆる焼結金属体が適当で
あり、また、この実施形態では、前記中間金型4は、多
孔質部材41と補助部材42から形成したが、これをす
べて多孔質部材で構成するようにしてもよい。
【0021】第3の実施形態を図4を参照して説明す
る。この実施形態では、インサイド12a、13aの最
先端部分に第1の通気開口21を形成する隙間のある
−トラインを設定し、この第1の通気開口21を、凹凸
型間に形成され外部に通じている独立通路22に連通さ
せるとともに、先端部分には、充填体の高段部11a、
低段部11bを成形可能とする、コアベント51、52
を段差を設けて備えた中間金型5を配置した点に特徴が
ある。各コアベント51、52は、他の実施形態に同じ
く第2の通気開口の機能を果たして各段差部分の排気を
促すものであるが、最も排気しにくい最先端部分は、直
面した第1の通気開口21から排気できるので、十分な
効果が期待できる。
【0022】第4の実施形態を図5を参照して説明す
る。この実施形態では、第1、第2実施形態に同様な位
置に中間金型6が配置され、これには、キャビティ11
に露出する面に段差が設けられ、充填体側に低段部11
bと高段部11aの段差形状を形成するよう設定されて
いる。そして、インサイド12aと低段部11bをなす
中間金型6と間に第1に通気開口21を形成する隙間
のあるパートラインが配置され、凹凸型間に形成され外
部に通じる独立通路22に連通しているとともに、前記
中間金型6の、高段部11aの上面部分に対面する金型
部分には、第2の通気開口を形成するコアベント61
が、例えば約20mmピッチに設けられ、スリット状の
中間通路62を通じて前記独立通路22に連通している
うえ、さらに、高段部11aの上面角隅部に対面してキ
リ孔を直列に、例えば10mmピッチに透設した点が特
徴である。この実施形態では、第2の通気開口の他、高
段部11aの上面角隅部に対面してキリ孔を設けたの
で、充填むらを効果的に防止できる。
【0023】第5の実施形態を図6、7を参照して説明
する。この実施形態では、第1、第2実施形態と同様な
位置に中間金型7が配置され、これには、キャビティ1
1に露出する面に段差が設けられ、充填体側に低段部と
高段部の段差形状を形成するよう設定されている。そし
て、インサイド12aと低段部側の中間金型7との間に
第1に通気開口21を形成する隙間のあるパートライン
が配置され、これは凹凸型間に形成され外部に通じる独
立通路22に連通している。そして、前記中間金型7
の、充填体の高段部の上面部分に対面する両側の角隅部
分には、第2の通気開口71a、71bを形成するスリ
ット状の中間通路72、73が設けられ前記独立通路2
2に連通している点が特徴である。
【0024】図7は、この中間金型7の部分を取り出し
た斜視図であり、金属ブロック74、75を積み重ね一
体化したもので、金属ブロック75には、複数個のスリ
ット形成用溝72a、73aが穿設してあり、インサイ
ド13aに固定したときに、スリット状の中間通路7
2、73を形成する。この実施形態では、第2の通気開
口71a、71bが、充填操作時に最も充填エアが抜け
にくい部位である、充填体の高段部の上面部分に対面す
る両側の角隅部分に形成されるので、充填むら防止に極
めて効果的である。
【0025】第6の実施形態を図8、9を参照して説明
する。この実施形態では、蓋付き容器の蓋部分を成形す
るためのものであり、キャビティ11の先端部分に形成
される充填体の高段部11c、11e、凹溝部11dに
対応する中間金型8を設けた金型装置である。基本的構
造は、先の第5実施形態に共通するもので、キャビティ
11に露出する面に中間金型8の段差が設けられ、充填
体側に前記段差形状を形成するよう設定されている。そ
して、インサイド12aと中間金型8との間に第1に通
気開口21を形成する隙間のあるパートラインが配置さ
れ、これは凹凸型間に形成され外部に通じる独立通路2
2に連通している。そして、前記中間金型8の、充填体
の高段部11c、11eのそれぞれの上面部分に対面す
る角隅部分には、第2の通気開口81a、81bを形成
するスリット状の中間通路82、83が設けられ前記独
立通路22に連通している点が特徴である。
【0026】図9は、この中間金型8の部分を取り出し
た斜視図であり、金属ブロック84、85を積み重ね一
体化したもので、金属ブロック84には、複数個のスリ
ット形成用溝82aが、金属ブロック85には、複数個
のスリット形成用溝83aが穿設してあり、インサイド
13aに固定したときに、スリット状の中間通路82、
83を形成するように準備される。この実施形態では、
すでに述べた容器側に高段部11aが着され得る凹溝
部11dを備えた蓋を発泡成形するための金型装置であ
り、前記第2の通気開口81a、81bが、充填時の充
填エアを効果的に排気するので、充填体の充填むらを防
止でき、気密性の高い蓋を製作することができる。
【0027】本発明では、以上説明したように、所定の
第2の通気開口を設けるものであるが、具体的には、適
応部位の形状特性に応じて、キリ孔、コアベント、スリ
ット孔および多孔質部材の多数の連通孔の1種または2
種以上からなる組合せを適宜採用できる。また、以上の
説明では、充填体先端部分の構造を主に高低2段の段差
構造を事例にして説明したが、本発明の適用対象は、そ
の実施形態の構造に限定されるものでなく、原料ビ−ズ
の充填に際して排気状況に差が生じて、充填にむらが生
じるようなあらゆる形状を含み、本発明金型装置は適用
できる。なお、以上の各実施形態における、第1と第2
の通気開口は、原料ビーズの充填時に充填エアを排気す
るものであるから、供給される原料ビーズのサイズより
小さい口径または目開きに設定するものであり、通常
は、例えば、0.2〜0.7mm程度に設定する。
【0028】次に、本発明の他の実施形態について、図
10、11を参照して説明する。前記した実施形態にお
いては、キャビティ11から外部に通じる独立通路22
は、充填エアの排気用通路として説明されているが、こ
の新しい実施形態では、図10に例示するように、独立
通路22は排気系統に接続されるのみならず、発泡融着
処理の加熱用のスチーム、発泡処理後の冷却用の冷却
水、離型処理時の加圧空気などの供給、排出系統に接続
されたり、金型内の脱気や冷却処理のための真空減圧用
の排気系統に接続されるなどして、発泡成形処理におい
て用いられ得る前記各種用役の一種以上に供される通路
としての機能を兼ね備えた点に特徴がある。ここで独立
通路22を外部系統に連絡させるには、図10に例示す
るように、固定枠金物12bの部分からチャンバ12x
を貫通する連絡通路22aによって外部に通ずる構造の
他、図11に例示するように、金型12のフレームに設
けられた、独立通路22と外部を連絡する新規な用役口
22bを利用する構造も適宜に採用できる。
【0029】このように、独立通路22を排気以外の用
役に兼用すれば、通常、充填体に用役を作用させるの
は、凸型チャンバ13x、および凹型チャンバ12xか
らコアベントを通じて行われるのに対して、あたかもこ
の独立通路が、第3のチャンバとして機能するのであっ
て、このように新たな通路から充填体に直接用役を作用
させることにより、充填むらの解消ほか、原料ビ−ズの
融着程度も均質化され、パートライン近傍の成形体の
質問題を解消することができるようになる。また、イン
サイドのパートライン近傍の加熱または冷却操作時の昇
温または降温の遅延を解消できるので、サイクルタイム
を、例えば、独立通路を持たない場合135秒/1サイ
クルであったものを95秒/1サイクルに短縮できるな
ど、生産性の向上とあわせてエネルギロスの節減に効果
がある。
【0030】
【発明の効果】本発明の発泡成形用金型装置は、以上に
説明したように構成されているので、発泡成形体の先端
部分の段差部の充填むらを解消して高低段差形状を精度
よく成形することが可能となり、発泡成形体からなる、
気密性に優れた蓋付き容器を生産することができる。ま
た、本発明の金型装置は、充填体の先端部分に、充填、
加熱、冷却など各発泡成形操作を独立して加えることが
できるので、成形体の品質を向上できる上、生産性の向
上に寄与するという優れた効果がある。よって本発明は
従来の問題点を解消した発泡成形用金型装置として、そ
の工業的価値は極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を説明するための要部断
面図。
【図2】第1実施形態の変化を説明するための要部断面
図。
【図3】第2実施形態を説明するための要部断面図。
【図4】第3実施形態を説明するための要部断面図。
【図5】第4実施形態を説明するための要部断面図。
【図6】第5実施形態を説明するための要部断面図。
【図7】第5実施形態の部分斜視図。
【図8】第6実施形態を説明するための要部断面図。
【図9】第6実施形態の部分斜視図。
【図10】本発明の他の実施形態を説明するための要部
断面図。
【図11】同上。
【図12】従来の金型装置の概要を示す断面図。
【図13】蓋付き容器の1例を示す断面図。
【図14】従来の金型装置の部分を示す断面図。
【符号の説明】 11 キャビティ、11a 高段部、11b 低段部、
12 凹型、12x凹型チャンバ、12a 凹型インサ
イド、12b 固定枠金物、13 凸型、13x 凸型
チャンバ、13a 凸型インサイド、13b 固定枠金
物、21 第1の通気開口、22 独立通路、22a
連絡通路、22b 用役口、3 中間金型、31a 第
2の通気開口、31b 中間通路、31c 第3の通気
開口、32 補助金型、32a 第2の通気開口、32
c 第3の通気開口。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月4日(2000.7.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 発泡成形用金型装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスチレンなど
の発泡性樹脂原料ビーズから発泡成形体を得るための発
泡成形方法に用いられる金型装置の改良に関する。特に
成形精度に優れ、蓋と容器の密閉性を向上できる蓋付き
容器状成形体を成形するための発泡成形用金型装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ここで、本発明の背景となる発泡成形方
法の概要を説明すると、この発泡成形に用いられる金型
装置の配置は、図12の断面略図に示すように、凸型1
3と凹型12が対向配置され、その各インサイド12
a、13aは発泡成形体が充填成形されるキャビティ1
1を形成している。そして、このインサイド12a、1
3aには、加熱用スチームや減圧排気などの用役を通す
ことができるよう多数のコアベント12y、13yが配
設されている。また、凸型13と凹型12とは、図示の
状態から凸型13を横方向に移動させて、キャビティ1
1に充填、成形された発泡成形体を取り出せるよう型開
きすることができる。
【0003】また、これら凹、凸型12、13の内部に
は、外部からスチーム、圧縮空気などの用役が供給され
る凹側チャンバ12xと凸側チャンバ13xが形成さ
れ、インサイド12aのほぼ中央には原料ビーズをキャ
ビテイ11内に充填するための充填器3が凹側チャンバ
12xを貫通して配置されている。なお、これら凹、凸
型12、13の上部には、スチームなど用役を供給する
ための用役口14、15が設けられ、下部には用役口
、17が設けられ、排気、吸気あるいはドレンなどの
用役に供されている。
【0004】このような発泡成形用金型装置を用いて、
発泡成形体を製造するには、先ず、原料タンク(図示せ
ず)から所定の発泡性樹脂を予備発泡させた原料ビーズ
を充填器3を通じてキャビティ11内に送入し充填した
後、凹側チャンバ12xと凸側チャンバ13xに加熱用
スチームを供給して加熱し、発泡融着させた後、冷却固
化させて、発泡成形体として取り出すという順に行われ
る。
【0005】そして、この発泡性原料ビーズの充填方法
として、従来から、1)凸型13を僅かに移動させ、凸
型13と凹型12との合わせ目を開いた状態、いわゆる
クラッキングを設けることにより、キャビテイ11内を
パートライン16から型間空間を経て大気圧に連通し開
放した状態において、充填器3に供給される充填エアに
より原料ビーズを機械的にキャビティ11中に搬送して
充填するクラッキング法がある。
【0006】また、次に、2)原料タンクの容器内を、
発泡性ポリスチレン樹脂の場合を例にすると、0.2〜
1.5kg/cm2 程度に加圧し、型閉めし、かつ、コ
アベント12y、13yから凹側チャンバ12xと凸側
チャンバ13xを通じて大気圧に開放した状態のキャビ
テイ11内に、その差圧を利用して発泡性樹脂の原料ビ
ーズを搬送して充填する加圧充填法がある。
【0007】さらに、3)原料タンクの圧力を、発泡ポ
リポロピレン樹脂の場合を例にすると、前記加圧充填法
より高めの1.0〜5.0kg/cm2 程度に加圧し、
かつ、チャンバ12x、13x内をそれより若干マイナ
ス圧に調整して、その差圧により原料ビーズを圧縮状態
のまま搬送して、キャビティ11内に充填する圧縮充填
法などが知られている。この場合には、前記のクラッキ
ングを設けないので、パートライン自体は閉状態に維持
され、充填が行われる。これらの充填方法は、要するに
原料タンクとキャビテイ11の間に適度な差圧を設け
て、この差圧に基づいて原料ビーズを送入するものであ
る。
【0008】ところで、近年、発泡成形体製の気密性の
高い蓋付き容器にニーズが増加し、それに応えて蓋と容
器本体とを図13に示すような凹凸嵌合形状に成形する
ようになった。しかし、このように、容器側の外周先端
に高段部11a、低段部11bの2段の段差を設け、そ
の高段部11aを蓋側の凹溝11dに嵌合させて、気密
性を高く維持するには、双方の先端部分の形状自体を精
度良く成形する必要もあった。
【0009】このような先端部分の高低段差を形成する
には、図12に例示するように、インサイド13aの充
填体の外周先端部分に相当する部位に多数のコアベント
13zを設けて、クラッキング法によって対応してい
た。図12の要部を拡大して示す断面図、図14に示す
通り、原料ビーズの充填時には、低段部11bの充填エ
アは開口したパートライン16から排気され、また高段
部11aの充填エアは、コアベント13zの多数の通気
孔からチャンバ13xに排気されるようにして、充填体
の先端部分が精度よく成形できるよう意図されていた。
【0010】しかしながら、前記多数のコアベントは密
接して配置すると、金型強度を低下させるので20mm
以下の間隔には配置できないこと、このコアベントは大
気に解放されていないことなどの理由で、前記充填体の
高段部11aの充填エアを均一に排気することができ
ず、その角隅部11cの充填が不十分となり、成形精度
が甘くなるという問題点があった。さらに、充填法のう
ち、加圧充填法や圧縮充填法では、図14におけるよう
に開口したパートライン16から排気することがないの
で、低段部11bのパートラインに沿った角隅部の充填
も不十分になるという問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたものであり、クラッキング
法、加圧充填法、および圧縮充填法などにおいて、蓋付
き容器に用いられる発泡成形体の外周先端部分の段差部
の充填むらを解消して、高低段差形状を精度よく成形す
ることが可能となる構造の金型装置を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の問題は、凸型と凹
型のインサイドの間に形成されるキャビティに原料ビー
ズを充填して得られ、かつ外周先端部分に沿って高段部
と低段部の段差を有する容器または蓋となる充填体を
形するための金型装置であって、その充填体の先端部分
の一方の段部を成形する金型側に第1の通気開口を形成
するような隙間のあるパートラインを配置し、かつその
第1の通気開口を凸型と凹型の間に形成され外部に通じ
る独立通路に連通させるとともに、前記先端部分の他方
段部を成形する部位には、少なくとも第1の通気開口
とは別個に第2の通気開口を設け、この第2の通気開口
も前記独立通路に連通させたことを特徴とする本発明の
発泡成形用金型装置によって解決することができる。
【0013】この本発明の発泡成形用金型装置によれ
ば、容器または蓋となる充填体の外周先端部分の一方の
段部を成形する金型側には、隙間のあるパートラインに
より形成される第1通気開口と、先端部分の他方の段部
を成形する部位には、この第1通気開口とは別個の第2
通気開口とが設けられ、その双方が同じ独立通路によっ
て排気され得るので、充填むらを生じやすい部位であっ
ても、その充填不足を補うことができ、高低段差部分の
充填密度を平均化することが可能となる。
【0014】また、成形体が、このように高低段差を設
けるような複雑形状の場合には、金型も複雑になるので
幾何学的容量が大きくなるのは避けられず、その結果,
その部分の熱容量も増加することから、加熱や冷却を行
う成形操作時に、温度の上昇、または温度降下に遅延が
発生し、他の部分との間に品質差が生じる問題が見られ
た。また、この遅延を解消するため操作時間を延長する
と、他の部分が過熱状態あるいは過冷却状態となった
り、サイクルタイムの延長やエネルギロスになる不具合
があった。しかし、このような問題は、前記本発明の発
泡成形用金型装置における独立通路を、加圧空気、スチ
ーム、冷却水などの供給用、それらの排出用、または減
圧排気用を含む用役に供される通路に適用することによ
り解決することができる。すなわち、前記の熱容量が比
較的大きくなった部分に供給する用役を他の部分とは異
なった条件、例えば加熱速度や、冷却速度を独立してコ
ントロールしながら供給できるから、前記した遅延現象
を解消することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の発泡成形用金型装
置に係る実施形態について、図1〜11を参照しながら
説明する。先ず、第1実施形態を示す図1において、凹
型インサイド12aの外周部分は、凹型側固定枠金物1
2bを介して凹型フレーム(図示せず)に固定され、同
時に、凸型インサイド13aの外周は、中間金型3を介
して凸型側固定枠金物13bに固定され、この固定枠金
物13bは、凸型フレーム(図示せず)に固定されてい
て、インサイド12a、13a間に原料ビーズが充填さ
れ得るキャビティ11が形成されている。
【0016】この場合、前記中間金型3には、キャビテ
ィ11に露出する面に段差が設けられ、充填体側に低段
部11bと高段部11aの段差形状を形成するよう設定
されている。そして、この第1実施形態の特徴とすると
ころは、インサイド12aと前記中間金型3の低段部1
1b側との間に第1の通気開口21を形成するような
間のあるパートラインが配置され、この第1の通気開口
21は、凹凸型間に形成され外部に通じる独立通路22
に連通しているとともに、前記中間金型3の、前記段差
の高段部11aの上面部分に対面する部位には、第1の
通気開口21とは別個に第2の通気開口31aが設けら
れ、この第2の通気開口31aも中間通路31bを通じ
て前記独立通路22に連通している点にある。
【0017】ここで、第2の通気開口31aは、高段部
11aの全周の上面に対面する部位に、かつ角隅部に近
接させた部分に、2列に配置された幅0.3〜0.6m
m程度のスリット孔とし、その内部先端を中間通路31
bに到達する深さに穿設している。なお、平行細線で記
入された中間通路31bは、径3〜6mm程度の円形キ
リ孔または長円形エンドミル長孔を独立通路22側から
穿設して、前記第2の通気開口31aに通じるスリット
孔に連絡するように設けられている。このような構造に
よれば、充填体の高段部11aの充填エアが、第2の通
気開口31aから中間通路31bを経て、前記独立通路
22にスムーズに排気されるから、従来発生していた充
填むらを効果的に防止できる。また、本発明の金型装置
は、完全に型閉めした状態で、クラッキング法、加圧充
填法、および圧縮充填法などの圧力条件を採用して充填
を行うことができるものである。
【0018】なお、図1では、中間金型3には、第3の
通気開口31cが、低段部11bの上面に対面する金型
面に設けられ、中間通路31dを通じて前記独立通路2
2に連通していて、この低段部11bにおける原料ビー
ズの充填不足を補うように構成されている。また、この
実施形態の変形として、図2に示すよう、前記中間金型
3の下部に、補助金型32を追加固定すれば、第2の通
気開口31a、第3の通気開口31cの位置を新たに、
第2の通気開口32a、第3の通気開口32cに変更す
ることになるので、充填体の大きさが、この補助金型3
2の高さ分だけ、小さくなるよう調節できる。従って、
製品の大きさを変更するような場合に迅速に、かつ容易
に対応することができるようになる。
【0019】第2の実施形態を図3によって説明する。
図3において、凹型インサイド12aの外周部分は、凹
型側固定枠金物12bを介して凹型フレーム(図示せ
ず)に固定され、同時に、凸型インサイド13aの外周
部分は、凸型側固定枠金物13bを介して凸型フレーム
(図示せず)に固定されていて、インサイド12a、1
3a間に原料ビーズが充填され得るキャビティ11が形
成されている。そして、この第2実施形態の特徴とする
ところは、インサイド13aの先端部分には、充填体側
に低段部11bと高段部11aの段差形状を形成するた
めに段差を設けた中間金型4が配設され、この中間金型
4は、少なくとも前記段差の高段部11aの上面部分に
対面する部分を構成する多孔質部材41と、前記段差の
低段部11bの上面部分に対面する部位を構成する補助
部材42とからなるものである。そして、インサイド1
2aと前記中間金型4の補助部材42との間に第1の通
気開口21を形成するような隙間のあるパートラインが
配置され、この第1の通気開口21は、凹凸型間に形成
され外部に通じる独立通路22に連通しているととも
に、多孔質部材41の無数の内部連通気孔は、キャビテ
ィ11側に無数の第2の通気開口を形成し、かつ中間通
路42aを通じて前記独立通路22に連通している点に
ある。なお、この中間通路42aは、第1実施形態の中
間通路31bと同様に準備される。
【0020】かくして、前記多孔質部材41の内部連通
気孔は、充填体の高段部11aの充填エアを、中間通路
42aを経て、前記独立通路22にスムーズに排気でき
るから、第1実施形態と同様に充填むらを効果的に防止
できるものである。なお、前記多孔質部材41として
は、金属粒子を焼結した、いわゆる焼結金属体が適当で
あり、また、この実施形態では、前記中間金型4は、多
孔質部材41と補助部材42から形成したが、これをす
べて多孔質部材で構成するようにしてもよい。
【0021】第3の実施形態を図4を参照して説明す
る。この実施形態では、インサイド12a、13aの最
先端部分に第1の通気開口21を形成するような隙間の
あるパ−トラインを設定し、この第1の通気開口21
を、凹凸型間に形成され外部に通じている独立通路22
に連通させるとともに、先端部分には、充填体の高段部
11a、低段部11bを成形可能とする、コアベント5
1、52を段差を設けて備えた中間金型5を配置した点
に特徴がある。各コアベント51、52は、他の実施形
態に同じく第2の通気開口の機能を果たして各段差部分
の排気を促すものであるが、最も排気しにくい最先端部
分は、直面した第1の通気開口21から排気できるの
で、十分な効果が期待できる。
【0022】第4の実施形態を図5を参照して説明す
る。この実施形態では、第1、第2実施形態に同様な位
置に中間金型6が配置され、これには、キャビティ11
に露出する面に段差が設けられ、充填体側に低段部11
bと高段部11aの段差形状を形成するよう設定されて
いる。そして、インサイド12aと低段部11bをなす
中間金型6との間に第1に通気開口21を形成するよう
隙間のあるパートラインが配置され、凹凸型間に形成
され外部に通じる独立通路22に連通しているととも
に、前記中間金型6の、高段部11aの上面部分に対面
する部位には、第2の通気開口を形成するコアベント6
1が、例えば約20mmピッチに設けられ、スリット状
の中間通路62を通じて前記独立通路22に連通してい
るうえ、さらに、高段部11aの上面角隅部に対面して
キリ孔を直列に、例えば10mmピッチに透設した点が
特徴である。この実施形態では、第2の通気開口の他、
高段部11aの上面角隅部に対面してキリ孔を設けたの
で、充填むらを効果的に防止できる。
【0023】第5の実施形態を図6、7を参照して説明
する。この実施形態では、第1、第2実施形態と同様な
位置に中間金型7が配置され、これには、キャビティ1
1に露出する面に段差が設けられ、充填体側に低段部と
高段部の段差形状を形成するよう設定されている。そし
て、インサイド12aと低段部側の中間金型7との間に
第1に通気開口21を形成するような隙間のあるパート
ラインが配置され、これは凹凸型間に形成され外部に通
じる独立通路22に連通している。そして、前記中間金
型7の、充填体の高段部の上面部分に対面する両側の角
隅部分には、第2の通気開口71a、71bを形成する
スリット状の中間通路72、73が設けられ前記独立通
路22に連通している点が特徴である。
【0024】図7は、この中間金型7の部分を取り出し
た斜視図であり、金属ブロック74、75を積み重ね一
体化したもので、金属ブロック75には、複数個のスリ
ット形成用溝72a、73aが穿設してあり、インサイ
ド13aに固定したときに、スリット状の中間通路7
2、73を形成する。この実施形態では、第2の通気開
口71a、71bが、充填操作時に最も充填エアが抜け
にくい部位である、充填体の高段部の上面部分に対面す
る両側の角隅部分に形成されるので、充填むら防止に極
めて効果的である。
【0025】第6の実施形態を図8、9を参照して説明
する。この実施形態では、蓋付き容器の蓋部分を成形す
るためのものであり、キャビティ11の先端部分に形成
される充填体の高段部11c、11e、凹溝部11dに
対応する中間金型8を設けた金型装置である。基本的構
造は、先の第5実施形態に共通するもので、キャビティ
11に露出する面に中間金型8の段差が設けられ、充填
体側に前記段差形状を形成するよう設定されている。そ
して、インサイド12aと中間金型8との間に第1に通
気開口21を形成するような隙間のあるパートラインが
配置され、これは凹凸型間に形成され外部に通じる独立
通路22に連通している。そして、前記中間金型8の、
充填体の高段部11c、11eのそれぞれの上面部分に
対面する角隅部分には、第2の通気開口81a、81b
を形成するスリット状の中間通路82、83が設けられ
前記独立通路22に連通している点が特徴である。
【0026】図9は、この中間金型8の部分を取り出し
た斜視図であり、金属ブロック84、85を積み重ね一
体化したもので、金属ブロック84には、複数個のスリ
ット形成用溝82aが、金属ブロック85には、複数個
のスリット形成用溝83aが穿設してあり、インサイド
13aに固定したときに、スリット状の中間通路82、
83を形成するように準備される。この実施形態では、
すでに述べた容器側に高段部11aが着され得る凹溝
部11dを備えた蓋を発泡成形するための金型装置であ
り、前記第2の通気開口81a、81bが、充填時の充
填エアを効果的に排気するので、充填体の充填むらを防
止でき、気密性の高い蓋を製作することができる。
【0027】本発明では、以上説明したように、所定の
第2の通気開口を設けるものであるが、具体的には、適
応部位の形状特性に応じて、キリ孔、コアベント、スリ
ット孔および多孔質部材の多数の連通孔の1種または2
種以上からなる組合せを適宜採用できる。また、以上の
説明では、充填体先端部分の構造を主に高低2段の段差
構造を事例にして説明したが、本発明の適用対象は、そ
の実施形態の構造に限定されるものでなく、原料ビ−ズ
の充填に際して排気状況に差が生じて、充填にむらが生
じるようなあらゆる形状を含み、本発明金型装置は適用
できる。なお、以上の各実施形態における、第1と第2
の通気開口は、原料ビーズの充填時に充填エアを排気す
るものであるから、供給される原料ビーズのサイズより
小さい口径または目開きに設定するものであり、通常
は、例えば、0.2〜0.7mm程度に設定する。
【0028】次に、本発明の他の実施形態について、図
10、11を参照して説明する。前記した実施形態にお
いては、キャビティ11から外部に通じる独立通路22
は、充填エアの排気用通路として説明されているが、こ
の新しい実施形態では、図10に例示するように、独立
通路22は排気系統に接続されるのみならず、発泡融着
処理の加熱用のスチーム、発泡処理後の冷却用の冷却
水、離型処理時の加圧空気などの供給、排出系統に接続
されたり、金型内の脱気や冷却処理のための真空減圧用
の排気系統に接続されるなどして、発泡成形処理におい
て用いられ得る前記各種用役の一種以上に供される通路
としての機能を兼ね備えた点に特徴がある。ここで独立
通路22を外部系統に連絡させるには、図10に例示す
るように、固定枠金物12bの部分からチャンバ12x
を貫通する連絡通路22aによって外部に通ずる構造の
他、図11に例示するように、金型12のフレームに設
けられた、独立通路22と外部を連絡する新規な用役口
22bを利用する構造も適宜に採用できる。
【0029】このように、独立通路22を排気以外の用
役に兼用すれば、通常、充填体に用役を作用させるの
は、凸型チャンバ13x、および凹型チャンバ12xか
らコアベントを通じて行われるのに対して、あたかもこ
の独立通路が、第3のチャンバとして機能するのであっ
て、このように新たな通路から充填体に直接用役を作用
させることにより、充填むらの解消ほか、原料ビ−ズの
融着程度も均質化され、パートライン近傍の成形体の品
質問題を解消することができるようになる。また、イン
サイドのパートライン近傍の加熱または冷却操作時の昇
温または降温の遅延を解消できるので、サイクルタイム
を、例えば、独立通路を持たない場合135秒/1サイ
クルであったものを95秒/1サイクルに短縮できるな
ど、生産性の向上とあわせてエネルギロスの節減に効果
がある。
【0030】
【発明の効果】本発明の発泡成形用金型装置は、以上に
説明したように構成されているので、発泡成形体の先端
部分の段差部の充填むらを解消して高低段差形状を精度
よく成形することが可能となり、発泡成形体からなる、
気密性に優れた蓋付き容器を生産することができる。ま
た、本発明の金型装置は、充填体の先端部分に、充填、
加熱、冷却など各発泡成形操作を独立して加えることが
できるので、成形体の品質を向上できる上、生産性の向
上に寄与するという優れた効果がある。よって本発明は
従来の問題点を解消した発泡成形用金型装置として、そ
の工業的価値は極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を説明するための要部断
面図。
【図2】第1実施形態の変化を説明するための要部断面
図。
【図3】第2実施形態を説明するための要部断面図。
【図4】第3実施形態を説明するための要部断面図。
【図5】第4実施形態を説明するための要部断面図。
【図6】第5実施形態を説明するための要部断面図。
【図7】第5実施形態の部分斜視図。
【図8】第6実施形態を説明するための要部断面図。
【図9】第6実施形態の部分斜視図。
【図10】本発明の他の実施形態を説明するための要部
断面図。
【図11】同上。
【図12】従来の金型装置の概要を示す断面図。
【図13】蓋付き容器の1例を示す断面図。
【図14】従来の金型装置の部分を示す断面図。
【符号の説明】 11 キャビティ、11a 高段部、11b 低段部、
12 凹型、12x凹型チャンバ、12a 凹型インサ
イド、12b 固定枠金物、13 凸型、13x 凸型
チャンバ、13a 凸型インサイド、13b 固定枠金
物、21 第1の通気開口、22 独立通路、22a
連絡通路、22b 用役口、3 中間金型、31a 第
2の通気開口、31b 中間通路、31c 第3の通気
開口、32 補助金型、32a 第2の通気開口、32
c 第3の通気開口。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 秀二 埼玉県上尾市大字向山564番地の1 株式 会社ダイセン工業関東工場内 (72)発明者 平野 保広 埼玉県上尾市大字向山564番地の1 株式 会社ダイセン工業関東工場内 Fターム(参考) 4F212 AA11 AA13 AG05 AG20 AG28 AH55 UA01 UB01 UL06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料ビーズを充填して得られる充填体の
    先端部分に沿って段差を成形するための金型装置であっ
    て、その充填体の先端部分近傍に沿って第1の通気開口
    を形成するパートラインを配置し、かつその第1の通気
    開口を外部に通じる独立通路に連通させるとともに、前
    記段差部分には、少なくとも第1の通気開口とは別個に
    第2の通気開口を設け、この第2の通気開口も前記独立
    通路に連通させたことを特徴とする発泡成形用金型装
    置。
  2. 【請求項2】 前記第2の通気開口が、キリ孔、ベント
    ホール、スリット孔および多孔質部材の多数の連通孔の
    1種または2種以上からなる請求項1に記載の発泡成形
    用金型装置。
  3. 【請求項3】 前記第2の通気開口が、充填体の段差を
    形成する突起部分に設けられている請求項1または2に
    記載の発泡成形用金型装置。
  4. 【請求項4】 前記独立通路が、加圧空気、スチーム、
    冷却水などの供給用、それらの排出用、または減圧排気
    用を含む各種用役に供される通路である請求項1または
    2または3に記載の発泡成形用金型装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009166344A (ja) * 2008-01-16 2009-07-30 Hane:Kk 発泡成形金型装置及びそれを用いた発泡成形体の成形方法
JP2013154543A (ja) * 2012-01-30 2013-08-15 Sekisui Plastics Co Ltd 金型装置及び成形方法

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