JP2001077624A - 誘電体アンテナ - Google Patents

誘電体アンテナ

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JP2001077624A
JP2001077624A JP24689799A JP24689799A JP2001077624A JP 2001077624 A JP2001077624 A JP 2001077624A JP 24689799 A JP24689799 A JP 24689799A JP 24689799 A JP24689799 A JP 24689799A JP 2001077624 A JP2001077624 A JP 2001077624A
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dielectric
block
waveguide
small
antenna
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Tsunehiro Unno
恒弘 海野
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】誘電体内に定在波を励振させることができ、ま
た、その定在波を大きく給電することのできる誘電体ア
ンテナの構造を提供すること。 【解決手段】誘電体ブロック10から成る誘電体導波部
1と、その上部に1個または波の進行方向に周期的に複
数個配置した誘電体小型ブロック20から成る誘電体放
射部2と、前記誘電体導波部1の誘電体ブロック10の
波の進行方向両端に配置した前記誘電体導波部1より高
い誘電率の誘電体ブロック30から成る誘電体反射部3
と、前記誘電体導波部1の誘電体ブロック10に形成し
た電力供給用電極41、42、5から成る給電部4とを
設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてマイクロ
波またはミリ波帯用部品として適した誘電体アンテナに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波用アンテナは、自動車の追突
防止用レーダとして、また高速のデータ伝送無線用など
として注目されている。しかし、これらのマイクロ波用
アンテナでは、周波数が10GHz 以上では、ホーンアン
テナを用いることが多い。
【0003】これに対して、最近誘電体と金属電極を組
み合わせたアンテナが提案されている。このアンテナで
は、誘電体内部をマイクロ波が伝わるが、その際、誘電
体内を伝わるマイクロ波の波長が、空気中を伝わる際の
波長を誘電率の平方根で割った値になる。このため、ア
ンテナの寸法を著しく小さくできるため、従来のホーン
アンテナに比べ大きなメリットがある。また誘電体で製
作すると、アンテナを固体素子化できるため、特性のば
らつきが小さくなる点や、製作が容易になるなどのメリ
ットもある。
【0004】また、この誘電体アンテナでは、電波の放
射部をマトリックス状に配列したアレーアンテナを容易
に作ることができる。このアンテナでは、指向性の制御
が可能であり、目的の方向に効率的に電波を放射するこ
とができる。このように、誘電体アンテナには数々のメ
リットが期待される
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、誘電体
アンテナには、誘電体から放射されるエネルギーがまだ
低いという問題が残されている。アンテナとしては、指
向性及びパワーが強くなることにより、小さな物体の観
測や距離の測定が可能になる。実際、パッチアンテナ、
誘電体棒アンテナ、スロットアレーアンテナなどが製作
されているが、これらのアンテナでは高利得・高出力の
アンテナが得られていない。
【0006】1GHz より低い周波数で用いられる金属の
アンテナでは、アンテナ内部に定在波を起こすように設
計され、できるだけ無駄なエネルギーを出さないように
している。しかし、従来の誘電体のアンテナでは、これ
を達成することができなかった。
【0007】この原因の一つは、周波数が10GHz より
高くなると表皮効果による導体損が大きくなってくるた
め、金属を有効に使用できないことが挙げられる。
【0008】また、誘電体内に電力を効率よく供給する
アンテナ構造がまだ開発されていないことも大きな原因
の一つである。
【0009】そこで本発明の目的は、上記課題を解決
し、誘電体内に定在波を励振させることができ、また、
その定在波を大きく給電することのできる誘電体アンテ
ナの構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次のように構成したものである。
【0011】(1)請求項1の誘電体アンテナは、誘電
体ブロックから成る誘電体導波部と、その上部に1個ま
たは波の進行方向に周期的に複数個配置した誘電体小型
ブロックから成る誘電体放射部と、前記誘電体導波部の
誘電体ブロックの波の進行方向両端に配置した反射部
と、前記誘電体導波部の誘電体ブロックに形成した電力
供給用電極から成る給電部とを具備するものである。
【0012】(2)請求項2の発明は、請求項1記載の
誘電体アンテナにおいて、前記反射部が前記誘電体導波
部より高い誘電率の誘電体ブロックから成るものであ
る。
【0013】(3)請求項3の発明は、請求項1または
2記載の誘電体アンテナにおいて、前記誘電体導波部の
両側に設置された前記誘電体反射部の誘電体ブロックの
誘電率(ε2)が導波部の誘電率(ε1)より大きく、
その波の進行する方向の厚さ(D)が、下記の式を満た
すものである。
【0014】D=(2m+1)×λ/〔4√(ε2)〕 ここで、mは整数、λは空気中における波長。
【0015】(4)請求項4の発明は、請求項1乃至3
記載の誘電体アンテナにおいて、前記誘電体反射部の誘
電体ブロックが、前記誘電体導波部より誘電率が大き
く、且つ誘電率の異なる誘電体層を波の進行方向に周期
的に積み重ねた構造を有するものである。
【0016】(5)請求項5の発明は、請求項1記載の
誘電体アンテナにおいて、前記反射部が金属からなるも
のである。
【0017】(6)請求項6の発明は、請求項1乃至5
記載の誘電体アンテナにおいて、前記誘電体放射部の誘
電体小型ブロックが、前記誘電体導波部の誘電体ブロッ
クと空気の間の誘電率値を有するものである。
【0018】(7)請求項7の発明は、請求項1乃至6
記載の誘電体アンテナにおいて、前記給電部の電力供給
用電極が、前記誘電体導波部の誘電体ブロックの上下に
形成されており、そのうち上部電極は前記誘電体導波部
の誘電体ブロック中を進む波の進行方向と垂直に設置さ
れた帯状電極から成り、その中心位置と前記誘電体導波
部の誘電体ブロックの誘電率ε1の端からの距離Lfが
下記の関係にあるものである。
【0019】 Lf=(4m+1)×λ/〔4√(ε1)〕 または Lf=(4m+3)×λ/〔4√(ε1)〕 ここで、λは空気中を伝搬する時の波長、mは整数。
【0020】(8)請求項8の発明は、請求項7記載の
誘電体アンテナにおいて、前記給電部の上部電極には前
記帯状電極が複数設けられ、その中心位置と前記誘電体
導波部の誘電体ブロックの誘電率ε1の端からの距離L
fが、それぞれ請求項7記載の関係式を満足しているも
のである。
【0021】(9)請求項9の発明は、請求項1乃至8
記載の誘電体アンテナにおいて、前記誘電体導波部の誘
電体ブロックの上部に形成した前記誘電体放射部の誘電
体小型ブロックの厚さdが、下記式を満足するものであ
る。
【0022】d=(2S+1)×λ/〔4√(ε3)〕 ここで、λは空気中における波長、ε3は誘電体小型ブ
ロックの誘電率、Sは整数。
【0023】(10)請求項10乃至12の発明は、請
求項1乃至9記載の誘電体アンテナにおいて、前記誘電
体放射部を前記誘電体導波部の誘電体ブロックに前記誘
電体小型ブロックを配置して構成する代わりに、前記誘
電体導波部の誘電体ブロックに凹部または凸部を形成し
たもの、または前記誘電体導波部の誘電体ブロックに凹
部を形成後に誘電体小型ブロックを形成したもの、また
は前記誘電体導波部の誘電体ブロックに凸部を形成し、
その上部に誘電体小型ブロックを形成したものである。
【0024】(11)請求項13の発明は、請求項1乃
至9記載の誘電体アンテナにおいて、前記誘電体導波部
の誘電体ブロックに前記誘電体小型ブロックを配置して
前記誘電体放射部を構成する代わりに、前記誘電体導波
部の誘電体ブロックの上部に導波部と同じまたは異なる
誘電率の第1の誘電体小型ブロックを設け、更にその最
表面に第2の誘電体小型ブロックを設けて前記誘電体放
射部を構成し、その誘電体放射部の誘電体小型ブロック
の厚さdが、下記式を満足するようにしたものである。
【0025】d=(2S+1)×λ/〔4√(ε3)〕 ここで、λは空気中における波長、ε3は第2の誘電体
小型ブロックの誘電率、Sは整数。
【0026】(12)請求項14の発明は、請求項1乃
至13に記載のいずれかの構造のアンテナを、その中心
位置が空気中の波長の間隔になるように複数個配列した
ものである。
【0027】本発明の要点は次の通りである。
【0028】マイクロ波の導波部となる部分(誘電体導
波部の誘電体ブロック)のマイクロ波が進行する方向の
前後に、マイクロ波の反射部を形成する。この反射した
マイクロ波が導波部内に定在波を形成する。
【0029】反射部は、誘電率の異なる誘電体(誘電体
導波部より高い誘電率の誘電体ブロック)または金属
を、所定の厚さで単層または多層に積層することにより
形成する。
【0030】導波部(誘電体導波部の誘電体ブロック)
の上に形成される導波部(誘電体小型ブロックから成る
誘電体放射部)は定在波の腹の部分であり、且つその間
隔が誘電体内の波長の間隔λgまたはその整数倍になる
ことが望ましい。
【0031】また、効率よく給電するために、給電部は
定在波の腹となる部分の上下(定在波の上部ピーク及び
下部ピークに対応する誘電体導波部の誘電体ブロック上
の位置)に電力供給用電極を1ペアまたは複数ペアで形
成した電極構造とする。更に、最も強度が強くなった時
にその強度が更に強くなるように、同期させて電極に電
圧を印加する方法により、定在波の強度を高くする方式
を用いる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施形態に
基づいて説明する。
【0033】(実施形態1)図1に第1の実施形態を示
す。図示するように、本発明の誘電体アンテナは、マイ
クロ波を伝えるための誘電体導波部1と、マイクロ波を
誘電体導波部1内に入れる給電部4と、そのマイクロ波
を反射させて誘電体導波部1に定在波を立てるための反
射部(誘電体反射部)3と、マイクロ波を電波としてア
ンテナ外へ放出するための誘電体放射部2とから構成さ
れている。
【0034】誘電体導波部1は、誘電率ε1の誘電体ブ
ロック10から成る。誘電体反射部3は、上記誘電体導
波部1の誘電体ブロック10より高い誘電率ε2の誘電
体ブロック30から成り、上記誘電体導波部1の波の進
行方向両端に配置されている。誘電体放射部2は、この
誘電体ブロック10の上部に波の進行方向に周期的に複
数個配置した誘電率ε3の誘電体小型ブロック20から
成る。給電部4は、上記誘電体導波部1の誘電体ブロッ
ク10に形成した電力供給用の上部電極41、42と下
部電極5とから成る。
【0035】誘電体導波部1の両端側に設けられた誘電
体反射部3は、誘電体導波部1に導入されたマイクロ波
を反射させて、誘電体導波部1の誘電体ブロック10内
に定在波をたてる。定在波が立つ誘電体導波部1の長さ
Lは、空気中を伝わるマイクロ波の波長λを誘電体の誘
電率ε1の平方根で除し、更に2で割った値の整数倍で
ある。
【0036】 L=n×λ/〔2√(ε1)〕 ……………(1) nは整数である。
【0037】誘電体導波部1の両側に形成する誘電体薄
層(誘電体ブロック30)の厚さDは、マイクロ波の波
長λを誘電体ブロック30の誘電率ε2の平方根で除
し、更に4で除した値の奇数倍である。
【0038】 D=(4m+1)×λ/〔4√(ε2)〕 ………(2) ここで、mは整数である。普通はmはゼロでいいが、薄
すぎる場合には1でも2でもよい。
【0039】ここで使用される誘電体の誘電率ε2は、
誘電体導波部1の誘電体ブロック10の誘電率ε1より
大きいことが本来の目的に対して望ましい。
【0040】この反射部(誘電体ブロック30)を形成
する部分は、単層ではなく誘電率が異なる多層膜で構成
されてもよい。または2種の膜を交互に積層した多層膜
でも良い。
【0041】なお、誘電体ブロックに代えて、金属(金
属膜)で構成されてもよい。この場合、特性的には誘電
体よりも劣るが金属のほうが安価にできるため、本アン
テナの用途により金属でも十分である場合にはこれを用
いてもよい。
【0042】給電部4となる電極は、誘電体導波部1内
に形成される定在波の最も振幅の大きな腹の部分の両
側、つまり誘電体ブロック10の上部電極41、42と
下部電極5として形成する。また、対となる電極、つま
り上部電極41と下部電極5の対、または上部電極42
と下部電極5の対は、誘電体導波部1の波の進行方向の
前後に形成する。もちろん誘電体ブロック10の上下で
も良い。その対の電極は、1対でも可能であり、またパ
ワーを得るため複数対形成してもよい。但し、複数対形
成するためには、信号が同相になるように電極を形成す
るとともに、そのように信号を印加しなければならな
い。
【0043】この実施形態の場合、給電部4の電極は2
対設けてある。即ち、給電部の電力供給用電極は、誘電
体導波部1の誘電体ブロック10の上部と下部とで対を
なすように計2対形成されており、その2対の各上部電
極41、42はマイクロ波の進行方向と垂直に設置され
た帯状電極から成る。そして、各上部電極41、42の
中心位置と誘電体導波部1の誘電体ブロック10の誘電
率ε1の端との間の距離Lfは、下記(3)式または
(4)式の関係になっている。
【0044】 Lf=(4m+1)×λ/〔4√(ε1)〕 …………(3) または Lf=(4m+3)×λ/〔4√(ε1)〕 …………(4) ここで、λは空気中を伝搬する時の波長、mは整数。
【0045】電波を放射する誘電体放射部2は、誘電体
導波部1の誘電体ブロック10の上部で、誘電体ブロッ
ク10内の定在波の腹の部分で、且つ誘電体ブロック1
0内の波長λgの間隔に形成する。形状は、凸部及び凹
部を形成する、誘電率の異なる部分を設ける、誘電体の
異なる部分で凸部を形成する、凸部及び凹部の上に誘電
率の異なる部分を形成するなどがある。
【0046】この実施形態の場合、誘電体導波部1の誘
電体ブロック10の上部に、誘電率の異なる誘電体小型
ブロック20を波の進行方向に周期的に複数個配置し
て、誘電体放射部2を構成している。その誘電体小型ブ
ロック20の厚さdは、マイクロ波の波長(λ)を誘電
体の誘電率(ε3)の平方根で除し、更に2で除した値
の整数倍である。但し、誘電率ε3は導波部の誘電率ε
1より小さい。
【0047】 d=(2S+1)×λ/〔4√(ε3)〕 …………(5) sは、整数である。
【0048】しかし、最も望ましいのは、次の第2の実
施形態で述べるように、誘電体導波部1の誘電体ブロッ
ク10の上部に凸部を形成し、その凸部の上部は平坦
で、その上に誘電率が異なる(導波部と空気との誘電率
の平方根の中間が望ましい。)薄層を設けるのが効果的
である。ここでも、その厚さ(d)は上記(5)式によ
る。
【0049】(実施形態2)図2に第2の実施形態を示
す。この誘電体アンテナも、マイクロ波を伝えるための
誘電体導波部1と、マイクロ波を誘電体導波部1内に入
れる給電部4と、そのマイクロ波を反射させて誘電体導
波部1に定在波を立てるための反射部(誘電体反射部)
3と、マイクロ波を電波としてアンテナ外へ放出するた
めの誘電体放射部2とから構成されている。
【0050】誘電体導波部1は、誘電率ε1の誘電体ブ
ロック10から成る。誘電体反射部3は、上記誘電体導
波部1の誘電体ブロック10より高い誘電率ε2の誘電
体ブロック30から成り、上記誘電体導波部1の波の進
行方向両端に配置されている。誘電体放射部2は、この
誘電体ブロック10の上部に波の進行方向に周期的に複
数個配置した誘電率ε3の二層型誘電体小型ブロック2
1、22から成る。給電部4は、上記誘電体導波部1の
誘電体ブロック10に形成した電力供給用の上部電極4
1、42と下部電極5とから成る。
【0051】上記第1の実施形態と同様に、定在波を立
たせる誘電体部分(誘電体ブロック10)の長さLは、
上記(1)式により定まる。また、誘電体導波部1の両
側に形成する誘電体反射部3の誘電体薄層(誘電体ブロ
ック30)の厚さDは、上記(2)式により定まる。
【0052】しかし、上記第1の実施形態とは次の点で
異なる。
【0053】この図2の実施形態の場合、反射膜(誘電
体ブロック30)を形成する部分は、単層ではなく誘電
率が異なる多層膜で構成されている。即ち、誘電体導波
部1の誘電体ブロック10(屈折率ε1)よりも大きい
屈折率ε2を持つ2種の膜である誘電体層31と32と
を用い、これを波の進行方向に交互に積層した多層膜に
より構成されている。
【0054】また、電波を放射する誘電体放射部2は、
誘電体導波部1の誘電体ブロック10に誘電体小型ブロ
ック20を配置して構成する代わりに、誘電体導波部1
の誘電体ブロック10の上部に、誘電体導波部1と同じ
誘電率ε1の第1の誘電体小型ブロック21を設け、更
にその最表面の平坦部に、誘電体導波部1よりも小さい
誘電率ε3の第2の誘電体小型ブロック22を設けて、
上記誘電体放射部2を構成している。この誘電率ε3
は、誘電体導波部1と空気との誘電率の平方根の中間と
する。また、この誘電体放射部2の誘電体小型ブロック
22の厚さdは、上記(5)式を満足するように定め
る。
【0055】
【実施例】本実施例とした誘電体アンテナの構造は図2
の形態のものに従った。
【0056】ここでは発振周波数20GHz 用のアンテナ
を目標に製作した。この周波数では、空気中での波長は
15mmになる。
【0057】この誘電体アンテナの構造では、誘電体導
波部1の上に8個の誘電体放射部2が配置されている。
誘電体放射部2の数は、この実施例では8個であるが、
これより多くても少なくてもアンテナの機能は達成す
る。但し、誘電体放射部2の数が多くなれば多いほど、
指向性がよくなり、目的とした方向へ電波を送ることが
できる。誘電体導波部1の両端には誘電体反射部3が形
成されている。また誘電体導波部1の端側には上部電極
41、42と下部電極5が形成されている。誘電体導波
部1の誘電率ε1は20であり、寸法は3.35mm
(幅)×1.68mm(厚さ)×33.5mm(長さL)の
角棒に近い直方体である。長さLが、33.5mmである
のは、(1)式でnを20としたときの値である。
【0058】誘電体導波部1の長い方の両端には、誘電
体積層型の誘電体反射部3が形成されている。この誘電
体反射部3の誘電体は誘電率が30と50の2種類(誘
電体層31、32)からなり、その誘電体が交互に計6
層積層されている。誘電率が30の誘電体層31は厚さ
が0.68mmであり、誘電率が50の誘電体層32は厚
さが0.53mmである。この誘電体の厚さDは、(2)
式を用いて求めた。
【0059】誘電体放射部2は、誘電率が20と10の
2種類の誘電体層、即ち第1の誘電体小型ブロック21
と第2の誘電体小型ブロック22とから構成されてい
る。下部の誘電体(誘電体小型ブロック21)は誘電率
が20で誘電体導波部1と同じであり、面積3.35mm
×1.68mmで厚さは0.84mmである。また、上部の
誘電体(誘電体小型ブロック22)は誘電率が10で、
面積3.35mm×1.68mmで厚さは1.19mmであ
る。誘電体放射部2は、誘電体導波部1の上に3.35
mm間隔で配置させられており、その最初の誘電体放射部
2の誘電体の中心軸は、誘電体導波部1の誘電体(ε
1)の端から2.51mmの位置である。
【0060】誘電体は、セラミックスメーカから汎用と
して市販されているマイクロ波用誘電体を用いた。この
ため誘電体は、アンテナ用として特殊に開発したもので
はない。
【0061】上部電極41、42は、その中心軸を、誘
電体導波部1の誘電体(ε1)の端から0.84mmと
4.19mmの2個所に合わせ、幅0.5mmの帯状電極と
して形成した。
【0062】この誘電体アンテナに20GHz の信号を印
加し、放射されるパワーを測定した。この結果、誘電体
導波部1の両側に誘電体積層型反射部を形成したもの
と、形成しないものとでは、検出されるパワーに120
倍から210倍の差が明らかに確認された。
【0063】上記実施例において、両側に設置した反射
用誘電体ブロック30の層数を少なくしていくと、確か
に出力が低くなっていくが、1層のみでも多層時の約7
0%の出力が得られることがわかった。
【0064】誘電体導波部1の上部に設けた誘電体小型
ブロック20、22の代わりに、凹部や凸部を形成して
も出力が得られることがわかったが、上記実施例に比べ
ると約半分である。但し、構造を最適化することにより
更に高くすることは期待される。
【0065】上部電極41、42は、端から少しずつず
らしたものを製作し、そのときの出力を確かめた。これ
により、上部電極41、42の中心位置が適正位置から
ずれると出力が低くなることが確認された。この上部電
極41、42を適正位置に整合させる効果は非常に大き
いことが確認された。
【0066】誘電体放射部2の誘電体小型ブロック22
の厚さdを変えながら出力を測定したが、厚さdが設計
値からずれることにより、出力は最小で最大の時の約1
0%まで低下した。
【0067】本発明の誘電体アンテナは、小型に構成で
きることから携帯端末に使用することができる。特に、
通常はアンテナが小型になると感度が低下するが、本発
明のアンテナ構造により従来に比べアンテナ感度が大幅
にアップした。
【0068】このため、衛星からの通信を直接受信する
携帯端末などには最適である。
【0069】また、この誘電体アンテナを並べて配列す
ることにより、指向特性が優れ且つ出力の高いレーダを
製作できる。このため、自動車用の衝突防止レーダ等に
使用することができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の構造の誘
電体アンテナによれば、誘電体内に定在波を励振させる
ことができ、またその定在波を大きくするように給電す
ることができる。
【0071】また、本発明の誘電体レーダが製作された
ことにより、数十GHz帯で使用できる小型のアンテナ
を得ることが可能となった。この周波数帯域では、従来
技術で述べたように金属を使ったアンテナが用いられて
おり、導体損失があったが、本アンテナ構造にすること
により、小型で且つ高効率のアンテナとすることができ
た。これらは特に電力消費の少ないこと及び小型である
ことが必須事項として要求される分野で効果を発揮する
と期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る誘電体アンテナ
の構造を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る誘電体アンテナ
の構造を示す図である。
【符号の説明】
1 誘電体導波部 2 誘電体放射部 3 誘電体反射部 4 給電部 5 下部電極 10 誘電体ブロック 20 誘電体小型ブロック 21 第1の誘電体ブロック 22 第2の誘電体ブロック 30 誘電体ブロック 31、32 誘電体層 41、42 上部電極 λg 誘電体内の波長の間隔

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体ブロックから成る誘電体導波部と、
    その上部に1個または波の進行方向に周期的に複数個配
    置した誘電体小型ブロックから成る誘電体放射部と、前
    記誘電体導波部の誘電体ブロックの波の進行方向両端に
    配置した反射部と、前記誘電体導波部の誘電体ブロック
    に形成した電力供給用電極から成る給電部とを具備する
    ことを特徴とする誘電体アンテナ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の誘電体アンテナにおいて、
    前記反射部が前記誘電体導波部より高い誘電率の誘電体
    ブロックから成ることを特徴とする誘電体アンテナ。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の誘電体アンテナに
    おいて、前記誘電体導波部の両側に設置された前記反射
    部の誘電体ブロックの誘電率ε2が導波部の誘電率ε1
    より大きく、その波の進行する方向の厚さDが、下記の
    式を満たすことを特徴とする誘電体アンテナ。 D=(2m+1)×λ/〔4√(ε2)〕 ここで、mは整数、λは空気中における波長。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3記載の誘電体アンテナにお
    いて、前記反射部の誘電体ブロックが、前記誘電体導波
    部より誘電率が大きく、且つ誘電率の異なる誘電体層を
    波の進行方向に周期的に積み重ねた構造を有することを
    特徴とする誘電体アンテナ。
  5. 【請求項5】請求項1記載の誘電体アンテナにおいて、
    前記反射部が金属から成ることを特徴とする誘電体アン
    テナ。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5記載の誘電体アンテナにお
    いて、前記誘電体放射部の誘電体小型ブロックが、前記
    誘電体導波部の誘電体ブロックと空気の間の誘電率値を
    有することを特徴とする誘電体アンテナ。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6記載の誘電体アンテナにお
    いて、前記給電部の電力供給用電極が、前記誘電体導波
    部の誘電体ブロックの上下に形成されており、そのうち
    上部電極は前記誘電体導波部の誘電体ブロック中を進む
    波の進行方向と垂直に設置された帯状電極から成り、そ
    の中心位置と前記誘電体導波部の誘電体ブロックの誘電
    率ε1の端からの距離Lfが下記の関係にあることを特
    徴とする誘電体アンテナ。 Lf=(4m+1)×λ/〔4√(ε1)〕 または Lf=(4m+3)×λ/〔4√(ε1)〕 ここで、λは空気中を伝搬する時の波長、mは整数。
  8. 【請求項8】請求項7記載の誘電体アンテナにおいて、
    前記給電部の上部電極には前記帯状電極が複数設けら
    れ、その中心位置と前記誘電体導波部の誘電体ブロック
    の誘電率ε1の端からの距離Lfが、それぞれ請求項7
    記載の関係式を満足していることを特徴とする誘電体ア
    ンテナ。
  9. 【請求項9】請求項1乃至8記載の誘電体アンテナにお
    いて、前記誘電体導波部の誘電体ブロックの上部に形成
    した前記誘電体放射部の誘電体小型ブロックの厚さd
    が、下記式を満足することを特徴とする誘電体アンテ
    ナ。 d=(2S+1)×λ/〔4√(ε3)〕 ここで、λは空気中における波長、ε3は誘電体小型ブ
    ロックの誘電率、Sは整数。
  10. 【請求項10】請求項1乃至9記載の誘電体アンテナに
    おいて、前記誘電体放射部を前記誘電体導波部の誘電体
    ブロックに前記誘電体小型ブロックを配置して構成する
    代わりに、前記誘電体導波部の誘電体ブロックに凹部ま
    たは凸部を形成したことを特徴とする誘電体アンテナ。
  11. 【請求項11】請求項1乃至9記載の誘電体アンテナに
    おいて、前記誘電体放射部を前記誘電体導波部の誘電体
    ブロックに前記誘電体小型ブロックを配置して構成する
    代わりに、前記誘電体導波部の誘電体ブロックに凹部を
    形成後に誘電体小型ブロックを形成したことを特徴とす
    る誘電体アンテナ。
  12. 【請求項12】請求項1乃至9記載の誘電体アンテナに
    おいて、前記誘電体放射部を前記誘電体導波部の誘電体
    ブロックに前記誘電体小型ブロックを配置して構成する
    代わりに、前記誘電体導波部の誘電体ブロックに凸部を
    形成し、その上部に誘電体小型ブロックを形成したこと
    を特徴とする誘電体アンテナ。
  13. 【請求項13】請求項1乃至9記載の誘電体アンテナに
    おいて、前記誘電体導波部の誘電体ブロックに前記誘電
    体小型ブロックを配置して前記誘電体放射部を構成する
    代わりに、前記誘電体導波部の誘電体ブロックの上部に
    導波部と同じまたは異なる誘電率の第1の誘電体小型ブ
    ロックを設け、更にその最表面に第2の誘電体小型ブロ
    ックを設けて前記誘電体放射部を構成し、その誘電体放
    射部の誘電体小型ブロックの厚さdが、下記式を満足す
    るようにしたことを特徴とする誘電体アンテナ。 d=(2S+1)×λ/〔4√(ε3)〕 ここで、λは空気中における波長、ε3は第2の誘電体
    小型ブロックの誘電率。
  14. 【請求項14】請求項1乃至13に記載のいずれかの構
    造のアンテナを、その中心位置が空気中の波長の間隔に
    なるように複数個配列したことを特徴とする誘電体アン
    テナ。
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