JP2001074706A - グランドアンカー診断方法 - Google Patents
グランドアンカー診断方法Info
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Abstract
可能な、新しいグランドアンカー診断方法を提供する。 【解決手段】打撃装置(1)を用いてアンカー頭部また
はアンカー頭部近傍(2)を打撃し、アンカー頭部また
はアンカー頭部近傍(2)に設置した振動センサー
(3)により、アンカーの軸水平方向の振動に関する経
時変化を測定し、次いで、この測定された信号を周波数
解析することにより、アンカーの持つ固有振動周波数を
求め、この固有振動周波数より算出されたアンカーの軸
水平方向の剛性により定着部の健全度を診断する。
Description
アンカー診断方法に関するものである。さらに詳しく
は、この出願の発明は、グランドアンカーの定着部の健
全度、緊張力、損傷部の位置を診断する方法に関するも
のである。
材を用いて土留め構造物や建物からの引っ張り力を地盤
に伝達させ、建造物の基礎や斜面、擁壁、大型地下構造
物の安定、地すべり抑止などを行うことを目的とする工
法である。
いと、定着部と地盤との分離が生じ、これが原因で緊張
力に緩みが生じる。また、施工後、時間の経過ととも
に、地すべり、斜面変形などの地盤の変動が原因で定着
部と地盤の分離が発生したり、また、地下に浸透する雨
水や涌き水の影響により自由部にさびや欠損が発生じた
りすることがあり、これらが構造物の安全性を脅かすも
のとなる。防災上、新設施工時や、施工後において、定
期的なグランドアンカーの診断を行う必要がある。
て、緊張力の測定が行われてきた。緊張力の測定は、引
っ張り材にひずみゲージを設置し、測定されるひずみの
値から緊張力を算出する方法と、ロードセルにより荷重
を測定し、荷重の値から緊張力を算出する方法とが、代
表的である。前者の方法に関しては、引っ張り材がPC
鋼棒である場合以外、ひずみゲージの設置が困難であ
り、PC鋼線、より線、または繊維系の素材に対して適
用することは不可能である。また、後者の方法に関して
は、定量的な測定が不可能であり、なによりも設置の状
態に依存する誤差が大きいことから、実用的とは言い難
い。さらには、それぞれの方法を実施するためには、測
定を行うために大掛かりな装置が必要となることから、
実施のためのコストや時間的制約が大きく、また、測定
環境によっては実施が不可能であることなどが問題とな
っている。
緊張力診断法が提案されている(特開平7−11323
1)。超音波による緊張力診断法は、超音波が金属棒中
を伝播するときに、金属棒に対する引っ張り応力が大き
くなると、超音波の伝播速度が低くなるという現象に基
づくものであり、小型の測定装置で容易に行うことが可
能であるという特長を持つ。しかしながら、引っ張り応
力の増大に伴う伝播速度の変化が非常に小さく、その変
化が引っ張り材の直径に比例することから、伝播速度が
測定可能となる条件が制約され、引っ張り材がPC鋼
線、より線、繊維系の新素材などである場合には適用不
可能である。また、グランドアンカーの自由部が、測定
の誤差の原因になることも問題となっており、以上を考
慮すると、この方法も実用的とは言いがたい。
心が高まっており、アンカーの診断においても、引っ張
り応力による診断だけではなく、自由長や固定長、定着
具合、定着部の欠損位置、損傷度など、多岐にわたる診
断項目を明らかにすることが可能となる診断方法が求め
られている。グランドアンカーは地中埋設物であるとい
う性質上、定着部と地盤の分離の様子や自由部のさびや
欠損を、掘りおこすことなく、目視によって確認するこ
とはできない。ボーリング孔を削孔し、孔中にボアホー
ルカメラなどを設置し、地盤中を確認する方法もある
が、非常に多くの時間と労力を必要とするという問題が
ある。
従来技術における欠点を克服し、容易、かつ、正確にグ
ランドアンカーを診断可能な、新しいグランドアンカー
診断方法を提供することを課題としている。
の課題を解決するものとして、第1には、打撃装置を用
いてアンカー頭部またはアンカー頭部近傍を打撃し、ア
ンカー頭部またはアンカー頭部近傍に設置した振動セン
サーにより、アンカーの軸水平方向の振動に関する経時
変化を測定し、次いで、この測定された信号を周波数解
析することにより、アンカーの持つ固有振動周波数を求
め、この固有振動周波数より算出されたアンカーの軸水
平方向の剛性により定着部の健全度を診断することを特
徴とするグランドアンカー診断方法を提供する。
装置を用いてアンカー頭部またはアンカー頭部近傍を打
撃し、アンカー頭部またはアンカー頭部近傍に設置した
振動センサーにより、アンカーの軸垂直方向の振動に関
する経時変化を測定し、次いで、この測定された信号を
周波数解析することにより、アンカーの持つ固有振動周
波数を求め、この固有振動周波数よりアンカーの緊張力
を導出することを特徴とするグランドアンカー診断方法
を提供する。
撃装置を用いてアンカー頭部またはアンカー頭部近傍を
打撃し、アンカー頭部またはアンカー頭部近傍に設置し
た振動センサーにより、アンカーの軸水平方向および軸
垂直方向の振動に関する経時変化を測定し、次いで、こ
の測定された信号を周波数解析することにより、測定対
象であるアンカーの固有振動周波数を求め、この固有振
動周波数とあらかじめ算出しておいた健全なアンカーの
固有振動周波数とを、高次の固有振動モードにわたり、
比較することにより損傷部の位置を診断することを特徴
とするグランドアンカー診断方法を提供する。
あるアンカーの引っ張り材が、PC鋼線、PC鋼より
線、多重PC鋼より線、PC鋼棒、炭素繊維、アラミド
繊維であることを特徴としてもいる。
ー診断方法は、例えば、図1に例示した装置を用いて実
施される。打撃装置(1)をアンカー頭部またはアンカ
ー頭部近傍(2)に打ちつけ、その振動を振動センサー
(3)で受信し、信号はアンプ(4)で増幅され、計測
記録装置(5)によって測定および記憶がなされる。さ
らに、この計測記録装置(5)は、コンピュータ(6)
に接続してもよく、このコンピュータ(6)により、デ
ータの解析を行うことができる。振動センサーには、例
えば高感度の圧電センサーなどが用いられる。
や振動センサーの設置個所は、アンカーの種類によって
異なり、アンカー頭部を保護するキャップを外せる場合
には、アンカー頭部を保護するキャップを外し、アンカ
ー頭部に振動センサーを設置し、アンカー頭部近傍を打
撃する。アンカー頭部を保護するキャップを外せない場
合には、アンカー頭部近傍、例えば支圧板や台座に振動
センサーを設置し、振動センサー近傍のアンカー頭部を
打撃する。また、アンカー頭部が構造物のコンクリート
により覆われている場合には、コンクリート表面に振動
センサーを設置し、振動センサー近傍のコンクリート表
面を打撃する。
法において、第1の実施形態として、振動センサーによ
り測定されるのは、アンカーの軸水平方向の振動に関す
る経時変化である。このとき、この測定信号を周波数解
析することにより、測定対象であるアンカーの軸水平方
向の固有振動周波数が求められる。この軸水平方向の固
有振動周波数より求められる固有角周波数ωにより、例
えば、次式(I)
が可能である。アンカーの軸水平方向の剛性Kdはアン
カーの固定状態の優劣、すなわち定着部の健全度をあら
わすものであり、あらかじめ理論計算もしくは実験によ
りプロファイルされた健全なアンカーの軸水平方向の剛
性Kdと測定データからの算出値とを比較することによ
って、アンカー定着部の健全度が判断される。
法において、第2の実施形態として、振動センサーによ
り測定されるのは、アンカーの軸垂直方向の振動に関す
る経時変化である。このとき、この測定信号を周波数解
析することにより、測定対象であるアンカーの軸垂直方
向の固有振動周波数が求められる。アンカーの軸垂直方
向の固有振動周波数は、アンカーの軸水平方向の固有振
動周波数と比較して非常に小さいため、両者の分離は簡
単に行うことが可能である。例えば、自由長部が長さ1
0mのアンカーに関しては、アンカーの軸垂直方向の固
有振動周波数は、アンカーの軸水平方向の固有振動周波
数の約1/100以下である。
より、アンカーの緊張力を導出する方法の例を以下に示
す。固有振動周波数より求められる固有角周波数ω、ア
ンカーの弾性係数E、アンカーの断面2次モーメント
I、アンカーの単位長当たりの質量m、および、アンカ
ーの緊張力Nから以下の式(II)(III)によりaおよ
びqを求める。
によりδおよびεを求める。
(VI)
き、さらにqについて解くことによりアンカーの緊張力
Nが導出され、アンカーの緊張力に関する診断が可能と
なる。さらに、この出願の発明のグランドアンカー診断
方法において、第3の実施形態として、固有振動周波数
による損傷部の位置を推定することも可能である。ま
ず、振動センサーにより測定されるアンカーの軸垂直方
向および軸水平方向の振動に関する経時変化を周波数解
析することにより、測定対象であるアンカーの軸垂直方
向および軸水平方向の固有振動周波数を求める。損傷に
よりアンカーの固有振動周波数が変化することを利用
し、測定対象であるアンカーの固有振動周波数と正常な
アンカーの固有振動周波数とを比較することにより、ア
ンカーの損傷位置を把握することが可能となる。具体的
には、測定対象であるアンカーの固有振動周波数/正常
なアンカーの固有振動周波数を周波数変化率として定義
し、各固有振動モードにおける周波数変化率の分布を、
繰り返し演算により理論数値計算の結果と適合させるこ
とにより、損傷部位の推定がなされる。
ては、診断対象であるアンカーの引っ張り材が、従来多
く用いられてきたPC鋼棒に限定されるものではなく、
PC鋼線、PC鋼より線、多重PC鋼より線、炭素繊
維、アラミド繊維など、あらゆる引っ張り材で構成され
たアンカーを診断対象とすることが可能である。
であるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明す
る。
性水湧水および斜面の変位が原因となって損傷したアン
カーの診断を実施した。
自由長部の長さが7m、定着部の長さが10m、直径が
φ150mmである。診断の際の打撃方法はハンマー打
撃であり、センサーには高感度圧電センサーを、また、
計測記憶装置にはディジタルオシロスコープを用い、プ
リアンプおよびメインアンプにより増幅した信号を測定
した。
り、時刻aからbまでの間は反射波による信号成分が卓
越する時間帯である。時刻bからcは振動による信号成
分が支配的な時間帯であり、図3は、時刻bからcの時
間帯に関して、フーリエ変換による周波数解析を行った
結果である。ピークAは、アンカーの軸水平方向の固有
振動周波数における基本モードを、また、ピークBはア
ンカーの軸垂直方向の固有振動周波数における基本モー
ドを示すものであり、アンカーの軸垂直方向の固有振動
周波数と軸水平方向の固有振動周波数とは、異なる周波
数帯域を有し、両者の分離および検出が容易に行われる
ことを示している。実施例2 次いで、損傷による軸水平方向の固有振動周波数変化率
に関して、数値シミュレーションを行った結果について
示す。このとき、アンカーの長さを10m、断面損傷率
を0.667に設定した。
置、すなわち損傷がアンカーの自由長の中央にある場合
における、各振動モードの周波数変化率である。振動モ
ードに関して1次毎の周期で、周波数変化率が変化して
いることがわかる。図5は、このときの自由長における
固有振動モード(破線)と正常な場合の固有振動モード
(実線)を示したもので、アンカーの損傷が自由長の真
中にあるために、波形の分布が左右対称となり、また、
アンカーの損傷が固有振動周波数に影響を与えることが
わかる。
の位置にある場合における、各振動モードの周波数変化
率である。図4と比較して、周波数変化率に関する振動
モード毎の変化の周期が異なることがわかる。図7は、
このときの自由長における固有振動モード(破線)と正
常な場合の固有振動モード(実線)を示したもので、ア
ンカーに損傷があることによって、波形の分布が非対称
となり、固有振動周波数に影響を与えることがわかる。
の位置、すなわち、自由長と定着部の境界にある場合に
おける、各振動モードの周波数変化率である。このと
き、高次の振動モードに移行するに連れて、周波数変化
率が滑らかに変化する様子がわかる。図9は、このとき
の自由長における固有振動モード(破線)と正常な場合
の固有振動モード(実線)を示したもので、図6と同様
に、損傷があることによって、波形の分布が非対称とな
り、固有振動周波数に影響を与えることがわかる。
固有振動レベルにおける固有振動周波数に影響し、これ
を利用することにより、損傷部の位置を推定することが
可能であると考えられる。
明によって、アンカーの固定状態の優劣やアンカーを構
成する各部位の境界およびアンカーの老朽化による亀裂
や破損個所の位置を診断することが可能となる。この出
願の発明は、防災に関して貢献するものであり、施工時
や施工後の定期的な品質管理に対して有効な手法とし
て、その応用開発が期待される。
である。
時変化を示す図である。
時変化データを周波数解析した結果を示す図である。
部から5mの位置にある場合の各振動モードの周波数変
化率を示した図である。
部から5mの位置にある場合の各振動モードを示した図
である。
部から7.5mの位置にある場合の各振動モードの周波
数変化率を示した図である。
部から7.5mの位置にある場合の各振動モードを示し
た図である。
部から9.6mの位置にある場合の各振動モードの周波
数変化率を示した図である。
部から9.6mの位置にある場合の各振動モードを示し
た図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 打撃装置を用いてアンカー頭部またはア
ンカー頭部近傍を打撃し、アンカー頭部またはアンカー
頭部近傍に設置した振動センサーにより、アンカーの軸
水平方向の振動に関する経時変化を測定し、次いで、こ
の測定された信号を周波数解析することにより、アンカ
ーの持つ固有振動周波数を求め、この固有振動周波数よ
り算出されたアンカーの軸水平方向の剛性により定着部
の健全度を診断することを特徴とするグランドアンカー
診断方法。 - 【請求項2】 打撃装置を用いてアンカー頭部またはア
ンカー頭部近傍を打撃し、アンカー頭部またはアンカー
頭部近傍に設置した振動センサーにより、アンカーの軸
垂直方向の振動に関する経時変化を測定し、次いで、こ
の測定された信号を周波数解析することにより、アンカ
ーの持つ固有振動周波数を求め、この固有振動周波数よ
りアンカーの緊張力を導出することを特徴とするグラン
ドアンカー診断方法。 - 【請求項3】 打撃装置を用いてアンカー頭部またはア
ンカー頭部近傍を打撃し、アンカー頭部またはアンカー
頭部近傍に設置した振動センサーにより、アンカーの軸
水平方向および軸垂直方向の振動に関する経時変化を測
定し、次いで、この測定された信号を周波数解析するこ
とにより、測定対象であるアンカーの固有振動周波数を
求め、この固有振動周波数とあらかじめ算出しておいた
健全なアンカーの固有振動周波数とを、高次の固有振動
モードにわたり、比較することにより損傷部の位置を診
断することを特徴とするグランドアンカー診断方法。 - 【請求項4】 診断対象であるアンカーの引っ張り材
が、PC鋼線、PC鋼より線、多重PC鋼より線、PC
鋼棒、炭素繊維、アラミド繊維であることを特徴とする
請求項1および請求項2記載のグランドアンカー診断方
法。
Priority Applications (1)
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1999
- 1999-09-02 JP JP24901999A patent/JP3571968B2/ja not_active Expired - Fee Related
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