JP2008145356A - 埋設ロッド部材の張力測定方法 - Google Patents

埋設ロッド部材の張力測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】埋設状態にある既設ロッド部材の振動弦長を露出させることなく、振動弦長の数値が未知であっても、張力推定が可能であり、固有振動数の計測は簡易であり、簡便な手法によって実現可能な埋設ロッド部材の張力測定方法の提供。
【解決手段】既設の埋設ロッド部材の振動弦長を露出させることなく、振動弦長の数値が未知であっても、限定的な露出長さから張力を測定する方法であって、 測定対象であるロッド部材の振動弦長の内の振動可能な長さ分である一部を掘削・はつり等の手段により露出させ、該露出部分に振動センサーを配設し、該露出部分をハンマーの如き打撃手段による打撃により振動させ、前記振動センサーで検出した振動より固有振動数(fi)を求め、振動モード次数(i)と固有振動数(fi)の関係から、前記ロッド部材の見かけの振動弦長(L)を求め、張力(T)を求めることを特徴とする埋設ロッド部材の張力測定方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は港湾・河川等におけるコンクリート製護岸構造の支持を目的として埋設されているタイロッド・タイワイヤ等や、コンクリート構造物内に埋設状態にあるPC鋼材等の埋設ロッド部材の張力測定(正確には推定である。以下、同じ。)方法に関する。
コンクリート製護岸構造に埋設されているタイロッドやコンクリート構造物内に埋設状態にあるPC鋼材等のロッド部材の張力を測定しようとする場合、斜張橋の斜材のようにロッド部材全体が自由空間にある構造部材の張力を測定するのに比較して著しい困難が伴う。
例えば、従来は、ロッド部材をハンマーで打撃したり、手で揺らすなどの手法で、感覚的に張力の大きさの程度を判断していたが、このような手法では、実際に作用している張力を実測値として把握することはできない。
そこで、張力を正確に把握しようとすると、埋設状態にあるロッド部材を、振動弦長の全域にわたって露出させなければならないが、このような手法では、労力・時間・施工コストの面で不利益が大きい。また、コンクリート構造物内に埋設状態にあるPC鋼材の張力測定では、PC鋼材とそれを囲繞するコンクリートとの両者が構造材を構成しているために、コンクリートを破壊してPC鋼材の振動弦長を露出させることは実施不可能である場合が多い。
本発明者等は、上記に鑑み、より簡易な手法により埋設状態にある既設タイロッドや埋設PC鋼材等の埋設ロッド部材の張力を測定する方法の研究を行い、本発明に至った。
先ず、本発明者等は、空中ケーブル等の張力計測の手法として知られる振動法が上記事例のロッド部材の張力測定に応用できないかを研究した。振動法は、非特許文献1〜3、特許文献1に記載されているように、張力の懸かっているケーブルに衝撃を与え、ケーブルの任意の点における振動を検出して周波数分析を行い、その分析結果をパソコンに用意されている所定の計算式に代入して、ケーブルの張力を測定する方法である。
尚、特許文献1は、橋梁に架設されたケーブルの如く空中のワイヤ類に付いての張力を測定する技術である。
張力等の計算には、後述する式(I)から導かれる計算式が用いられることが知られている。
例えば、非特許文献2の「山極伊知郎外:ケーブル張力と曲げ剛性の同時推定法の実橋への適用」では、後述する式(I)に係る計算式に実際の計測値を基礎とする高次の固有振動数を代入することで、「張力」と「曲げ剛性」を同時に推定している。然しながら、実際に適用しようとすると、ケーブル端の固定条件や構造等により振動の境界条件が明確でないため、計算式に代入するケーブル長や曲げ剛性の評価を適切に行わないと、実際の張力と一致しないことが認められることから、非特許文献3の「伴享外:PC斜張橋の斜材ケーブル張力測定に関する一考察」では、理論値と実測値の比較により、ケーブル長と曲げ剛性の検討が行われている。
特許第3313028号 新家徹也「振動法によるケーブル張力の実用算定式について」土木学会論文集、第294号25〜32頁、1980年2月 山極伊知郎外「ケーブル張力と曲げ剛性の同時推定法の実橋への適用」鋼構造年次論文報告集、第5巻15〜22頁、1997年11月 伴享外「PC斜張橋の斜材ケーブル張力測定に関する一考察」土木学会第54回年次学術講演会、714〜715頁、1999年11月
本発明に係る埋設ロッド部材の張力測定方法は、下記課題を解決することにある。
(1)埋設されているタイロッドやPC鋼材等の埋設状態にある既設ロッド部材の振動弦長を露出させることなく、振動弦長の数値が未知であっても、限定的な露出長さがあれば、張力推定を可能とすること。
(2)固有振動数の計測は、小型のハンマーなどによる打撃といった簡易な手法で行うことができ、また、短時間での実施を可能とすること。
(3)上記を、パソコンを利用した入力と演算という、簡便な手法によって実現可能とすること。
上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
1.埋設されているタイロッドやPC鋼材の如き埋設状態にある既設の埋設ロッド部材の振動弦長を露出させることなく、振動弦長の数値が未知であっても、限定的な露出長さから張力を測定する埋設ロッド部材の張力測定方法であって、
測定対象である前記ロッド部材の振動弦長の内の振動可能な長さ分である一部を掘削・はつり等の手段により露出させ、該露出部分に振動センサーを配設し、該露出部分をハンマーの如き打撃手段による打撃により振動させ、前記振動センサーで検出した振動より固有振動数(fi)を求め、振動モード次数(i)と固有振動数(fi)の関係から、振動モード次数(i)の2乗と固有振動数(fi)の2乗を多項式で表し、振動モード次数(i)の4乗に相当する前記ロッド部材の見かけの振動弦長(L)を求め、振動モード次数(i)の2乗に相当する項より張力(T)を求めることを特徴とする埋設ロッド部材の張力測定方法。
2.埋設されているタイロッドやPC鋼材の如き埋設状態にある既設の埋設ロッド部材の振動弦長を露出させることなく、振動弦長の数値が未知であっても、限定的な露出長さから張力を測定する埋設ロッド部材の張力測定方法であって、
測定対象である前記ロッド部材の振動弦長の内の振動可能な長さ分である一部を掘削・はつり等の手段により露出させ、該露出部分に振動センサーを配設し、該露出部分をハンマーの如き打撃手段による打撃により振動させ、前記振動センサーで検出した振動をデータロガーにより固有振動数(fi)を計測し、
前記ロッド部材の密度(ρ)と断面積(A)の値を与え、
前記ロッド部材の曲げ剛性(EI)の値を与え、
前記ロッド部材の振動端点間長である振動弦長(L)を、前記固有振動数(fi)、前記密度(ρ)、前記断面積(A)、前記曲げ剛性(EI)を元に算出して求め、
固有振動数(fi)、密度(ρ)、断面積(A)、曲げ剛性(EI)、振動弦長(L)を下記式(I)に代入して算出することで前記ロッド部材の張力を測定することを特徴とする埋設ロッド部材の張力測定方法。
Figure 2008145356
ここに、i:モード次数
i:モード次数に対応する固有振動数
ρ:密度
A:断面積
L:振動弦長
EI:曲げ剛性
T:張力(軸力)
3.得られた複数の固有振動数(fi)の2乗の値とモード次数(i)の2乗の値を最小2乗近似を行い、近似曲線のモード次数(i)の4乗の係数から前記振動弦長(L)を算定することを特徴とする請求項1又は2に記載の埋設ロッド部材の張力測定方法。
4.前記曲げ剛性(EI)が、鋼材のヤング係数(E)と円形の断面二次モーメント(I)から求めた値を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の埋設ロッド部材の張力測定方法。
E=2.0×106kg/cm2
I=π×d4/64(cm4
本発明に係る埋設ロッド部材の張力測定方法によれば、埋設されているタイロッドやPC鋼材等の埋設状態にある既設ロッド部材の振動弦長が未知であっても該埋設ロッド部材の一部を露出させるだけで、しかも、ハンマーによる打撃とパソコンを利用した入力・演算という簡便な手法で、その張力を測定することができるので、前記した課題を解決することができる。尚、本明細書において「振動弦長」とは振動端点間距離、即ち、ロッド部材の一端から他端までのロッド部材全体の長さからアンカー等による取付固定部分の長さを除いた部分の長さを云う。
以下、本発明に係る埋設ロッド部材の張力測定方法を詳細に説明する。
本発明に係る埋設ロッド部材の張力測定方法は、埋設されているタイロッドやPC鋼材の如き埋設状態にある既設の埋設ロッド部材の振動弦長を露出させることなく、振動弦長の数値が未知であっても、限定的な露出長さから張力を測定するものである。
振動弦長の数値が未知の埋設ロッド部材の張力の測定は、測定対象である前記ロッド部材の振動弦長の内の振動可能な長さ分である一部を掘削・はつり等の手段により露出させ、該露出部分に振動センサーを配設し、該露出部分をハンマーの如き打撃手段による打撃により振動させ、前記振動センサーで検出した振動より固有振動数(fi)を求め、振動モード次数(i)と固有振動数(fi)の関係から、振動モード次数(i)の2乗と固有振動数(fi)の2乗を多項式で表し、振動モード次数(i)の4乗に相当する前記ロッド部材の見かけの振動弦長(L)を求め、振動モード次数(i)の2乗に相当する項より張力(T)を求めることによって行われる。
より具体的には、張力の計測で行われる演算では、従来から知られている下記の式(I)が基礎となっている。
Figure 2008145356
ここに、i:モード次数
i:モード次数に対応する固有振動数
ρ:密度
A:断面積
L:振動弦長
EI:曲げ剛性
T:張力(軸力)
上記した式(I)は、ケーブル構造物の張力(軸力)を、部材の固有振動数により測定する場合に用いられているもので、弦の振動方程式或いは張力を受ける梁の曲げ振動方程式として知られている。但し、弦の振動方程式は、式(1)の右辺の第2項(張力項)のみで、右辺第1項(剛性項)は省略されることになる。また、張力が作用していない部材の曲げ振動法定式は、右辺第2項(張力項)が省略された形となる。
張力Tを求める場合、式(I)の右辺第2項(張力項)が適用され、モード次数(i)を省略すると、未知数(パラメータ)は、(1)fi:固有振動数、(2)ρ:密度、(3)A:断面積、(4)L:振動弦長、(5)EI:曲げ剛性の5個となる。
上記パラメータの内、
(1)固有振動数fiは実測で得られる数値である。
(2)密度ρ、(3)断面積Aは、計測しようとする部材によって決まる数値である。
例えば、密度ρは、ステンレス鋼等のような特別鋼材を用いた場合を除き、一般的な鉄の単位体積質量である7.85kg/cm3を用いることができる。特別鋼材の場合には適宜適した単位体積質量を用いる。断面積Aは、計測しようとする部材を実測することで求めることができる。また、腐食等により断面欠損が生じている場合、欠損の割合が少ない場合はそのままの値を用い、欠損の割合の多い場合は適宜現状を反映した値に調整して用いる。
(5)曲げ剛性EIは、鋼材のヤング係数Eと円形の断面二次モーメント(I)から求めた値を用いる。
E=2.0×106kg/cm2
I=π×d4/64(cm4
尚、EI:曲げ剛性は、測定すべきロッド部材が多数有る場合等では、現場において切断しても最も影響の少ない位置にある少なくとも1本をサンプルとして選択して切断して実測することで、曲げ剛性TIを実測することもできる。
(4)L:振動弦長は、振動端点間長であり、剛性項の係数より求められる値となる。
前記した山極らの非特許文献2では、曲げ剛性がそのケーブルの張力状態により変化するため、曲げ剛性と張力とを同時に推定する方法を採用している。この方法では、振動弦長(L)は一定値とし、例えばケーブルなどの部材固定間長が用いられている。
然しながら、伴らの非特許文献3に示されているように、ケーブルやロッド部材の振動では、振動弦長(L)は、式(I)の右辺第1項(剛性項)では4乗、第2項(張力項)では2乗の値となっており、振動弦長(L)の数値の変動が他のパラメータの変動に比較して、剛性ないし張力の推定結果に大きく影響を及ぼすことになっている。従って、山極らが提案するように、応力状態にて弾性係数(E)が変化し、これを正確に推定する必要があるように思われるが、然しながら、伴らが行ったように、振動端点位置を求めること、これをできるだけ正確に評価することが、張力を測定する上で重要なことであり、このことにより、振動弦長Lの数値の変動が張力の測定に与える影響を回避することができるとの知見が得られた。
上記から明らかなように、本発明に係る張力の測定方法では、測定対象のロッド部材の振動弦長が自由空間にある必要はなく、振動弦長の内の一部が露出されれば張力の測定が可能となる点が特徴である。即ち、未知数である振動弦長(L)の数値は、(2)ρ:密度、(3)A:断面積、(5)EI:曲げ剛性の数値を入力することで得られ、この数値を用いて張力(T)を測定することができることとなる。このように、評価が難しい振動端点位置を、振動測定結果から振動端点間距離である振動弦長(L)を求めることができ、この結果、振動弦長(L)を直接に測定することや、露出させたロッド部材の長さ(例えば、後述の実施例では約5メートル)の数値を張力計測の式に代入する必要がないことを意味している。
本発明に係る張力の計測方法によれば、コンクリート構造物内に埋設状態にあるPC鋼材のように、その振動弦長を露出させることができないような場合に、振動数の実測に必要な長さ分だけPC鋼材を、例えばはつり作業などにより露出させることで張力の計測が可能となる。
次に、発明に係る既設ロッド部材の張力測定法を実施例に従って詳細に説明する。
図1は本発明に用いられる振動測定機器の一実施例を示す構成図、図2は図1の振動測定機器の配設例を示す説明図、図3は周波数分析結果の一例を示すグラフ、図4は10回の周波数分析結果を合計し平均化処理した一例を示すグラフ、図5は5次、6次の高次モードの確認例の一例を示すグラフ、図6は5次、6次の高次モードの確認例の一例を示すグラフ、図7は周波数の2乗と振動モード次数の2乗のプロットの一例を示すグラフ、図8は最小2乗近似の一例を示すグラフである。
図1は、本発明を既設のタイロッドの張力測定に実施する場合に用いられる振動測定機器の構成を示しており、振動センサー(例えば、加速度センサー)10、データロガー(例えば、動ひずみ測定器)20、パソコン30から成り、現場においては、図2に示すように配置される。
振動センサー10・10は、露出させたタイロッド40に、タイロッド長と各振動モードの形状を考慮した適切な位置に固定される。固定は、粘着テープなどによって行うことができるが、固定手段は、限定的ではない。振動センサー10は、固有振動数のピークを見逃すことを避けることで測定誤差を抑制するために複数(本実施例では2個)用いることが好ましいが1個でもよい。また、複数個用いた場合の各振動センサー10・10の間隔は各振動モードの形状を考慮した適切な間隔に固定されるのが好ましい。
振動センサー10としては、公知の加速度センサーを特別の制限なく使用できる。
データロガー20としては、公知の動ひずみ測定器を特別の制限なく使用できる。
パソコン30は、データロガー20からのデータ信号を収録すると共に、以下に説明する各種の演算を行い、結果を数値・画像表示するのに利用される。
上記した機器は、図2に示す態様で現場に配設されるが、理解を容易にするために、護岸の改修現場とタイロッドに関して説明する。
タイロッド40の基端はコンクリート製の護岸構造41の陸側に固定され、他端はアンカー42に固定され、所定の張力が負荷された状態で土中に埋設されている。
護岸構造41の陸側は、例えば5mの幅で掘削され、タイロッド40が露出される(図2に示す「露出部分」)。市販の護岸用タイロッドの振動弦長は、メーカー及び品番に差があるが、例えば、タイロッド40全体の長さが17.5m、タイロッド40の両端部の固定部分が各々50cmとすると振動弦長は16.5mとなり、5mを露出させると振動弦長11.5mが地中に埋設状態にあることになる。
尚、後述する計算式への数値の代入に当たっては、市販タイロッドのメーカーは限られており(例えば、神鋼建材工業株式会社・日本タイロッド工業株式会社・合鐵産業株式会社・東京製網株式会社/順不同)、利用されているタイロッド40のメーカー名及び品番が設計(施工)図から、或いは露出させたタイロッド40の目視検査により明らかな場合には、その数値を代入すればよい。その際、パソコン30に用意するソフトウエアには、メーカー名・品番を選択するだけで必要な数値の代入が行われるプログラムが備えられるのが好ましい。更に好ましくは、実測により得られたデータとの比較を行い、数値不一致の場合の措置を行うプログラムを備える。
次に計測の実際を説明する。
先ず、露出させたタイロッド40の任意の位置に振動センサー10を固定し、振動センサー10から離れた任意の位置でハンマー打撃を行い、振動を測定する。ハンマー打撃は、様々な振動モードの振動を発生させるように、例えば、10回など複数回行うことが好ましく、更に打撃毎に任意の位置を選択することが好ましい。更に、振動測定精度をより向上させるために、振動センサー10の固定位置を変更して、夫々複数回のハンマー打撃を繰り返すことも好ましい。
振動データの収集が終わったら、これを周波数分析し、モード次数に対応する周波数の読取を行う。周波数の読取の実例を表1、図3〜図6に示す。
表1は、図3に表わされている如き周波数分析結果の周波数振幅(マイクロμ)の波形から各振動モードに対応する周波数(Hz)を読み取って表にしたものである。卓越周波数のピークが明瞭でない場合には、図5及び図6に示す平均値処理や図7に示すような周波数を際立たせるような処理を行う。図7は各周波数分析結果の周波数振幅を掛け算した例を示すものであるが、図3と比較すると卓越周波数が明瞭である。
Figure 2008145356
次に、得られた複数の固有振動数fとモード次数iの夫々の値の2乗の値(表2に示す)を図7に示すようにプロットし、図8に示すように最小2乗近似を行い、近似曲線のモード次数iの4乗の係数からロッド部材の振動弦長(L)を算定する。
尚、最小2乗近似を行うに際しては、前記式(I)を下記式(II)のように簡略化する。
Figure 2008145356
最小2乗近似を行った結果から、近似式である下記の式(III)が得られる。
Figure 2008145356
式(III)のα項より、振動弦長(L)を算定する。
即ち、a=8.1924であるから、
Figure 2008145356
となり、L=5.128(m)が得られる。
ここで、
π=3.14
EI=2.084(tm2
ρ=7.85(t/m3
A=1.134×10-3(m2
尚、計算に用いる単位系により、計算式内で重力加速度(g)を考慮する必要がある。上記計算はCGS単位系を用いているため、上記のように分子に重力加速度(g)を掛ける。一方、SI単位系では、元より重力加速度が考慮されている該重力加速度(g)を掛ける必要はない。
Figure 2008145356
本発明に係る既設ロッド部材の張力測定法において、張力の計測で行われる演算では、前記式(I)が基礎となっている。
式(I)に各値(モード次数:i、モード次数iに対する固有振動数:fi、密度:ρ、断面積:A、振動弦長:L、曲げ剛性:EI)を代入することで、張力:Tを算定することが可能となる。
前記において振動弦長(L)が算出されたことにより、張力項の係数bより張力(T)を求めることができる。
即ち、b=316.57であるから、
Figure 2008145356
となり、T=30.22(t)が得られる。ここで、単位tは引張を示す。
尚、本実施例の結果を検証するために、振動法による測定を行った。即ち、本ロッド部材の切断時の該ロッド部材の縮み量の標点間距離を測定して簡易的に検証を行ったところ、前記値であるT=30.22(t)に対して1割程度の誤差範囲であるT=34.5(t)の値が得られた。
[実験例]
以下、実験例により、本発明に係る既設タイロッドの張力測定法を実証する。
実験例1:
A.使用したタイロッド
全体の長さが17.50m、直径が38mm(設計値)の市販品を用い、両端部を固定した状態(取付固定分は両端夫々50cmずつ)で埋設した。
B.タイロッドの掘り起こし(露出)
埋設したタイロッドの端部から本工事の施工上最低限必要な幅である、約5mを掘削し、タイロッドの掘り出しを行った。
C.タイロッドの曲げ剛性(EI)を算出した。
D.打撃によりタイロッドを励起させ、タイロッドの固有振動数を測定し、モード次数:i、モード次数iに対する固有振動数:fi、密度:ρ、断面積:A、振動弦長:L、曲げ剛性:EIの各値を計算式に代入して張力:Tを算定する。
E.各タイロッドに掛かった張力と、本発明の張力測定方法によって算定した張力(T)の結果は極めて近似した値を示すことが判った。
本発明に用いられる振動測定機器の一実施例を示す構成図 図1の振動測定機器の配設例を示す説明図 周波数分析結果の一例を示すグラフ 10回の周波数分析結果を合計し平均化処理した一例を示すグラフ 5次、6次の高次モードの確認例の一例を示すグラフ 5次、6次の高次モードの確認例の一例を示すグラフ 周波数の2乗と振動モード次数の2乗のプロットの一例を示すグラフ 最小2乗近似の一例を示すグラフ
符号の説明
10 振動センサー
20 データロガー
30 パソコン
40 タイロッド
41 護岸構造
42 アンカー

Claims (4)

  1. 埋設されているタイロッドやPC鋼材の如き埋設状態にある既設の埋設ロッド部材の振動弦長を露出させることなく、振動弦長の数値が未知であっても、限定的な露出長さから張力を測定する埋設ロッド部材の張力測定方法であって、
    測定対象である前記ロッド部材の振動弦長の内の振動可能な長さ分である一部を掘削・はつり等の手段により露出させ、該露出部分に振動センサーを配設し、該露出部分をハンマーの如き打撃手段による打撃により振動させ、前記振動センサーで検出した振動より固有振動数(fi)を求め、振動モード次数(i)と固有振動数(fi)の関係から、振動モード次数(i)の2乗と固有振動数(fi)の2乗を多項式で表し、振動モード次数(i)の4乗に相当する前記ロッド部材の見かけの振動弦長(L)を求め、振動モード次数(i)の2乗に相当する項より張力(T)を求めることを特徴とする埋設ロッド部材の張力測定方法。
  2. 埋設されているタイロッドやPC鋼材の如き埋設状態にある既設の埋設ロッド部材の振動弦長を露出させることなく、振動弦長の数値が未知であっても、限定的な露出長さから張力を測定する埋設ロッド部材の張力測定方法であって、
    測定対象である前記ロッド部材の振動弦長の内の振動可能な長さ分である一部を掘削・はつり等の手段により露出させ、該露出部分に振動センサーを配設し、該露出部分をハンマーの如き打撃手段による打撃により振動させ、前記振動センサーで検出した振動をデータロガーにより固有振動数(fi)を計測し、
    前記ロッド部材の密度(ρ)と断面積(A)の値を与え、
    前記ロッド部材の曲げ剛性(EI)の値を与え、
    前記ロッド部材の振動端点間長である振動弦長(L)を、前記固有振動数(fi)、前記密度(ρ)、前記断面積(A)、前記曲げ剛性(EI)を元に算出して求め、
    固有振動数(fi)、密度(ρ)、断面積(A)、曲げ剛性(EI)、振動弦長(L)を下記式(I)に代入して算出することで前記ロッド部材の張力を測定することを特徴とする埋設ロッド部材の張力測定方法。
    Figure 2008145356
    ここに、i:モード次数
    i:モード次数に対応する固有振動数
    ρ:密度
    A:断面積
    L:振動弦長
    EI:曲げ剛性
    T:張力(軸力)
  3. 得られた複数の固有振動数(fi)の2乗の値とモード次数(i)の2乗の値を最小2乗近似を行い、近似曲線のモード次数(i)の4乗の係数から前記振動弦長(L)を算定することを特徴とする請求項1又は2に記載の埋設ロッド部材の張力測定方法。
  4. 前記曲げ剛性(EI)が、鋼材のヤング係数(E)と円形の断面二次モーメント(I)から求めた値を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の埋設ロッド部材の張力測定方法。
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