JP2001074660A - グロー放電発光分光分析装置 - Google Patents
グロー放電発光分光分析装置Info
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- JP2001074660A JP2001074660A JP24866399A JP24866399A JP2001074660A JP 2001074660 A JP2001074660 A JP 2001074660A JP 24866399 A JP24866399 A JP 24866399A JP 24866399 A JP24866399 A JP 24866399A JP 2001074660 A JP2001074660 A JP 2001074660A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 グロー放電発光分光分析装置において、ガラ
ス等の絶縁物(誘電体)の試料において、放電電極と試
料との間の電圧低下を防止して、グロープラズマを安定
して維持する。 【解決手段】 グロー放電によって試料表面をスパッタ
リングしながら原子発光を分光検出し、元素分析を行う
グロー放電発光分光分析装置1において、第1の電極〜
第3の電極を備える。第1の電極は陽極として放電電極
3を構成し、第2の電極は陰極として試料の背面電極4
を構成し、第3の電極11は第1の電極との間でグロー
プラズマを生成する。各電極において、第1の電極3と
第3の電極11の間にグロー放電を生成する高周波電力
を供給することによってグロープラズマの生成及び維持
を行い、第2の電極4と第3の電極11の間に直流のバ
イアス電圧を印加することによって、第1の電極と第2
の電極との間に配置した絶縁物バルク試料Sのスパッタ
リングを行う。
ス等の絶縁物(誘電体)の試料において、放電電極と試
料との間の電圧低下を防止して、グロープラズマを安定
して維持する。 【解決手段】 グロー放電によって試料表面をスパッタ
リングしながら原子発光を分光検出し、元素分析を行う
グロー放電発光分光分析装置1において、第1の電極〜
第3の電極を備える。第1の電極は陽極として放電電極
3を構成し、第2の電極は陰極として試料の背面電極4
を構成し、第3の電極11は第1の電極との間でグロー
プラズマを生成する。各電極において、第1の電極3と
第3の電極11の間にグロー放電を生成する高周波電力
を供給することによってグロープラズマの生成及び維持
を行い、第2の電極4と第3の電極11の間に直流のバ
イアス電圧を印加することによって、第1の電極と第2
の電極との間に配置した絶縁物バルク試料Sのスパッタ
リングを行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グロー放電発光分
光分析に関し、薄膜の膜組成の分析、評価、特にガラス
等の絶縁物材料上に施した絶縁物のコーティング評価に
適用することができる分析装置に関する。
光分析に関し、薄膜の膜組成の分析、評価、特にガラス
等の絶縁物材料上に施した絶縁物のコーティング評価に
適用することができる分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】低圧力のアルゴン雰囲気中で、電極間に
高電圧を印加すると、グロー放電が発生する。このグロ
ー放電によって生成されたArイオンは、高電界で加速
されて陰極側に衝突して陰極側から物質をたたき出す。
このスパッタリングによって放出された粒子(原子、分
子、イオン)は、プラズマ中で励起状態から基底状態に
戻る際に、その元素特有の波長の光を放出する。グロー
放電発光分光分析は、この発光を分光器で分光して元素
分析等を行う。このグロー放電発光分光分析では、スパ
ッタリングによって試料表面が除去され、各元素の発光
線強度の時間変化を測定することによって、深さ方向の
元素分析を行うことができ、酸化物薄膜などの膜組成の
評価に適用することができる。
高電圧を印加すると、グロー放電が発生する。このグロ
ー放電によって生成されたArイオンは、高電界で加速
されて陰極側に衝突して陰極側から物質をたたき出す。
このスパッタリングによって放出された粒子(原子、分
子、イオン)は、プラズマ中で励起状態から基底状態に
戻る際に、その元素特有の波長の光を放出する。グロー
放電発光分光分析は、この発光を分光器で分光して元素
分析等を行う。このグロー放電発光分光分析では、スパ
ッタリングによって試料表面が除去され、各元素の発光
線強度の時間変化を測定することによって、深さ方向の
元素分析を行うことができ、酸化物薄膜などの膜組成の
評価に適用することができる。
【0003】図6はグロー放電発光分光分析装置の一構
成例を示すブロック図である。図6に示すグロー放電発
光分光分析装置10は、中空状に形成した放電電極3と
試料Sとを対向配置し、試料Sの背面に背面電極4を陰
極として配置し、アルゴンガスを流しながら真空排気を
行なって低真空雰囲気に保ち、放電電極3と背面電極4
との間に高周波電源5及び整合器6を接続することによ
って、試料Sと放電電極3との間に高周波電力を供給し
て、試料Sと放電電極3との間に安定したアルゴンのグ
ロー放電プラズマを形成する。また、試料Sが導電性材
料の場合、高周波電源5及び整合器6の代りに直流電源
を接続することによって同様に安定したアルゴンのグロ
ー放電プラズマを形成することができる。
成例を示すブロック図である。図6に示すグロー放電発
光分光分析装置10は、中空状に形成した放電電極3と
試料Sとを対向配置し、試料Sの背面に背面電極4を陰
極として配置し、アルゴンガスを流しながら真空排気を
行なって低真空雰囲気に保ち、放電電極3と背面電極4
との間に高周波電源5及び整合器6を接続することによ
って、試料Sと放電電極3との間に高周波電力を供給し
て、試料Sと放電電極3との間に安定したアルゴンのグ
ロー放電プラズマを形成する。また、試料Sが導電性材
料の場合、高周波電源5及び整合器6の代りに直流電源
を接続することによって同様に安定したアルゴンのグロ
ー放電プラズマを形成することができる。
【0004】プラズマの正イオンは、試料Sの表面を均
一にスパッタリングし、例えば10nm/secのオー
ダーの速度で切削する。スパッタリングされた試料Sの
原子は、プラズマ中で励起されて元素特有の光を発光す
る。高周波グロー放電発光分光分析装置10は、この発
光を分光器2で分光して光検出器23で検出する。な
お、符号21はスリットであり、符号22は回折格子等
の分光器である。通常、上記構成のグロー放電発光分光
分析装置10は、波長毎に光強度を検出して発光線強度
の大きさから含有元素の組成を求める。また、発光の経
時変化を測定することによって、試料Sの元素の深さ方
向の分布を測定する。
一にスパッタリングし、例えば10nm/secのオー
ダーの速度で切削する。スパッタリングされた試料Sの
原子は、プラズマ中で励起されて元素特有の光を発光す
る。高周波グロー放電発光分光分析装置10は、この発
光を分光器2で分光して光検出器23で検出する。な
お、符号21はスリットであり、符号22は回折格子等
の分光器である。通常、上記構成のグロー放電発光分光
分析装置10は、波長毎に光強度を検出して発光線強度
の大きさから含有元素の組成を求める。また、発光の経
時変化を測定することによって、試料Sの元素の深さ方
向の分布を測定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のグロー放電発光
分光分析装置においてガラス等の絶縁物を分析する場
合、グロープラズマを安定して維持することがむずかし
いという問題がある。図7は放電電極3、背面電極4、
及び試料Sに印加される電圧状態を説明するための図で
ある。なお、図7(b)は等価回路を示している。放電
電極3と背面電極4との間に高周波電源5を接続する
と、印加された電圧Eは、放電電極3と試料Sとの間の
電圧V1と、試料Sと背面電極4との間の電圧V2(E
=V1+V2)に分圧される。放電電極3と試料Sとの
間の静電容量をC1とし、試料Sの誘電率をε、面積を
s、厚みをdとすると、V1の電圧は、 V1=E/((C1×d)/(ε×s)+1) …(1) で表される。
分光分析装置においてガラス等の絶縁物を分析する場
合、グロープラズマを安定して維持することがむずかし
いという問題がある。図7は放電電極3、背面電極4、
及び試料Sに印加される電圧状態を説明するための図で
ある。なお、図7(b)は等価回路を示している。放電
電極3と背面電極4との間に高周波電源5を接続する
と、印加された電圧Eは、放電電極3と試料Sとの間の
電圧V1と、試料Sと背面電極4との間の電圧V2(E
=V1+V2)に分圧される。放電電極3と試料Sとの
間の静電容量をC1とし、試料Sの誘電率をε、面積を
s、厚みをdとすると、V1の電圧は、 V1=E/((C1×d)/(ε×s)+1) …(1) で表される。
【0006】グロー放電発光分光分析装置において、グ
ロープラズマを生成し、生成したグロープラズマを安定
して維持するためには、放電電極3と試料Sとの間の電
圧V1を所定電圧以上とする必要がある。しかしなが
ら、ガラス等の絶縁物は誘電体であるため、絶縁物であ
る試料sの厚みdが大きくなると、電圧V1は低下する
ことになる。また、真空排気されるグローランプと大気
との間の一部は試料Sを介して隔てられているため、試
料Sには圧力差による応力が加わる。通常、試料の厚み
を真空排気に耐えられる程度まで厚くすると、試料自体
に加わる電圧V2が高くなり、電圧V1は低下すること
になる。上記のように、従来のグロー放電発光分光分析
装置では、放電電極3と試料Sとの間の電圧が低下する
ため、グロープラズマを安定して維持することが困難と
なる。
ロープラズマを生成し、生成したグロープラズマを安定
して維持するためには、放電電極3と試料Sとの間の電
圧V1を所定電圧以上とする必要がある。しかしなが
ら、ガラス等の絶縁物は誘電体であるため、絶縁物であ
る試料sの厚みdが大きくなると、電圧V1は低下する
ことになる。また、真空排気されるグローランプと大気
との間の一部は試料Sを介して隔てられているため、試
料Sには圧力差による応力が加わる。通常、試料の厚み
を真空排気に耐えられる程度まで厚くすると、試料自体
に加わる電圧V2が高くなり、電圧V1は低下すること
になる。上記のように、従来のグロー放電発光分光分析
装置では、放電電極3と試料Sとの間の電圧が低下する
ため、グロープラズマを安定して維持することが困難と
なる。
【0007】印加する高周波電力を上げることによって
電圧V1を高めることが考えられるが、グロー放電発光
分光分析装置に用いられる絶縁物の耐電圧に限界がある
ため、印加する高周波電力が制限され電圧V1を充分に
高めることができない。そこで、本発明は前記した従来
の問題点を解決し、グロー放電発光分光分析装置におい
て、ガラス等の絶縁物(誘電体)の試料において、放電
電極と試料との間の電圧低下を防止して、グロープラズ
マを安定して維持することを目的とする。
電圧V1を高めることが考えられるが、グロー放電発光
分光分析装置に用いられる絶縁物の耐電圧に限界がある
ため、印加する高周波電力が制限され電圧V1を充分に
高めることができない。そこで、本発明は前記した従来
の問題点を解決し、グロー放電発光分光分析装置におい
て、ガラス等の絶縁物(誘電体)の試料において、放電
電極と試料との間の電圧低下を防止して、グロープラズ
マを安定して維持することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、グロー放電に
よって試料表面をスパッタリングしながら原子発光を分
光検出し、元素分析を行うグロー放電発光分光分析装置
において、第1の電極〜第3の電極を備える。第1の電
極は陽極として放電電極を構成し、第2の電極は陰極と
して試料の背面電極を構成し、第3の電極は第1の電極
との間でグロープラズマを生成する。各電極において、
第1の電極と第3の電極の間に高周波電力を供給するこ
とによってグロープラズマの生成及び維持を行い、第2
の電極と第3の電極の間に直流のバイアス電圧を印加す
ることによって、第1の電極と第2の電極との間に配置
した絶縁物バルク試料のスパッタリングを行う。この第
3の電極を設けることによって、グロープラズマは第1
の電極の放電電極と第3の電極との間の電圧を試料にか
かわらず設定することができるため、放電電極と試料と
の間の電圧を所定電圧に維持して、ガラス等の絶縁物
(誘電体)の試料による電圧低下を抑制し、グロープラ
ズマを安定して維持することができる。
よって試料表面をスパッタリングしながら原子発光を分
光検出し、元素分析を行うグロー放電発光分光分析装置
において、第1の電極〜第3の電極を備える。第1の電
極は陽極として放電電極を構成し、第2の電極は陰極と
して試料の背面電極を構成し、第3の電極は第1の電極
との間でグロープラズマを生成する。各電極において、
第1の電極と第3の電極の間に高周波電力を供給するこ
とによってグロープラズマの生成及び維持を行い、第2
の電極と第3の電極の間に直流のバイアス電圧を印加す
ることによって、第1の電極と第2の電極との間に配置
した絶縁物バルク試料のスパッタリングを行う。この第
3の電極を設けることによって、グロープラズマは第1
の電極の放電電極と第3の電極との間の電圧を試料にか
かわらず設定することができるため、放電電極と試料と
の間の電圧を所定電圧に維持して、ガラス等の絶縁物
(誘電体)の試料による電圧低下を抑制し、グロープラ
ズマを安定して維持することができる。
【0009】第3の電極は環状電極とし、内側に形成し
た孔内に放電電極を挿入して、放電電極と第3の電極と
を同心円状に配置する構成とすることができる。この構
成において、放電電極と第3の電極との間に高周波電力
を供給することによって、放電電極の中空部分にグロー
プラズマが生成され維持される。第2の電極と第3の電
極の間に直流のバイアス電圧を印加し、第3の電極を陰
極とすると、グロープラズマは第3の電極側に移動し、
試料面に接近する。このグロープラズマの試料面への接
近によって、グロープラズマによる試料面のスパッタリ
ングの効率を向上させることができる。ここで、直流の
バイアス電圧は電圧零を含み、第2の電極と第3の電極
とを同電位とすることができる。本発明によれば、ガラ
ス等の絶縁物(誘電体)の試料において、放電電極と試
料との間の電圧低下を防止して、グロープラズマを安定
して維持することができる。
た孔内に放電電極を挿入して、放電電極と第3の電極と
を同心円状に配置する構成とすることができる。この構
成において、放電電極と第3の電極との間に高周波電力
を供給することによって、放電電極の中空部分にグロー
プラズマが生成され維持される。第2の電極と第3の電
極の間に直流のバイアス電圧を印加し、第3の電極を陰
極とすると、グロープラズマは第3の電極側に移動し、
試料面に接近する。このグロープラズマの試料面への接
近によって、グロープラズマによる試料面のスパッタリ
ングの効率を向上させることができる。ここで、直流の
バイアス電圧は電圧零を含み、第2の電極と第3の電極
とを同電位とすることができる。本発明によれば、ガラ
ス等の絶縁物(誘電体)の試料において、放電電極と試
料との間の電圧低下を防止して、グロープラズマを安定
して維持することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
を参照しながら詳細に説明する。図1はグロー放電発光
分光分析装置の一構成例を示すブロック図であり、図2
はグロー放電発光分光分析装置の電極構成を説明するた
めの概略図である。図1に示すグロー放電発光分光分析
装置1は、第3の電極11の構成の他は、図6に示した
従来のグロー放電発光分光分析装置10とほぼ同様の構
成とすることができる。
を参照しながら詳細に説明する。図1はグロー放電発光
分光分析装置の一構成例を示すブロック図であり、図2
はグロー放電発光分光分析装置の電極構成を説明するた
めの概略図である。図1に示すグロー放電発光分光分析
装置1は、第3の電極11の構成の他は、図6に示した
従来のグロー放電発光分光分析装置10とほぼ同様の構
成とすることができる。
【0011】グロー放電発光分光分析装置1は、中空状
に形成した第1の電極である放電電極3と試料Sとを対
向配置し、アルゴンガスを流しながら真空排気を行なっ
て低真空雰囲気に保ち、試料Sと放電電極3との間に直
流電圧または高周波電力を供給して、試料Sと放電電極
3との間に安定したアルゴンのグロー放電プラズマを形
成する。放電電極3は中空状の形状とし、中空部分の試
料Sに近い部分においてグロープラズマを生成し、グロ
ープラズマ9で発生した光を中空部分の軸方向に通して
分光器2に導く。分光器2は、この発光をスリット21
を通して回折格子等の分光素子22に導いて分光し、光
検出器23で検出する。グロー放電発光分光分析では、
波長毎に光強度を検出し、この発光線強度の大きさから
含有元素の組成を求めることができ、また、発光の経時
変化を測定することによって、試料Sの元素の深さ方向
の分布を測定することができる。
に形成した第1の電極である放電電極3と試料Sとを対
向配置し、アルゴンガスを流しながら真空排気を行なっ
て低真空雰囲気に保ち、試料Sと放電電極3との間に直
流電圧または高周波電力を供給して、試料Sと放電電極
3との間に安定したアルゴンのグロー放電プラズマを形
成する。放電電極3は中空状の形状とし、中空部分の試
料Sに近い部分においてグロープラズマを生成し、グロ
ープラズマ9で発生した光を中空部分の軸方向に通して
分光器2に導く。分光器2は、この発光をスリット21
を通して回折格子等の分光素子22に導いて分光し、光
検出器23で検出する。グロー放電発光分光分析では、
波長毎に光強度を検出し、この発光線強度の大きさから
含有元素の組成を求めることができ、また、発光の経時
変化を測定することによって、試料Sの元素の深さ方向
の分布を測定することができる。
【0012】図1,2において、放電電極3は、該放電
電極3の外径よりわずかに大きな内径を有した絶縁物7
の中空部分内に収納されて保持される。試料Sと対向す
る絶縁物7の面の一部にはOリング8を保持するための
溝が形成される。なお、図2ではOリングを省略してい
る。試料Sは、試料面をOリング8に接触して押圧する
ことによって放電電極3の中空部分を密閉する。放電電
極3の外径部分と絶縁物7の内径部分との間に形成され
る隙間を通して、真空排気が行われる。これによって、
密閉された放電電極3の中空部分は、アルゴンガスを流
しながら真空排気を行うことによって、低真空雰囲気に
保持される。第3の電極11は中心部分に開口部を備え
る環状電極とすることができ、図1に示す構成では、開
口部内に放電電極3及びOリング8を配置し、第3の電
極11をOリング8の外側部分に配置する。第3の電極
11は絶縁物7に形成した環状の凹部にはめ込むことに
より取り付けることができる。また、背面電極4は、試
料Sの背面に設ける。
電極3の外径よりわずかに大きな内径を有した絶縁物7
の中空部分内に収納されて保持される。試料Sと対向す
る絶縁物7の面の一部にはOリング8を保持するための
溝が形成される。なお、図2ではOリングを省略してい
る。試料Sは、試料面をOリング8に接触して押圧する
ことによって放電電極3の中空部分を密閉する。放電電
極3の外径部分と絶縁物7の内径部分との間に形成され
る隙間を通して、真空排気が行われる。これによって、
密閉された放電電極3の中空部分は、アルゴンガスを流
しながら真空排気を行うことによって、低真空雰囲気に
保持される。第3の電極11は中心部分に開口部を備え
る環状電極とすることができ、図1に示す構成では、開
口部内に放電電極3及びOリング8を配置し、第3の電
極11をOリング8の外側部分に配置する。第3の電極
11は絶縁物7に形成した環状の凹部にはめ込むことに
より取り付けることができる。また、背面電極4は、試
料Sの背面に設ける。
【0013】放電電極3と第3の電極11との間には高
周波電源5を接続し、第3の電極11と背面電極4との
間には直流電源12を接続する。図3は電圧の印加によ
るグロープラズマの状態を説明するための図である。図
3(a)において、放電電極3と第3の電極11との間
に高周波電源5を接続すると、放電電極3と第3の電極
11との間に高電界が印加され(図3(a)中の矢
印)、放電電極3の中空部分にグロープラズマ9が生成
される。また、図3(b)において、第3の電極11と
背面電極4との間に直流電源12を接続すると、第3の
電極11と背面電極4との間にバイアス電圧eが印加さ
れる。印加されたバイアス電圧eは、放電電極3と試料
Sとの間の容量C1と試料Sの容量C2とによってv1
及びv2に分圧される。図3(c)は等価回路を示して
いる。放電電極3と試料Sとの間の静電容量をC1と
し、試料Sの誘電率をε、面積をs、厚みをdとする
と、v1の電圧は、 v1=e/((C1×d)/(ε×s)+1) …(2) で表される。
周波電源5を接続し、第3の電極11と背面電極4との
間には直流電源12を接続する。図3は電圧の印加によ
るグロープラズマの状態を説明するための図である。図
3(a)において、放電電極3と第3の電極11との間
に高周波電源5を接続すると、放電電極3と第3の電極
11との間に高電界が印加され(図3(a)中の矢
印)、放電電極3の中空部分にグロープラズマ9が生成
される。また、図3(b)において、第3の電極11と
背面電極4との間に直流電源12を接続すると、第3の
電極11と背面電極4との間にバイアス電圧eが印加さ
れる。印加されたバイアス電圧eは、放電電極3と試料
Sとの間の容量C1と試料Sの容量C2とによってv1
及びv2に分圧される。図3(c)は等価回路を示して
いる。放電電極3と試料Sとの間の静電容量をC1と
し、試料Sの誘電率をε、面積をs、厚みをdとする
と、v1の電圧は、 v1=e/((C1×d)/(ε×s)+1) …(2) で表される。
【0014】上記v1の式は、前記した高周波電源のみ
を接続した場合の電圧V1の式と類似した式であるが、
バイアス電圧eは高周波電源の電圧Eを式内に含まない
ため、放電電極3と試料Sとの間の電圧v1は、バイア
ス電圧eによって調整することができ、試料Sの誘電率
εや厚みdに応じて変更することができる。バイアス電
圧eで印加される電圧v1によって、放電電極3の中空
部分のグロープラズマ9は試料S側に移動する(図3
(b)中のグロープラズマ9内に示す矢印)。
を接続した場合の電圧V1の式と類似した式であるが、
バイアス電圧eは高周波電源の電圧Eを式内に含まない
ため、放電電極3と試料Sとの間の電圧v1は、バイア
ス電圧eによって調整することができ、試料Sの誘電率
εや厚みdに応じて変更することができる。バイアス電
圧eで印加される電圧v1によって、放電電極3の中空
部分のグロープラズマ9は試料S側に移動する(図3
(b)中のグロープラズマ9内に示す矢印)。
【0015】グロープラズマ9中のプラズマの正イオン
は、試料Sの表面を均一にスパッタリングし、スパッタ
リングされた試料Sの原子は、プラズマ中で励起されて
元素特有の光を発光する。本発明の高周波グロー放電発
光分光分析装置1によれば、電圧v1を印加してグロー
プラズマ9を試料S側に移動させることによって、安定
したスパッタリングを行うことができる。また放電電極
3と試料Sとの間の電圧v1は、高周波電源の電圧Eと
独立している直流電圧eによって印加されるため、絶縁
物の耐電圧を考慮することなく直流電圧eを調整するこ
とができる。
は、試料Sの表面を均一にスパッタリングし、スパッタ
リングされた試料Sの原子は、プラズマ中で励起されて
元素特有の光を発光する。本発明の高周波グロー放電発
光分光分析装置1によれば、電圧v1を印加してグロー
プラズマ9を試料S側に移動させることによって、安定
したスパッタリングを行うことができる。また放電電極
3と試料Sとの間の電圧v1は、高周波電源の電圧Eと
独立している直流電圧eによって印加されるため、絶縁
物の耐電圧を考慮することなく直流電圧eを調整するこ
とができる。
【0016】本発明の高周波グロー放電発光分光分析装
置1による測定は、以下の手順に従って行うことができ
る。はじめに、第3電極11を高周波グロー放電発光分
光分析装置1の放電電極3及び絶縁物7を含む電極部分
に配置し、試料Sを該電極部分に押し当て、試料Sの表
面をOリング8に接触させてグローランプ(放電電極の
中空部分)内をプラズマ密閉し、アルゴンガスの真空雰
囲気に維持する。放電電極3と第3電極11との間に高
周波電力を印加し、グローランプ中にグロープラズマ9
を発生させる。このグロープラズマ9は、第3電極11
と背面電極4の間に印加されるバイアス電圧eと独立し
ており、安定に維持される。
置1による測定は、以下の手順に従って行うことができ
る。はじめに、第3電極11を高周波グロー放電発光分
光分析装置1の放電電極3及び絶縁物7を含む電極部分
に配置し、試料Sを該電極部分に押し当て、試料Sの表
面をOリング8に接触させてグローランプ(放電電極の
中空部分)内をプラズマ密閉し、アルゴンガスの真空雰
囲気に維持する。放電電極3と第3電極11との間に高
周波電力を印加し、グローランプ中にグロープラズマ9
を発生させる。このグロープラズマ9は、第3電極11
と背面電極4の間に印加されるバイアス電圧eと独立し
ており、安定に維持される。
【0017】第3電極11と背面電極4の間にバイアス
電圧eを印加して、試料Sの表面をスパッタリングす
る。このとき印加するバイアス電圧eは、試料表面にお
いて十分な電界強度得られるように、試料Sの誘電率や
厚みに応じて変更する。バイアス電圧eを印加すると同
時に、グロープラズマから放出される発光線強度の測定
を開始する。発光線強度の時系列測定を行うことによっ
て、試料の深さ分析データを得ることができる。
電圧eを印加して、試料Sの表面をスパッタリングす
る。このとき印加するバイアス電圧eは、試料表面にお
いて十分な電界強度得られるように、試料Sの誘電率や
厚みに応じて変更する。バイアス電圧eを印加すると同
時に、グロープラズマから放出される発光線強度の測定
を開始する。発光線強度の時系列測定を行うことによっ
て、試料の深さ分析データを得ることができる。
【0018】次に、図4,5を用いて、本発明の高周波
グロー放電発光分光分析装置の他の構成例を説明する。
図4に示す第2の構成例は、図1に示す構成例におい
て、直流電源12のバイアス電圧を零とし、第2の電極
4と第3の電極11とを同電位とする構成である。バイ
アス電圧は、生成されたグロープラズマを試料S側に接
近させて、スパッタリングの効率を高めるものであり、
このバイアス電圧が零の場合であっても、グロープラズ
マによる試料表面のスパッタリングを行うことができ
る。
グロー放電発光分光分析装置の他の構成例を説明する。
図4に示す第2の構成例は、図1に示す構成例におい
て、直流電源12のバイアス電圧を零とし、第2の電極
4と第3の電極11とを同電位とする構成である。バイ
アス電圧は、生成されたグロープラズマを試料S側に接
近させて、スパッタリングの効率を高めるものであり、
このバイアス電圧が零の場合であっても、グロープラズ
マによる試料表面のスパッタリングを行うことができ
る。
【0019】図5に示す構成例は、第3の電極の変形例
である。図5(a)に示す第3の構成例は、図1に示す
構成例において、第3の電極11aをOリング8の内側
に配置する構成である。第3の電極11aは図1に示す
構成例と同様に環状とし、絶縁物7に形成した環状の凹
部にはめ込むことにより取り付けることができる。この
構成によれば、放電電極3と第3の電極11aとを接近
させて配置することができる。図5(b)に示す第4の
構成例は、図1に示す構成例において、第3の電極11
bにOリング8を設置する溝を形成し、試料と対向する
絶縁物7の全面部分に第3の電極11bを取り付ける構
成である。この構成によれば、第3の電極による試料表
面に対する電界分布を均一なものとすることができる。
である。図5(a)に示す第3の構成例は、図1に示す
構成例において、第3の電極11aをOリング8の内側
に配置する構成である。第3の電極11aは図1に示す
構成例と同様に環状とし、絶縁物7に形成した環状の凹
部にはめ込むことにより取り付けることができる。この
構成によれば、放電電極3と第3の電極11aとを接近
させて配置することができる。図5(b)に示す第4の
構成例は、図1に示す構成例において、第3の電極11
bにOリング8を設置する溝を形成し、試料と対向する
絶縁物7の全面部分に第3の電極11bを取り付ける構
成である。この構成によれば、第3の電極による試料表
面に対する電界分布を均一なものとすることができる。
【0020】本発明によれば、材料全体が絶縁物で構成
されている試料に対して、グロー放電発光分光分析によ
る測定を行うことができる。絶縁物バルク基板上に成膜
された絶縁物薄膜の元素濃度の深さ分析測定を行うこと
ができる。また、絶縁物バルク基板上に成膜された絶縁
物薄膜試料において、薄膜部分だけでなく、基板部の測
定を行うことができる。
されている試料に対して、グロー放電発光分光分析によ
る測定を行うことができる。絶縁物バルク基板上に成膜
された絶縁物薄膜の元素濃度の深さ分析測定を行うこと
ができる。また、絶縁物バルク基板上に成膜された絶縁
物薄膜試料において、薄膜部分だけでなく、基板部の測
定を行うことができる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のグロー放
電発光分光分析装置によれば、ガラス等の絶縁物(誘電
体)の試料において、放電電極と試料との間の電圧低下
を防止して、グロープラズマを安定して維持することが
できる。
電発光分光分析装置によれば、ガラス等の絶縁物(誘電
体)の試料において、放電電極と試料との間の電圧低下
を防止して、グロープラズマを安定して維持することが
できる。
【図1】グロー放電発光分光分析装置の一構成例を示す
ブロック図である。
ブロック図である。
【図2】グロー放電発光分光分析装置の電極構成を説明
するための概略図である。
するための概略図である。
【図3】電圧の印加によるグロープラズマの状態を説明
するための図である。
するための図である。
【図4】本発明の高周波グロー放電発光分光分析装置の
他の構成例を説明するための図である。
他の構成例を説明するための図である。
【図5】本発明の高周波グロー放電発光分光分析装置の
他の構成例を説明するための図である。
他の構成例を説明するための図である。
【図6】グロー放電発光分光分析装置の一構成例を示す
ブロック図である。
ブロック図である。
【図7】放電電極、背面電極、及び試料Sに印加される
電圧状態を説明するための図である。
電圧状態を説明するための図である。
1,10…グロー放電発光分光分析装置、2…分光器、
3…放電電極、4…背面電極、5…高周波電源、6…整
合器、7…絶縁物、8…Oリング、9…グロープラズ
マ、11,11a,11b…第3の電極、12…直流電
源、S…試料。
3…放電電極、4…背面電極、5…高周波電源、6…整
合器、7…絶縁物、8…Oリング、9…グロープラズ
マ、11,11a,11b…第3の電極、12…直流電
源、S…試料。
Claims (1)
- 【請求項1】 グロー放電によって試料表面をスパッタ
リングしながら原子発光を分光検出し、元素分析を行う
グロー放電発光分光分析装置において、陽極を構成する
第1の電極と、陰極を構成する第2の電極と、第3の電
極とを備え、第1の電極と第3の電極の間にグロー放電
を生成する高周波電力を供給し、第2の電極と第3の電
極の間に直流のバイアス電圧を印加し、第1の電極と第
2の電極との間に配置した絶縁物バルク試料を分析す
る、グロー放電発光分光分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24866399A JP2001074660A (ja) | 1999-09-02 | 1999-09-02 | グロー放電発光分光分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24866399A JP2001074660A (ja) | 1999-09-02 | 1999-09-02 | グロー放電発光分光分析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001074660A true JP2001074660A (ja) | 2001-03-23 |
Family
ID=17181497
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24866399A Withdrawn JP2001074660A (ja) | 1999-09-02 | 1999-09-02 | グロー放電発光分光分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001074660A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006145500A (ja) * | 2004-11-24 | 2006-06-08 | Horiba Ltd | グロー放電発光分析方法、グロー放電発光分析装置、及び電力生成装置 |
JP2015197295A (ja) * | 2014-03-31 | 2015-11-09 | 株式会社堀場製作所 | グロー放電発光分析方法 |
-
1999
- 1999-09-02 JP JP24866399A patent/JP2001074660A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006145500A (ja) * | 2004-11-24 | 2006-06-08 | Horiba Ltd | グロー放電発光分析方法、グロー放電発光分析装置、及び電力生成装置 |
JP4484674B2 (ja) * | 2004-11-24 | 2010-06-16 | 株式会社堀場製作所 | グロー放電発光分析装置 |
JP2015197295A (ja) * | 2014-03-31 | 2015-11-09 | 株式会社堀場製作所 | グロー放電発光分析方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20061107 |