JP2001072993A - エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸またはそれらのエステルを選択的に分離精製する方法 - Google Patents

エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸またはそれらのエステルを選択的に分離精製する方法

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Megumi Kiyohara
恵 清原
Shiro Fujita
史朗 藤田
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Nisshin Seifun Group Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高度不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む混
合物からエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン
酸またはそれらのエステルを選択的に分離精製する方法
を提供する。 【解決手段】 珪藻土を充填したカラムに銀塩を含む水
性媒体を流し込み珪藻土に銀塩を担持させる。ついで、
高度不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む混合物の溶媒
溶液をカラム中の銀塩担持珪藻土に流し、次にカラムに
展開溶媒を流すことにより、エイコサペンタエン酸およ
びドコサヘキサエン酸またはそれらのエステルを選択的
に分離精製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高度不飽和脂肪酸
またはその誘導体を含む混合物からエイコサペンタエン
酸およびドコサヘキサエン酸またはそれらのエステルを
選択的に分離精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】イワシ、サバ、マグロ等の魚油に由来す
る高度不飽和脂肪酸あるいはそのエステルなどの誘導体
は知られている。そのうち、特に、エイコサペンタエン
酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびそ
れらのエステルは薬理作用を有することから健康補助食
品および医薬品の分野で使用されている。
【0003】これらの不飽和脂肪酸あるいはその誘導体
を精製する方法としては、従来から、尿素付加法、精密
蒸留法、クロマトグラフ法、超臨界抽出法等が知られて
いる。しかしながら、これらの従来方法単独では、魚油
に由来する高度不飽和脂肪酸またはそれらの誘導体から
なる混合物を高純度で、変性させることなく大量で安価
に精製することは困難である。すなわち、尿素付加法で
は得られる高度不飽和脂肪酸またはそれらのエステルか
らなる混合物の純度が低く、精密蒸留法では重合や異性
化が生じ変性しやすく、医薬品や食品として用いた場合
に望ましくないエイコサテトラエン酸(ETA)または
そのエステル化物を除去することは困難である。また、
クロマトグラフ法や超臨界抽出法は、工業的規模での分
離精製には適していない。
【0004】そこで、このような問題に対処する方策と
して、特開平9−151390公報には、複数の高度不
飽和脂肪酸またはその誘導体からなる混合物を銀塩を担
持する担体に接触させ、その後この担体に溶媒を接触さ
せて分離抽出する、高度不飽和脂肪酸およびその誘導体
の精製方法が開示されている。そこには、担体としてシ
リカゲル、ゼオライト、カオリン、活性白土、パーライ
トおよびその組み合わせを使用することが記載されてい
るが、珪藻土の使用とそれによる効果については一切言
及されていない。さらに、銀塩に対する担体の量が担体
45重量部以上55重量部以下に対して銀換算で19重
量部であり、同時にこの銀塩を担持した担体に接触させ
る高度不飽和脂肪酸またはその誘導体からなる混合物の
量は15重量部でなければならないという制限がある。
この制限を逸脱すると精製度が低下するという問題があ
る。また、この方法は、高度不飽和脂肪酸成分を高純度
で分離精製することは可能である一方、銀担持担体の調
製方法が複雑であること、攪拌と濾別を繰り返す抽出操
作が大変であること等いくつかの問題点がある。そこ
で、さまざまな高度不飽和脂肪酸およびその誘導体を含
む魚油から、目的のEPAやDHAを選択的に分離精製
できる実用的な精製方法が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術と比べて担体に対する銀塩の重量比を増加させ
た高い処理能力を有し、かつ銀化合物が混入しない、E
PAおよびDHAの高純度分離精製方法を提供すること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、銀
を担持する担体として珪藻土を使用し、この担体をカラ
ムに充填し銀塩を含む水性媒体を流し込むことにより銀
担持担体を簡易に調製でき、かつ特定の展開溶媒をカラ
ムに順次流すことにより達成することができる。
【0007】本発明によれば、珪藻土を充填したカラム
に銀塩を含む水性媒体を流し込み珪藻土に銀塩を担持さ
せる工程、高度不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む混
合物の溶媒溶液をカラム中の銀塩担持珪藻土に流す工
程、およびカラムに展開溶媒を流す工程を含む高度不飽
和脂肪酸またはその誘導体を含む混合物からエイコサペ
ンタエン酸およびドコサヘキサエン酸またはそれらのエ
ステルを選択的に分離精製する方法が提供される。
【0008】本願発明は上記構成を採用することによ
り、魚油に由来する高度不飽和脂肪酸またはその誘導体
を含む混合物から、EPAとDHAを効率的に分離精製
することが可能になり、また、銀の溶出を抑制できる結
果、分離能力の低下と分離精製物への銀の混入を防止す
ることが可能になった。また、健康補助食品または医薬
品において望ましくないエイコサテトラエン酸(ω6E
TA)の含量を極力抑えることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で精製に使用される原料の
高度不飽和脂肪酸またはその誘導体は、特に制限される
ものではないが、例えばイワシ、サバ、マグロ等の魚油
に由来するものであり、それには高度不飽和脂肪酸例え
ばETA、EPA、DHA等、これら高度不飽和脂肪酸
のエステル誘導体あるいはこれらの混合物が含有されて
いる。原料の組成は、魚油に由来する場合にはばらつき
がある。したがって、EPAおよびDHAまたはそれら
のエステルの分離率または精製率などは原料の組成に依
存して変動する可能性がある。また、原料にETAが数
%以上含まれていても、本発明によりEPAおよびDH
Aが選択的に分離精製され、そしてETAを特定の含量
以下に低く押さえることが可能である。
【0010】本発明において銀塩を担持する担体とし
て、珪藻土を使用するのが特徴である。珪藻土は淡水、
かん水の両水界に繁殖する藻の一種である単細胞植物の
化石である。珪藻土を選択使用する1つの理由は、銀塩
を水性媒体に溶解した溶液の形態で担持させるため、水
の保持能力が他の材料に比べて約2倍高いからである。
参考までに、単位重量当たりの細孔容積(吸油量)を使
用して水の保持能力を比較すれば以下の通りである。 シリカゲル ゼオライト カオリン 活性白土 パーライト 珪藻土 吸油量(ml/g) 0.75 0.45 0.5-0.55 0.55 - 1以上 一般に、珪藻土は、未焼成または焼成の形態で使用する
ことができるが、焼成珪藻土を使用するのが好ましい。
焼成珪藻土は、原料珪藻土を粗粉砕し、乾燥後、粉砕と
分級を繰り返して不純物を除き、これを高温焼成し、更
に粉砕、分級を繰り返し、粒度を調整することにより製
造することができる。銀塩水溶液の保持能力を高めかつ
処理する高度不飽和脂肪酸またはその誘導体との接触を
効率よく行うために、珪藻土は0.1〜10μmの細孔
径、1〜10ml/gの細孔容積および0.5〜50m2
gの比表面積を有するものが好ましい。さらに、カラム
の大きさを考慮して、0.1〜0.3g/mlのかさ密度を
有するものが好ましい。本発明で使用することができる
珪藻土は商業的に入手できるものであり、その例として
メルク社製の「エキストレルート(Extrelut(R))13
076」があるが、これに制限されるものではない。
【0011】珪藻土に担持させる銀塩としては、高度不
飽和脂肪酸またはその誘導体を含む混合物と珪藻土上で
錯体を形成できるものであれば、どの銀塩でも使用する
ことができる。取扱い及び入手の容易性もしくは回収お
よび再利用の容易性を考慮して、硝酸銀を使用すること
が最も好ましい。
【0012】珪藻土に担持させる銀塩は、珪藻土の重量
に基づいて銀換算で65重量%以下であることが望まし
く、カラムの小型化と高能力化を考慮すると55重量%
を超えて65重量%の範囲が好ましい。一般に、一定量
の珪藻土に担持される銀塩の量が多ければ多いほど、原
料の高度不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む混合物の
処理量を増加することができる。このような観点から、
本発明では銀塩の担持量を最高で65重量%にすること
ができる結果、原料の処理量を大幅に増加できるとい
う、利点が得られる。
【0013】銀塩を担体に担持させる方法としては、特
開平9−151390号公報には、銀塩を溶解した水溶
液中に担体を浸積し、その後乾燥させる方法が記載され
ているが、この方法は水分をコントロールすることが困
難である。これに対し、本発明では、銀塩を含む水性媒
体(例えば、銀塩の50%水溶液)を、カラムに乾式充
填した珪藻土(例えば、銀塩とほぼ同重量で充填)に流
し込むことだけで、珪藻土に銀塩を簡便に担持させるこ
とができるという、利点がある。銀塩の水性媒体として
は、水、メタノール、アセトンなどが用いられるが、水
が好ましい。
【0014】本発明の方法によれば、珪藻土をカラムに
充填し、銀塩を含む水性媒体をカラムに流し込み銀塩を
珪藻土に担持させて、銀担持珪藻土を充填したカラムを
調製する。ついで、分離精製すべき高度不飽和脂肪酸ま
たはその誘導体を含む混合物の溶媒溶液を珪藻土と接触
させることにより銀塩(銀イオン)と錯体を形成させ
る。その後、カラムに少量の特定の溶媒を展開させて、
EPA、DHAまたはそれらのエステルを選択的に分離
精製する。上記混合物の溶媒溶液の代表例として、ヘキ
サン溶液があげられるが、これに限定されるものではな
い。この溶媒として展開溶媒と同じものを使用してもよ
い。
【0015】本発明では、カラムを複数回使用すること
ができ、銀担持珪藻土を充填したカラムを事前にヘキサ
ンで置換した後に分離精製すべき高度不飽和脂肪酸また
はその誘導体を含む混合物の溶媒溶液を接触させても構
わない。
【0016】また、本発明で目的物の分離精製に使用す
ることができる展開溶媒としては、少量の溶媒量で高い
選択性と抽出能力を発揮し、かつ銀塩の漏出を抑制でき
るものであれば特に制限はないが、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、トルエン、キシレン、メタノール、イソ
プロピルアルコール、酢酸エチルまたはそれらの混合溶
媒が特に好ましい。使用する溶媒の種類および量につい
ては、適宜変更して最適な条件に設定することができ
る。
【0017】抽出の選択性については、展開溶媒の極性
を操作することで組成の異なった抽出物を得ることがで
きる。本発明の最も好ましい態様では、展開溶媒として
先ずヘキサンを用い、次に0.5体積%のメタノールを
含むトルエンを用いて溶出することが好ましい。
【0018】また、本発明において抽出は周囲温度、好
ましくは0℃〜30℃の範囲で行われる。これにより熱
による異性化等の変質の可能性も少なく安定した抽出生
成物を得ることができる。また、抽出時の雰囲気は、高
度不飽和脂肪酸またはそのエステルを含む混合物が酸化
等の影響を受けることを防ぐため、窒素、アルゴン等の
不活性ガスによって置換することが好ましい。
【0019】なお、本発明においては、珪藻土の細孔容
積は1〜10ml/gであるので、珪藻土1g当たりの水
性媒体の保持量は1〜10mlである。例えば、硝酸銀水
溶液の状態で担持する場合、硝酸銀の重量に対して約半
量の水で飽和水溶液となるため、珪藻土と同じ重量の硝
酸銀を水溶液で保持しても、珪藻土の細孔容積の50%
を使用しているに過ぎない。これにより銀塩の流出を抑
制できることになる。すなわち、硝酸銀水溶液中の水性
媒体に対して2倍量の珪藻土が使用できる結果、ヘキサ
ン等の有機溶媒を用いて抽出する際に銀塩がカラムより
流出されない。
【0020】以下の実施例および比較例により、本発明
を更に詳細に説明する。
【0021】
【実施例】実施例1 ガラス製カラム(内径20mm×長さ300mm)に、細孔径400
0nm、比表面積1.01m2/g、細孔容積1.2ml/gおよびか
さ密度0.24g/mlを有する珪藻土(メルク社製、エキス
トレルート(R)13076)20gを乾式充填した。硝酸銀20g
を水10mlに溶解した硝酸銀水溶液を珪藻土を充填したカ
ラムに流し込んだ。30分間静置することにより銀塩を担
体に担持させた。次に、ヘキサンをカラムに流してカラ
ム内をヘキサンで置換した。表1に示した組成を有する
原料の高度不飽和脂肪酸のエチルエステル混合物10gを
ヘキサン10mlに溶解してヘキサン溶液を調製した。次
に、この溶液をカラムに流した。まず、ヘキサン90mlを
0.5〜5.0cm/minのカラム内線速度で展開し、カラムよ
り流出した溶出液を集め、減圧下で溶媒を除去して濃縮
することにより、第1流出分5.76g(収率57.6%)を得
た。次に、0.5体積%のメタノールを含むトルエン混合
溶媒290mlを0.5〜5.0cm/minのカラム内線速度で展開
し、カラムより流出した溶出液を集め、減圧下で溶媒を
除去して濃縮することにより、第2流出分3.62g(収率
36.2%)を得た。更に、0.5体積%のメタノールを含む
トルエン混合溶媒100mlを0.5〜5.0cm/minのカラム内線
速度で展開し、カラムより流出した溶出液を集め、減圧
下で溶媒を除去して濃縮することにより、第3流出分0.
65g(収率6.5%)を得た。得られた精製後の脂肪酸の
エチルエステルをガスクロマトグラフィーにより分析し
た結果を表1に示す。
【0022】なお、分析に使用したガスクロマトグラフ
ィーは、日立製作所社製263-50であり、カラム条件は以
下の通りであった。 パックドカラム:Silar-10C Uniport, HP 80/100,3m
mI.D.×2m 検出器:FID カラム温度:200℃ 注入口温度:250℃ 検出器温度:250℃ キャリアガス:窒素 流量:EPAの保持時間が約20分になるように調整
【0023】
【表1】
【0024】上記の結果から、精製前に含まれていたE
TA(ω6系、ω3系)は大幅に低減されたことが明ら
かである。更に、EPA、DHAのエチルエステルが選
択的に精製されていることが明らかである。
【0025】実施例2 ガラス製カラム(内径20mm×長さ300mm)に、細孔径400
0nm、比表面積1.01m2/g、細孔容積1.2ml/gおよびか
さ密度0.24g/mlを有する珪藻土(メルク社製、エキス
トレルート13076)20gを乾式充填した。硝酸銀(東洋
化学工業(株)社製試薬特級)20gを水10mlに溶解した硝
酸銀水溶液を珪藻土を充填したカラムに流し込んだ。30
分間静置することにより銀塩を担体に担持させた。次
に、ヘキサンをカラムに流してカラム内をヘキサンで置
換した。表2に示した組成を有する原料の高度不飽和脂
肪酸のエチルエステル混合物10gをヘキサン10mlに溶解
してヘキサン溶液を調製した。次に、この溶液をカラム
に流した。まず、ヘキサン 90mlを0.5〜5.0cm/minのカ
ラム内線速度で展開し、カラムより流出した溶出液を集
め、減圧下で溶媒を除去して濃縮することにより、第1
流出分6.76g(収率67.6%)を得た。次に、0.5体積%
のメタノールを含むトルエン混合溶媒290mlを0.5〜5.0c
m/minのカラム内線速度で展開し、カラムより流出した
溶出液を集め、減圧下で溶媒を除去して濃縮することに
より、第2流出分2.96g(収率29.6%)を得た。得られ
た精製後の脂肪酸のエチルエステルをガスクロマトグラ
フィーにより分析した結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】上記の結果から、高純度のEPA含有原料
を使用した場合でも、精製前に含まれていたETA(ω
6系、ω3系)は大幅に低減されたことが明らかであ
る。更に、EPAのエチルエステルが選択的に精製さ
れ、98%以上で医薬品としてのレベルを充分満足してい
ることが明らかである。
【0028】実施例3および比較例1 i)実施例3として、3本のガラス製カラム(内径20mm
×長さ300mm)のそれぞれに、細孔径4000nm、比表面積
1.01m2/g、細孔容積1.2ml/gおよびかさ密度0.24g/
mlを有する珪藻土(メルク社から入手できる、“エキス
トレルート(R)13076”)をそれぞれ20g乾式充填した。
次に、それぞれ14.20g、17.31g、20.42gの硝酸銀を
それぞれ7.1ml、8.7mlおよび10.2mlの水に溶解してそれ
ぞれの硝酸銀水溶液を調製した。それぞれの硝酸銀水溶
液を珪藻土を充填したカラムに流し込んだ。それぞれの
カラムを30分間静置することにより銀塩を珪藻土に担持
させた。この際、各カラムの珪藻土に担持された銀塩は
珪藻土の重量に基づいて銀換算でそれぞれ45%、55%お
よび65%であった。次に、ヘキサンをカラムに流してカ
ラム内をヘキサンで置換した。
【0029】ii)比較例1として、3本のガラス製カラ
ム(内径20mm×長さ300mm)のそれぞれに、粒径0.063〜
0.2mmのシリカゲル(メルク社から入手できる“シリカ
ゲル60107734”)をそれぞれ20g乾式充填した。次に、
それぞれ14.20g、17.31g、20.42gの硝酸銀をそれぞ
れ7.1ml、8.7mlおよび10.2mlの水に溶解してそれぞれの
硝酸銀水溶液を調製した。それぞれの硝酸銀水溶液をシ
リカゲルを充填したカラムに流し込んだ。それぞれのカ
ラムを30分間静置することにより銀塩を珪藻土に担持さ
せた。この際、各カラムのシリカゲルに担持された銀塩
は珪藻土の重量に基づいて銀換算でそれぞれ45%、55%
および65%であった。次に、ヘキサンをカラムに流して
カラム内をヘキサンで置換した。
【0030】iii)表1に示した組成を有する原料の高
度不飽和脂肪酸のエチルエステル混合物7.1g、8.7g、
10.2gをそれぞれヘキサン7.1ml、8.7ml、10.2mlに溶解
してヘキサン溶液を調製した。次に、この溶液をこれら
のカラムに流した。まず、ヘキサン63.9ml、78.3mlおよ
び91.8mlを0.5〜5.0cm/minのカラム内線速度で展開
し、カラムより流出した溶出液を集め、減圧下で溶媒を
除去して濃縮することにより、第1流出分を得た。次
に、0.5体積%のメタノールを含むトルエン混合溶媒206
ml、252mlおよび296mlを0.5〜5.0cm/minのカラム内線
速度で展開し、カラムより流出した溶出液を集め、減圧
下で溶媒を除去して濃縮することにより、第2流出分を
得た。更に、0.5体積%のメタノールを含むトルエン混
合溶媒71ml、87mlおよび102mlを0.5〜5.0cm/minのカラ
ム内線速度で展開し、カラムより流出した溶出液を集
め、減圧下で溶媒を除去して濃縮することにより、第3
流出分を得た。第2流出分で得られた精製後の脂肪酸の
エチルエステルをガスクロマトグラフィーにより分析し
た結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】表3に示されるように、担持される銀塩の
量を変化させてもETA(ω6、ω3)に対する分離性
能は珪藻土を使用する方が僅かに高い。また、流出物に
飽和食塩水を投入すると、シリカゲルを充填したカラム
の流出液は、白濁して塩化銀の形成が確認されたが、珪
藻土を充填したカラムの流出液に変化は見られなかっ
た。シリカゲルの場合、担持する銀塩の量が担体重量に
対して銀換算で45%以上においては、シリカゲルの銀塩
を保持する能力は限界を越えており、カラムより銀塩が
流出することが確認された。この結果から担体にシリカ
ゲルを使用した場合は、カラム精製後の流出液に銀イオ
ンが混入するため分離工程が必要であること、更にカラ
ム内の銀イオンが低減するためカラム能力が低下するこ
とが推測された。
【0033】実施例4 ガラス製カラム(内径90mm×長さ300mm)に、細孔径400
0nm、比表面積1.01m2/g、細孔容積1.2ml/gおよびか
さ密度0.24g/mlを有する珪藻土(メルク社製、エキス
トレルート13076)500gを乾式充填した。硝酸銀500g
を水250mlに溶解した硝酸銀水溶液を珪藻土を充填した
カラムに流し込んだ。30分間静置することにより銀塩を
担体に担持させた。次に、ヘキサンをカラムに流してカ
ラム内をヘキサンで置換した。表4で示した組成を有す
る原料の高度不飽和脂肪酸のエチルエステル混合物250
gをヘキサン250mlに溶解してヘキサン溶液を調製し
た。次に、この溶液をカラムに流した。まず、ヘキサン
2250mlを0.5〜5cm/minのカラム内線速度で展開し、カ
ラムより流出した溶出液を集め、減圧下で溶媒を除去し
て濃縮することにより、第1流出分157.18g(収率62.8
7%)を得た。次に、0.5体積%のメタノールを含むトル
エン混合溶媒7250mlを0.5〜5cm/minのカラム内線速度
で展開し、カラムより流出した溶出液を集め、減圧下で
溶媒を除去して濃縮することにより、第2流出分84.93
g(収率33.97%)を得た。更に0.5体積%のメタノール
を含むトルエン混合溶媒2500mlを0.5〜5cm/minのカラ
ム内線速度で展開し、カラムより流出した溶出液を集
め、減圧下で溶媒を除去して濃縮することにより、第3
流出分2.59g(収率1.04%)を得た。得られた精製後の
脂肪酸のエチルエステルをガスクロマトグラフィーによ
り分析した結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】カラムサイズを大きくした場合でも、実施
例1と同様に、EPA及びDHAに高い選択性を示し、
カラム負荷量、溶媒量及び得られた精製脂肪酸の収率も
実施例1の再現性が得られた。
【0036】実施例5 ガラス製カラム(内径60mm×長さ495mm)に、細孔径400
0nm、比表面積1.01m2/g、細孔容積1.2ml/gおよびか
さ密度0.24g/mlを有する珪藻土(メルク社製、エキス
トレルート13076)400gを乾式充填した。硝酸銀400g
を水200mlに溶解した硝酸銀水溶液を珪藻土を充填した
カラムに流し込んだ。30分間静置することにより銀塩を
担体に担持させた。次に、ヘキサンをカラムに流してカ
ラム内をヘキサンで置換した。表5に示した組成を有す
る原料の高度不飽和脂肪酸のエチルエステル混合物200
gをヘキサン200mlで溶解してヘキサン溶液を調製し
た。次に、この溶液をカラムに流した。まず、ヘキサン
2000mlを0.5〜5cm/minのカラム内線速度で展開し、カ
ラムより流出した溶出液を集め、減圧下で溶媒を除去し
て濃縮することにより、第1流出分114.5g(収率57.25
%)を得た。次に、0.5体積%のメタノールを含むトル
エン混合溶媒2000mlを、0.5〜5cm/minのカラム内線速
度で展開し、カラムより流出した溶出液を集め、減圧下
で溶媒を除去して濃縮することにより、第2流出分29.3
g(収率14.65%)を得た。更に0.5体積%のメタノール
を含むトルエン混合溶媒2500mlを0.5〜5cm/minのカラ
ム内線速度で展開し、カラムより流出した溶出液を集
め、減圧下で溶媒を除去して濃縮することにより、第3
流出分36.19g(収率18.10%)を得た。得られた精製後
の脂肪酸のエチルエステルをガスクロマトグラフィーに
より分析した結果を表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】表5に示すように、DHA高含有の高度不
飽和脂肪酸原料を使用した場合には、DHAに対して高
い選択性を示し、99%以上の高純度DHA含有脂肪酸を
得ることができた。
【0039】実施例6 0.5体積%メタノールを含むトルエン混合溶媒に代え
て、表6に示す溶媒を使用する以外は、実施例1と同一
条件で分離精製を行った。第2流分で得られた精製後の
脂肪酸のエチルエステルをガスクロマトグラフィーによ
り分析した結果を表6に示す。
【0040】
【表6】
【0041】上記の結果から、精製前に含まれていたE
TA(ω6、ω3)は大幅に低減されたことが明らかで
あり、展開溶媒の種類によって、極性が異なるために流
出する脂肪酸の組成も変化する。得られた脂肪酸の組
成、収率等から、最適な溶媒種及びその組合せを目的に
合わせて決定することができる。
【0042】
【発明の効果】本発明による高度不飽和脂肪酸またはそ
の誘導体の分離精製法は、担体として、細孔容積が大き
い珪藻土、好ましくは、細孔径が0.1〜10μm、比表
面積が0.5〜50m2/g、細孔容積が1〜10ml/
g、かさ密度が0.1〜0.3g/mlであるものを使用
し、特定量の銀(または銀塩)を珪藻土の細孔内に坦持
させ、処理すべき原料である高度不飽和脂肪酸またはそ
れらのエステルを含む混合物を銀イオンと錯体を形成さ
せ、さらにこの銀担持珪藻土をバッチ式ではなく、カラ
ム中で使用し、このカラムに特定の少量の溶媒を順次流
すことにより、EPAおよびDHAまたはそれらのエス
テルを選択的に分離精製する、という構成に特徴があ
る。このような構成により、銀担持珪藻土を簡易に調製
することができ、しかもEPAおよびDHAまたはそれ
らのエステルを高純度で分離精製することが可能とな
る。さらに、分離操作に使用する溶媒量を少なくし、分
離に要する時間も短くすることができる。これにより、
分離を工業的規模で実施する場合において、処理コスト
を大幅に削減することができる。さらに、銀の溶出を抑
制し、分離精製物への銀混入の防止を可能とする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H059 AA08 AA11 BA01 BA02 BA12 BA26 BA30 BB02 BB05 BB07 CA12 CA21 EA21

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪藻土を充填したカラムに銀塩を含む水
    性媒体を流し込み珪藻土に銀塩を担持させる工程、 高度不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む混合物の溶媒
    溶液をカラム中の銀塩担持珪藻土に流す工程、および カラムに展開溶媒を流す工程を含む、高度不飽和脂肪酸
    またはその誘導体を含む混合物からエイコサペンタエン
    酸およびドコサヘキサエン酸またはそれらのエステルを
    選択的に分離精製する方法。
  2. 【請求項2】 珪藻土が0.1〜10μmの細孔径、0.
    5〜50m2/gの比表面積および1〜10ml/gの細孔
    容積を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 担持される銀塩が珪藻土の重量に基づい
    て銀換算で65重量%以下である、請求項1に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 展開溶媒がペンタン、ヘキサン、ヘプタ
    ン、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロピルア
    ルコール、酢酸エチルまたはそれらの混合物である、請
    求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 高度不飽和脂肪酸またはその誘導体が魚
    油に由来する、請求項1に記載の方法。
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