JP2001066182A - 赤外線センサおよびその製造方法 - Google Patents

赤外線センサおよびその製造方法

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JP2001066182A
JP2001066182A JP23953499A JP23953499A JP2001066182A JP 2001066182 A JP2001066182 A JP 2001066182A JP 23953499 A JP23953499 A JP 23953499A JP 23953499 A JP23953499 A JP 23953499A JP 2001066182 A JP2001066182 A JP 2001066182A
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infrared sensor
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temperature
organic thin
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JP23953499A
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Toshiya Endo
俊哉 遠藤
Daiki Sugiyama
大樹 杉山
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感度、応答性に優れ、しかも実用的な機械的
強度を有する赤外線センサを提供すること。 【解決手段】 支持体を感光性有機薄膜13により形成
し、支持体が感温素子を上方から支持するようにして、
薄膜13を作成するための工程を大幅に簡素化ならびに
安定化できるだけでなく、有機薄膜13は軟質で内部応
力も小さいので、薄膜に反りや破損を生じることがない
ようにしたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線センサに係
り、特に、赤外線を熱エネルギに変換してそれによる温
度変化を感知するようにしたいわゆる熱型赤外線センサ
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、赤外線センサは、量子型センサ
と熱型センサとに大別される。このうち、量子型赤外線
センサは、光電効果により赤外線を検出するもので、熱
型赤外線センサに較べると感度および応答性に優れてい
るが、数10Kの低温でしか使用できないため取り扱い
が難しく、装置が大型かつ高価になるという欠点があ
る。これに対し、熱型赤外線センサは冷却不要で装置が
安価になるため、温度計測や人体検知用センサとして広
く使用されている。
【0003】熱型赤外線センサは、センサ本体の感温部
に入射した赤外線を熱エネルギに変換し、この熱エネル
ギによる感温部の温度変化を感温素子により検出するも
のである。そして、この熱型赤外線センサは、使用され
る感温素子の種類により、焦電型、サーミスタ型および
熱電対型に分類される。また、いずれの熱型赤外線セン
サにおいても、感度および応答性の向上という課題があ
る。感度を向上させるためには、感温部の温度変化を大
きくしなければならない。
【0004】図12は熱型赤外線センサの原理を示す図
である。
【0005】図12において、センサ基材1には、導線
2を介して感温部3が連設されており、この感温部3に
赤外線IRが入射したときの温度変化ΔTは、次式で表
される。
【0006】ΔT=α・Φ・Rth ここで、αは感温部3における赤外線IRの吸収率、Φ
は感温部3に入射する赤外線IRのパワー、Rthは感温
部3とセンサ基材1との間の熱抵抗である。
【0007】上式から、温度変化ΔTを大きくするため
には、吸収率αおよび/または熱抵抗Rthを大きくしな
ければならないことがわかる。このため、一般に、熱型
赤外線センサの感温部3の表面には赤外線IRを吸収す
るための部材が設けられ、また、前記感温部3はできる
だけ熱的に絶縁されるような構造とされている。
【0008】一方、熱型赤外線センサの応答性fは次式
で表わされる。
【0009】f≡1/τ=1/(C・Rth) ここで、τは感温部の熱時定数、Cは感温部の熱容量で
ある。上式から、応答性fを大きくするためには、熱容
量Cおよび/または熱抵抗Rthを小さくしなければなら
ないことがわかる。
【0010】このように、熱型赤外線センサの感度と応
答性は、熱抵抗Rthに関して原理的に二律背反の関係が
ある。しかしながら、実際の場面では感度向上に対する
要求のほうが大きいので、この感度が優先される。すな
わち、熱型赤外線センサにおいては、まずできるだけ吸
収率αおよび熱抵抗Rthを大きくして、その上で熱容量
Cをできるだけ小さくすることが望まれている。
【0011】このような点に鑑みて、現在実用化されて
いる熱型赤外線センサの代表的な構造を図13により説
明する。
【0012】外縁部を基板4に支持され水平方向に延在
する薄膜5上の中央部位には感温素子6が載置されてお
り、この感温素子6からの出力は、薄膜5上に形成され
た薄膜電極7を介して取り出されるようになっている。
したがって、前記感温素子6の直下の薄膜5の下方に
は、前記基板4の存在しない空洞部8が形成されること
になる。なお、前記熱抵抗Rthをより大きくすることを
考えると、感温素子6が単独で空洞部8上にあることが
理想的であるが、このような構成では実用的な機械的強
度が得られないため、前述したように薄膜5上に感温素
子6を載置しているのである。
【0013】また、前記感温素子6上には、入射した赤
外線IRを吸収し、効率的に熱に変換するための赤外線
吸収体9が載置固定されている。この赤外線吸収体9と
しては、厚さ10μm程度の金黒膜により吸収率α>
0.9程度は容易に実現できるので、通常はこの金黒膜
が用いられている。
【0014】なお、前記赤外線吸収体9において発生し
た伝熱機構としては熱伝導が支配的なので、熱抵抗Rth
を大きくするために薄膜5としては、できるだけ膜厚が
薄く、また、熱伝導率ができるだけ小さな材料により形
成することが有効である。このような理由から、薄膜5
としては、厚さ数μmの酸化シリコン、窒化シリコン、
あるいはこれらの積層膜が用いられている。
【0015】また、前記空洞部8は、基板4に単結晶シ
リコンを用いて、水酸化カリウム水溶液などによる異方
性エッチング技術を利用して形成されている。
【0016】さらに、前記感温素子6としては、前述し
たように焦電型、サーミスタ型、熱電対型が実用化され
ているが、いずれの型の赤外線センサにおいても、熱容
量Cを小さくするためと機械的強度の問題から前記感温
素子6は薄膜プロセスにより形成されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、熱抵
抗Rthを大きくするために感温素子6を薄膜5上に形成
することは効果的ではあるが、この薄膜5は硬質の薄膜
であり、また、内部応力を制御することが難しいため、
薄膜5の製造工程の状態がわずかに変動しただけで、薄
膜5が反ったり、最悪の場合には破損するという問題が
あった。さらに、現状以上に薄膜5の膜厚を薄くするこ
とは困難であるため、高感度化の要求に応えることがで
きなかった。さらにまた、薄膜5の製造装置として、C
VDなど高価なものが必要なため、結果的に赤外線セン
サの価格が高くなっていた。
【0018】また、前記赤外線吸収体9は、比較的厚い
膜にする必要があるので、熱容量Cが大きく、赤外線セ
ンサの応答性を低下させる要因になっていた。さらに、
赤外線吸収体9の材料である金黒膜は微細パターンを作
成することが困難であるため、赤外線センサの設計にお
ける自由度を制限していた。さらにまた、金黒膜の原料
である金が高価であるため、赤外線センサの価格が高く
なっていた。
【0019】また、前記空洞部8は、基板4の材料を溶
液中でエッチングする、いわゆるウェットエッチング技
術で形成されるため、溶液の粘性により、エッチング中
やその後の洗浄中に薄膜5が破損することがあり、この
結果、歩留まりを低下させ、結果としてこの点において
も赤外線センサの価格が高くなっていた。
【0020】本発明は、前述した従来のものにおける問
題点を克服し、感度、応答性に優れ、しかも実用的な機
械的強度を有する赤外線センサを提供することを目的と
している。
【0021】また、本発明は、歩留まりのよい赤外線セ
ンサの製造方法を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ため請求項1に係る本発明の赤外線センサの特徴は、支
持体を感光性有機薄膜により形成し、支持体が感温素子
を上方から支持した点にある。そして、このような構成
を採用したことにより、薄膜を作成するための工程を大
幅に簡素化ならびに安定化できるだけでなく、有機薄膜
は軟質で内部応力も小さいので、薄膜に反りや破損を生
じることがない。また、従来の無機薄膜よりも熱伝導率
が小さい材料で、しかも薄膜の膜厚をより薄くすること
ができるので、赤外線センサとしての感度が向上する。
さらに、薄膜の形成のために、CVDのような高価な装
置が不要である。なお、支持体を感温素子上に形成する
理由は、有機薄膜は一般に熱的、化学的に不安定なの
で、その上に高品質な感温素子を形成することが困難な
ためである。
【0023】請求項2に係る本発明の赤外線センサの特
徴は、支持体を形成する感光性有機薄膜に黒色顔料を分
散した点にある。そして、このような構成を採用したこ
とにより、支持体が赤外線吸収体の機能を兼ね備えてい
るので、製造工程を大幅に簡素化できる。また、金黒膜
よりも膜厚を薄くすることができるので、センサの応答
性が向上する。さらに、赤外線吸収体を微細パターンに
加工することが可能なので、赤外線センサとしての設計
自由度が拡がる。さらにまた、材料コストを現状よりも
大幅に低減することができる。
【0024】請求項3に係る本発明の赤外線センサの製
造方法の特徴は、基板の表面上の一部に多孔性シリコン
体を形成し、多孔性シリコン体上に感温素子を形成し、
感温素子の少なくとも一部を被覆するとともに、多孔性
シリコン体が形成されていない領域の一部を被覆するよ
うに感光性有機薄膜のパターンを形成し、ドライエッチ
ングにより多孔性シリコン体を除去することにより空洞
部を形成する点にある。そして、このような構成を採用
したことにより、多孔性シリコン体はドライエッチング
速度が通常のシリコンと比較して桁違いに大きいので、
多孔性シリコン体を犠牲層として利用することにより、
ドライエッチングにより空洞部を形成することができ、
薄膜の破損による歩留まり低下を招来することがない。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は、請求項1に対応する本発
明の第1実施形態を示すものであり、本実施形態の赤外
線センサにおいては、基板4の上面に形成したほぼ長方
形状をなす空洞部8上に温接点10が位置するように、
相互に接触している第1熱電性薄膜12Aと第2熱電性
薄膜12Bとからなる薄膜熱電対11が形成され、この
薄膜熱電対11が、前記基板4上の全域を被覆している
感光性有機薄膜13により上方から支持されている。
【0026】なお、前記基板4が導電性を有する場合に
は、前記薄膜熱電対11と前記基板4との間の電気絶縁
性を確保するため、これらの薄膜熱電対11と基板4と
の間に電気絶縁性を有する薄膜(図示せず)が介在する
ことになる。
【0027】図2は、図1の相当部分の平面図であり、
相互に平行に配置された合計7対の薄膜熱電対11が全
体として直列に接続され、いわゆるサーモパイル14を
形成しており、このサーモパイル14の両端はそれぞれ
電極パッド15に接続されている。すなわち、前記薄膜
熱電対11は、それぞれ複数の前記第1熱電性薄膜12
Aと第2熱電性薄膜12Bとをそれぞれの端部間におい
て交互に接続して前記温接点10と冷接点16とを交互
に形成したものであり、このうち、このうち前記各温接
点10は、前記感光性有機薄膜13により上方からブリ
ッジ状に支持されて前記空洞部8上に形成され、一方、
前記各冷接点16は前記基板4上に形成されている。な
お、前記各温接点10を前記感光性有機薄膜13により
上方からブリッジ状に支持するのは、有機薄膜は一般に
熱的、化学的に不安定なので、その上に高品質な感温素
子を形成することが困難なためである。
【0028】前記感光性有機薄膜13は、ドライエッチ
ングにより前記空洞部8を形成するために前記各薄膜熱
電対11と交互に形成されている複数のエッチングホー
ル17と前記電極パッド15以外の領域に形成されてい
る。この感光性有機薄膜13は、前記空洞部8上の前記
薄膜熱電対11上にも形成されており、薄膜熱電対11
を機械的に補強する役割も兼ねている。この結果、機械
的強度に優れた赤外線センサが得られる。
【0029】すなわち、薄膜を作成するための工程を大
幅に簡素化ならびに安定化できるだけでなく、感光性有
機薄膜13は軟質で内部応力も小さいので、薄膜に反り
や破損を生じることがない。また、有機薄膜13は、従
来の無機薄膜よりも熱伝導率が小さい材料で、しかも薄
膜の膜厚をより薄くすることができるので、赤外線セン
サとしての感度が向上する。さらに、薄膜の形成のため
に、CVDのような高価な装置が不要である。
【0030】図3は、請求項1に対応する本発明の第2
実施形態を示すものであり、前述した第1実施形態との
相違点は、各冷接点16上の感光性有機薄膜13に窓孔
18を形成し、各冷接点16上に感光性有機薄膜13を
形成しないようにした点である。
【0031】一般に、金属薄膜表面よりも有機薄膜表面
のほうが赤外線IRの吸収率が大きいので、各冷接点1
6上には感光性有機薄膜13のない方が各冷接点16の
温度上昇を抑制することができ、結果として第1実施形
態よりも赤外線センサの感度を向上することができる。
【0032】図4および図5は、請求項1に対応する本
発明の第3実施形態を示すものであり、本実施形態にお
いては、図5に詳示するように、感光性有機薄膜13が
各温接点10上と各温接点10の近傍の薄膜熱電対11
上とを被覆しているが、それ以外の薄膜熱電対11上は
感光性有機薄膜13により被覆されていない構成とされ
ている。
【0033】このような構成によれば、各温接点10と
基板4との間の熱抵抗は、前述した第1、第2実施形態
よりも大きくなるので、結果として赤外線センサの感度
を向上することができる。
【0034】図6は、請求項1に対応する本発明の第4
実施形態を示すものであり、本実施形態の4−4断面
は、前述した図4と同様である。本実施形態と第3実施
形態との相違点は、本実施形態における感光性有機薄膜
13は、第3実施形態における感光性有機薄膜13より
基板4とより多くの部位において結合している点であ
る。
【0035】このような構成によれば、第3実施形態よ
りも機械的強度に優れた赤外線センサを実現することが
できる。
【0036】図7は、請求項2に対応する本発明の実施
形態を示すものであり、本実施形態の基本的構成は図1
に示した実施形態と同様であるが、感光性有機薄膜13
として黒色顔料を分散したものを使用している点が図1
の実施形態と異なっている。本実施形態によれば、黒色
顔料を分散させることにより、温接点10における赤外
線の吸収率が向上するため、図1の実施形態よりも赤外
線センサの感度が向上することになる。すなわち、支持
体である感光性有機薄膜13が赤外線吸収体の機能を兼
ね備えているので、製造工程を大幅に簡素化できる。ま
た、金黒膜よりも膜厚を薄くすることができるので、セ
ンサの応答性が向上する。さらに、赤外線吸収体を微細
パターンに加工することが可能なので、赤外線センサと
しての設計自由度が拡がる。さらにまた、材料コストを
現状よりも大幅に低減することができる。
【0037】なお、黒色顔料を分散した感光性有機薄膜
13を使用して前述した第1ないし第4実施形態のいず
れの構成をも達成することができる。
【0038】つぎに、請求項3に対応する赤外線センサ
の製造方法を、図8ないし図11を参照して説明する。
なお、ここにおいては前述した第1実施形態の赤外線セ
ンサの製造方法を説明するが、第2ないし第4実施形態
の赤外線センサも同様の方法で製造可能である。
【0039】まず、図8に示すように、基板4としてシ
リコン単結晶製の基板を準備する。シリコンの導電型な
らびに比抵抗は任意に設定できるが、多孔性シリコン体
を容易に形成するため、ならびに、その空孔率をできる
だけ大きくするため、比抵抗が0.001〜0.1Ω・
cmの範囲が好ましく、この範囲中でも、約0.01Ω
・cmのp型シリコン基板が特に好適である。
【0040】そして、基板4の上面4A上の所望の位置
に多孔性シリコン体18を形成するためフォトレジスト
のマスクを形成し、続いてマスク開口部に多孔性シリコ
ン体18を形成する。多孔性シリコン体18は、フッ酸
系溶液中でシリコンを陽極酸化することにより得ること
ができる。具体的には、たとえばフッ酸:エタノール:
水=40:50:10の混合溶液中で白金を陰極として
50mA/cm2 の電流を流せば、空孔率が約75%の
多孔性シリコン体18が得られる。この多孔性シリコン
12の厚さは、陽極酸化する時間により調整することが
できるが、機械的強度や除去容易性から1〜100μm
の範囲、より好ましくは10〜50μmの範囲がよい。
【0041】以上の工程により、図8に示すように、基
板4の表面4Aの所望の位置に所望の膜厚の多孔性シリ
コン体18が形成される。なお、図示を省略したが、多
孔性シリコン体18を形成した後、基板4の表面4A上
に、薄膜熱電対11と基板4との間の電気絶縁性を確保
するために電気絶縁性薄膜を形成する。この電気絶縁性
薄膜の材料は、後の工程においてCF4 とO2 の混合ガ
スでドライエッチングできるものが好都合であり、この
観点からたとえば酸化シリコンが好適である。
【0042】つぎに、図9に示すように、基板4の表面
4A上に、第1熱電性薄膜12Aと第2熱電性薄膜12
Bからなる薄膜熱電対11を形成する。この熱電性薄膜
12A,12Bの材料としては、たとえばアンチモンと
ビスマスが好ましい。この成膜は、スパッタリングまた
は真空蒸着法により行う。
【0043】熱抵抗Rbを大きくするとともに熱容量C
を小さくするため、前記熱電性薄膜12A,12Bの膜
厚は薄いほうがよく、0・01〜10μmの範囲、より
好ましくは0.1〜1μmの範囲がよい。また、熱電性
薄膜12A,12Bのパターニングとしては、エッチン
グ技術を利用することも可能であるが、下地に対するエ
ッチング選択性が低い場合には、フォトレジストによる
リフトオフ法も可能である。
【0044】なお、図示を省略したが、この工程におい
て電極パッドも形成する。この電極パッドの材料として
は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金が好適であ
り、電極パッドの膜厚は1μm前後がよい。電極パッド
は、スパッタリングまたは真空蒸着法により成膜し、そ
のパターニングは、エッチングまたはリフトオフ法によ
り行えばよい。
【0045】以上の工程により、図9に示すように、多
孔性シリコン体18上に温接点10が位置するように、
薄膜熱電対11が形成される。
【0046】つぎに、図10に示すように、薄膜熱電対
11を支持する感光性有機薄膜13を形成する。
【0047】感光性有機薄膜13は、たとえば東京応化
工業製のOFPRフォトレジストを標準的な条件で被覆
し、パターニングすればよい。この感光性有機薄膜13
の膜厚は熱抵抗Rbを大きく、かつ熱容量Cを小さくす
るため薄いほうがよいが、機械的強度の問題から、0.
1〜10μmの範囲、より好ましくは1μm前後がよ
い。
【0048】以上の工程により、図10に示すように、
薄膜熱電対11を被覆するように感光性有機薄膜13か
らなる支持体が形成される。
【0049】なお、請求項2に対応する本発明の赤外線
センサを製造する場合には、上記OFPRフォトレジス
トに代えて、黒色顔料を分散したフォトレジスト、たと
えば東京応化工業製CFPR−BKフォトレジストを使
用すればよい。
【0050】最後に、図11に示すように、空洞部8を
形成する。
【0051】この空洞部8は、ドライエッチング技術に
より形成されるが、薄膜熱電対11の下方の多孔性シリ
コン体18はサイドエッチングにより除去されるので、
リアクティブイオンエッチングのような異方性エッチン
グよりも、等方性エッチング、たとえば徳田製作所製の
ケミカルドライエッチング装置を利用するほうがよい。
多孔性シリコン体18のエッチングは、たとえばCF4
とO2 の混合ガスにより可能である。このガスの場合、
アフターコロージョンは発生しないので、エッチング後
の洗浄は不要である。
【0052】以上の工程により、図11のように、空洞
部8が形成され、その上に薄膜熱電対11の温接点10
が感光性有機薄膜13に上方から支持された構造が形成
される。
【0053】なお前記空洞部8の形成は、赤外線センサ
をパッケージに実装した後に行ってもよい。
【0054】以上、熱電対型赤外線センサの製造工程を
説明したが、焦電型あるいはサーミスタ型の赤外線セン
サの場合でも、図8ないし図11の製造工程においてそ
れぞれの感温素子6を形成すれば、同様な工程により赤
外線センサが得られることはいうまでもない。
【0055】また、基板4は単結晶シリコンに限る必要
はなく、多結晶シリコン製の基板や、任意の基板に多結
晶シリコンあるいはアモルファスシリコンを成膜した基
板を使用してもよい。さらに、各薄膜の密着性やエッチ
ング選択性が不十分な場合には、適当な密着層や耐エッ
チング層を追加してもよい。
【0056】以上説明した本実施形態の赤外線センサの
製造方法によれば、多孔性シリコン体はドライエッチン
グ速度が通常のシリコンと比較して桁違いに大きいの
で、多孔性シリコン体を犠牲層として利用することによ
り、ドライエッチングにより空洞部を形成することがで
き、薄膜の破損による歩留まり低下を招来することがな
い。
【0057】なお、本発明は、前述した実施の形態に限
定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能
である。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように本発明の赤外線セン
サによれば、感度、応答性に優れ、しかも実用的な機械
的強度を有することができる。また、本発明の赤外線セ
ンサの製造方法によれば、赤外線センサを歩留りよく製
造することができる。
【0059】すなわち、本発明の赤外線センサは、支持
体を感光性有機薄膜により形成し、支持体が感温素子を
上方から支持したので、薄膜を作成するための工程を大
幅に簡素化ならびに安定化できる。また、有機薄膜は軟
質で内部応力も小さいので、薄膜に反りや破損を生じる
ことがなく、しかも、従来の無機薄膜よりも熱伝導率が
小さい材料で、しかも薄膜の膜厚をより薄くすることが
できるので、赤外線センサとしての感度が向上する。さ
らに、薄膜の形成のために、CVDのような高価な装置
が不要である。
【0060】また、支持体を形成する感光性有機薄膜に
黒色顔料を分散すれば、支持体が赤外線吸収体の機能を
兼ね備えているので、製造工程を大幅に簡素化できる。
また、金黒膜よりも膜厚を薄くすることができるので、
センサの応答性が向上する。さらに、赤外線吸収体を微
細パターンに加工することが可能なので、赤外線センサ
としての設計自由度が拡がる。さらにまた、材料コスト
を現状よりも大幅に低減することができる。
【0061】さらに、本発明の赤外線センサの製造方法
は、基板の表面上の一部に多孔性シリコン体を形成し、
多孔性シリコン体上に感温素子を形成し、感温素子の少
なくとも一部を被覆するとともに、多孔性シリコン体が
形成されていない領域の一部を被覆するように感光性有
機薄膜のパターンを形成し、ドライエッチングにより多
孔性シリコン体を除去することにより空洞部を形成する
ので、多孔性シリコン体はドライエッチング速度が通常
のシリコンと比較して桁違いに大きいため、多孔性シリ
コン体を犠牲層として利用することにより、ドライエッ
チングにより空洞部を形成することができ、薄膜の破損
による歩留まり低下を招来することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る赤外線センサの実施形態を示す
図で、図2と図3のそれぞれの1−1線による断面図
【図2】 本発明に係る赤外線センサの実施形態を示す
平面図
【図3】 本発明に係る赤外線センサの実施形態を示す
平面図
【図4】 本発明に係る赤外線センサの実施形態を示す
図で、図5と図6のそれぞれの4−4線による断面図
【図5】 本発明に係る赤外線センサの実施形態を示す
平面図
【図6】 本発明に係る赤外線センサの実施形態を示す
平面図
【図7】 本発明に係る赤外線センサの実施形態を示す
縦断面図
【図8】 本発明に係る赤外線センサの製造方法の実施
形態における最初の工程を示す縦断面図
【図9】 本発明に係る赤外線センサの製造方法の実施
形態における図8のつぎの工程を示す縦断面図
【図10】 本発明に係る赤外線センサの製造方法の実
施形態における図9のつぎの工程を示す縦断面図
【図11】 本発明に係る赤外線センサの製造方法の実
施形態における図10のつぎの工程を示す縦断面図
【図12】 熱型赤外線センサの原理を示す構成図
【図13】 従来の赤外線センサを示す縦断面図
【符号の説明】
4 基板 5 薄膜 6 感温素子 7 薄膜電極 8 空洞部 9 赤外線吸収体 10 温接点 11 薄膜熱電対 12A,12B 熱電性薄膜 13 感光性有機薄膜 14 サーモパイル 15 電極パッド 16 冷接点 17 エッチングホール 18 多孔性シリコン体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に保持されている支持体により感温
    素子を支持し、この感温素子の下方の前記基板に空洞部
    を形成した赤外線センサであって、 前記支持体を感光性有機薄膜により形成し、 前記支持体が前記感温素子を上方から支持したことを特
    徴とする赤外線センサ。
  2. 【請求項2】 前記支持体を形成する感光性有機薄膜に
    黒色顔料を分散したことを特徴とする請求項1に記載の
    赤外線センサ。
  3. 【請求項3】 基板の表面上の一部に多孔性シリコン体
    を形成し、 前記多孔性シリコン体上に感温素子を形成し、 前記感温素子の少なくとも一部を被覆するとともに、多
    孔性シリコン体が形成されていない領域の一部を被覆す
    るように感光性有機薄膜のパターンを形成し、 ドライエッチングにより前記多孔性シリコン体を除去す
    ることにより空洞部を形成することを特徴とする赤外線
    センサの製造方法。
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