JP2001064834A - 難燃性ポリエステル加工糸の製造方法 - Google Patents
難燃性ポリエステル加工糸の製造方法Info
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Abstract
変形および融着を発生させることなく安定的に捲縮を付
与するための製造方法を提供する。 【解決手段】リン原子の含有量が500〜50,000
ppmのリン化合物を共重合したポリエステルからなる
ポリエステル繊維であって、下記特性を同時に満足する
ポリエステル高配向未延伸糸を用いて延伸仮撚り加工す
ることを特徴とする難燃性ポリエステル加工糸の製造方
法。 1.343≦SG≦1.365 1.314≦SG−0.75×Δn≦1.330 (ここで、SGは比重(g/cm3)をΔnは複屈折を
それぞれ表す。)
Description
所謂POYでありながら配向結晶化したポリエステル繊
維であり、仮撚り加工を行っても断面変形や融着が発生
し難いことを特徴とする難燃性ポリエステル加工糸の製
造方法に関する。
らに価格の面でも他の合成繊維に比べて有利であり極め
て広い用途を有している。しかし、繊維自体が均一がゆ
えに天然繊維が元来有しているような嵩高性はなく、用
途によっては嵩高性を付与するために、捲縮加工である
仮撚り加工が行われる。仮撚り加工方法としては、一
旦、延伸糸とした後に仮撚り加工を行う所謂アウトドロ
ー仮撚りと、延伸と仮撚りを同時に行う所謂インドロー
仮撚りがあるが、コストの点から工程数の少ないインド
ロー仮撚りが主流である。しかしながら、インドロー仮
撚りに供給される糸は高配向未延伸糸(POY)である
ために延伸糸に比べて結晶化度が低く、仮撚り加工時に
融着や断面変形が生じるといった問題があった。
多様化により機能性を有するポリエステル繊維の開発が
盛んになってきており、種々の機能性繊維が開発されて
いる。中でも防災に対する意識の向上あるいは法整備に
伴う難燃規制の強化等、一般、公共を問わず難燃製品に
対する関心が高まってきている。特にホテル、旅館、病
院、福祉施設等で使用されるインテリア関連商品では難
燃性の付与が必須であり、様々な難燃製品が使用されて
いる。
燃焼時に有害ガスが発生したり、後加工工程で繊維表面
に難燃剤を固着させたために製品の風合いが粗硬であっ
たり、また洗濯による難燃耐久性に欠けるなど多くの問
題点があった。
を克服し、従来の方法では達成し得なかった捲縮加工時
の断面変形即ち繊維の潰れや融着を防止し、かつ長期に
安定した難燃性をも有するポリエステル加工糸を提供す
ることを目的とする。
解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達し
た。即ち本発明は、リン原子含有モノマーを共重合して
得られる難燃性のポリエステルを用いて通常のPOYの
紡糸条件で配向結晶化させた高配向未延伸糸を用いるこ
とにより、仮撚り加工時に発生する断面変形や融着を防
ぐものであり、発明の内容は以下の構成よりなる。即ち
本発明は、リン原子の含有量が500〜50,000p
pmのリン化合物を共重合したポリエステルからなるポ
リエステル繊維であって、下記特性を同時に満足するポ
リエステル高配向未延伸糸を用いて延伸仮撚り加工する
ことを特徴とする難燃性ポリエステル加工糸の製造方法
である。 1.343≦SG≦1.365 1.314≦SG−0.75×Δn≦1.330 (ここで、SGは比重(g/cm3)をΔnは複屈折を
それぞれ表す。) そして具体的には、ポリエステル繊維が、下記一般式
(1)で示されるリン化合物を添加して得られた共重合
ポリエステルからなることを特徴とする上記記載の難燃
性ポリエステル繊維及び、ポリエステル繊維の単糸デニ
ールが0.3〜10.0であることを特徴とする上記記
載の難燃性ポリエステル繊維である。
発明におけるポリエステルとは、主たる酸成分がテレフ
タル酸またはそのエステル誘導体、主たるグリコール成
分がエチレングリコールからなるものであるが、酸成分
として20モル%以下の脂肪族ジカルボン酸またはこれ
らのエステル形成誘導体、芳香族ジカルボン酸またはこ
れらのエステル形成性誘導体を共重合成分として含むこ
とができる。また、酸成分の20モル%以下のオキシカ
ルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を含むことも
できる。グリコール成分としては20モル%以下のプロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
1,10−デカメチレングリコール、4,4−ジヒドロ
キシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、2,5−ナフタレンジオール、これ
らのグリコールにエチレンオキサイドが付加したグリコ
ール、ポリエチレングリコール等を含むことができる。
の他の任意の重合体や酸化防止剤、制電剤、染色改良
剤、染料、顔料、艶消し剤その他の添加剤が含有されて
いても良い。
ポリマーは、リン原子を含有するリン化合物が共重合さ
れたポリエステルであり、リン化合物とは、ポリエステ
ルの構成成分であるジカルボン酸やジオールと反応して
ポリエステルに共重合することができる化合物である。
このリン化合物のなかで好ましい化合物は、ポリエステ
ルの側鎖及び/又は末端にリン原子を導入することがで
きる化合物であり、側鎖にリン原子を導入できる化合物
が特に好ましい。
(1)で示される化合物が挙げられる。
基であり、R2、R3は同じか又は異なる基であって、そ
れぞれハロゲン原子、炭素原子数1〜10個の炭化水素
基、R 1より選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基
を表す。また、n1は1又は2であり、n2、n3はそれ
ぞれ0〜4の整数を表す。)
しては下記a〜βの化合物が挙げられる。
製造に用いられる、共重合ポリエステルは、例えば特公
昭55−41610号公報に記載されるような公知の方
法で重合することができるが、該共重合ポリエステルを
押出機より吐出し、引取り速度2500m/分〜400
0m/分の範囲で溶融紡糸することが本発明に係るポリ
エステル繊維を得る上で肝要な事項である。更にその
際、口金温度は通常のポリエステルの溶融紡糸で設定さ
れる温度よりも10〜30℃低い温度に設定し、かつ口
金面より冷却風の吹出し開始までの距離を40mm以下
にすることが肝要である。
用いられている共重合ポリエステルのリン原子の含有量
は500〜50,000ppmであり、500ppm未
満であると難燃性能が劣るばかりか、低配向で配向結晶
化させることが困難となる。また、50,000ppm
を超えるとリン原子を含有するリン化合物の共重合量を
多くする必要があり、その結果、ポリマーの融点が著し
く低下し、紡糸が困難となるばかりか、仮撚り加工での
糸掛けが困難となり、さらには断面変形や融着も発生し
やすくなると共に、得られた繊維の強度も低下するため
好ましくない。より好ましくは1,500〜30,00
0ppmである。
未延伸糸は下記特性を同時に満足する必要があり、 1.343≦SG≦1.365 1.314≦SG−0.75×Δn≦1.330 (ここで、SGは比重(g/cm3)をΔnは複屈折を
それぞれ表す。) SG<1.343であると結晶化が不十分であり、断面
変形や融着が発生しやすくなり、SG−0.75×Δn
<1.314の領域は通常のポリエステルを用いて高速
紡糸を行うことにより得られるため本発明の目的を達し
ない。一方、SG>1.365であると、結晶化が進み
すぎ糸の伸度が低下するため、仮撚り加工時の延伸倍率
が低下し、サージング(撚り伝播斑)が発生し易くなる
ために高速加工性に劣る。SG−0.75×Δn>1.
330の領域の繊維は通常の溶融紡糸では作製が困難で
ある。
ル繊維の単繊維繊度は0.3〜10.0デニールであ
り、0.3デニール以下であると紡糸時はもちろんのこ
と延伸仮撚り加工時に糸切れが発生しやすく安定操業が
困難となるばかりか、仮撚り加工時の施撚性が低下し、
十分な捲縮付与が困難となる。一方、10.0デニール
を超えると風合いが硬くなり好ましくない。より好まし
くは0.5〜6.0デニールである。
して加撚領域でのヒーター温度は155〜195℃が好
ましく、さらに撚係数が27,000〜34,000であ
ることが望ましい。ヒーター温度が155℃未満である
と撚りセットが不十分で十分な捲縮が付与できず、19
5℃を超えると断面変形や融着が生じやすくなり、さら
にヒーターも汚れ易く好ましくない。また、撚係数が2
7,000未満であると十分な捲縮が付与できず、34,
000を超えると毛羽の発生や、強力低下が著しく、糸
切れも発生しやすく好ましくない。より好ましくはヒー
ター温度が160〜190℃、撚係数が28,000〜
33,000である。
お、本発明の評価に用いた方法は以下の通りである。
からなる密度勾配管により30℃で測定したn=3の平
均値とした。
ーを装着した偏向顕微鏡によりレターデーションと繊維
径により求めたn=5の平均値とした。
限界酸素指数(LOI)で評価した。
とし、エチレングリコールをグリコール成分とし、前記
のリン含有化合物をリン原子含有量が6000ppmと
なるよう共重合させたリン含有共重合ポリエステルを用
いて紡糸温度262℃、引取り速度3000m/分で溶
融紡糸して得た245デニール48フィラメントの高配
向未延伸糸を、ベルト仮撚り機により加工速度600m
/分、延伸倍率1.6倍、第1ヒーター温度175℃、
ベルト角度107°、ベルト速度比1.45倍で仮撚り
加工することにより仮撚り加工糸を得た。得られた加工
糸は断面変形、融着共になく、嵩高性に優れた糸であっ
た。
として得られた、225デニール48フィラメントの高
配向未延伸糸を延伸倍率を1.48倍、ベルト速度比を
1.432として仮撚り加工した以外は実施例1と同法
にて加工糸を得た。得られた加工糸は融着、断面変形共
になく、嵩高性に優れた糸であった。
pmとなるよう共重合させたリン含有共重合ポリエステ
ルを用いて引取り速度を3200m/分として溶融紡糸
して得られた、235デニール48フィラメントの高配
向未延伸糸を延伸倍率を1.579倍、ベルト速度比を
1.498として仮撚り加工した以外は実施例1と同法
にて加工糸を得た。得られた加工糸は融着、断面変形共
になく、嵩高性に優れた糸であった。
よびフィラメントを220デニール216フィラメント
とし加工速度を550m/分、延伸倍率を1.555
倍、ベルト速度比を1.454として仮撚り加工した以
外は実施例1と同法にて加工糸を得た。得られた加工糸
は融着、断面変形共になく、嵩高性に優れた糸であっ
た。
とし、仮撚り加工時の延伸倍率を2.501、ベルト速
度比を1.513とした以外は実施例1と同法にて加工
糸を得た。得られた加工糸は融着、断面変形共に生じて
いた。
とし、仮撚り加工時の延伸倍率を1.300倍、ベルト
速度比を1.411とした以外は実施例1と同法にて加
工糸を得た。得られた加工糸は融着、断面変形共に発生
していなかったが、加工糸の毛羽が多く製品として使用
できない糸であった。
として溶融紡糸して得られた280デニール216フィ
ラメントの高配向未延伸糸を用いて加工速度を550m
/分、延伸倍率を2.489倍、ベルト速度比を1.5
13として仮撚り加工した以外は実施例1と同法にて加
工糸を得た。得られた加工糸は融着、断面変形共に生じ
て入た。
mとなるよう共重合させたリン含有共重合ポリエステル
を用い、加工速度を650m/分、仮撚り加工時の第1
ヒーター温度を190℃とした以外は実施例1と同法に
て加工糸を得た。得られた加工糸は融着、断面変形共に
なく、嵩高性に優れた糸であったが、難燃性に劣ってい
た。
0ppmとなるよう共重合させたリン含有共重合ポリエ
ステルを用いて引取り速度を3000m/分として溶融
紡糸して得られた、225デニール48フィラメントの
高配向未延伸糸を延伸倍率を1.480倍、ベルト速度
比を1.432として仮撚り加工した以外は実施例1と
同法にて加工糸を得た。得られた加工糸は融着は発生し
ていなかったが、断面変形を生じていた。さらに、加工
糸の強度も低くなっていた。
即ち繊維の潰れや融着を防止し、かつ長期に安定した難
燃性をも有するポリエステル繊維を経済的かつ効率良く
得ることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】リン原子の含有量が500〜50,000
ppmのリン化合物を共重合したポリエステルからなる
ポリエステル繊維であって、下記特性を同時に満足する
ポリエステル高配向未延伸糸を用いて延伸仮撚り加工す
ることを特徴とする難燃性ポリエステル加工糸の製造方
法。 1.343≦SG≦1.365 1.314≦SG−0.75×Δn≦1.330 (ここで、SGは比重(g/cm3)をΔnは複屈折を
それぞれ表す。) - 【請求項2】 ポリエステル繊維が、下記一般式(1)
で示されるリン化合物を添加して得られた共重合ポリエ
ステルからなることを特徴とする請求項1記載の難燃性
ポリエステル繊維。 【化1】 - 【請求項3】 ポリエステル繊維の単糸デニールが0.
3〜10.0であることを特徴とする請求項1記載の難
燃性ポリエステル繊維。
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