JP2001064527A - ハロゲン化銀写真感光材料、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料及びメチン色素 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料及びメチン色素

Info

Publication number
JP2001064527A
JP2001064527A JP23972399A JP23972399A JP2001064527A JP 2001064527 A JP2001064527 A JP 2001064527A JP 23972399 A JP23972399 A JP 23972399A JP 23972399 A JP23972399 A JP 23972399A JP 2001064527 A JP2001064527 A JP 2001064527A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
silver halide
methine
formula
represented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP23972399A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomohiro Oshiyama
智寛 押山
Nobuaki Kagawa
宣明 香川
Fumio Ishii
文雄 石井
信一 ▲台▼場
Shinichi Daiba
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP23972399A priority Critical patent/JP2001064527A/ja
Publication of JP2001064527A publication Critical patent/JP2001064527A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、保存安定性やかぶりの劣化
を伴わずに、高感度に分光増感された新規なメチン色素
を用いたハロゲン化銀写真感光材料、熱現像ハロゲン化
銀写真感光材料を提供することにある。また、新規なメ
チン色素を提供することにある。 【解決手段】 ヒドロキシルアミン及びその誘導体から
導かれる基を分子内に有するメチン色素を含有すること
を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なメチン色素
を用いたハロゲン化銀写真感光材料、熱現像ハロゲン化
銀写真感光材料および新規なメチン色素に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料に要求される
性能は、高感度化、高画質化、保存条件による性能変動
の最小化等多岐にわたり、更に今後は、現像進行性など
を早めた迅速処理適性を加味する必要があり、その要求
レベルは近年益々高まってきている。
【0003】特に、高感度化という点では、昨今のデジ
タルカメラの技術進歩により、ハロゲン化銀感光材料の
優位性を保持するためにはかぶりや保存性を保持したま
まで、更なる高感度化が必要である。ハロゲン化銀乳剤
の高感度化技術、即ち、増感技術は、ハロゲン化銀乳剤
の製造方法に関するもの、ハロゲン化銀乳剤の化学増感
に関するもの、ハロゲン化銀乳剤の分光増感に関するも
の、ハロゲン化銀感光材料の設計方法に関するもの、ハ
ロゲン化銀感光材料の現像プロセスに関するもの等々、
各種の方法が知られているが、ハロゲン化銀の感光域を
拡大する分光増感技術は、情報を効率的に記録する上で
不可欠なものである。
【0004】分光増感は、ハロゲン化銀結晶へある種の
シアニン色素やメロシアニン色素類を吸着させ、該色素
が吸収した波長の光エネルギーを担体である感光性ハロ
ゲン化銀結晶へ伝達させることによって行われている。
【0005】これらの分光増感色素は単にハロゲン化銀
乳剤の感光波長域を拡大するだけでなく、以下の諸条件
を満足させるものでなければならない。
【0006】1)分光増感域が適切であること 2)分光増感効率が高いこと 3)他の添加剤、例えば、安定剤、カブリ防止剤、塗布
助剤、高沸点溶剤等との間に悪い相互作用がないこと 4)カブリ発生やガンマ変化等、特性曲線に悪影響を与
えないこと 5)増感色素を含有したハロゲン化銀写真感光材料を経
時させたとき(特に、高温・高湿下に保存した場合)に
カブリ等の写真性能を変化させないこと 6)添加された感光色素が異なる感光波長域の層へ拡散
して色濁りを起こさないこと 7)現像定着水洗された後は感光色素が抜けて、色汚染
を引き起こさないこと しかしながら、従来開示されている分光増感色素は、未
だこれら諸条件すべてを充分満足する水準には至ってい
ない。
【0007】特に、赤外領域の分光増感色素に関して
は、米国特許第4,536,473号、欧州特許第04
20012号等にみられるように、様々な色素が研究さ
れている。しかし、これらの増感色素は赤外領域のピー
クが鋭くなく、感度の低い吸収をもち、生試料の保存性
にも劣っていた。これらの欠点を改良するために、特開
平5−72660号では、色素を形成するアゾール環の
窒素原子上に無置換のアルキニル基、置換あるいは無置
換のアルケニル基を導入した増感色素を開発し改良を試
みているが、十分ではなかった。
【0008】また、特開平5−45775号、特開平8
−328189号では、分岐アルキル基、分岐アリール
基を導入して改良し、また、特開平9−022086号
では分岐スルホアルキル基を導入して改良を試みている
が、これらの改良でも色増感能に関しては十分に改良さ
れていなかった。
【0009】また、谷忠昭(T.Tani)等著、ジャ
ーナル・オブ・フィジィカル・ケミストリー、(Jou
rnal of the Physical Chem
istry)94巻、1298ページ(1990年)に
記載されているように−1.25Vより貴な還元電位を
持つ増感色素は分光増感の相対量子収率が低いことが知
られている。このような色素の分光増感の相対量子収率
を高めるために、前述の“ザ・セオリー・オブ・ザ・フ
ォトグラフィック・プロセス”(The Theory
of the Photographic Proc
ess)259〜265頁(1966年刊)に記載され
ているような正孔捕獲による強色増感が提案されてい
る。しかしながら、より効果的な強色増感剤が望まれて
いる。より効果的な強色増感剤として、特開平8−18
4932号、特開平7−84332号、特開平7−92
600号等では、正孔捕獲剤の機能を有する基をメチン
色素に組み込んで、強色増感の効果を得ているが、十分
な効果を得るのにはまだ不十分であった。
【0010】また、近年、最終画像を生成するために、
液体現像剤を使用しない、いわゆるドライ感光材料が調
液フリーによる作業性や廃液レスによる環境保護の観点
から望まれていた。
【0011】しかしながら、熱現像銀塩写真感光材料か
ら得られる銀画像は、液体現像によるハロゲン化銀写真
感光材料から得られる銀画像に比べ、感度、黒色性が低
く、感度向上の為に新規分光増感色素が求められてい
た。
【0012】一方、近年、情報量の急速な増大に伴い、
大容量の光記録媒体が脚光を浴びている。安価な半導体
レーザにより容易に、かつ高密度に情報記録できる有機
光記録媒体を作製するために、赤色から近赤外領域の光
を効率よく吸収する新規長波長吸収色素が望まれてい
た。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、保存
安定性やかぶりの劣化を伴わずに、高感度に分光増感さ
れた新規なメチン色素を用いたハロゲン化銀写真感光材
料、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料を提供することに
ある。また、新規なメチン色素を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0015】1.ヒドロキシルアミン及びその誘導体か
ら導かれる基を分子内に有するメチン色素を含有するこ
とを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0016】2.前記ヒドロキシルアミン誘導体がヒド
ロキサム酸誘導体であることを特徴とする1に記載のハ
ロゲン化銀写真感光材料。
【0017】3.下記一般式(IV)、(V)または(V
I)で表される基の少なくとも1つを分子内に有する下
記一般式(I)、(II)または(III)で表されるメチ
ン色素を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感
光材料。
【0018】
【化4】
【0019】〔一般式(I)、(II)、(III)中、
1、Z2、Z3、Z4およびZ5はそれぞれ、5員または
6員の含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子群を
表す。Q1、Q2およびQ3はそれぞれ酸性核を形成する
に必要な非金属原子群を表す。M1およびM2は電荷中
和対イオンを表し、n1およびn2は分子内の電荷を中
和させるために必要な0以上の数を表す。L1、L2、L
3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11および
12はそれぞれ、メチン基または置換メチン基を表し、
他のメチン基と環を形成していてもよく、或いは助色団
と環を形成してもよい。u1、u2、u3、u4および
u5はそれぞれ0または1の整数を表す。sは0、1、
2、3または4の整数を表す。rは0または1の整数を
表す。t1は0、1、2、3または4の整数を表し、t
2は0、1、2または3の整数を表すが、r=0の場合
には(t1+t2)は0<(t1+t2)≦6の整数を
表す。v1およびv2はそれぞれ0、1または2の整数
を表す。R1、R2、R4およびR5はそれぞれ脂肪族基あ
るいは下記一般式(IV)、(V)または(VI)で表され
る基を表す。ただし、R1およびR2の双方、または、R
4およびR5の双方が脂肪族基であることはない。R
3は、下記一般式(IV)、(V)または(VI)で表され
る基を表す。〕
【0020】
【化5】
【0021】〔一般式(IV)、(V)または(VI)中、
1、J2およびJ3は二価の連結基を表し、Ra1、Ra
2およびRa3はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、
アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリー
ルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールス
ルフィニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシアミノ基または水
素原子を表す。〕 4.前記一般式(IV)、(V)または(VI)で表される
基を、前記メチン色素の核上に有することを特徴とする
3に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0022】5.前記一般式(IV)、(V)または(V
I)で表される基を、前記メチン色素の核であるアゾー
ル環の窒素原子上に有することを特徴とする4に記載の
ハロゲン化銀写真感光材料。
【0023】6.前記一般式(IV)、(V)または(V
I)で表される基を、前記メチン色素のメチン鎖上に有
することを特徴とする3、4または5に記載のハロゲン
化銀写真感光材料。
【0024】7.前記一般式(VI)で表される基が、下
記一般式(VII)または(VIII)で表されることを特徴
とする3、4、5または6に記載のハロゲン化銀写真感
光材料。
【0025】
【化6】
【0026】〔式中、J4およびJ5は二価の連結基を表
し、Ra4、Ra5、Ra6およびRa7はそれぞれ、アル
キル基、アルケニル基またはアリール基を表す。L13
よびL14はそれぞれ、−CO−、−SO−または−SO
2−を表す。〕 8.ヒドロキシルアミン及びその誘導体から導かれる基
を分子内に有するメチン色素を含有することを特徴とす
る熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
【0027】9.上記一般式(I)、(II)または(II
I)で表されるメチン色素を含有することを特徴とする
熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
【0028】10.ヒドロキシルアミン及びその誘導体
から導かれる基を分子内に有することを特徴とするメチ
ン色素。
【0029】11.上記一般式(IV)、(V)または
(VI)で表される基の少なくとも1つを分子内に有する
上記一般式(I)、(II)または(III)で表されるこ
とを特徴とするメチン色素。
【0030】以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】本発明のヒドロキシルアミン及びその誘導
体から導かれる基を分子内に有するメチン色素(以下単
に、本発明のメチン色素ともいう)について説明する。
【0032】本発明の新規メチン色素の特徴は、最高占
有軌道(HOMO)の高い部分構造を含有することであ
る。その部分構造の代表例がヒドロキシアミン類であ
り、その強い還元能力によりメチン色素としてもホール
トラップの機能が高まると考えられる。ヒドロキシアミ
ン類の中でも、特にヒドロキサム酸から誘導される基が
好ましい。
【0033】本発明のメチン色素を構成するヒドロキシ
ルアミン及びその誘導体から導かれる基は、例えば下記
のようなものである。
【0034】
【化7】
【0035】本発明のメチン色素の中でも本発明の一般
式(I)、(II)または(III)で表されるメチン色素
が好ましい。
【0036】以下、本発明の一般式(I)、(II)また
は(III)で表されるメチン色素について説明する。
【0037】前記一般式(I)、(II)、(III)にお
いて、Z1、Z2、Z3、Z4およびZ5はそれぞれ、5員
または6員の含窒素複素環を形成するに必要な非金属原
子群を表すが、該5員または6員の含窒素複素環として
は、例えばインドール環、ピロール環、ピリジン環、キ
ノリン環、イソキノリン環、オキサゾール環、ベンズオ
キサゾール環、ナフトオキサゾール環、イミダゾール
環、ベンズイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、ピ
ラゾール環、インダゾール環、ナフトピラゾール環、チ
アゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール
環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトセ
レナゾール環、テルラゾール環、ベンゾテルラゾール
環、ナフトテルラゾール環等が挙げられる。好ましく
は、ベンゼン環などと縮合している環が好ましく、キノ
リン環、イソキノリン環、ベンズオキサゾール環、ナフ
トオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ナフトイミ
ダゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環
等が挙げられる。
【0038】これらの環は置換基を有していても良い。
好ましい置換基の例としては置換されてもよいアルキル
基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、オクチル基、エトキシエチル基、トリフルオロメチ
ル基、ベンジル基、o−クロロベンジル基、フェネチル
基など)、アルケニル基(例えば、エテニル基、アリル
基、ブテニル基など)、アルキニル基(例えば、エチニ
ル基、プロピニル基、ブチニル基など)、置換されても
よいアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、クロ
ルフェニル基、ビフェニル基など)、置換されてもよい
ヘテロ環基(例えばピロリル基、チエニル基、イミダゾ
リル基、フラニル基、ピリジニル基、チアジアゾリル
基、5−メチル−ベンゾチアゾリル基など)、ハロゲン
原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、
シアノ基、水酸基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル
基、メルカプト基、置換されてもよいアルコキシ基(例
えば、メトキシ基、エトキシ基、2−ヒドロキシエトキ
シ基、2−エトキシエトキシ基、ポリ(エチレンオキ
シ)基など)、置換されてもよいアリールオキシ基、
(例えばフェノキシ基など)、カルボニル基(例えばア
セチル基、プロピオニル基、オクタノイル基、ラウロイ
ル基、ステアロイル基、アセトアセチル基、ベンゾイル
基、チエニルカルボニル基など)、オキシカルボニル基
(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、フェノキシカルボニル基、メトキシカルボニルオキ
シ基、エトキシカルボニルオキシ基、アセトアセチルオ
キシ基、フェノキシカルボニルオキシ基など)、アミド
基(例えば、アセトアミド基、プロピオンアミド基、オ
クタノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、スル
ホニル基(例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニ
ル基、トシル基など)、置換されてもよいアミノ基(例
えばアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ
オクチルアミノ基など)置換されてもよいアルキルチオ
基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ
基など)、置換されてもよいアリールチオ基(例えばフ
ェニルチオ基など)などが挙げられる。
【0039】Q1、Q2およびQ3はそれぞれ酸性核を形
成するに必要な非金属原子群を表すが、Q1、Q2、Q3
はそれぞれ、メチン基結合箇所に隣接するケト基と連結
して環状基である酸性核を形成するに必要な非金属原子
群を表すものであり、Q1、Q2、Q3によってそれぞれ
形成される該酸性核は、公知のメロシアニン色素に使用
される酸性の環核であり、具体的には例えば、イソオキ
サゾロン系(例えば、2−イソオキサゾリン−5−オン
等)、オキサゾリジン系(例えば、2−チオ−オキサゾ
リジン−2,4−ジオン、2,4−オキサゾリジンジオ
ン、オキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−4
−オン等)、チアゾリジン系(例えば、2−チオ−チア
ゾリジン−2,4−ジオン、2,4−チアゾリジンジオ
ン、チアゾリジン−4−オン、2−チアゾリン−4−オ
ン等)、イミダゾリジン系(例えば、2−チオ−イミダ
ゾリジン−2,4−ジオン、2,4−イミダゾリジンジ
オン、イミダゾリジン−4−オン、2−イミダゾリジン
−4−オン等)、セレナゾリジン系(例えば、2−チオ
−セレナゾリジン−2,4−ジオン、2,4−セレナゾ
リジンジオン、セレナゾリジン−4−オン、2−セレナ
ゾリン−4−オン等)、ピリジン系(例えば、テトラヒ
ドロピリジン−2,4−ジオン、テトラヒドロピリジン
−2,6−ジオン等)、ピリミジン系(例えば、テトラ
ヒドロピリミジン−2,4−ジオン、テトラヒドロピリ
ミジン−2,6−ジオン、ヘキサヒドロピリミジン−
2,4,6−トリオン、2−チオ−ヘキサヒドロピリミ
ジン−2,4,6−トリオン等)、ピラゾリン系(ピラ
ゾリン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン
等)、炭素環系(例えば、シクロペンタン−2,5−ジ
オン、シクロヘキサン−2,6−ジオン、シクロヘキセ
ン−2,6−ジオン等)、ピラゾロピリジン系(例え
ば、ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−3,6−ジオン
等)、ピラゾロピリミジン系(例えば、ピラゾロ〔1,
5−a〕ピリミジン−2−オン等)、ピラゾロ〔2,3
−a〕イミダゾール−6−オン等)等の酸性核が挙げら
れる。
【0040】上記酸性核上には、その任意の位置に置換
基を有していてもよく、該置換基としては例えば、無置
換のアリール基、置換、無置換のアルキル基、ヘテロ環
基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、ウレイド基、カルバモイル基、カルバモイルオキ
シ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシ
カルボニルアミノ基、シアノ基、アシル基、カルボキシ
基、フォスフォリル基、アミド基、イミド基、スルホニ
ル基、スルフィニル基、スルファモイルアミノ基、スル
ファモイル基、スルホンアミド基等が挙げられる。
【0041】M1、M2は電荷中和対イオンを表し、分
子内の電荷を中和する働きをする。対イオンとしては、
カチオンあるいは酸アニオンが用いられ、カチオンの具
体例としては、プロトン、有機アンモニウムイオン(例
えば、トリエチルアンモニウム、トリエタノールアンモ
ニウム等の各イオン)、無機カチオン(例えば、リチウ
ム、ナトリウム、カルシウム等の各カチオン)が挙げら
れ、酸アニオンの具体例としては、例えば、ハロゲンイ
オン(例えば、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン
等)、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオ
ン、4フッ化ホウ素イオン等が挙げられる。
【0042】n1、n2は分子内の電荷を中和させるた
めに必要な数であり、分子内塩を形成して電荷が中和さ
れる場合には0となる。
【0043】L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7
8、L9、L10、L11、L12で表されるメチン基、また
は、置換メチン基について説明する。s、t1、t2、
v1、v2が1以上の場合に繰り返して表されるメチン
基は各々同一でも異なっていてもよい。
【0044】L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7
8、L9、L10、L11、L12で表される置換メチン基の
置換基としては、例えば、置換もしくは無置換のアルキ
ル基(例えば、メチル基、エチル基、2−カルボキシエ
チル基)、置換もしくは無置換のアリール基(例えば、
フェニル基、o−カルボキシフェニル基)、複素環基
(例えば、バルビツール酸)、ハロゲン原子(例えば、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例
えば、メトキシ基、エトキシ基)、アミノ基(例えば、
N,N−ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニ
ルアミノ基、N−メチルピペラジノ基)、アルキルチオ
基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基)等が挙げら
れる。
【0045】また、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L
7、L8、L9、L10、L11、L12で表される置換メチン
基の置換基は、他のメチン基と環を形成していてもよ
く、また、助色団と環を形成してもよい。また、これら
の環はさらに置換基を有していてもよい。これら置換基
としては、置換あるいは無置換のアルキル基(例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、クロロエチル基、ベ
ンジル基)、置換あるいは無置換のアリール基(例え
ば、フェニル基、p−クロロフェニル基)、ハロゲン原
子(例えば、塩素原子、フッ素原子)、ヒドロキシ基、
アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)及び
その他の1価および2価の基が挙げられる。
【0046】R1、R2、R4およびR5はそれぞれ脂肪族
基あるいは下記一般式(IV)、(V)または(VI)で表
される基を表す。ただし、R1およびR2の双方、また
は、R4およびR5の双方が脂肪族基であることはない。
3は、下記一般式(IV)、(V)または(VI)で表さ
れる基を表す。
【0047】R1、R2、R4およびR5でそれぞれ表され
る脂肪族基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−ヘキシ
ル基等)、アルケニル基(例えば、2−プロペニル基、
3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、3−
ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキ
セニル基等)、アラキル基(例えばベンジル基、フェネ
チル基等)等が挙げられる。
【0048】前記一般式(IV)、(V)、(VI)、(VI
I)、(VIII)において、J1、J2、J3、J4、J5でそ
れぞれ示される2価の連結基は、メチン色素とヒドロキ
シルアミン及びその誘導体とを連結することが可能な基
を表す。具体的には、炭素数1〜10の置換もしくは無
置換の飽和アルキレン基、芳香環基、ヘテロ環基等が挙
げられる。該炭素数1〜10の置換もしくは無置換の飽
和アルキレン基は、ヘテロ原子を含んでもよく、部分的
に環を形成してもよい。
【0049】前記一般式(IV)、(V)、(VI)におい
て、Ra1、Ra2およびRa3はそれぞれ、アルキル
基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルキルス
ルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィ
ニル基、アリールスルフィニル基、カルバモイル基、ス
ルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキ
シアミノ基または水素原子を表すが、本発明にいうアル
キル基とは、直鎖、分岐、環状のアルキル基であり、置
換基を有していてもよい。Ra1、Ra2およびRa3
更に詳しくはそれぞれ、アルキル基(好ましくは炭素数
1〜36のアルキル基で例えばメチル基、エチル基、i
−プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、シクロヘキシル基、t−オクチル基、デシル基、
ドデシル基、ヘキサデシル基、ベンジル基等)、アルケ
ニル基(好ましくは炭素数2〜36のアルケニル基で例
えば、アリル基、2−ブテニル基、イソプロペニル基、
オレイル基、ビニル基等)、アリール基(好ましくは炭
素数6〜40のアリール基で例えばフェニル基、ナフチ
ル基等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜36のアシ
ル基で例えばアセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル
基、α−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)
ブチリル基、ミリストイル基、ステアロイル基、ナフト
イル基、m−ペンタデシルベンゾイル基、イソニコチノ
イル基等)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ま
しくは炭素数1〜36のアルキル又はアリールスルホニ
ル基で例えばメタンスルホニル基、オクタンスルホニル
基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基
等)、アルキル又はアリールスルフィニル基(この好ま
しくは炭素数1〜40のアルキル又はアリールスルフィ
ニル基で例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフ
ィニル基等)、カルバモイル基(N−置換カルバモイル
基をも含み、好ましくは炭素数0〜40のカルバモイル
基で例えばN−エチルカルバモイル基、N−フェニルカ
ルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−
ブチル−N−フェニルカルバモイル基等)、スルファモ
イル基(N−置換スルファモイル基をも含み、好ましく
は炭素数1〜40のスルファモイル基で例えばN−メチ
ルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル
基、N−フェニルスルファモイル基、N−シクロヘキシ
ル−N−フェニルスルファモイル基、N−エチル−N−
ドデシルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル
基(好ましくは炭素数2〜36のアルコキシカルボニル
基で例えばメトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキ
シカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、イソア
ミルオキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニ
ル基等)またはアリールオキシカルボニル基(好ましく
は炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例
えばフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基
等)、アミノ基(好ましくはジエチルアミノ基、フェニ
ルアミノ基等)、アルコキシ基(好ましくはメトキシ
基、エチキシ基等)、ヒドロキシアミノ基(好ましくは
ヒドロキシアミノ基、N−メチル−ヒドロキシアミノ基
等)または水素原子を表す。L13およびL14はそれぞ
れ、−CO−、−SO−または−SO2−を表す。
【0050】前記一般式(VII)、(VIII)においてR
4、Ra5、Ra6、Ra7で示されるアルキル基、アル
ケニル基またはアリール基としては、Ra1、Ra2、R
3で説明したものと同義である。
【0051】本発明の一般式(IV)、(V)、(VI)、
(VII)、(VIII)で表される基は、メチン色素のアゾ
ール環の窒素原子上、核上、メチン鎖上のいずれに置換
してもよい。
【0052】本発明の新規メチン色素は、最高占有軌道
(HOMO)の高い部分構造を含有することが特徴であ
が、その部分構造の色素への置換位置は、色素を形成す
るアゾール環の窒素原子上、メチン色素の核上、また
は、メチン色素のメチン鎖上のいずれでもよい。好まし
くは、色素を形成するアゾール環の窒素原子上である。
【0053】以下に、本発明の一般式(I)、(II)ま
たは(III)で表されるメチン色素の具体例を示すが、
本発明のメチン色素はこれに限定されるものではない。
【0054】
【化8】
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】
【化11】
【0058】
【化12】
【0059】
【化13】
【0060】
【化14】
【0061】
【化15】
【0062】
【化16】
【0063】
【化17】
【0064】
【化18】
【0065】本発明のメチン色素は、例えば、エフ・エ
ム・ハーマ著「シアニン・ダイズ・アンド・リレーテッ
ド・コンパウンズ(インター・サイエンス・パブリッシ
ャーズ発刊、1964年)に記載された従来公知の方法
を参考にして容易に合成できる。
【0066】本発明のメチン色素は、従来公知の方法で
ハロゲン化銀乳剤に添加することができる。例えば、特
開昭50−80826号、同50−80827号に記載
のプロトン化溶解添加方法、米国特許第3,822,1
35号、特開昭50−11419号に記載の界面活性剤
と共に分散添加する方法、米国特許第3,676,14
7号、同3,469,987号、同4,247,627
号、特開昭51−59942号、同53−16624
号、同53−102732号、同53−102733
号、同53−137131号に記載の親水性基質に分散
して添加する方法、東独特許第143,324号に記載
の固溶体として添加する方法、リサーチ・ディスクロー
ジャー21,802号、特公昭50−40659号、特
開昭59−148053号に代表される色素を溶解する
水溶性溶剤(例えば、メタノール、エタノール、プロピ
ルアルコール、アセトン、フッソ化アルコール等の低沸
点溶媒、ジメチルフォルムアミド、メチルセルソルブ、
フェニルセルソルブ等の高沸点溶媒)単独またはそれら
の混合溶媒に溶解して添加する方法等を任意に選択使用
して乳剤中に加えられる。
【0067】本発明のメチン色素の添加時期は、物理熟
成から化学熟成終了塗布までの乳剤製造工程中のいずれ
の段階であってもよいが、物理熟成から化学熟成終了ま
での間に添加されることが好ましい。物理熟成中、また
は、化学熟成工程において化学増感剤の添加に先立っ
て、あるいは、化学増感剤の添加直後での、本発明のメ
チン色素の添加は、より高い分光感度が得られる効果を
有し好ましい。
【0068】本発明のメチン色素の添加量は、使用され
る条件や乳剤の種類に大きく依存して変化するが、ハロ
ゲン化銀乳剤中の感光性粒子表面の単分子層被覆率が4
0%以上90%以下になるような添加量とすることが好
ましく、更には、単分子層被覆率を50%〜80%の範
囲とすることが好ましい。
【0069】なお、単分子層被覆率は、50℃にて吸着
等温線を作製したときの飽和吸着量を被覆率100%に
相当する量として相対的に決める。
【0070】本発明に係るハロゲン化銀乳剤には、本発
明のメチン色素と従来公知の増感色素を組み合わせて用
いてもよい。両者を併用する使用比率は所望の感度を与
える量で任意に選択できる。また、それ自身分光増感作
用をもたない色素、あるいは可視光を実質的に吸収しな
い化合物であって、増感色素の増感作用を強める強色増
感剤を乳剤中に含有させてもよい。従来公知の増感色素
としては、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シア
ニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニ
ン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、ヘミオキソ
ノール色素、オキソノール、メロスチリル、ストレプト
シアニンを含むポリメチン染料等を挙げることができ
る。
【0071】本発明において、ハロゲン化銀乳剤は、硫
黄増感、セレン増感、テルル増感等のカルコゲン増感、
還元増感及び貴金属増感を各々単独であるいは適宜組合
わせて化学増感することができる。化学増感工程の条
件、例えば、pH、pAg、温度、時間等については特
に制限がなく、当業界で一般に行われている条件で行う
ことができる。
【0072】硫黄増感には、不安定硫黄化合物を用いる
ことができ、具体的には、1,3−ジフェニルチオ尿
素、トリエチルチオ尿素、1−エチル−3−(2−チア
ゾリル)チオ尿素などのチオ尿素誘導体、ローダニン誘
導体、ジチカルバミン酸類、ポリスルフィド有機化合
物、チオ硫酸塩、硫黄単体などを用いるのが好ましい。
なお、硫黄単体としては、斜方晶系に属するα−硫黄が
好ましい。
【0073】その他、米国特許第1,574,944
号、同2,410,689号、同2,278,947
号、同2,728,668号、同3,501,313
号、同3,656,955号、西独出願公開(OLS)
1,422,869号、特開昭56−24937号、同
55−45016号等に記載されている硫黄増感剤を用
いることができる。
【0074】セレン増感には、不安定セレン化合物を用
いることができ、セレン増感については、例えば、米国
特許第1,574,944号、同1,602,592
号、同1,623,499号、特開昭60−15004
6号、特開平4−25832号、同4−109240
号、同4−147250号等に記載されている。
【0075】有用なセレン増感剤としては、コロイドセ
レン金属、イソセレノシアネート類(例えば、アリルイ
ソセレノシアネート等)、セレノ尿素類(例えば、N,
N−ジメチルセレノ尿素、N,N,N′−トリエチルセ
レノ尿素、N,N,N′−トリメチル−N′−ヘプタフ
ルオロプロピルセレノ尿素、N,N,N′−トリメチル
−N′−ヘプタフルオロプロピルカルボニルセレノ尿
素、N,N,N′−トリメチル−N′−4−ニトロフェ
ニルカルボニルセレノ尿素等)、セレノケトン類(例え
ば、セレノアセトン、セレノアセトフェノン等)、セレ
ノアミド(例えば、セレノアセトアミド、N,N−ジメ
チルセレノベンズアミド等)、セレノカルボン酸類及び
セレノエステル類(例えば、2−セレノプロピオン酸、
メチル−3−セレノブチレート等)、セレノフォスフェ
ート類(例えば、トリ−p−トリセレノフォスフェート
等)、セレナイド類(ジメチルセレナイド、トリフェニ
ルフォスフィンセレナイド、ペンタフルオロフェニル−
ジフェニルフォスフィンセレナイド等)が挙げられる。
特に好ましいセレン増感剤は、セレノ尿素、セレノアミ
ド類、セレナイド類である。
【0076】これらのセレン増感剤の使用技術の具体例
は、例えば、米国特許第1,574,944号、同1,
602,592号、同1,623,499号、同3,2
97,466号、同3,297,447号、同3,32
0,069号、同3,408,196号、同3,40
8,197号、同3,442,653号、同3,42
0,670号、同3,591,385号、フランス特許
第2,693,038号、同2,093,209号、特
公昭52−34491号、同52−34492号、同5
3−295号、同57−22090号、特開昭59−1
80536号、同59−185330号、同59−18
1337号、同59−187338号、同59−192
241号、同60−150046号、同60−1516
37号、同61−246738号、特開平3−4221
号、同3−24537号、同3−111838号、同3
−116132号、同3−148648号、同3−23
7450号、同4−16838号、同4−25832
号、同4−32831号、同4−96059号、同4−
109240号、同4−140738号、同4−140
739号、同4−147250号、同4−184331
号、同4−190225号、同4−191729号、同
4−95035号、英国特許第255,846号、同8
61,984号、H.E.Spencer等著Jour
nal of Photographic scien
ce誌,31巻,158〜169(1983)等の研究
論文に開示されている。
【0077】テルル増感には、不安定テルル化合物を用
いることができる。テルル増感剤及び増感方法について
は、例えば、米国特許第1,623,499号明細書、
同3,320,069号明細書、同3,772,031
号明細書、同3,531,289号明細書、同3,65
5,394号明細書、英国特許第235,211号明細
書、同1,121,469号明細書、同1,295,4
62号明細書、同1,396,696号明細書、カナダ
特許第800,958号明細書、特開平4−20464
号公報等に開示されている。テルル増感剤としては、具
体的には、フォスフィンテルリド類(例えば、ブチル−
ジイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブチルフォ
スフィンテルリド等)、テルロ尿素類(例えば、N,N
−ジメチルエチレンテルロ尿素、N,N−ジフェニルエ
チレンテルロ尿素等)、テルロアミド類等が挙げられ
る。
【0078】貴金属増感には、Research Di
sclosure誌307巻307105号などに記載
されている金、白金、パラジウム、イリジウム、オスミ
ウムなどの貴金属塩を用いることができる。有用な金増
感剤としては、例えば、塩化金酸、チオ硫酸金、チオシ
アン酸金、米国特許第2,597,856号明細書、同
5,049,485号明細書、特公昭44−15748
号公報、特開平1−147537号公報、同4−706
50号公報等に開示されている有機金化合物などが挙げ
られる。貴金属増感には、他のカルコゲン増感と組み合
わせるのが好ましい。
【0079】前記の種々の増感方法において、増感剤の
添加方法は、使用する化合物の性質に応じて選択でき、
水またはメタノール等の有機溶媒の単独または混合溶媒
に溶解して添加する方法でも、ゼラチン溶液と予め混合
して添加する方法でも、特開平4−140739号公報
に開示されている方法、即ち、有機溶媒可溶性の重合体
との混合溶液の乳化分散物の形態で添加する方法でもよ
い。
【0080】本発明において、ハロゲン化銀乳剤には、
ハロゲン化銀溶剤共存下で化学増感を施すことができ
る。用いることができるハロゲン化銀溶剤としては、米
国特許第3,271,157号明細書、同3,574,
628号明細書、特開昭54−1019号公報、同54
−158917号公報等に記載された有機チオエーテル
類、特開昭53−82408号公報、同55−7773
7号公報、同55−2982号公報等に記載されたチオ
尿素誘導体、特開昭53−144319号公報に記載さ
れた酸素または硫黄原子と窒素原子とに挟まれたチオカ
ルボニル基を有するハロゲン化銀溶剤、特開昭54−1
00717号公報に記載されたイミダゾール類、亜硫酸
塩、チオシアネート等が挙げられる。
【0081】還元増感には、Research Dis
closure誌307巻307105号や特開平7−
78685号公報などに記載されている還元性化合物を
用いることができる。これら還元性化合物としては、具
体的には、アミノイミノメタンスルフィン酸(別名、二
酸化チオ尿素)、ボラン化合物(例えば、ジメチルアミ
ンボラン等)、ヒドラジン化合物(例えば、ヒドラジ
ン、p−トリルヒドラジン等)、ポリアミン化合物(例
えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン
等)、塩化第1スズ、シラン化合物、レダクトン類(例
えば、アスコルビン酸等)、亜硫酸ナトリウム、アルデ
ヒド化合物、水素ガスなどが挙げられる。また、特開平
10−26810号、同10−97020号、同10−
123656号等に開示されている高pHや銀イオン過
剰の雰囲気下で還元増感を施してもよい。
【0082】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、
感光材料の製造工程、保存中あるいは処理中のカブリを
防止し、写真性能を安定化することを目的として、種々
のカブリ防止剤、安定剤を含有させることができる。こ
れらカブリ防止剤、安定剤としては、具体的には、例え
ば、テトラザインデン類、アゾール類、ベンゾチアゾリ
ウム塩、ニトロインダゾール類、ニトロベンズイミダゾ
ール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイ
ミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベ
ンズイミダゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾト
リアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプ
トテトラゾール類、メルカプトピリミジン類、メルカプ
トトリアジン類、チオケト化合物、さらにはベンゼンチ
オスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスル
フォン酸アミド、ハイドロキノン誘導体、アミノフェノ
ール誘導体、没食子酸誘導体、アスコルビン酸誘導体を
挙げることができる。
【0083】本発明のハロゲン化銀写真感光材料には、
各種の写真用添加剤を用いることができる。これら写真
用添加剤としては、例えば、リサーチ・ディスクロージ
ャー(RD)No.17643(1978年12月)、
同No.18716(1979年11月)及び同No.
308119(1989年12月)に記載された化合物
が挙げられる。これら三つのRDに示されている写真用
添加剤と記載箇所を以下に掲載した。
【0084】
【表1】
【0085】なお、本発明のハロゲン化銀写真感光材料
は、乳剤層またはその他の層に現像主薬、例えば、アミ
ノフェノール、アスコルビン酸、ピロカテコール、ハイ
ドロキノン、フェニレンジアミンまたは3−ピラゾリド
ンなどを含んでもよい。
【0086】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
ることのできる支持体としては、例えば、前述のRDN
o.17643の28頁及びRDNo.308119の
1009頁に記載されているものが挙げられる。
【0087】乳剤層またはその他の層のバインダーとし
ては、ゼラチンを用いるのが有利である。これらの乳剤
層、その他の親水性コロイド層は、硬膜することがで
き、また、可塑剤、水不溶性または難溶性合成ポリマー
の分散物(ラテックス)を含有させることができる。
【0088】本発明のハロゲン化銀写真感光材料がカラ
ー写真感光材料である場合には、乳剤層には、カプラー
が用いられる。
【0089】更に、色補正の効果を有しているカラード
カプラー、競合カプラー及び現像主薬の酸化体とのカッ
プリングによって、現像促進剤、漂白促進剤、現像剤、
ハロゲン化銀溶剤、調色剤、硬膜剤、カブリ剤、カブリ
防止剤、化学増感剤、分光増感剤及び減感剤のような写
真的に有用なフラグメントを放出する化合物を用いるこ
とができる。
【0090】本発明のハロゲン化銀写真感光材料には、
フィルター層、ハレーション防止層、イラジエーション
防止層等の補助層を設けることができる。これらの層中
及び/または乳剤層中には現像処理中に感光材料から流
出するか、もしくは漂白される染料が含有させられても
よい。
【0091】本発明のハロゲン化銀写真感光材料には、
マット剤、滑剤、画像安定剤、界面活性剤、色カブリ防
止剤、現像促進剤、現像遅延剤や漂白促進剤を添加でき
る。
【0092】支持体としては、ポリエチレン等をラミネ
ートした紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、バ
ライタ紙、三酢酸セルロース等を用いることができる。
これら支持体の表面には、塗布層の接着をよくするため
に下塗層を設けたり、コロナ放電、紫外線照射などを施
してもよい。
【0093】本発明のハロゲン化銀写真感光材料を用い
て色素画像を得るには、露光後、通常知られているカラ
ー写真処理が行われる。
【0094】次に、本発明の熱現像銀塩写真感光材料に
ついて説明する。
【0095】本発明において、熱現像銀塩写真感光材料
に使用される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェット
法、ダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任
意の方法により、例えば、リップマン乳剤、アンモニア
法乳剤、チオシアネートまたはチオエーテル熟成乳剤な
どの乳剤として予め調製し、次いで、他の成分と混合し
て本発明に用いる。
【0096】この場合、有機銀塩と感光性ハロゲン化銀
の接触を十分に行わせるため、例えば、感光性ハロゲン
化銀乳剤を作る時の保護ポリマーとして米国特許第3,
706,564号明細書、同3,706,565号明細
書、同3,713,833号明細書、同3,748,1
43号明細書、英国特許第1,362,970号明細書
に記載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以
外のポリマーを用いる手段、英国特許第1,354,1
86号明細書に記載されているように、感光性ハロゲン
化銀乳剤に用いるゼラチンを酵素分解する手段または米
国特許第4,076,539号明細書に記載されている
ように、感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下
で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する
手段などの各手段を適用することができる。
【0097】本発明の熱現像銀塩写真感光材料に使用さ
れる感光性ハロゲン化銀はまた英国特許第1,447,
454号明細書に記載されているように、ハロゲン化剤
と有機銀塩形成性の成分とを共存させた混合液に銀イオ
ン溶液を注入することによって有機銀塩の生成とほぼ同
時に生成させることができる。
【0098】更に他の方法としては、予め調製された有
機銀塩の溶液もしくは分散液または有機銀塩を含むシー
ト材料に感光性ハロゲン化銀形成成分を作用させて、有
機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換させる方法も
ある。このようにして形成された感光性ハロゲン化銀
は、有機銀塩と有効に接触して好ましい作用を呈する。
上記の感光性ハロゲン化銀形成成分とは、有機銀塩と反
応して感光性ハロゲン化銀を生成しうる化合物である。
どのような化合物が感光性ハロゲン化銀形成成分に該当
し有効であるかは、有機銀塩と試験されるべき化合物と
を混入し必要ならば加熱した後に、X線回折法によりハ
ロゲン化銀に特有の回折ピークがあることを調べること
により判定することができる。
【0099】かかる試験によって有効であることが確か
められた感光性ハロゲン化銀形成成分としては、無機ハ
ロゲン化物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化水素
類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合物が
あり、その具体例については、米国特許第4,009,
039号明細書、同3,457,075号明細書、同
4,003,749号明細書、英国特許第1,498,
956号明細書、同1,498,956号明細書及び特
開昭53−27027号公報、同53−25420号公
報に詳説されているが以下にその一例を示す。
【0100】(1)無機ハロゲン化物:例えば、MXn
で表されるハロゲン化物(Mは、H、NH4及び金属原
子を表し、Xは、Cl、Br及びIを表し、nは、Mが
H及びNH4である時は1を、Mが金属原子の時はその
原子価を表す。金属原子としては、例えば、リチウム、
ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カル
シウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウ
ム、水銀、錫、アンチモン、クロム、マンガン、鉄、コ
バルト、ニッケル、ロジウム、セリウムなど)が挙げら
れる。また、臭素水などハロゲン分子も有効である。
【0101】(2)オニウムハライド類:例えば、トリ
メチルフェニルアンモニウムブロマイド、セチルエチル
ジメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジル
アンモニウムブロマイドのような第4級アンモニウムハ
ライド;テトラエチルフォスフォニウムブロマイドのよ
うな第4級フォスフォニウムハライド;トリメチルスル
ホニウムアイオダイドのような第3級スルホニウムハラ
イドなどが挙げられる。
【0102】(3)ハロゲン化炭化水素類:例えば、ヨ
ードホルム、ブロモホルム、四臭化炭素、2−ブロム−
2−メチルプロパンなどが挙げられる。
【0103】(4)N−ハロゲン化合物:例えば、N−
クロロこはく酸イミド、N−ブロムこはく酸イミド、N
−ブロムフタルイミド、N−ブロムアセトアミド、N−
ヨードこはく酸イミド、N−ブロムフタラゾン、N−ブ
ロムオキサゾリノン、N−クロロフタラゾン、N−ブロ
モアセトアニリド、N,N−ジブロモベンゼンスルホン
アミド、N−ブロモ−N−メチルベンゼンスルホンアミ
ド、1,3−ジブロモ−4,4−ジメチルヒダントイ
ン、N−ブロモウラゾールなどが挙げられる。
【0104】(5)その他の含有ハロゲン化合物:例え
ば、塩化トリフェニルメチル、臭化トリフェニルメチ
ル、2−ブロム酢酸、2−ブロムエタノール、二塩化ベ
ンゾフェノンなどが挙げられる。
【0105】これらの感光性ハロゲン化銀形成成分は、
有機銀塩に対し化学量論的には少量が用いられる。通
常、その範囲は有機銀塩1モルに対し0.001モル乃
至0.7モルであり、好ましくは0.03モル乃至0.
5モルに設定される。感光性ハロゲン化銀形成成分は2
以上を併用してもよい。
【0106】感光性ハロゲン化銀形成成分を用いて有機
銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換させる工程にお
ける反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は広い範
囲の中から、作製の目的に合わせて適宜選択し設定する
ことができるが、通常、反応温度は−20℃乃至70
℃、反応時間は0.1秒乃至72時間、反応圧力は大気
圧に設定されるのが好ましい。また、この反応は後述す
る結合剤として使用されるポリマーの存在下に行われる
ことが好ましい。この際のポリマーの使用量は、有機銀
塩1重量部当たり0.01乃至100重量部であり、好
ましくは0.1乃至10重量部である。
【0107】上記した各種の方法によって調製される感
光性ハロゲン化銀は、例えば、含硫黄化合物、金化合
物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、スズ化
合物、クロム化合物またはこれらを組み合わせて用い、
化学増感することができる。この化学増感の手順につい
ては、例えば、米国特許第4,036,650号明細
書、英国特許第1,518,850号明細書、特開昭5
1−22430号公報、同51−78319号公報、同
51−81124号公報に記載されている。また、感光
性ハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の一部を感光性
ハロゲン化銀に変換する態様においては、米国特許第
3,980,482号明細書に記載されているような低
分子量のアミド化合物を共存させておくことによって増
感を達成することができる。
【0108】本発明の熱現像銀塩写真感光材料に使用さ
れる有機銀塩としては、 (1)イミノ基を有する有機化合物の銀塩:例えば、サ
ッカリン類の銀塩、ベンゾトリアゾール類の銀塩、フタ
ラジノン類の銀塩、ベンゾオキサジオン類の銀塩、イミ
ダゾール類の銀塩、テトラアザインデン類の銀塩、ペン
タアザインデン類の銀塩など (2)メルカプト基またはチオン基を有する有機化合
物:例えば、2−メルカプトベンゾオキサゾール類の銀
塩、メルカプトオキサジアゾール類の銀塩、2−メルカ
プトベンゾチアガール類の銀塩、2−メルカプトベンゾ
イミダゾール類の銀塩、2−メルカプトベンゾイミダゾ
ール類の銀塩、3−メルカプト−4−フェニル−1,
2,4−トリアゾール類の銀塩など (3)カルボキシル基を有する有機化合物の銀塩:例え
ば、脂肪族カルボン酸類の銀塩、芳香族カルボン酸類の
銀塩(例えば、安息香酸銀、フタル酸銀、フェニル酢酸
銀、4′−n−オクタデシルオキシジフェニル−4−カ
ルボン酸の銀塩など)などが挙げられる。
【0109】これらの有機銀塩の更に詳しい具体例及び
上記以外の有機銀塩の例については、例えば、米国特許
第3,457,075号明細書、同3,549,379
号明細書、同3,785,830号明細書、同3,93
3,507号明細書、同4,009,039号明細書及
び英国特許第1,230,642号明細書または特開昭
50−93139号公報、同50−99719号公報、
同52−141222号公報及び同53−36224号
公報に記載されており、本発明においても、これらの公
知の有機銀塩の中から適宜選択して使用することができ
る。例えば、光触媒としてハロゲン化銀または銀色素感
光性コンプレックスを使用する場合には、上記の公知の
有機銀塩の中から光に比較的安定なものを選択して用い
る。その好ましい例としては、炭素数10乃至40、特
に18乃至33の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が挙げら
れ、具体的には、ラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パル
ミチン酸銀、ステアリン酸銀、アラキジン酸銀、ベヘン
酸銀、リグリセリン酸銀、ペンタコサン酸銀、セロチン
酸銀、ヘプタコサン酸銀、モンタン酸銀、メリシン酸
銀、ラクセル酸銀などを例示することができる。
【0110】かかる有機銀塩は、例えば、米国特許第
3,457,075号明細書、同3,458,544号
明細書、同3,700,458号明細書、同3,83
9,049号明細書、同3,960,908号明細書、
英国特許第1,173,426号明細書または特開昭4
9−52626号公報、同51−122011号公報、
同52−14122号公報に記載された公知の種々の方
法によって合成することができる。特に、有機銀塩形成
時に、米国特許第3,700,458号明細書または特
開昭53−32015号公報に記載されたポリマー類
や、米国特許第3,887,597号明細書または特開
昭49−13224号公報に記載された含金属化合物を
存在させておくと、有機銀塩の粒子形態、粒子サイズ及
び/または写真性を改良できるので好ましい。これらの
共存成分の使用量の好ましい範囲は、生成される有機銀
塩1モルに対して、ポリマー類の場合、0.1g乃至1
000g、特に、1g乃至500gであり、含金属化合
物の場合、10-6モル乃至10-1モルである。
【0111】有機銀塩は、長径が好ましくは0.01ミ
クロン乃至10ミクロン、特に、0.1ミクロン乃至5
ミクロンの粒子サイズを有するものが好ましく使用され
る。
【0112】本発明において有機銀塩は、支持体1m2
当たり、銀量に換算して好ましくは0.1g乃至4g、
より好ましくは0.2g乃至2.5gの範囲で用いられ
る。この範囲は、適度な画像濃度を与えるに必要十分な
量の範囲であって、この範囲より少なく用いると画素濃
度が不足になるし、またこの範囲より多く用いても画像
濃度は増加せず、かえってコスト高になる。
【0113】本発明の熱現像銀塩写真感光材料には還元
剤が用いられる。これら還元剤としては、熱現像銀塩写
真感光材料に一般に用いられている還元剤が挙げられ、
例えば、モノフェノール類、2個以上のフェノール基を
有するポリフェノール類、モノナフトール類、ビスナフ
トール類、2個以上の水酸基を有するポリヒドロキシベ
ンゼン類、2個以上の水酸基を有するポリヒドロキシナ
フタレン類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、
ピラゾリン−5−オン類、ピラゾリン類、フェニレンジ
アミン類、ヒドロキシルアミン類、ハイドロキノンモノ
エーテル類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、ア
ミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類などがある。更
に詳しくは、例えば、米国特許第3,615,533号
明細書、同3,679,426号明細書、同3,67
2,904号明細書、同3,751,252号明細書、
同3,782,949号明細書、同3,801,321
号明細書、同3,794,488号明細書、同3,89
3,863号明細書、同3,887,376号明細書、
同3,770,448号明細書、同3,819,382
号明細書、同3,773,512号明細書、同3,83
9,048号明細書、同3,887,378号明細書、
同4,009,039号明細書、同4,021,240
号明細書、英国特許第1,486,148号明細書もし
くはベルギー特許第786,086号明細書及び特開昭
50−36143号公報、同50−36110号公報、
同50−116023号公報、同50−99719号公
報、同50−140113号公報、同51−51933
号公報、同51−23721号公報、同52−8472
7号公報もしくは特公昭51−35851号公報に具体
的に例示された還元剤があり、本発明はこのような公知
の還元剤の中から適性選択し使用することができる。選
択方法としては、実際に熱現像写真感光材料を作ってみ
てその写真性を評価することにより使用した還元剤の優
劣を調べる方法が最も簡便であると考えられる。
【0114】有機銀塩として脂肪族カルボン酸銀を使用
する場合の好ましい還元剤としては、2個以上のフェノ
ール基がアルキレン基またはイオウによって連結された
ポリフェノール類、特に、フェノール基のヒドロキシ置
換位置に隣接する置換位置に少なくともひとつのアルキ
ル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t−
ブチル基、シクロヘキシル基など)またはアシル基(例
えば、アセチル基、プロピオニル基など)が置換したフ
ェノール基の2個以上がアルキレン基またはイオウによ
って連結されたポリフェノール類(例えば、1,1−ビ
ス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−
3,5,5−トリメチルヘキサン、1,1−ビス(2−
ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メ
タン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t
−ブチルフェニル)メタン、2,6−メチレンビス(2
−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル−
4−メチルフェノール、6,6′−ペンジリデン−ビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)、6,6′−ペ
ンジリデン−ビス−(2−t−ブチル−4−メチルフェ
ノール)、6,6′−ペンジリデン−ビス(2,4−ジ
メチルフェノール)、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、
1,1,5,5−テトラキス(2−ヒドロキシ−3,5
−ジメチルフェニル)−2,4−エチルペンタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−
ブチルフェニル)プロパンなどの米国特許第3,58
9,903号明細書、同4,021,249号明細書も
しくは英国特許第1,486,148号明細書及び特開
昭51−51933号公報、同50−36110号公
報、同50−116023号公報、同52−84727
号公報もしくは特公昭51−35727号公報に記載さ
れたポリフェノール化合物);米国特許第3,672,
904号明細書に記載されたビス−β−ナフトール類
(例えば、2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフ
チル、6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−
1,1′−ビナフチル、6,6′−ジニトロ−2,2′
−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、ビス(2−ヒ
ドロキシ−1−ナフチル)メタン、4,4′−ジメトキ
シ−1,1′−ジヒドロキシ−2,2′−ビナフチルな
ど);米国特許第3,801,321号明細書に記載さ
れているようなスルホンアミドフェノールまたはスルホ
ンアミドナフトール類(例えば、4−ベンゼンスルホン
アミドフェノール、2−ベンゼンスルホンアミドフェノ
ール、2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミド
フェノール、4−ベンゼンスルホンアミドナフトールな
ど)を挙げることができる。
【0115】本発明の熱現像銀塩写真感光材料に使用さ
れる還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、その他の
添加剤によって種々変動するが、一般的には、有機銀塩
1モル当たり好ましくは0.05モル〜10モル、より
好ましくは0.1〜3モルが適当である。また、この量
の範囲内において、上述した還元剤は、2種以上を併用
してもよい。還元剤は熱現像銀塩写真感光材料中に内蔵
される。
【0116】本発明の熱現像銀塩写真感光材料におい
て、上述した各成分と共に色調性、色調付与剤もしくは
賦活剤トーナーと称せられる添加剤(以下、色調剤とい
う)が使用されることが望ましい。色調剤は有機銀塩と
還元剤の酸化還元銀(像)生成反応の過程に関与して、
生ずる画像を濃色特に黒色にする機能を有する。
【0117】色調剤としては、既にきわめて多種の化合
物が公知であるが、このほとんどのものはイミノ基、メ
ルカプト基またはチオン基を有する化合物である。この
中から使用する有機銀塩及び還元剤の種類にあわせて適
当な色調剤を選択するのであるが、本発明の熱現像銀塩
写真感光材料において好ましい色調効果を与えるものと
しては、フタラジノン類(例えば、フタラジノン、2−
アセチルフタラジノン、2−カルバモイルフタラジノン
など)、2−ピラゾリン−5−オン類(例えば、3−メ
チル−2−ピラゾリン−5−オンなど)、キナゾリノン
類(例えば、キナゾリノン、4−メチルキナゾリノンな
ど)、ピリミジン類(例えば、6−メチル−2,4−ジ
ヒドロキシピリミジン類など)、1,2,5−トリアジ
ン類(例えば、3−メチル−4,6−ジヒドロキシ−
1,2,5−トリアジンなど)、フタラジンジオン類
(例えば、フタラジンジオンなど)、環状イミド類(例
えば、サクシンイミド類、フタルイミド類またはウラゾ
ール類、ベンゾオキサジンジオン類、ベンゾチアジンジ
オン類、ナフタルイミド類)などのイミノ基を有する複
素環式化合物が挙げられる。これらの色調剤は、2種以
上を併用してもよく、例えば、特開昭53−1020号
公報及び同53−55115号公報に記載されているよ
うにフタラジノンと組合わせてベンゾオキサジンジオン
類、ベンゾチアジンジオン類もしくはフタルイミド類を
併用することにより高温高湿下での貯蔵に由来する色調
効果の劣化を防止することができる。
【0118】また、米国特許第3,847,612号明
細書及び同3,994,732号明細書に記載されてい
るようにフタル酸、ナフトエ酸もしくはフタルアミド酸
とイミダゾール類もしくはフタラジン類を併用して色調
剤として用いることもできる。
【0119】色調剤を用いる場合、その使用量は、有機
銀塩1モル当たり、好ましくは0.0001モル乃至2
モル、特に、0.0005モル乃至1モルの範囲が好適
である。
【0120】本発明の熱現像銀塩写真感光材料に用いら
れる各成分は、バインダーとしての少なくとも一種のコ
ロイド中に分散させられる。好適なバインダーには疎水
性の高分子材料を挙げることができるが、場合によって
は親水性の高分子材料を併用することもできる。また親
水性の高分子材料を単独で使用することもできる。
【0121】バインダーとして用いる高分子材料は、塗
布または流延したときに透明もしくは半透明でかつ無
色、白色もしくは淡色の層を与えるものが好ましい。
【0122】バインダーとしては、例えば、ゼラチンの
如き蛋白質、セルロース誘導体、デキストランの如きポ
リサッカライドまたはアラビアゴムなどの天然高分子材
料や、合成高分子材料などが用いられるが、それらの中
でも、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、エチル
セルロース、塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、
ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニルコ
ポリマー、セルロースアセテートブチレート、ゼラチン
またはポリビニルアルコールが特に好ましく用いられ
る。これらの高分子材料は2種以上を併用してもよい。
【0123】バインダーの使用量は、その中に分散せし
めた成分を担持せしめるに十分な量、即ち、バインダー
として有効な量の範囲で用いられる。
【0124】その範囲は当業者によって適宜決定できる
ものであるが、一例として少なくとも有機銀塩を分散担
持せしめる場合は、有機銀塩に対し重量比で10対1乃
至1対10、特に4対1乃至1対4の範囲で用いられ
る。
【0125】本発明の熱現像銀塩写真感光材料の各成分
を含む組成物は、使用したバインダーが自己支持性を有
する膜を与えるものである場合には、公知の流延法に従
って各成分を担持する膜として成形されてよいが、通
常、広範な材料から選択された各種の支持体上に、1層
または2層以上に分割されて塗布され、熱現像感光材料
として完成する。支持体の素材としては、各種高分子材
料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(例え
ば、アルミニウム)などが挙げられるが、情報記録材料
として用いる場合、その取扱上から可撓性のあるシート
またはロールに加工できるものが好適である。
【0126】従って、本発明の熱現像銀塩写真感光材料
に用いる支持体としては、プラスチックフィルム(例え
ば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィ
ルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミ
ドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィ
ルムまたはポリカーボネートフィルム)または紙(一般
の紙の他に、例えば、写真用原紙、コート紙もしくはア
ート紙のような印刷用原紙、バライタ紙、レジン(コー
ティッド)紙、ベルギー特許第784,615号明細書
に記載されているようなポリサッカライドなどでサイジ
ングされた紙、二酸化チタンなどの顔料を含有するピグ
メント紙、ポリビニルアルコールをサイジングした紙)
が好ましい。
【0127】
【実施例】以下に本発明を実施例にてより詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0128】実施例1 [種乳剤の調製]特開昭62−160128号公報に記
載の撹拌装置を用い、30℃で激しく撹拌したE−5液
にK−5液を添加し、その後、F−5液とG−5液とを
ダブルジェット法により2分間で添加し、ハロゲン化銀
核の生成を行った。
【0129】その後、J−5液を添加し、41分かけて
温度を68℃に上げ、更に、H−5液を添加し、7分間
熟成を行った。その後、さらにI−5液を添加し、1分
後にL−5液を用いてpHを4.7に調整し、直ちに常
法にて脱塩を行った。この種乳剤を電子顕微鏡にて観察
したところ、互いに平行な2枚の双晶面をもつ平均粒径
(投影面積円換算粒径)0.31μm、粒径分布16%
の単分散球型乳剤であった。
【0130】 (E−5液) 脱イオン化アルカリ処理ゼラチン(平均分子量15,000) 244.0g 臭化カリウム 156.6g HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH( m+n=9.77)の10%メタノール溶液 0.48ml 水で 34.0リットル (F−5液) 硝酸銀 1200g 水で 3716ml (G−5液) 脱イオン化アルカリ処理ゼラチン(平均分子量15,000) 31.6g 臭化カリウム 906.0g 水で 4.0リットル (H−5液) アンモニア水(28%) 299ml (I−5液) 水 8.0リットル (J−5液) オセインゼラチン 400.0g 水で 4832ml (K−5液) 臭化カリウム 69.2g 水で 386ml (L−5液) 56重量%酢酸水溶液 1000ml [乳剤Em−1の調製]反応容器内にH−6液を添加
し、激しく撹拌しながら、I−6液、J−6液、K−6
液を表2に示した組み合わせに従って同時混合法によっ
て添加し、種結晶を成長させ、コア/シェル型ハロゲン
化銀乳剤を調製した。
【0131】上記種結晶の成長において、第1添加は、
反応容器内の溶液温度を75℃、pAgを8.8にコン
トロールして行った。次いで、15分間で反応容器内の
溶液温度を60℃に下げ、N−6液を4分間で添加し、
K−6液を総使用銀量に対し2%相当量添加した後、第
2添加を行った。第2添加は、反応容器内の溶液温度を
60℃、pAgを9.8、pHを5.8にコントロール
して行った。なお、pAg及びpHのコントロールはL
−6液、M−6液を添加しておこなった。
【0132】I−6液、J−6液、K−6液の添加速度
は、臨界成長速度を考慮し、添加時間に対して関数様に
変化させ、成長している種粒子以外の小粒子の発生や、
成長粒子間のオストワルド熟成による粒径分布の劣化が
起こらないようにしてある。
【0133】粒子形成後に、特開平5−72658号公
報に記載の方法に従って脱塩処理を行い、その後、ゼラ
チンを加えて分散し、40℃においてpAg8.06、
pH5.8の乳剤Em−1を得た。
【0134】この乳剤Em−1中のハロゲン化銀粒子を
電子顕微鏡にて観察したところ、平均粒径1.30μ
m、粒径分布17%、平均アスペクト比8.0の六角平
板状単分散ハロゲン化銀粒子であった。また、この六角
平板状ハロゲン化銀粒子は、フリンジ部に転位線を有し
ていた。
【0135】 (H−6液) オセインゼラチン 223.6g HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH( m+n=9.77)の10%メタノール溶液 3.6ml 種乳剤 0.774モル相当量 水で 5904ml (I−6液) 3.5N硝酸銀水溶液 6490ml (J−6液) 3.5N臭化カリウム水溶液 7500ml (K−6液) 3.0重量%のゼラチンと沃化銀微粒子(平均粒径0.05μm)から成る微 粒子乳剤 SMC−1 必要量 (L−6液) 1.75N臭化カリウム水溶液 必要量 (M−6液) 56重量%酢酸水溶液 必要量 (N−6液) 3.5N臭化カリウム水溶液 500ml 以下に、K−6液で用いた微粒子乳剤SMC−1の調製
法を示す。
【0136】0.06モルの沃化カリウムを含む6.0
重量%のゼラチン水溶液5リットルを激しく撹拌し、そ
こに、7.06モルの硝酸銀水溶液と7.06モルの沃
化カリウム水溶液各々2リットルを10分を要して添加
した。この間、pHは硝酸を用いて2.0に、温度は4
0℃に制御した。粒子調製後に、炭酸ナトリウム水溶液
を用いてpHを5.0に調整した。得られた微粒子乳剤
SMC−1中の沃化銀微粒子の平均粒径は0.05μm
であった。
【0137】
【表2】
【0138】[乳剤A〜乳剤Jの調製]乳剤Em−1を
58℃に昇温したあと、後記表3に示すように感光色
素、併用の化合物をそれぞれ4.8×10-4モル/モル
Ag添加し、20分後に、チオ硫酸ナトリウム五水塩5
×10-6モル/モルAg、塩化金酸3.2×10-6モル
/モルAg、チオシアン酸カリウム3.5×10-4モル
/モルAg、トリフェニルホスフィンセレニド2.5×
10-6モル/モルAg添加して1/100秒感度が最適
となるように熟成した。
【0139】熟成終了時に後記の安定剤ST−1及びカ
ブリ防止剤AF−1を添加して降温し、冷却固化させて
乳剤A〜乳剤Jを調製した。
【0140】[試料101〜110の作製]得られた乳
剤A〜乳剤Jに、酢酸エチル、トリクレジルホスフェー
ト(OIL−1)に溶解したマゼンタカプラーM−1
を、分散助剤(SU−1)、ゼラチンを含む水溶液中に
乳化分散した分散物、延展剤(SU−2)、硬膜剤(H
−1、H−2)を加え、下記第1層:ハロゲン化銀乳剤
層用の塗布液を調製し、得られた塗布液を下引きされた
三酢酸セルロース支持体上に常法により塗布、乾燥して
試料101〜110を作製した。なお、試料101〜1
10には、下記第2層として表面保護層を設けた。
【0141】以下に、第1層及び第2層の組成を示す。
【0142】 第1層:ハロゲン化銀乳剤層 乳剤 塗布銀量1.5g/m2 マゼンタカプラー(M−1) 0.33g/m2 トリクレジルホスフェート(OIL−1) 0.50g/m2 ゼラチン 3.5g/m2 第2層:表面保護層 PM−1 0.15g/m2 PM−2 0.04g/m2 ゼラチン 0.65g/m
【0143】
【化19】
【0144】
【化20】
【0145】得られた試料をウエッジ露光し、下記処理
工程に従って発色現像処理を行い、感度、カブリ、保存
性(Δカブリ)を下記により評価した。得られた結果を
表3に示す。
【0146】 発色現像処理 処理工程 処理時間 処理温度 補充量* 発色現像 3分15秒 38±0.3℃ 780ml 漂 白 45秒 38±2.0℃ 150ml 定 着 1分30秒 38±2.0℃ 830ml 安 定 60秒 38±5.0℃ 830ml 乾 燥 1分 55±5.0℃ − *補充量は感光材料1m当たりの値である。
【0147】発色現像液、漂白液、定着液、安定液及び
その補充液は、以下のものを使用した。
【0148】 発色現像液及び発色現像補充液 現像液 補充液 水 800ml 800ml 炭酸カリウム 30g 35g 炭酸水素ナトリウム 2.5g 3.0g 亜硫酸カリウム 3.0g 5.0g 臭化ナトリウム 1.3g 0.4g 沃化カリウム 1.2mg − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.5g 3.1g 塩化ナトリウム 0.6g − 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシルエチル) アニリン硫酸塩 4.5g 6.3g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 3.0g 水酸化カリウム 1.2g 2.0g 水を加えて1リットルとし、水酸化カリウムまたは20%硫酸を用いて発色現 像液においてはpH10.06に、補充液においてはpH10.18に調整する 。
【0149】 漂白液及び漂白補充液 漂白液 補充液 水 700ml 700ml 1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 125g 175g エチレンジアミン四酢酸 2g 2g 硝酸ナトリウム 40g 50g 臭化アンモニウム 150g 200g 氷酢酸 40g 56g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水または氷酢酸を用いて漂白液におい てはpH4.4に、補充液においてはpH4.0に調整する。
【0150】 定着液及び定着補充液 定着液 補充液 水 800ml 800ml チオシアン酸アンモニウム 120g 150g チオ硫酸アンモニウム 150g 180g 亜硫酸ナトリウム 15g 20g エチレンジアミン四酢酸 2g 2g アンモニア水または氷酢酸を用いて定着液においてはpH6.2に、補充液に おいてはpH6.5に調整後、水を加えて1リットルとする。
【0151】 安定液及び安定補充液 水 900ml p−オクチルフェノールのエチレンオキシド10モル付加物 2.0g ジメチロール尿素 0.5g ヘキサメチレンテトラミン 0.2g 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.1g シロキサン(UCC製L−77) 0.1g アンモニア水 0.5ml 水を加えて1リットルとした後、アンモニア水または50%硫酸を用いてpH 8.5に調整する。
【0152】《感度の評価》緑色濃度がカブリ+0.1
5の光学濃度を与える露光量(E)を求め−logEを
算出して感度とした。表3には、試料No.101の感
度を100とした相対値で示した。
【0153】《カブリの評価》緑色濃度を測定して得ら
れた特性曲線の最小濃度値でカブリを評価した。
【0154】《保存性(Δカブリ)の評価》温度23℃
・相対湿度65%の条件下で24時間調湿した後、樹脂
缶に密封し、55℃の温度下で3日間経時させた試料
と、冷蔵保存しておいた試料について、上記カブリの評
価に従ってカブリを求め、その差(55℃3日間経時の
試料のカブリ−冷蔵保存の試料のカブリ)で保存性を評
価した。
【0155】各試料に使用したメチン色素、添加剤、及
び評価結果を表3に示す。
【0156】
【表3】
【0157】
【化21】
【0158】
【化22】
【0159】表3から明らかなように、比較の試料に比
べ本発明のメチン色素(感光色素)はカブリを大きく上
げることなく、高感度が達成できた。また、保存時のカ
ブリも比較の感光色素に比べて大きく劣化することはな
かった。
【0160】また、本発明の部分構造をメチン色素に組
み込まずに別途に併用の化合物として比較の感光色素に
添加併用した場合に比べても、本発明のメチン色素(感
光色素)は明らかに優れて有意性を示した。
【0161】実施例2 実施例1の乳剤A〜乳剤Jの調製における感光色素を、
等モル(4.8×10-4モル/モルAg)の表4に示す
感光色素に変えた他は実施例1の乳剤A〜乳剤Jの調製
と同様にして、乳剤K〜乳剤Tを作製した。
【0162】[試料201〜210の作製]得られた乳
剤K〜乳剤Tを用いて、実施例1と同様にして、試料2
01〜210を作製し、実施例1と同様にして評価し
た。
【0163】各試料に使用したメチン色素、添加剤及び
評価結果を表4に示す。
【0164】
【表4】
【0165】
【化23】
【0166】表4から明らかなように、本発明のメチン
色素(感光色素)を用いると、比較の感光色素・比較1
と比較2を用いた場合に比べ、カブリを大きくすること
なく高感度が達成できた。また、保存時のカブリも比較
の感光色素を用いた場合に比べて大きく劣化することは
なかった。
【0167】実施例3 実施例1における乳剤の調製において、乳剤Em−1を
58℃に昇温したあと、表5に示す感光色素及び併用の
化合物を表5に示すように同時に添加する以外は同様に
して、乳剤U〜乳剤ABを作製した。
【0168】各試料に使用したメチン色素、併用の化合
物及び評価結果を表5に示す。
【0169】感度の評価は、試料301〜304に関し
ては301の感度を100とし、305〜308に関し
ては305の感度を100とした相対値で示した。
【0170】
【表5】
【0171】
【化24】
【0172】表5から明らかなように、従来のメチン色
素(比較)に、本発明の化合物を併用することにより、
比較化合物を併用した場合に比べ、カブリを大きくする
ことなく高感度が達成できた。
【0173】実施例4 [熱現像感光材料の作製]ハロゲン化銀/銀ベヘネート
完全石鹸を米国特許第3,839,049号明細書に記
載の方法により作製した。上記のベヘン酸銀50gに、
メチルエチルケトン200g、トルエン100g、ポリ
ビニルブチラール(PVB)25g、イソプロパノール
200mlを加え、ホモジナイザーを用い、3000r
pm、30分撹拌し分散液を作製した。次いで、30m
lの臭化カルシウム(5%MeOH液)と10gのポリ
ビニルピロリドンを添加し1時間撹拌し、更に、表6に
記載の感光色素の0.025%メタノール液2ml、フ
タラジノンの0.5%メタノール液10ml、2、2′
−メチレンビス−(6−t−ブチル−4−エチルフェノ
ール)(還元剤)の10%アセトン溶液10mlを添加
し、塗布液を調製した。
【0174】得られた塗布液を、塩化ビニル−酢酸ビニ
ルコポリマーからなる下引きした厚さ180μmポリエ
チレンテレフタレート(PET)支持体に、銀量が1g
/m2になるように塗布、乾燥して熱現像感光材料試料
401〜405を得た。
【0175】得られた感光材料を、センシトメトリー露
光し、熱ローラを用い、120℃にて10秒間熱現像し
た。得られた画像の濃度を測定して特性曲線を得た。
【0176】《カブリ及び感度の評価》特性曲線の最小
濃度値でカブリを評価した。
【0177】また、特性曲線からカブリ+0.15の光
学濃度を与える露光量(E)を求め、−logEを算出
して感度とし、試料401の感度を100とした相対値
で示した。
【0178】以上の経過および結果を表6に示す。
【0179】
【表6】
【0180】表6から、本発明の熱現像銀塩写真感光材
料(熱現像ハロゲン化銀写真感光材料)試料は高感度
で、熱カブリに関しても良好であることが判った。
【0181】実施例5 〈本発明のメチン色素の例示メチン色素(12)の合
成〉 合成スキーム
【0182】
【化25】
【0183】(S−1)1.0g(0.0015mo
l)、アセトニトリル100ml、クロロホルム100
mlに(S−2)0.3g(0.003mol)を加
え、室温で3時間攪拌した。反応溶液の溶媒を減圧留去
したあとに、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒
メタノール/クロロホルム=2/5)で精製を行い、本
発明の例示メチン色素(12)0.56g(収率49
%、λmax=554nm/ε=1.34×105(エ
タノール))を得た。
【0184】実施例6 〈本発明のメチン色素の例示メチン色素(16)の合
成〉 合成スキーム
【0185】
【化26】
【0186】(S−3)0.9g(0.0015mo
l)、アセトニトリル100ml、クロロホルム100
mlに、(S−4)0.5g(0.003mol)をピ
リジン100mlに溶解した溶液を加え、室温で5時間
攪拌した。反応溶液の溶媒を減圧留去したあとに、シリ
カゲルクロマトグラフィー(展開溶媒メタノール/クロ
ロホルム=2/5)で精製を行い、本発明の例示メチン
色素(16)0.45g(収率40%、λmax=55
6nm/ε=1.09×105(エタノール))を得
た。
【0187】
【発明の効果】本発明により、保存安定性やかぶりの劣
化を伴わずに、高感度に分光増感された新規なメチン色
素を用いたハロゲン化銀写真感光材料、熱現像ハロゲン
化銀写真感光材料を提供することができた。また、新規
なメチン色素を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲台▼場 信一 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2H023 CA06 CA07 2H123 AB00 AB03 AB18 BB00 BB23 CB00 CB03 4H056 CA01 CA02 CA05 CB01 CB06 CC02 CC08 CE03 CE06 DD06 DD19 DD23 DD28 DD29 FA03 FA05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシルアミン及びその誘導体から
    導かれる基を分子内に有するメチン色素を含有すること
    を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  2. 【請求項2】 前記ヒドロキシルアミン誘導体がヒドロ
    キサム酸誘導体であることを特徴とする請求項1に記載
    のハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 下記一般式(IV)、(V)または(VI)
    で表される基の少なくとも1つを分子内に有する下記一
    般式(I)、(II)または(III)で表されるメチン色
    素を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材
    料。 【化1】 〔一般式(I)、(II)、(III)中、Z1、Z2、Z3
    4およびZ5はそれぞれ、5員または6員の含窒素複素
    環を形成するに必要な非金属原子群を表す。Q1、Q2およ
    びQ3はそれぞれ酸性核を形成するに必要な非金属原子
    群を表す。M1およびM2は電荷中和対イオンを表し、
    n1およびn2は分子内の電荷を中和させるために必要
    な0以上の数を表す。L1、L2、L3、L4、L5、L6
    7、L8、L9、L10、L11およびL12はそれぞれ、メ
    チン基または置換メチン基を表し、他のメチン基と環を
    形成していてもよく、或いは助色団と環を形成してもよ
    い。u1、u2、u3、u4およびu5はそれぞれ0ま
    たは1の整数を表す。sは0、1、2、3または4の整
    数を表す。rは0または1の整数を表す。t1は0、
    1、2、3または4の整数を表し、t2は0、1、2ま
    たは3の整数を表すが、r=0の場合には(t1+t
    2)は0<(t1+t2)≦6の整数を表す。v1およ
    びv2はそれぞれ0、1または2の整数を表す。R1
    2、R4およびR5はそれぞれ脂肪族基あるいは下記一
    般式(IV)、(V)または(VI)で表される基を表す。
    ただし、R1およびR2の双方、または、R4およびR5
    双方が脂肪族基であることはない。R3は、下記一般式
    (IV)、(V)または(VI)で表される基を表す。〕 【化2】 〔一般式(IV)、(V)または(VI)中、J1、J2およ
    びJ3は二価の連結基を表し、Ra1、Ra2およびRa3
    はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、アリール基、
    アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
    基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル
    基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカ
    ルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、
    アルコキシ基、ヒドロキシアミノ基または水素原子を表
    す。〕
  4. 【請求項4】 前記一般式(IV)、(V)または(VI)
    で表される基を、前記メチン色素の核上に有することを
    特徴とする請求項3に記載のハロゲン化銀写真感光材
    料。
  5. 【請求項5】 前記一般式(IV)、(V)または(VI)
    で表される基を、前記メチン色素の核であるアゾール環
    の窒素原子上に有することを特徴とする請求項4に記載
    のハロゲン化銀写真感光材料。
  6. 【請求項6】 前記一般式(IV)、(V)または(VI)
    で表される基を、前記メチン色素のメチン鎖上に有する
    ことを特徴とする請求項3、4または5に記載のハロゲ
    ン化銀写真感光材料。
  7. 【請求項7】 前記一般式(VI)で表される基が、下記
    一般式(VII)または(VIII)で表されることを特徴と
    する請求項3、4、5または6に記載のハロゲン化銀写
    真感光材料。 【化3】 〔式中、J4およびJ5は二価の連結基を表し、Ra4
    Ra5、Ra6およびRa7はそれぞれ、アルキル基、ア
    ルケニル基またはアリール基を表す。L13およびL14
    それぞれ、−CO−、−SO−または−SO2−を表
    す。〕
  8. 【請求項8】 ヒドロキシルアミン及びその誘導体から
    導かれる基を分子内に有するメチン色素を含有すること
    を特徴とする熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
  9. 【請求項9】 上記一般式(I)、(II)または(II
    I)で表されるメチン色素を含有することを特徴とする
    熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
  10. 【請求項10】 ヒドロキシルアミン及びその誘導体か
    ら導かれる基を分子内に有することを特徴とするメチン
    色素。
  11. 【請求項11】 上記一般式(IV)、(V)または(V
    I)で表される基の少なくとも1つを分子内に有する上
    記一般式(I)、(II)または(III)で表されること
    を特徴とするメチン色素。
JP23972399A 1999-08-26 1999-08-26 ハロゲン化銀写真感光材料、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料及びメチン色素 Withdrawn JP2001064527A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23972399A JP2001064527A (ja) 1999-08-26 1999-08-26 ハロゲン化銀写真感光材料、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料及びメチン色素

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23972399A JP2001064527A (ja) 1999-08-26 1999-08-26 ハロゲン化銀写真感光材料、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料及びメチン色素

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001064527A true JP2001064527A (ja) 2001-03-13

Family

ID=17048976

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23972399A Withdrawn JP2001064527A (ja) 1999-08-26 1999-08-26 ハロゲン化銀写真感光材料、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料及びメチン色素

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001064527A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016506420A (ja) * 2012-10-24 2016-03-03 ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーBecton, Dickinson And Company ヒドロキサメート置換アザインドリン−シアニン染料およびそのバイオ複合体
WO2017123444A1 (en) 2016-01-15 2017-07-20 Carestream Health, Inc. Method of preparing silver carboxylate soaps

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016506420A (ja) * 2012-10-24 2016-03-03 ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーBecton, Dickinson And Company ヒドロキサメート置換アザインドリン−シアニン染料およびそのバイオ複合体
WO2017123444A1 (en) 2016-01-15 2017-07-20 Carestream Health, Inc. Method of preparing silver carboxylate soaps

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6090538A (en) Heat developable light-sensitive material
US4546075A (en) Heat-developable photographic material
EP0949537B1 (en) Thermally developable photosensitive material
US6297001B1 (en) Photothermographic material
EP1035430B1 (en) Silver halide photographic material
JP2000063690A (ja) 新規化合物、それを含有するハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀感光材料、熱現像銀塩写真感光材料、光記録媒体及び画像形成方法
JP2001064527A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料及びメチン色素
US6329135B1 (en) Silver halide photothermographic material
JP2001013617A (ja) ハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀感光材料及び熱現像感光材料
JP3948184B2 (ja) ハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀感光材料、熱現像感光材料
JP2000273329A (ja) 感光性ハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料、ハロゲン化銀カラー写真感光材料、熱現像銀塩写真感光材料、熱現像画像形成方法及び化合物
JP3691179B2 (ja) 熱現像感光材料の製造方法
JPH09292673A (ja) 熱現像感光材料
JP3714744B2 (ja) 熱現像感光材料
JP2000356835A (ja) 熱現像感光材料
JP2000169741A (ja) 新規な感光色素を含有した熱現像銀塩写真感光材料及び化合物
JP2001100360A (ja) 熱現像感光材料、熱現像感光材料の製造方法、画像記録方法及び画像形成方法
JP2000284403A (ja) 光消色性着色層を有する記録材料及び熱現像感光材料
JP2000112055A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JPH10123663A (ja) 熱現像感光材料
JP2000241932A (ja) 熱現像写真感光材料、非感光性銀塩化合物の製造方法および画像形成方法
JP2000171938A (ja) 熱現像ハロゲン化銀感光材料、画像記録方法、及び画像形成方法
JPH10123664A (ja) 熱現像感光材料
JP2000112054A (ja) 写真用添加剤、該添加剤を含有するハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀感光材料、その処理方法及び熱現像銀塩写真感光材料
JP2000227642A (ja) 熱現像感光材料及びこれを用いたx線画像形成ユニット並びに強色増感剤を含有するハロゲン化銀乳剤及びこれを用いたハロゲン化銀感光材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040609

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20070528