JP2001061871A - 歯科用治療器具類の固定装置 - Google Patents

歯科用治療器具類の固定装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熟練を要せずに、口腔内の歯牙等の治療箇所
に対して正確な位置に歯科用治療器具類を固定できる装
置を提供する。 【解決手段】 頭部、顔部、顎部、歯牙1のいずれか1
箇所以上によって固定される基部2と、該基部2に形成
されて歯科用治療器具類4を保持する保持部3とを有
し、該保持部3に保持された歯科用治療器具類4が口腔
内の目的位置に対して一定の位置関係に固定可能とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、口腔内の治療をす
る際に使用する歯科用治療器具や、検査に使用するファ
イバースコープなどの器具類を口腔内の目的とする位置
に対して保持する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】歯の治療の際には、歯牙を削るためにダ
イヤバー等の研削器具を使ったり、根管を形成するため
に、ファイルやリーマといった切削器具類を使用する。
また、インプラント等の人工歯根の形成のために、顎の
骨に穴を穿設するが、この作業にはドリルを使用する。
【0003】一方、口腔内における各種の歯科医療行為
においては、治療部位などの目的箇所の目視による確認
が困難な場合もあり、ファイバースコープ等を手で保持
して治療部位等に近づけて、モニター画面で観察する、
といったことや、口腔内にたまった唾液や切削屑、血液
をドレンパイプで吸引するといったことも行われてい
る。
【0004】このようなダイヤバー、ファイル、リーマ
等の切削や研削のための器具、ファイバースコープなど
の観察用器具類、ドレンパイプ等を含めて、ここでは歯
科用治療器具類ということにするが、これらの器具類
は、通常、歯科医もしくは助手が手に持って、治療箇所
に当てて、研削や切削し、あるいは、手に持ったファイ
バースコープで観察している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに歯科用治療器具類を手で把持して操作するには、か
なりの熟練を必要とする。というのは、口腔内は狭く、
治療箇所に正確に器具類を保持するのは容易ではないか
らである。また、ファイバースコープを手に持つと、モ
ニター画面が手の揺れに伴って揺れ、見にくくなるの
で、さらなる熟練が必要となる。
【0006】本発明は、このような事実から考えられた
もので、熟練を要せずに、口腔内の歯牙等の治療箇所に
対して正確な位置に安定して歯科用治療器具類を保持又
は固定できる装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の歯科用治療器具類の固定装置は、基部と、
該基部に形成されて歯科用治療器具類を保持する保持部
とを有し、該保持部に保持された歯科用治療器具類が口
腔内の目的位置に対して一定の位置関係に固定可能とし
たことを特徴としている。上記基部は、頭部、顔部、顎
部、歯牙、治療台のいずれか1箇所以上によって固定さ
れることが好ましい。
【0008】また、上記固定装置に、器具の移動又は治
療時の負荷に耐える剛性を持たせ、上記歯科用治療器具
類が口腔内の目的位置に対して距離、角度を調整可能に
固定する構成としても良く、一定距離の軌跡上を移動可
能に固定した構成としても良い。一つの基部に複数の保
持部を設け、複数の治療器具を取付けられる構成として
も良いし、一つの治療器具を複数の固定装置によって固
定しても良い。
【0009】さらに、上記基部が、歯牙を側方から弾性
挟持する構成や、歯牙の上部に被さる本体部に歯牙を側
方から弾性挟持する弾性片を設けた構成や、頭部に鉢巻
き状に巻回して固定する構成や、ベッド、ヘッドレス
ト、アームレスト、照明台等を含む治療台に設けられ、
治療台に対して治療器具類を所定の位置に保持する構成
とすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を図面によ
って説明する。図1は本発明の第1実施例を示す図であ
る。同図において、1は口腔内の歯牙で、2は歯科用治
療器具類の保持装置の基部である。基部2は図1(b)
に示すように先端側に開口2aを形成するようにC字型
に湾曲させた帯状材から構成されている。帯状材として
は、強度の確保から金属板が望ましく、特に、ステンレ
ススチールが望ましい。しかし、プラスチック等、他の
材料を用いることも可能である。
【0011】基部2には、突起片2bが溶接等の手段に
よって固定され、この基部には、ほぼ垂直方向にアーム
状の保持部3が結合され、保持部3の先端には治療器具
類4が保持されている。治療器具類4としては、ファイ
バースコープを例示している。符号5は治療器具類4に
接続されるファイバー類を示す。
【0012】上記の実施例においては、治療器具類4に
は、保持部3の先端近くに、カメラの雲台と同じ構造の
取付台6が設けられ、ファイバースコープをいずれの方
向にも向けられるようにして、視野の調整を可能にして
いる。すなわち、治療器具類4は、その取付位置が、口
腔内の目的位置に対して、一定の位置関係になるように
調整でき、かつ、ねじ締め等によってその位置を保持可
能である。
【0013】また、治療器具類4としては、ファイバー
スコープのみではなく、顕微鏡や拡大鏡等の焦点距離を
微調整し、且つ固定すべき器具も使用可能である。ま
た、通常は治療台に設置されているライト類も、直接口
腔内を照らすことで、患者が眩しさを感じず、術者も自
身の影を気にすることがなくなる。又、ドレンパイプを
固定することで、助手の手を借りずに治療中常に清潔な
口腔を維持することができる。さらに、ファイルやリー
マといった切削器具も使用するので、基部2、突起2
b、保持部3等の各部材は、治療部位に切削加工等を施
しても、その反力で位置ずれや変形を生じないような工
夫が必要である。
【0014】そこで、各部材の結合部がずれないよう
に、基部2と保持部3又は保持部3と治療器具類4の結
合部を、あり溝とありキー、四角形の突起と凹部との嵌
合、だぼピン、等々による結合とし、結合部位を正確に
確保できるとともに、所望の剛性を確保できるようにし
ている。また、各部材の断面形状をI型やL型やU型或
いは中空の円管等の曲がりにくく、剛性の大きい形状に
するとよい。
【0015】基部2は自然な状態では図1(b)に示す
ように、その幅dは歯牙よりも狭くなっている。そし
て、歯牙1の側方から根本近くの両隣の歯牙との隙間に
挿入され、幅dがDに拡大されたときの弾性力によって
歯牙1にしっかりと把持され、固定される。図1(c)
は基部2を歯牙1に弾性保持させた状態を上から見た図
であるが、基部2には保持部3や治療器具類4を取り付
けていない。
【0016】上記の実施例において、基部2に取り付け
られた歯科用治療器具類4は、基部2を固定した歯牙1
自身を対象としているが、保持部3の形状を変更すれ
ば、隣の歯牙や、2本となりの歯牙など任意の歯牙を観
察したり、治療するための器具類を保持することもでき
るようになる。すなわち、人工歯根形成の場合など、歯
牙の無い部位に医療行為を行う場合にも使用できる。
【0017】治療器具類4としてファイバースコープを
取り付ければ、例えば、根管の形成状態など、目視では
確認し難い部位の確認が容易にできるようになる。この
場合、従来はファイバースコープを手で保持していたの
で、モニター画面が揺れて見にくかったが、本発明では
しっかり固定されるので、見やすい画面となる。
【0018】図2は、保持部3の他の実施例を示す。こ
の保持部30は、基部2に取り付けられる柱部31とこ
の柱部に対してほぼ直角に取り付けられたアーム32と
を有する。アーム32の柱部31との結合部は、柱部3
1を貫通する孔があり、この孔に回転自在なピニオン3
2aが設けられる。ピニオン32aは柱部31に形成さ
れたラック31aと噛み合っており、ピニオン32aの
軸には、ハンドル32bが取り付けられている。
【0019】したがって、ハンドル32bを回転させる
と、ファイルなどの歯科用治療器具類4を柱部31と平
行な方向に進退させることができる。このような構成
は、歯牙に垂直な穴を正確に開ける場合等に有効であ
る。さらに、柱部31と基部2との結合部に図1の取付
台6を使用すれば、柱部31を所望の方向に傾斜させる
ことができ、治療器具類4を所望の方向に進退させて治
療行為を行うことができるようになる。また、ハンドル
32bの回転を抑制するブレーキを設ければ、ハンドル
は任意の位置で固定され、治療器具類4を任意の位置に
保持することが可能となる。
【0020】図3は、歯牙に取り付ける基部の別の実施
例である。この実施例に示す基部20は、歯牙の上から
被せるタイプである。すなわち、基部20は、歯牙1の
上を覆う板状の本体部21と、この本体部21と一体的
に形成され、歯牙の側方を両側から弾性挟持する弾性片
22,22とからなる。本体部21には、取り付けた歯
牙を治療するための孔21aが開けられている。また、
基部20には、図1の実施例と同様の突起23を両側に
一体的に設けている。この実施例の場合、突起23を歯
牙の両側に形成しているので、歯科用治療器具の保持が
安定し易くなる。
【0021】図4は、本発明の第2実施例を示す。この
実施例では、基部12を患者の頭部10に固定した例で
ある。頭部10に鉢巻き状に基部12を巻き付け、側部
で蝶ねじ12aにより締め付け固定する。基部12には
突起12bを溶接等により固定し、ここにL型アーム状
の保持部13を固定し、保持部13の先端に歯科用治療
器具類14を把持させている。突起12bと保持部13
の結合箇所、保持部13と器具類14との結合箇所、ま
た、保持部13の断面構造には、第1実施例と同様のず
れ防止構造や断面形状等が採用され、所望の剛性を確保
できるようにしている。
【0022】この実施例の場合、歯科用治療器具類14
が口腔内の所望の位置に対して一定の位置関係を保つこ
とができるが、頭部10が位置決めの基準となるので、
下顎の位置は確定できない。故に、目的位置としては、
上顎側の任意の位置ということになる。
【0023】図4の実施例で、図1の取付台6や図2の
ラックとピニオンの構造を併用して、治療器具類4が保
持部13に沿って移動可能にしたり、保持部等の角度を
調整可能なものとし、所望の長さ、角度を設定した後
は、その長さや角度を保持できる構成とすれば、1つの
保持部13で、多様な歯科用治療器具類14を、口腔内
の任意の位置に対して一定の位置関係に保持したり、一
定の軌跡に沿って口腔内で移動させることもできること
になる。
【0024】特に、保持部13に図2に示すようなラッ
クとピニオン機構等を設けることで、器具類14を正確
に直進できるようにすれば、基部や保持部を大型に形成
することができるので、人工歯根を形成する際のよう
に、顎の骨に正確な穴を開けるドリル加工のような大き
な力が加わる治療なども十分に行うことができる。
【0025】図4では頭部10に基部12を固定した
が、顔部で固定することもでき、頭部と顔部の双方で支
持する構成としてもよい。また、実施例では頭部や歯牙
を把持したが、固定できるのであれば必ずしも把持する
必要はなく、たとえば、左右の歯牙の間につっぱり棒の
ような基部を設置して、これに保持部や器具類を取り付
ける構成にしたり、ベッドに窪みのようなものを形成
し、ベッドに患者が寝て窪みに頭を置くと、窪みに置か
れた頭部が固定されるようにし、基部12をベッド15
に固定する、という構成も可能となる。また、下顎に基
部を固定すれば、下顎内の任意の目的位置に対して器具
類を一定の位置関係に保持することができる。また、顕
微鏡下で治療を行う際、一定の距離を保ちつつ移動する
ことが可能なので、移動のたびに焦点を合わせる必要が
無い。
【0026】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の歯科用
治療器具類の保持装置によれば、基部と、該基部に形成
されて歯科用治療器具類を保持する保持部とを有し、該
保持部に保持された歯科用治療器具類が口腔内の目的位
置に対して一定の位置関係に固定可能とした構成なの
で、熟練を要することなく、歯科用治療器具類を口腔内
の目的位置に固定し、治療等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯科用治療器具類の保持装置の第1実
施例を示す図で、(a)は装着状態を示す正面図、
(b)は基部の上面図、(c)は基部を歯牙に装着した
状態を示す上面図である。
【図2】保持部の他の実施例を示す図である。
【図3】歯牙に取り付ける基部の別の実施例を示す図で
ある。
【図4】本発明の歯科用治療器具類の保持装置の第2実
施例を示す図で、(a)は装着状態を示す側面図、
(b)は(a)のB方向から見た保持装置の図である。
【符号の説明】
1 歯牙 2,12 基部 3,13,30 保持部 4,14 歯科用治療器具類

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基部と、該基部に形成されて歯科用治療
    器具類を保持する保持部とを有し、該保持部に保持され
    た歯科用治療器具類が口腔内の目的位置に対して一定の
    位置関係に固定可能としたことを特徴とする歯科用治療
    器具類の固定装置。
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