JP2001056373A - 地中レーダ装置及びこれを備えた地中掘削機 - Google Patents

地中レーダ装置及びこれを備えた地中掘削機

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JP2001056373A JP2000142293A JP2000142293A JP2001056373A JP 2001056373 A JP2001056373 A JP 2001056373A JP 2000142293 A JP2000142293 A JP 2000142293A JP 2000142293 A JP2000142293 A JP 2000142293A JP 2001056373 A JP2001056373 A JP 2001056373A
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俊光 野津
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盛雄 鈴木
Keijiro Ishii
啓二朗 石井
Yuji Kakizaki
裕司 柿崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】チャンネル内とチャンネル間の干渉の軽減によ
って構成を簡易・安価にすると共に、近接領域の検出を
可能とした地中レーダ装置と、このような地中レーダ装
置を備えた地中掘削機を提供する。 【解決手段】本発明の地中レーダ装置は、非開削ドリリ
ング工法の地中掘削機の構体(P) などの筒状体の周方向
に配列された偶数個の送受信アンテナ(AT1〜AT4)と、こ
れら送受信アンテナ(AT1〜AT4)に対して同時にかつ隣接
するものに供給される送信信号が逆極性の関係を保つよ
うに、送信信号を供給する送信部と、上記各送受信アン
テナの受信信号を加算し、この加算済みの受信信号から
反射波を抽出する受信部とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中掘削機などに
装着され掘削中の地中の障害物の探知などに利用される
地中レーダ装置と、このようなレーダ装置を備えた地中
掘削機に関するものであり、特に、近接領域の障害物の
検出を可能にした地中レーダ装置と、このような地中レ
ーダ装置を備えた地中掘削機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、地上からの開削を行うことなく地
中に大径のトンネルを形成する工法としてシールド工法
が良く知られている。最近、このシールド工法とは異な
り地上からの操作に基づいて地中に極めて小径のトンネ
ルを掘削するという非開削ドリリング工法が開発されて
きた。このような非開削ドリリング工法では、可撓性の
長尺体の先端部に直径数cm乃至数十cm程度の地中掘
削機を取付け、地上に設置した駆動装置に長尺体の根元
端部を取付け、この長尺体に回転力と推進力を付与する
ように構成されている。
【0003】このような非開削ドリリング工法では、地
中掘削機に地中レーダを取付けることにより、地中に埋
設された水道管やガス管などの障害物を検出する方法が
開発されてきた。本出願人が先に出願した特願平10ー
314151号には、地中掘削機の先端近傍において複
数の指向性の送受信アンテナを側面の回りにほぼ等間隔
で取付け、各送受信アンテナから同時に電波を放射し、
地中からの反射波を受信して合成することにより、単一
の無指向性の送受信アンテナを使用した場合と同一の動
作を行う地中レーダ装置が開示されている。以下では、
説明の便宜上、異なる方向を向いて設置される各指向性
の送受信アンテナに対応した信号の送受信系統を「送受
信チャンネル」、あるいは、単に「チャンネル」と称す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記先願の地中レーダ
装置では、無指向性の送受信アンテナによる検出の死角
を無くするために小径の地中掘削機の回りに密接して複
数チャンネルの、例えば上下左右に計4チャンネル分の
送受信アンテナが設置される。そして、各送受信アンテ
ナは、典型的には、送信専用のアンテナと受信専用のア
ンテナとから構成されている。このため、ある送受信チ
ャンネルの受信専用アンテナには、自己の送受信チャン
ネルの送信専用アンテナから送信されたのち地中の障害
物で反射された反射成分の他に、チャンネル内干渉成分
とチャンネル間干渉成分とが出現する。このチャンネル
内干渉成分は、自己の送受信チャンネルの送信専用アン
テナから送信された信号が反射波としてではなく回り込
みの干渉信号として直接受信される成分である。また、
チャンネル間干渉成分は、他の送受信チャンネルのそれ
ぞれの送信専用アンテナから地中に送信された信号が、
反射波としてではなく回り込みの干渉信号として直接受
信される成分である。
【0005】上記チャンネル内やチャンネル間の回り込
みによる干渉成分は、アンテナから離れた地中の障害物
から戻って来る反射波に比べて地中の伝播距離が短くて
減衰量が小さいために、反射成分に比べて極めて大きな
振幅の干渉成分として受信信号中に出現する。この大き
な振幅の干渉成分は、反射成分に先行して出現するた
め、時間軸上の適宜な操作を行うことにより、原理的に
は、ある程度遠方から到来した反射波と分離することが
可能である。しかしながら、これを行うには高速のスイ
ッチ回路が必要となり、実用的ではない。また、地中掘
削機の近くの障害物で発生した反射成分については干渉
成分から時間軸上で分離できないため、最も危険な近接
する障害物が検出不能になるという問題がある。
【0006】また、上記地中レーダ装置を装着した従来
の地中掘削機では、金属製の掘削機の先端付近の筒状体
壁面に誘電体の窓を取付け、この窓の内側に送受信アン
テナを配置している。このため、地中掘削機先端付近の
構成が複雑になり、製造費用がかさむという問題があ
る。従って、本発明の他の目的は、地中掘削機先端付近
の構成を簡易化し、製造費用を低減した地中掘削機を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題を解
決する本発明の地中レーダ装置は、筒状体の周方向に配
列された複数個の送受信アンテナと、これら送受信アン
テナの全部又は隣接する一部のものに対して同時にかつ
隣接するものに供給される送信信号が逆極性の関係を保
つように、送信信号を供給する送信部と、前記各送受信
アンテナの受信信号の全部又は一部を加算し、この加算
済みの受信信号から反射波を抽出する受信部とを備える
ことにより、チャンネル内とチャンネル間の干渉信号を
互いに相殺させて除去するように構成されている。
【0008】上記従来技術の課題を解決する本発明の地
中掘削機は、先端付近を電波透過性のFRP(強化プラ
スチック)で構成することにより、従来必要とした窓の
形成を不要とし、製造費用の低廉化を実現するように構
成されている。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の地中レーダ装置の好適な
実施の形態によれば、上記複数個の送受信アンテナは、
上記筒状体の周方向にほぼ等距離を保って配置される偶
数個の送受信アンテナから構成されている。
【0010】本発明の地中レーダ装置の他の好適な実施
の形態によれば、上記複数個の送受信アンテナのそれぞ
れは、上記筒状体の軸線に直交する電界の偏波面を有す
る電波を送信するように構成されている。
【0011】本発明の地中レーダ装置の更に他の好適な
実施の形態によれば、上記複数個の送受信アンテナのそ
れぞれは、上記筒状体の軸線方向に隣接して配置された
送信専用アンテナと受信専用アンテナとから構成されて
いる。
【0012】本発明の地中レーダ装置の更に他の好適な
実施の形態によれば、上記複数個の送受信アンテナのそ
れぞれは、上記筒状体の軸線方向に配列されるスロット
アンテナから構成されており、上記筒状体はその軸線の
回りに回転せしめらながら地中を推進される非開削ドリ
リング工法の地中掘削機から構成されている。
【0013】本発明の地中掘削機の好適な実施の形態に
よれば、各送受信アンテナはFRPから成る筒状体の内
周面に密着状態で配置される。
【0014】
【実施例】図1は、本発明の一実施例の地中レーダ装置
を構成する4個の送受信チャンネルの送受信アンテナの
配置を示す図であり、(A)は地中掘削機Pの中心軸に
直交する面で切断して示す断面図、(B)は側面図であ
る。図示のように、地中掘削機Pの先端近傍の側面のま
わりに等間隔で、4個の送受信アンテナAT1,AT
2,AT3,AT4が地中掘削機Pの内部に設置され
る。
【0015】地中掘削機Pの先端付近は電波を通過させ
るFRP(強化プラスチック)で構成されており、各送
受信アンテナAT1,AT2,AT3,AT4は、地中
掘削機Pの先端付近のFRP製筒状体の内周面に密着状
態で配置されている。各送受信アンテナAT1〜AT4
は、地中掘削機Pの先端部の掘削刃BLによって放射電
波が遮られない限度でできるだけ先端に近づけて配置さ
れる。
【0016】各送受信アンテナAT1〜AT4は、送受
信アンテナAT2によって代表して図1(B)に示され
ているように、互いに近接して配置された送信専用アン
テナATT2と受信専用アンテナATR2とから構成さ
れている。送信専用アンテナATT2と受信専用アンテ
ナATR2はそれぞれ、導体板に形成されたスロットか
ら成るスロットアンテナから構成されている。
【0017】断面図(A)を参照すると、4個の送受信
アンテナAT1〜AT4は、地中掘削機Pの内部に90
°の角度の間隔を保って配置され、それぞれの送信専用
アンテナから電波透過性のFRPを通して地中掘削機P
の上下左右に電波が放射され、地中の物体などによって
発生した反射波が電波透過性のFRPを通してそれぞれ
の受信専用アンテナで受信される。送信専用アンテナの
放射パターンと受信専用アンテナの受信感度パターンと
が重なり合った空間として定義される各送受信アンテナ
AT1〜AT4による地中埋設物などの物体の検出可能
領域DA1〜DA4が例示されている。
【0018】図2は、上記実施例に係わる地中掘削機の
地中レーダ装置の全体的な構成を示す機能ブロック図で
あり、1は信号処理部、2は送信制御部、3は回転角検
出部、4は画面表示部、5はブザー、6は入力部であ
る。また、TX1〜TX4は送信部、RX1〜RX4は
受信部、AT1〜AT4は各送受信チャンネルの送受信
アンテナ、ATT1〜ATT4は各送受信チャンネルの
送信専用アンテナ、ATR1〜ATR4は各送受信チャ
ンネルの受信専用アンテナである。
【0019】この実施例では、画面表示部4とブザー5
と入力部6とを除くフロントエンドの各部が地中掘削機
Pの内部に設置されており、画面表示部4等は地上に設
置されていて、地中掘削機Pの内部に設置された信号処
理部1にケーブルで接続される。
【0020】図3に示すように、4個の送信専用アンテ
ナATT1〜ATT4と送信信号線Sとの間にバラン回
路BLが設置されている。このバラン回路BLは、同軸
ケーブルなどの不平衡伝送線路で構成される送信信号線
Sを平衡2線の平衡伝送線路に変換する。各バラン回路
BLから引き出された平衡2線の先端部は、スロットア
ンテナの中央部分に形成された幅が狭められ箇所のスロ
ットの両側に設定された給電点に接続される。アンテナ
の配列に沿って一つ跳びに平衡2線の入替えないしはひ
ねりが行われることにより、各アンテナから送信される
送信信号の極性が隣接アンテナどうし逆になるように調
整される。
【0021】図2の送信制御部2は、各送受信チャンネ
ルの送信部TX1〜TX4の動作を制御することによ
り、送信専用アンテナATT1〜ATT4から地中への
電波の放射のタイミングを制御する。この制御対象の電
波の放射タイミングは、全ての送受信チャンネルの送信
専用アンテナATT1〜ATT4から同時に地中掘削機
Pの四方に向けて電波が放射される全方向放射モード
と、選択された一つ又は二つの送信専用アンテナのみか
ら地中掘削機Pの回転に伴う回転方向への走査を受けな
がら一方向にのみ電波が放射される指向性走査モードと
に大別される。上記2種類の動作モードは、入力部6の
操作によって選択される。
【0022】上記全方向放射モードでは、各送受信チャ
ンネルの送信専用アンテナATT1〜ATT4から地中
掘削機Pの四方の地中に信号が送信され、この送信信号
は地中の埋設物などによって反射され、各送受信チャン
ネルの受信専用アンテナATR1〜ATR4に受信さ
れ、受信部RX1〜RX4を経て信号処理部1に転送さ
れる。信号処理部1は、受信部RX1〜RX4のそれぞ
れから転送されてきた受信信号を加算、この加算済みの
受信信号から反射波を抽出する処理を行う。
【0023】上記各送受信チャンネルの受信信号を加算
することの意義を、図4(A)の概念図を参照しながら
説明する。まず、各送受信チャンネルの受信専用アンテ
ナには、反射波に先行して、自チャンネルや隣接チャン
ネルの送信専用アンテナから放射され、反射物体で反射
されることなく直接回り込んだ大きな振幅の干渉成分が
受信される。これら大振幅の干渉成分は、送信専用アン
テナから放射された送信信号の極性が隣接チャンネルご
とに逆転されていることから、各チャンネルの受信専用
アンテナに受信される際に互いに相殺し合って弱められ
る。
【0024】しかしながら、自チャンネルや隣接チャン
ネルの送信専用アンテナから受信専用アンテナまでの干
渉信号の伝播経路長の差異に基づく干渉信号どうしの位
相のずれや、各伝播経路長の差異から生ずる減衰量の差
異に基づく干渉信号どうしの振幅の差異が存在する。こ
のため、隣接チャンネルの干渉信号どうしは十分には相
殺し合わない。この結果、図4(A)に示すような、比
較的大きな振幅の残留干渉成分が各チャンネルの受信部
RX1〜RX4のから出力される受信信号S1〜S4の
先行部分に出現する。
【0025】この残留干渉成分の極性は、自チャンネル
の送信アンテナからの回り込み成分が支配的な場合に
は、自チャンネルの送信信号の極性と一致する。逆に、
残留干渉成分において両隣のチャンネルからの回り込み
成分が支配的になる場合には、隣接チャンネルの送信信
号の極性と一致する。各チャンネルの残留干渉成分の極
性が上記いずれの状態になるかは、アンテナの特性が各
チャンネルにおいて同一であることから、周囲の土壌の
性質が同一でありさえすれば、各チャンネルにおいて同
一になる。
【0026】この結果、図4(A)に例示するように、
受信信号S1〜S4の先行部分に出現する残留干渉成分
の極性は、隣接チャンネルごとに反転する。従って、こ
れら受信信号中に含まれる残留干渉成分が、受信信号処
理回路1において加算されると互いに相殺し合って振幅
が大幅に減少する。そして、後行する反射波成分Rが受
信信号処理回路1において抽出される。このように、互
いに極性の異なる種々の干渉信号は、受信アンテナへの
受信時に加算によって相殺され、更に受信信号処理部に
おける加算によっても相殺されるという、二段階の加算
相殺処理を経ることにより、十分に除去される。
【0027】説明の便宜上、反射波成分Rが残留干渉成
分からかなり遅れて出現する場合を例示した。しかしな
がら、反射が近接の物体で生じたため、反射波成分Rが
残留干渉成分とほぼ同時に出現する場合であっても、残
留干渉成分どうしは互いに相殺し合って消滅するため、
反射波成分Rのみが抽出可能である。この結果、本発明
の地中レーダ装置では、極めて接近した物体も検出可能
になる。
【0028】図4の(B)は、従来技術に基づき、各送
受信チャンネルの送信専用アンテナから同一極性の送信
信号を地中に放射して受信専用アンテナで受信した場合
の受信信号と、これら各受信信号を加算した受信信号の
波形を比較のために、例示している。干渉信号は、各チ
ャンネルの受信専用アンテナによる受信の際に強め合
い、受信信号処理回路1における加算の際に更に強め合
うことにより、極めて大きな振幅の干渉信号成分が出現
する。
【0029】図5は、各チャンネルの送受信アンテナ
と、反射波を生じさせる地中の物体Oとの位置の関係に
よって、各送受信アンテナから同時に信号を送信し各送
信アンテナの受信信号を合成することによって得られる
疑似的な単一の無指向性の送受信アンテナの感度が異な
る様子を説明するための概念図である。まず、(A)に
例示するように、物体Oが送受信アンテナAT1の正面
に位置する場合には、隣接するチャンネルの送受信アン
テナAT2とAT4とから送信された信号の反射波は、
送受信アンテナAT1には受信されない。
【0030】これに対して、(B)に例示するように、
物体Oが送受信アンテナAT1とAT2の中間に位置す
る場合には、各チャンネルの送受信アンテナから送信さ
れた信号の反射波は、隣接するチャンネルの送受信アン
テナにも受信される。この結果、各チャンネルの受信ア
ンテナにおいて極性の異なる反射波どうしが相殺し合
い、反射波の振幅は減少する。
【0031】この結果、図6に例示するように、疑似的
な単一の無指向性の送受信アンテナの利得特性は、各チ
ャンネルの送受信アンテナの正面方向で最大となり、互
いに隣接し合う二つのチャンネルのそれぞれの送受信ア
ンテナの中間部分で最小となるという具合のひとで型の
いびつな形状を呈する。
【0032】しかしながら、このような指向特性であっ
ても、各チャンネルの送受信アンテナが取付けられてい
る地中掘削機Pの構体が回転するため、検出が不能ある
いは困難になる死角が発生し難くなる。一層正確には、
この構体は回転と同時に前方に推進せしめられるため、
各チャンネルの送受信アンテナのアンテナの運動の軌跡
は螺旋状となる。従って、そのような螺旋運動のピッチ
が過大にならない限り、死角は生じない。
【0033】一般に、非開削ドリリング工法の掘削にお
いては、地中掘削機と平行に地中に延長される水道管や
ガス管などのパイプよりも、地中掘削機と交差して地中
に延長されるパイプの方が掘削作業の障害になる場合が
多い。従って、そのような地中掘削機と交差するパイプ
などの障害物を高感度、高確度で検出することが必要に
なる。ところで、電波の反射強度は、入射電波の電界の
偏波面がパイプの延長方向に平行な場合に最大となり、
入射電波の電界の偏波面がパイプの延長方向に直交する
場合に最小となる。従って、地中掘削機と交差するパイ
プなどの障害物を高感度、高確度で検出するには、地中
掘削機の軸と直交する電界の偏波面を有する電波を地中
に送信することが必要になる。
【0034】上述したような目的から、図1(B)に示
すように、各チャンネルの送受信アンテナを構成するス
ロットアンテナについては、それぞれの長手方向が地中
掘削機の中心軸と平行になるように配列され、送信専用
アンテナのスロットからは地中掘削機の軸と直交する電
界の偏波面を有する電波が放射される。これにより、地
中掘削機と直交するように地中を延長されるパイプなど
の障害物が高感度、高確度で検出される。
【0035】また、スロットの長手方向を地中掘削機の
中心軸と平行に設定しているため、各チャンネルの送受
信アンテナを互いに接近させて配列することが可能にな
る。この結果、非開削ドリリング工法に特有の数cm程
度の小さな直径の地中掘削機の円周に沿って比較的寸法
が大きく、従って利得も比較的大きな送受信アンテナを
多数配列することが可能になる。
【0036】図7は、スロットアンテナの他の形状を例
示している。この形状のスロットのように長手方向の端
部を内部側に切り欠くことにより、周波数特性の広帯域
化を図ることができる。
【0037】以上、全てのチャンネルの送受信アンテナ
から同時に信号を送信し、全てのチャンネルの送受信ア
ンテナで受信した受信信号を加算することにより、疑似
的な単一の無指向性アンテナとして動作させる無指向性
検出動作モードについて説明した。この実施例では、上
記無指向性検出動作モードの他に、単一のチャンネル又
は隣接する二つもしくは三つのチャンネルの送受信アン
テナのみから選択的に信号を送信して反射波を検出する
ことにより、特定の方向の障害物を検出するという指向
性検出動作モードを選択することもできる。
【0038】この指向性検出動作モードでは、信号処理
部1は、特定の単一又は隣接する二つもしくは三つのチ
ャンネルの受信部が対応の受信専用アンテナを通して受
信した地中からの反射信号と、送信制御部2からの送信
タイミング信号と、回転角検出部3が検出した地中掘削
機Pの回転角を受信する。
【0039】一例として、回転角度検出部3は、地中掘
削機Pが360 °を16等分した22.5°だけ回転するたび
に、パルスを1個発生しこれを信号処理部1に供給す
る。信号処理部1は、受信部RX1〜RX4のうちの一
つのチャンネル又は二つもしくは三つのチャンネルから
受信した地中からの反射信号を、送信制御部2から受け
た送信タイミングに基づいて処理することにより、各反
射信号の波形を送信時点を原点とする時間軸上に配列す
る。
【0040】この受信信号処理回路1は、回転角度検出
部3から受信した地中掘削機Pの回転角度に基づいて処
理することにより、反射信号の波形を円形表示(PPI
表示)した可視画像を作成し、この作成したPPI表示
画像を画像表示部4に供給する。
【0041】以上、チャンネルが四つの場合を例示し
た。しかしながら、チャンネルの個数としては、必要に
応じて6,8,10など4以外の偶数個の適宜な個数を
選択できる。また、常時、複数の送受信チャンネルの一
部のものだけを同時に動作させる構成を採用する場合に
は、チャンネルの個数は偶数に限らず奇数であってもよ
い。
【0042】また、送受信アンテナとしてスロットアン
テナを使用する場合を例示した。しかしながら、スロッ
トアンテナの代わりに、本特許出願人の先願に係わる特
願平10ー314151号などに開示されたダイポール
アンテナなど他の適宜なアンテナを使用することもでき
る。また、各送受信チャンネルにおいて、送信専用アン
テナと受信専用アンテナとして異なる種類のものを選択
することもできる。
【0043】さらに、各送受信チャンネルの送受信アン
テナとして、送信専用のものと受信専用のものとの両者
を設置する構成を例示した。しかしながら、各送受信チ
ャンネルの送受信アンテナとして、必要に応じて送受信
共用のものを設置することもできる。
【0044】また、本発明の地中レーダ装置を非開削ド
リリング工法の地中掘削機に取付ける場合を例示した。
しかしながら、本発明の地中レーダ装置は、地中に形成
したボアホールと称される縦穴の内部に吊るして地中の
反射波や透過波から地質を調査する場合などにも適用で
きる。
【0045】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の地
中レーダ装置は、非開削ドリリング工法の地中掘削機の
構体などから成る筒状体の周方向に複数個の送受信アン
テナを配置し、これらの送受信アンテナのうちの全て又
は一部のものからから隣接するものどうしが逆極性とな
るような信号を同時に地中に送信し、各送受信アンテナ
の受信信号の全部又は一部を加算した受信信号から反射
波を抽出することによってチャンネル内とチャンネル間
の干渉信号を互いに相殺させて除去する構成であるか
ら、高速のスイッチ回路を使用して干渉成分と反射成分
とを分離する必要がなくなるだけでなく、最も危険な近
接する障害物が検出可能になるという効果が奏される。
【0046】また、本発明の地中掘削機は、内部に送受
信アンテナを配置する先端付近の筒状体の素材として電
波透過性のFRPを使用する構成であるから、筒状体の
壁面に誘電体の窓を形成する必要がなくなり、簡易な構
成の安価な地中掘削機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる地中掘削機の地中レ
ーダ装置を構成する4個の指向性アンテナの配置を検出
範囲と共に示す断面図(A)と、側面図(B)である。
【図2】上記実施例に係わる地中掘削機の地中レーダ装
置の全体的な構成を示す機能ブロック図である。
【図3】上記実施例の各チャンネルの送信専用アンテナ
と、それぞれに対する平衡2線による給電の方法を説明
する概念図である。
【図4】上記実施例における干渉信号どうしの相殺によ
る干渉成分の除去の様子(A)を従来技術の場合(B)
と比較しながら説明する信号波形図である。
【図5】上記実施例において構成される疑似的な単一の
無指向性アンテナの指向性を説明する概念図である。
【図6】上記疑似的な単一の無指向性アンテナの指向性
を例示する概念図である。
【図7】スロットアンテナの形状に関する他の例を示す
図である。
【符号の説明】
AT1-AT4 地中掘削機Pの周方向に配列された4個の送
受信指向性アンテナ DA1-DA4 4個の送受信指向性アンテナにより形成され
る物体の検出可能領域 ATT2 送受信チャンネル2の送信アンテナ ATR2 送受信チャンネル2の受信アンテナ 1 信号処理部 2 送信制御部 3 回転角検出部 4 画面表示部 5 ブザー TX1-TX4 送信部 RX1-RX4 受信部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 盛雄 東京都八王子市鹿島1121ー5ジュネス鹿島 408 (72)発明者 石井 啓二朗 山梨県北都留群上野原町上野原4683ー5 (72)発明者 柿崎 裕司 神奈川県相模原市西橋本4ー8ー45ライオ ンズガーデン橋本911号

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】筒状体の周方向に配列された複数個の送受
    信アンテナと、 これら送受信アンテナの全部又は隣接する一部のものに
    対して同時にかつ隣接するものに供給される送信信号が
    逆極性の関係を保つように、送信信号を供給する送信部
    と、 前記各送受信アンテナの受信信号の全部又は一部を加算
    し、この加算済みの受信信号から反射波を抽出する受信
    部とを備えたことを特徴とする地中レーダ装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記複数個の送受信アンテナは、前記筒状体の周方向に
    ほぼ等間隔で配置される偶数個の送受信アンテナから成
    ることを特徴とする地中レーダ装置。
  3. 【請求項3】請求項1と2のそれぞれにおいて、 前記複数個の送受信アンテナのそれぞれは、前記筒状体
    の軸線に直交する電界の偏波面を有する電波を送受信す
    ることを特徴とする地中レーダ装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のそれぞれにおいて、 前記複数個の送受信アンテナのそれぞれは、前記筒状体
    の軸線方向に隣接して配置された送信専用アンテナと受
    信専用アンテナとから成ることを特徴とする地中レーダ
    装置。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のそれぞれにおいて、 前記複数個の送受信アンテナのそれぞれは、前記筒状体
    の軸線方向に配列されるスロットアンテナから構成され
    ることを特徴とする地中レーダ装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、 前記スロットアンテナを形成するスロットは、長手方向
    の中央部の幅が減少せしめられ、この中央部の両側に平
    衡2線の先端部が結合された給電点が形成されることを
    特徴とする地中レーダ装置。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6のそれぞれにおいて、 前記筒状体は、その軸線の回りに回転せしめられながら
    地中を推進せしめられる非開削ドリリング工法の地中掘
    削機であることを特徴とする地中レーダ装置。
  8. 【請求項8】FRPを素材とする筒状体と、 この筒状体の周方向に配列された複数個の送受信アンテ
    ナ、これら送受信アンテナの全部又は隣接する一部のも
    のに対して同時にかつ隣接するものに供給される送信信
    号が逆極性の関係を保つように送信信号を供給する送信
    部及び前記各送受信アンテナの受信信号の全部又は一部
    を加算しこの加算済みの受信信号から反射波を抽出する
    受信部を備えた地中レーダ装置とを備えたことを特徴と
    する地中掘削機。
  9. 【請求項9】請求項8において、 前記複数個の送受信アンテナのそれぞれは、前記筒状体
    の内周面に密着状態で配置されたことを特徴とする地中
    掘削機。
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