JP2001054380A - 新規ニトリラーゼ、および2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の製造方法 - Google Patents

新規ニトリラーゼ、および2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の製造方法

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JP2001054380A
JP2001054380A JP11229109A JP22910999A JP2001054380A JP 2001054380 A JP2001054380 A JP 2001054380A JP 11229109 A JP11229109 A JP 11229109A JP 22910999 A JP22910999 A JP 22910999A JP 2001054380 A JP2001054380 A JP 2001054380A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸(HM
BA)の製造に有用なニトリラーゼと、このニトリラー
ゼによるHMBAの製造方法の提供。 【解決手段】 ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococc
us rhodochrous)B24−1株由来の新規ニトリラーゼ
が提供された。このニトリラーゼはアンモニア耐性を持
ち、300mMを越えるHMBAを蓄積することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飼料への添加物等
として有用な2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の製
造に有用なニトリラーゼと、その製造方法、並びに用途
に関する。
【0002】
【従来の技術】2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸
(以下HMBAと省略する)は、家畜飼料への添加剤と
して注目されている。HMBAは家畜体内で代謝されて
メチオニンを生成する。メチオニンが固体であるのに対
して、HMBAが液体であることから扱いやすく、今後
普及が期待されている。HMBAは、2−ヒドロキシ−
4−メチルチオブチロニトリルの加水分解によって得る
ことができる。しかし加水分解を化学的に行うには強酸
性条件を要求し、廃液の中和のために大量の塩の生成を
伴うことが問題であった。そこで、微生物発酵やニトリ
ラーゼを用いた酵素的加水分解反応が注目された。
【0003】これまでに、2−ヒドロキシ−4−メチル
チオブチロニトリルを加水分解してHMBAを生成しう
る微生物として、次のようなものが報告されている。 ・特開平4−40898号公報:カセオバクター属、シ
ュードモナス属、アルカリゲネス属、コリネバクテリウ
ム属、ブレビバクテリウム属、ノカルディア属、ロドコ
ッカス属、およびアースロバクター属の微生物 ・WO96/09403:アルカリゲネス属、ロドコッカス、およ
びゴルドナ属の微生物 ・特開平8−173175号公報:パントエア属、ミク
ロコッカス属、バクテリヂウム属、バチラス属、アクチ
ノマヅラ属、キタサトスボラ属、ビリメリア属、アクロ
モバクター属、ベイジェリンキア属、セルロモナス属
、クレブシェラ属、アクチノボリスボラ属、アクチノ
シンネマ属、アクチノプラネス属、アミコラタ属、サッ
カロポリプポラ属、ストレプトマイセス属、ノカルヂオ
イデス属、プロビデンシア属、ミクロバクテリウム属、
ロドバクター属、およびロドスピリリウム属の微生物 ・WO97/32030:バリオボラクス属、およびアースロバク
ター属の微生物 ・WO98/18941:Alcaligenesfaecalis ATCC 8750の遺伝
子を発現させた大腸菌
【0004】Rhodococcus属の微生物においては、2−
ヒドロキシ−4−メチルチオブ チロニトリルを加水分
解してHMBAを生成することはRhodococcus sp.での
み知られている。しかしその蓄積濃度は低く、特開平4-
40898号公報でRhodococcus sp.SK92株が94mMのHMB
Aを蓄積し、またWO96/09403のRhodococcus sp.HT-29-7
が 100mMのHMBAを蓄積しているに過ぎない。更
に、Rhodococcus rhodochrous種の菌体およびニトリラ
ーゼが2−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロニトリル
を加水分解してHMBAを生成することは知られていな
い。
【0005】微生物発酵によるHMBAの製造には、微
生物自身の生育に必要な培地成分が必要であり、また一
般にわずかな条件の変化によって収率が大きく変動する
デリケートな反応であることが多く、反応条件の制御が
容易なニトリラーゼによる方法が望まれた。特にRhodoc
occus属の微生物は一般に細胞が物理的に強いといわれ
ており、微生物発酵においては扱いやすい細胞である。
しかし公知のRhodococcus属の微生物には、HMBAを
高濃度に蓄積することができるものは知られていない。
【0006】一方、ニトリラーゼとしては次のような報
告がある。 ・Eur.J.Biochem.,182,349-356(1989):Rhodococcus rh
odochrous J1由来 のニトリラーゼ ・J.Bacteriol.,172,4807-4815(1990):Rhodococcus rh
odochrousK22由来の酵素 ・Eur.J.Biochem, 194, 765-772 (1990):Alcaligenesf
aecalisJM3由来の酵素 ・特開平4-341185:Alcaligenes faecalis ATCC8750由
来の酵素 これらの酵素に関しては、HMBAの産生量が知られて
いないか、或いは低いので、商業的に利用するには改善
の余地を残していた。公知のニトリラーゼはアンモニア
に対する感受性が比較的高い。4-メチルチオブチロニト
リルの加水分解には必ずアンモニアの生成を伴うことか
ら、アンモニア感受性を持つニトリラーゼを用いる限
り、HMBA産生量は制限されてしまう。したがって、
2−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロニトリルを効率
的に加水分解してHMBAを生成し、しかも反応を制御
しやすい微生物細胞、あるいはニトリラーゼの提供が望
まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アンモニア
耐性を備え、HMBA産生能に優れた新規なニトリラー
ゼと、このニトリラーゼを利用したHMBAの製造方法
の提供を課題とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、前記課
題を解決することができる新たなニトリラーゼを産生す
る微生物を求めて、土壌よりニトリル分解菌を多数分離
した。その中から特に分解能力の高い菌株としてB24
−1株を選択した。この菌株は次のような微生物学的特
徴を備えていることから、バージェイの細菌分類書(Ber
gey's manual ofdeterminative bacteriology、ninth e
dition,1994) に基づいてRhodococcus属に属する菌株で
あると同定した。 コロニーの色:salmon red RAL3022 好気性のグラム陽性の桿菌 細胞壁組成にメソジアミノピメリン酸を含む ミコール酸組成がC40-48 脂肪酸組成にtuberculostearic acidの含量が高い
【0009】また本菌株よりDNAを抽出し、16S rRNAに
対応する16S rDNAの塩基をPCR法によって増幅して、
最初の500塩基の相同性を既知のRhodococcus属各種
の Type strain と比較したところ、Rhodococcus rhroc
hrous DSM43241と99.8%の相同性が見られたところ
から、最終的に本菌をRhodococcus rhrochrousと同定し
た。
【0010】本発明者らは、この細菌が2−ヒドロキシ
−4−メチルチオブチロニトリルを効率的に加水分解し
てHMBAを生成する能力を備えていることを見出し
た。そしてこの微生物がRhodococcus rhodochrousであ
り、高いHMBA生産能を実現するアンモニア耐性を備
えた新規なニトリラーゼを生産することを見出し、本発
明を完成した。すなわち本発明は、以下のニトリラーゼ
とその製造方法、並びにこのニトリラーゼを用いたHM
BAの製造方法に関する。 〔1〕ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodo
chrous)に由来し、下記の理化学的性質を有するニトリ
ラーゼ。 (a)作用:ニトリル化合物のニトリル基に作用し、ニ
トリル基をカルボン酸基とアンモニアに加水分解する反
応を触媒する。 (b)分子量:SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
おける分子量が約40kDaであり、ゲルろ過クロマトグラ
フィーによる分子量が約400kDaを示す。 (c)基質特異性: 脂肪族ニトリル、芳香族ニトリ
ル、複素環ニトリルに作用する。 (d)温度安定性:pH 6.5で15分間熱処理した場合、40
℃までは安定であったが、50 ℃で約40%の失活が認めら
れ、60℃以上では完全に失活する。 (e)至適温度:pH 6.5で反応させる場合、温度約50℃
において作用が至適である。 (f)安定化剤:1 mMジチオスレイトール、1 mMメルカ
プトエタノールによって、その活性が安定に保持され、
さらにこれらによって活性化される。 (g)阻害剤:Hg++、Cu++、およびp-chloromercuriben
zoateにより失活する (h)アンモニア耐性:1.5M 硫酸アンモニウムに対し
ても阻害を受けない。 〔2〕300mM以上の2-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸
を蓄積する能力を有する〔1〕に記載のニトリラーゼ。 〔3〕微生物がロドコッカス・ロドクラウスB24−1
である〔1〕に記載のニトリラーゼ。 〔4〕FERM P-17515として寄託されたロドコッカス・ロ
ドクラウス(Rhodococcusrhodochrous)B24−1。 〔5〕〔4〕に記載のロドコッカス・ロドクラウス(Rho
dococcus rhodochrous)を培養して、その培養物から
〔3〕に記載のニトリラーゼを採取することを特徴とす
るニトリラーゼの製造方法。 〔6〕ロドコッカス・ロドクラウスB24−1の菌体を
2-ヒドロキシ-4-メチルチオブチロニトリルに作用さ
せ、生成した2-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸を採取す
ることを特徴とする4-メチルチオ-2-ヒドロキシ酪酸の
製造方法。 〔7〕〔1〕、〔2〕、および〔3〕のいずれかに記載
のニトリラーゼを4-メチルチオブチロニトリルに作用さ
せ、生成した2-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸を採取す
ることを特徴とする2-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸の
製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のニトリラーゼは、前記の
ような理化学的性質によって特徴付けられる。特に本発
明のニトリラーゼがアンモニア耐性を備えていること
は、HMBAの生成反応において重要な特徴である。2
-ヒドロキシ-4-メチルチオブチロニトリルの加水分解に
伴い、反応系にはアンモニウムイオンが蓄積する。公知
のニトリラーゼはアンモニアに対する感受性が高い。し
たがって反応の進行に伴い加水分解活性がしだいに低下
するために、HMBAの生成量が低い水準にとどまって
いた。これに対して本発明のニトリラーゼは、その高い
アンモニア耐性によりHMBAの生成を長期にわたって
維持できることから、最終的には300mMを越えるHM
BAを反応系に蓄積することができる。
【0012】本発明において、ニトリラーゼ活性は2-
ヒドロキシ-4-メチルチオブチロニトリルから2-ヒドロ
キシ-4-メチルチオ酪酸の生成、或いは3-シアノピリジ
ンからニコチン酸の生成によって確認することができ
る。このとき、1分間に1mMのニコチン酸を生成するの
に必要な酵素の量を1Uとする。またアンモニア耐性
は、1.5Mのアンモニウムイオン存在下で、不存在下に
おけるニトリラーゼ活性の少なくとも90%以上の活性
を維持するとき、この酵素はアンモニア耐性を持つと定
義される。
【0013】本発明のニトリラーゼは、土壌細菌である
Rhodococcus rhodochrousの培養物より得ることができ
る。本発明のニトリラーゼを生産するための特に望まし
い菌株は、FERM P-17515として寄託されたRhodococcus
rhodochrousB24−1株である。Rhodococcus rhodoch
rousの培養には、公知の培地を利用することができる。
本発明に使用される微生物の培地としては、細菌が通常
資化し得るグルコース、グリセロール、フルクトース等
の炭素源、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等の窒
素源、硫酸マグネシウム等の無機栄養素や金属を含有す
る培地を利用することができる。これらの培地には、酵
母エキスや肉エキス等の天然有機窒素源を添加すること
により細菌の生育が改善される。ニトリラーゼの誘導源
として、微生物に適したアセトニトリル、イソバレロニ
トリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニト
リル化合物を用いることができる。培養条件は微生物が
生育する条件であれば特に制限されない。培養条件を具
体的に示せば、たとえばpH2〜12とし温度は5〜60
℃の範囲とすることができる。更に好ましくは好気性条
件下でpH4〜10、温度20〜40℃の範囲で培養日数
は数時間から10日ほどの範囲でニトリラーゼ活性が最
大となるまで培養することにより、効率的にニトリラー
ゼを生成させることができる。
【0014】十分に増殖させた後に菌体を回収し、2-メ
ルカプトエタノール(2-mercaptoethanol)等の還元剤
や、フェニルメタンスルホニルフルオリド(phenylmetha
nsulfonyl fluoride;PMFS)のようなプロテアーゼ阻害剤
を加えた緩衝液中で破砕して無細胞抽出液とする。無細
胞抽出液から、蛋白質の溶解度による分画(有機溶媒に
よる沈澱や硫安などによる塩析など)や、陽イオン交
換、陰イオン交換、ゲルろ過、疎水性クロマトグラフィ
ーや、キレート、色素、抗体などを用いたアフィニティ
ークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせることによ
り精製する事ができる。たとえば、フェニル−トヨパー
ルを用いた疎水クロマトグラフィー、Q−セファロース
を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー、ブチル−ト
ヨパール疎水クロマトグラフィー、ブルー−セファロー
スを用いたアフィニティークロマトグラフィー、スーパ
ーデックス200を用いたゲルろ過等を経て電気泳動的
にほぼ単一バンドにまで精製することができる。
【0015】本発明のニトリラーゼをコードするDNA
は、たとえば、以下のような方法によって単離すること
ができる。すなわち本発明の酵素を精製後、N末端アミ
ノ酸配列を解析し、さらに、リジルエンドペプチダー
ゼ、V8プロテアーゼなどの酵素により切断後、逆相液
体クロマトグラフィーなどによりペプチド断片を精製後
プロテインシーケンサーによりアミノ酸配列を解析する
ことにより複数のアミノ酸配列を決めることができる。
決定したアミノ酸配列を元にPCR用のプライマーを設
計し、酵素生産株の染色体DNAもしくは、cDNAラ
イブラリーを鋳型とし、アミノ酸配列から設計したPC
Rプライマーを用いてPCRを行うことにより本発明の
DNAの一部を得ることができる。さらに、得られたD
NA断片をプローブとして、酵素生産株の染色体DNA
の制限酵素消化物をファージ、プラスミドなどに導入
し、大腸菌を形質転換して得られたライブラリーやcD
NAライブラリーを利用して、コロニーハイブリダイゼ
ーション、プラークハイブリダイゼーションなどによ
り、本発明のDNAを得ることができる。
【0016】また、PCRにより得られたDNA断片の
塩基配列を解析し、得られた配列から、既知のDNAの
外側に伸長させるためのPCRプライマーを設計し、酵
素生産株の染色体DNAを適当な制限酵素で消化後、自
己環化反応によりDNAを鋳型として逆PCRを行うこ
とにより(Genetics 120, 621-623 (1988))、また、R
ACE法(Rapid Amplification of cDNA End、「PC
R実験マニュアル」p25-33, HBJ出版局)などにより
本発明のDNAを得ることも可能である。
【0017】なお本発明のDNAは、以上のような方法
によってクローニングされたゲノムDNA、あるいはc
DNAの他、合成によって得ることもできる。
【0018】このようにして単離された、本発明による
ニトリラーゼをコードするDNAを公知の発現ベクター
に挿入することにより、ニトリラーゼ発現ベクターが提
供される。また、この発現ベクターで形質転換した形質
転換体を培養することにより、本発明のニトリラーゼを
組み換え体として得ることができる。
【0019】本発明のニトリラーゼを発現させるため
に、形質転換の対象となる微生物は、このニトリラーゼ
をコードするDNAを含む組み換えベクターにより形質
転換され、ニトリラーゼ活性を発現することができる生
物であれば特に制限はない。利用可能な微生物として
は、たとえば以下のような微生物を示すことができる。 エシェリヒア(Escherichia)属 バチルス(Bacillus)属 シュードモナス(Pseudomonas)属 セラチア(Serratia)属 ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属 コリネバクテリイウム(Corynebacterium)属 ストレプトコッカス(Streptococcus)属 ラクトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系
の開発されている細菌 ロドコッカス(Rhodococcus)属 ストレプトマイセス(Streptomyces)属など宿主ベクター
系の開発されている放線菌 サッカロマイセス(Saccharomyces)属 クライベロマイセス(Kluyveromyces)属 シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属 チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属 ヤロウイア(Yarrowia)属 トリコスポロン(Trichosporon)属 ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属 ハンゼヌラ(Hansenula)属 ピキア(Pichia)属 キャンディダ(Candida)属などの宿主ベクター系の開発
されている酵母 ノイロスポラ(Neurospora)属 アスペルギルス(Aspergillus)属 セファロスポリウム(Cephalosporium)属 トリコデルマ(Trichoderma)属などの宿主ベクター系の
開発されているカビ
【0020】形質転換体の作製のための手順および宿主
に適合した組み換えベクターの構築は、分子生物学、生
物工学、遺伝子工学の分野において慣用されている技術
に準じて行うことができる(例えば、Sambrookら、モレ
キュラー・クローニング、Cold Spring Harbor Laborat
ories)。微生物中などにおいて、本発明のNADHを電
子供与体とするカルボニル還元酵素遺伝子を発現させる
ためには、まず微生物中において安定に存在するプラス
ミドベクターやファージベクター中にこのDNAを導入
し、その遺伝情報を転写・翻訳させる必要がある。その
ためには、転写・翻訳を制御するユニットにあたるプロ
モーターを本発明のDNA鎖の5'-側上流に、より好ま
しくはターミネーターを3'-側下流に、それぞれ組み込
めばよい。このプロモーター、ターミネーターとして
は、宿主として利用する微生物中において機能すること
が知られているプロモーター、ターミネーターを用いる
必要がある。これら各種微生物において利用可能なベク
ター、プロモーター、ターミネータ−などに関して「微
生物学基礎講座8遺伝子工学・共立出版」、特に酵母に
関しては、Adv. Biochem. Eng. 43, 75-102 (1990)、Ye
ast 8, 423-488 (1992)、などに詳細に記述されてい
る。
【0021】例えばエシェリヒア属、特に大腸菌エシェ
リヒア・コリ(Escherichia coli)においては、プラスミ
ドベクターとして、pBR、pUC系プラスミドを利用でき、
lac(β−ガラクトシダーゼ)、trp(トリプトファンオペ
ロン)、tac、 trc (lac、trpの融合)、λファージ P
L、PRなどに由来するプロモーターなどが利用でき
る。また、ターミネーターとしては、trpA由来、ファー
ジ由来、rrnBリボソーマルRNA由来のターミネーター
などを用いることができる。
【0022】バチルス属においては、ベクターとしてpU
B110系プラスミド、pC194系プラスミドなどが利用可能
であり、染色体にインテグレートすることもできる。ま
た、プロモーター、ターミネーターとしてapr(アルカリ
プロテアーゼ)、 npr(中性プロテアーゼ)、amy(α−ア
ミラーゼ)などが利用できる。
【0023】シュードモナス属においては、シュードモ
ナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・
セパシア(Pseudomonas cepacia)などで宿主ベクター系
が開発されている。トルエン化合物の分解に関与するプ
ラスミドTOLプラスミドを基本にした広宿主域ベクター
(RSF1010などに由来する自律的複製に必要な遺伝子を含
む)pKT240などが利用可能であり、プロモーター、ター
ミネーターとして、リパーゼ(特開平5-284973)遺伝子
などが利用できる。
【0024】ブレビバクテリウム属特に、ブレビバクテ
リウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactof
ermentum)においては、pAJ43(Gene 39, 281 (1985))な
どのプラスミドベクターが利用可能である。プロモータ
ー、ターミネーターとしては、大腸菌で使用されている
プロモーター、ターミネーターがそのまま利用可能であ
る。
【0025】コリネバクテリウム属、特にコリネバクテ
リウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に
おいては、pCS11(特開昭57-183799)、pCB101(Mol. Gen.
Genet. 196, 175 (1984)などのプラスミドベクターが
利用可能である。
【0026】ストレプトコッカス(Streptococcus)属に
おいては、pHV1301(FEMS Microbiol.Lett. 26, 239 (19
85)、pGK1(Appl. Environ. Microbiol. 50, 94 (198
5))などがプラスミドベクターとして利用可能である。
【0027】ラクトバチルス(Lactobacillus)属におい
ては、ストレプトコッカス属用に開発されたpAMβ1(J.
Bacteriol. 137, 614 (1979))などが利用可能であ
り、プロモーターとして大腸菌で利用されているものが
利用可能である。
【0028】ロドコッカス(Rhodococcus)属において
は、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodoch
rous)から単離されたプラスミドベクターが使用可能で
ある (J.Gen. Microbiol. 138,1003 (1992) )
【0029】ストレプトマイセス(Streptomyces)属にお
いては、HopwoodらのGenetic Manipulation of Strepto
myces: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Labo
ratories (1985)に記載の方法に従って、プラスミドを
構築することができる。特に、ストレプトマイセス・リ
ビダンス(Streptomyces lividans)においては、pIJ486
(Mol. Gen. Genet. 203, 468-478, 1986)、pKC1064(Gen
e 103,97-99 (1991) )、pUWL-KS (Gene 165,149-150 (1
995) )が使用できる。また、ストレプトマイセス・バー
ジニア(Streptomyces virginiae)においても、同様のプ
ラスミドを使用することができる(Actinomycetol. 11,
46-53 (1997) )。
【0030】サッカロマイセス(Saccharomyces)属、特
にサッカロマイセス・セレビジアエ(Saccharomyces cer
evisiae) においては、YRp系、YEp系、YCp系、YIp系プ
ラスミドが利用可能であり、染色体内に多コピー存在す
るリボソームDNAとの相同組み換えを利用したインテ
グレーションベクター(EP 537456など)は、多コピー
で遺伝子を導入でき、かつ安定に遺伝子を保持できるた
め極めて有用である。また、ADH(アルコール脱水素酵
素)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵
素)、PHO(酸性フォスファターゼ)、GAL(β−ガラクトシ
ダーゼ)、PGK(ホスホグリセレートキナーゼ)、ENO(エノ
ラーゼ)などのプロモーター、ターミネーターが利用可
能である。
【0031】クライベロマイセス属、特にクライベロマ
イセス・ラクティス(Kluyveromyceslactis)において
は、サッカロマイセス・セレビジアエ由来2μm系プラス
ミド、pKD1系プラスミド(J. Bacteriol. 145, 382-390
(1981))、キラー活性に関与するpGKl1由来プラスミ
ド、クライベロマイセス属における自律増殖遺伝子KARS
系プラスミド、リボソームDNAなどとの相同組み換え
により染色体中にインテグレート可能なベクタープラス
ミド(EP 537456など)などが利用可能である。また、A
DH、PGKなどに由来するプロモーター、ターミネーター
が利用可能である。
【0032】シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyc
es)属においては、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来
のARS (自律複製に関与する遺伝子)及びサッカロマイセ
ス・セレビジアエ由来の栄養要求性を相補する選択マー
カーを含むプラスミドベクターが利用可能である(Mol.
Cell. Biol. 6, 80 (1986))。また、シゾサッカロマ
イセス・ポンベ由来のADHプロモーターなどが利用でき
る(EMBO J. 6, 729 (1987))。特に、pAUR224は、宝酒
造から市販されており容易に利用できる。
【0033】チゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyc
es)においては、チゴサッカロマイセス・ロウキシ (Zyg
osaccharomyces rouxii)由来の pSB3(Nucleic Acids R
es.13, 4267 (1985))などに由来するプラスミドベクタ
ーが利用可能であり、サッカロマイセス・セレビジアエ
由来 PHO5 プロモーターや、チゴサッカロマイセス・ロ
ウキシ由来 GAP-Zr(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱
水素酵素)のプロモーター(Agri. Biol. Chem. 54, 252
1 (1990))などが利用可能である。
【0034】ハンゼヌラ(Hansenula)属においては、ハ
ンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenulapolymorpha)におい
て宿主ベクター系が開発されている。ベクターとして
は、ハンゼヌラ・ポリモルファ由来自律複製に関与する
遺伝子(HARS1、 HARS2)も利用可能であるが、比較的
不安定であるため、染色体への多コピーインテグレーシ
ョンが有効である(Yeast 7, 431-443 (1991))。ま
た、メタノールなどで誘導される AOX(アルコールオキ
シダーゼ)、 FDH(ギ酸脱水素酵素)のプロモーターなど
が利用可能である。
【0035】ピキア(Pichia)属においては、ピキア・パ
ストリス(Pichia pastoris)などにピキア由来自律複製
に関与する遺伝子 (PARS1、 PARS2)などを利用した宿主
ベクター系が開発されており(Mol. Cell. Biol. 5, 33
76 (1985))、高濃度培養とメタノールで誘導可能な AO
X など強いプロモーターが利用できる(Nucleic Acids
Res. 15, 3859 (1987))。
【0036】キャンディダ(Candida)属においては、キ
ャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)、キャンデ
ィダ・アルビカンス(Candida albicans)、キャンディダ
・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・
ウチルス (Candida utilis) などにおいて宿主ベクター
系が開発されている。キャンディダ・マルトーサにおい
てはキャンディダ・マルトーサ由来ARSがクローニン
グされ(Agri. Biol. Chem. 51, 51, 1587 (1987))、
これを利用したベクターが開発されている。また、キャ
ンディダ・ウチルスにおいては、染色体インテグレート
タイプのベクターは強力なプロモーターが開発されてい
る(特開平 08-173170)。
【0037】アスペルギルス(Aspergillus)属において
は、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、
アスペルギルス・オリジー (Aspergillus oryzae) など
がカビの中で最もよく研究されており、プラスミドや染
色体へのインテグレーションが利用可能であり、菌体外
プロテアーゼやアミラーゼ由来のプロモーターが利用可
能である(Trends in Biotechnology 7, 283-287 (198
9))。
【0038】トリコデルマ(Trichoderma)属において
は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を利
用したホストベクター系が開発され、菌体外セルラーゼ
遺伝子由来プロモーターなどが利用できる(Biotechnol
ogy 7, 596-603 (1989))。
【0039】また、微生物以外でも、植物、動物におい
て様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を
用いた昆虫(Nature 315, 592-594 (1985))や菜種、ト
ウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種タン
パク質を発現させる系が開発されており、好適に利用で
きる。
【0040】ニトリラーゼ産生菌(ニトリラーゼ発現ベ
クターによって形質転換した生物を含む)の培養物は、
そのまま、あるいは菌体を破砕した粗精製物としてHM
BAの製造のために利用することができる。すなわち、
液体培地または平板培地上にて培養した菌体を採取し、
必要に応じて、固定化菌体、粗酵素、固定化酵素等の菌
体処理物を調製する。これを、原料である2-ヒドロキ
シ-4-メチルチオブチロニトリルに接触させることによ
りHMBAの生成反応系を構成することができる。2-
ヒドロキシ-4-メチルチオブチロニトリルは、適当な溶
媒に溶解される。溶媒としてはn-ヘキサン、酢酸エチル
等のような非水混和性溶媒を挙げることができる。この
場合、ニトリラーゼは水や緩衝液の溶液として供給さ
れ、反応系は2相系となる。この他、2-ヒドロキシ-4-
メチルチオブチロニトリルを水、緩衝液またはエタノー
ル等の水溶性有機溶媒に溶解させて反応系に供給するこ
ともできる。この場合は、ニトリラーゼ、あるいは菌体
や菌体処理物とともに単一相の反応系を構成することに
なる。その他、本発明の反応は、固定化酵素、膜リアク
ターなどを利用して行うことも可能である。
【0041】反応条件としては、菌体使用量0.01〜70重
量%、基質である2-ヒドロキシ-4-メチルチオブチロニ
トリル濃度0.1〜80重量%を示すことができる。基質は
必ずしも反応媒体中で完全に溶解しなくてもよい。ま
た、基質は反応開始時に一括して添加することも可能で
あるが、反応液中の基質濃度が高くなりすぎないように
連続的、もしくは非連続的に添加することが望ましい。
反応温度は反応が進行する温度であればよいが、1〜6
0℃、好ましくは5〜40℃とする。反応系のpHは、3
〜12、好ましくは6〜10で5分から100時間程
度、反応させればよい。このような条件で、ニトリラー
ゼの作用により2-ヒドロキシ-4-メチルチオブチロニト
リルはHMBAに変換され、反応系に蓄積される。生成
物であるHMBAは、濃縮、イオン交換、電気透析、抽
出、晶析等の公知の方法を利用して回収し精製される。
本発明によって得ることができるHMBAは、家畜飼料
への添加剤として利用される。以下、本発明を実施例に
より更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
【0042】
【実施例】[実施例1]微生物の単離 各種ニトリルを含有した培地で集積培養して土壌より分
離した、ニトリル分解菌の中から特に分解能力の高い菌
株としてB24−1株を選択した。この菌株は次のよう
な微生物学的特徴を備えていることから、バージェイの
細菌分類書(Bergey's manual of determinative bacter
iology、ninth edition,1994) に基づいてRhodococcus
属に属する菌株であると同定した。 コロニーの色:salmon red RAL3022 好気性のグラム陽性の桿菌 細胞壁組成にメソジアミノピメリン酸を含む ミコール酸組成がC40-48 脂肪酸組成にtuberculostearic acidの含量が高い
【0043】また本菌株よりDNAを抽出し、16S rRNAに
対応する16S rDNAの塩基をPCR法によって増幅して、
最初の500塩基の相同性を既知のRhodococcus属各種
の Type strain と比較したところ、Rhodococcus rhroc
hrous DSM43241と99.8%の相同性が見られたところ
から、最終的に本菌をRhodococcus rhrochrousと同定し
た。B24−1株のその他の生化学的性状を表1にまと
めた。
【0044】
【表1】
【0045】Rhodococcus rhrochrousB24−1株を、
以下のとおり工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託
した。 (a)寄託機関の名称・あて名 名称:通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所 あて名:(郵便番号305−8566) 日本国茨城県つくは市東1丁目1番3号 (b)寄託日(原寄託日) 平成11年8月12日 (c)寄託番号 FERM P-17515
【0046】[実施例2]微生物の培養とニトリラーゼ
の精製 下記の培地条件で培養した菌体を超音波処理により破砕
し、遠心分離(12000xg, 30分間)によりその上清液を得
た。これに硫酸アンモニウムを30%飽和になるように添
加し、遠心分離して上清液を回収した。上清液に硫酸ア
ンモニウムを60%飽和になるように添加して数時間放置
して遠心分離し、沈殿画分を得た。この沈殿を1 mMジチ
オスレイトールを含む10mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.
5)に懸濁し、同緩衝液に対して十分に透析した。透析後
に酵素液を遠心分離して、生じた沈殿を除去した。この
酵素液を同緩衝液で十分に平衡化したDEAE-Sephacelカ
ラム(3 x 25 cm)に適用した。十分に同じ緩衝液で洗浄
した後、0.1MのKClを含む同緩衝液1Lと0.2 M KClを含む
同緩衝液1Lで洗浄したあと、0.3 MKClを含む同緩衝液1L
で本発明のニトリラーゼを溶出させた。3-シアノピリジ
ンを0.8%、pH6。5のン酸カリウム緩衝液中で20℃で反
応させ、生成するニコチン酸を定量した。
【0047】この活性画分に20%飽和になるように硫酸
アンモニウムを添加した。1mMジチオスレイトールと20%
飽和硫酸アンモニウムを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液
(pH 7.5)で十分に平衡化させたフェニルセファロールCL
6Bカラムに、この酵素液を適用した。ニトリラーゼは同
カラムに吸着され、1mMジチオスレイトールを含む0.1M
リン酸カリウム緩衝液(pH 7.5)で十分洗浄した後、これ
に30%(v/v)エチレングライコールを添加した緩衝液で同
カラムを洗浄した。次に50%(v/v)エチレングライコール
を添加した緩衝液を流すことにより、ニトリラーゼの溶
出が認められた。活性画分をSDS-ゲル電気泳動を行うと
単一バンドが認められ、単一標品に精製されたことが確
認された。精製酵素の比活性は、20℃で蛋白1 mg当た
り、1分間に4.7 マイクロモルの2-ヒドロキシ-4-メチ
ルチオブチロニトリルを相当する酸に加水分解した。粗
酵素液に対して、比活性は5.3倍上がり回収率は12.3%で
あった。
【0048】ニトリラーゼの性質 1.基質特異性 0.1 M リン酸緩衝液(pH 6.5)に終濃度25mMのニトリル化
合物、および酵素5Uを加え、1.0mlになるように混合し
て20℃で反応を行わせ、生成するカルボン酸を定量す
ることで活性を求めた。本ニトリラーゼは3−シアノピ
リジンに対する活性を100%とすると、脂肪族ニトリ
ルのアクロニトリルに対して56%、芳香族ニトリルの
ベンゾニトリルに対して85%、4−シアノピリジンに
対して212%の活性があった(表2)。
【0049】
【表2】 なお、表中の「*」は、基質の可溶性を高めるため終濃
度10%のメタノールを添加したものを示す。
【0050】2.分子量の測定 分子量の測定は定法により、SDS−PAGE法、ゲル
ろ過によって測定した。 SDS-ポリアクリルアミドゲル
電気泳動における分子量が約40kDaであり、ゲルろ過ク
ロマトグラフィーによる分子量が約400kDaを示した。
【0051】3.酵素の性質 (1)酵素の温度安定性 酵素液を10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、6
0℃、70℃で15分間処理して、直ぐに氷冷した。処
理後の酵素は0.1 M リン酸緩衝液(pH 6.5)に4-メチ
ルチオブチロニトリルを溶解させた1%(v/v)溶液を40
mlに、蛋白質として650mgの酵素を添加して、全体と
して50mlとして20℃で反応させた。10℃、20
℃、30℃、40℃では相対残存活性は100%であっ
たが、50℃では40%の失活が認められ、60℃以上
では完全に失活した。 (2)至適反応温度 酵素反応系の温度のみを20℃〜70℃の各段階にかえ
て、(1)と同様に酵素反応を行った。
【0052】
【表3】 (3)安定化剤 酵素反応系に1mMジチオスレイトール、1mMメルカ
プトエタノールを添加して(1)と同様に酵素反応を行っ
た。その活性が安定に保持され、さらにこれらによって
活性化された。 (4)阻害剤 酵素反応系に各種阻害剤0.1mMを加え、(1)と同様
に酵素反応を行った。Hg++、Cu++およびp-chlo
romercuribenzoateによって失活した。 (5)アンモニア耐性 Rhodococcus rhrochrous B24-1、Rhodococcus rhrochro
us J1、Rhodococcus rhrochrous K22の3種のニトリラー
ゼの活性を同じユニット数(2ユニット)になるように
希釈した0.1M KPB(pH6.5)の菌体懸濁液(0.2ml)を調製
する。これに種々のアンモニウム塩濃度(1.7ml)を添
加し、20分間放置する。これにHMBNを終濃度20mMになる
ように添加して反応を開始し、HMBNの減少の度合いを経
時的に測定して、ニトリラーゼの活性を測った。その結
果、3種の菌株についてほぼ同様の傾向が見られた。即
ち、B24-1は、高濃度アンモニウム塩の存在下において
も、そのニトリラーゼ活性はほとんど阻害を受けなかっ
たが、J1やK22は高濃度アンモニウム塩に感受性であっ
た(表4)。
【0053】
【表4】
【0054】[実施例3]ニトリラーゼを用いた2−ヒ
ドロキシ−4−メチルチオブチロニトリルからのHMB
A生成 0.1 M リン酸緩衝液(pH 6.5)に4-メチルチオブチロ
ニトリルを溶解させた1%(v/v)溶液を40mlに、細胞破
砕によって得られた粗酵素液(蛋白質として650mg)
10mlを添加して、全体として50mlとして20℃で反
応させた。その結果、ほぼ定量的に2−ヒドロキシ−4
−メチルチオ酪酸が生じた。
【0055】[実施例4]菌体を用いた2−ヒドロキシ
−4−メチルチオブチロニトリルからのHMBA生成 (A)培養 Rhodococcus rhrochrous B24-1を下記の条件で培養し
た。 (1)培地組成(単位:wt%) フルクトース 1.0% カザミノ酸 1.3% 酵母エキス 0.1 % L−グルタミン酸ナトリウム 1.0% 硫酸マグネシウム7水塩 0.05% リン酸一カリウム 0.2% イソバレロニトリル 0.25% pH 7.7 (2)培養条件 斜面培地から1白金耳の菌体を採り、上記液体培地40m
lを入れて滅菌した坂口フラスコに植菌し、28℃で4
日間、好気条件下で振盪培養した。このとき、培養1日
目、2日目、3日目に0.55%のイソバレロニトリルを
経時的に添加することにより、高い活性菌を調製するこ
とができた。
【0056】(B)反応 培養終了後、液体培地から菌体を遠心分離により集菌し
て、1gの湿菌体を25gの反応液(0.05Mリン酸
緩衝液(pH6.5)、2-ヒドロキシ-4-メチルチオブチロニ
トリル(0.2wt%)、NaCl (0.34wt%))に懸濁させて、
200ml容ビーカーに入れて攪拌しながら、2-ヒドロ
キシ-4-メチルチオブチロニトリルを途中添加しつつ、
20℃で43時間反応させた。反応終了後、反応液中の
2-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸濃度は315mM(45g
/L)であった。2-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸は、高
速液体クロマトグラフィー法(カラム:Sperisorb S5OD
S2(4.6×150mm)、移動相:0.1%(V/V)リン酸(pH 4.6):
アセトニトリル=9:1、流速:1.0ml/min.、検出:2
10nm、カラム温度:40℃)により、定量した。2
-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸は、以下の操作により精
製した。まず、反応液を陰イオン交換樹脂DOWEX 1x2(OH
- form)のカラム(18 x 205 mm)に適用した。このカラム
を蒸留水で十分に洗浄した後、0.01N 酢酸で300
mlで洗浄した。さらに同液で溶出を続けると2-ヒドロ
キシ-4-メチルチオ酪酸が溶出し始めた。生成物を溶出
画分を集め、濃縮乾固させて酢酸を除き、更にデシケー
ターで水分を除去した。回収した反応生成物は、NMR分
析により2-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸であることを
確認した。以上のとおり、本発明によるニトリラーゼ
は、300mMを越えるHMBAを生成する、きわめて加
水分解活性の高い酵素であることが明らかである。そし
てこの高い酵素活性は、これまでに報告されたことの無
い、高度なアンモニア耐性に基づくものであることが推
測された。
【0057】
【発明の効果】本発明によって、HMBAの製造に有用
なアンモニア耐性を持つニトリラーゼが提供された。本
発明のニトリラーゼ、あるいはニトリラーゼ産生微生物
を利用して2−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロニト
リルから簡便に2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸
(HMBA)を製造することが可能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 1/20 C12R 1:01) (C12P 13/00 C12R 1:01)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococc
    us rhodochrous)に由来し、下記の理化学的性質を有す
    るニトリラーゼ。 (a)作用:ニトリル化合物のニトリル基に作用し、ニ
    トリル基をカルボン酸基とアンモニアに加水分解する反
    応を触媒する。 (b)分子量:SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
    おける分子量が約40kDaであり、ゲルろ過クロマトグラ
    フィーによる分子量が約400kDaを示す。 (c)基質特異性: 脂肪族ニトリル、芳香族ニトリ
    ル、複素環ニトリルに作用する。 (d)温度安定性:pH 6.5で15分間熱処理した場合、40
    ℃までは安定であったが、50 ℃で約40%の失活が認めら
    れ、60℃以上では完全に失活する。 (e)至適温度:pH 6.5で反応させる場合、温度約50℃
    において作用が至適である。 (f)安定化剤:1 mMジチオスレイトール、1 mMメルカ
    プトエタノールによって、その活性が安定に保持され、
    さらにこれらによって活性化される。 (g)阻害剤:Hg++、Cu++、およびp-chloromercuriben
    zoateにより失活する (h)アンモニア耐性:1.5M 硫酸アンモニウムに対し
    ても阻害を受けない。
  2. 【請求項2】 300mM以上の2-ヒドロキシ-4-メチル
    チオ酪酸を蓄積する能力を有する請求項1に記載のニト
    リラーゼ。
  3. 【請求項3】 微生物がロドコッカス・ロドクラウスB
    24−1である請求項1に記載のニトリラーゼ。
  4. 【請求項4】 FERM P-17515として寄託されたロドコッ
    カス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodochrous)B24
    −1。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のロドコッカス・ロドク
    ラウス(Rhodococcusrhodochrous)を培養して、その培養
    物から請求項3に記載のニトリラーゼを採取することを
    特徴とするニトリラーゼの製造方法。
  6. 【請求項6】 ロドコッカス・ロドクラウスB24−1
    の菌体を2-ヒドロキシ-4-メチルチオブチロニトリルに
    作用させ、生成した2-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸を
    採取することを特徴とする4-メチルチオ-2-ヒドロキシ
    酪酸の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1、請求項2、および請求項3の
    いずれかに記載のニトリラーゼを4-メチルチオブチロニ
    トリルに作用させ、生成した2-ヒドロキシ-4-メチルチ
    オ酪酸を採取することを特徴とする2-ヒドロキシ-4-メ
    チルチオ酪酸の製造方法。
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