JP2001053578A - 弾性表面波又は擬似弾性表面波デバイス用圧電性単結晶ウエーハ - Google Patents

弾性表面波又は擬似弾性表面波デバイス用圧電性単結晶ウエーハ

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JP2001053578A
JP2001053578A JP11230246A JP23024699A JP2001053578A JP 2001053578 A JP2001053578 A JP 2001053578A JP 11230246 A JP11230246 A JP 11230246A JP 23024699 A JP23024699 A JP 23024699A JP 2001053578 A JP2001053578 A JP 2001053578A
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Yoshiyuki Shiono
嘉幸 塩野
Yoshinori Kuwabara
由則 桑原
Toshihiko Ryuo
俊彦 流王
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弾性表面波速度又は擬似弾性表面波速度の偏
差が少ない、速度均一性に優れた弾性表面波又は擬似弾
性表面波デバイス用圧電性単結晶ウエーハを提供する。 【解決手段】 弾性表面波又は擬似弾性表面波を送受信
する電極が形成されるウエーハ面のエッチングピット密
度が、7.8×10個/mm以下であることを特徴
とする弾性表面波又は擬似弾性表面波デバイス用圧電性
単結晶ウエーハ。上記圧電性ウエーハは、タンタル酸リ
チウム単結晶からなることが特に好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性表面波又は擬
似弾性表面波デバイス用圧電性単結晶ウエーハに関す
る。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波デバイス又は擬似弾性表面波
デバイスは、電気信号をそれぞれ弾性表面波又は擬似弾
性表面波に変換して信号処理を行う回路素子であり、従
来、フィルタ、共振子、遅延線などに用いられている。
このような弾性表面波デバイス又は擬似弾性表面波デバ
イスは、一般的に、圧電性単結晶ウエーハの表面上に弾
性表面波又は擬似弾性表面波を送受信する電極を形成さ
せ、チップ状に切り出したものである。
【0003】前記圧電性単結晶ウエーハ自体は、一般的
に次のように製造される。まず、圧電性を有する単結晶
を適当な単結晶育成法により、例えばタンタル酸リチウ
ム単結晶棒をチョクラルスキー法(CZ法)により育成
する。次いで、この単結晶棒を円筒研削加工し、この円
筒状単結晶棒を一定の結晶面方位を有するようにスライ
スしてウエーハを切り出す。さらに、このように得られ
たウエーハの片面又は両面にラッピング、鏡面研磨を順
次施すことで圧電性単結晶ウエーハとすることができ
る。
【0004】このように製造された圧電性単結晶ウエー
ハは、前記鏡面研磨が施された面に、主としてAlから
なる電極を一定の方向に形成し(以下、電極が形成され
る面を電極形成面、あるいはウエーハ面と言う場合があ
る)、これをチップ状に切り出すことによって弾性表面
波又は擬似弾性表面波デバイスが作製される。
【0005】前記のように作製された弾性表面波又は擬
似弾性表面波デバイスの性能は、使用する材料、結晶方
位、電極の設計、作製条件等、様々な要因により決定さ
れるが、弾性表面波又は擬似弾性表面波デバイスで特に
注目すべき性能要因として、ウエーハ面から数十μmま
での深さに存在する表面加工層があげられる。
【0006】弾性表面波と表面加工層との関係、あるい
は表面加工層を考慮した弾性表面波用単結晶ウエーハの
研磨加工方法については次のような報告がされている。
木村ら(木村ら、信学技法、US75−56、17−2
3、1975年)は、水晶を用いて表面加工層と弾性表
面波のQ値との関係を調査し、マイクロクラックのよう
な顕著な表面加工層が半波長の深さまで存在するような
場合、上記弾性表面波のQ値の違いとして現れることを
報告している。
【0007】また、Kimuraら(T.Kimura
et al.、J.Appl.Phys.,50
(7),4767−4772,(1979))は、水晶
を用いて表面加工層と弾性表面波の伝搬ロスとの関係を
調査、解析し、マイクロクラックの深さ及び量と、伝搬
ロスとの関係を報告している。
【0008】弾性表面波用タンタル酸リチウム単結晶ウ
エーハの研磨加工方法としては、シリコン単結晶ウエー
ハ加工で用いられている方法と同様に、ラッピング加工
後にSiOコロイダル研磨液を使用するポリッシング
方法が報告されている(日本学術振興会弾性表面波素子
技術第150委員会編、弾性波素子ハンドブック、29
6−298(1991))。ポリッシング工程で重要な
ことは鏡面状態を得ることと共にラッピング工程での加
工ひずみ層を完全に除去することであり、通常15μm
以下の研磨砥粒でラッピングするので加工ひずみ層は1
0μm以下であり、10μmも研磨すれば十分であると
報告されている。
【0009】以上のように、弾性表面波と表面加工層と
の関係、及び表面加工層を考慮した弾性表面波用単結晶
ウエーハの研磨加工方法についての報告は以前よりある
が、その一方、擬似弾性表面波と表面加工層との関係、
あるいは擬似弾性表面波用単結晶ウエーハの研磨加工方
法に関する報告はされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、弾性表面波
又は擬似弾性表面波デバイスは、近年、爆発的に普及し
ている移動体通信用フィルタとして非常に需要が高まっ
ており、同時に、品質向上の要求、特にデバイスに使用
される圧電性単結晶ウエーハ面内及びウエーハ毎の弾性
表面波速度、又は擬似弾性表面波速度の均一性向上の要
求が高まっている。
【0011】弾性表面波速度及びその均一性に関して
は、組成や切断方法、あるいは伝搬方位との関係が報告
されている(日本学術振興会弾性表面波素子技術第15
0委員会編、弾性波素子ハンドブック、289−30
2、(1991)、及び相川他、電子情報通信学会秋季
大会、19、(1994))。
【0012】しかしながら、近年は組成や切断方法、伝
搬方位だけでは説明できないと考えられる弾性表面波速
度又は擬似弾性表面波速度のウエーハ面内、あるいはウ
エーハ毎の偏差が問題となっている。
【0013】そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされ
たもので、弾性表面波速度又は擬似弾性表面波速度の偏
差が少ない、速度均一性に優れた弾性表面波又は擬似弾
性表面波デバイス用圧電性単結晶ウエーハを提供するこ
とを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以下の2
つの理由から弾性表面波速度又は擬似弾性表面波速度の
偏差と表面加工層との関係に着目し、調査した。まず一
つは、前記したように、弾性表面波のQ値や伝搬ロスと
表面加工層との関係は報告されているが、弾性表面波速
度又は擬似弾性表面波速度の偏差と表面加工層との関係
は報告されていなかったためである。もう一つは、近年
要求されている品質を満足するためにはマイクロクラッ
ク以外の表面加工層を考慮する必要があると考えられた
ためである。
【0015】近年要求されている品質は、従来のそれと
は明らかに異なっているにもかかわらず、加工方法及び
着眼点は従来の技術のままであった。そこで、本発明者
らは弾性表面波又は擬似弾性表面波のエネルギーが集中
する表面近傍、すなわち表面加工層の状態は非常に重要
であると考えた。ここでの表面加工層とはマイクロクラ
ックだけでなく、加工歪等も含めたものである。そし
て、本発明者らは、表面加工層の定量評価方法としてエ
ッチングピット密度計測が有効であることを見出し、そ
の結果、エッチングピット密度と弾性表面波速度又は擬
似弾性表面波速度の偏差との相関を見出した。
【0016】すなわち、前記目的を達成するため、本発
明の請求項1に記載した発明は、弾性表面波又は擬似弾
性表面波を送受信する電極が形成されるウエーハ面のエ
ッチングピット密度が、7.8×10個/mm以下
であることを特徴とする弾性表面波又は擬似弾性表面波
デバイス用圧電性単結晶ウエーハである。
【0017】このように、弾性表面波又は擬似弾性表面
波を送受信する電極が形成されるウエーハ面のエッチン
グピット密度を7.8×10個/mm以下とするこ
とで、デバイス作製時の弾性表面波速度又は擬似弾性表
面波速度の偏差が小さくなり、伝搬特性に優れた弾性表
面波又は擬似弾性表面波デバイス用圧電性単結晶ウエー
ハとなる。
【0018】また、この場合、請求項2に記載したよう
に、前記圧電性単結晶ウエーハは、タンタル酸リチウ
ム、ニオブ酸リチウム、水晶、四ホウ酸リチウム、又は
ランガサイトからなる単結晶ウエーハであることが好ま
しい。特に、タンタル酸リチウム単結晶からなる圧電性
単結晶ウエーハは、バランスのとれた弾性表面波又は擬
似弾性表面波特性を有している。
【0019】さらに好ましくは、請求項3に記載したよ
うに、前記圧電性単結晶ウエーハは、電極が形成される
ウエーハ面がX軸と平行であり、且つ該ウエーハ面の垂
線とY軸(但し、単結晶のa軸をX軸、c軸をZ軸とし
たときに、X軸及びZ軸に直交する軸をY軸とする。)
との成す角度が33〜46°の範囲にある(以後33〜
46°Yカットと記す)タンタル酸リチウム単結晶ウエ
ーハである。このように、圧電性単結晶ウエーハが上記
のようなタンタル酸リチウム単結晶であれば、該圧電性
単結晶ウエーハは特に一層優れた擬似弾性表面波特性を
示す。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0021】前記したように、本発明者らは、弾性表面
波又は擬似弾性表面波デバイスにおいて、弾性表面波速
度又は擬似弾性表面波速度の偏差と表面加工層との関係
に着目し、調査、研究を行った。その結果、ウエーハの
電極形成面のエッチングピット密度と弾性表面波又は擬
似弾性表面波速度の偏差との相関を見出した。すなわ
ち、本発明者らは、弾性表面波又は擬似弾性表面波デバ
イス用圧電性単結晶ウエーハの電極形成面のエッチング
ピット密度が小さいほど、この面に電極を形成して弾性
表面波又は擬似弾性表面波デバイスとしたとき、弾性表
面波速度又は擬似弾性表面波速度の均一性が向上し、つ
まり、それらの速度偏差が小さくなることを見出した。
【0022】従って、ウエーハの電極形成面のエッチン
グピット密度を小さくすることで、デバイス作製時の弾
性表面波又は擬似弾性表面波の速度偏差が小さくなり、
伝搬性に優れた弾性表面波又は擬似弾性表面波デバイス
を得ることができる。また、このようにエッチングピッ
ト密度の小さい圧電性単結晶ウエーハを製造すること
で、デバイス作製時の弾性表面波又は擬似弾性表面波速
度偏差が基準値を超えてしまうようなことがなくなると
共に、不良率が大幅に減少し、ひいては歩留りが向上す
る。
【0023】そして、弾性表面波又は擬似弾性表面波デ
バイス用圧電性単結晶ウエーハは、弾性表面波又は擬似
弾性表面波を送受信する電極が形成されるウエーハ面の
エッチングピット密度を7.8×10個/mm以下
とすることで、デバイス作製時の弾性表面波速度又は擬
似弾性表面波の速度均一性が極めて優れ、速度偏差が非
常に小さく、伝搬特性に優れた弾性表面波又は擬似弾性
表面波デバイス用圧電性単結晶ウエーハとすることがで
きる。
【0024】また、本発明の圧電性単結晶ウエーハにお
いて、弾性表面波又は擬似弾性表面波が伝搬するウエー
ハ面(電極形成面)は、弾性表面波又は擬似弾性表面波
の伝搬損失を抑え、且つウエーハの使用目的等に応じた
最適の弾性表面波又は擬似弾性表面波特性を示すウエー
ハ面が好ましい。特に、近年の移動体通信の普及に伴
い、33〜46°Yカットタンタル酸リチウムを用いた
フィルタが多く使用され、このフィルタは特に速度偏差
が小さいことが要求されているので、33〜46°Yカ
ットタンタル酸リチウムが特に好ましい。なお、ここで
は、タンタル酸リチウム単結晶のa軸をX軸、c軸をZ
軸としたときに、X軸及びZ軸に直交する軸をY軸とす
る。
【0025】図1は、このような好適なウエーハ表面を
有するウエーハの面方位を説明する図である。図1中、
1はウエーハ表面を示し、2はウエーハ表面1の垂線方
向(即ち33〜46°回転Y方向)を示す。図1から判
るように、33〜46°Yカットタンタル酸リチウム単
結晶ウエーハにおいては、ウエーハ表面1はX軸と平行
であり、且つウエーハ表面1の垂線方向2とY軸との成
す角度は33〜46°となっている。
【0026】本発明の弾性表面波又は擬似弾性表面波デ
バイス用圧電性単結晶ウエーハの材質としては、前記タ
ンタル酸リチウムのほか、圧電性単結晶として良好な圧
電性を有し、ウエーハとした時に優れた弾性表面波又は
擬似弾性表面波特性を示すものであれば、全て適用でき
る。具体的には、ニオブ酸リチウム、水晶、四ホウ酸リ
チウム、又はランガサイトが挙げられるが、特に、タン
タル酸リチウムが好ましい。
【0027】なお、圧電性単結晶の育成法としては、F
Z法、ボート法等、種々の方法が挙げられるが、特には
結晶引上げ法(CZ法)を好適に利用することができ
る。即ち、圧電性単結晶原料(例えばタンタル酸リチウ
ム粗結晶)を融解させ、種結晶をこの融液に接触させ
る。そして、単結晶を育成させつつ回転させながら種結
晶を引上げて圧電性単結晶を成長させる。
【0028】単結晶を引き上げる際、弾性表面波又は擬
似弾性表面波の伝搬損失を抑え且つウエーハの使用目的
等に応じた最適の弾性表面波又は擬似弾性表面波特性を
示す結晶面と、単結晶の育成軸とが垂直になる方向に、
単結晶を引き上げるのが好ましい。このような方向に単
結晶を引き上げることにより、後述するように単結晶の
育成軸に垂直にスライスしてウエーハを切り出した場
合、擬似弾性表面波の伝搬損失を抑え且つウエーハの使
用目的等に応じた最適の弾性表面波又は擬似弾性表面波
特性を示す結晶面をウエーハ表面とすることができる。
もちろん、任意の結晶軸方向に結晶を成長させ、切断す
る際に最適の結晶面となるように切断するようにしても
よい。
【0029】具体的には、圧電性単結晶がタンタル酸リ
チウム単結晶である場合、Y軸からZ軸方向に33〜4
6°回転させた方向(即ち図1における垂線方向2)が
育成軸となるように、単結晶を引き上げるのが好ましい
(尚、Y軸及びZ軸は前記と同義。)。
【0030】このような方向に単結晶を引き上げるに
は、種結晶として結晶軸の方向がY軸からZ軸方向に3
3〜46°回転させた方向(即ち図1における垂線方向
2)の種結晶を用い、これをそのまま垂直方向へ引き上
げればよい。すなわち、結晶面がX軸と平行であり且つ
結晶面の垂線とY軸との成す角度が33〜46°である
ような結晶面(即ち、図1中のウエーハ表面1に該当す
る結晶面)が水平になるように種結晶を加工し、これを
結晶面が水平になるようにチャック等に取り付け単結晶
を育成させ、これを回転させながら垂直方向へ引き上げ
ればよい。
【0031】次いで、このようにして育成した圧電性単
結晶を、必要に応じ円筒研削加工(円筒状加工)等を行
った後、スライスしてウエーハを切り出す。その際、得
られた単結晶の育成軸に垂直にスライスするのが好まし
い。このようにスライスすることにより、スライスする
際の加工ロスを最も少なくすることができ、ウエーハ製
造の歩留りを向上させることができる。スライスは、例
えばマルチワイヤーソー、内周刃スライサー等にて行
う。
【0032】上記のように得られたウエーハに必要に応
じ面取り加工を施した後、ラッピングし、さらに電極形
成面を鏡面研磨する。なお、エッチングピット密度を小
さくするには、例えば鏡面研磨における研磨液、研磨量
等の研磨条件で調整することができる。鏡面研磨後に得
られる本発明に係る弾性表面波又は擬似弾性表面波デバ
イス用圧電性単結晶ウエーハは、ウエーハ面のエッチン
グピットを7.8×10個/mm以下とすること
で、デバイス作製時の速度均一性が極めて優れ、速度偏
差が非常に小さい弾性表面波又は擬似弾性表面波デバイ
ス用圧電性単結晶ウエーハとすることができる。
【0033】なお、上記により得られた所望のエッチン
グピット密度を有する圧電性単結晶ウエーハを用いて、
例えば、擬似弾性表面波デバイスを作製するには、常法
に従い、圧電性単結晶ウエーハの鏡面研磨された電極形
成面上に主としてAlからなる膜を被覆する。そして、
フォトリソグラフィ等を使用した微細加工技術により所
望形状、例えば櫛形の電極を形成した後、チップ状に切
り出すことによって擬似弾性表面波デバイスが作製され
る。
【0034】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。 (実施例、比較例) <弾性表面波又は擬似弾性表面波デバイス用圧電性単結
晶ウエーハの製造>圧電性単結晶としてタンタル酸リチ
ウム単結晶をCZ法にて育成した。すなわち、ルツボ中
でタンタル酸リチウム粗結晶原料を融解させ、タンタル
酸リチウム種結晶をこの融液に接触させ、単結晶を育成
させつつこれを引上げて、タンタル酸リチウム単結晶棒
を得た。
【0035】その際、種結晶として、種結晶の結晶軸の
方向がX軸を中心にしてY軸からZ軸方向に36°回転
させた方向(即ち36°回転Y方向)であるものを用
い、これをそのまま垂直方向へ引き上げた。このように
して、36°回転Y方向が育成軸となるように単結晶を
引き上げ、直径80mm、長さ100mmのタンタル酸
リチウム単結晶棒を得た。
【0036】この単結晶棒に単一分域化処理(結晶内の
電気的分極をそろえる操作)を施し、直径76.2mm
の円筒状に加工し、さらに、36°Y方向がウエーハ面
と垂直となるようにマルチワイヤソーでウエーハに切断
した。その後、両面を平均粒径12μmのSiC砥粒材
を用いてラッピングし、擬似弾性表面波を送受信する電
極を形成する面(電極形成面)をSiOコロダイル研
磨液((株)フジミインコーポレーテッド製、COMP
OL−50)を用いてそれぞれ異なる条件で鏡面研磨を
行い、エッチングピットの異なるウエーハを得た。得ら
れたタンタル酸リチウム単結晶ウエーハは直径76.2
mm、厚さ0.4mmである。
【0037】<エッチングピット密度計測>50重量%
のフッ化水素酸溶液に前記得られたタンタル酸リチウム
単結晶ウエーハを50時間浸漬し、エッチングピットを
表出させた。取り出したウエーハの表面を顕微鏡にて観
察し、エッチングピットの数量を計測し、単位面積に換
算してエッチングピット密度とした。本実施例では、反
射型金属顕微鏡、明視野、100倍にて0.1mm×
0.1mmの領域を観察し、エッチングピット密度を計
測した。1枚のウエーハでは中心位置1ヶ所、及び外周
から中心に向かって10mmの位置4ヶ所、計5ヶ所を
計測した。同一条件で鏡面研磨を行った5枚のウエーハ
を観察し、計25ヶ所を計測した。計測した25のデー
タの平均値をその研磨条件でのエッチングピット密度と
した。
【0038】<擬似弾性表面波速度の測定>ウエーハの
表面にアルミニウム膜を成膜し、フォトリソグラフィに
より櫛型電極を形成し、1枚のウエーハから100個の
1ポート共振器を作製した。弾性表面波速度または擬似
弾性表面波速度と周波数には以下の関係がある。 v=f・λ ここで、vは擬似弾性表面波速度(m/s)、fは周波
数(MHz)、λは波長(μm)である。今回の測定で
は、電極周期λ/4=1μmとし、周波数をネットワー
クアナライザにより測定し、擬似弾性表面波速度を求め
た。
【0039】同一条件で鏡面研磨を行った5枚のウエー
ハの擬似弾性表面波速度、すなわち測定により得られた
500のデータの最大値と最小値との差をその研磨条件
での擬似弾性表面波速度偏差とし、擬似弾性表面波速度
偏差2.0m/s以下を合格とした。以上、圧電性単結
晶ウエーハのエッチングピット密度と、該ウエーハに電
極を形成して作製した共振器の擬似弾性表面波速度偏差
の測定結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】表1から明らかなように、エッチングピッ
ト密度と擬似弾性表面波速度との関係はよく一致してお
り、エッチングピット密度が小さいほど、擬似弾性表面
波速度偏差も小さくなっている。なお、再現性も良好で
あった。
【0042】また、上記実施例は、擬似弾性表面波での
36°Yカットタンタル酸リチウム単結晶ウエーハを用
いたものであるが、弾性表面波でのXカットタンタル酸
リチウム単結晶ウエーハを用いたものでも、エッチング
ピット密度と弾性表面波速度偏差の関係は同様であっ
た。さらに、ニオブ酸リチウム、水晶、四ホウ酸リチウ
ム、ランガサイトからなる単結晶ウエーハを用いたもの
でも同様の結果が得られた。
【0043】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本
発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的
に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、
いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含され
る。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる弾
性表面波又は擬似弾性表面波デバイス用圧電性単結晶ウ
エーハは、弾性表面波又は擬似弾性表面波を送受信する
電極が形成されるウエーハ面のエッチングピット密度
が、7.8×10個/mm以下であり、このウエー
ハを用いて作製される弾性表面波又は擬似弾性表面波デ
バイスは、それぞれ弾性表面波速度又は擬似弾性表面波
速度の偏差が小さく、伝搬特性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】33〜46°Yカットタンタル酸リチウム単結
晶ウエーハにおけるウエーハ表面の方位を示す。
【符号の説明】 1…ウエーハ表面、 2…垂線方向。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 流王 俊彦 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 Fターム(参考) 5J097 AA32 FF01 GG03 HA01 HA02 HB08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性表面波又は擬似弾性表面波を送受信
    する電極が形成されるウエーハ面のエッチングピット密
    度が、7.8×10個/mm以下であることを特徴
    とする弾性表面波又は擬似弾性表面波デバイス用圧電性
    単結晶ウエーハ。
  2. 【請求項2】 前記圧電性単結晶ウエーハが、タンタル
    酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶、四ホウ酸リチウ
    ム、又はランガサイトからなる単結晶ウエーハであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波又は擬似弾
    性表面波デバイス用圧電性単結晶ウエーハ。
  3. 【請求項3】 前記圧電性単結晶ウエーハが、電極が形
    成されるウエーハ面がX軸と平行であり、且つ該ウエー
    ハ面の垂線とY軸(但し、単結晶のa軸をX軸、c軸を
    Z軸としたときに、X軸及びZ軸に直交する軸をY軸と
    する。)との成す角度が33〜46°の範囲にあるタン
    タル酸リチウム単結晶ウエーハであることを特徴とする
    請求項1に記載の擬似弾性表面波デバイス用圧電性単結
    晶ウエーハ。
JP11230246A 1999-08-17 1999-08-17 弾性表面波又は擬似弾性表面波デバイス用圧電性単結晶ウエーハ Pending JP2001053578A (ja)

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