JP2001052639A - 電子銃、電子光学系及び電子線装置 - Google Patents

電子銃、電子光学系及び電子線装置

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JP2001052639A
JP2001052639A JP11229454A JP22945499A JP2001052639A JP 2001052639 A JP2001052639 A JP 2001052639A JP 11229454 A JP11229454 A JP 11229454A JP 22945499 A JP22945499 A JP 22945499A JP 2001052639 A JP2001052639 A JP 2001052639A
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electron
anode
crossover
optical system
electron beam
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JP11229454A
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Erika Kanematsu
えりか 兼松
Naoto Kihara
直人 木原
Hiroshi Nishimura
宏 西村
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロスオーバーの位置と径の両方を所望の値
に調整することのできる電子銃を提供する。 【解決手段】 カソード1から出てきた一次電子線28
は、広がりながら放出されるが、ウェネルト2に印加さ
れた負の抑圧電圧による影響で、ウェネルト2と第1ア
ノード3の間付近で絞られて、第1クロスオーバー29
が形成される。第2アノード4、第3アノード5の電圧
を調節することにより、再び一次電子線28が絞られて
できる第2クロスオーバー30の位置をガンアパーチャ
6の位置にすると共に、第2クロスオーバー30の大き
さを調整することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子銃、それを備
えた電子光学系、及びそれを使用した電子線装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電子銃は、アノード電極が1つの
シングルアノードタイプ、アノード電極が2つあるダブ
ルアノードタイプが用いられてきたが、いずれを用いる
場合でも、後に続く照射電子光学系(電子レンズ系)
は、電子銃とは独立に設計されていた。このような事情
により、電子銃で発生した電子線が1番細く絞られてで
きるクロスオーバーは、電子銃より後段の照射電子光学
系にとっては光源に相当するため、その位置と大きさの
両方を所定の値に制御する必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アノード電極
が1つの場合、カソード、コントロール電極(ウェネル
トなど)、アノードの3電極の関係でクロスオーバーの
位置や大きさはほぼ決定されてしまい、加速電圧やエミ
ッション電流など、電子銃としてのその他の性能を変え
ずに、クロスオーバーの位置や大きさを変えることは困
難であった。
【0004】アノード電極が2つあるダブルアノードタ
イプの場合、カソード、コントロール電極(ウェネルト
など)と、カソードに近い方のアノード(第1アノー
ド)で、アノード電極が1つの場合と同じように第1ク
ロスオーバーが形成されるが、もう一つのアノード(第
2アノード)の電圧を調整することにより、この第1ク
ロスオーバーの像を、再度を結像させて第2クロスオー
バーを形成することができる。
【0005】従って、第2アノード電圧を調整してレン
ズ効果を調節することにより、クロスオーバー径、また
はクロスオーバー位置を任意に変えることが可能であ
る。しかしダブルアノードタイプの場合でも、第1クロ
スオーバーをリレーして第2クロスオーバー結像させる
ためのレンズ部では、調節できる電圧が一つしかないた
め、レンズの焦点距離、または倍率のどちらか一方しか
調節できない。つまり第2クロスオーバーの位置、また
はクロスオーバー径のどちらか一方しか、希望する値に
調整することはできなかった。よって、従来の技術では
電子銃後段の照射電子光学系にとって重要な、光源に相
当するクロスオーバーの位置や径を同時に独立に任意に
調節することができなかった。
【0006】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、クロスオーバーの位置と径の両方を所望の値に
調整することのできる電子銃、電子銃と組み合わせてこ
れと等価な効果を得ることのできる電子光学系、及びこ
の電子光学系を使用した電子線装置を提供することを課
題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、カソードと、電子ビームの発生量をコ
ントロールするための電極と、少なくとも3つ以上の電
極で構成されているアノードとを有してなる電子銃であ
って、(a) 複数のアノード電極のうち、カソードに1番
近いアノード電極を除いた残りの2つ以上のアノード電
極は、少なくとも2つ以上の電極の電圧が独立に制御可
能であり、(b) カソード、電子ビームの発生量をコント
ロールするための電極、及び複数のアノード電極のうち
カソードに1番近いアノード電極で第1クロスオーバー
を形成し、(c) 第1クロスオーバーの像を、アノード電
極により、任意の倍率で任意の位置に結像させるように
したことを特徴とする電子銃(請求項1)である。
【0008】本手段においては、従来の電子銃と同じよ
うな作用により第1クロスオーバーが形成される。この
第1クロスオーバーの像を、アノード電極により、任意
の倍率で任意の位置に結像させる。すなわち、2つ以上
のアノード電極において2つ以上の電極電圧を独立に制
御可能であるので、電子レンズを2つ以上形成すること
ができ、この電子レンズ系の焦点距離と倍率を独立に制
御することができる。よって、第1クロスオーバーの像
である第2クロスオーバーを、任意の倍率で任意の位置
に結像させることができる。
【0009】特に、第2クロスオーバーが形成される位
置を、電子銃出側の開口絞り(ガンアパーチャ)位置と
し、第2クロスオーバーの大きさをこの開口絞りの大き
さ程度、又はそれ以上とすれば、照明むらに関係するよ
うな余分な電子線をカットすることができる。また、こ
のようにすれば、電子銃の後に設置される電子光学系に
とって、光源の位置が固定されるばかりでなく、像倍率
(第2クロスオーバーの大きさ)を変えることにより、
カソードからのエミッション電流量を変えることなく、
電子線の開き角を変え、電子銃の後に設置された電子線
光学系に含まれる視野絞りでけられる電子線量を調節す
ることができ、最終的な所定照明エリアを照射する電子
線照射量を変えることが可能となる。
【0010】前記課題を解決するための第2の手段は、
前記第1の手段である電子銃を有してなる電子光学系で
ある。
【0011】本手段においては、電子銃の後に設けられ
る電子光学系の構成要素の設計を、光源が所定の位置に
所定の大きさで形成されることを前提として行うことが
できるので、設計や調整が容易となる。また、像倍率
(第2クロスオーバーの大きさ)を変えることにより、
カソードからのエミッション電流量を変えることなく、
電子線の開き角を変え、電子銃の後に設置された電子線
光学系に含まれる視野絞りでけられる電子線量を調節す
ることができ、最終的な所定照明エリアを照射する電子
線照射量を変えることが可能となる。
【0012】前記課題を解決するための第3の手段は、
カソードと、電子ビームの発生をコントロールするため
の電極と、少なくとも2つ以上の電極で構成されている
アノードとを備えた電子銃と、電子銃より後段に設けら
れた電子レンズ系とを備えた電子光学系であって、(a)
複数のアノード電極のうち、カソードに1番近いアノー
ド電極を除いた残りの1つ以上のアノード電極は、少な
くとも1つ以上の電極電圧が独立に制御可能であり、
(b) カソード、電子ビームの発生をコントロールするた
めの電極、及び複数のアノード電極のうち前記カソード
に1番近いアノード電極で第1クロスオーバーを形成
し、(c) 第1クロスオーバーの像を、アノード電極によ
り、任意の倍率で第2クロスオーバーとして結像させ、
(d) 第2クロスオーバーの像を、前記電子レンズ系によ
り、決められた位置に決められた倍率で結像させるよう
にしたことを特徴とする電子光学系(請求項3)であ
る。
【0013】本手段においては、従来の電子銃と同じよ
うな作用により第1クロスオーバーが形成される。この
第1クロスオーバーの像を、アノード電極により、任意
の倍率で第2クロスオーバーとして結像させる。第1の
手段と異なるのは、第2クロスオーバーの結像の際、倍
率を所定値に決定するだけで、結像位置は決定しないよ
うな制御を行うことである。よって、カソードに1番近
いアノード電極を除いた残りの1つ以上のアノード電極
において、少なくとも1つ以上の電極電圧が独立に制御
可能であれば実現できる。
【0014】本手段においては、電子銃側でなりゆきに
より決定された第2クロスオーバーの像を、電子銃より
後段に設けられた電子レンズ系により、決められた位置
に決められた倍率で結像させるようにしている。この場
合、前述のように第2クロスオーバーの大きさは電子銃
側で可能であるので、電子レンズ系は定倍率のものであ
り、第2クロスオーバーの位置のずれを補償し、その像
を定位置に結像させるような調整能力を有すればよい。
すなわち、電子レンズ系は、光源の位置変化に対応可能
な系とされていればよい。像の結像位置としては、一般
的には照明光学系における開口絞りの位置が選定され
る。本手段においては第2クロスオーバーの大きさを変
えることにより、電子線の開き角を調整して、電子銃よ
り公団に設けられる電子線光学系に含まれる視野絞りを
通過する電子線量を変えることができ、所定の照明エリ
ア内を任意のビーム電流量で照明することができる。な
お、本手段において、複数のアノード電極がアインツェ
ルレンズを構成するようにすれば、レンズ設計が容易と
なり、取り扱いが容易となる。
【0015】前記課題を解決するためのこの他の手段と
しては、熱電子放出型のカソードと、電子ビームの発生
をコントロールするための電極と、少なくとも2つ以上
の電極で構成されているアノードを備えた電子銃と、電
子銃より後段に設けられた電子レンズ系とを備えた電子
光学系であって、(a) 複数のアノード電極のうち、カソ
ードに1番近いアノード電極を除いた残りの1つ以上の
アノード電極において、少なくとも1つ以上の電極電圧
が独立に制御可能であり、(b) カソード、電子ビームの
発生をコントロールするための電極、及び複数のアノー
ド電極のうち前記カソードに1番近いアノード電極で第
1クロスオーバーを形成し、(c) 第1クロスオーバーの
像を、アノード電極により、任意の位置に第2クロスオ
ーバーとして結像させ、(d) 第2クロスオーバーの像
を、前記電子レンズ系により、決められた位置に所定の
倍率で結像させるようにしたことを特徴とする電子光学
系がある。
【0016】本手段においては、従来の電子銃と同じよ
うな作用により第1クロスオーバーが形成される。この
第1クロスオーバーの像を、複数のアノード電極によ
り、任意の倍率で第2クロスオーバーとして結像させ
る。第1の手段と異なるのは、第2クロスオーバーの結
像の際、結像位置を所定値に決定するだけで、像の倍率
は決定しないような制御を行うことである。よって、カ
ソードに1番近いアノード電極を除いた残りの1つ以上
のアノード電極において、少なくとも1つ以上の電極電
圧が独立に制御可能であれば実現できる。
【0017】本手段においては、電子銃側でなりゆきに
より決定された第2クロスオーバーの像を、電子銃より
後段に設けられた電子レンズ系により、決められた位置
に決められた倍率で結像させるようにしている。この場
合、前述のように第2クロスオーバーの位置は電子銃側
で可能であるので、電子レンズ系は定焦点距離を持ち、
第2クロスオーバーの大きさのずれを補償するような倍
率調整能力を有すればよい。像の結像位置としては、一
般的には照明光学系における開口絞りの位置が選定され
る。
【0018】本手段においては、電子銃より後段に設け
られた電子レンズ系の倍率を変えることにより、電子線
の開き角を調整でき、所定照明エリア内を任意のビーム
電流量で照明することができる。本手段において、「所
定の倍率で」というのは、一定倍率のことではなく、予
め要求される倍率に調整可能であることを意味する。な
お、本手段において、複数のアノード電極がアインツェ
ルレンズを構成するようにすれば、レンズ設計が容易と
なり、取り扱いが容易となる。
【0019】前記課題を解決するための第4の手段は、
前記第3の手段又は第3の手段のいずれかの電子光学系
を有してなることを特徴とする電子線装置(請求項4)
である。
【0020】電子線装置とは、電子顕微鏡や、電子線露
光装置等、電子線を応用したあらゆる装置をいう。これ
らの電子線装置においては、照明光源の位置と大きさが
厳密に決定されるので、精度のよい装置とすることがで
きる。
【0021】このような電子装置の内でも、特に、照射
線源から発した照射用荷電粒子線を照射光学系を介して
光路切り替え手段に入射させ、光路切り替え手段を通過
した照射用荷電粒子線を対物光学系を介して物体面に入
射させ、物体面から放出された観察用荷電粒子線を前記
対物光学系を介して前記光路切り替え手段に入射させ、
光路切り替え手段によって照射線源に至る方向とは異な
る方向に観察用荷電粒子線を導き、光路切り替え手段を
通過した後の観察用荷電粒子線を結像光学系を介して検
出手段に入射させる荷電粒子線写像投影光学系において
は、前記作用効果が発揮される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例
を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態
の1例である電子線検査装置の例を示す概略構成図であ
る。図1において、1はカソード、2はウェネルト、3
は第1アノード、4は第2アノード、5は第3アノー
ド、6はガンアパーチャ、7は電子銃、8は一次光学
系、9は電磁プリズム、10は開口絞り、11はアライ
ナ、12はカソードレンズ、13は二次光学系、14は
MCP(Micro Channel Plate)、15はリレーレンズ、
16は撮像素子、17は一次コラム、18は二次コラ
ム、19は試料室チャンバー、20は試料、21はXス
テージ、22はYステージ、23はXステージ駆動部、
24はコントロールユニット、25はCPU、26はデ
ィスプレイ、27は一次電子線、28は二次電子線であ
る。以下の図においては、これらと同じ要素には同じ符
号を付してその説明を省略する。
【0023】この電子線検査装置は、主に一次コラム1
7と二次コラム18と試料室チャンバー19とで構成さ
れている。それらには、真空排気系(不図示)が設置さ
れている。そして、真空排気系による排気によって、電
子線検査装置の内部は真空に保たれている。試料室チャ
ンバー19の内部には、Xステージ駆動部23によって
X方向に移動可能なXステージ21と、 Yステージ駆
動部(不図示)によってY方向に移動可能なYステージ
22が設置されている。Xステージ21上には、試料2
0などが載っている。
【0024】図1に示すように、一次コラム17の内部
に設置された電子銃7から照射される一次電子線27
は、一次光学系8(電子レンズ系)を通過して、電磁プ
リズム9に入射する。電磁プリズム9は周知のE×Bか
ら成り立っており、ウィーンフィルターの原理により、
斜め入射する一次電子線27の進行方向を変えて垂直入
射の電子線とする。
【0025】ここで、電子銃7は熱電子放出型のカソー
ド1、電子ビームの発生をコントロールするための電極
であるウェネルト2、アノード3〜5、ガンアパーチャ
6などで構成されており、クロスオーバー(電子線が1
番細く絞られるところ)を形成する。このクロスオーバ
ーが電子銃7の後段に続く一次光学系8にとって光源に
相当する。
【0026】一次光学系8は、電子レンズ、アライナ、
アパーチャ等で構成されている。一次電子線27は、電
磁プリズム9によって、その光路が変更された後、開口
絞り10に達し、この位置で電子銃7で形成されたクロ
スオーバーの像を結像する。開口絞り10を通過した一
次電子線27は、アライナ11を通過した後、カソード
レンズ12によるレンズ作用を受けて、試料20をケー
ラー照明する。
【0027】試料20に一次電子線27が照射される
と、試料20からは、その表面形状、材質分布、電位の
変化などに応じた分布の二次電子線28及び反射電子線
などが発生する。このうち、この実施の形態では、主に
二次電子線28が観察用電子線となる。
【0028】試料20から放出された二次電子線28
は、カソードレンズ12、アライナ11、開口絞り10
を通過した後、電磁プリズム9中を直進し、二次光学系
13を通過した後、MCP (Micro Channel Plate)14
に入射する。ここで、二次電子光学系13は、電子レン
ズ、アライナ、アパーチャ等で構成されている。MCP
14の蛍光板には、二次光学系13によって拡大された
試料20の光学像が投影されており、大気中に置かれた
リレーレンズ15を通過して、CCDなどの撮像素子1
6に結像される。そして、撮像素子16に入射した光
は、光電変換されて、コントロールユニット24及びC
PU25へと伝達され、ディスプレイ26上に試料20
の像が表示されることになる。CPU25は、制御信号
を各電子光学系やステージ駆動部等に送り、電圧制御や
複数の試料の観察、検査などを順次行うための制御がで
きる。
【0029】次に電子銃部7について、アノードをトリ
プルアノードにした場合を例にとり、第1の実施の形態
を説明する。図2は、この実施の形態の概要図である。
図2において29は第1クロスオーバー、30は第2ク
ロスオーバーである。
【0030】図2に示すように、この熱電子放出型電子
銃の場合、電子銃7は、カソード1、カソードからの電
子放出(電子ビームの発生量)を調節するためのウェネ
ルト2、アノード3〜5、及びガンアパーチャ6から構
成されている。ここでアノード3〜5は3つの電極で構
成されており、電極電圧が独立に制御可能になってい
る。カソード1には、第1アノード3に対して負の加速
電圧Vaccが印加されており、これにより一次電子線2
8がカソード1から引き出される。
【0031】ウェネルト2は、この一次電子線28の量
を制御すると共に、一次電子線を収束させクロスオーバ
ーを形成するための電極で、加速電圧Vaccに対して負
の抑圧電圧Vbiasを印加されている。第2アノード4、
および第3アノード5は、それぞれ独立に電圧制御が可
能であり、印加する電圧V2an、V3anは正又は負の電圧
が目的に応じて印加される。
【0032】カソード1から出てきた一次電子線28
は、広がりながら放出されるが、ウェネルト2に印加さ
れた負の抑圧電圧Vbiasによる影響で、ウェネルト2と
第1アノード3の間付近で絞られて、第1クロスオーバ
ー29が形成される。
【0033】第2アノード4、第3アノード5の電圧を
調節することにより、再び一次電子線28が絞られてで
きる第2クロスオーバー30の位置をガンアパーチャ6
の位置にすることが可能である。すなわち、主に第1ア
ノード3、第2アノード4、第3アノード5(及びガン
アパーチャ6)の電圧関係で生成される電場が、静電レ
ンズ系になっていると考えれば、この静電レンズ系によ
り、第1クロスオーバー29の像を所定の倍率で第2ク
ロスオーバー30としてガンアパーチャ6の位置に結像
させていることになる。
【0034】この第2クロスオーバー30は、後に続く
一次光学系8の光源に相当する。ここで、前記の静電レ
ンズに寄与する電極電圧のうち、独立に制御可能な電極
電圧は、第2アノード4の電圧、および第3アノード5
の電圧である。第2アノード電圧および第3アノード電
圧の2つの独立なパラメータを調節すれば、静電レンズ
系の焦点距離、及び倍率の2つを独立に決定することが
可能である。
【0035】つまり、独立に電圧制御可能なトリプルア
ノードを用いれば、第2クロスオーバー31をガンアパ
ーチャ6の位置に任意の倍率で結像することが可能であ
る。前記の実施の形態である電子線検査装置において
は、一次光学系8は、この第2クロスオーバー30を光
源として、この光源の像を開口絞り10位置に結像させ
る。この実施の形態のように、開口絞り10位置に結像
されたされたクロスオーバーの像を光源とするケーラー
照明を行う場合、開口絞り10位置に前記クロスオーバ
ーを結像するが、電子銃7のアノードレンズ3〜5の結
像倍率を変えることによって、電子線の開き角を調整し
て、一次光学系8に含まれる視野絞りでけられる電子線
量を調節することにより、ウェハ上の所定エリアを任意
のビーム電流量で照明することができる。
【0036】また、図2に示す実施の形態では、アノー
ドは3つの電極から成るトリプルアノードとしたが、2
つ以上のアノード電圧の制御が独立に可能であればよ
く、電極の数は4つ以上でも構わない。このようなもの
でも、アノードで構成される電子レンズ系の焦点距離と
倍率を独立に制御可能である。
【0037】次に電子銃部7の第2の実施の形態とし
て、電子銃としての電極の構成は第1の実施の形態と同
じで、トリプルアノード3〜5がアインツェルレンズと
なっている場合について説明する。アインツェルレンズ
とは3つの電極が対称に電圧印加されているような静電
レンズで、本実施の形態の場合、第1アノード3、およ
び第3アノード5が接地に対して等電位とされるか、ま
たは接地されており、第2アノード4が、第1アノード
3、第3アノード5とは異なった電位とされて、ユニポ
テンシャルのレンズを構成しているもののことをいい、
周知のものである。
【0038】この場合、カソード1、ウェネルト電極
2、および第1アノード3で形成される第2クロスオー
バー29は、第1アノード3、第2アノード4、および
第3アノード5で構成されるアインツェルレンズにより
第2クロスオーバー30を結像するが、アインツェルレ
ンズで独立に電圧制御可能な電極は第2アノード4のみ
なので、焦点距離または結像倍率のどちらか一方しか任
意に決定することはできない。
【0039】前記の実施の形態である電子線検査装置に
おいては、一次光学系8に入射するビーム電流量は第2
クロスオーバー30の径に関係するので、ビーム電流量
を調節するためにはアインツェルレンズの結像倍率を任
意に調節する必要がある。先に延べたようにアインツェ
ルレンズでは、結像倍率をある値に決めた場合、焦点距
離は一意に決まってしまうので、第2クロスオーバー3
0の結像位置はガンアパーチャ6から外れてしまう場合
もある。第2クロスオーバー31の結像位置が多少ずれ
ても、ガンアパーチャ6の位置において、一次電子線2
7がケラレない程度にガンアパーチャ6の径が大きけれ
ば、一次光学系8に入射するビーム電流量がガンアパー
チャ6によって制限を受けることは無い。
【0040】結像位置のずれは一次光学系8の焦点距離
を調整することにより補正可能であり、この焦点調整を
行うことによって、第2クロスオーバー30の結像位置
が多少ずれた場合でも、第2クロスオーバー30の像を
開口絞り10の位置に結像させることができる。また、
前記アインツェルレンズの結像倍率を変えることによっ
て、電子線の開き角を調整して、一次光学系8に含まれ
る視野絞りでけられる電子線量を調節することにより、
ウェハ上の所定エリアを任意のビーム電流量で照明する
ことができる。
【0041】本実施の形態では、トリプルアノードを用
いているが、ダブルアノードを用いても良く、この場合
は、アインツェルレンズにはならないが、第2アノード
に印加する電圧を変えることにより、アインツェルレン
ズを使用した場合と同様に、アノードレンズで第2クロ
スオーバー30の結像倍率のみ調節し、後に続く一次光
学系8で結像位置を補正すれば、上述の説明と同様の作
用効果が得られる。
【0042】また、いずれの実施の形態においても、第
1アノード3は接地されてなくてもよく、カソード1に
対して正の電圧を持っていればよい。
【0043】以上説明したごとく、電子銃7の第2の実
施の形態においては、アノードレンズにより、第1クロ
スオーバー29の像倍率を規定して第2クロスオーバー
30を結像させ、第2クロスオーバー30の位置のずれ
を、電子銃の後に設けられる電子光学系で補正するよう
にしたが、逆に、アノードレンズ系に与える電圧でアノ
ードレンズ系の焦点距離のみを決定して、第2クロスオ
ーバー30の結像位置を決定し(通常はガンアパーチャ
6の位置に結像するようにする)、制御できない第2ク
ロスオーバー像30の大きさを、電子銃の後に設けられ
る電子光学系で補正するようにしてもよい。このように
しても、一次光学系8の倍率で、一次光学系に含まれる
視野絞りを通過できる電子線量を調整でき、ウェハ上の
所定エリアを任意のビーム電流量で照明することができ
る。
【0044】また以上の実施の形態では、試料からの二
次電子を用いた検査装置を例に示したが、検査や観察に
用いる荷電粒子は、二次電子の代わりに、反射電子や透
過電子やオージェ電子などでもよい。また本実施例の電
子銃及びそれを備えた電子光学系は、観察装置及び検査
装置ばかりでなく、たとえば半導体露光装置などにも簡
単に応用することができる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係る発明においては、電子銃の光源点であるクロ
スオーバーの位置と大きさを任意に決定することができ
るので、電子銃の後に設置される電子光学系にとって、
光源の位置が固定されるばかりでなく、像倍率を変える
ことにより、カソードからのエミッション電流の量を変
えることなく、電子線の開き角を変え、所定エリア内に
入射する電子線照射量を変えることが可能となる。
【0046】請求項2に係る発明においては、電子銃の
後に設けられる電子光学系の構成要素の設計を、光源が
所定の位置に所定の大きさで形成されることを前提とし
て行うことができるので、設計や調整が容易となる。ま
た、また、像倍率を変えることにより、カソードからの
エミッション電流の量を変えることなく、電子線の開き
角を変え、所定エリア内に入射する電子線照射量を変え
ることが可能となる。
【0047】請求項3に係る発明においては、電子銃に
よりその光源となるクロスオーバーの大きさを決定でき
るので、その後の電子光学系はそれを前提として設計す
ることが可能となり、設計が容易で精度の良いものとす
ることができる。また、クロスオーバーの大きさを調整
することにより、電子線の開き角を調整でき、ウェハ上
の所定エリアを任意のビーム電流量で照明することがで
きる。
【0048】その他、前記課題を解決する手段で述べた
ように、電子銃によりその光源となるクロスオーバーの
位置を決定できる場合は、その後の電子光学系はそれを
前提として設計することが可能となり、設計が容易で精
度の良いものとすることができる。また、電子銃の後に
設けられる電子光学系の倍率を調整することにより、電
子線の開き角を調整でき、物面上を任意のビーム電流量
で照明することができる。
【0049】請求項4に係る発明においては、照明光源
の位置と大きさが厳密に決定されるので、精度のよい装
置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例である電子線検査装
置の例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る電子銃の実施の形態を示す概要図
である。
【符号の説明】
1…カソード、2…ウェネルト、3…第1アノード、4
…第2アノード、5…第3アノード、6…ガンアパーチ
ャ、7…電子銃、8…一次光学系、9…電磁プリズム、
10…開口絞り、11…アライナ、12…カソードレン
ズ、13…二次光学系、14…MCP(Micro Channel P
late)、15…リレーレンズ、16…撮像素子、17…
一次コラム、18…二次コラム、19…試料室チャンバ
ー、20…試料、21…Xステージ、22…Yステー
ジ、23…Xステージ駆動部、24…コントロールユニ
ット、25…CPU、26…ディスプレイ、27…一次
電子線、28…二次電子線、29…第1クロスオーバ
ー、30…第2クロスオーバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 宏 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 Fターム(参考) 5C030 BB05 BB06 BC03 BC04 BC06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カソードと、電子ビームの発生量をコン
    トロールするための電極と、少なくとも3つ以上の電極
    で構成されているアノードとを有してなる電子銃であっ
    て、(a) 複数のアノード電極のうち、カソードに1番近
    いアノード電極を除いた残りの2つ以上のアノード電極
    は、少なくとも2つ以上の電極の電圧が独立に制御可能
    であり、(b) カソード、電子ビームの発生量をコントロ
    ールするための電極、及び複数のアノード電極のうちカ
    ソードに1番近いアノード電極で第1クロスオーバーを
    形成し、(c) 第1クロスオーバーの像を、アノード電極
    により、任意の倍率で任意の位置に結像させるようにし
    たことを特徴とする電子銃。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子銃を有してなるこ
    とを特徴とする電子光学系。
  3. 【請求項3】 カソードと、電子ビームの発生をコント
    ロールするための電極と、少なくとも2つ以上の電極で
    構成されているアノードを備えた電子銃と、電子銃より
    後段に設けられた電子レンズ系とを備えた電子光学系で
    あって、(a) 複数のアノード電極のうち、カソードに1
    番近いアノード電極を除いた残りの1つ以上のアノード
    電極は、少なくとも1つ以上の電極電圧が独立に制御可
    能であり、(b) カソード、電子ビームの発生をコントロ
    ールするための電極、及び複数のアノード電極のうち前
    記カソードに1番近いアノード電極で第1クロスオーバ
    ーを形成し、(c) 第1クロスオーバーの像を、アノード
    電極により、任意の倍率で第2クロスオーバーとして結
    像させ、(d) 第2クロスオーバーの像を、前記電子レン
    ズ系により、決められた位置に決められた倍率で結像さ
    せるようにしたことを特徴とする電子光学系。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項4に記載の電子光学
    系を有してなることを特徴とする電子線装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011040341A (ja) * 2009-08-18 2011-02-24 Nuflare Technology Inc 電子銃、荷電粒子ビーム描画装置および荷電粒子ビーム描画方法
JP2011192456A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Horon:Kk 荷電粒子線装置
CN111937112A (zh) * 2018-10-16 2020-11-13 日商光电魂股份有限公司 电子枪、电子射线应用装置、使用电子枪的电子束射出方法以及电子束的焦点位置调整方法

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