JP2001041140A - 水力機械用羽根車及び水力機械 - Google Patents

水力機械用羽根車及び水力機械

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JP2001041140A
JP2001041140A JP11217089A JP21708999A JP2001041140A JP 2001041140 A JP2001041140 A JP 2001041140A JP 11217089 A JP11217089 A JP 11217089A JP 21708999 A JP21708999 A JP 21708999A JP 2001041140 A JP2001041140 A JP 2001041140A
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steel
stainless steel
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JP11217089A
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Munetoshi Zen
宗利 善
Toshio Hattori
敏雄 服部
Katsumasa Shinmei
克眞 震明
Hiroshi Kuwabara
広 桑原
Toru Nishio
徹 西尾
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Kansai Electric Power Co Inc
Hitachi Ltd
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Kansai Electric Power Co Inc
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/20Hydro energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 防食効果を長期にわたって維持できる異種鋼
材を溶接してなる水力機械用羽根車を提供する。 【解決手段】 炭素鋳鋼からなる支持部材5に、ステン
レス鋼溶接材を略平板状に肉盛して少なくとも1層の被
覆層13を形成し、この被覆層13にステンレス鋼から
なる羽根3を溶接し、少なくとも被覆層13に接する支
持部材5の表面に炭素鋼からなる溶接材を肉盛して犠牲
陽極19を形成する。このようにすれば、キャビテーシ
ョン作用などに対する耐磨耗性を有するため、磨耗によ
る消耗速度の遅い犠牲陽極19により、羽根車の防食を
長期にわたって維持できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水力機械用羽根車
に係り、特に、異種鋼材で構成された水力機械用羽根車
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のランナやインペラなどの水力機械
用羽根車は、炭素鋳鋼やステンレス鋼などの一体鋳造に
より製造されている。キャビテーションなどによる羽根
車の磨耗や腐食などに対する耐性が必要な場合は、ステ
ンレス鋼で一体成形された羽根車を用いているが、ステ
ンレス鋼製の羽根車は、炭素鋳鋼製の羽根車に対し高価
である。ところが、実際にキャビテーションなどによる
磨耗や腐食などが発生するのは羽根の部分であり、羽根
の支持部材などは、ステンレス鋼である必要がない。こ
のため、耐磨耗性や防食性を必要とする羽根をステンレ
ス鋼で、その他の支持部材などを安価な炭素鋳鋼で形成
し、各部材を溶接して羽根車を製造することにより、羽
根車のコストを低減することが望まれている。また、最
近の水力機械の大容量化に伴い、羽根車が大型化する傾
向にあるが、大型の羽根車を一体鋳造することは難しい
ため、羽根や支持部材などを別々に形成し、これらの各
部材を溶接することで羽根車を形成する必要が生じてい
る。このような炭素鋳鋼とステンレス鋼などの異種鋼材
からなる部材をエレクトロスラグ溶接法により一体化す
ることで羽根車を製造する方法が特開平63−2526
84号公報に提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ステンレス
鋼からなる羽根を、炭素鋳鋼からなる羽根の支持部材な
どに溶接して羽根車を形成した場合、ステンレス鋼と炭
素鋳鋼との間に生じる電位差により、電位の卑な金属と
なる炭素鋳鋼製の支持部材の溶接部や溶接部に隣接する
領域などに腐蝕、すなわち異種金属接触腐食が発生し、
応力腐食割れなどを引き起す。
【0004】このような異種金属接触腐食を防ぐ方法と
して、鉄管などにおいて、鉄よりも電位の卑な金属であ
る亜鉛、アルミニウム、またはマグネシウムを主体とし
た合金などで形成した犠牲陽極を形成し、この犠牲陽極
を腐食させることで鉄管などを防食する方法、いわゆる
流電陽極方式の電気防食法を適用することが考えられ
る。しかし、水力機械用の羽根車では、腐食による犠牲
陽極の消耗に加え、犠牲陽極が、常時、水の物理的な力
やキャビテーションの作用などを受けるため、磨耗によ
る消耗が起こる。したがって、耐磨耗性の低い亜鉛、ア
ルミニウム、またはマグネシウムを主体とした合金など
で形成された犠牲陽極では、水の物理的な力やキャビテ
ーションの作用などがない場合に比べて消耗速度が速く
なる。このような亜鉛、アルミニウム、またはマグネシ
ウムを主体とした合金などで形成された犠牲陽極を水力
機械用羽根車に適用した場合、短時間で犠牲陽極が消耗
するため、異種鋼材を溶接した水力機械用羽根車におい
て発生する腐食を長期にわたって防ぐことは難しく、十
分な防食効果が得られない。
【0005】本発明の課題は、炭素鋳鋼の支持部材にス
テンレス鋼の羽根を溶接してなる羽根車の防食を長期に
わたって維持することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の水力機械用羽根
車は、以下の手段により上記課題を解決する。炭素鋳鋼
からなる支持部材にステンレス鋼からなる羽根を溶接
し、少なくとも溶接部に接する支持部材の表面に炭素鋼
からなる溶接材を肉盛する。このように羽根車を構成す
れば、肉盛された炭素鋼は、電位が炭素鋳鋼よりも卑な
金属となり犠牲陽極となるため、炭素鋳鋼からなる支持
部材を防食する。さらに炭素鋼は、耐磨耗性が高いた
め、犠牲陽極の磨耗による消耗速度を遅くできるので、
長期にわたって防食効果を維持することができる。
【0007】また、炭素鋳鋼からなる支持部材に、ステ
ンレス鋼溶接材を略平板状に肉盛して少なくとも1層の
被覆層を形成し、この被覆層にステンレス鋼からなる羽
根を溶接し、少なくとも被覆層に接する支持部材の表面
に炭素鋼からなる溶接材を肉盛すれば、溶接部の耐磨耗
性、防食性、硬度などの低下を防ぐことができるので好
ましい。
【0008】さらに、少なくとも被覆層と、この被覆層
の端部から一定の範囲にある支持部材の表面とを炭素鋼
からなる溶接材で覆うことが好ましい。さらに、溶接部
から支持部材の表面にわたる一定の範囲を覆うことが好
ましい。
【0009】また、炭素鋳鋼からなる支持部材に、オー
スティナイト系ステンレス鋼溶接材を略平板状に肉盛し
て第1の被覆層を形成し、この第1の被覆層上にマルテ
ンサイト系ステンレス鋼溶接材を略平板状に肉盛して第
2の被覆層を形成し、この第2の被覆層にマルテンサイ
ト系ステンレス鋼からなる羽根を溶接し、少なくとも第
1の被覆層に接する支持部材の表面に炭素鋼からなる溶
接材を肉盛することでも、溶接部の耐磨耗性、防食性、
硬度などの低下を防ぐことができるので好ましい。
【0010】さらに、少なくとも第1の被覆層と第2の
被覆層と、第1の被覆層の端部から一定の範囲にある支
持部材の表面とを炭素鋼からなる溶接材で覆うことが好
ましい。さらに、溶接部から支持部材の表面にわたる一
定の範囲を覆うことが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用してなる水力
機械用羽根車の一実施形態を図1乃至図4を参照して説
明する。図1は、本発明を適用してなる水力機械用羽根
車の斜視図である。図2(a)は、水力機械用羽根車の
平面図、(b)は、(a)のA−Aからの矢視図であ
る。図3、図4は、図2(a)のB−Bでの水力機械用
羽根車の部分断面図である。
【0012】本実施形態の羽根車1は、ポンプ用羽根車
であり、図1に示すように、羽根3、クラウン5、バン
ド7を溶接して形成されている。羽根3は、13%クロ
ム5%ニッケル系ステンレス圧延鋼材、すなわちマルテ
ンサイト系ステンレス圧延鋼材から成形されたものであ
り、羽根3の両側の縁部に形成され、クラウン5とバン
ド7とに接合される接合面8は、各々開先加工を施され
て溶接される。羽根3の支持部材であるクラウン5は、
炭素鋳鋼であるSCW480で鋳造されたものであり、
図2に示すように、中央部に向かって漸次厚みが増し、
頂部に平面を有する略円錐状に形成されており、クラウ
ン5の斜面には、クラウン3の中央部から円周部に向か
って、同方向に湾曲した弧状の複数の羽根3が溶接によ
り接合されている。なお、クラウン5の軸心部には、図
示していないモータなどの駆動手段の駆動軸を挿入する
ための貫通穴9が設けられている。バンド7は、炭素鋳
鋼であるSCW480で鋳造され、クラウン5の斜面に
沿うように一端から他端に向かって開口が漸次縮径する
リング状の部材であり、溶接により羽根3と接合されて
いる。なお、クラウン5とバンド7とは、羽根3で仕切
られた複数のダクト状構造を形成している。
【0013】羽根3とクラウン5、及び羽根3とバンド
7の溶接は、ほぼ同じ工程であるため、以下の説明で
は、羽根3とクラウン5との溶接を例として説明する。
まず、クラウン5の溶接側の面11に、図3に示すよう
に、羽根3と同等材からなるマルテンサイト系ステンレ
ス鋼溶接材をバタリング材として肉盛溶接、すなわちバ
タリングして厚さ数mm程度の略平板状の被覆層13を
形成する。次に、羽根3と被覆層13とを、バタリング
材として用いたマルテンサイト系ステンレス鋼溶接材を
用いて溶接する。最終溶接として、溶接部15に形成さ
れた溶接金属17の被覆層13に隣接する部分から、ク
ラウン5の面11の被覆層13に隣接する部分にかけ
て、被覆層13を覆うように炭素鋼からなる溶接材を化
粧盛り溶接して犠牲陽極19を施す。このとき、犠牲陽
極19は、クラウン5の面11の、被覆層13の端部か
らの距離Lが7mm以内の領域に形成されている。犠牲
陽極19を形成するための炭素鋼溶接材には、軟鋼用ア
ーク溶接フラックス入りワイヤや軟鋼用被覆アーク溶接
棒など様々な一般的な炭素鋼溶接材を用いることができ
る。また、犠牲陽極19は、溶接部15の見た目上の仕
上げが問題にならない場合には、化粧盛り溶接で形成す
る必要はない。
【0014】なお、被覆層13は、羽根3を構成するマ
ルテンサイト系ステンレス鋼のクロムが、クラウン5を
構成する炭素鋳鋼の炭素と結合して脱炭層を形成するこ
とにより、溶接部15のクロムの濃度が減少し、溶接部
15の耐磨耗性、防食性、硬度などが低下することを防
ぐため、すなわち溶接部15の品質保全のために設けら
れている。また、被覆層は、図4に示すように、2種類
の材料を順次バタリングして2層の被覆層13、21を
形成するようにしてもよい。この場合、クラウン5の面
11に1層目としてクロムリッチなSUS309Mo、
すなわちオースティナイト系ステンレス鋼溶接材をバタ
リング材としてバタリングして略平板状の被覆層21を
形成し、被覆層21上に2層目として羽根3と同等材か
らなるマルテンサイト系ステンレス鋼溶接材をバタリン
グして略平板状の被覆層13を形成した後、羽根3と被
覆層13とを溶接すればよい。なお、被覆層は、溶接部
15に必要とされる品質に応じて構成すればよく、溶接
部15の品質に問題がなければ、被覆層を1層にした方
が溶接工程の工数や材料を減らせるため、羽根車1の製
造コストを低減できる。
【0015】ここで、表1に、本実施形態の羽根車1を
構成する材料の化学成分を示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1に示すような組成の鋼材、溶接材から
なる各部、さらに犠牲陽極19を形成する犠牲陽極用炭
素鋼の腐食電位を試験した結果の一例を表2に示す。本
試験は、羽根3、クラウン5、バンド7、被覆層13、
21、犠牲陽極19などの各部から試験片を切出し、研
磨後、電位測定用参照電極にAg/AgCl電極を用
い、ポテンショスタットにより室温淡水中での腐食電位
測定を行ったものである。
【0018】
【表2】
【0019】表2より、13%クロム5%ニッケル系ス
テンレス圧延鋼材、13%クロム5%ニッケル系ステン
レス鋼溶接材、13%クロム5%ニッケル系ステンレス
鋼バタリング材、 SUS309Moバタリング材は、
同程度の腐食電位であるのに対し、炭素鋳鋼材であるS
CW480と犠牲陽極19の炭素鋼とは他に比べて腐食
電位が5割以上も小さいことが分かる。
【0020】ところで、異種金属接触腐食では、例えば
最も電位が卑な金属を鉄とすると、次式(1)に示すよ
うなアノード反応が起こり、腐食が発生する。また、式
(1)の鉄のイオン化で余った電子は、溶存酸素と水と
反応し、次式(2)に示すようなカソード反応を起こ
す。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】このため、本実施形態の羽根車1におい
て、表2に示すように、最も電位が卑な金属、つまり炭
素鋼からなる犠牲陽極19が式(1)のアノード反応を
起すことにより、犠牲陽極19は、犠牲陽極19を形成
していない場合に最も卑な金属であるSCW480から
なるクラウン5及びバンド7の面11の被覆層13また
は21との境界部分や隣接部分などでアノード反応によ
り発生する腐食を阻止する。さらに、マルテンサイト系
ステンレス鋼からなる羽根3や溶接金属17などの溶接
部15近傍のカソードとなる部分には、式(2)のカソ
ード反応により生成したOHイオン(OH-)が、水中
のCaイオン(Ca2+)やMgイオン(Mg2+)と反応
してアルカリ性のCaCO3やMg(OH)2の電解皮膜が
形成される。このアルカリ性電界被膜が、溶接部15や
溶接部15に隣接する部分を覆い、これらの部分を防食
する。このように、犠牲陽極19により、溶接部15
や、クラウン5とバンド7の面11の被覆層13、21
と接する部分や隣接する部分などを防食できるので、応
力腐食割れなどの発生を防止できる。
【0024】表3に、クラウン5の面11における、被
覆層11の端部からの距離Lと電位との関係を測定した
試験の結果の一例を示している。
【0025】
【表3】
【0026】クラウン5の面11の電位は、表3に示す
ように、被覆層11から離れるほど減少することが分か
る。異種金属接触腐食は、接触する金属の電位に差が生
じることにより発生するため、ステンレス鋼材である羽
根3、溶接金属17、そして被覆層11、21の電位よ
りも炭素鋳鋼であるクラウン5やバンド7の面11の電
位の方が卑である領域に異種金属接触腐食が発生する恐
れがあり、その領域を覆うように犠牲陽極19を形成す
ればよい。したがって、表2の各部材の腐食電位測定の
結果と表3の結果を併せると、本実施形態では、クラウ
ン5やバンド7の面11の被覆層11または21の端部
からの距離Lがほぼ7mm以内となるように犠牲陽極1
9を形成することが望ましい。
【0027】ところで、一般に犠牲陽極は、次式(3)
のような電流を発生して防食対象金属を流電陽極式の電
気防食、すなわちカソード防食している。
【0028】It=ΔE/R (3) ここで、Itは発生電流(全防食電流(A))、ΔEは
有効電位差(V)、Rは回路抵抗(Ω)である。また、
これら犠牲陽極の寿命は次式(4)より算出される。
【0029】T=KWQ/Ia (4) ここで、Tは寿命(year)、Wは陽極体重量(k
g)、Qは有効発生電気量(A・year/kg)、I
aは陽極体当たりの平均発生電流(A)、Kは陽極の有
効利用限界(防食技術便覧より0.85程度)である。
したがって、防食に必要な陽極数量Nは、次式(5)に
より決められる。
【0030】N=It/Ia (5) このように、犠牲陽極は、アノード反応により腐食して
消耗するため、メンテナンス周期などを考慮して必要な
大きさを決定する必要がある。従来のような亜鉛、アル
ミニウム、またはマグネシウムなどを主体とした合金な
どで形成した犠牲陽極を流水中で鉄の防食に用いた場
合、例えば、Al-Zn-In合金の鉄に対する有効電位
差は0.25Vとなり、その理論発生電流値は、2.87
Ah/gとなる。鉄の所要防食電流が約100mA/m
2であるため、Al-Zn-In合金では、30g/m2
度の大きな犠牲陽極を必要とする。Al合金に対して比
較的消耗量の少ない亜鉛合金の犠牲陽極でも、単位面積
当たり400g/m2は必要(防錆管、1996年1
月、「すき間腐食に対する亜鉛複合樹脂材料のカソード
防食特性」)となる。さらに、水力機械用羽根車のよう
に水の物理的な力やキャビテーションの作用などを受け
る場合には、磨耗による消耗も考慮しなければならない
が、亜鉛、アルミニウム、またはマグネシウムなどを主
体とした合金などは、例えばAl合金では、ブリネル硬
さ(HB)が23〜28程度といったように、比較的硬
さが低い金属であり耐磨耗性が低いため、非常に大きな
犠牲陽極を形成しなければならなくなる。しかし、実際
には、構造体や羽根車などを備えた装置の設計や機能上
の制約などにより、犠牲陽極の大きさには限界があるた
め、亜鉛、アルミニウム、またはマグネシウムなどを主
体とした合金からなる犠牲陽極を羽根車などに設けた場
合、消耗速度が速く、短時間で犠牲陽極が消耗して異種
金属接触腐食などが発生し、応力腐食割れなどを引き起
こす。また、応力腐食割れの発生などを避けるために
は、頻繁に犠牲陽極などのメンテナンスを行なわなけれ
ばならず、水力機械を頻繁に停止させることになり好ま
しくない。
【0031】これに対して、本実施形態の羽根車1で
は、ブリネル硬さ(HB)が140程度といったような
耐磨耗性の高い炭素鋼で犠牲陽極19を形成しているた
め、犠牲陽極19の消耗速度が遅い。さらに、炭素鋼か
らなる犠牲陽極19は、表2に示されるように、発生電
流こそ少ないものの、羽根13、溶接金属17、被覆層
13、21などのステンレス鋼に対して、十分な電位差
を有するため、犠牲陽極として有効に作用して長期にわ
たり炭素鋳鋼からなるクラウン5やバンド7などを防食
できる。また、カソード反応により生成するアルカリ性
の電解皮膜は溶接部15や溶接部15に隣接する部分の
防食を長期にわたって維持することができる。
【0032】また、本実施形態の羽根車1では、図2に
示すように、クラウン5とバンド7の間の羽根3によっ
て仕切られたダクト状構造の水の出入口付近が、キャビ
テーションが発生するキャビテーション発生位置23で
ある。しかし、犠牲陽極19は、出入口付近のキャビテ
ーション発生位置23からはほとんどの部分が離れてお
り、一部が僅かにキャビテーション発生位置23に接し
ているのみであり、犠牲陽極19全体から見れば、キャ
ビテーション発生位置23での犠牲陽極19の摩耗量は
僅かである。このため、数年毎に実施される定期点検の
際に、犠牲陽極19のキャビテーション発生位置23に
位置する部分を補修溶接することで容易にメンテナンス
できる。さらに、本実施形態の羽根車1に形成した犠牲
陽極19は、一般に入手しやすく安価な炭素鋼により形
成されているため、羽根車1を安価に抑えることができ
る。
【0033】また、本実施形態では、炭素鋳鋼としてS
WC480、マルテンサイト系ステンレス鋼として13
%クロム5%ニッケル系ステンレス鋼、そしてオーステ
ィナイト系ステンレス鋼としてSUS309Moを用い
たが、各々他の種類の炭素鋳鋼、マルテンサイト系ステ
ンレス鋼、そしてオースティナイト系ステンレス鋼を用
いることができる。さらに、本発明は、羽根3などをオ
ースティナイト系ステンレス鋼で形成した場合などにも
適用できる。
【0034】また、本実施形態の羽根車1は、羽根3、
クラウン5、そしてバンド7などで構成されたポンプ用
羽根車であったが、本発明は、これに限らず、例えば、
水力発電用羽根車など様々な用途の様々な構成の羽根車
に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる水力機械用羽根車の一実
施形態の斜視図である。
【図2】(a)は、本発明を適用してなる水力機械用羽
根車の一実施形態の平面図、(b)は、(a)のA−A
からの矢視図である。
【図3】本発明を適用してなる水力機械用羽根車の一実
施形態の図2(a)B−Bでの部分断面図である。
【図4】本発明を適用してなる水力機械用羽根車の別の
実施形態の図2(a)B−Bでの部分断面図である。
【符号の説明】
1 羽根車 3 羽根 5 クラウン 7 バンド 11 溶接側の面 13,21 被覆層 15 溶接部 17 溶接金属 19 犠牲陽極
フロントページの続き (72)発明者 服部 敏雄 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 震明 克眞 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立事業所内 (72)発明者 桑原 広 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立事業所内 (72)発明者 西尾 徹 大阪府大阪市北区中之島三丁目3番22号 関西電力株式会社内 Fターム(参考) 3H072 AA02 BB03 BB05 BB09 CC31 CC42 CC43 CC92 CC93 CC94 4K060 AA02 BA14 BA43 BA45 EA20 EB02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素鋳鋼からなる支持部材にステンレス
    鋼からなる羽根を溶接し、少なくとも溶接部に接する前
    記支持部材の表面に炭素鋼からなる溶接材を肉盛してな
    る水力機械用羽根車。
  2. 【請求項2】 炭素鋳鋼からなる支持部材に、ステンレ
    ス鋼溶接材を略平板状に肉盛して少なくとも1層の被覆
    層を形成し、該被覆層にステンレス鋼からなる羽根を溶
    接し、少なくとも前記被覆層に接する前記支持部材の表
    面に炭素鋼からなる溶接材を肉盛してなる水力機械用羽
    根車。
  3. 【請求項3】 少なくとも前記被覆層と、該被覆層の端
    部から一定の範囲にある前記支持部材の表面とを炭素鋼
    からなる溶接材で覆ってなることを特徴とする請求項2
    に記載の水力機械用羽根車。
  4. 【請求項4】 炭素鋳鋼からなる支持部材に、オーステ
    ィナイト系ステンレス鋼溶接材を略平板状に肉盛して第
    1の被覆層を形成し、該第1の被覆層上にマルテンサイ
    ト系ステンレス鋼溶接材を略平板状に肉盛して第2の被
    覆層を形成し、該第2の被覆層にマルテンサイト系ステ
    ンレス鋼からなる羽根を溶接し、少なくとも第1の被覆
    層に接する前記支持部材の表面に炭素鋼からなる溶接材
    を肉盛してなる水力機械用羽根車。
  5. 【請求項5】 少なくとも前記第1の被覆層と前記第2
    の被覆層と、前記第1の被覆層の端部から一定の範囲に
    ある前記支持部材の表面とを炭素鋼からなる溶接材で覆
    ってなることを特徴とする請求項4に記載の水力機械用
    羽根車。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の羽根
    車を備えてなることを特徴とする水力機械。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008151696A (ja) * 2006-12-19 2008-07-03 Tokyo Gas Co Ltd カソード防食管理方法及びカソード防食管理システム
JP2010229894A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Hitachi Plant Technologies Ltd 羽根車およびその製造方法
KR200453935Y1 (ko) * 2010-11-26 2011-06-07 (주)애드라이트 스크린도어용 광고프레임 고정장치
CN102941392A (zh) * 2012-11-15 2013-02-27 大连船舶重工集团装备制造有限公司 一种适用于低合金高强板与低合金铸钢件的焊接方法
JP2014141903A (ja) * 2013-01-22 2014-08-07 Toshiba Corp 水車またはポンプ水車のランナおよびその製造方法

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