JP2001037096A - 電池保護回路 - Google Patents

電池保護回路

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JP2001037096A JP11209766A JP20976699A JP2001037096A JP 2001037096 A JP2001037096 A JP 2001037096A JP 11209766 A JP11209766 A JP 11209766A JP 20976699 A JP20976699 A JP 20976699A JP 2001037096 A JP2001037096 A JP 2001037096A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過充電状態の継続による電池破壊を防止する
ために過充電防止の構成を二重に設けた信頼性の高い電
池保護回路を提供する。 【解決手段】 二次電池3の過充電、過放電、過大放電
電流を検出して、第1のFET11または第2のFET
12を遮断状態に制御する主制御手段1を備えた主保護
回路Aと、この主制御手段1によって過充電の阻止機能
が正常に動作しなかったとき、第3のFET13を遮断
状態に制御する副制御手段2とを備えた副保護回路Bと
により、過充電から二次電池3を二重に保護する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二
次電池等の二次電池を過充電から保護する電池保護回路
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】二次電池においては、適正な充電条件を
越えての過充電は、電解液の分解に伴うガスの発生や発
熱を生じて電池性能の劣化や破損等をまねくことにな
る。特に、リチウム二次電池系では、一定範囲の電圧を
超えての作動は電池の劣化や損傷を受ける度合いが大き
く、誤った電池使用から二次電池を保護するために電池
保護装置が設けられる。
【0003】前記電池保護装置は、PTCや電流遮断弁
として電池自体に装備されるものと、二次電池の充放電
回路を異常状態に応じて遮断する保護回路として構成さ
れる。前記PTCは、二次電池の充放電回路に直列に接
続され、過大電流によって自己発熱し、温度上昇による
抵抗値の急増により過大電流を阻止するもので、比較的
大型の二次電池では、電池の封口部内に配設される。ま
た、電流遮断弁は、二次電池の封口部内に装備されるも
ので、電池内に発生したガスによる内圧の上昇によって
変形し、許容値を超える内圧が加わったときに破断して
ガスを放出すると共に、破断によって充放電回路への通
電電流を遮断する。このPTC及び電流遮断弁は、比較
的大型で円筒形のリチウムイオン二次電池においては電
池自体が備える機構として周知のところである。
【0004】また、前記保護回路は、特許287236
5号公報等に開示されたものが知られており、図6に示
すように構成されている。制御手段33によって二次電
池30の電圧を検出し、充電可能電圧以上の電圧が検出
されたとき、充放電回路に直列に接続されたMOSFE
T31を遮断状態に制御し、充放電回路を遮断して充電
電流を阻止する。また、放電可能電圧以下の電圧が検出
されたとき、充放電回路に直列に接続されたMOSFE
T32を遮断状態に制御し、充放電回路を遮断して放電
電流を阻止する。この制御により、二次電池30は過充
電や過放電による破損や劣化から防御することができ
る。
【0005】しかし、保護回路が正常に動作しなかった
とき、特に過充電防止の制御が正常に機能しなかったと
き、二次電池30は過充電状態の進行によって電解液が
分解し、温度上昇と共にガスの発生によって破裂に至る
恐れがある。そこで、図7に示すように、過充電、過放
電及び過電流を防止する制御を行う制御手段34と、こ
の制御手段34に動作異常が生じたときに過充電状態を
停止させる過充電制御手段36とを設けた保護回路の構
成が提案されている。
【0006】この構成では、制御手段34によって過充
電、過放電及び過電流を防止する制御を行い、この制御
手段34の過充電防止の制御機能に故障や誤動作等の動
作異常が発生したとき、過充電制御手段36によって過
充電状態に対応する電圧が検出されるので、過充電制御
手段36はMOSFET35を導通状態に制御する。こ
のMOSFET35の導通により、抵抗器18は発熱し
て熱カップリングされた温度ヒューズ19を溶断させ、
二次電池30の充放電回路を遮断する。
【0007】また、特開平8−116627号公報、特
開平10−51962号公報には、過充電から二次電池
を二重に保護する保護回路の構成が開示されており、上
記構成と同様に、過充電に対して二重に制御手段を設
け、第1の制御手段に不具合が生じたとき、第2の制御
手段によって温度ヒューズ等の非復帰の遮断手段により
二次電池の充放電回路を遮断して過充電の進行を防止し
ている。
【0008】これらの構成によって、二次電池30が最
も過酷な状態に陥る過充電の継続状態から回避すること
ができ、過充電を阻止する構成が二重に設けられること
になり、過充電状態の継続によるガス発生が防止される
ので、前述した機械的に通電回路を遮断する電流遮断弁
を廃止することも可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来構成による二重に設けられた過充電の防止回路は、過
充電状態の継続による電池破壊を防止するのに有効と考
えられるが、第1の制御手段に不具合が生じたときに動
作する第2の制御手段は非復帰の遮断手段を動作させる
ため、その動作を検査することができず、個々の動作状
態を検査することにより確実な動作を確保して信頼性を
得るに至らないものであった。過充電の保護回路はリチ
ウムイオン二次電池等のエネルギー密度の高い二次電池
では確実な動作が不可欠であり、二次電池もしくは電池
パック個々に、保護回路の動作を検査して信頼性を確保
できるものが必要である。
【0010】また、温度ヒューズや加熱手段等は、集積
回路に組み込むことが不可能なパーツであり、それらの
配設スペースが必要となるため、小型の二次電池を用い
てコンパクトな電池パックを構成したり、二次電池に保
護回路を一体化させた保護回路付きの二次電池を構成す
るのに障害となる。
【0011】本発明が目的とするところは、過充電を防
止するための二重の保護回路をコンパクトに構成した電
池保護回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本願の第1発明に係る電池保護回路は、二次電池の正
負両極間の電圧を検出して、検出電圧が第1の充電禁止
電圧以下であるとき二次電池の充放電回路に直列接続さ
れた第1のスイッチング手段を導通状態に制御し、検出
電圧が前記第1の充電禁止電圧以上となったとき前記第
1のスイッチング手段の充電方向を遮断状態に制御し、
第1の充電解除電圧以下となるまで遮断状態を保持する
主保護回路と、二次電池の正負両極間の電圧を検出し
て、検出電圧が前記第1の充電禁止電圧を越える第2の
充電禁止電圧以下であるとき二次電池の充放電回路に直
列接続された第2のスイッチング手段を導通状態に制御
し、検出電圧が前記第2の充電禁止電圧以上になったと
き前記第2のスイッチング手段の充電方向を遮断状態に
制御する副保護回路とを具備してなることを特徴とす
る。
【0013】上記構成によれば、主保護回路に故障、誤
動作等の不具合が生じて過充電の阻止動作がなされなか
ったときには、副保護回路が過充電を検出して二次電池
の充放電回路を遮断する。この構成によって二重の過充
電保護回路が構成され、二次電池の過充電は確実に阻止
され、二次電池の破壊につながる過充電の進行が防止さ
れる。この二重の過充電保護の構成は、その動作を電池
保護回路毎に検査することができ、信頼性の高い電池保
護が可能となる。また、二重の過充電保護回路は過充電
を確実に防止できるので、過充電に伴うガス発生がな
く、ガス発生による電池内の異常内圧を放出するガス排
出弁等の機構を廃止することも可能となり、ガス排出弁
等を設けるスペースを得難い小型の二次電池の構成が容
易となる。また、半導体素子による回路構成が可能であ
るため、保護回路を集積回路として構成することがで
き、電池パックの小型化や二次電池内に保護回路を収容
することも可能となる。
【0014】上記構成において、副保護回路は、第2の
充電禁止電圧の検出により第2のスイッチング手段の充
電方向を遮断状態に制御し、遮断状態を第2の充電解除
電圧が検出されるまで保持するように構成することがで
きる。即ち、第2の充電解除電圧を第1の充電禁止電圧
以下に設定することによって、副保護回路による第2の
スイッチング手段の遮断状態により充電を不可能にする
ことができる。また、第2のスイッチング手段による遮
断動作によって充電回路が開放されたときの電池電圧の
低下により遮断状態から導通状態に復帰して過充電保護
の状態が開放されてしまうことを防止することもでき
る。
【0015】また、副保護回路は、第2の充電禁止電圧
の検出により第2のスイッチング手段の充電方向を遮断
状態に制御した後、遮断状態を固定するように構成する
ことによって、過充電検出による第2のスイッチング手
段の遮断状態を固定して、主保護回路の故障による電池
保護機能の喪失から二次電池を保護することができる。
【0016】また、第1及び第2の各スイッチング手段
が、その内部に寄生ダイオードを有するパワーMOSF
ETであり、前記寄生ダイオードの順方向が二次電池の
放電方向になるように接続して構成することにより、過
充電状態の検出によって第1及び第2の各スイッチング
手段が遮断状態となっても、寄生ダイオードを通じた放
電が可能となり、過充電の阻止機能が動作した状態にて
も二次電池の使用が可能となる。
【0017】また、上記目的を達成するための本願の第
2発明に係る電池保護回路は、二次電池の正負両極間の
電圧及び放電電流を検出して、検出電圧が第1の充電禁
止電圧以下で第1の放電禁止電圧以上であるとき二次電
池の充放電回路に直列接続された第1のスイッチング素
子を導通状態に制御し、検出電流が所定値以上であると
き前記第1のスイッチング素子を遮断状態に制御し、検
出電圧が第1の充電禁止電圧以上になったとき前記第1
のスイッチング素子を充電方向遮断/放電方向導通の状
態に制御し、検出電圧が放電禁止電圧以下になったとき
前記第1のスイッチング素子を放電方向遮断/充電方向
導通の状態に制御する主保護回路と、二次電池の正負両
極間の電圧を検出して、検出電圧が第2の充電禁止電圧
以下であるとき二次電池の充放電回路に直列接続された
第2のスイッチング手段を導通状態に制御し、検出電圧
が前記第2の充電禁止電圧以上であるとき前記第2のス
イッチング手段の充電方向を遮断状態に制御し、遮断状
態を第2の充電解除電圧が検出されるまで保持する副保
護回路とを具備してなることを特徴とする。
【0018】上記構成によれば、主制御回路は二次電池
の電圧及び放電電流を検出して、正常時はスイッチング
素子を導通状態に制御して二次電池を使用可能な状態に
制御するが、異常状態に応じて第1のスイッチング手段
を遮断状態もしくは充電のみ可能、放電のみ可能な状態
に制御する。この主保護回路に故障、誤動作等の不具合
が生じて過充電の阻止動作がなされなかったときには、
副保護回路が過充電を検出して二次電池の充放電回路を
遮断するので、二重の過充電保護回路が構成され、二次
電池の過充電は確実に阻止され、二次電池の破壊状態に
つながる過充電の進行が防止される。この二重の過充電
保護の構成は、その動作を個々に検査することができ、
信頼性の高い電池保護が可能となる。また、二重の過充
電保護回路は過充電を確実に防止できるので、過充電に
伴うガス発生がなく、ガス発生による電池内の異常内圧
を放出するガス排出弁等の機構を廃止することも可能と
なり、ガス排出弁等を設けるスペースを得難い小型の二
次電池の構成が容易となる。また、半導体素子による回
路構成が可能であるため、保護回路を集積回路として構
成することができ、電池パックの小型化や二次電池内に
保護回路を収容することも可能となる。
【0019】上記構成において、第1のスイッチング素
子は、その内部に寄生ダイオードの無いFETであり、
そのゲート電圧によって各状態になるもので、1つのF
ETによって過充電、過放電及び過電流の阻止動作に制
御することができ、電池保護回路を小型化することが可
能となる。
【0020】また、上記目的を達成するための本願の第
3発明に係る電池保護回路は、二次電池の充放電回路に
直列接続されたPTC素子に加熱手段を熱カップリング
させ、この加熱手段への通電を制御する第1のスイッチ
ング手段を設け、二次電池の正負両極間の電圧を検出し
て、検出電圧が第1の規定電圧以下であるとき前記第1
のスイッチング手段を遮断状態に制御し、検出電圧が前
記第1の規定電圧以上であるとき前記第1のスイッチン
グ手段を導通状態に制御して前記加熱手段に通電し、こ
の導通状態を第1の解除電圧が検出されるまで保持する
主保護回路と、二次電池の正負両極間の電圧を検出し
て、検出電圧が前記第1の規定電圧を越える第2の規定
電圧以下であるとき二次電池の充放電回路に直列接続さ
れた第2のスイッチング手段を導通状態に制御し、検出
電圧が前記第2の規定電圧以上であるとき前記第2のス
イッチング手段の充電方向を遮断状態に制御し、遮断状
態を第2の解除電圧が検出されるまで保持する副保護回
路とを具備してなることを特徴とする。
【0021】上記構成によれば、主保護回路は二次電池
の電圧から過充電状態が検出されたとき、第1のスイッ
チング手段を導通状態に制御して加熱手段に通電し、二
次電池の充放電回路に直列接続されたPTC素子を加熱
手段によって加熱する。PTC素子は温度上昇によって
急激に抵抗値を増加させて、二次電池への充電電流を規
制し、二次電池を過充電状態から保護する。この主保護
回路に故障、誤動作等の不具合が生じて過充電の阻止動
作がなされなかったときには、副保護回路が過充電を検
出して二次電池の充放電回路を遮断するので、二重の過
充電保護回路が構成され、二次電池の過充電は確実に阻
止され、二次電池の破壊状態につながる過充電の進行が
防止される。この二重の過充電保護の構成は、その動作
を個々に検査することができ、信頼性の高い電池保護が
可能となる。また、二重の過充電保護回路は過充電を確
実に防止できるので、過充電に伴うガス発生がなく、ガ
ス発生による電池内の異常内圧を放出するガス排出弁等
の機構を廃止することも可能となり、ガス排出弁等を設
けるスペースを得難い小型の二次電池の構成が容易とな
る。また、半導体素子による回路構成が可能であるた
め、保護回路を集積回路として構成することができ、電
池パックの小型化や二次電池内に保護回路を収容するこ
とも可能となる。
【0022】上記構成において、加熱手段はPTC素子
に熱カップリングされた第2のPTC素子によって構成
することができる。PTC素子は平板状に形成すること
ができ、2つのPTC素子を面接合して熱カップリング
が良好な状態をえることができ、第2のPTC素子に通
電することによる温度上昇によってPTC素子を加熱
し、その抵抗値を増加させて充電電流を規制する構造を
コンパクトに構成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。
尚、以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であ
って、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0024】図1は、本発明の第1の実施形態に係る電
池保護回路の構成を示すもので、リチウムイオン二次電
池として構成された二次電池3を過充電、過放電及び過
電流から保護する主保護回路Aと、二次電池3を過充電
から前記主保護回路Aに併せて二重に保護する副保護回
路Bとを備えて構成されている。
【0025】図1において、二次電池3の負極側とマイ
ナス入出力端子5との間には、主保護回路Aを構成する
第1のFET(第1のスイッチング手段)11及び第2
のFET12と、副保護回路Bを構成する第3のFET
(第2のスイッチング手段)13が直列に接続されてい
る。第1〜第3の各FET11〜13は、それぞれパワ
ーMOSFETを用いて構成され、第1及び第2の各F
ET11、12は主制御手段1によって、それぞれ導通
/遮断の2状態に制御され、第3のFET13は副制御
手段2によって導通/遮断の2状態に制御される。これ
らは二次電池3の正常な充放電条件下においては、いず
れも導通状態に制御されて二次電池3の負極とマイナス
入出力端子5との間を導通状態に接続し、プラス入出力
端子4とマイナス入出力端子5との間に二次電池3が接
続された状態とする。
【0026】前記主制御手段1は、二次電池3の正負両
極間の電圧を検出して、これが予め設定された過充電状
態と判定される第1の充電禁止電圧(例えば、4.30
V)以上になったとき、第1のFET11を遮断状態に
制御して充電電流を遮断し、二次電池3を過充電から保
護する。二次電池3は過充電によって電解液が分解さ
れ、これに伴うガス発生による電池破損や、内部短絡の
発生を生じる恐れがあるが、この過充電防止の機能によ
り、二次電池3の損傷が防止できる。主制御手段1によ
る第1のFET11の遮断状態は、第1の充電禁止電圧
より低い第1の充電解除電圧が検出されるまで保持され
る。
【0027】また、主制御手段1は、二次電池3の正負
両極間の電圧を検出して、これが予め設定された過放電
状態と判定される放電禁止電圧(例えば、2.60V)
以下になったとき、第2のFET12を遮断状態に制御
して放電電流を遮断し、二次電池3を過放電から保護す
る。二次電池3は過放電によって電池性能の劣化を来す
が、この過放電防止の機能により、二次電池3の劣化が
防止できる。主制御手段1による第2のFET12の遮
断状態は、放電禁止電圧より高い放電解除電圧が検出さ
れるまで保持される。
【0028】更に、主制御手段1は、第2のFET12
の両端電圧を検出して、これが予め設定された過大な放
電電流に対応する電圧以上になったとき、第1及び第2
の各FET11、12を遮断状態に制御して放電電流を
遮断し、二次電池3を過大な放電電流による損傷から保
護する。プラス入出力端子4とマイナス入出力端子5と
の間、あるいはこれらに接続する機器側で短絡が生じた
ような場合に、二次電池3は過大な放電電流に曝される
ことになるが、このとき第2のFET12の僅かな内部
抵抗(20〜50mΩ)によっても過大な放電電流によ
って、その両端電圧が上昇するので、これを検出して過
電流を遮断することができる。
【0029】上記のように第1の主保護回路Aは、過充
電、過放電、過電流を阻止する機能を備えているので、
これを二次電池3と共に電池パックの形態に構成するこ
とによって、二次電池3は機器の故障や誤った使用によ
る損傷から保護される。しかし、主保護回路Aに動作異
常が生じたとき、二次電池3は著しい損傷を受けること
になる。この動作異常は、主保護回路Aが故障した場合
に二次電池3は過充電の進行と共に温度上昇し、電解液
の分解によるガス発生は電池内圧の異常上昇をまねき、
やがては破裂の事態に陥ることになる。このような電池
内圧の異常上昇に備えて前述した電流遮断弁が装備され
るが、二次電池3が小型化され、薄型化されたものであ
るとき、電流遮断弁を電池内に構成することが困難とな
り、確実な動作を期待できない状態となる。過充電が確
実に阻止できれば、前記電流遮断弁を廃止することも可
能であり、小型化、薄型化された二次電池3の保護がな
されることになる。
【0030】前記副保護回路Bは、過充電から二次電池
を二重に保護するために設けられたもので、主保護回路
Aによる過充電の阻止機能が正常になされなかったと
き、この副保護回路Bによって過充電が阻止される。副
保護回路Bは、副制御手段2によって二次電池3の電圧
を検出し、主制御手段1が過充電防止の目的で検出する
充電禁止電圧より高い第2の充電禁止電圧(例えば、
4.45V)以上の電圧が検出されたとき、第3のFE
T13を遮断状態に制御し、第2の充電解除電圧が検出
されるまで遮断状態を保持して充電電流を遮断する。
【0031】図2は、過充電状態が継続されたときの二
次電池3の電圧変化と温度変化とを測定した試験データ
を示すもので、主保護回路Aによって過充電の阻止動作
が正常になされなかったとき、過充電状態の進行ととも
に電池電圧は徐々に上昇し、電池温度は急激な上昇を迎
えることが示されている。電池温度が急激に上昇しはじ
めたときの電池電圧は5Vを越えていることから、副保
護回路Bの副制御手段2において第2の充電禁止電圧を
前記のように4.45Vに設定しておくことによって、
この第2の充電禁止電圧が検出されたとき、副制御手段
2によって第3のFET13が遮断状態に制御され、電
池温度が急激に上昇しはじめる以前に充電電流は遮断さ
れ、過充電状態の継続による電池破損は防止される。
【0032】以上説明した第1の実施形態に係る電池保
護回路に用いられた第1〜第3の各FET11、12、
13は、図3に示すように、それぞれドレイン−ソース
間に寄生ダイオードDを有するもので、過充電防止のた
めに第1のFET11または第3のFET13が遮断状
態に制御されたときにも、第1及び第3の各FET1
1、13の寄生ダイオードDの順方向が放電電流方向に
なるように接続されていることにより、二次電池3から
の放電は可能となる。また、過放電防止のために第2の
FET12が遮断状態に制御されたときにも、第2のF
ET12の寄生ダイオードDの順方向が充電電流方向に
なるように接続されていることにより、二次電池3への
充電は可能となる。
【0033】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。図4は、第2の実施形態に係る電池保護回路の
構成を示すもので、第2の実施形態に係る電池保護回路
は、主保護回路Cと副保護回路Bとを備えて構成されて
いる。副保護回路Bは第1の実施形態に示したものと共
通する構成であり、構成要素と共に同一の符号で示して
おり、その説明は省略する。
【0034】図4において、主保護回路Cは、主制御手
段6と第1のFET14とを集積回路チップとして構成
したもので、第1のFET14は主制御手段6から印加
されるゲート電圧によって、導通状態、遮断状態、
充電方向導通/放電方向遮断、充電方向遮断/放電
方向導通の4状態に動作する。この主制御手段6と第1
のFET14とによる主保護回路Cの構成は、Unit
rode社製の集積回路チップとして市販されており、
US特許5581170号として開示されているもので
ある。
【0035】前記第1のFET14は、第1の実施形態
における第1及び第2の各FET11、12のように寄
生ダイオードDを有するものでなく、また、1つのスイ
ッチング素子として、そのゲート電圧の変化によって上
記のように4状態に動作する。
【0036】導通状態は、二次電池3が正常な使用状
態にある場合で、第2の主制御手段6が検出する二次電
池3の電圧が正常な充放電条件下にある状態である。ま
た、 遮断状態は、二次電池3の充放電回路に直列接続され
た第1のFET14の両端電圧から許容値以上の過大な
放電電流が検出されたとき、充放電回路を遮断して過大
電流から二次電池3を保護する。また、充電方向導通
/放電方向遮断は、主制御手段6によって二次電池3の
過放電状態に対応する電圧が検出されたとき、放電解除
電圧が検出されるまで放電方向を遮断状態にして放電を
停止し、充電方向の導通状態により充電は可能とする。
また、充電方向遮断/放電方向導通は、主制御手段6
によって二次電池3の過充電状態に対応する電圧が検出
されたとき、充電解除電圧が検出されるまで充電方向を
遮断状態にして充電を停止し、放電方向の導通状態によ
り放電は可能とする。
【0037】この主保護回路Cの構成によって、二次電
池3は過充電、過放電及び過電流から保護される。しか
し、この主保護回路Cにおいても第1の実施形態におい
て述べたように、誤動作や故障等の動作異常が生じたと
き、二次電池3は著しい損傷を受けることになる。なか
でも過充電の防止機能が停止した場合には、二次電池3
は過充電の進行と共に温度上昇し、電解液の分解による
ガス発生は電池内圧の異常上昇をまねき、やがては破裂
の事態に陥ることになる。そこで、図4に示すように、
上記構成になる主保護回路Cに副保護回路Bを併設する
ことによって、二次電池3が最も過酷な破損状態に陥り
やすい過充電から二重に保護されることになり、電池保
護回路は確実な二次電池3の保護をなし得ることにな
る。尚、副保護回路Bの構成及び動作は第1の実施形態
と同様なので、その説明は省略する。
【0038】次いで、本発明の第3の実施形態について
説明する。図5は、第3の実施形態に係る電池保護回路
を示すもので、第3の実施形態に係る電池保護回路は、
主保護回路Eと副保護回路Bとを備えて構成され、副保
護回路Bは第1及び第2の各実施形態に示したものと共
通する構成であり、構成要素と共に同一の符号で示し、
その説明は省略する。
【0039】図5において、二次電池3の正極側は、主
保護回路Eを構成する第1のPTC21を介してプラス
入出力端子4に接続され、この第1のPTC21には第
2のPTC(加熱手段)22が熱カップリングされた状
態にして保護素子10が構成されている。PTC(Po
sitive Temperature Coeffi
cient)は、周知のように電流が流れることによる
自己発熱もしくは加熱による温度上昇によって所定温度
以上になったとき、その抵抗値が急激に増加する正特性
サーミスタに属するもので、所定温度以下の平常時には
微小な抵抗値により通電による電圧降下は僅少にして充
放電回路に支障を与えることがない。
【0040】前記保護素子10は、板状に形成された第
1のPTC21と第2のPTC22とを電極板を介して
面接合することにより、第2のPTC22の温度が第1
のPTC21に伝導しやすい熱カップリング状態に形成
される。尚、第2のPTC22は、抵抗器あるいはヒー
タ等の電流によって速やかに温度上昇する加熱手段とす
ることもできる。
【0041】また、二次電池3の負極側は、副保護回路
Bを構成する第3のFET13を介してマイナス入出力
端子5に接続されており、二次電池3が正常な充放電条
件下にある状態では、第3のFET13は副制御手段2
により導通状態に制御され、二次電池3の負極側をマイ
ナス入出力端子5に接続した状態となっている。
【0042】主保護回路Eは、主制御手段7によって二
次電池3の正負両極間の電圧を検出して、これが予め設
定された過充電状態と判定される第1の充電禁止電圧
(例えば、4.30V)以下であるときには、第1のF
ET15を遮断状態に制御する。過充電により前記第1
の充電禁止電圧を越える電圧が検出されたときには、主
制御手段7は第1のFET15を第1の充電禁止電圧よ
り低い第1の充電解除電圧が検出されるまで導通状態に
制御する。第1のFET15の導通により、第2のPT
C22の通電回路が形成され、その発熱によって熱カッ
プリングされた第1のPTC21が加熱される。この加
熱によって第1のPTC21は、抵抗値が急増するトリ
ップ状態となり、その増大した抵抗値によって二次電池
3の充放電回路に流れる電流を規制し、二次電池3の過
充電状態を阻止する。
【0043】しかし、この主保護回路Eにおいても第1
及び第2の各実施形態において述べたように、誤動作や
故障等の動作異常が生じたとき、二次電池3は著しい損
傷を受けることになる。なかでも過充電の防止機能が停
止した場合には、二次電池3は過充電の進行と共に温度
上昇し、電解液の分解によるガス発生は電池内圧の異常
上昇をまねき、やがては破裂の事態に陥ることになる。
そこで、図5に示すように、上記構成になる主保護回路
Eに副保護回路Bを併設することによって、二次電池3
が最も過酷な破損状態に陥りやすい過充電から二重に保
護されることになり、電池保護回路は確実な二次電池3
の保護をなし得ることになる。尚、副保護回路Bの構成
及び動作は第1の実施形態と同様なので、その説明は省
略する。
【0044】以上説明した各実施形態における電池保護
回路は、従来技術になる過充電から二重に保護する構成
においては、非復帰の遮断手段を副保護回路として構成
していたことにより、その動作が正常になされるか否か
を検査できないことから信頼性が低下する欠点を改良す
ることができる。即ち、副保護回路Bは副制御手段2に
第2の充電禁止電圧以下の電圧を印加して、第3のFE
T13が導通状態となり、第2の充電禁止電圧以上の電
圧を印加して、第3のFET13が遮断状態になること
を検査することができ、信頼性の高い電池保護回路を構
成することができる。
【0045】また、各実施形態における電池保護回路
は、要部を集積回路として構成することができ、使用す
る電子部品の点数も少ないので、小型化、薄型化された
二次電池3と共にコンパクトに電池パックを構成するこ
とができる。更には、二次電池3内に保護回路を収容し
て保護回路を内装した二次電池3として構成することも
可能となる。また、二重の過充電阻止機能を備えている
ことによって、過充電によるガス発生が抑止されるの
で、内圧放出のための電流遮断弁を廃止することも可能
であり、小型化、薄型化されて機械的構造の電流遮断弁
の設置スペースが得難い場合にも、過充電による電池破
損の防止を図ることができる。
【0046】
【発明の効果】以上の説明の通り本発明によれば、過充
電を阻止する機能が二重に設けられるので、過充電によ
る電池破壊を電気的に防止することができる。従って、
過充電による電池破壊を防止する構成を機械的な電流遮
断手段でなく、電気的に行うことができるので、電流遮
断の機械的構成を配設するスペースが少ない小型の二次
電池にも容易に適用することができる。
【0047】また、主保護回路に併設された副保護回路
は温度ヒューズ等の非復帰の回路遮断手段を用いること
なく復帰タイプの構成なので、過充電状態が解除された
ときには正常時の状態に復帰させることも可能であり、
非復帰タイプでは不可能であった副保護回路の動作を検
査することができるので、電池保護回路が確実に動作す
ることを個々に検査して製品出荷することができ、信頼
性の高い電池保護回路を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る電池保護回路の構成を示
すブロック図。
【図2】過充電状態が継続されたときの電池電圧と電池
温度との変化を示すグラフ。
【図3】MOSFETに内蔵される寄生ダイオードを示
すFET回路図。
【図4】第2の実施形態に係る電池保護回路の構成を示
すブロック図。
【図5】第3の実施形態に係る電池保護回路の構成を示
すブロック図。
【図6】従来技術に係る電池保護回路の構成を示すブロ
ック図。
【図7】従来技術に係る電池保護回路の構成を示すブロ
ック図。
【符号の説明】
A、C、E 主保護回路 B 副保護回路 D 寄生ダイオード 1、6、7 主制御手段 2 副制御手段 3 二次電池 11、14、15 第1のFET(第1のスイッチング
手段) 12 第2のFET 13 第3のFET(第2のスイッチング手段) 21 PTC素子 22 第2のPTC素子(加熱手段)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二次電池の正負両極間の電圧を検出し
    て、検出電圧が第1の充電禁止電圧以下であるとき二次
    電池の充放電回路に直列接続された第1のスイッチング
    手段を導通状態に制御し、検出電圧が前記充電禁止電圧
    以上となったとき前記第1のスイッチング手段の充電方
    向を遮断状態に制御し、遮断状態を充電禁止電圧を下回
    る第1の充電解除電圧以下となるまで遮断状態を保持す
    る主保護回路と、 二次電池の正負両極間の電圧を検出して、検出電圧が前
    記第1の充電禁止電圧を上回る第2の充電禁止電圧以下
    であるとき二次電池の充放電回路に直列接続された第2
    のスイッチング手段を導通状態に制御し、検出電圧が前
    記第2の充電禁止電圧以上になったとき前記第2のスイ
    ッチング手段の充電方向を遮断状態に制御する副保護回
    路とを具備してなることを特徴とする電池保護回路。
  2. 【請求項2】 副保護回路は、第2の充電禁止電圧の検
    出により第2のスイッチング手段の充電方向を遮断状態
    に制御し、遮断状態を第2の充電解除電圧が検出される
    まで保持する請求項1記載の電池保護回路。
  3. 【請求項3】 副保護回路は、第2の充電禁止電圧の検
    出により第2のスイッチング手段の充電方向を遮断状態
    に制御した後、遮断状態を固定する請求項1記載の電池
    保護回路。
  4. 【請求項4】 第1及び第2の各スイッチング手段が、
    その内部に寄生ダイオードを有するパワーMOSFET
    であり、前記寄生ダイオードの順方向が二次電池の放電
    方向になるように接続されてなる請求項1〜3いずれか
    一項に記載の電池保護回路。
  5. 【請求項5】 二次電池の正負両極間の電圧及び放電電
    流を検出して、検出電圧が第1の充電禁止電圧以下で第
    1の放電禁止電圧以上であるとき二次電池の充放電回路
    に直列接続された第1のスイッチング素子を導通状態に
    制御し、検出電流が所定値以上であるとき前記第1のス
    イッチング素子を遮断状態に制御し、検出電圧が第1の
    充電禁止電圧以上になったとき前記第1のスイッチング
    素子を充電方向遮断/放電方向導通の状態に制御して、
    この状態を第1の充電禁止電圧を下回る第1の充電解除
    電圧が検出されるまで保持し、検出電圧が放電禁止電圧
    以下になったとき前記第1のスイッチング素子を放電方
    向遮断/充電方向導通の状態に制御して、この状態を第
    1の放電禁止電圧を上回る第1の放電解除電圧が検出さ
    れるまで保持する主保護回路と、 二次電池の正負両極間の電圧を検出して、検出電圧が前
    記第1の充電禁止電圧を上回る第2の充電禁止電圧以下
    であるとき二次電池の充放電回路に直列接続された第2
    のスイッチング手段を導通状態に制御し、検出電圧が前
    記第2の充電禁止電圧以上になったとき前記第2のスイ
    ッチング手段の充電方向を遮断状態に制御し、遮断状態
    を第2の充電解除電圧が検出されるまで保持する副保護
    回路とを具備してなることを特徴とする電池保護回路。
  6. 【請求項6】 第1のスイッチング素子が、その内部に
    寄生ダイオードの無いFETであり、そのゲート電圧に
    よって各状態となる請求項5記載の電池保護回路。
  7. 【請求項7】 二次電池の充放電回路に直列接続された
    PTC素子に加熱手段を熱カップリングさせ、この加熱
    手段への通電を制御する第1のスイッチング手段を設
    け、二次電池の正負両極間の電圧を検出して、検出電圧
    が第1の充電禁止電圧以下であるとき前記第1のスイッ
    チング手段を遮断状態に制御し、検出電圧が前記第1の
    充電禁止電圧以上であるとき前記第1のスイッチング手
    段を導通状態に制御して前記加熱手段に通電し、導通状
    態を第1の充電解除電圧が検出されるまで保持する主保
    護回路と、 二次電池の正負両極間の電圧を検出して、検出電圧が前
    記第1の充電禁止電圧を越える第2の充電禁止電圧以下
    であるとき二次電池の充放電回路に直列接続された第2
    のスイッチング手段を導通状態に制御し、検出電圧が前
    記第2の充電禁止電圧以上であるとき前記第2のスイッ
    チング手段の充電方向を遮断状態に制御し、遮断状態を
    第2の充電解除電圧が検出されるまで保持する副保護回
    路とを具備してなることを特徴とする電池保護回路。
  8. 【請求項8】 加熱手段が、PTC素子に熱カップリン
    グされた第2のPTC素子である請求項7記載の電池保
    護回路。
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