JP2001036317A - アンテナ構造およびそのアンテナ構造を備えた通信装置 - Google Patents

アンテナ構造およびそのアンテナ構造を備えた通信装置

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JP2001036317A JP11202692A JP20269299A JP2001036317A JP 2001036317 A JP2001036317 A JP 2001036317A JP 11202692 A JP11202692 A JP 11202692A JP 20269299 A JP20269299 A JP 20269299A JP 2001036317 A JP2001036317 A JP 2001036317A
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健吾 尾仲
Kazuya Kawabata
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単で、しかも、アンテナ特性の向上
が図れるアンテナ構造および通信装置を提供する。 【解決手段】 回路基板18には表面実装型アンテナ1
0と該表面実装型アンテナ10に隣接してアンテナ1と
を設ける。アンテナ1は回路基板18のグランド電極2
1に導通接続している。信号源20から表面実装型アン
テナ10の給電電極13に信号(電力)を供給すると、
その信号は電磁結合により表面実装型アンテナ10から
アンテナ1に伝達する。アンテナ1に信号を供給するた
めの複雑な給電機構が不要となり、また、整合回路が不
要となる。これにより、アンテナ構造および通信装置の
構成を簡略化できる。また、アンテナ1と表面実装型ア
ンテナ10との2種のアンテナを用いるため、アンテナ
特性の向上が容易となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、携帯型電話機等に
内蔵されるアンテナ構造およびそのアンテナ構造を備え
た通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PHS等の携帯型電話機のアンテナとし
ては、主に、図6(a)、(b)、(c)に示すような
アンテナ1や図7に示すような表面実装型アンテナ10
が用いられている。図6(a)に示すアンテナ1は樹脂
等のケーシング2内に直線ワイヤ状の金属導体部である
ホイップ部3と螺旋状の金属導体部であるヘリカル部4
とが内蔵されて成るものであり、上記ホイップ部3とヘ
リカル部4は切断されている。図6(b)に示すアンテ
ナ1は、上記図6(a)のアンテナ1とほぼ同様な構造
を持つものであるが、ホイップ部3とヘリカル部4を接
続させている点が上記図6(a)のアンテナ1と異な
る。
【0003】また、図6(c)に示すアンテナ1は、ヘ
リカル部4の中心領域にホイップ部3が挿通されて成る
ものであり、ヘリカル部4はホイップ部3に電磁結合す
る。上記図6(a)、(b)、(c)に示す各アンテナ
1は、通信装置(携帯型電話機)5のケース6よりも外
側に突出され、その突出している長さが可変する伸縮可
能タイプのアンテナである。
【0004】通信装置5には、図6(a)、(b)、
(c)に示すように、整合回路7と接触ピン8を有する
給電回路9と、信号源20とを有しており、上記各アン
テナ1は、上記信号源20の信号(電力)が給電回路9
を介して供給されることによって、アンテナとして動作
する。
【0005】図7に示す表面実装型アンテナ10は誘電
体基体11を有し、この誘電体基体11の表面には放射
電極12と給電電極13とグランド電極14,15と接
続用電極16(16a,16b,16c,16d,16
e)が形成されている。つまり、図7に示すように、誘
電体基体11の側面11aには放射電極12が誘電体基
体11の後端面11bから前端面11dに向かう方向に
ライン状に形成され、この放射電極12の両端部はそれ
ぞれ誘電体基体11の上面11eに回り込み、側面11
cに向かう方向に形成されている。
【0006】誘電体基体11の側面11cには給電電極
13とグランド電極14,15が形成されている。上記
給電電極13は側面11cから上面11eに掛けて形成
されている。また、上記グランド電極14は前記誘電体
基体11の底面11fから上面11eに向かう方向にラ
イン状に形成されており、上面11eにおける後端側の
放射電極12に導通接続されている。さらに、グランド
電極15は誘電体基体11の側面11cから上面11e
に掛けて形成されており、このグランド電極15の端部
は上記放射電極12の開放端12aに間隔を介して対向
配置されている。
【0007】誘電体基体11の底面11fには接続用電
極16a,16b,16c,16d,16eが形成され
ており、それら接続用電極16a,16b,16c,1
6d,16eはそれぞれ放射電極12の前端部、後端
部、グランド電極14、給電電極13、グランド電極1
5に導通接続されている。
【0008】上記図7に示す表面実装型アンテナ10
は、例えば、図8に示すように、通信装置5の回路基板
18に半田等を用いて実装される。つまり、図8に示す
例では、回路基板18にはグランド電極21が形成され
るグランド領域と、グランド電極21が形成されていな
い非グランド領域18aとが形成されており、この非グ
ランド領域18aに上記表面実装型アンテナ10が実装
されている。
【0009】上記回路基板18には信号源20が設けら
れており、表面実装型アンテナ10を回路基板18に実
装することで、表面実装型アンテナ10の給電電極13
は信号源20に接続用導体パターン19を介して導通接
続される。
【0010】このように、表面実装型アンテナ10が回
路基板18に実装されている状態で、信号源20から上
記表面実装型アンテナ10の給電電極13に高周波の信
号(電力)が供給されると、この給電電極13に供給さ
れた信号は放射電極12に容量結合により伝達される。
これにより、放射電極12は、該放射電極12自身のイ
ンダクタンス成分と、開放端12aとグランド電極15
間の静電容量とに基づいた共振状態となり、その共振の
エネルギーの一部が電波として空間に放射される。
【0011】図7に示す放射電極12は一方側の端部が
開放端12aと成し、他方側の端部がグランド電極14
に導通接続された接地端と成している。このような形態
の放射電極12では動作波長の約1/4波長の共振状態
となる。このため、放射電極12に流れる電流は、図7
の矢印Aに示すように、誘電体基体11の前端面11d
から後端面11bに向かう方向に流れる。このことによ
り、表面実装型アンテナ10によって送受信される電波
は、図8に示すように、その電界成分ベクトルEが座標
のZ方向に伝播するものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記図6(a)、
(b)に示すアンテナ1は、通常、ホイップ部3とヘリ
カル部4が共に通信装置5のケース6から突出している
伸長状態と、上記ホイップ部3がケース6内に収納さ
れ、ヘリカル部4がケース6から突出している収納状態
とを採り得る。
【0013】このような図6(a)、(b)に示すアン
テナ1を備えた通信装置5では、上記アンテナ1の伸長
状態時にはホイップ部3に給電し、収納状態時にはヘリ
カル部4に給電しなければならず、アンテナ1へ電力を
給電するための機構は複雑になってしまうという問題が
ある。また、上記のように、上記アンテナ1の伸長状態
時と収納状態時とでは給電の状態が異なるので、伸長状
態時と収納状態時とのアンテナ1のインピーダンスが異
なる。このことにより、伸長状態時と収納状態時のどち
らでも良好な通信を行うためには、整合回路を設け該整
合回路によって、上記伸長状態時と収納状態時における
アンテナ1のインピーダンスを整合しなければならな
い。
【0014】さらに、図6の(b)に示すアンテナ1で
は収納状態であるときにもホイップ部3に電流が通電す
ることから、ケース6内に収容されているホイップ部3
が通信装置5の回路に悪影響を及ぼす虞がある。このこ
とにより、そのホイップ部3に因る通信装置5の回路へ
の悪影響を防止するための複雑な機構が必要となるとい
う問題がある。
【0015】図6(c)に示すアンテナ1はホイップ部
3の固定機構にヘリカル部4との電磁結合部が複合する
ため、通信装置5の構造が複雑となり、通信装置5の価
格が高価なものとなってしまうという問題が生じる。
【0016】上記のように、従来のアンテナ1では、通
信装置5に、複雑な給電機構や、整合回路や、上記アン
テナ1の収納状態時におけるホイップ部3の悪影響防止
機構等を設けなければならないので、通信装置5の構造
が複雑となり、通信装置5の価格が高価になってしまう
という問題が生じる。
【0017】また、図7に示す表面実装型アンテナ10
では、次に示すような問題が生じる。表面実装型アンテ
ナ10は、一般に、小さく、また、携帯機器の中に収納
される。このため、上記したような伸縮可能タイプのア
ンテナ1が伸ばされている状態と比べると、使用する周
波数帯域幅等のアンテナ特性が十分でないという欠点が
あった。
【0018】この発明は上記課題を解決するために成さ
れたものであり、その目的は、通信装置の構造の簡易化
を可能とし、しかも、アンテナ特性の向上を図ることが
できるアンテナ構造およびそのアンテナ構造を備えた通
信装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決す
る手段としている。すなわち、第1の発明のアンテナ構
造は、誘電体基体に放射電極と該放射電極に外部からの
給電電力を伝達する給電電極とが形成されて成る表面実
装型アンテナと、該表面実装型アンテナが実装される実
装基板のグランド電極と接続される線状アンテナとを有
し、上記表面実装型アンテナと線状アンテナは間隔を介
して隣接配置されており、上記線状アンテナは、上記表
面実装型アンテナの給電電極に供給された電力によって
励振される構成をもって前記課題を解決する手段として
いる。
【0020】第2の発明のアンテナ構造は、上記第1の
発明の構成を備え、線状アンテナの電気長は動作波長の
5分の1以上の長さであることを特徴として構成されて
いる。
【0021】第3の発明のアンテナ構造は、上記第1又
は第2の発明の構成を備え、線状アンテナは実装基板か
ら突出する直線ワイヤ状の導体部を有して構成されてい
ることを特徴として構成されている。
【0022】第4の発明のアンテナ構造は、上記第1又
は第2の発明の構成を備え、線状アンテナは実装基板か
ら突出する直線ワイヤ状の導体部と螺旋状の導体部とを
有して構成されていることを特徴として構成されてい
る。
【0023】第5の発明のアンテナ構造は、上記第3又
は第4の発明の構成を備え、線状アンテナは、実装基板
から突出している部位の長さが可変する伸縮可能タイプ
のアンテナであることを特徴として構成されている。
【0024】第6の発明のアンテナ構造は、上記第1〜
第5の発明の何れか1つの発明の構成を備え、表面実装
型アンテナの誘電体基体は比誘電率が3以上であること
を特徴として構成されている。
【0025】第7の発明における通信装置は、上記第1
〜第6の発明の何れか1つの発明のアンテナ構造を備え
ていることを特徴として構成されている。
【0026】第8の発明における通信装置は、上記第7
の発明を構成する通信装置のケースにはグランド領域が
形成されており、線状アンテナは上記ケースのグランド
領域に接地されていることを特徴として構成されてい
る。
【0027】上記構成の発明において、外部から表面実
装型アンテナの給電電極に電力が供給された場合には、
その電力は給電電極から放射電極に供給されると共に、
線状アンテナにも伝達されることとなる。
【0028】つまり、表面実装型アンテナに供給された
電力が上記線状アンテナに供給される構成である。この
ことから、線状アンテナは表面実装型アンテナに隣接配
置すればよく、従来のような線状アンテナに電力を供給
するための複雑な給電機構は不要であり、線状アンテナ
への電力供給の機構を簡略化することができる。さら
に、従来では設けることが必須であった整合回路を省略
することができる。
【0029】上記のように、この発明では、アンテナへ
電力を給電するための給電機構を簡略化することができ
たり、整合回路が不要となる等、通信装置の構造を簡単
にすることができる。また、これにより、通信装置の低
コスト化を図ることができる。さらに、表面実装型アン
テナと線状アンテナを共に使用する構成であるので、ア
ンテナ特性の向上を図ることが容易となる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に、この発明に係る実施形態
例を図面に基づいて説明する。
【0031】図1には、この実施形態例において特徴的
なアンテナ構造の主要構成部分が示されている。なお、
この実施形態例の説明において、前記従来例と同一構成
部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省
略する。
【0032】この実施形態例におけるアンテナ構造は、
図1に示すように、アンテナ(線状アンテナ)1と表面
実装型アンテナ10の2種のアンテナが実装基板である
回路基板18に配設されて成るものであり、最も特徴的
なことは、上記アンテナ1が無給電アンテナと成してい
ることと、アンテナ1が回路基板18のグランド電極2
1に導通接続されていることである。
【0033】以下、詳細を述べる。この実施形態例で
は、アンテナ1は直線ワイヤ状の金属導体部であるホイ
ップ部3を有したものである。ホイップ部3を有したア
ンテナ1としては、図5に示すようなホイップ部3がケ
ーシング2に内蔵されたものや、前記図6(a)、
(b)、(c)に示すようなホイップ部3とヘリカル部
4がケーシング2に収容されたもの等、様々な形態のも
のがあり、この実施形態例では、その何れの形態のもの
でもよい。
【0034】この実施形態例では、上記アンテナ1のホ
イップ部3の端部が前記図7に示すような表面実装型ア
ンテナ10に隣接して回路基板18に固定されており、
上記アンテナ1は、回路基板18から突出している部位
の長さが可変しないものである。また、この実施形態例
では、上記ホイップ部3の端部はグランド電極21に導
通接続されている。
【0035】上記表面実装型アンテナ10は、図7に示
すように、誘電体基体11に放射電極12と給電電極1
3等が形成されているものである。この実施形態例で
は、表面実装型アンテナ10の誘電体基体11はセラミ
ックスや樹脂等により構成され、その比誘電率は3以上
となっている。
【0036】この実施形態例では、図1に示すように、
回路基板18にはグランド電極21が形成されているグ
ランド領域と、グランド電極21が形成されていない非
グランド領域18aとが形成されており、表面実装型ア
ンテナ10は上記非グランド領域18aに実装されてい
る。
【0037】上記表面実装型アンテナ10は回路基板1
8に実装されることにより、この表面実装型アンテナ1
0の給電電極13が回路基板18の信号源20と導通接
続され、信号源20から信号(電力)が給電電極13に
直接的に供給される。
【0038】これに対して、上記アンテナ1は上記信号
源20とは導通接続されておらず、信号源20から出力
された信号は表面実装型アンテナ10を介してアンテナ
1に供給される。つまり、上記表面実装型アンテナ10
の給電電極13に信号源20から信号が供給されると、
その電力は放射電極12に供給されると共に、給電電極
13からの励振によりアンテナ1のホイップ部3に伝達
される。このように、この実施形態例では、上記アンテ
ナ1は無給電アンテナと成しており、表面実装型アンテ
ナ10を介して電力が供給されることにより、アンテナ
として動作することができる。
【0039】ところで、本発明者は、図1に示すように
アンテナ1および表面実装型アンテナ10を回路基板1
8に配設した場合に、そのアンテナ1と表面実装型アン
テナ10から成るアンテナの電波の指向性が、上記アン
テナ1の電気長に応じて、どのように変化するのかを調
べた。その実験結果が図2(a)〜(f)、図3(a)
〜(f)に示されている。なお、上記実験では、アンテ
ナ1の電気長以外の条件は全て等しい状態で行われたも
のである。
【0040】上記図2(a)はアンテナ1が設けられて
おらず、表面実装型アンテナ10のみが設けられている
場合である。また、動作波長をλとした場合、図2
(b)はアンテナ1の電気長が0.05λの場合であ
り、図2(c)はアンテナ1の電気長が0.10λの場
合である。図2(d)はアンテナ1の電気長が0.15
λの場合であり、図2(e)はアンテナ1の電気長が
0.20λの場合であり、図2(f)はアンテナ1の電
気長が0.25λの場合である。
【0041】上記図3(a)はアンテナ1の電気長が
0.30λの場合であり、図3(b)はアンテナ1の電
気長が0.35λの場合であり、図3(c)はアンテナ
1の電気長0.40λの場合である。図3(d)はアン
テナ1の電気長が0.45λの場合であり、図3(e)
はアンテナ1の電気長が0.50λの場合であり、図3
(f)はアンテナ1の電気長が0.55λの場合であ
る。
【0042】図2(a)〜(f)、図3(a)〜(f)
に示されるように、アンテナ1の電気長によって、電波
の指向性が異なることが分かる。このことから、この実
施形態例では、仕様等により予め定められている所望の
電波の指向性が得られる電気長でもってアンテナ1が形
成されている。
【0043】この実施形態例に示すアンテナ構造は上記
のように構成されている。次に、この実施形態例に示す
アンテナ構造を備えた通信装置の一例を図4に示す。こ
の図4に示す通信装置5は携帯型電話機であり、この通
信装置5のケース6内には回路基板18が内蔵されてい
る。この回路基板18に上記の如くアンテナ1および表
面実装型アンテナ10が配設されて、この実施形態例に
おいて特徴的なアンテナ構造が形成されている。
【0044】上記回路基板18には信号源である送信回
路25および受信回路26と、切り換え回路27とが形
成されており、上記表面実装型アンテナ10は上記送信
回路25および受信回路26に上記切り換え回路27を
介して導通接続されている。この通信装置5において
は、上記切り換え回路27の切り換え動作によって、信
号の送受信動作が円滑に行われるものである。
【0045】この実施形態例によれば、アンテナ1と表
面実装型アンテナ10の2種のアンテナを用い、アンテ
ナ1には表面実装型アンテナ10を介して電力が供給さ
れる構成である。このような構成とすることにより、上
記アンテナ1の電気長を変化させることで、電波の指向
性を今までになく様々に変化させることが可能であり、
所望の電波の指向性を得ることが容易になる。
【0046】特に、アンテナ1の電気長が動作波長の1
/5以上である場合には、アンテナ1と表面実装型アン
テナ10の2種のアンテナを用いた場合にのみ得られる
特有な電波の指向性を得ることができる。例えば、図2
(f)に示すように、アンテナ1の電気長が動作波長の
約1/4である場合には、電気長が動作波長の約1/4
であるのにも拘わらず、アンテナの指向性は、電気長が
動作波長の約1/2である場合と同様の指向性を示す。
【0047】このように、この実施形態例に示したアン
テナ構造は、今までに無い画期的なアンテナ構造であ
る。
【0048】また、この実施形態例では、上記のよう
に、アンテナ1の電気長が動作波長の約1/4であるの
にも拘わらず、アンテナ1および表面実装型アンテナ1
0から成るアンテナの指向性は、電気長が動作波長の約
1/2である場合と同様の指向性を示すという特有な特
性を有するものである。これにより、アンテナ1の短縮
化を図りながら、所望の指向性を得ることができる。
【0049】さらに、この実施形態例では、表面実装型
アンテナ10を構成する誘電体基体11は比誘電率が3
以上であるので、表面実装型アンテナ10における放射
電極12の開放端12aとグランド電極15間の容量結
合が強くなる。このことにより、アンテナの利得が向上
し、アンテナ特性をより向上させることができる。
【0050】この実施形態例では、アンテナ1は無給電
アンテナであるので、整合回路が不要となる上に、アン
テナ1に電力を供給するための複雑な給電機構も不要で
ある。このことから、この実施形態例に示すアンテナ構
造を備えた通信装置5の構造の簡略化を図ることがで
き、このことにより、通信装置5の低コスト化を図るこ
とができる。
【0051】さらに、従来では、給電回路からアンテナ
1に電力が直接的に供給される構成であるために、上記
給電回路の配設位置等によって、アンテナ1の取り付け
位置がほぼ定まってしまったが、この実施形態例では、
アンテナ1はグランド電極21に接地する構成であるの
で、給電回路の配設位置等に規制されることなく、アン
テナ1を配設することができ、アンテナ1を取り付ける
ことが可能な領域を拡大することができ、通信装置5の
設計の自由度を向上させることができる。
【0052】なお、この発明は上記実施形態例に限定さ
れるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例え
ば、上記実施形態例では、アンテナ1は回路基板18に
ホイップ部3の端部が固定されており、回路基板18か
ら突出している部位の長さが可変しないタイプのもので
あったが、アンテナ1を伸縮可能タイプのアンテナとし
てもよい。つまり、回路基板18からの突出している部
位の長さ(換言すれば、通信装置5のケース6から突出
している部位の長さ)が可変するアンテナとしてもよ
い。この場合には、アンテナ1は、ケース6から伸長さ
れている状態と、ケース6内に収納されている状態との
どちらの状態でも、回路基板18のグランド電極21に
導通接続されるように回路基板18に取り付けられる。
【0053】このように伸縮可能タイプのアンテナ1が
設けられる場合には、アンテナ1が伸長している状態で
は、アンテナ1と表面実装型アンテナ10によりアンテ
ナ動作が行われ、アンテナ1が収納されている状態で
は、アンテナ1はアンテナとして殆ど動作せず、表面実
装型アンテナ10のみがアンテナとして動作することと
なる。
【0054】上記のように、アンテナ1が伸縮可能タイ
プのアンテナである場合には、上記実施形態例と同様の
効果を奏することができる上に、次に示すような効果を
得ることができる。従来においては、伸縮可能なタイプ
のアンテナ1が備えられている通信装置5では、アンテ
ナ1の収納状態時に、ケース6内に収納されている部分
が通信装置5の回路に悪影響を及ぼさないための機構が
設けられている。
【0055】これに対して、この実施形態例では、アン
テナ1はグランド電極21に接地されているので、ケー
ス6内に収容されたアンテナ1が通信装置5の回路に悪
影響を及ぼすことは殆ど無く、上記のような収納時のア
ンテナ1の悪影響を防止するための機構を設けなくとも
済む。このことから、通信装置5の構造の簡略化を図る
ことができる。
【0056】さらに、上記実施形態例では、アンテナ1
は回路基板18のグランド電極21に接地されていた
が、通信装置5のケース6にグランド領域が設けられて
いる場合には、ケース6のグランド領域にアンテナ1を
接地するようにしてもよい。また、アンテナ1はグラン
ド電極21やケース6のグランド領域に接地するのでは
なく、例えば、回路基板18の非グランド領域18aや
通信装置5のケース6の絶縁部に接続してもよい。
【0057】さらに、上記実施形態例では、表面実装型
アンテナ10は回路基板18の非グランド領域18aに
実装されていたが、回路基板18のグランド電極21上
にグランド実装してもよい。
【0058】さらに、上記実施形態例では、表面実装型
アンテナ10の誘電体基体11は比誘電率が3以上であ
ったが、例えば、誘電体基体11の比誘電率が3未満で
あっても、利得等のアンテナ特性が満足できる場合等に
は、誘電体基体11の比誘電率を3未満としてもよい。
【0059】さらに、上記実施形態例では、該実施形態
例において特徴的なアンテナ構造を携帯型電話機に内蔵
する例を示したが、この発明において特徴的な構成を備
えたアンテナ構造は携帯型電話機に限定されることな
く、様々な通信装置に内蔵させることができる。
【0060】さらに、上記実施形態例では、アンテナ1
は直線ワイヤ状のホイップ部3を有するものであった
が、アンテナ1はホイップ部3を備えず、螺旋状の導体
部であるヘリカル部4のみにより構成してもよい。さら
に、アンテナ1をヘリカル部4のみで構成する場合に
は、螺旋巻のピッチが互いに異なる複数のヘリカル部4
によりアンテナ1を構成してもよい。
【0061】さらに、上記実施形態例では、アンテナ1
はワイヤ状のものであったが、例えば、アンテナ1は、
回路基板18に導電材料が例えば成膜技術によって形成
されて成るアンテナとしてもよい。
【0062】さらに、上記実施形態例では、表面実装型
アンテナ10は図7に示す形態を備えていたが、表面実
装型アンテナ10は誘電体基体11に放射電極12と給
電電極13が形成された構成であればよく、図7に示す
形態に限定されるものではない。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、表面実装型アンテナと
線状アンテナとの2種のアンテナを実装基板に配設し、
線状アンテナには表面実装型アンテナを介して電力を供
給する構成とした。これにより、線状アンテナの電気長
に応じて、アンテナの指向性が今までになく様々に変化
することとなり、線状アンテナの電気長を適宜設定する
ことによって、所望のアンテナの指向性を容易に得るこ
とができるという画期的なアンテナ構造を得ることがで
きる。また、上記のように、表面実装型アンテナと線状
アンテナの2種のアンテナを用いているので、アンテナ
特性の向上を図ることが容易である。
【0064】さらに、線状アンテナは無給電アンテナと
成しているので、線状アンテナには整合回路を設ける必
要が無く、また、線状アンテナに電力を供給するための
複雑な給電機構を設けなくて済む。このことから、アン
テナ構造およびそのアンテナ構造を備えた通信装置の簡
略化を図ることができる。このことにより、安価なアン
テナ構造や通信装置を提供することができることとな
る。
【0065】さらに、線状アンテナを、実装基板のグラ
ンド電極や、通信装置のケースのグランド領域に接地す
る構成とすることにより、従来よりも、線状アンテナの
実装基板への取り付け可能な領域が拡大し、このことに
より、通信装置の設計の自由度を向上させることができ
る。
【0066】線状アンテナの電気長が動作波長の5分の
1以上であるものにあっては、例えば、線状アンテナの
電気長が動作波長の約4分の1であるのにも拘わらず、
電気長が動作波長の2分の1である場合と同様の指向性
を示すというように、この発明のアンテナ構造において
特有なアンテナ特性を有することができる。また、従来
よりも、線状アンテナの電気長の短縮化を図りつつ、所
望の電波の指向性を得ることができる。
【0067】線状アンテナが直線ワイヤ状の導体部を有
しているものや、線状アンテナが直線ワイヤ状の導体部
と螺旋状の導体部を有しているものにあっては、線状ア
ンテナの構造が簡単であり、そのような簡単な構造でも
って上記のような優れた効果を奏することができる。
【0068】線状アンテナが伸縮可能タイプである場合
には、従来では線状アンテナに電力を給電するための給
電機構が非常に複雑であったが、この発明では、線状ア
ンテナは無給電線状アンテナであるために、そのような
複雑な給電機構を設けなくて済み、通信装置の構造の大
幅な簡略化を図ることができる。
【0069】表面実装型アンテナの誘電体が比誘電率が
3以上であるものにあっては、表面実装型アンテナの利
得を向上させることができ、より一層アンテナ特性に優
れたアンテナ構造および通信装置を提供することができ
る。
【0070】この発明において特徴的なアンテナ構造を
備えた通信装置にあっては、アンテナ特性の信頼性を飛
躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態例において特徴的な構成部分を示す
説明図である。
【図2】本実施形態例のアンテナ構造において線状アン
テナの電気長に応じた電波の指向性を示す説明図であ
る。
【図3】図2に引き続き、本実施形態例のアンテナ構造
において線状アンテナの電気長に応じた電波の指向性を
示す説明図である。
【図4】本実施形態例のアンテナ構造を備えた通信装置
の一例を示すモデル図である。
【図5】直線ワイヤ状の導体部を備えた線状アンテナの
構成例を示す説明図である。
【図6】直線ワイヤ状の導体部と螺旋状の導体部を備え
た線状アンテナの構成例を示す説明図である。
【図7】表面実装型アンテナの構成例を示す説明図であ
る。
【図8】図7に示す表面実装型アンテナを実装基板に実
装する際の実装例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 アンテナ 3 ホイップ部 4 ヘリカル部 5 通信装置 6 ケース 10 表面実装型アンテナ 11 誘電体基体 12 放射電極 13 給電電極 18 回路基板 21 グランド電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾仲 健吾 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 川端 一也 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5J046 AA04 AB06 AB10 AB13 PA06 TA01 TA04 5J047 AA04 AB06 AB10 AB13 FA01 FA12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基体に放射電極と該放射電極に外
    部からの給電電力を伝達する給電電極とが形成されて成
    る表面実装型アンテナと、該表面実装型アンテナが実装
    される実装基板のグランド電極と接続される線状アンテ
    ナとを有し、上記表面実装型アンテナと線状アンテナは
    間隔を介して隣接配置されており、上記線状アンテナ
    は、上記表面実装型アンテナの給電電極に供給された電
    力によって励振されることを特徴とするアンテナ構造。
  2. 【請求項2】 線状アンテナの電気長は動作波長の5分
    の1以上の長さであることを特徴とする請求項1記載の
    アンテナ構造。
  3. 【請求項3】 線状アンテナは実装基板から突出する直
    線ワイヤ状の導体部を有して構成されていることを特徴
    とする請求項1又は請求項2記載のアンテナ構造。
  4. 【請求項4】 線状アンテナは実装基板から突出する直
    線ワイヤ状の導体部と螺旋状の導体部とを有して構成さ
    れていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の
    アンテナ構造。
  5. 【請求項5】 線状アンテナは、実装基板から突出して
    いる部位の長さが可変する伸縮可能タイプのアンテナで
    あることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のアン
    テナ構造。
  6. 【請求項6】 表面実装型アンテナの誘電体基体は比誘
    電率が3以上であることを特徴とする請求項1乃至請求
    項5の何れか1つに記載のアンテナ構造。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6の何れか1つに記
    載のアンテナ構造を備えていることを特徴とする通信装
    置。
  8. 【請求項8】 通信装置のケースにはグランド領域が形
    成されており、線状アンテナは上記ケースのグランド領
    域に接地されていることを特徴とする請求項7記載の通
    信装置。
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