JP2001035445A - 発光管の封止部構造 - Google Patents

発光管の封止部構造

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JP2001035445A JP2000207879A JP2000207879A JP2001035445A JP 2001035445 A JP2001035445 A JP 2001035445A JP 2000207879 A JP2000207879 A JP 2000207879A JP 2000207879 A JP2000207879 A JP 2000207879A JP 2001035445 A JP2001035445 A JP 2001035445A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 封止箇所のシール効果が向上した発光管の封
止部構造を提供する。 【解決手段】バルブの開口端部を閉塞する閉塞体2の一
側部がバルブに接合されるとともにその中心部を電極支
持シャフト4が貫通し、また前記閉塞体の組成成分は、
前記バルブと接合される側域においては該バルブの熱膨
張係数と略々同一とする成分であり、前記電極支持シャ
フトに隣接する側域においては該電極支持シャフトの熱
膨張係数と略々同一とする成分であり、前記両側域間の
中間域における成分は前記バルブと接合される側域の熱
膨張係数から前記電極支持シャフトに隣接する側域の熱
膨張係数へと徐々に変化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水銀ランプ、メタ
ルハライドランプ或いはナトリウムランプ等の金属蒸気
放電灯用或いは高輝度放電灯用の発光管における封止部
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】熱陰極アーク放電の陽極柱の水銀の励起
発光を利用した水銀ランプ、水銀熱陰極アーク放電によ
る熱で金属ハロゲン化物を蒸発させて金属とハロゲンに
解離せしめ、金属特有の色を呈する発光を行わせるよう
にしたメタルハライドランプ、或いはナトリウム蒸気の
熱陰極アークによるD線(589.0nm, 589.9nm)の黄橙色
発光を行わせるようにしたナトリウムランプ等の金属蒸
気放電灯が従来から体育館や工場の照明、OHPやカラ
ー液晶プロジェクタ用の光源、自動車用フォグランプ等
として使用されている。
【0003】こうした金属蒸気放電灯のバルブ(発光管
本体)の材料としては、当初、石英ガラスが用いられて
いたが、石英ガラスは耐食性に劣り、熱容量が大きいた
めランプの立ち上がりが悪く、個々のバルブの寸法のバ
ラツキが大きい等の問題があるので、最近では透光性セ
ラミックにてバルブを作製することが提案されている。
【0004】一般に、上記のような放電灯用発光管は、
アルミナ等を焼結して作製した透光性セラミックからな
る発光管本体と、発光体内部に電極を電極支持材を介し
て封止・固定するための閉塞体とを備える。
【0005】そして、この発光管本体の開口端に閉塞体
を気密に封着するに当たっては、発光管本体開口端の端
面や内面とこれに対向する閉塞体の固着面との間隙にガ
ラスソルダーを充填し、このガラスソルダーを局部加熱
して溶融し、その後、冷却・固化している。
【0006】この閉塞体としては、発光管本体或いは電
極支持材と、熱膨張係数、金属蒸気やハロゲン蒸気に対
する化学的安定性が同じものにすることが一般的であ
る。
【0007】尚、ガラスソルダーによる閉塞体の封着に
際しては、始動用希ガスの他に、発光管が用いられる放
電灯に応じた放電用金属成分、例えば高圧水銀灯であれ
ば水銀が、メタルハライドランプであれば金属ハロゲン
化物等が、発光管本体内に封入される。
【0008】発光管が点灯されると、その温度は大気温
から瞬時に上昇し、安定した点灯状態では900℃にも
達する。このため、このような著しい熱変化及び内圧変
化に起因して、発光管には高い熱応力が発生する。
【0009】一般に熱応力がかかると、熱膨張率の異な
る箇所、発光管にあっては発光管本体と電極支持材との
間に介在する閉塞体に熱応力歪が発生し、破壊に至るこ
とがある。具体的には、閉塞体そのものや、その組成の
上から透光性セラミック及び閉塞体に比べて耐熱強度が
劣るガラスソルダーに亀裂等が生じ、管内の放電金属成
分が管外に漏洩してしまう可能性がある。この結果、安
定した発光を得る上で信頼性に欠けるとともに、ランプ
寿命が制約されてしまう。
【0010】また、温度及び内圧が上昇した高温高圧の
環境下では、放電用金属成分として封入されていた金属
ハロゲン化物(例えばTlI3 ,NaI等)が遊離して
イオンとなり、このイオンによる腐食が進行する。
【0011】遊離イオンによる侵食は、やはり、その組
成の上から透光性セラミック及び閉塞体に比べて耐蝕性
が劣るガラスソルダーに優先的に発生する。よって、こ
の遊離イオンに対する耐蝕性の上からも、ガラスソルダ
ーに亀裂等が生じ易い。
【0012】一方で、バルブに用いられる高純度の透光
性アルミナは上述のような封止に用いられるガラスソル
ダーとの濡れ性が悪く、ガラスとバルブとの境界での接
着強度が小さくなり、クラックや封入ガスのリークが生
じやすい。
【0013】このような不具合を解消するために、従来
から種々の技術が提案されている。例えば、特開平1−
143132号には、発光管本体に相当するアルミナ外
周器の封着箇所にアルミナに近似した熱膨張率のインサ
ート材をロウ付けする技術が提案されている。また、特
開昭63−308861号では、閉塞体を中心体とその
外側の環状体とで構成し、発光管本体とこの閉塞体(中
心体及び環状体)とを固相接合する技術が提案されてい
る。特に、特開昭63−308861号にあっては、閉
塞体を構成する中心体と環状体の両者において、寸法や
組成を特定することが提案されている。尚、寸法を特定
することは、特開昭62−213061号にも提案され
ている。
【0014】そして、このような対策をすることで、管
内の放電金属成分の漏洩を抑制し、発光の信頼性の確保
やランプ寿命の長期化が図られている。
【0015】しかしならが、近年では、より一層の高輝
度の発光を得てその付加価値を高めることが求められて
おり、高輝度発光を行なうために発光管温度を従来の温
度(900℃)を超える1200℃程度まで高めること
が行なわれてきている。
【0016】このような高温度になると、その分熱応力
が大きくなるため、上記従来の発光管であっても発光の
信頼性の確保や長寿命化を十分図ることはできない。
【0017】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、信頼性が高くて長寿命な発光管を提供するもので
あり、特にその新規な封止部構造を提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る発光管の封止部構造は、バルブの開口
端部を閉塞する閉塞体の一側部がバルブに接合されると
ともにその中心部を電極支持シャフトが貫通し、また前
記閉塞体の組成成分は、前記バルブと接合される側域に
おいては該バルブの熱膨張係数と略々同一とする成分で
あり、前記電極支持シャフトに隣接する側域においては
該電極支持シャフトの熱膨張係数と略々同一とする成分
であり、前記両側域間の中間域における成分は前記バル
ブと接合される側域の熱膨張係数から前記電極支持シャ
フトに隣接する側域の熱膨張係数へと徐々に変化するよ
うに組成割合が調整された構成とした。
【0019】前記閉塞体は組成割合を変えた複数の層ま
たは組成割合が連続的に変化する傾斜機能材料から構成
することができる。また、組成割合の変化の方向は径方
向、軸方向のいずれも考えられる。
【0020】また閉塞体とバルブとの接合は固相接合せ
しめることが好ましく、このようにすることで、リーク
を有効に防止できる。
【0021】また、閉塞体の最大外径(Do)とバルブ
の最小内径(Di)との差(Di−Do)は0.5mm以
下、好ましくは0.3mm以下とし、0.99≧(Do/
Di)≧0.85とするのがリークを防止する上で好まし
い。
【0022】また、閉塞体の端面はバルブの開口端と面
一か開口端よりも内側に位置させることが好ましい。
【0023】また、バルブの形状としては、バルブの開
口端の外径をD1、バルブの発光部の最大外径をD2とし
た場合、0.1≦(D1/D2)≦1.0とするのが好まし
い。
【0024】また、前記発光部に臨む電極支持シャフト
と閉塞体との間には隙間を設けることが好ましい。この
隙間は例えば発光部に向かって拡径した形状とする。具
体的には、隙間を形成する閉塞体の孔の最大内径をD
3、電極支持シャフトの直径をD4とすると、0.4≦
(D4/D3)<1.0とする。
【0025】更に、開口部の両端を封止する閉塞体とし
ては、長さまたは径が異なるものとすることもできる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる発光管の好
適な実施例について、図面に基づき説明する。第1実施
例の発光管は、図1に示すように、筒状の発光管本体
(又はバルブ)1Fと、大径の開口端部である電極保持
穴1aに固着された閉塞体2と、小径の開口端部である
電極保持穴1bに固着された閉塞体2Aと、発光管本体
1F内に配置された一対の主電極3とを備える。一対の
主電極3は、タングステンコイルから作製されており、
閉塞体2,2Aを貫通するタングステン製の支持シャフ
ト4を介して支持されている。この閉塞体2と閉塞体2
Aとは、その径が異なるに過ぎず、後述する製造工程を
経てそれぞれ作成される。
【0027】また、電極保持穴1b側の発光管本体端面
には、始動用希ガス金属や種々の放電用物質アマルガム
を入れるための導入細管1cが設けられており、その開
口端部はアルミナ系のサーメットやニッケル等の金属の
封止剤1dにて封止されている。
【0028】尚、発光管本体1F,閉塞体2の製造工程
を始めとする発光管1の製造工程や、支持シャフト4を
介した主電極3の支持等については、順次説明する。先
ず、発光管本体及び閉塞体の原料となるアルミナ微粉末
の合成について説明する。このアルミナ微粉末を合成す
るには、熱分解すると純度99.98mol%以上のア
ルミナになるアルミニウム塩を、その出発原料として用
意する。このような高純度のアルミナ合成用のアルミニ
ウム塩としては、アンモニウムミョウバン、或いはアル
ミニウム・アンモニウム・カーボナイト・ハイドロオキ
サイト(NH4 AlCO3 (OH)2 )等を例示するこ
とができる。
【0029】こうして用意したアルミニウム塩を坪量
し、蒸留水及び分散剤を用いて一旦懸濁水溶液とし、こ
れを噴霧乾燥法により乾燥させる。その後、熱分解して
アルミナ単独の微粉末を得る。ここで、熱分解を行なう
に当たっては、大気中で900〜1200℃、例えば、
1050℃で2時間処理する。つまり、この噴霧乾燥及
び熱分解を経ることにより、平均粒径が0.2〜0.3
μmで、純度が99.99mol%以上のアルミナ微粉
末が合成され、アルミナ微粉末の用意が完了する。尚、
合成されたアルミナ微粉末は、上記粒径のアルミナ微粉
末が凝集してこの粒径より大きな2次凝集体として得ら
れる。
【0030】一方で、アルミナ以外の閉塞体の原材料と
して、純度99mol%以上で平均粒径が約0.5μm
のタングステン微粉末を用意する。これらの原材料か
ら、発光管本体1F、閉塞体2をそれぞれ作製する。
【0031】発光管本体1Fは、次のようにして作製さ
れる。まず、上記のように合成したアルミナ微粉末(2
次凝集体)に、アクリル系熱可塑性樹脂を主体とした有
機バインダーを配合し、これを有機溶媒(アルコール,
ベンゼン等)を使ってプラスチック(ナイロン)ボール
ミルにて約24時間に亘って湿式混合し、有機バインダ
ーとアルミナ微粉末を十分に濡らす。更に、蒸留乾燥し
て溶媒を取り除き、所望粘度(50,000〜150,000cps)の
コンパウンドを混練調製する。
【0032】尚、上記有機バインダーは、アクリル系熱
可塑性樹脂とパラフィンワックスとアタクティックポリ
プロピレンとの混合物である。そして、アルミナ微粉末
100gに対するこれら有機バインダーの配合量は、総
量で25gである。
【0033】上記有機バインダーにおける各成分は、次
のように配合されており、各成分の合計が上記有機バイ
ンダーの総量(25g)となる。 アクリル系熱可塑性樹脂 20〜23g(好ましくは21.5g) パラフィンワックス 3g以下(好ましくは2.0g) アタクティックポリプロピレン 2g以下(好ましくは1.5g)
【0034】尚、コンパウンドの調製時の蒸留乾燥に当
たっては、130℃で24時間蒸留乾燥させ、その後、
アルミナ製のロールミルを用いて加熱混練(130℃)
を行なって所望粘度のコンパウンドを得る。
【0035】その後、図示しない金型装置を用いて射出
成形することにより、図1に示した形状の成形体を形成
する。こうして形成した成形体を、窒素雰囲気中で、ア
クリル系熱可塑性樹脂等の有機バインダーが熱分解して
完全に炭化する温度まで加熱し、成形体を脱脂する。こ
の初期熱処理における具体的な加熱上限温度は、使用す
る熱処理炉の能力や有機バインダーの熱分解温度に応じ
て決定すればよく、本実施例では室温(20℃)から4
50℃まで72時間かけて昇温した。その他の処理条件
は以下の通りである。尚、450℃までの昇温の間は、
一定圧力を維持した。
【0036】 処理圧力 1〜8kg/cm2(最適圧力8kg/cm2) 20℃から450℃まで昇温させる時間 72時間以下 つまり、初期熱処理を行なうことによって、コンパウン
ド調製時に配合されたアクリル系熱可塑性樹脂、パラフ
ィンワックス、アタクティックポリプロピレン等の有機
バインダーを熱分解して炭化させ、成形体を脱脂する。
【0037】ついで、大気中で以下の条件に従った後段
熱処理を施し、成形体(脱脂体)を焼結し、焼結体を得
る。この際、100℃/時間で昇温した。 処理温度 1200〜1300℃(最適温度1235℃) 上記処理温度での保持時間 0〜4時間(最適時間2時間)
【0038】この後段の熱処理時の焼結を1200〜1
300℃の温度範囲で行なうようにしたのは、焼結後の
密度を理論密度に対して95%以上として後工程の熱間
静水圧プレスがかかるようにするとともに、焼結体にお
ける粗大結晶の形成を回避するためである。つまり、上
記焼結を1200℃以下で行なうと、焼結後の密度が理
論密度に対して95%を下回り熱間静水圧プレスがかか
らず、1300℃以上では焼結体における粗大結晶の形
成頻度が増し強度上不利となるからである。
【0039】上記初期熱処理及び後段熱処理を施して脱
脂後に焼結することにより、その体積収縮は焼結前の成
形体の82.5%となり、焼結後の充填率はほぼ100
%(嵩密度3.976)となる。また、この後段熱処理
の完了までに、上記初期熱処理時に変成した炭化物は焼
結体から完全に燃焼除去される。
【0040】その後、この焼結体に、アルゴン雰囲気
中、或いは20vol%以下の酸素を含有するアルゴン
雰囲気中で次の条件に基づく熱間静水圧プレスを施す。
この際、200℃/時間で昇温した。こうして、焼結体
に透光性が発現する。
【0041】 処理温度 1200〜1250℃(最適温度1230℃) 処理圧力 1000〜2000 atm(最適圧力1000 atm) 処理時間 1〜4時間(最適処理2時間)
【0042】ここで、熱間静水圧プレスを上記温度範囲
と圧力範囲で行なうようにしたのは、所望する高い透光
性を得るとともに機械的強度を改善し、熱間静水圧プレ
スをかけている最中の破損を回避するためである。つま
り、熱間静水圧プレスを1200℃未満或いは1000
atm 未満で行なうと透光性が発現するものの、低い透光
性しか得られなかったり、逆に1250℃を超えると異
常粒成長を促進させて機械的強度や透光性の低下を招
き、2000atm を超えると焼結体中に存在するボアや
傷などが極めて微細であっても傷等が存在する箇所に応
力集中が起こりクラックが発生したりするからである。
【0043】引き続いて、図示しないダイヤモンド研削
砥石によって焼結体の端面に研削研磨を施してエッジを
取り除き、アルミナからなる透光性の発光管本体1Fが
できあがる。つまり、図1に示すように、その両端に電
極保持穴1a,1bを備えた発光管本体1Fが作製され
る。
【0044】こうして得られた発光管本体1Fの内外表
面を、0.5μmの粒径のダイヤモンド砥粒を付着させ
たブラシにて、肉厚が0.2mm以下となるよう研削研磨
する。この表面研磨により、発光管表面の凹凸等が除去
されて表面における光の散乱が回避され、直線透過率が
改善される。
【0045】この発光管本体1Fは、発光領域の内径d
が約4.0mmであり、肉厚が約0.3mmであり、またそ
の全長が約40mmであり、次のような物性を備える。
尚、透過型電子顕微鏡(TEM)による組織観察の結
果、光の散乱源となる粒界相や結晶粒子内部の空隙並び
に格子欠陥等の存在は認められなかった。また、小径の
電極保持穴1bの直径は約1mm以下である。
【0046】可視光(波長380〜760nm)に対する
直線透過率:70%以上 500nmの波長の光に対する直線透過率:82%(肉
厚:0.5mm) 結晶粒子の平均粒径:約0.7μm(最大粒径約1.4
μm) 機械的強度(JIS R1601) 曲げ強度 St (室温)=98kg/cm2 (900℃)=81kg/cm2 ワイプル係数 (室温)=9.3 (900℃)=8.1
【0047】粒径や強度の測定には、上記本実施例の発
光管本体1Fの代替え品として別途作製した試料(形
状,厚み等についてはJIS R1601に準ずる)を
用いた。尚、試料の作製に当たっては、上記した工程に
おける諸条件に従った。
【0048】粒径の算出は、形状、厚み等がJIS R
1601に準ずるよう別途作製した上記試料の表面をダ
イヤモンド砥粒にてラップし、更に溶融した水酸化カリ
ウムで粒界エッチングを施した後、走査型電子顕微鏡に
より試料表面を観察し、結晶粒子の輪郭を画像解析する
ことにより行なった。尚、画像解析に当たっては、結晶
粒子を球体や多角形体として仮定して、その直径や頂点
間距離の最大値を粒径算出に用いた。結晶粒子を球体と
仮定して算出した粒径の分布図を図2に示す。
【0049】直線透過率の測定については、別途作製し
た上記試料を0.5mm厚とし両面をラップ仕上げした
後、ダブルビーム分光光度計により求めた。こうして完
成した透光性アルミナからなる発光管本体1Fは、アル
ミナをMgO等の焼結助剤とともに焼結して結晶粒子を
粗大化させた一般的な透光性セラミックに比べて、微小
な結晶粒径を備えるといえる(図2参照)。
【0050】このようにして高純度アルミナから作製さ
れた発光管本体1Fが、上記一般的な透光性セラミック
とは異なる微小結晶粒径を備えながら透光性を有する根
拠は、次のように考えられる。
【0051】まず第1に、不純物として混入したMgO
等の酸化物が、アルミナ粉末中にごく僅か(トータルで
最大0.01mol%以下)しか含まれていないので、
不純物はアルミナに総て固溶し、粒界相をほどんど形成
しない。このため、一般の透光性アルミナでは光の散乱
因子として作用していた粒界相による影響が排除され
て、可視光に対する直線透過率の向上をもたらすと考え
られる。
【0052】更に、以下のように推察される。結晶粒子
及び結晶子の断面がいずれも円形であると仮定すると、
直径dの結晶子がn個集まって直径Dの結晶粒子を構成
する場合、次の関係式が成り立つ。 n=(D/d)2 この関係式から算出されるnの値は、1個の結晶粒子の
断面に含まれる結晶子界面に換算できる。
【0053】高純度のアルミナから得られた種々の透光
性アルミナ(平均粒径:0.72,0.85,0.9
9,1.16,1.35,1.52μm)についての格
子定数をX線回折装置を用いて求め、結晶子の直径dと
回折線の幅とを関係づけるScherrerの式に従い
(012)の回折ピークから上記各平均粒径の透光性ア
ルミナの結晶子の直径dを算出したところ、結晶子の直
径dは結晶粒子の大きさに左右されることなく一定であ
った。尚、Scherrerの式は、「P.Galle
zot,“Catalysis,Science an
d Technology,vol.5 p221,S
pringer−Verlag(1984)”」や
「P.Scherrer,“Gottinger Na
chrichen,2,98(1918)”」に紹介さ
れている。
【0054】従って、上記関係式から、結晶粒子の直
径D(平均粒径)が小さくなるほど1個の結晶粒子中に
おける結晶子界面は少ないといえる。
【0055】一般に、光がセラミックのような多結晶体
に入射された場合、その散乱は屈折率の不連続な面、即
ち原子配列の不連続な部分で起こると考えられている。
結晶粒子中の結晶子界面は、この原子配列の不連続な部
分にほかならないので、光の散乱を引き起こす。このた
め、結晶粒子中における結晶子界面が少なければ少ない
ほど、即ち結晶粒子の直径Dが小さいほど、光の散乱因
子である結晶子界面による影響が小さくなり、可視光に
対する直線透過率の向上をもたらすと考えられる。
【0056】次に、閉塞体2,2Aは、次のようにして
作製される。この閉塞体の製造工程を図3の工程図を用
いて説明する。先ず、上記のように合成したアルミナ微
粉末(2次凝集体)及びタングステン微粉末の懸濁に使
用するためのビヒクルを、表1に記す各種有機物から調
製する(工程1)。ビヒクルの調製に当たっては、各種
有機物を秤量し、これをミキサーで均一に混合した。
【0057】
【表1】
【0058】そして、上記アルミナ微粉末、調製ビヒク
ル、有機溶媒(ジフタル酸ブチル)及び分散剤(カルボ
ン酸アンモニウム)とを表2に記す容積比で調合し、こ
れを3本ロールによって混練してアルミナスラリーを調
製する(工程2)。
【0059】
【表2】
【0060】また、上記タングステン微粉末、調製ビヒ
クル、有機溶媒(ジフタル酸ブチル)及び分散剤(カル
ボン酸アンモニウム)とを表3に記す容積比で調合し、
これを3本ロールによって混練してタングステンスラリ
ーを調製する(工程2)。
【0061】
【表3】
【0062】次に、表2に記す容積比で調合・調製され
たアルミナスラリーと、表3に記す容積比で調合・調製
されたタングステンスラリーとを用いて、タングステン
とアルミナの容積比(タングステン/アルミナ)が表4
に記す容積比となる8種類のタングステン・アルミナ混
合スラリーを調製する(工程3)。
【0063】
【表4】
【0064】こうして調製した各混合スラリーを、アル
ミナ及びタングステンが均一に分散するよう十分に混合
し、その後、各混合スラリーから気泡を除去する(工程
4)。具体的には、各混合スラリーを真空デシケータ内
の樹脂容器に入れ、樹脂容器内のスラリーをマグネット
スターラ等を用いて撹拌しつつデシケータ内の空気を真
空ポンプにて数十分間(例えば約20分間)吸引する。
この真空脱泡を行なう間に一部の有機溶媒を揮発させ
て、スラリー粘度30,000cPとした。
【0065】次に、閉塞体のコア部としての、主電極3
を支持したタングステン製の支持シャフト4の外周に、
表4に示す各混合スラリーを、タングステンの容積比が
高いものから、即ち第1層スラリーから順に第8層スラ
リーまで同心円状に所定の厚さで着肉・積層して(工程
5)、図4に示すように、支持シャフト4の外周に、閉
塞体2,2Aの前駆体である積層体20を形成する。支
持シャフト4の外周への第1層スラリーから順に第8層
スラリーまでの着肉・積層は、各層のスラリーの塗布及
び乾燥を第1層スラリーから順に行なうことでなされ
る。
【0066】こうして、閉塞体のコア部に隣接するコア
部側域には第1層スラリーからなる最内周層が、閉塞体
の中間域には第2層スラリー〜第7層スラリーからなる
複数の中間層が、そして、閉塞体のバルブ開口端部に隣
接するバルブ側域には、第8層スラリーからなる最外周
層がそれぞれ形成される。
【0067】この積層体20における組成の分布は、そ
の断面図と各層スラリーにおけるタングステン及びアル
ミナ容積比との関係を示した図5(a),(b),
(c)から明らかなように、支持シャフト4から外側に
行くほど、図5(c)に示す如くアルミナの容積比が1
00%近くまで増大傾斜し、図5(b)に示す如くタン
グステンの容積比が80%から減少傾斜した分布とな
る。
【0068】次に、積層体20に、含湿水素還元雰囲気
下で、600℃×10時間の加熱処理を施して、積層体
20を脱脂する(工程6)。つまり、この加熱処理を行
なうことによって、スラリー調製時に配合されたビヒク
ル成分における有機物や有機溶媒を熱分解して炭化さ
せ、形成体を脱脂する。
【0069】続いて、脱脂後の積層体20に真空雰囲気
下で1800℃×2時間の後段熱処理を施して、積層体
20(脱脂体)を焼結し(工程7)、その焼結体である
閉塞体2,2Aを得る。尚、この後段熱処理の完了まで
に、上記初期熱処理時に変成した炭化物は焼結体から完
全に燃焼除去される。
【0070】閉塞体2,2Aにおける上記各層において
は、共通の成分間で焼結により網目構造的に結晶が形成
され、一体化される。支持シャフト4や発光管本体1F
の電極保持穴1a,1bとの接合は、表面エネルギーの
減少に向かう焼結プロセスが適用される。これを助成す
る意味で、ガラス分などの不純物を微量添加することが
多い。
【0071】つまり、この焼結の過程で、積層体20の
各層は、タングステンの粉末を取り囲んでアルミナが固
溶して結晶化し、隣合う各層同志は、それぞれの層にお
けるアルミナが各層の接合面で相互に固溶しあって結晶
化して固相接合し、一体化される。また、支持シャフト
4と第1層スラリーからなる最内周層とは、この最内周
層におけるアルミナが支持シャフト4に接触した状態で
結晶化し、その粒界にガラス質を形成するとともに、タ
ングステンが支持シャフト4と最内周層とに共通に含ま
れることから、やはり固相接合して一体化される。この
結果、焼結後に得られる閉塞体2,2Aは、主電極3を
支持した支持シャフト4と強固に結合して、支持シャフ
ト4即ち主電極3を発光管本体1F内に気密に封止・固
着する。
【0072】更に、支持シャフト4から最内周層と多層
の中間層を経て最外周層に到るまでの熱膨張率の分布
は、その組成分布に基づき、支持シャフト4の熱膨張率
(タングステンの熱膨張率)から発光管本体(バルブ)
1Fの熱膨張率(アルミナの熱膨張率)と近似した熱膨
張率に到るまで傾斜した分布となる。
【0073】こうして支持シャフト4を封止・固着した
後は、図1に示すように、発光管本体1Fの電極保持穴
1a,1bに嵌合するよう閉塞体2,2Aの最外周層の
外周に切削又は研削加工を施して(工程8)、閉塞体が
完成しその製造工程は総て完了する。
【0074】次に、完成した閉塞体2,2Aの発光管本
体1Fへの組み付け及び発光管1の作製について説明す
る。まず、図1に示すように、この発光管本体1Fの電
極保持穴1bに、焼結・外周加工を経た閉塞体2A(図
4,図5のものと同様)を嵌合させ、発光管本体1Fの
電極保持穴1bにおける内周面と閉塞体2Aの外周面と
を接触させる。その後、この接触範囲に亘って、赤外線
或いは高出力レーザを局部的に照射して集中加熱する。
【0075】この局部的な集中加熱により、閉塞体2A
の第8層スラリーからなる最外周層中のアルミナと発光
管本体1F中のアルミナとが焼結して結晶化するととも
に、その接合面において粒界がスピネル,ガーネット等
の構造を主体とするガラス相により埋められるため、閉
塞体2Aと発光管本体1Fとが固相接合する。この結
果、最外周層と発光管本体1Fとにおけるアルミナの粒
界でのガラス相形成等を通して、閉塞体2Aと発光管本
体1Fとは気密に固着される。
【0076】同様に、発光管本体1Fの電極保持穴1a
に焼結・外周加工を経た閉塞体2(図4,図5参照)を
嵌合させ、その接触範囲を赤外線或いは高出力レーザに
よる局部的に集中加熱する。こうして、閉塞体2と発光
管本体1Fとが固相接合して気密に固着され、始動用希
ガス金属及び放電用物質の封入に備える。
【0077】次いで、両端が封止された発光管本体1F
内に、所定の始動用希ガス金属及び所望の色で発光する
放電用物質(Sn系,Na−Tl−In系,Se−Na
系,Dy−Tl系合金又は各金属のハロゲン化物)のア
マルガムを、導入細管1cを介して封入し、封止剤1d
にて封止する。
【0078】閉塞体2,2Aと発光管本体1Fとが従来
のようにソルダーガラス等を用いない固相接合であるこ
とから、封入成分の漏洩は確実に回避される。
【0079】このように主電極を取り付けた状態の発光
管本体1Fは、一般に、メタルハライドランプ等の高圧
放電灯の外管内に組み込まれて使用される。
【0080】次に、上記第1実施例の閉塞体2の最内周
層におけるタングステン容積比或いは最外周層における
アルミナ容積比を本発明範囲内の種々の値とした発光管
(発明品)と、これら容積比が本発明範囲外である発光
管(比較品)と、アルミナ製の閉塞体を発光管本体にア
ルミナ系のサーメットで固着した発光管(従来品)とに
ついて比較する。その比較結果を表5及び表6に示す。
尚、各発光管とも、発光管本体1Fは本実施例の発光管
のものと同一である。また、最内周層と最外周層及びそ
の間の各中間層を合わせた層数は表中に示すように種々
の値とし、最内周層から各中間層を経て最外周層に到る
までのアルミナ及びタングステンの容積比は、それぞれ
増大傾斜・減少傾斜した分布となるようにした。
【0081】これらの発光管の耐久性の評価項目とし
て、5時間の点灯期間と0.5時間の消灯期間とを繰り
返して熱応力を掛けた場合における点灯期間の累積(点
灯寿命)を採用した。この場合、放電用物質としてHg
−TlI3 (0.11g)を封入し一対の主電極3に1
00Vの電圧(100W)を印加して点灯させた。ま
た、封入物質が漏洩すれば、安定していた点灯状態が著
しく不安定になるので、このような不安定な点灯状態と
なった時点で点灯期間の累積を中止した。
【0082】
【表5】
【0083】同様に、放電用物質としてHg−TlI−
NaI−InI3 (0.13g)を封入した場合につい
ても、上記比較試験を行なった。その結果を表6に示
す。
【0084】
【表6】
【0085】上記試験結果から、本発明にかかる実施例
の発光管であれば、点灯・消灯を繰り返した場合であっ
ても、極めて高い耐久性を得ることができる。つまり、
本実施例の発光管によれば、その熱膨張率が支持シャフ
ト4及び発光管本体1Fに近づくにつれて主電極3を先
端に有する支持シャフト4又は発光管本体1Fの熱膨張
率に傾斜した閉塞体2,2Aを固相接合したので、耐熱
応力性を向上させることができる。この結果、耐熱応力
性に優れたことに起因して、発光の信頼性を高めて長寿
命とすることができる。また、このような発光管を、容
易に提供することができる。
【0086】尚、放電用物質としてHg−TlI3
(0.11g)を封入した場合における発明品の発光管
の輝度は、183,000ntであった。また、Hg−
TlI−NaI−InI3 (0.13g)を封入した場
合であっては、240,000ntの輝度であった。
【0087】また、本実施例の発光管本体1Fは、平均
粒径が約0.7μmで最大粒径が約1.4μmの微細な
結晶粒子からなる透光性アルミナであるとともに、粒界
相を形成しないので、常温から放電時温度に亘っての機
械的強度(曲げ強度、ワイブル係数)が、MgO等の焼
結助剤とともに焼結して結晶粒子を粗大化させた一般的
な透光性セラミックの発光管よりも向上する。この結
果、本実施例の発光管本体1Fを用いた発光管によれ
ば、上記した長寿命化に加えて薄肉化を図ることができ
る。そして、薄肉化すれば、発光管自体の熱容量が減少
するため発光管が速やかに所定温度まで昇温するので、
放電用金属成分が蒸発して飽和蒸気圧となって点灯が安
定するまでの始動時間の短縮化を図ることができる。
【0088】更に、粒界相を形成しないとともに、光の
散乱因子となる結晶粒子内部の結晶子界面を微小粒径に
基づいて少なくしたことに起因して、光が発光管本体1
Fの壁面を透過する間における光の散乱を抑制し、38
0〜760nmの波長の光(可視光)に対する70%以
上の高い直線透過率(500nmの波長の光に対する直
線透過率:82%、厚さ:0.5mm)を備える。この
ため、この発光管本体1Fを用いた発光管1の高圧放電
灯における輝度が向上する。
【0089】加えて、従来のように粒界相が存在しない
ので、放電用金属蒸気成分(イオン)による粒界への侵
食が抑制されて、発光管外への放電用金属蒸気成分の漏
洩が薄肉であっても阻止される。つまり、薄肉であって
も、発光管壁面からの放電用金属蒸気成分の漏洩が阻止
されるので、より高輝度放電灯の長寿命化を図ることが
できる。しかも、本実施例の発光管1は、電極保持穴1
bを小径にすることにより、封止剤の使用量を減らして
放電用金属蒸気成分(イオン)によるこの封止剤の侵食
抑制したので、放電用金属蒸気成分の漏洩をより確実に
回避することができる。
【0090】発光管本体1F及び閉塞体2の原料とし
て、純度が99.99mol%以上のアルミナ微粉末を
使用したが、得られる発光管本体1Fが発光管としての
実用的な直線透過率(380〜760nmの波長の光に
対する直線透過率)を備えればよく、このようなアルミ
ナ微粉末に限定されるわけではない。
【0091】例えば、アルミナ、マグネシア、ジルコニ
ア、イットリア、シリカといった酸化物や窒化アルミニ
ウムなどの窒化物等を主成分としこれに異常粒成長を抑
制し更に焼結を促進させる化合物(焼結助剤等)を複合
添加して焼結し、発光管本体1Fを作製してもよい。そ
して、作製した発光管本体1Fと同一のセラミック微粉
末を用いて閉塞体2を作製すればよい。より具体的に
は、純度が99.2mol%で平均粒径が0.3〜1.
0μmのアルミナ微粉末から発光管本体1Fを作製する
とともに、このアルミナ微粉末とタングステン微粉末と
から閉塞体2、閉塞体2aを作製してもよい。
【0092】更に、閉塞体2の原料として、タングステ
ン微粉末を用いたが、これに限らずコア部である支持シ
ャフト4の材質に応じて変更することが可能である。例
えば、支持シャフト4をニオブやモリブデンから作製す
れば、閉塞体2の原料としてニオブあるいはモリブデン
の微粉末を用いればよい。
【0093】また、発光管本体の形状については、いか
ようなものであってもよいことは勿論である。例えば、
上記実施例の発光管本体1Fのようにその両端に大径の
電極保持穴1aと小径の電極保持穴1bとを備えたもの
ではなく、ただ単に両端が開口した円筒状の発光管本体
や、管路が湾曲した発光管本体等であってもよい。
【0094】特に第1実施例の製造方法としては、主電
極3を支持したタングステン製の支持シャフト4の外周
に積層体20を形成するに当たって、各混合スラリーの
塗布及び乾燥を行なったが、これとは異なり、各混合ス
ラリーから予めグリーンシートを作製し、これを支持シ
ャフト4の外周に、タングステンの容積比が高いものか
ら順次巻き付けて積層することもできる。この場合、各
層のグリーンシートの接合面が支持シャフトを中心に1
80度ずつずれて交互に配置されるように、グリーンシ
ートを積層することが好ましい。
【0095】閉塞体2を発光管本体1Fと固相接合させ
るに当たって、その接触範囲に亘って局部加熱するよう
構成したが、支持シャフト4付近を加熱してもよい。こ
のような加熱であっても、加えられた熱エネルギは閉塞
体2,2aの最外周の層にまで伝わるので、閉塞体2と
発光管本体1Fとを固相接合させることができる。ま
た、閉塞体2の焼結を、脱脂後の閉塞体2を発光管本体
1Fに組み付けた状態で行なうこともできる。
【0096】更に、閉塞体2を発光管本体1Fに組み付
けるに当たって、電極保持穴1aに嵌合させたが、次の
ように構成してもよい。つまり、図6に示すように、閉
塞体2を発光管本体1Fの開口端側で当接させ、発光管
本体1Fの端面と閉塞体2の最外周層の側面とを接触さ
せる。そして、この接触範囲を局部加熱して閉塞体2と
発光管本体1Fとを、端面で固相接合させる。
【0097】また、混合スラリーにおけるアルミナとタ
ングステンの容積比の傾斜程度は、上記実施例に示した
ものに限定されるわけではなく、種々の傾斜程度を採用
することができることは勿論である。
【0098】また、上記閉塞体2はコア部側からバルブ
側に渡ってその組成割合をリニアに変化させるようにし
た傾斜機能材料を用いて作製することも可能である。
【0099】本発明の上記第1実施例によれば、以下の
効果を奏することができる。上記第1実施例の発光管に
おいては、透光性セラミックから形成された該発光管本
体の開口部に気密に固相接合される閉塞体を、多層の積
層体とし、その中央の導電性コア部側の最内周層から発
光管本体側の最外周層に到るまでの熱膨張率の分布を、
各層の組成比傾斜に基づいて導電性コア部の熱膨張率か
ら発光管本体の熱膨張率に到るまで傾斜した分布とし
た。よって、各層の組成を傾斜させて各層相互並びに閉
塞体と発光管本体とを強固に気密に固相接合させること
ができる。
【0100】また、熱膨張率の傾斜分布に基づいて、点
灯時に生じる熱応力の集中を緩和して固相接合部におけ
る亀裂の発生を回避することができる。この結果、発光
管内における封入物質の漏洩の回避を通して、発光の信
頼性を高めることができるとともに、その寿命を長期化
することができる。
【0101】上記実施例の発光管では、平均粒径が1μ
m以下で最大粒径が2μm以下の高純度の透光性アルミ
ナからなる発光管本体(バルブ)を備える。この結果、
常温から放電時温度に亘って機械的強度が従来のものよ
り改善されるので、発光管の肉厚を従来のものに比べて
約1/3の0.2mm以下にまで薄くすることができ
る。
【0102】また、スピネル相などの粒界相をほとんど
形成しないとともに、光の散乱因子となる結晶粒子内部
の結晶子界面を微小粒径に基づいて少なくしたことに起
因して、光が発光管本体の壁面を透過する間における光
の散乱を抑制し、380〜760nmの波長の光(可視
光)に対する高い直線透過率を備える。このため、高輝
度放電灯用発光管から透過される光量が従来に比べて増
加し、高輝度放電灯用発光管を用いた高圧放電灯におけ
る輝度を向上させることができる。つまり、高輝度放電
灯用発光管に光を入射した場合における高輝度放電灯用
発光管の透過光の光量が、光の散乱を抑制することによ
って、高輝度放電灯用発光管への入射光の光量とほぼ等
しくなるのである。加えて、薄肉化によって輝度を更に
向上させることができる。
【0103】しかも、この光純度のアルミナを用いて閉
塞体を焼結・作製するので、閉塞体自身の機械的強度の
向上をとおして、発光管全体としての耐久性を向上させ
ることができる。
【0104】上記第1実施例での発光管の製造方法によ
れば、容積比が異なる複数の懸濁液を予め調製してお
き、これを用いて熱膨張率が傾斜分布した積層状の閉塞
体を容易に作製し、閉塞体と発光管本体とを強固に気密
に固相接合することができる。つまり、信頼性が高くて
長寿命な発光管を容易に製造することができる。
【0105】また、熱膨張率が傾斜分布した積層状の閉
塞体を別個に焼結して作製して、これを発光管本体に固
相接合することができる。特に上記第1実施例に示した
発光管の製造方法によれば、塗布等の簡便な工程によっ
て導電性部材成分の容積比が高い順の積層を行ない、熱
膨張率が傾斜分布した積層状の閉塞体の前駆体である未
焼結積層体を容易に作製することができる。
【0106】また、上記容積比が異なる複数の懸濁液
を、それぞれグリーンシートに予め形成し、グリーンシ
ートを巻き付けるという簡便な工程によって導電性部材
(又はコア部)成分の容積比が高い順の積層を行ない、
熱膨張率が傾斜分布した積層状の閉塞体の前駆体である
未焼結積層体を容易に作製することができる。
【0107】次に本発明の第2実施例に係る発光管の封
止部構造及び製造方法を図7乃至図10に基づいて説明
する。図7は本第2実施例に係る発光管、特に金属蒸気
放電灯の外筒内に組込まれる発光管本体又はバルブの封
止部構造を詳細に示した発光管の断面図である。
【0108】バルブ301の両端には開口部302を形
成し、この開口端部302に閉塞体としてのエンドキャ
ップ303を一体的に取り付け、このエンドキャップ3
03に該閉塞体のコア部としての電極棒304を貫通保
持している。
【0109】バルブ301は透光性の多結晶アルミナか
ら構成されており、電極棒304は発光物質に対しての
耐性に優れたW/Th等のW(タングステン)系材料か
ら構成されている。各電極棒304は、エンドキャップ
303に螺着される雄ネジ部305及びエンドキャップ
303の外端面に当接するフランジ部306を備え、こ
のフランジ部306の外側を白金蝋やガラス等の封止剤
307にて封止し、更に一方の電極棒304にはアマル
ガム封入用の孔308が形成されている。
【0110】ここで、エンドキャップ303は、上記実
施例と同様に、多層構造とされている。即ち、エンドキ
ャップ303はバルブ301の軸線方向に沿って複数の
層3031 、3032 ……303n-1 、303n を積層
して構成され、バルブ301の開口端部302に接合さ
れる層(バルブ側域層)3031 はその熱膨張係数がバ
ルブ301を構成する透光性アルミナの熱膨張係数と略
同一となっており、また最も外側の層(コア部側域層)
303n には電極棒304の雄ネジ部305が螺合する
雌ネジ部309が形成されると共に、この層303n は
その熱膨張係数が電極棒304の熱膨張係数と略同一と
なっている。更に上記各層3031 、303n 間に介在
する層(中間域層)3032 ……303n-1 はその熱膨
張係数が上記内側の層3031 の熱膨張係数から外側の
層303n の熱膨張係数に徐々に変化するように各層の
組成割合が調整されている。
【0111】また、各層は内側の層3031 から外側の
層303n に向かって徐々に厚さを増している。このよ
うにすることで、熱膨張によって発生する応力の緩和を
更に効果的に行なうことができる。
【0112】更に、外側の層303n を除いた他の層3
031 ……303n-1 と電極棒304との間には例えば
テーパ状の隙間310を形成し、ランプの組立て時に層
3031 ……303n-1 と電極棒304とが接触しない
ようにしている。
【0113】以上の如き構造の金属蒸気放電灯用発光管
の製造方法の一例を図8乃び図9に基づいて以下に説明
する。先ず、エンドキャップ303を製造するためのス
リップを調整する。スリップを調整するには図17に示
すようにエンドキャップ303を構成する層の数(n)
だけ、容器C1……Cnを用意し、所望の熱膨張係数が得
られるように原料粉末を秤量し、蒸留水及び市販のセラ
ミックス添加用分散剤及びバインダを所定量添加し、2
4時間ボールミル処理により均一に混合して各容器C1
……Cn毎にスリップS1……Snを調整する。
【0114】ここで、エンドキャップ303を合計11
の層によって構成する場合の各スリップ毎の原料粉末の
組成割合を以下の表7に示す。尚、組成割合は重量%で
あり、表7中のスリップNo.はエンドキャップ303
を構成する各層の番号に対応する。
【0115】
【表7】
【0116】次いで、図9(a)に示すように多孔質体
から成る板又は石膏板311上に筒状の型312をセッ
トし、この型312内に上記の工程で調整したスリップ
1……Snを順次注入して積層体を成形する。尚、スリ
ップS1……Snを注入する場合には既に注入したスリッ
プと混合しないように、既に注入したスリップがある程
度水分を失ってから次のスリップを注入する。この場
合、スリップ内の溶媒が板311に浸透することも考慮
している。
【0117】また図9(b)に示すように、スリップを
注入するにあたり前もって成形棒313をセットする
か、注入後に成形棒313をセットし、積層体が生乾き
程度になったならば型312から積層体を取り外すこと
で図9(c)に示すようなテーパ状貫通孔314が形成
されたエンドキャップ303が得られる。尚、貫通孔3
14の形状としては図9(d)に示すような段差状にし
てもよい。
【0118】一方、純アルミナスリップから成形したバ
ルブ301を用意しておき、図18(e)に示す如くこ
のバルブ301の端部に上記エンドキャップ3を湿らせ
て接着し再び乾燥する。この状態ではバルブ301及び
エンドキャップ3は未焼結状態であり、バルブ1は透光
性となっていない。
【0119】次いで、上記のバルブ301とエンドキャ
ップ303を含湿水素還元雰囲気中、600℃で5時間
脱脂し、続いて乾燥水素還元雰囲気中、1300℃で5
時間焼結処理し、更にこの後、得られた焼結体をアルゴ
ン雰囲気中でHIP処理し、再び乾燥水素還元雰囲気
中、1150℃でアニール処理することで透光性のバル
ブ301とエンドキャップ303とが一体化したものを
得る。
【0120】この後、エンドキャップ303に形成した
孔314にネジ切り加工を行なって雌ネジ部309を形
成し、電極棒304を挿入して電極棒304の雄ネジ部
305をエンドキャップ303の雌ネジ部309に螺合
し、最終的に白金蝋307で電極棒304の固定と封止
を行ない、更に一方の電極棒304に形成した孔308
を介して白金パイプ製の治具を用いてバルブ301内に
アマルガムを封入してランプが完成する。
【0121】尚、図示例にあってはバルブとエンドキャ
ップとを同時に焼結させた例を示したが、バルブとエン
ドキャップを別々に焼結させた後にこれらを接合するよ
うにしてもよい。この場合アルミナ製バルブは大気中で
一貫して脱脂、焼結処理を行なった後、HIP処理し、
更に大気中でアニールすることにより透光性アルミナ管
を得ることができる。この場合エンドキャップについて
は上記と同様に焼結を行なうがHIP処理およびアニー
ル処理は不要である。また、バルブとエンドキャップと
の接合については真空若しくは2000℃以上でレーザ
加熱するか、アルミナと熱膨張係数が等しいガラスによ
り接合することが可能である。ガラス材料としては軟化
点が900℃以上の高融点溶融ガラスが好ましい。
【0122】また成形法としては、スリップキャスティ
ングの他にドクターブレード法や射出成形法も可能であ
る。ドクターブレード法の場合には、調整したスラリー
を所望のテープ厚に成形し、熱圧着により一体化するこ
とにより傾斜機能を発揮するエンドキャップが得られ
る。バルブについても同じスラリーを用いて鋳込み成形
するか、型に流し込んで固化させることによって得られ
る。
【0123】射出成形の場合も同様に、エンドキャップ
の場合には所望厚の板を成形し、これらを加熱して接着
した後に、予め成形しておいたバルブに熱圧着する。
【0124】以上のようにこの第2実施例によっても、
金属蒸気放電灯の開口端を封着するエンドキャップを多
層構造としており、各層の熱膨張係数をバルブに接触す
るバルブ開口端部側から電極を保持するコア部側に向か
って徐々に変化するようにして、エンドキャップ自体に
傾斜材料としての機能を発揮させるようにしたので、熱
膨張差に起因する破損やバルブ内に封入される金属蒸気
のリークを有効に防止することができる。
【0125】尚、図10には、本第2実施例の一部変更
例を示す。この変更例でのバルブ301’は、図7に示
されるバルブ301とは異なり、バルブ両端のそれぞれ
を全て開口することなく端面部301aが形成されてい
る。そして、各端面部301aには、電極棒304がバ
ルブ内部に挿通可能となるように、上記テーパ状貫通孔
314の大径程度の小開口が設けられている。この変更
例による発光管によって第3実施例と同様の作用効果を
得ることができる。
【0126】次に本発明の第3実施例及び第4実施例に
係る発光管について図11乃至図18に基づいて説明す
る。先ず、図11には金属蒸気放電灯の外筒内に組み込
まれる第4実施例に係る発光管の要部断面図を示す。図
11における筒状のバルブ401は、高純度(99.9
9%=4N)の透光性の多結晶アルミナからなり、この
バルブ401の両端開口部402の内壁には閉塞体とし
ての電極封止部403が形成されている。
【0127】この電極封止部403は、発光部となるバ
ルブ401よりも低純度(例えば93〜97%)のアル
ミナ材料を用いて形成し、且つバルブ側域としての第1
層403a及びコア部側域としての第2層403bから
なる多層構造としている(上述したような中間域におけ
る中間域層を設けて3層以上としてもよい。)。ここ
で、バルブ401内壁面側の第1層403aは例えば純
度96%のアルミナで、内側の第2層403bは例えば
純度93%のアルミナでそれぞれ形成している。
【0128】そして、この電極封止部403内にコア部
としての電極棒404を挿通し、バルブ401の開口端
側に電極棒404が貫通するアルミナからなるキャップ
405をはめ込み、これらの電極封止部403と電極棒
404との間、電極棒404とキャップ405との間、
バルブ401及び電極封止部403の端部とキャップ4
05との間等をガラスソルダーを溶融冷却して得られる
封着ガラス406で封止している。
【0129】この場合、キャップ405の純度はバルブ
401と電極封止部403の純度の平均値のものとする
のが好ましい。また、キャップ405は必要に応じ省略
するようにしてもよい。
【0130】このようにバルブ401の開口部にバルブ
401より低純度のアルミナ材料からなる電極封止部4
03を形成することによって、電極封止部403の内壁
においては、アルミナセラミックスの粒界にガラス成分
が存在するため、封着用のガラスソルダーとの密着性が
よく、シール性が向上する。また、純度が異なるアルミ
ナを用いて組成傾斜構造とすることにより、熱応力の発
生を抑制できる。
【0131】以上のような構造のセラミック発光管の製
造方法の一例を図12乃至図14に基づいて説明する。
先ず、図12に示すように容器C41に透光性アルミナ用
の高純度(4N以上)アルミナ微粉末を、容器C42に低
純度(ここでは93%)アルミナ微粉末をそれぞれ用意
する。低純度アルミナ微粉末は不純物としてシリカ、マ
グネシア等を含んでおり、また両アルミナ微粉末は、焼
結挙動の類似した物を選定することが望ましい。
【0132】そして、秤量した粉末に、蒸留水、市販の
分散剤及びバインダを所定量添加し、24時間ボールミ
ル処理をして、鋳込成形用のスリップを調製する。次
に、これらのスリップを適当量混合し、それぞれ純度の
異なる数種のスリップを調製する。これらの混合はスタ
ーラを用いて約1時間行った。このようにして、図13
に示すように容器C43に高純度(4N)アルミナスリッ
プS41を、容器C44に純度96%のアルミナスリップS
42を、容器C45に純度93%のアルミナスリップS43
それぞれ調製した。
【0133】その後、図14(a)、(b)に示すよう
な2つ割り多孔質体型又は石膏型411(一方の型のみ
の断面図及び平面図を示する)のスリップ流入/排泥口
の周辺をマスク412でマスキングしておき、先ず同図
(c)に示すような容器C43の高純度アルミナスリップ
41を流し込み、所定時間静置して高純度アルミナ層4
13を着肉せしめた後に排泥する。
【0134】次いで、同図(d)に示すように石膏型4
11の一端部を封止部分のみに着肉が行われるように純
度96%のアルミナスリップS42に浸して、同図(e)
に示すように高純度アルミナ層413の内周に96%ア
ルミナ層414を形成し、同様にして他端部にも純度9
6%アルミナ層414を形成する。次に、石膏型411
の一端部を封止部分のみに着肉が行われるように純度9
3%のアルミナスリップS43に浸して、同図(f)に示
すように96%アルミナ層414の内周に93%アルミ
ナ層415を形成し、同様にして他端部にも純度93%
アルミナ層415を形成する。
【0135】このようにして得られた成形体を、水素還
元雰囲気中、1800℃で6時間焼結することによっ
て、発光部は透光性アルミナ層、封止部は白色の低純度
アルミナ層からなる電極封止部403となったバルブ4
01を得る。
【0136】尚、バルブの焼成は、粉末を選択すること
によって、空気中で1350℃で6時間焼成した後に、
1000気圧アルゴン雰囲気、1350℃、2時間の熱
間静水圧加熱処理を行うことによって得ることもでき
る。但し、この場合には、この温度では一般的に低純度
アルミナが殆ど焼結せず、封止部最内周のアルミナ純度
は97%以上としなければならない。
【0137】このようにして得られたバルブ401及び
電極封止部403の内径加工、発光部の外周加工を施
し、金属蒸気放電灯を組み上げる。
【0138】次に、上記第3実施例の変更例としての第
4実施例を図15乃至図18に基づいて説明する。この
第4実施例にあっても高純度(99.99%=4N)の
透光性の多結晶アルミナからなるバルブ521の両端部
522に低純度アルミナからなる積層構造の電極封止部
523を形成し、この電極封止部523内にコア部とし
ての電極棒524を挿通し、電極封止部523の外側に
電極棒524が貫通するアルミナからなるキャップ52
5を嵌め込み、これらの電極封止部523、電極棒52
4及びキャップ525を封着ガラス526で封止してい
る。
【0139】電極封止部523は、発光部となるバルブ
521よりも低純度(例えば99〜97%)のアルミナ
材料を用いて形成し、且つバルブ521或いは電極棒5
24の軸線方向に沿って第1層523a、第2層523
b、第3層523c(4層以上でもよい。)からなる積
層構造としている。更に、第1層523aから第3層5
23cに向かって徐々に厚さを増している。この結果、
第3層523c及び第2層523bは、第1層523a
と比べ、面積的により大きく電極棒524と隣接するこ
とになる。また、キャップ525は第3層523cと同
じ純度のアルミナを用いている。尚、キャップ525は
必要に応じて省略することもできる。
【0140】以上のような構造のセラミック発光管の作
成方法の一例を図14乃至図18に基づいて説明する。
先ず、上記第3実施例と同様に、透光性アルミナ用の高
純度(4N以上)アルミナ微粉末と、低純度(ここでは
93%)アルミナ微粉末をそれぞれ用意し、秤量した粉
末に、蒸留水、市販の分散剤及びバインダを所定量添加
し、24時間ボールミル処理をして、図16に示すよう
に容器C51に高純度(4N)アルミナスリップS51を、
容器C52に純度97%のアルミナスリップS52を、容器
53に純度95%のアルミナスリップS53を、容器C54
に純度93%のアルミナスリップS54をそれぞれ作製し
た。
【0141】その後、図18(a)に示すように多孔質
体の板又は石膏板531上にバルブ外径に合せた筒状の
型532をセットし、この型532内の中心部に成形棒
533を立設し、これらの型532及び成形棒533で
形成される空間内に、純度93%のアルミナスリップS
54、純度95%のアルミナスリップS53、純度97%の
アルミナスリップS52及び高純度アルミナスリップS51
を順次注入して積層体を成形する。尚、スリップを注入
する場合には既に注入したスリップと混合しないよう
に、既に注入したスリップがある程度水分を失ってから
次のスリップを注入する。
【0142】一方、図17に示すような高純度アルミナ
スリップS51から成形したバルブ521となるパイプ5
34を用意しておき、バルブ521の端部522aとな
る高純度アルミナスリップS51が乾燥しない状態でパイ
プ534を型532内に差込んで一体化し、図18
(b)に示すような成形体を得る。その後、上記実施例
と同様にして、この成形体の焼結、加工及び組立てを行
う。
【0143】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
封止の信頼性を向上させ、ランプ寿命を長くでき、封止
箇所のシール効果が向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る発光管の断面図であ
り、
【図2】上記発光管の本体又はバルブと閉塞体の作製に
用いる透光性アルミナにおける粒径分布を表すグラフ
【図3】上記発光管における閉塞体の製造工程を説明す
るための工程図
【図4】上記閉塞体の斜視図であり、
【図5】上記閉塞体の構造及び組成分布を示した断面図
及び組成成分分布図
【図6】上記第1実施例の一部を変更した場合の発光管
の断面図
【図7】本発明の第3実施例に係る発光管の断面図
【図8】上記発光管に用いられる閉塞体用のスリップの
調整工程を示す説明図
【図9】スリップキャスティング工程を示す説明図
【図10】上記第3実施例の一部を変更した場合の発光
管の断面図
【図11】本発明の第4実施例に係る発光管の断面図
【図12】上記発光管の製造に用いられる原材料の説明
【図13】上記発光管の製造に用いられる各スリップの
説明図
【図14】上記発光管の製造工程を示す工程図
【図15】本発明の第5実施例に係る発光管の断面図
【図16】上記発光管の製造に用いられる各スリップの
説明図
【図17】上記発光管の製造に用いられる筒状パイプの
斜視図
【図18】上記発光管の製造工程を示す工程図

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バルブの開口端部を閉塞体にて封止した発
    光管の封止部構造であって、前記閉塞体は一側部がバル
    ブに接合されるとともにその中心部を電極支持シャフト
    が貫通し、また前記閉塞体の組成成分は、前記バルブと
    接合される側域においては該バルブの熱膨張係数と略々
    同一とする成分であり、前記電極支持シャフトに隣接す
    る側域においては該電極支持シャフトの熱膨張係数と略
    々同一とする成分であり、前記両側域間の中間域におけ
    る成分は前記バルブと接合される側域の熱膨張係数から
    前記電極支持シャフトに隣接する側域の熱膨張係数へと
    徐々に変化するように組成割合が調整されていることを
    特徴とする発光管の封止部構造。
  2. 【請求項2】前記閉塞体は組成割合を変えた複数の層か
    ら構成されることを特徴とする請求項1に記載の発光管
    の封止部構造。
  3. 【請求項3】前記複数の層は電極支持シャフトに隣接す
    る側域から径方向に積層されていることを特徴とする請
    求項2に記載の発光管の封止部構造。
  4. 【請求項4】前記複数の層は電極支持シャフトに隣接す
    る側域から軸方向に積層されていることを特徴とする請
    求項2に記載の発光管の封止部構造。
  5. 【請求項5】前記閉塞体は組成割合が連続的に変化する
    ことを特徴とする請求項1に記載の発光管の封止部構
    造。
  6. 【請求項6】前記閉塞体の組成割合は電極支持シャフト
    に隣接する側域から径方向に変化していることを特徴と
    する請求項5に記載の発光管の封止部構造。
  7. 【請求項7】前記閉塞体の組成割合は電極支持シャフト
    に隣接する側域から軸方向に変化していることを特徴と
    する請求項5に記載の発光管の封止部構造。
  8. 【請求項8】前記閉塞体とバルブとの接合は固相接合で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の発
    光管の封止部構造。
  9. 【請求項9】前記閉塞体の最大外径(Do)とバルブの
    最小内径(Di)との差(Di−Do)は0.5mm以下で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の発
    光管の封止部構造
  10. 【請求項10】前記閉塞体の最大外径(Do)とバルブ
    の最小内径(Di)との比(Do/Di)は0.99≧
    (Do/Di)≧0.85であることを特徴とする請求項
    1乃至請求項7に記載の発光管の封止部構造。
  11. 【請求項11】前記閉塞体の外端面はバルブの開口端と
    面一か開口端よりも内側に位置していることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項7に記載の発光管の封止部構造。
  12. 【請求項12】前記バルブの開口端の外径をD1、バル
    ブの発光部の最大外径をD2とすると、0.1≦(D1/
    D2)≦1.0であることを特徴とする請求項1乃至請求
    項7に記載の発光管の封止部構造。
  13. 【請求項13】前記発光部に臨む電極支持シャフトと閉
    塞体との間には隙間が設けられていることを特徴とする
    請求項1乃至請求項7に記載の発光管の封止部構造。
  14. 【請求項14】前記隙間は、発光部に向かって拡径して
    いることを特徴とする請求項13に記載の発光管の封止
    部構造。
  15. 【請求項15】前記隙間を形成する閉塞体の孔の最大内
    径をD3、電極支持シャフトの直径をD4とすると、0.
    4≦(D4/D3)<1.0であることを特徴とする請求
    項1乃至請求項7に記載の発光管の封止部構造。
  16. 【請求項16】前記バルブは両端に開口部が設けられ、
    これら開口部を封止する閉塞体は長さが異なること特徴
    とする請求項1乃至請求項7に記載の発光管の封止部構
    造。
  17. 【請求項17】前記バルブは両端に開口部が設けられ、
    これら開口部を封止する閉塞体は径が異なること特徴と
    する請求項1乃至請求項7に記載の発光管の封止部構
    造。
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