JP2001035390A - 放電表示装置の粉末状隔壁焼成材と隔壁形成方法 - Google Patents

放電表示装置の粉末状隔壁焼成材と隔壁形成方法

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JP2001035390A
JP2001035390A JP21102499A JP21102499A JP2001035390A JP 2001035390 A JP2001035390 A JP 2001035390A JP 21102499 A JP21102499 A JP 21102499A JP 21102499 A JP21102499 A JP 21102499A JP 2001035390 A JP2001035390 A JP 2001035390A
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Yasumasa Akimoto
靖匡 秋元
Junichi Arai
潤一 新井
Eizaburo Watanabe
英三郎 渡邊
Isao Kato
功 加藤
Ryuichi Nakamura
隆一 中村
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】隔壁の形成方法とそれに使用する隔壁用材料で
あって、焼成後の隔壁に問題となる空孔の発生がなく、
また焼成前の状態で気泡の混入のない、または気泡混入
対策が容易であって生産性が低下しない材料・方法を提
供すること。 【解決手段】材料としてペースト状、インキ状のもので
なく、粉末状の材料を使用し、粉末状態で型に充填する
こととした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放電表示管である
プラズマディスプレイパネル(以下PDPと記す)とプ
ラズマアドレス液晶表示装置(以下PALCと記す)の
隔壁の形成方法に関するものであって、埋め込み法(後
記)、型取り法(後記)等の隔壁成形用の型を使用する
隔壁形成方法に使用する隔壁用焼成材料と隔壁形成法に
関する。
【0002】
【従来の技術の問題点】PDPの構造を図1に示す。P
ALCの構造を図2に示す。いずれにおいても隔壁は放
電空間を形成するために必要であり、その寸法やその他
の仕様もほぼ同じである。なお、PDPにおいては、電
極の上に誘電体層が形成される場合がほとんどである
が、PALCにおいては、誘電体層は形成されない。裏
面の光源からの光を減衰させず、散乱させずに前方へ通
す必要があるからである。
【0003】隔壁の形成の従来技術としては、PDPに
おいてはスクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光性
ペースト法、埋め込み法またはリフトオフ法と呼ばれる
方法、基板上に塗布した可塑性の隔壁用ペーストを隔壁
形状を有する金型でプレスして成形する型押し法、型の
中に隔壁材を詰め込み、ガラス基板に転写する方法(以
後型取り法と記す)が知られている。PALCにおいて
は、スクリーン印刷法が実際に使用されている方法であ
るが、PDPの隔壁形成技術としてその他の方法の利用
も検討されている。
【0004】これらの形成方法のうち、隔壁形成用の型
を使用し、型の中へ隔壁用焼成材料を充填する工程を経
る方法は、埋め込み法、型取り法であり、高精細な隔壁
が形成できる可能性と低コストで形成できる可能性が高
く、検討されている。
【0005】埋め込み法は電極等を形成したPDP用の
基板の上に感光性フィルムを貼り付け、隔壁の形状を有
するフォトマスクを使用して露光し、現像する。感光性
フィルムの開口部が隔壁形成用の型となるものである。
従来法では、この開口部へスクリーン印刷等の手段を用
いて、ペースト状の隔壁用焼成材料を充填していた。
(日立化成:特開平9―147741)
【0006】次に型取り法においては、隔壁形成用の型
に隔壁用焼成材料ペーストを充填したものを電極等を形
成したPDP用の基板の上に転写するか、あるいは基板
と重ねて、焼成している。(京セラ:特開平8―273
537、特開平10―208628、特開平10:13
4705、特開平10―134705、特開平10―1
23219 DNP :特開平3―254857、コーニン
グ:特開平10―101373、東レ:特開平9―13
4676、特開平9―306345、沖電気:特開平1
―137534)
【0007】いずれの出願においても隔壁用焼成材料は
ペースト状、インキ状であった。このため、後に示す理
由によって型へ充填した状態で気泡の混入の問題があっ
た。気泡が混入したままの状態で焼成すると、隔壁の内
部に空孔(ボイド)が発生し、パネル化の封止後の排気
工程が長時間化したり、空孔中に気体が残存していると
使用中に徐々にパネル内に漏れ、真空度が低下したりし
て放電状態が変化してしまう問題につながる。また、空
孔部周辺は強度的に弱いので、隔壁に必要な強度を得る
ことができなくなることもある。さらに、空孔が表面で
壊れると隔壁の形状が問題となる。例えば、隔壁の上面
は平坦性がかなり要求される。
【0008】気泡の混入には、ペースト自体に気泡が含
まれてしまう場合とペーストを型に入れる際に気泡が混
入してしまう場合がある。従来の方法では、気泡の混入
を防止する方策を種々採用している。例えば、ペースト
内の気泡を除去するには、真空脱泡を行うことが多い。
また、型へ注入する際にも以下に示す様に種々の対策を
行っている。しかし、そのために生産性が低下してい
る。
【0009】例えば埋め込み法においては、隔壁形成用
のペースト材を基板上に形成したドライフィルムの型に
スクリーン印刷法等の方法を用いて充填し、次に真空脱
泡法によって気泡と溶剤の除去を行っている。実際には
この埋め込み充填工程と真空脱泡工程を2回行ってい
る。その目的は、充填時に混入した気泡の除去と溶剤の
蒸発による目減り対策である。溶剤含有量を減らしたペ
ーストとすれば目減り量は減るが、ペーストの粘度が上
昇するので、気泡の混入が増加し、また真空脱泡が有効
に作用しなくなる。
【0010】型取法においても、現状では型に充填した
後に真空脱泡による脱泡操作が必要である。真空脱泡法
は基板サイズが大きくなるにつれて、真空引きに時間が
かかるようになる。また、ペーストの粘度が高くなる
と、脱泡できない事態も発生する。すなわち、埋め込み
法での問題と同様な問題が発生する。
【0011】また、ペースト状にするためには、有機物
成分を少なくとも15〜20wt% (30〜60v%)使
用しなければならないが、焼成時に焼失するに際して、
揮散、分解、酸化等の過程を通り、ガスとなって材料中
から脱出する。このため、焼成中の隔壁用焼成材料内を
観察すると、多数の気泡が観察される。このガスが充分
に抜けてからガラスフリット分が融解を開始するよう
に、分解温度で分解が終了するまで待つ必要がある。ま
た、有機物が多いと炭化物が残らないように焼成するた
めに、焼成炉内へ充分な空気を吹き込みながらゆっくり
焼成する必要があり、焼成時間が長くなっていた。ま
た、空孔を無くしたり減少させたりするために、ガラス
フリットの焼結温度より高めに焼成温度を設定すること
が必要であり、消費電力が余分に必要であった。
【0012】また、有機物が多いと焼成前後で体積減少
が大きく、隔壁形状の乱れや、ヒビ割れなどといった問
題が発生しやすく、材料の組成選定範囲が狭くなってい
た。
【0013】上記の問題点を解決する方法として、実用
化されていないが、埋め込み法において、粉体を使用す
る方法が特開平11―40045に開示されている。す
なわち、埋め込み法において、粉体なら型に埋め込む際
に気泡を巻き込むことはないとしている。粉体としてワ
ックス、有機高分子バインダー、ガラス粉末、セラミッ
ク原料粉末、金属粉末から選択された組成物を加熱分散
処理して得た球状のマイクロカプセル粒子をフォトレジ
ストで形成した基板上の凹部に埋め込む方法が開示され
ている。しかし、この方法においては、球状のマイクロ
カプセルを形成するために有機物成分の割合が重量25
%(体積では50%以上)と多く、焼成による体積減少
が多く、必要な形状を得ることが通常では非常に難し
い。また、焼成時に有機物が気化したり、燃焼したりし
て、ガスが発生するが、有機物が多いとガスが抜け難く
なり、気泡が発生し易い。また体積収縮が多いとひび割
れが発生し易い。という問題点がある。さらに、球状の
粒子では空隙ができるので、充填率が上がらない、とい
う問題点がある。充填率を向上する方法については開示
されていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】隔壁の形成方法とそれ
に使用する隔壁用焼成材料であって、焼成後の隔壁に問
題となる空孔(ボイド)の発生がなく、また焼成前の状
態で気泡の混入のない、または気泡混入対策が容易であ
って生産性が低下しない材料・方法を提供することであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】材料としてペースト状、
インキ状のものでなく、粉末状の材料を使用し、粉末状
態で型に充填することとした。すなわち材料として、放
電表示装置の隔壁形成用の型に隔壁用材料を充填して隔
壁あるいは隔壁と誘電体層の両方を形成する方法に使用
する放電表示装置の隔壁用焼成材料であって、
【0016】粉末状態で型に充填する粉末材料であっ
て、放電表示装置の隔壁または誘電体層ともなる無機物
成分を80wt%以上含有することを特徴とするものと
した。
【0017】また、その粉末材料が少なくとも放電表示
装置の隔壁または誘電体層ともなる無機物成分と、加湿
結着性、溶剤蒸発結着性、加熱結着性、加圧結着性、化
学反応結着性等の結着性(バインダー性)を有しかつ焼
成すると焼失する有機物成分よりなることを特徴とする
ものとした。ここで溶剤蒸発結着性とは、あるものの溶
液において、その溶剤が蒸発すると結着性を発現する性
質を言う。たとえば、溶剤型接着剤やエマルション型接
着剤は溶剤や分散媒が蒸発する時結着性を示す。本発明
においてはこれらのものを溶剤蒸発型結着剤と呼ぶ。
【0018】ここで結着とは粉体状態のものが繋ぎ合わ
さって、固形状で一体化することをいい、固形状とは、
その後の焼成までの工程において形状が変化しない程度
に固まった状態をいう。また、結着性とは何らかの操作
を施すことによって結着現象を示す性質をいう。
【0019】あるいは、その粉末材料が放電表示装置の
隔壁または誘電体層ともなる無機物成分と、加湿結着
性、溶剤結着性、加熱結着性、加圧結着性、化学反応結
着性等の結着性(バインダー性)を有しかつ焼成すると
隔壁成分の一部となるシリコーン化合物よりなることを
特徴とするものとした。
【0020】あるいは、その粉末材料が放電表示装置の
隔壁または誘電体層ともなる無機物成分と、焼成すると
焼失する有機物成分と焼成すると隔壁成分の一部となる
シリコーン化合物よりなり、少なくとも有機物成分また
はシリコーン化合物のどちらかが加湿結着性、溶剤結着
性、加熱結着性、加圧結着性、化学反応結着性を有する
ことを特徴とするものとした。
【0021】つぎに、型への充填性を向上したり、結着
性を向上したものとして、粉末状隔壁用焼成材におい
て、少なくとも粉末の一部が無機物成分と有機物成分が
付着合体して1粒子となったものであることを特徴とす
るものおよび、少なくとも粉末の一部が無機物成分とシ
リコーン化合物が付着合体して1粒子となったものと、
少なくとも粉末の一部が無機物成分と有機物成分とシリ
コーン化合物が付着合体して1粒子になったもの、およ
び、それらの混合物であることを特徴とするものとし
た。また、粉末材の粒子の一部あるいは全部が無機物の
表面に有機物または/ およびシリコーン化合物を塗布し
たものであることを特徴とするものとした。ここで塗布
とは、実際に塗る工程を経たものを意味するのではな
く、無機物粒子の表面に有機物または/ およびシリコー
ン化合物が層状に付着した状態をいい、表面全面でな
く、一部を被覆している場合も含む。また、粉末材が上
記の状態の粉末粒子の混合物であることを特徴とするも
のとした。
【0022】実際の形成法として、埋め込み法の場合に
は基板上に隔壁成形用型が形成してあるが、その型に粉
末を充填し、加熱、加圧、反応硬化、結着剤注入によっ
て結着し、固形化する方法とした。また、型取り法の場
合には隔壁形成用の型は別に形成したものを使用する
が、粉末状隔壁用焼成材をその隔壁成形用型に充填し、
加湿、加熱、加圧、反応硬化、結着剤注入によって結着
させ、固形化し、固形化したものを基板上に転写する方
法とした。
【0023】PDP用背面板を製造する場合には、転写
する場合に、未焼成の誘電体層が形成してあるPDP用
基板を使用する方法とした。こうすることによって、基
板の焼成回数を一回減らすことができた。
【0024】型に充填する方法としては、従来の方法以
外に粉体を噴霧する方法が好適であり、本発明の一つで
ある。型に充填した粉体の充填率を向上する方法とし
て、ロールプレスを使用した。通常の方法である平面プ
レスでは、気泡の原因となる粉体間の空気が抜けない場
合があるが、ロールプレスでは順次絞りだされて抜けて
行く。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、作用を含め詳しく説明す
る。セラミック成形体の製造においては、ペーストを使
用せず、粉体を使用し、型を使用して成形する場合が多
い。本出願もその技術分野に近いが、放電表示装置の隔
壁の如き、微細で高精度を要求されるものには適用され
ていない。本発明が開示した方法によってそれが達成さ
れた。粉体を微細な溝に埋め込む従来の方法は、スキー
ジやドクターに依る掻き取りに近い状態での充填とゴム
弾性を有するシートを介して上からプレス充填する方法
と、ロールプレスが可能で生産性の高い方法であり、本
発明でも使用できる。さらに本発明では、粉末噴霧法に
よる溝への粉末の充填法を新規有効な方法として開示す
る。
【0026】焼成するとPDP・PALCの隔壁となる
無機物成分とは、基本的に加熱すると溶融するガラス成
分と、溶融せず形状を維持するための骨材成分よりな
る。PDP用とPALC用では基本的には相違しない
が、使用するガラス基板に合わせてガラス成分や骨材の
熱膨張率、ガラス転移点、作業温度等を変える。代表的
な組成の一例を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】ガラス成分としては通常はホウ珪酸鉛ガラ
スを使用する。成分の割合はガラス基板と熱膨張率が同
等になる必要性と、焼成温度によって限定される。形状
を維持するための骨材成分としてはガラスフリット成分
より融点が高いことが必要であり、金属酸化物が中心で
ある。表1では骨材成分としてチタニアを使用している
が、他にアルミナ、ジルコニア、ムライト等がある。ま
た着色するために無機顔料として酸化鉄、酸化クロム、
酸化銅等を使用することもある。
【0029】焼成温度の最高は、基板ガラスの軟化が問
題にならない温度の上限である。通常のソーダガラスで
は580℃付近であり、旭硝子製のPDP用の高歪点ガ
ラスPD―200で650℃程度である。一方、PAL
Cでは基板のガラス板が低膨張ガラスであり、焼成温度
の上限は650℃程度である。従って、PDP用との共
用は不可である。
【0030】無機物成分が80wt%以上であり、必要
に応じて潤滑材、表面処理剤を20Wt%以下含有する
粉末状隔壁用焼成材の調整方法は、次の通りである。ま
ず、鉛ガラスその他の成分の粉末は粒度(分布)また
は、粉砕方法を指定してメーカから購入したものを用い
る。一般的にはボールミルで粉砕したものがロットの安
定性、隔壁形成用の型への充填時の充填率の高い点で好
都合である。また、混合・分散には通常のボールミルを
用いる方法で問題ない。2次粒子を形成している場合に
は、粉末メーカの粉砕、分散方法との兼ね合いがあるの
で、予備分散法をメーカと相談する。また分級には振動
フルイ、気流分級機、遠心式分級機等を使用する。粉体
の粒度は、本発明の用途には、充填方法がロールプレス
法の場合には0.5 μm〜10μmの範囲のもの、また粉
体噴霧法の場合には2〜3μmから10μmの範囲のも
のが好ましい。また、ロールプレスを使用して押し込む
方法の場合には顆粒状のものが好ましい。
【0031】充填性を向上するための潤滑材としては、
ステアリン酸マグネシューム、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸カルシュームがあり、隔壁形成材のサイズと同
等またはそれ以下が使用できる。添加量は0.01〜0.1wt%
である。また、スプレードライ法による顆粒の場合には
スプレー前の原料にヤシ油や合成液体潤滑剤を混入す
る。添加量は通常0.1 〜1wt%である。
【0032】また表面処理剤は、粉体同志が再結合して
2次粒子を形成することを防止することを主目的として
添加する。実際のものとしては、脂肪酸やリン酸のエス
テル系の分散剤、界面活性剤、シランカップリング剤等
がある。その表面処理剤を粉体表面に塗布する方法は、
一般には浸積・乾燥である。乾燥後、ボールミルで再粉
砕、必要に応じて分級して使用する。その他の方法とし
ては、スプレーコート、気相処理がある。添加量は通常
1wt%以下である。
【0033】顆粒状のものを作成する方法として一般的
な方法としては、目的とする顆粒のサイズの数十分の1
〜数分の1程度の範囲に粉砕し分級したものを、再度ボ
ールミルで分散し、スプレードライヤーを使用して作成
する。好ましい顆粒の粒度は隔壁の巾(30〜100μ
m)の数分の1以下である。細かすぎると顆粒にした効
果が少なくなる。顆粒の生成のために、一般的にボール
ミル分散時に解こう剤としてポリカルボン酸アンモニュ
ーム塩、ポリアクリル酸オリゴマーとそのアンモニュー
ム塩を1%以下程度添加し、また、バインダーとしてポ
リビニルアルコール、ポリエチエンオキサイド、ポリメ
タクリル酸アステル等を添加する。プレス法、インジェ
クション法によるセラミックス材成形に使用される顆粒
形成法や材料を、本発明に使用する顆粒形成に利用する
ことができる。
【0034】このような結着性成分を含まない粉末状隔
壁用焼成材を使用する場合には、型の表面へ結着剤を塗
布した状態で粉末状隔壁用焼成材を充填したり、充填し
た後に結着剤を振りかけたりして、必要な固着強度を得
る。このような方法では表面が結着しているだけで、内
部は結着していない場合もあるが、それでも必要な強度
を得ることが充分に可能である。
【0035】結着性は有機物成分とシリコーン化合物の
どちらか、あるいは双方が所有していてもよい。その
他、場合によっては、水分、水ガラス(珪酸ナトリウ
ム)を結着剤の一種とすることができる。さらに、結着
性のある有機成分は、セラミックス焼結成形体の形成に
使用され得るもの、および焼成用ペーストに使用され得
るもの中から、まず焼成温度によって選択することがで
きる。
【0036】焼成すると焼失する有機成分のうち、加熱
結着性のものとしては、エチルセスロース、メチルセル
ロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセル
ロース等のセルロース系樹脂、アクリル樹脂、スチレン
樹脂、ポリアミド樹脂等がある。加圧結着性のものとし
てはブチラール樹脂、パラフィンワックス等があり、放
射線結着性のものとしては、アクリル樹脂等がある。ま
た、樹脂成分を溶剤等で若干膨潤させた状態にして結着
性を高めたり、調整したりすることもある。例えば、樹
脂成分がヒドロキシエチルセルロースのときは水やエチ
ルアルコールを、樹脂成分がポリビニルブチラールのと
きにはアルコールやセロソルブ系を使用する。また、マ
イクロカプセルタイプのものも考えられる。すなわち、
接触すると硬化し結着性を有するようになる2種の材料
を別々に無反応性の被覆材で被覆し、加圧や、加熱、放
射線照射によって被覆材が破れるものである。
【0037】結着性を有機物成分に持たせる場合、その
成分量は本発明では20wt%以下であり、焼成時の収
縮率の点から好ましくは10wt%以下である。10w
t%は、通常のペースト状態の隔壁用焼成材料の場合の
半分以下である。10wt%以下にすると、粉体にした
ことによる取扱いや充填が容易になること以外に、それ
だけ焼成時の隔壁の収縮が少なくなり、寸法安定性が増
し、ボイドの発生確率が低くなり、有機物成分を焼失さ
せるための時間が減少し、焼成炉への空気吹き込み量も
減少する。
【0038】これらの有機物の粉末は一般には粒度を指
定すればメーカから供給される。内作が必要な場合には
スプレードライ法で形成する。必要なら篩等で分級して
使用する。
【0039】請求項2の粉末状隔壁用焼成材を得るため
に無機物成分と有機物成分を混合する方法としては、結
着性によって異なった方法が最適であることが多いが、
共通する方法もある。
【0040】無機物成分と有機物成分が単に混合してい
るだけの粉末状隔壁用焼成材の製法、混合法としては有
機物を溶解しない液体に無機物成分と有機物成分を入
れ、ボールミルや攪拌等の方法で混合し、その後液体分
を濾過、揮散、真空蒸発等の手段で除去する方法があ
る。もちろん、別々に無機物成分と有機物成分を液体に
分散した後に、混合する方法もある。
【0041】有機物成分やシリコーン化合物成分と無機
物成分が結着して1粒子となった状態の粉末材料を作成
する方法としては、有機物やシリコーン化合物成分を溶
解する溶媒にそれらを溶解し、無機成分を加えて、ボー
ルミル等で分散し、溶剤を蒸発等の手段で除去する。す
ると一塊の状態のものが得られるが、それを粉砕して、
所望の粉体を得る。
【0042】焼成すると隔壁成分の一部になるシリコー
ン化合物であって結着性を持つものとしてはポリシロキ
サン等からなるシリコーンレジンやポリシラザンがあ
る。焼成時に分解して前者はシリカ、後者はその化学組
成によって窒化珪素、カーボランダム、になり、隔壁の
体質成分となる。ただし、シリカは条件によっては鉛ガ
ラスと反応(溶解)して、隔壁のバインダー成分となる
ことがある。たとえば焼成温度が鉛ガラスのガラス転移
点(2種類以上のガラスが混合している場合には低温の
方)より100℃以上高い場合には、短時間で完全に溶
融する。
【0043】これらのシリコーン化合物は焼成時に分解
して、活性な微細粒子となることが特徴である。このた
め、焼成温度が低くても焼結が進み、焼成時の体積減少
率を減少させる効果を有すると共に、充填率が高い隔壁
を得ることができ、気孔の発生が少なくなる。
【0044】さらに、PDPでは電極の上に誘電体層を
形成する場合があるが、その場合には工程の簡略化のた
めに粉末状隔壁用焼成材が誘電体層の仕様も満足するも
のであることを特徴とするPDP用材料であるものとし
た。すなわち、本発明の方法では、隔壁形成時に誘電体
層に相当する部位に隔壁材と同一組成の層を形成するこ
とができる。一方、誘電体層に要求される電気的仕様を
満足する材料であれば、ほとんどの場合、隔壁の電気的
仕様を満足する。従って、誘電体仕様の無機材料を使用
して材料を調整すれば、隔壁と誘電体層を同時に形成す
ることができる。
【0045】無機成分が多ければそれだけ焼成時に亀裂
等の問題を生じない。例えば無機成分を98wt%以上と
すれば、この問題の発生はほとんどなくなる。しかし、
結着性が低下し、転写時に形状を維持することが難しく
なる。この場合、シリコーン化合物として、結着性のあ
るものを使用すると、結着性を維持したまま有機物成分
を減少することができる。
【0046】粉末のサイズの分布については、焼成した
際の収縮ができるだけ少なく、また、リブ形状の溝に充
填する際にスムースに充填できる形状、粒径分布が好ま
しい。プレス法を使用する場合には顆粒状の粉体がよ
い。実際には1〜5μmの粒径サイズのものが、多くの
場合具合が良い。
【0047】型取り法であって、型をガラス基板から引
き剥がす工程がある場合、型材、または型の基板材は可
撓性のある、熱膨張係数がPDP用基板と類似している
もの、例えば42鉄合金または熱膨張係数が非常に小さ
いもの、例えば36鉄合金が好ましい。型への充填性を
向上するためにステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネ
シューウム、ステアリン酸カルシューム等の潤滑材を使
用する。これら潤滑材は型の表面にその都度塗布しても
よいし、また、隔壁形成材の中へ混入することも可能で
ある。
【0048】また、この目的に対しては粉末冶金、セラ
ミック焼成品の製造、の分野で使用されている方法や知
見が参考となる。すなわち、本発明はそれらの領域で使
用されている方法、知見をPDP、PALCの隔壁の形
成に応用したものである。相違点は、製品のサイズが従
来は, 例えば小さなものでも数mm〜数cmであったのに対
し、本発明の対象は例えば巾50〜100μm、高さ1
00〜200μmという微細とも言えるものである点で
ある。しかも仕様精度も厳しい。
【0049】本発明の一般的効果は、このような微細、
高精細のものにも上記の技術の応用範囲を広めることを
可能であるとした点である。具体的に従来の方法と異な
る点は高精細用の材料の種類・調整方法高精細で剥
離性が良好な隔壁形成型新規な隔壁用焼成材料として
シリコーンレジンやポリシラザンを使用する点、新規
な充填方法として、噴霧法を使用し、微細な焼成物を高
精度で作成可能とした点であり、また製品の均一性向
上、生産性向上を達成した点である。実際の成形プロセ
スは、方法によって異なる部分が多い。
【0050】埋め込み法では有機成分が熱硬化型または
加熱融解型の場合は、粉末状隔壁用焼成材を埋め込み、
硬化温度または融解温度以上に加熱したのちに室温に冷
却する。この工程で目減りするので、もう一度埋め込み
加熱し室温まで冷却する。ドライフィルムの上の粉末状
隔壁用焼成材は研磨して除去してから、焼成する。通常
の加熱温度は80℃〜150℃である。
【0051】型取り法では、充分な量の粉末材隔壁用焼
成材を型の上に均一に置いて、ロールプレスで加圧して
粉末材隔壁用焼成材を型の中に入れる。この場合、後に
述べるように、予備的に平プレス等で型へ押し込むこと
は可能であるが、最終的にはロールプレスで粉末材隔壁
用焼成材を型の中へ押し込むことが、気泡の残留を避け
るために好適である。その後、過剰な量すなわち型の上
面より上にある粉末状隔壁用焼成材は掻き取って、リブ
の高さを一定にするようにする。(なお、構造が異な
り、リブの下に絶縁層・誘電体層がある場合には全部を
掻き取らず、誘電体層の厚さの量だけ残すように作業す
る。)埋め込み法よりも誘電体層の厚さを均一にするこ
とが簡単である。なぜなら、ガラス基板のほうが金型よ
りも厚さムラが大きくしかも一枚毎に異なっているから
である。加熱固化の工程は採用してもよいし、プレスだ
けで離型時に形状が崩れない程度に固形化させることが
できるなら、加熱は不要である。
【0052】型に詰める際に、必要に応じて基板に(超
音波)振動を与えて充填密度を向上させる方法も採る。
プレスはその後に行う。予備プレス方法としては、平プ
レスでもよいが、本プレスはロールプレスによる押し込
み法が好適である。すなわち、例えば、隔壁用の平面状
の型においては、隔壁用の粉末材料を型の全面に均一に
分布させ、振動を与えて充填密度を向上させ、均一にさ
せた後、全面を軽く平プレスし、次にロールプレス機を
使用して、基板の一端から反対側の端まで加圧ロールを
移動させる方法である。この場合、ロールの移動方向は
隔壁に平行であるほうが好適である。この場合にも振動
を与えた方が充填が密にしかも均一になる。
【0053】予備的に平プレス法を使用する場合は、粉
体は球状でしかも顆粒であることが好ましく、そのため
にスプレードライヤーで形成した顆粒状粉末が好まし
い。顆粒の場合は、加圧によって潰れながら空気分を排
出し、しかも単なる粉体と比較してプレスの圧力が下部
まで均一に印可される。ただし、加圧によって潰れるの
で見掛けの体積の減少が多く、最初に基板に載せる粉体
の見掛けの量が多くなる。
【0054】一方、噴霧法による場合には、噴霧時に粉
末状隔壁用焼成材粒子の空気中分散性が良好なことが必
要であり、そのためには、粒径がそろっていて、かつ球
状であり、さらに帯電しやすいことが好ましい。すなわ
ち、サンドブラスト法に使用するサンドに求められる分
散性が好ましい。なお、噴霧法においては、型の上面が
粉末状隔壁用焼成材粉末によって研磨されることを防止
するために、粉末状隔壁用焼成材粉末の表面がバインダ
ー成分で被覆されていることが好ましく、また型の上面
がサンドブラスト耐性がある物質で被覆されていること
が望ましい。たとえば、ワックス成分で薄く被覆するこ
とがよい。その場合、型の凹部の側面、底面も被覆する
ことが望ましく、被覆の方法としてはワックスを溶剤で
希釈したものをスプレーコートする方法がある。できれ
ば毎回被覆するのがよい。
【0055】噴霧法は新規な方法であり、微細な形状の
型に粉末を均一に充填することに適した方法である。例
えば型の凹部の巾が20μm〜1000μm、深さが2
0〜1000μmの型に充填可能である。プレス法では
通常の型、精細度型であっても、アスペクト比(深さ/
巾)が2.5 程度以上では均一な充填がかなり困難である
ことが知られている。高精細の型ではこの点はさらに厳
しい。また噴霧法は隔壁の形状が複雑であっても可能で
ある。プレス法では型の強度が必要であるが、噴霧法で
は研磨に強ければ耐圧性は不要である。このため例えば
ゴム型が使用でき、成形後の型からの取り出し(脱型)
が容易になる。また、型取り用のゴムを使用することが
でき、複雑な形状の型の母型を一つ作成すれば複製が容
易なので、生産性に優れている。また、別の方法とし
て、使い捨ての型を使用する方法があり、実施例3で述
べる。
【0056】噴霧法においては、粉末の充填を補助する
方法として、帯電を利用する方法がある。すなわち、吹
き出した際に粉末は帯電するが、その電荷と逆の静電気
を型やガラス基板に印可する方法である。実際的な方法
としては、電気絶縁性の板の上に銅板等の電極を置きそ
の上に隔壁形成型やガラス基板を置き、電極に数百ボル
ト程度印可する方法がある。一般に粉末の凝集を防止す
るために、粉末はかなり乾燥した状態で貯蔵、分散され
るので非常に帯電する。噴霧後にプレスして充填率をさ
らに向上することも有効である。
【0057】このような粉末状隔壁用焼成材の調整方法
は、基本的には粉末冶金材の調整法特に、金型を使用す
るプレス法やホットプレス法に使用する材の調整法に近
い。また、静電印刷用の粉体トナーの調整方法に類似す
る部分が多い。共に、粉末の流動性に優れ、その特性が
維持される必要がある。
【0058】樹脂粒子と無機材料粒子が単に混合されて
いる状態の粉末状隔壁用焼成材を調整する方法として
は、通常の粉体混合装置、例えばV 型混合機等が使用で
きる。
【0059】一方、無機材料粒子の表面に樹脂分が付着
している粉末材隔壁用焼成材を調整する方法としては、
通常のボールミルで無機材料粒子と樹脂分を混合し、溶
剤を乾燥させた後再度ボールミルで粉砕する方法、スプ
レードライ法、その他インキやペーストを作成する際に
使用する分散機で無機材料粒子と樹脂分と溶剤を分散さ
せ、溶剤を蒸発した後に、ボールミル等で粉砕する方法
がある。
【0060】加熱結着型の場合、加熱溶融温度は熱膨張
や粉末材隔壁用焼成材の保存安定性やスループットを勘
案すると、70〜100℃が好ましい。低い温度の方が
スループットが向上するが、一方保存安定性や、使用時
の安定性が低下する。70〜100℃が好都合である。
【0061】
【実施例】<実施例1>加圧結着性の粉末状隔壁用焼成
材の形成方法の一例は以下のようである。まず、隔壁と
なるガラスフリットや無機物成分の粉体の混合物(組成
は表1)の97重量部を水を入れたボールミルで粉砕
し、水を乾燥後、アトマイザーで分散する。次に、結着
剤成分としてポリビニルアルコール3重量部の水溶液を
加えて再度ボールミルで粉砕する。この液をスプレー乾
燥して、顆粒状の隔壁形成材を作成する。低温乾燥状態
で保管する。
【0062】<実施例2>加熱結着性の粉末状隔壁用焼
成材の形成方法の一例は以下のようである。まず表1の
組成のガラスフリットや無機物成分の粉体95重量部を
水を入れたボールミルで粉砕し、水を乾燥後、アトマイ
ザーで分散する。次に、この粉末全量と結着剤成分とし
てポリビニルブチラール系の材料「エスレックBM―
S」(積水化学製)(軟化点200℃)と3重量部とそ
の溶剤であるエタノール100重量部をボールミルに入
れ、分散混合した。次にスプレードライヤーを使用して
顆粒を形成した。
【0063】<実施例3>噴霧法に使用する粉末状隔壁
用焼成材の調整方法と、その材料と使い捨ての型を使用
した隔壁形成方法の一例を述べる。まず、粉末状隔壁用
焼成材を以下のようにして調製する。噴霧法による場合
には、噴霧時に粉末状隔壁用焼成材粒子の空気中分散性
が良好なことが必要であり、そのためには、粒径がそろ
っていて、かつ球状であり、さらに帯電しやすいことが
好ましい。基本的には、まず化学組成、比重が均一であ
ることが必要であり、これを確保するために隔壁用材料
の成分を所定、例えば表1、の割合で混合し、次に電気
炉等で加熱溶融し、充分に攪拌して均一状態にした後
に、冷却する。冷却したガラスの塊をとりだし、砕き、
最終的にはボールミル等で粉砕する。その後、大きな粒
子は篩い等で分級して除去して、所望の粉末状隔壁用焼
成材を調製する。このものは、噴霧法用の粉末状隔壁用
焼成材として単独に使用することもできるが、請求項1
〜7に記載されている無機成分の原材料とすることもで
きる。別の方法として、各成分の粉末を混合して調合
し、噴霧する方法があるが、充填時に成分ムラが発生し
やすい。但し、噴霧条件を調整することで、通常の各成
分の粉末の混合物であっても、必要な均一性を得ること
ができることがある。
【0064】使い捨ての型としては、焼成ペースト用の
バインダー樹脂を使用した厚さ10〜30μmの薄い型
を用いる。それを隔壁材と同時に焼成する。すなわち、
図7に示すように薄い型(7ーa)に噴霧法で粉末状隔
壁用焼成材を充填し(7ーb)、それをガラス基板と合
わせ(7ーc)、その状態で焼成する(7ーd)。この
場合、型の上面がガラス基板に密着するように、ガラス
基板に接着剤を塗布しておく方法が有効である。接着剤
の材料としては、焼成すると消失するものが必要であ
り、アクリル系のものが好適である。このような薄い型
は、金型を用いて形成することができる。また、型の厚
さが薄くて、噴霧時の圧力に耐えられない場合には、そ
の型が母型の金型に入った状態で、噴霧するほうほうが
ある。
【0065】プレスしない場合、噴霧だけで充填率が高
くなる粒径分布とする必要がある。そのためにはボール
ミル粉砕が好ましい。
【0066】<実施例4>放射線硬化型粉末状隔壁用焼
成材を以下の方法で調製した。隔壁用無機材料90重量
部、結着剤としてペンタエリスリトールトリアクリレー
ト9. 7重量部、ベンゾフェノン0.3重量部、ブチルカ
ルビトール30重量部を加圧ニーダで予備混練し、アト
マイザーで混合・分散した。その後、スプレー造粒機を
用いて放射線硬化型粉末状隔壁用焼成材を形成した。
【0067】<実施例5>PDP用ガラス基板の上に形
成した感光性フィルムの型の中に噴霧法で粉末状隔壁用
焼成材を充填する方法を以下に示す。(図3参照)
【0068】感光性フィルムの型の形成方法は、例えば
特開平9―110462に記載されているドライフィル
ムレジストを使用する通常方法によった。噴霧装置とし
て、不二製作所製のサンドブラスト装置を使用した。ノ
ズル部は筒状ノズルを5本並べてひとまとめにしたもの
を使用した。粉末状隔壁用焼成材は実施例3、4で作成
したものである。
【0069】図3a)は噴霧の状態の大略を示す平面図、
立面図、側面図である。同図に示すように、サンドブラ
スト装置のノズルより45度の角度で粉末状隔壁用焼成
材を噴射しながら、ノズルを基板の端から図に示したよ
うに移動した。条件は、ノズルと基板の距離100mm、
噴射量200g/分、ノズル送り速度1000mm/ 分とした。
【0070】粉末状隔壁用焼成材はドライフィルムの型
の溝の中に、ノズルの直下から噴射方向におよそ150 m
m離れた位置から先に堆積した。全面に噴射が終了した
状態では、隔壁用の粉末が隔壁の型の溝に充填されてい
るだけでなく、型の上面にも薄く堆積していた。その上
に離型材を塗布してある離型ポリエステルフィルムを載
せ、ロールで端から加圧した(図3b )。次に、裏面上
と感光性フィルム上の粉末材隔壁用焼成材をスキージで
掻き取り、硬化処理を行った。硬化処理として接着剤を
スプレーした。接着剤としてはポリビニルアルコールの
3%水溶液を使用し、スプレー後加熱乾燥した。また、
実施例4で作成した粉末材料の場合には、電子線を照射
して硬化した。硬化後、型から抜き出して均一性、気泡
の有無、充填率を調べた。気泡は融着時に発生した微小
なもの以外はみとめられなかった。充填率は実施例3の
材料の場合0.87であり、実施例4の材料の場合0.88であ
った。実施例3の材料の場合には、感光性フィルムを剥
離せずに焼成した。また、実施例4の材料の場合には感
光性フィルムを所定の条件で剥離した後、所定の条件で
焼成した。どちらも焼成の結果、ヒビ割れは発生せず、
気泡もない良好な隔壁が得られた。通常行われているペ
ースト状の隔壁材を使用した場合には、充填2回、真空
脱泡2回、上面研磨の工程が必要であるが、本方法を使
用すればはるかに簡便に充填できる。また、従来の方法
では研磨によって隔壁の高さ場所ムラが発生してしまう
場合が多いが、本方法によれば、感光性フィルムの高さ
によって決まる一様な高さの隔壁が形成できた。
【0071】<実施例6>ロールプレス法で充填、誘電
体層と隔壁を同時に形成した場合について、以下に述べ
る。(図5参照) 型として、厚さ200μmのアンバー合金の板の上に硬
質銅メッキを厚さ500μmつけ、その銅層に横フライ
ス盤で隔壁の溝を切削し、無電解Niメッキを全面に厚
さ5μm施したものを使用した。型の表面の剥離性付与
と磨耗防止のために、粉末状隔壁用焼成材充填前にパラ
フィンワックスをエチルアルコールで溶解した溶液を型
の表面にスプレーして、ワックスの層を形成した(図
4)。なお図では型の部分は簡略化して示している。
【0072】粉末状隔壁用焼成材は実施例1で作成した
感圧型の粉末状隔壁用焼成材と、実施例2で作成した感
熱型の粉末状隔壁用焼成材を使用した。まず型の上の端
部に粉末状隔壁用焼成材を置き、スクリーン印刷で使用
するシリコーンゴムスキージを使用し、それをほぼ垂直
に立てた状態で軽く型の表面に触れる程度に調整して隔
壁の溝方向に移動し、溝内に粉末状隔壁用焼成材を入れ
た。(図5(a) )次に、厚さ1mmのシリコーンゴム板で
硬度40のものをこの型の上に置き、ラミネータ装置を
使用して室温でロールプレスした。(図5(b) )線圧は
3kg/cm 、送り速度は1000mm/ 分とした。次に、型の上
面に載っている粉末状隔壁用焼成材をドクターで掻き取
った。(図5(c) )この上に再度粉末状隔壁用焼成材を
スキージで入れ(図5(d) )、再度ロールプレスした。
(図5(e) )
【0073】感圧結着型粉末状隔壁用焼成材の場合に
は、電極を形成してあるPDP基板に誘電体層のペース
トを塗布し、溶剤を乾燥し、それと上記の工程で粉末状
隔壁用焼成材を充填した型を重ねあわせ、ロールプレス
した。感熱結着型粉末状隔壁用焼成材の場合には、電極
を形成してあるPDP基板に誘電体層のペーストを塗布
し半乾燥状態にし、上記の工程で粉体を充填した型を重
ね合わせ、熱ロールプレスし、室温まで冷却した。可撓
性のある型の端を持ち上げ、隔壁の方向に剥離すると、
隔壁はPDPの基板の方に転写した。形状は型の溝の形
状を維持していた。所定の条件で焼成したところ、ヒビ
割れ、浮き、気泡等の欠陥のない隔壁が得られた。
【0074】<実施例7>誘電体層と隔壁を同時に形成
した場合について、以下に述べる。パラフィンワックス
を溶剤蒸発型結着剤として使用し、さらに接着剤として
も使用した。粉末状隔壁用焼成材は表1に示した組成の
ものを使用した。
【0075】隔壁用と誘電体用の仕様を共に満足する粉
末原料をボールミルで混合して調合したものを用いた。
型は図6に示したものを使用した。すなわち、42合金
板に溝をエッチング法で形成したものとシリコーンゴム
の板とアンバー合金板とを貼合せたものである。
【0076】この型の上面と内壁面へ結着性を有するパ
ラフィンワックスのアルコール溶液をスプレーで噴霧
し、被覆した後、無機材料成分のみよりなる隔壁用材を
型の凹部と上面へドクターブレードで供給した。ロール
プレス後、再度、隔壁材をドクターブレードで補充し、
ロールプレスを施した。補充した量は、隔壁用材の厚さ
が型の上面の部分でロールプレス後15μm厚になるよ
うにした。スプレーでワックス液を噴霧し、溶剤を蒸発
させた。一方、電極を形成してあるPDPの基板の上
に、ワックス液をスプレーし、溶剤を乾燥させた。隔壁
形成材を充填してある上記の型とこの基板を重ね所定の
位置に合わせた。その状態でワックスが溶解するまで温
度を上げ、その後ワックスの融点以下に冷却した。その
状態で、型を端から持ち上げると、隔壁形成材は基板の
方へ転写した。ワックスの使用量が少ないので、空孔が
少ない隔壁を形成することができた。
【0077】
【発明の効果】ボイド不良がない隔壁を高スループッ
ト、高歩留まりで製造することできる。 埋め込み法では、感光材料の上の粉末状隔壁用焼成材
を、研磨工程を経ることがなく、掻き取ることによって
除去するので、ガラス基板の厚さムラの程度に依らず
に、隔壁の高さを高精度で一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】AC型PDPパネルの構造
【図2】PALC方式LCDパネルの構造
【図3】埋め込み法に吹き付け充填法を適用した場合の
実施例
【図4】実施例6に使用した型
【図5】誘電体層と隔壁の同時形成
【図6】実施例7に使用した型
【図7】実施例3の工程の説明図
【符号の説明】
1・・・ガラス基板(前面) 2・・・ガラス基板(背面) 3・・・隔壁(白) 4・・・隔壁(黒) 5・・・蛍光体(R.G.B) 6・・・透明電極(バス電極付き) 7・・・透明グレーズ層(MgOコート) 8・・・データ電極 9・・・白グレーズ層 10・・・バックライト 11・・・隔壁 12・・・液晶 13・・・偏光板1 14・・・偏光板2 15・・・コラム電極(ITO) 16・・・色フィルタ 17・・・絶縁膜(薄板ガラス) 21・・・吹き付け用ノズル 22・・・ガラス基板(電極・誘電体形成済) 23・・・感光材 24・・・隔壁ミゾ 25・・・粉末材 26・・・硬化処理装置 27・・・スキージ 31・・・アンバー合金板 32・・・銅メッキ層 33・・・無電解Niメッキ層 34・・・パラフィンワックス 35・・・隔壁ミゾ 41・・・型 42・・・感熱結着型粉末状隔壁用焼成材(顆粒状)
あるいは感圧結着型粉末状隔壁用焼成材(顆粒状) 43・・・ガラス基板 44・・・電極 51・・・42合金板 52・・・シリコーンゴム層 53・・・42合金板(パターンエッチング済) 54・・・隔壁ミゾ 61・・・アクリル樹脂の薄い型 62・・・金型 63・・・粉末状隔壁用焼成材 64・・・ガラス基板 65・・・接着剤(粘着材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 功 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 中村 隆一 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 Fターム(参考) 2H089 HA36 LA09 MA01X NA12 QA12 QA16 5C027 AA09 5C040 GD09 GF18 GF19 JA05 JA13 JA15 JA19 JA20 JA21 KA03 KA11 KA14 KB04 KB19 KB24 KB28 MA23

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放電表示装置の隔壁形成用の型に隔壁用材
    料を供給して隔壁を形成する方法に使用する放電表示装
    置の隔壁用焼成材料であって、粉末状態で型に供給する
    粉末材料であって、放電装置の隔壁あるいは隔壁と誘電
    体層になる無機物成分を80wt%以上含むことを特徴
    とする粉末状隔壁用焼成材。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の粉末状隔壁用焼成材にお
    いて、無機物以外の成分が結着性(バインダー性)を有
    しかつ焼成すると焼失する有機物成分を含むことを特徴
    とする粉末状隔壁用焼成材。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の粉末状隔壁用焼成材にお
    いて、無機物以外の成分が結着性(バインダー性)を有
    しかつ焼成すると隔壁成分の一部となるシリコーン化合
    物を含むことを特徴とする粉末状隔壁用焼成材。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の粉末状隔壁用焼成材にお
    いて、無機成分以外の成分が焼成すると焼失する有機物
    成分と焼成すると隔壁成分の一部となるシリコーン化合
    物を含み、少なくとも有機物成分またはシリコーン化合
    物のどちらかが結着性(バインダー性)を有することを
    特徴とする粉末状隔壁用焼成材。
  5. 【請求項5】少なくとも前記粉末状隔壁用焼成材の一部
    が無機物成分と有機物成分が結着して1粒子となったも
    のであることを特徴とする請求項2記載の粉末状隔壁用
    焼成材。
  6. 【請求項6】少なくとも前記粉末状隔壁用焼成材の一部
    が無機物成分とシリコーン化合物が結着して1粒子とな
    ったものであることを特徴とする請求項3に記載の粉末
    状隔壁用焼成材。
  7. 【請求項7】少なくとも前記粉末状隔壁用焼成材の一部
    が無機物成分と有機物成分とシリコーン化合物が結着し
    て1粒子となったものであることを特徴とする請求項4
    に記載の粉末状隔壁用焼成材。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7に記載の粉末状隔壁用焼成
    材を隔壁成形用型に供給し、別に準備した放電表示装置
    の基板と合わせ、次に焼成することを特徴とする隔壁形
    成方法。
  9. 【請求項9】請求項1乃至7に記載の粉末状隔壁用焼成
    材を基板上に形成した隔壁成形用型に供給し、加熱、加
    圧、反応硬化、結着剤注入によって結着し、固形化する
    ことを特徴とする隔壁形成方法。
  10. 【請求項10】請求項1乃至7に記載の粉末状隔壁用焼
    成材を隔壁成形用型に供給し、加湿、加熱、加圧、反応
    硬化、結着剤注入によって結着させ、固形化したものを
    放電表示装置の基板上に転写することを特徴とする隔壁
    形成方法。
  11. 【請求項11】請求項8及び10において、PDP用基
    板上の未焼成の誘電体ペースト上に粉末状隔壁用焼成材
    転写することを特徴とするPDP用基板の形成方法。
  12. 【請求項12】請求項8乃至11においてロールプレス
    法を用いて型への粉体の充填率を向上することを特徴と
    する隔壁形成方法。
  13. 【請求項13】請求項8乃至11において型に充填する
    方法が粉体を噴霧する方法であることを特徴とする隔壁
    形成方法。
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