JP2001034926A - 磁気記録媒体及び磁気記憶装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記憶装置

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JP2001034926A
JP2001034926A JP11207221A JP20722199A JP2001034926A JP 2001034926 A JP2001034926 A JP 2001034926A JP 11207221 A JP11207221 A JP 11207221A JP 20722199 A JP20722199 A JP 20722199A JP 2001034926 A JP2001034926 A JP 2001034926A
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film
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magnetic recording
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JP11207221A
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Ichiro Tamai
一郎 玉井
Tomoo Yamamoto
朋生 山本
Akira Ishikawa
石川  晃
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低ノイズであり、熱揺らぎの影響を小さい磁気
記録媒体を提供する。さらに、1平方インチあたり10ギ
ガビット以上の超高密度記録が可能な大容量の磁気記憶
装置を提供する。 【解決手段】基板上に形成されたB2(CsCl)構造、L10
(AuCu I)構造、あるいはL21(Cu2AlMn)構造を有する配向
制御膜、該配向制御膜上に形成されたCo基合金を含む非
磁性中間膜、該非磁性中間膜上に形成されたCo基合金を
含む磁性膜を有することを特徴とする磁気記録媒体とす
る。さらに、該磁気記録媒体と磁気抵抗効果を利用した
再生専用の素子を有する磁気ヘッドとを組み合わせた磁
気記憶装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ドラム、磁気
テープ、磁気ディスク、磁気カード等の磁気記録媒体及
び磁気記憶装置に係り、特に1平方インチあたり10ギガ
ビット以上の超高密度記録に適した面内磁気記録媒体、
及びその磁気記録媒体を用いた磁気記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気ディスク装置の著しい大容量
・高記録密度化に伴い、磁気記録媒体上に形成される記
録ビットの大きさは次第に減少している。1平方インチ
あたり10ギガビット以上の超高密度記録を実現するため
には、現状の媒体で対応することは難しく、媒体ノイズ
をさらに低減する必要がある。このためには、磁性膜の
結晶粒径を小さくすることが重要である。しかし、磁性
結晶粒の微細化によって磁性粒の体積が極端に小さくな
ると、常温においても熱エネルギーの影響が顕著にな
り、記録磁化が減衰することが懸念される。実際、低ノ
イズ化した媒体において、225kFCIの密度で記録した情
報が96時間後には10%以上も減衰することがY.Hosoe等に
よって報告されている(IEEE Trans. Magn.、 33、 pp.
3028-3030、September 1997)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】媒体ノイズ低減と耐熱
揺らぎ性能向上を両立するためには、磁性膜の結晶粒径
の平均的な大きさを小さくすると同時に、極端に小さな
磁性粒子の成長を抑制することが効果的である。これに
は、CMU(Carnegie Mellon University)が提唱するB2
(CsCl)構造を有する配向制御膜を用い、この上に直
接、あるいはCr下地膜を設け、さらにこの上に磁性膜を
積層する磁気記録媒体(USP5、693、426)によって、磁
性結晶粒を非バイクリスタル構造とすることが有効であ
ると考えられる。バイクリスタル構造とは、Cr下地膜の
結晶粒の上に複数の磁性結晶粒のc軸が互いに直交する
方向で成長したもので、特に成長初期段階で極めて小さ
な結晶粒が成長したり、磁性結晶粒の磁化容易軸が直交
していることから、膜全体としての磁気異方性が低下
し、熱揺らぎを起こしやすいと考えられる。
【0004】耐熱揺らぎ特性を向上するためには、六方
最密充填(h.c.p.)構造を有する磁性膜の(10.0)面が基板
と平行になるように優先配向させて(以降、(10.0)配向
と略記する)、非バイクリスタル構造とすることが有効
と考えられる。そのために考えられるのは、磁性膜に隣
接するCr等の体心立方(b.c.c.)構造を有する下地膜を(2
11)配向させることである。一般に、低温でスパッタリ
ング等の薄膜作製手法によってb.c.c.構造を有する下地
膜を基板上に形成すると、稠密面である(110)が基板と
平行になるように成長する。基板温度を高くする等、成
膜中基板に付着した粒子のエネルギーを高めることで準
安定面である(100)が基板と平行になるように配向す
る。(211)配向はさらに高いエネルギーが必要であり、
この面を優先配向させるのは非常に困難である。
【0005】前記CMUの公知例では、b.c.c.構造を有す
るCr下地膜を(211)配向させるためにエピタキシャル成
長の技術を応用した。すなわち、基板とCr下地膜の間に
NiAl等のB2型の結晶構造を有する配向制御膜を形成し、
これを(211)配向させて、この上に設けられるCr下地膜
をエピタキシャル成長により(211)配向させることで上
記課題を克服した。図1に示すように、B2配向制御膜の
(211)配向が作る二次元格子の格子間隔と、Cr下地膜の
(211)配向が作る二次元格子、さらにはCoの(10.0)配向
が作る二次元格子の格子間隔がいずれも同程度であるこ
とから、Co系磁性膜が(10.0)配向して耐熱揺らぎ特性が
向上すると考えられる。
【0006】図1に示すように、B2配向制御膜もb.c.c.
と同様な結晶構造であるが、立方体の中心に位置する原
子と角に占める原子とが異なるものである。このような
構造の膜を薄膜作製手法によって形成すると、粒子エネ
ルギーが低いときには、b.c.c.と同様に最も安定な面と
して(110)が配向する。しかし、粒子エネルギーを高く
すると、b.c.c.とは異なり、(100)ではなく(211)が配向
する。B2構造を持った材料が(100)配向するためには、
例えば一層目はNi原子のみ、二層目はAl原子のみと、各
層が単一の原子だけで構成される必要があるので、Niと
Alの原子が混在して基板に飛来してくる状況下におい
て、この(100)配向は難しい。一方、(110)及び(211)面
が配向したとき、各々の面の二次元格子を考えると、そ
の(二次元の)基本格子(ユニットセル)内のNiとAl原
子の構成比率は1:1であり、ターゲット組成に一致して
いる。このことから、粒子エネルギーが低いときには最
も安定な(110)面、および、次に安定な(211)面が配向す
るため、b.c.c.構造を有する材料よりも容易に(211)配
向させることができると考えられる。
【0007】以上の理由から、CMUが提案する構造の媒
体により、磁性膜の結晶粒を非バイクリスタル構造化す
ることで、ある程度は耐熱揺らぎ性能を向上することが
できる。しかしながら、これまで作成されたB2配向制御
膜、もしくはCr系下地膜と磁性膜の結晶構造の違いによ
り、磁性膜の結晶成長段階で欠陥や微細な結晶粒ができ
てしまい、耐熱揺らぎ特性を低下させる原因となってい
る。また、配向制御膜は結晶粒が大きいため、この上に
エピタキシャル成長するCoCrTa、またはCoCrPt磁性膜の
結晶粒径までも大きくなり、媒体ノイズを低減すること
が困難となる。
【0008】本発明の第一の目的は、磁性膜を非バイク
リスタル構造とし、結晶成長段階でできる欠陥や微細な
結晶粒をなくすことにより耐熱揺らぎ特性に優れ、さら
に結晶粒径を微細化することにより、低ノイズ性を兼ね
備えた面内磁気記録媒体を提供することにある。
【0009】本発明の第二の目的は、 この磁気記録媒
体の性能を充分に活かし、1平方インチあたり10ギガビ
ット以上の記録密度を有する磁気記憶装置を提供するこ
とである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、基板上に少
なくともB2(CsCl)、もしくはL10(AuCu I)、あるいはL
21(Cu2AlMn)構造を有する配向制御膜を形成し、その上
に直接Co基合金非磁性中間膜を形成し、さらにCo基合金
磁性膜を有する構造によって達成される。
【0011】配向制御膜上に直接Cr下地膜を介して磁性
膜を設けた場合、配向制御膜はB2構造、Cr下地膜はb.c.
c.構造であり、その上にh.c.p.構造を有する磁性膜をエ
ピタキシャル成長させると、異種の結晶構造を有する粒
子を強引に結晶成長させるため、磁性膜の結晶成長の初
期段階で欠陥が導入されたり微細な結晶粒が生成され
る。このような欠陥や微細な結晶粒がわずかな熱的ゆら
ぎにも影響され易く、耐熱揺らぎ特性を劣化させる要因
として問題となる。そこで発明者らは、配向制御膜上に
直接磁性膜と同じh.c.p.構造を有するCo基合金非磁性中
間膜を設けることにより、配向制御膜-中間膜の界面で
は欠陥や微細な結晶粒が発生するが、中間膜‐磁性膜の
界面では欠陥や微細な結晶粒が発生しなくなることを見
出し、本発明に至った。表1にCMUの例であるCoCrPt/Cr/
NiAl媒体と、本発明の一実施例であるCoCrPt/CoCr/NiAl
媒体について、静磁気特性と、300kFCIの信号を記録し
て96時間経過後に測定した出力変化量を示す。
【0012】
【表1】
【0013】ここでの静磁気特性は本発明媒体を1とし
て規格化し、相対比較したものである。保磁力Hcは若干
低下するが、保磁力角型比S*は本発明媒体のほうが大き
い。また、再生出力の経時変化は、本発明媒体は出力減
衰がほとんどなく、耐熱揺らぎ特性が飛躍的に向上した
と言える。これらのことから、本発明媒体は、磁性膜の
初期成長段階でできる欠陥や微細な結晶粒の生成が抑止
され、耐熱揺らぎ特性が向上したと推測できる。
【0014】ここで、一般に唱えられてきたCr下地膜を
用いた場合について説明する。CMUの公知例では磁性膜
に隣接するCr下地膜を(211)配向させるために、配向制
御膜のエピタキシャル成長の技術を応用した。すなわ
ち、基板とCr下地膜の間に、B2型の結晶構造を有する配
向制御膜を形成し、これを(211)配向させて、この上に
設けられるCr下地膜をエピタキシャル成長により(211)
配向させた。しかしながら、我々の検討では、B2、b.c.
c.、h.c.p.構造の膜を順次形成すると、結晶構造が2回
変わるため、磁性膜の制御が困難で、媒体ノイズの低減
で問題があった。B2配向制御膜は結晶粒が大きく、柱
状に成長するため、Cr下地膜の結晶粒も大きくなって
しまう。一つの下地結晶粒の上に磁化容易軸が直行する
複数の磁性結晶粒が成長するバイクリスタル構造の場合
では、Cr下地膜の結晶粒径が大きくてもある程度の結晶
粒径微細化が可能であったが、磁性膜を(10.0)配向させ
る非バイクリスタル構造の場合には適用できないと推測
する。表1に示す静磁気特性において、本発明媒体より
も引用例1の保磁力が若干高いのは、Cr下地膜の結晶粒
径が大きいため、磁性結晶粒にも大きな結晶粒が存在し
ていることによると思われる。また、図1に示すよう
に、配向制御膜の二次元格子の格子間隔と、磁性膜のCo
が作る二次元格子の格子間隔がほぼ同等であることから
も、b.c.c.構造を有するCr下地膜を用いる必要はないと
考える。Cr下地膜と磁性膜の間に磁性膜と同じh.c.p.構
造を有するCo系非磁性中間膜を形成し、b.c.c.-h.c.p.
構造間での欠陥や微細な結晶粒を中間膜に吸収させると
いう手法も考えられるが、Cr下地膜の結晶粒の大きさが
中間膜、磁性膜の結晶粒径に影響することを考えると、
媒体ノイズの低減の観点から好ましくない。これらのこ
とから、B2型の配向制御膜を用いた場合は、b.c.c.構造
を有するCr下地膜は不要であり、h.c.p.構造を有するCo
系非磁性中間膜を用いるほうが好ましい。
【0015】非磁性中間膜の組成としては、CoとCr、T
a、Pt、V、W、Ni、Nb、Al、Ti、Rh、Ru、Mo、Si、Mn、Z
rからなる元素の組み合わせならば何を用いても良い。
高保磁力、かつ低ノイズ媒体の観点から、磁性膜として
はCoにCr、Pt、Ta等の元素を添加したものを用いること
が多く、中間膜は組成的にも近いCoCrを用いることを推
奨する。この場合のCr量は、中間膜を非磁性とするため
に25at%以上必要である。中間膜の結晶性を考慮する
と、Cr添加量は30at%以上38at%以下とすることがより好
ましい。また、図1に示す二次元格子の格子間隔はCoを
例に記述してあるため、磁性膜にCr、Pt、Ta等が加わっ
た分だけ格子間隔が広がることが予測される。その場
合、中間膜にCrと同時に他の元素を添加すると、磁性膜
との格子整合性の点でさらに好ましい。それと同時に、
低ノイズ化の観点からも、中間膜にCr以外の元素を添加
して結晶粒を微細化し、その上に形成される磁性膜の結
晶粒を微細化することも可能である。ここで、中間膜と
磁性膜との格子整合性のみを考慮すると、逆に配向制御
膜と中間膜との格子整合性が劣化することが懸念され
る。そこで、配向制御膜の上にはCoCr第一中間膜を設
け、さらにこの上にCoCrよりも大きな格子定数を有する
第二中間膜を設ける二層中間膜構造としたところ、さら
なる特性改善が確認できた。
【0016】ここで、本発明における媒体について、X
線回折装置を使ったθ-2θスキャン法によって、磁性膜
の結晶配向性を調べたところ、基板と平行な面に磁性膜
の(10.0)は検出されるが、(11.0)は検出されないことを
確認した(但し、若干の(00.2)、(10.1)を含む場合はあ
る)。このことからもCr下地膜は不要であり、CoCr中間
膜を用いただけで磁性膜を(10.0)配向させることが可能
と言える。また、磁性膜と同様に中間膜の結晶配向性を
調べたところ、基板と平行な面に(10.0)は検出される
が、(11.0)は検出されなかった。
【0017】上記のように、B2構造を有する配向制御膜
を用いた場合について説明したが、図2に示すようなL10
(AuCu I)構造、L21(Cu2AlMn)構造を有する配向制御膜を
用いた場合でも良好な結果が得られる。 L10(AuCu I)構
造が作る(101)、もしくは(011)面、L21(Cu2AlMn)構造が
作る(211)面の二次元格子の格子間隔は、Coが作る二次
元格子の格子間隔と同程度であり、B2構造を有する配向
制御膜を用いた場合と同様にCo磁性膜の(10.0)面を配向
させることが可能である。
【0018】また、上記本発明の磁気記録媒体と、該磁
気記録媒体を記録方向に駆動する駆動部と、記録部と再
生部からなる磁気ヘッドと、該磁気ヘッドを前記磁気記
録媒体に対して相対的に運動させる手段と、該磁気ヘッ
ドに対する入力信号及び出力信号を波形処理する記録再
生信号処理手段とを含む磁気記憶装置において、 前記
磁気ヘッドの再生部を巨大磁気抵抗効果型の素子で構成
することによって、1平方インチあたり10ギガビット以
上の記録密度を有する磁気記憶装置を達成することがで
きる。
【0019】
【発明の実施の形態】(実施例1)本発明の一実施例で
ある磁気記録媒体の断面図を図3に示す。以下に、本実
施例の磁気記録媒体の作製方法を述べる。
【0020】外径65mmφのガラス基板30に、基板温度27
0℃、Arガス圧力2.0mTorr、投入電力密度0.7W/cm^2とす
る成膜条件で、DCマグネトロンスパッタリング法でNi-5
0at.%Al配向制御膜31、31を100nm形成した。次いで、同
成膜条件の下、Co-30at.%Cr中間膜32、32を20nm、Co-20
at.%Cr-10at.%Pt磁性膜33、33を20nm順次成膜した。最
後に、保護層34、34としてCを5nm形成した。ここで、元
素の前に付した数字は各元素の濃度を示す。
【0021】また、比較例1として、Co-30at.%Cr中間膜
33、33の代わりに、Cr下地膜33、33を形成した媒体を作
製した。本実施例に用いた媒体には、配向制御膜上にCo
Cr中間膜を形成したのに対し、比較例1の媒体にはCr下
地膜を形成したのが相違点である。
【0022】表2に本実施例と比較例1の面内に測定した
磁気特性と媒体ノイズを示す。
【0023】
【表2】
【0024】媒体ノイズは250kFCIの信号を記録した時
の値であり、実施例1の値を1として比較例1の値は相対
値で示した。本実施例の媒体のほうが保磁力(Hc)は若
干低く、媒体ノイズが低いことがわかる。また、保磁力
角型比(S*)は本実施例の媒体のほうが若干高く、出力
分解能特性が良くなることが予想される。
【0025】表3にX線回折で、磁性膜の(10.0)回折強度
を測定した結果を示す。
【0026】
【表3】
【0027】本実施例の媒体を1として相対値で示し
た。この値が大きいほど、磁性膜の磁化容易軸が面内に
配向している。本実施例の回折強度の方が強く、磁化容
易軸が面内に配向している磁性粒子の数が多いことがわ
かる。また、実施例1、比較例1の媒体共に、磁性膜の(1
1.0)回折は得られず、磁性膜の結晶粒は非バイクリスタ
ル構造であることが予想される。
【0028】また、配向制御膜31、31の金属材料をAl-C
o、Al-Fe、Al-Pd、Co-Ga、Co-Fe、Co-Ti、Cu-Pd、Cu-Z
n、Ga-Ni、Ga-Rh、Ru-Siと変えた場合でも同様な結果が
得られた。
【0029】(実施例2)前記実施例1の磁気記録媒体
は、図4に一例を示すような磁気抵抗効果を利用した再
生専用のセンサを備える磁気ヘッドを用いることによっ
て、その性能が充分に活かされる。
【0030】記録用磁気ヘッドは、一対の記録磁極40、
41とそれに鎖交するコイル42からなる誘導型薄膜磁気ヘ
ッドであり、記録磁極間のギャップ層厚は0.1μmとし
た。また、磁極41は共に厚さ1μmの磁気シールド層45と
対で、再生用の磁気ヘッドの磁気シールドも兼ねてお
り、このシールド層間距離は0.12μmである。再生専用
の磁気ヘッドは、磁気抵抗効果センサ43と、電極となる
導体層44からなる磁気抵抗効果型ヘッドである。この磁
気ヘッドは磁気ヘッドスライダ基体45上に設けられてい
る。尚、図4では記録磁極間のギャップ層、及びシール
ド層と磁気抵抗効果センサ間のギャップ層は省略してあ
る。
【0031】磁気抵抗効果センサ43の詳細な断面構造を
図5に示すようなスピンバルブ型を用いると、大きな出
力が得られるため好ましい。磁気センサの信号検出領域
50は、酸化Alのギャップ層51上に5nmのTaバッファ層5
2、7nmの第一の磁性層53、1.5nmのCu中間層54、3nmの第
二の磁性層55、10nmのFe-50at%Mn反強磁性合金層56が順
次形成された構造である。信号検出領域50の両端にはテ
ーパー形状に加工されたテーパー部57がある。テーパー
部57は、信号検出領域50を単磁区化するための永久磁石
層58と、その上に形成された信号を取り出すための一対
の電極59からなる。第一の磁性層53にはNi-20at%Fe合金
を用い、第二の磁性層55にはCoを用いた。反強磁性合金
層56からの交換磁界により、第二の磁性層55の磁化は一
方向に固定されている。これに対し、第二の磁性層55と
非磁性の中間層54を介して接する第一の磁性層53の磁化
方向は、磁気記録媒体からの漏洩磁界により変化する。
このような二つの磁性層の磁化の相対的な方向の変化
に伴い、3つの膜全体の抵抗に変化が生じる。この現象
はスピンバルブ効果と呼ばる。
【0032】磁気記憶装置の一例の上面図を図6(a)に、
そのAA線断面図を図6(b)に略示する。
【0033】磁気記録媒体60は、磁気記録媒体駆動部61
に連結する保持具によって保持され、磁気記録媒体60の
それぞれの面に対向して、図5に略示する磁気ヘッド62
が配置される。磁気ヘッド62は浮上高さ0.02μm以下で
安定低浮上させ、さらに0.1m以下のヘッド位置決め精度
で所望のトラックに磁気ヘッド駆動部63により駆動され
る。
【0034】磁気ヘッド62によって再生した信号は、記
録再生信号処理系64によって波形処理される。記録再生
信号処理系64は増幅器、アナログ等化器、ADコンバー
タ、ディジタル等化器、最尤復号器等で構成されてい
る。磁気抵抗効果を利用したヘッドの再生波形は、ヘッ
ドの特性により正と負の大きさが非対称となったり、記
録再生系の周波数特性の影響を受けたりして、記録した
信号とは異なった信号に読み誤られることがある。アナ
ログ等化器は再生波形を整えて、これを修復する機能を
有する。この修復された波形をADコンバータを通してデ
ィジタル変換し、ディジタル等化器によってさらに波形
を整える。最後にこの修復された信号を最尤復号器によ
って、最も確からしいデータに復調する。以上の構成の
再生信号処理系によって、極めて低いエラーレートで信
号の記録再生が行われる。なお、等化器や最尤復号器は
既存のものを用いても構わない。
【0035】以上の装置構成にすることによって、1平
方インチあたりの記録密度を10ギガビット以上に対応す
ることができ、従来の磁気記憶装置に比べ3倍以上の記
憶容量を持った高密度磁気記憶装置を実現することがで
きた。また、記録再生信号処理系から最尤復号器を取り
除き、従来の波形弁別回路に変えた場合にも従来に比べ
2倍以上の記憶容量を持った磁気記憶装置を実現するこ
とができた。
【0036】以上の実施例では、ディスク状の磁気記録
媒体とそれを用いた磁気記憶装置について例を述べてき
たが、本発明は片面のみに磁性層を有するテープ状、カ
ード状の磁気記録媒体、及びそれら磁気記録媒体を用い
た磁気記憶装置にも適用できることは言うまでもない。
【0037】さらに、磁気記録媒体の作製方法に関して
もDCマグネトロンスパッタリング法に限らず、ECRスパ
ッタリング法、イオンビームスパッタリング法、真空蒸
着法、プラズマCVD法、塗布法、メッキ法等如何なる手
法を用いても構わない。
【0038】(実施例3)本発明の一実施例である磁気
記録媒体の断面図を図7に示す。以下に、本実施例の磁
気記録媒体の作成方法を述べる。
【0039】外径65φのガラス基板70に、基板温度270
℃、Arガス圧力2.0mTorr、投入電力密度0.7W/cm^2とす
る成膜条件で、DCマグネトロンスパッタリング法でNi-5
0at.%Al配向制御膜71、71を50nm形成した。次いで、同
成膜条件の下、Co-30at.%Cr第一中間膜72、72を20nm、C
r-30at.%Cr-10at.%Mn第二中間膜73、73を20nm、Co-20a
t.%Cr-10at.%Pt磁性膜74、74を20nm順次成膜した。最後
に、保護層75、75としてC-10at.%Nを5nm形成した。ここ
で、元素の前に付した数字は各元素の濃度を示す。
【0040】表4に本実施例と比較例1の面内に測定した
磁気特性と媒体ノイズを示す。
【0041】
【表4】
【0042】媒体ノイズが250kFCIの信号を記録した時
の値であり、実施例3の値を1として比較例1の値は相対
値で示した。保磁力(Hc)は同等であるが、媒体ノイズ
は本実施例のほうが低い。また、保磁力角型比(S*)は
本実施例の媒体の方が若干高く、出力分解能特性が良く
なることが予想される。
【0043】図8に本実施例と比較例1について250kFCI
の信号を記録し、最大96時間経過するまで測定した出力
経時変化を示す。それぞれの媒体について、記録直後の
出力を基準とし、そこからの変化率として示した。本実
施例の媒体では96時間経過してもほとんど出力変化は見
られず、比較例1よりも耐熱揺らぎ特性が向上したと言
える。
【0044】表5にX線回折で、磁性膜の(10.0)回折強度
を測定した結果を示す。
【0045】
【表5】
【0046】本実施例の媒体を1として相対値で示し
た。本実施例の回折強度の方が強く、磁化容易軸が面内
に配向している磁性粒子の数が多いことがわかる。ま
た、本実施例、比較例1の媒体共に、磁性膜の(11.0)回
折は得られず、磁性膜の結晶粒は非バイクリスタル構造
となっていることが予想される。
【0047】また、配向制御膜71、71の金属材料をAl-C
o、Al-Fe、Al-Pd、Co-Ga、Co-Fe、Co-Ti、Cu-Pd、Cu-Z
n、Ga-Ni、Ga-Rh、Ru-Si、Ti-Al、Ni-Zn、Au-Cu、Fe-P
d、Ni-Mn、Ni2-Al-Ti、Ni2-Al-Zr、Co2-Al-Ti、Co2-Al-
Zr、Cu2-Al-Mnと変えた場合でも同様な結果が得られ
た。
【0048】以上の通り、本発明の磁気記録媒体は、基
板上に少なくともB2(CsCl)、もしくはL10(AuCu I)、
あるいは、L21(Cu2AlMn)構造を有する配向制御膜を形成
し、その上に直接Co基合金非磁性中間膜を形成し、さら
にCo合金磁性膜を有する構造とすることで、高保磁力を
維持しつつ、低ノイズでありながらも熱揺らぎの影響が
小さな磁気記録媒体を実現できる。
【0049】さらに、この磁気記録媒体と磁気抵抗効果
を利用した再生専用の素子を有する磁気ヘッドとを組み
合わせることによって、1平方インチあたり10ギガビッ
ト以上の記録密度を有する磁気記憶装置が得られる。
【0050】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体により、低ノイズ
でありながらも熱揺らぎの影響が小さな磁気記録媒体を
実現できる。
【0051】さらに、本発明の磁気記憶装置により、 1
平方インチあたり10ギガビット以上の記録密度を有する
磁気記憶装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】B2型結晶構造を有する配向制御膜を有する媒体
のエピタキシャル関係を示す図。
【図2】L10(AuCu I)型結晶構造、L21(Cu2AlMn)型結晶
構造を有する配向制御膜のエピタキシャル関係を示す
図。
【図3】本発明の一実施例である磁気記録媒体の断面模
式図。
【図4】巨大磁気抵抗効果を利用した素子を備える磁気
ヘッドの構造の一例を示す模式図。
【図5】スピンバルブ型磁気抵抗効果センサの一例を示
す構造図。
【図6】磁気記憶装置の構造の一例を示す模式図。
【図7】本発明の一実施例である磁気記録媒体の断面模
式図。
【図8】本発明による磁気記録媒体の出力経時変化を示
す図。
【符号の説明】
30…基板、31、31…NiAl配向制御膜、32、32…CoCr中間
膜、33、33…CoCrPt磁性膜、34、34…C保護膜 40…記録磁極、41…磁極兼磁気シールド層、42…コイ
ル、 43…磁気抵抗効果素子、44…導体層、45…磁気シ
ールド層、46…スライダ基体 50…磁気センサの信号検出領域、51…ギャップ層、52…
バッファ層、53…第一の磁性層、54…中間層、55…第二
の磁性層、56…反強磁性合金層、57…テーパー部、58…
永久磁石層、59…電極 60…磁気記録媒体、61…磁気記録媒体駆動部、62…磁気
ヘッド、63…磁気ヘッド駆動部、64…記録再生信号処理
系 70…基板、71、71…配向制御膜、72、72…CoCr第一中間
膜、73、73…CoCrMn第二中間膜、74、74…CoCrPt磁性
膜、75、75…CN保護膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 晃 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 5D006 BB01 CA01 CA05 CA06 FA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成されたB2(CsCl)構造、L10
    (AuCu I)構造、あるいはL21(Cu2AlMn)構造を有する配向
    制御膜、該配向制御膜上に形成されたCo基合金を含む非
    磁性中間膜、該非磁性中間膜上に形成されたCo基合金を
    含む磁性膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】前記非磁性中間膜に含まれるCoが75at%
    以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】前記非磁性中間膜を少なくとも二層以上形
    成し、基板に近い側から順に非磁性中間膜の二次元格子
    の格子間隔が大きくなることを特徴とする請求項1また
    は2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】磁気記録媒体と、該磁気記録媒体を記録方
    向に駆動する駆動部と、記録部と再生部からなる磁気ヘ
    ッドと、該磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対
    的に運動させる手段とを有する磁気記憶装置において、
    前記磁気ヘッドが磁気抵抗効果型の素子を有し、前記磁
    気記録媒体が基板上に形成されたB2(CsCl)構造、L10
    (AuCu I)構造、あるいはL21(Cu2AlMn)構造を有する配向
    制御膜、該配向制御膜上に形成されたCo基合金を含む非
    磁性中間膜、該非磁性中間膜上に形成されたCo基合金を
    含む磁性膜を有することを特徴とする磁気記憶装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1271482A2 (en) * 2001-06-29 2003-01-02 Fujitsu Limited Thermally stable low noise magnetic recording media
US7273666B2 (en) 2001-06-29 2007-09-25 Fujitsu Limited Magnetic recording medium and magnetic recording medium driving apparatus

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