JP2001034092A - 定着装置 - Google Patents

定着装置

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JP2001034092A
JP2001034092A JP20579399A JP20579399A JP2001034092A JP 2001034092 A JP2001034092 A JP 2001034092A JP 20579399 A JP20579399 A JP 20579399A JP 20579399 A JP20579399 A JP 20579399A JP 2001034092 A JP2001034092 A JP 2001034092A
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roller
fixing
belt
heat
fixing device
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JP20579399A
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Takeshi Kato
猛 加藤
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Nitto Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nitto Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】定着ベルトのベルト基体に最適するポリイミド
樹脂ベルトの厚さ条件を備えた定着装置。 【解決手段】定着ローラ28に所定の圧力で転接する加
圧ローラ30と、定着ローラ28から離間された加熱ロ
ーラ34の発熱手段32と、加熱ローラ34と定着ロー
ラ28とにエンドレスに掛け渡され発熱手段32からの
熱伝達を受けて定着ローラ28及び加圧ローラ30の転
接部を通過するシート上の未定着トナSーを加熱する定
着ベルト36を備え、未定着トナーが表面上に担持され
たシートSが、転接部を一方向に沿って通過することに
より、未定着トナーをシートS上に定着させる装置10
において、定着ベルト36は、ポリイミド樹脂から形成
されたエンドレス状のベルト基体36aの外表面に形成
された耐熱弾性離型層36bを備え、ベルト基体36a
の厚さを、定着ベルトの破壊強度の観点から75μm以
上、熱伝達性の観点から400μm以下の範囲内に設定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複写機、プリン
タ、ファクシミリ等において、シート上の未定着トナー
を溶融圧着し、該シートに定着させるために使用される
定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近時の電子写真装置用の定着装置におい
ては、図7に示すように、定着ローラR1と加熱兼テン
ションローラ(以下、単に「加熱ローラ」と略称する。)R
3間に定着ベルトBを張設し、この定着ベルトBを介し
て下方より押圧する加圧ローラR2を設けたベルト定着
方式と、記録媒体Dの予熱とを組み合わせた技術が開発
されている。これによって、予熱によりニップ部の温度
を低く設定でき、熱容量の小さい定着ベルトBを用いる
ことで、ニップ部通過時に定着ベルトBの温度を急速に
冷却させ、ニップ部出口での定着ベルトBと分離するト
ナーの凝集力を高めることで、定着ベルトBとトナーと
の離型性を高めて、オイルレス或いは微量のオイルしか
塗布しない場合でも、オフセットの無い鮮明な定着画像
が得られる。この装置は、加熱ローラ方式では解決でき
なかった離型性とオイルの塗布の問題を解決した定着装
置として知られている。
【0003】この従来の定着装置の構成を以下に簡単に
説明する。定着装置は、定着ローラR1と、この定着ロ
ーラR1の直下方に配設された加圧ローラR2と、定着
ローラR1の側方(記録媒体の搬送方向に沿う上流側)
に配設された加熱ローラR3とを備え、定着ローラR1
と加熱ローラR3間に定着ベルトBが張設されている。
【0004】この定着ベルトBの上部にはオイル塗布ロ
ーラR4が設けられている。また、定着ベルトBの下部
には、隙間をあけて記録媒体支持体としてのガイド板G
が設けられ、定着ベルトBの下部とガイド板Gの間に記
録媒体の加熱通路Pを形成している。定着ベルトBは、
加熱ローラR3が加圧レバーUにより定着ローラR1と
隔離する方向に加圧されることで、所望の張力を得ると
共に、定着ローラR1で駆動することによりスリップや
緩みの無い安定した回転をすることが出来る。
【0005】一方、加熱ローラR3の内部には、加熱源
として加熱ヒータHが備えられる。また、加熱ローラR
3の表面温度の測定のためにサーミスタSを設けてい
る。このサーミスタSは、接触状態で被検部の温度を測
定するため、定着ベルトBの通紙領域に接触させること
が好ましくなく、このため、定着ベルトBの非通紙領域
に接触させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記構成を有する従来
の定着装置では、熱応答性及び破壊強度の観点から、定
着ベルトとして従来より電気鋳造法により製造された金
属ベルト(以下、単に電鋳ベルトと呼ぶ。)がベルト基
体として用いられている。この電鋳ベルトは、熱応答性
及び破壊強度の観点からは、確かに所期の目的を達成す
ることが出来るものであるが、プロセス速度の更なる高
速化を図ろうとした場合、この電鋳ベルトは定着ローラ
と加圧ローラとの間のニップ部での逆曲げ(エンドレス
走行する場合の曲率と逆方向の曲率による曲げ)による
金属疲労破壊を招き、所定のライフ設定までもたない不
具合が発生する虞がある。
【0007】このため、近年、ポリイミド樹脂等の耐熱
性樹脂が着目され、定着ベルトのベルト基体に電鋳ベル
トの代わりに用いられることが種々検討されるようにな
ってきている。しかしながら、この耐熱性樹脂は高価で
あり、これを定着ベルトのベルト基体として用いようと
する場合において、破壊強度の観点から厚さを増そうと
すると、熱応答性が悪くなると共にコストが増大するこ
ととなり、好ましくない。一方で、コストの低廉化の観
点で、厚さを薄くしようとすると、破壊強度の点で問題
を生じることになる。
【0008】このように、定着ベルトのベルト基体とし
て耐熱性樹脂を用いようとする場合において、熱応答性
及び破壊強度の観点から両者を同時に満足させることの
出来る条件設定が強く望まれている。
【0009】この発明は、上述した事情に鑑みなされた
もので、この発明の主たる目的は、定着ベルトのベルト
基体に最適する耐熱性樹脂ベルトの厚さ条件を備えた定
着装置を提供することである。
【0010】この発明の他の目的は、熱応答性及び破壊
強度の観点から定着ベルトのベルト基体に最適する耐熱
性樹脂ベルトを備えた定着装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決し、
目的を達成するため、この発明に係わる定着装置は、請
求項1の記載によれば、定着ローラと、この定着ローラ
に所定の圧力で転接する加圧ローラと、前記定着ローラ
から離間して配設された支持ローラと、この支持ローラ
と定着ローラとにエンドレスに掛け渡された定着ベルト
と、この定着ベルトを発熱させ、前記定着ローラ及び加
圧ローラの転接部を通過するシート上の未定着トナーを
加熱する発熱手段とを備え、未定着トナーが表面上に担
持されたシートが、前記転接部を一方向に沿って通過す
ることにより、前記未定着トナーを前記シート上に定着
させる定着装置において、前記定着ベルトは、耐熱性樹
脂から形成されたエンドレス状のベルト基体と、このベ
ルト基体の外表面に形成された耐熱離型層とを備え、前
記ベルト基体の厚さは、60μm以上、400μm以下
の範囲内に設定されていることを特徴としている。
【0012】また、この発明に係わる定着装置は、請求
項2の記載によれば、前記耐熱性樹脂は、ポリイミドで
あることを特徴としている。
【0013】また、この発明に係わる定着装置は、請求
項3の記載によれば、前記ベルト基体の厚さは、好まし
くは、60μm以上、90μm以下の範囲内に設定する
ことを特徴としている。
【0014】また、この発明に係わる定着装置は、請求
項4の記載によれば、前記耐熱性樹脂は、導電性を有す
るように形成されていることを特徴としている。
【0015】また、この発明に係わる定着装置は、請求
項5の記載によれば、前記耐熱離型層は、弾性を有して
形成されていることを特徴としている。
【0016】また、この発明に係わる定着装置は、請求
項6の記載によれば、前記耐熱弾性離型層は、シリコー
ンゴムから形成されていることを特徴としている。
【0017】また、この発明に係わる定着装置は、請求
項7の記載によれば、前記耐熱弾性離型層の厚さを、1
00μm以上、400μmの範囲内に設定することを特
徴としている。
【0018】また、この発明に係わる定着装置は、請求
項8の記載によれば、前記発熱手段は、前記支持ローラ
に内蔵され、該支持ローラを介して前記定着ベルトを加
熱することを特徴としている。
【0019】
【発明を実施する形態】以下に、この発明に係わる定着
装置の一実施例の構成を、添付図面を参照して以下に詳
細に説明する。
【0020】{定着装置10の概略説明}先ず、図1に
示すように、この一実施例の定着装置10は、ハウジン
グ構造として、図示しない電子式画像形成装置、例え
ば、電子プリンタのフレームに固定されるハウジング1
2を備えており、このハウジング12は、装置フレーム
上に直接的に固定される底板14と、この底板14の左
右両側縁から夫々起立した側板16と、この側板16に
これの図中略右上部を覆うように取付けられた上カバー
部18と、側板16にこれの略左側部を覆うように取付
けられた左カバー部20とを備えている。
【0021】ここで、上カバー部18は、側板16に対
して固定された状態で取付けられ、これの右上部には、
揺動レバー22が図中右方に位置する第1の支軸24回
りに図中左方が開放されるように、揺動自在に軸支され
ている。一方、左カバー部20は、下部に位置する第2
の支軸26回りに上方が開放されるように、揺動自在に
側板16に取付けられている。
【0022】また、この定着装置10は、ローラ構成と
して、側板16に固定軸線回りに回転自在に軸支された
定着ローラ28と、定着ローラ28の略下方(具体的に
は、斜め下方)でこれに転接する状態で、且つ、定着ロ
ーラ28の固定軸線と平行に設定された固定軸線回りに
側板16に回転自在に支持された加圧ローラ30と、定
着ローラ28の略上方(具体的には、斜め上方)に位置
する状態で揺動レバー22に取付けられ、自身の中心軸
線回りに回動自在に支持された支持ローラ34とを備え
て構成されている。
【0023】また、この定着装置10は、支持ローラ3
4の内部に配設された、例えばハロゲンランプ等の第1
の発熱源32と、加圧ローラ30の内部に配設された、
例えばハロゲンランプ等の第2の発熱源33と、定着ロ
ーラ28と支持ローラ34とに渡りエンドレスに巻回さ
れた定着ベルト(熱伝達ベルト)36とを更に備えてい
る。即ち、この実施例においては、支持ローラ34は、
ハロゲンランプ32が内蔵された加熱ローラとして機能
している。なお、以下の説明において、ローラ34は加
熱ローラとして説明する。
【0024】ここで、詳細は後述するが、定着ローラ2
8は弾性ローラとして構成され、一方、加圧ローラ30
は弾性ローラより硬いローラ上硬度を有するローラから
構成されている。一方、定着ローラ28と加圧ローラ3
0との互いの回転中心間距離Dは、図2に示すように、
定着ローラ28の半径R1及び加圧ローラ30R2の半
径の和(R1+R2)より、僅かであるが短く設定され
ている。この結果、定着ローラ28と加圧ローラ30と
の互いの転接部(ニップ部)においては、両者は互いに
所定の圧接力P1で転接し、これにより、定着ローラ2
8が転接部で凹んだ状態にもたらされることになる。即
ち、ニップ幅が十分に確保されることになる。
【0025】また、この定着装置10は、定着ベルト3
6の外表面にシリコーンオイルを塗布すると共に、この
定着ベルト36の外表面をクリーニングするためのオイ
ル塗布ローラ38と、このオイル塗布ローラ38を定着
ベルト36に直交する状態で圧接させて、定着ベルト3
6に所定のテンションを付与させる第1のコイルバネ4
0と、加熱ローラ34を定着ローラ28から離間する方
向に付勢して、第1のコイルバネ40と協同して定着ベ
ルト36に所定のテンションを付与させる第2のコイル
スプリング42とを更に備えている。
【0026】また、上述した上カバー部18の図中右下
部は、内方に折り曲げられており、この折曲片の下方に
位置すると共に、これから大きく離間した状態で、ガイ
ド板44が側板16に固定されている。この上カバー部
18とガイド板44との間から、未定着トナーが上面に
担持されたシート(以下、単に、未定着シートと呼
ぶ。)が、図中矢印で示す一方向(搬送方向)に沿って
ハウジング12内に取り込まれる入口ポート46が規定
される。
【0027】ここで、このガイド板44は、ハウジング
12内に入るにつれてその高さが高まるように図中左斜
め上方に傾斜した状態で取付けられている。一方、ガイ
ド板44の導入側端部、即ち、図中右下側の端部は、電
子プリンタ内であって入口ポート46の図中右側に隣接
した状態で配設されたシート搬送用のエンドレスベルト
EBの出口側端部に対向した状態に位置決めされ、ガイ
ド板44の導出側端部、即ち、図中左上側の端部は、定
着ローラ28と加圧ローラ30との転接部(ニップ部)
に対向した状態に位置決めされている。
【0028】そして、このエンドレスベルトEBを介し
て定着装置10に向けて図中矢印で示す一方向(搬送方
向)に沿って搬送されてきた未定着シートの先端は、先
ず、ガイド板44に触れ、これに案内された状態で、斜
め上向きに搬送されるように設定され、更に、このガイ
ド板44により案内された未定着シートは、その先端が
加圧ローラ30の外周面に先ず接触した後、加圧ローラ
30の外周面に沿って移動して、定着ローラ28と加圧
ローラ30との転接部に導かれるように設定されてい
る。
【0029】一方、上述した左カバー部20の上部に
は、転接部を通過して定着ローラ28と加圧ローラ30
とにより熱圧着により未定着トナーを定着されたシート
(以下、定着済みシートと呼ぶ。)が排出される排紙通
路48が形成されており、この一実施例においては、こ
の排紙通路48は、定着済みシートを略直立した状態で
上方に向けて排出するように設定されている。
【0030】この排紙通路48と転接部との間に位置し
た状態で、下排紙ローラ50が左カバー部20に回転自
在に軸支されており、この下排紙ローラ50は、後述す
る駆動機構52からの駆動力を得て、加圧ローラ30よ
り同速以上の速さ(例えば、加圧ローラ30の速度より
5%早く設定された回転速度)で回転駆動されるように
構成されている。そして、この下排紙ローラ50には、
斜め上方から転接する状態で、上排紙ローラ54が板バ
ネ56を介して所定の弾性力で圧接した状態で転接して
いる。尚、この上排紙ローラ54の配設位置は、これと
下排紙ローラ50との互いの中心位置を結ぶ線分が、定
着済みシートの排紙パスに対して、略直交する状態に設
定されている。
【0031】このように概略構成される定着装置10に
おいては、搬送機構により、エンドレスベルトEBを介
してガイド板44上に搬送されてきた未定着シートS
は、未定着トナーが付着していない下面をガイド板44
に接触・支持されると共に、定着ベルト36が巻かれた
定着ローラ28と加圧ローラ30との転接部(ニップ
部)に向けて案内され、両者28、30の間を圧接され
た状態で挿通されることにより、未定着トナーが熱圧着
されてシート上に定着されるように設定されている。以
下、上述した種々の構成要素を順次個別に説明する。
【0032】{定着ローラ28の説明}上述した定着ロ
ーラ28は、側板16に図示しないベアリングを介して
回転自在に軸支される芯金部28Aと、この芯金部28
Aの外周に同軸に配設され、定着ベルト36が巻回され
るローラ本体28Bとを備えて構成され、ローラ外径を
この一実施例では38.0mmに設定されている。ここ
で、この一実施例において、芯金部28Aは、直径25
mmの鉄製シャフトから形成され、ローラ本体28B
は、芯金部28Aの外周に厚さ6.5mmで取り付けら
れたシリコーンゴム耐熱弾性体(具体的には、JIS
A硬度で18度のシリコーンゴム)から形成されてい
る。
【0033】尚、芯金部28Aの一端に配設された軸部
には、第1の従動ギヤ58がこれと同軸に、詳細を後述
するワンウエイクラッチ60を介して取付けられてお
り、この第1の従動ギヤ58には、詳細は後述する駆動
機構52の一部を構成する伝達ギヤ62が噛合してい
る。このようにして、この伝達ギヤ62を介して駆動機
構52からの駆動力が第1の従動ギヤ58に図中時計方
向の回転力として伝達されて、ワンウェイクラッチ60
を介して定着ローラ28にこの回転力が伝達される構成
とされている。
【0034】{加圧ローラ30の説明}上述したよう
に、第2の発熱源33を内蔵する加圧ローラ30は、側
板16に図示しないベアリングを介して回転自在に軸支
される芯金部30Aと、この芯金部30Aの外周に同軸
に配設されたローラ本体30Bとを備えて構成され、ロ
ーラ外径を35mmに設定されている。ここで、この一
実施例において、芯金部30Aは、直径32mmの鉄製
シャフトから形成され、ローラ本体30Bは、芯金部3
0Aの外周に厚さ1.5mmで取り付けられたシリコー
ンゴム耐熱弾性体(具体的には、上述した定着ローラ2
8よりも硬めのASKER C硬度で74〜75度のも
の)から形成されている。
【0035】尚、芯金部30Aの一端に配設された軸部
は、第2の従動ギヤ64が同軸に固定されており、この
第2の従動ギヤ64には、上述した第1の従動ギヤ58
が噛合しており、この第1の従動ギヤ58を介してこれ
からの駆動力が第2の従動ギヤ64に伝達されて、加圧
ローラ30が定着ローラ28とは反対の反時計方向に沿
って回転駆動されるように構成されている。
【0036】ここで、この一実施例においては、未定着
シートの搬送用の主駆動としては、加圧ローラ30が設
定されており、定着ローラ28はこれの熱膨張時におい
ても周速が加圧ローラ30の周速よりも早くならないよ
うに、第1及び第2の従動ギヤ58、64のギヤ比が設
定されている。即ち、定着ローラ28が第2の従動ギヤ
64により回転される際の回転速度は、定着ベルト36
を介して加圧ローラ30と摩擦係合して回転される際の
回転速度よりも、僅かに遅くなるように設定されてい
る。
【0037】一方、この一実施例においては、加圧ロー
ラ30は、定着ローラ28の直下方に位置しているので
はなく、定着ローラ28の直下方位置よりも、未定着シ
ートの搬送方向に沿って偏倚した位置に配設されてお
り、定着ローラ28の中心点を通る垂線を基線とした場
合に、この基線と、定着ローラ28及び加圧ローラ30
の両中心点を通る線分とのなす角度が、所定の鋭角とな
るような位置に配設されている。尚、この加圧ローラ3
0の中心点を規定する前記線分は、未定着シートの搬送
方向と略直交するように設定されているものである。
【0038】{ワンウェイクラッチ60の説明}ここ
で、このワンウェイクラッチ60は、定着ローラ28の
第1の従動ギヤ58に対する図中時計方向の相対的な回
転を許容するが、図中反時計方向の相対的な回転を係止
するように、換言すれば、両者が一体回転するように構
成されている。詳細には、冷機状態では、即ち、定着ベ
ルト36が加圧ローラ30と摩擦係合して、また、定着
ローラ28が定着ベルト36と摩擦係合して、加圧ロー
ラ30により定着ローラ28及び定着ベルト36が従動
(連れ回り)する状態では、定着ローラ28の図中時計
方向に回転する周速は、加圧ローラ30の周速と同一と
なり、第1の従動ギヤ58の周速よりも僅かに速くなさ
れることになるが、この速度差は、ワンウェイクラッチ
60により吸収されることになる。
【0039】尚、加熱ローラ34の発熱により定着ロー
ラ28が定着ベルト36を介して加熱され暖機状態とな
り、定着ローラ28の外径が熱膨張により大きくなって
定着ローラ28の周速が早くなったとしても、加圧ロー
ラ30の周速より早くはならないように設定されている
ので、この場合でも、この速度差は、ワンウェイクラッ
チ60により確実に吸収されることになる。
【0040】一方、このようなワンウェイクラッチ60
を設けているため、以下のような効果が付随的に達成さ
れることになる。即ち、仮に、このようなワンウェイク
ラッチ60を設けていないとすると、転接部に未定着シ
ートとして例えばコート紙のような表面に光沢のある用
紙が搬送されてきた場合に、未定着シートと定着ベルト
36との間に滑りが発生し、加圧ローラ30の駆動力が
定着ベルト36及び定着ローラ28に伝達されずに、こ
れらが従動(連れ回り)されない事態が発生することと
なる。このような事態が発生すると、未定着シートが転
接部で止まってジャムすることになるか、又は、例え転
接部を通過出来たとしても、未定着シート上の未定着ト
ナーは、停止中の定着ベルト36により擦られて、画像
が乱されてしまうことになる。
【0041】しかしながら、この一実施例では、ワンウ
ェイクラッチ60を定着ローラ28と第1の従動ギヤ5
8との間に設けているため、仮に、加圧ローラ30の駆
動力が定着ベルト36に伝達されない事態が発生したと
しても、定着ローラ28の回転数が第1の従動ギヤ58
の回転数よりも遅く成りはじめた時点で、この第1の従
動ギヤ58により図中時計方向に回転駆動されることに
なる。このようにして、未定着シートは転接部を確実に
通過させられ、ここでジャムする虞が効果的に防止され
ることになると共に、転接部を通過時の未定着トナーの
画像の乱れが抑制されることになる。
【0042】{加熱ローラ34の説明}上述した第1の
発熱源32を内蔵する加熱ローラ34は、この一実施例
においては、直径30mmで、肉厚3.5mmのアルミ
パイプ芯金に、厚さ20μmのPTFEの被覆層をコー
ティングしたもので、両端の軸受け部には、耐熱樹脂の
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製の直径34
mmのカラー66が挿入されており、これにより、定着
ベルト36の蛇行や片寄りを防止している。
【0043】この加熱ローラ34の内部には、第1の発
熱源32が内蔵されているが、この一実施例において
は、この第1の発熱源32は、最大出力が1kWのハロ
ゲンランプ32から構成されている。一方、上述した加
圧ローラ30に内蔵された第2の発熱源33は、最大出
力が250Wのハロゲンランプから構成されている。こ
こで、この定着装置10の発熱源に許容された最大出力
は、この実施例においては1kWに設定されている。即
ち、この実施例においては、第1の発熱源32は、この
定着装置10に許容される最大出力そのものを出力する
ことが出来るように設定されている。
【0044】{定着ベルト36の説明}上述の定着ベル
ト36は、未定着シートS上の未定着トナーを定着温度
まで過剰な熱量を与えることなく定着できるように、そ
の定着ベルト36の1平方cm当たりの熱容量が、0.
002cal/℃乃至0.025cal/℃の範囲内の
ものが好ましいものである。このため、この一実施例に
おいては、図5に示すように、定着ベルト36は、内径
が60mm、厚さが90μmの耐熱性樹脂としてのポリ
イミド樹脂製の無端状のベルト基体36aと、このベル
ト基体36aの外周面に厚さ200μmでコーティング
されたシリコーンゴムの耐熱弾性離型層36bとを備え
て構成されている。
【0045】尚、この実施例では、ベルト基体36aの
外周面には、耐熱弾性離型層36bがコーティングされ
るように説明したが、このような耐熱弾性離型層36の
コーティングに限定されることなく、離型層としては耐
熱性を有していればよく、弾性を有することは必須では
ない。即ち、このベルト基体36aの外周面には、最低
限、耐熱離型層36bがコーティングされているように
設定されている。
【0046】ここで、このベルト基体36aの厚さのば
らつきは、この実施例においては、10μmから20μ
mの範囲内に収められるように規制されている。これ
は、ベルト基体36aの厚さのばらつきとして、20μ
m以上を許容すると、ローラの形状を工夫して変化させ
たとしてもニップ部を通過するシートの紙皺の発生を抑
制することができず、一方、10μm以下に抑えようと
すると、製造コストが増大して、商品価値の低下を招く
こととなり、好ましくない状態である。
【0047】このように、定着ベルト36のベルト基体
36aの厚さのばらつきを、10μmから20μmの間
に規定することにより、ニップ部を通過するシートの紙
皺の発生を効果的に抑制することができることになる。
【0048】一方、このベルト基体36aを規定する耐
熱性樹脂としてのポリイミド樹脂ベルトは、この実施例
においては、グンゼ社製のNIタイプのものを採用して
いる。このベルト基体36aは、この実施例において
は、所定の導電性を有するように形成されており、具体
的には、表面抵抗が10,000Ω/□以下に設定され
ている。このように、ベルト基体36aの表面抵抗を規
定することにより、未定着シートSが定着ベルト36に
吸着して画像が乱れてしまう不具合が、確実に防止され
ることになる。
【0049】尚、定着ベルト36のベルト基体36aを
構成するものとして、ポリイミド樹脂ベルトを採用する
ことにより、熱応答性及び破壊強度が同時に満足される
状態が達成されることになるが、この効果は、上述した
ポリイミド樹脂ベルト36aの厚さを規定する数値に限
定されることなく、所定の範囲にあれば、同様の効果を
達成することが出来るものである。この点に関しては、
後に詳細に説明する。
【0050】{オイル塗布ローラ38の説明}この定着
装置10は、定着ベルト36の外周面に、離型用のオイ
ルを微量に塗布するためのオイル塗布ローラ38を備え
ている。このオイル塗布ローラ38は、詳細は図示して
いないが、ケーシング68に軸線固定状態で回転自在に
軸支された支軸と、この支軸の外周にシリコーンオイル
を含浸させた耐熱紙層とを備えて構成されており、支軸
は、この一実施例においては、直径8mmの鉄製シャフ
トから形成され、耐熱紙層は、その外周に100μmの
多孔質フッ素樹脂フィルムが装着された状態で、直径2
5mmのローラ外径を有するように形成されている。こ
のように、オイル塗布ローラ38を構成することによ
り、定着ベルト36の外周面への安定した微量のオイル
塗布が可能となる。
【0051】オイル塗布ローラ38の外周面には、定着
ベルト36の外周面に付着した汚れ(トナー等)が転移
して付着し、汚されることになる。この為、このオイル
塗布ローラ38の外周面には、クリーニング用ブラシが
接触しており、常時、オイル塗布ローラ38の外周面を
清掃して、ここに付着した汚れを掻き落とすようになさ
れている。
【0052】{定着ベルト36へのテンション付与機構
の説明}上述したように、この一実施例では、定着ベル
ト36へテンションを付与するための機構として、この
オイル塗布ローラ38を定着ベルト36に直交する状態
で圧接させて、定着ベルト36に所定のテンションを付
与させる第1のコイルバネ40と、加熱ローラ34を定
着ローラ28から離間する方向に付勢して、第1のコイ
ルバネ40と協同して定着ベルト36に所定のテンショ
ンを付与させる第2のコイルスプリング42とを備えて
いる。
【0053】ここで、第1のコイルバネ40は、オイル
塗布ローラ38を回転自在に支持するケーシング68
を、定着ベルト36に向けて付勢するように、左カバー
部20に取付けられている。即ち、ケーシング68は、
側板16に取り付けられたガイドリブ70により、定着
ベルト36に対して接離自在に支持されている。このよ
うにして、左カバー部20が図中左方に開かれた際に、
ケーシング68を押圧していた第1のコイルバネ40が
ケーシング68から離間され、これにより、オイル塗布
ローラ38の定着ベルト36への押圧状態が解除される
ことになる。また、左カバー部20が図中右方に回動さ
れて閉じられることにより、第1のコイルバネ40がケ
ーシング68を押圧力P2で押圧して、オイル塗布ロー
ラ38が定着ベルト36を所定のテンションで押圧する
ことになる。
【0054】一方、第2のコイルバネ42は、揺動レバ
ー22の図中左端と側板16との間に介設され、揺動レ
バー22を図中時計方向に沿って回動するように、換言
すれば、この揺動レバー22に支持された加熱ローラ3
4が定着ローラ28から離間する方向に第3の押圧力P
3で押圧するように取付けられている。これにより、定
着ベルト36には、所定のテンションが付与されること
になる。
【0055】即ち、この第2のコイルバネ42の付勢力
により揺動レバー22を介して加熱ローラ34は、定着
ローラ28から離間する方向に偏倚させられ、これによ
り、加熱ローラ34と定着ローラ28とにエンドレスに
掛け渡された定着ベルト36は、所定のテンションに緊
張された状態で張られることになる。
【0056】このように第1及び第2のコイルバネ4
0、42の作用により、定着ベルト36は、加圧ローラ
30と摩擦係合して連れ回りし、且つ、この定着ベルト
36の連れ回りに応じて、定着ローラ28は定着ベルト
36に対してスリップや緩みの無い安定した状態で従動
されることになる。
【0057】{駆動機構52の説明}上述した加圧ロー
ラ30等を回転駆動するための駆動機構52は、図3に
示すように、電子プリンタにこの定着装置10が装着さ
れた状態で、電子プリンタ側の駆動源に図示しないギヤ
トレインを介して接続された出力ギヤGEに噛合し、こ
れからの駆動力を受けて回転駆動される伝達ギヤ62
と、この伝達ギヤ62に常時噛合すると共に、ワンウェ
イクラッチ60を介して定着ローラ28に連結される第
1の従動ギヤ58と、この第1の従動ギヤに常時噛合す
ると共に、加圧ローラ30に同軸に固定される第2の従
動ギヤ64とを備えている。
【0058】また、この駆動機構52は、上述した伝達
ギヤ62に常時噛合するアイドルギヤ72を更に備え、
このアイドルギヤ72は、下排紙ローラ50に同軸に固
定された第3の従動ギヤ74と常時噛合し、加圧ローラ
30の周速と同速以上の速さで下排紙ローラ50を回転
駆動するように構成されている。
【0059】{その他の構成}この一実施例の定着装置
10は、上述した構成の他、再び図1に示すように、加
圧ローラ30の外周面に付着した定着済みシートを引き
剥がすための剥離爪76と、上述した下排紙ローラ50
と上排紙ローラ54との間(転接部)に定着済みシート
の先端が搬送されてきたことを検出する排紙センサ78
とを備えている。
【0060】{加熱ローラ34の上方配置の説明}上述
したように、この一実施例においては、加熱ローラ34
は定着ローラ28の略上方に配設されており、これによ
り、加熱ローラ34と定着ローラ28との間にエンドレ
スに巻回された定着ベルト36とガイド板44との間
は、このガイド板44上を搬送される未定着シートが定
着ベルト36に接触しないように離間されることにな
る。換言すれば、この定着ベルト36は、ガイド板44
上を搬送される未定着シートが通過する可能性のある領
域を外れた位置に配設されていることを意味している。
【0061】このように加熱ローラ34を定着ローラ2
8の上方に配置することにより、搬送途中の未定着シー
トがどのような湾曲姿勢(カール状態)にあろうとも、
このシートの上面に担持された未定着トナーが定着動作
前に定着ベルト36に実質的に接触することから確実に
防止され、未定着トナーを乱すことなく定着ローラ28
と加圧ローラ30との転接部に導いて、これを定着させ
ることが可能となる。
【0062】{加熱ローラ34の構成角度の説明}上述
した構成の定着装置10において、上述したように加熱
ローラ34を定着ローラ28の略上方に配設することに
より、特有の効果を達成することが出来るものである。
ここで、「略上方」の範囲を明確に規定するために、図
4に示すように、加熱ローラ34の構成角度を種々変更
して、その最適範囲を求める実験例を説明する。
【0063】先ず、この実験例では、定着ローラ28の
中心点を通る垂線を基線Bとして定義し、この基線B
と、定着ローラ28及び加熱ローラ34の両中心点を結
ぶ線分Lとのなす構成角度をθと定義した場合、加熱ロ
ーラ34の位置を変更して、この構成角度θが90°〜
180°となるようにして、定着ローラ28と加圧ロー
ラ30との転接部の入口での画像の擦れの発生頻度、及
び、転接部の出口での異常の発生頻度を、片面コピー時
と両面コピー時とで、夫々測定した。
【0064】ここで、構成角度θの±は、基線Bから反
時計方向に測定した値を「+」とし、基線Bから図中時
計方向に測定した値を「−」と定義した。従って、+1
80°にある加熱ローラ34と、−180°にある加熱
ローラ34とは、同一位置を示すことになり、また、+
105°にある加熱ローラ34と、−255°にある加
熱ローラ34とは、同一位置を示すことになる。一方、
転接部の出口における異常とは、この一実施例では、転
接部の出口におけるオフセットの発生又はジャムの発生
を意味するものとする。
【0065】尚、測定条件は、以下の通りである。
【0066】即ち、転接部におけるニップ幅を9mmに
設定し、このための圧接力P1を24kgf/片側に設
定した。一方、定着ローラ28に巻回されている定着ベ
ルト36の部分の温度を160℃に、また、加圧ローラ
30の表面温度を140℃に設定した。更に、未定着シ
ートの搬送速度を180mm/secに設定し、これに
同期した状態で、加圧ローラ30を回転駆動した。そし
て、トナーとしては、富士ゼロックス社製のAカラート
ナーを用い、シートとして、64g/m2の普通紙を採
用した。
【0067】このようにして、構成角度θを90°、1
05°、120°、150°、180°、−150°、
−120°、−105°、−90°の9種類に分けて、
上述した測定条件で測定した。
【0068】その測定結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】この表1から明白なように、構成角度θが
105°より大きい場合、及び、−105°よりも小さ
い場合、即ち、構成角度θを反時計方向のみに測定した
場合に、これが105°乃至255°の範囲内にある場
合には、転接部の入口での画像の擦れの発生、及び、転
接部の出口での異常の発生がなく、良好な定着動作が実
行されていることが判明した。一方、構成角度θが10
5°以下の場合には、転接部の入口での画像の擦れ又は
転接部の出口での異常の何れかが発生し、良好な定着動
作が実行されないことが判明した。
【0071】また、この一実施例においては、ニップ部
の一方を構成する加圧ローラ30に第2の発熱源33を
内蔵しているので、未定着シートSを加熱する熱量が充
分に供給されることとなり、この結果、定着ベルト36
の走行速度を上げたとしても、ニップ部に充分な熱量の
供給が達成されることになる。このようにして、通紙速
度の高速化に充分に対応させることが可能となる。
【0072】また、この一実施例においては、加熱ロー
ラ34を定着ローラ28の略上方に配置し、具体的に
は、加熱ローラ34を、これの中心点と定着ローラ28
の中心点とを結ぶ線分Lが、定着ローラ28と加圧ロー
ラ30との互いの中心点を結ぶ線分を基線Bとした状態
で、該基線Bから計測した角度が約105度乃至約25
5度の範囲となる位置に配設しているので、加熱ローラ
34と定着ローラ28との間にエンドレスに巻回された
定着ベルト36とガイド板44との間は、このガイド板
44上を搬送される未定着シートが定着ベルト36に接
触しないように離間されることになる。換言すれば、こ
の定着ベルト36は、ガイド板44上を搬送される未定
着シートが通過する可能性のある領域を外れた位置に配
設されていることを意味している。
【0073】この結果、この一実施例によれば、搬送途
中の未定着シートが、跳ね上がりや転写部との搬送速度
差に基づくたるみ等により、どのような湾曲姿勢(カー
ル状態)にあろうとも、このシートの上面に担持された
未定着トナーが定着ベルト36に接触することから確実
に防止され、未定着トナーを乱すことなく定着ローラ2
8と加圧ローラ30との転接部に導いて、これを確実に
定着させることが可能となる。
【0074】{定着ベルト36のベルト基体の厚みの検
証}上述したように、定着ベルト36のベルト基体36
aを構成するものとして、この実施例ではポリイミド樹
脂ベルトを採用することにより、熱応答性及び破壊強度
が同時に満足される状態が達成されることになるが、こ
の効果は、上述したポリイミド樹脂ベルト36aの厚さ
を規定する数値に限定されることなく、所定の範囲にあ
れば、同様の効果を達成することが出来るものである。
以下に、このベルト基体、即ち、ポリイミド樹脂ベルト
36aの厚みの許容範囲を検証する。
【0075】{ベルト基体の厚みの最小値の検証}ベル
ト基体、即ち、ポリイミド樹脂ベルト36aの厚みの最
小値は、破壊強度から規定されるものである。このた
め、ポリイミド樹脂ベルト36aの厚さを変化させて、
破壊強度から直接的な影響を受ける割れ試験(連続走行
耐久試験)を行った。試験に採用した定着装置10は、
図1に示す構成と実質的に同一のものであり、ポリイミ
ド樹脂ベルト36aの厚みとしては、50μm、60μ
m、75μm、90μm、の4種類のものを用意した。
【0076】ここで、このポリイミド樹脂ベルト36a
の外周面に形成されるシリコーンゴム層36bの厚み
は、100μmとなるように設定し、第2のコイルバネ
42により定着ベルト36に加えられるテンションを
3.4kgf/片側とし、定着ローラ28と加圧ローラ
30との間のニップ部におけるニップ幅を9mmとなる
ように設定した。このような試験条件のものとで、プロ
セススピードを180mm/secとした時の定着ベル
ト36の割れ試験を、15秒回転で5秒停止の間欠走行
耐久試験として実施した。その結果を、表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】この表2から明白なように、ポリイミド樹
脂ベルト36aの厚みが50μmの場合には、僅か88
時間でベルトに亀裂が発生し、耐久性が持たないことが
判明した。一方、ポリイミド樹脂ベルト36aの厚みが
60μmの場合には、1、000時間でベルトに亀裂が
発生したが、この1,000時間という連続走行時間
は、実機レベルにおいて100,000枚程度の定着動
作枚数に匹敵するものであり、実質的に耐久性があると
判断できる結果である。
【0079】また、ポリイミド樹脂ベルト36aの厚み
が75μmおよび90μmの場合には、共に1,250
時間を越えてもベルトに亀裂が発生せず、十分に耐久性
があることが実証された。
【0080】以上の試験結果から、ベルトの破壊強度の
観点からは、ベルト基体、即ち、ポリイミド樹脂ベルト
36aの厚みは最低60μmが必要であることが判明し
た。
【0081】{ベルト基体の厚みの最大値の検証}ベル
ト基体、即ち、ポリイミド樹脂ベルト36aの厚みの最
大値は、熱応答性から規定されるものである。このた
め、ポリイミド樹脂ベルト36aの厚さを変化させて、
熱応答性から直接的な影響を受けるウォーミングアップ
時間の測定試験を行った。この試験に採用した定着装置
10は、図1に示す構成と実質的に同一のものであり、
ポリイミド樹脂ベルト36aの厚みとしては、90μ
m、180μm、270μm、360μm、450μm
の5種類のものを用意した。
【0082】ここで、このポリイミド樹脂ベルト36a
の外周面に形成されるシリコーンゴム層36bの厚み
は、200μmとなるように設定し、その他の実験条件
としては、加熱ローラ34を単独で取り出し、これに内
蔵される第1の発熱源32としてのハロゲンヒータに6
00(W)のものを用いて、この加熱ローラ34の表面
温度を200℃に保持し、これを停止状態にしておい
て、この外周面上に室温に放置した定着ベルト36を密
着状態で巻きつけた場合の定着ベルト36の表面温度の
経時変化、即ち、巻きつけ時から表面温度が150℃、
160℃、170℃、180℃、190℃、200℃に
夫々到達するまでの時間を測定した。その結果を、表3
及び図6に示す。
【0083】
【表3】
【0084】この表3及び図6から明白なように、ポリ
イミド樹脂ベルト36aの厚みが450μmの場合に
は、他の場合と比較して格段と200℃に到達するまで
の時間(即ち、ウォームアップ時間)がかかり、その他
の場合、即ち、ポリイミド樹脂ベルト36aの厚みが4
50μmよりも薄い場合には、200℃に到達するまで
のウォームアップ時間に大差はないことが判明した。
【0085】以上の試験結果から、ベルトの熱応答性の
観点からは、ベルト基体、即ち、ポリイミド樹脂ベルト
36aの厚みは最大400μmに抑える必要があり、好
ましくは、200μm以下が好ましいものであることが
判明した。
【0086】ここで、更にベルト基体の厚みの実用上の
上限を検討するに、これを100μm以上に設定する
と、ベルトの熱応答性の観点からは、上述したように何
ら問題ないものの、コストの低廉化及びニップ幅の確保
の観点から、好ましいものではない。
【0087】即ち、ベルト基体の原価は、原材料費とし
てのポリイミド樹脂のコストと加工コストとから基本的
に算出されるが、ベルト基体をポリイミド樹脂で形成す
る場合において、このポリイミド樹脂の単位体積あたり
の費用が極めて高く、ベルト基体の厚みが厚くなればな
るほど費用が高くなり、薄くすればするほど、費用の低
廉化を図ることが出来ることになる。また、ベルト基体
の厚みが厚くなればなるほど、ベルトとしての弾性が損
なわれ、同一荷重におけるニップ幅が取れにくくなるこ
とになる。この結果、同等のニップ幅を確保しようとす
ると荷重の増大が必要となり、負荷負担が高くなり、こ
のため、駆動出力の増大等が要求され、コストの点や寿
命の点で好ましいものではない。更に、ベルト基体の厚
みが厚くなればなるほど、寸法精度を所定の範囲内に納
めることが困難となる問題もある。
【0088】以上のことと勘案すると、ベルト基体の厚
みとしては、上述したように、熱応答性の観点からは6
0μmから200μmが好ましいものではあるが、更に
条件を詰めれば、60μmから90μmの範囲が最適な
ものであることが判る。
【0089】このように、この一実施例においては、定
着ベルト36を構成するベルト基体としてのポリイミド
樹脂ベルトの厚みを、60μmから400μmの範囲に
限定、好ましくは、60μmから90μmの範囲に限定
することにより、亀裂に対する強度を確保して、十分な
製品寿命を達成することが出来ると同時に、熱応答性を
確保して、ウォームアップ時間の短縮化を達成すること
が出来ることになる。
【0090】また、この一実施例においては、定着ロー
ラ28を弾性ローラから、また、加圧ローラ30を定着
ローラよりも堅いローラ上硬度を有して、夫々形成して
いる。従って、この一実施例によれば、定着ローラ28
及び加圧ローラ30のサイズを小径化したとしても、両
者の転接部におけるニップ幅を十分に確保することが出
来、定着装置の小型化を達成することが出来ると共に、
シートの搬送速度の高速化を達成することが出来ること
になり、特に、カラープリンタに好適する定着装置を提
供することが可能となる。
【0091】また、この一実施例においては、上方の定
着ローラ28を弾性ローラから、また、下方の加圧ロー
ラ30を定着ローラ28よりも堅いローラ上硬度を有し
て、夫々形成しているので、転接部におけるニップの形
状が、定着ローラを本願の弾性ローラよりも硬いローラ
上硬度を有するローラから形成する従来構成と比較し
て、下向きに凹んだ状態から、上方に凹んだ状態を容易
に達成することが出来ることになる。この結果、この一
実施例によれば、転接部におけるニップ形状自身から、
定着済みシートが定着ベルト36から離間する方向の力
を得ることとなり、定着ベルト36に接触する側の表面
にトナーが担持されていたとしても、定着ベルト36へ
のオフセット防止用のオイル塗布ローラ38によるオイ
ル塗布量を微量に押さえることができると共に、オイル
レスとしても、定着ベルト36側へのオフセットや、ジ
ャムの無い定着動作が達成されることになる。
【0092】また、この一実施例においては、熱伝達ベ
ルトとしての定着ベルト36として、小熱容量の材質を
採用すると共に、加熱ローラ34への定着ベルト36の
巻き付け角度が大きく、且つ、加熱ローラ34へ定着ベ
ルト36が密着していることになる。この結果、この一
実施例によれば、シートを高速で、即ち、単位時間当た
りの通紙枚数を多数枚としても、定着ローラ28と加圧
ローラ30との転接部において、定着動作に必要な温度
を確実に維持することが出来ることになる。
【0093】また、この一実施例においては、弾性ロー
ラとして構成される定着ローラ28に発熱源を内蔵させ
ずに、定着ローラ28から離間した位置に配設された加
熱ローラ34に発熱源32を内蔵するようにしたので、
定着ローラ28のシリコーンゴム耐熱弾性体28Bの厚
さを十分に厚くすることが可能となり、この結果、この
一実施例によれば、転接部におけるニップ幅を、定着ロ
ーラ28を小径に維持しながら、十分に広く取ることが
可能となる。
【0094】また、この一実施例においては、第1の従
動ギヤ58と定着ローラ28との間にワンウェイクラッ
チ60を介設することにより、シートの搬送のための主
駆動(即ち、シートの搬送速度を規定する駆動ローラ)
として、定着ローラ28ではなく、加圧ローラ30を設
定している。この為、例え、定着ローラ28が定着動作
に伴い加熱され、この結果、熱膨張により定着ローラ2
8の外径が熱膨張したとしても、この定着ローラ28で
シートの搬送速度を規定していないので、この熱膨張に
よりシートの搬送速度が変化することなく、常に、一定
に保持することが出来ることになる。この結果、この一
実施例によれば、線速を一定に維持して、転写ずれや画
像の擦れ等を確実に防止することが可能になる。
【0095】
【変形例の説明】この発明は、上述した一実施例の構成
に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範
囲で、種々変形可能であることは言うまでもない。
【0096】例えば、上述した一実施例においては、定
着装置10は電子式プリンタに適用される場合につき説
明したが、この発明は、このような適用に限定されるこ
となく、電子式ファクシミリ装置、電子式複写装置等の
電子画像形成装置に適用され得ることは言うまでもな
い。
【0097】また、上述した一実施例においては、未定
着シートは横方向から定着装置10に搬送されてくるよ
うに説明したが、この発明は、このような構成に限定さ
れることなく、未定着シートは上下方向、例えば、下か
ら上に向けて搬送されるように構成してもよい。この場
合、加圧ローラ30は定着ローラ28の下方ではなく、
側方に配設されることとなり、一方、加熱ローラ34は
定着ローラ28の、加圧ローラ30が配設された側とは
反対側の側方に配設されることになることは言うまでも
ない。
【0098】また、上述した実施例では、定着ベルト3
6のベルト基体36aは、ポリイミド樹脂から形成され
るように説明したが、この発明は、このような材料に限
定されることなく、ポリイミド樹脂以外の耐熱性樹脂で
あれば良い。
【0099】また、上述した実施例では、定着ベルト3
6を加熱させるための第1の発熱源32は、定着ベルト
36が巻回される加熱ローラ(支持ローラ)34内に配
設されるように説明したが、この発明は、このような構
成に限定されることなく、第1の発熱源32を支持ロー
ラ34外に配設して、定着ベルト36を直接的に加熱す
るように構成してもよいものである。
【0100】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、定着ベルトのベルト基体に最適する耐熱性樹脂ベル
トの厚さ条件を備えた定着装置が提供されることにな
る。
【0101】また、この発明によれば、熱応答性及び破
壊強度の観点から定着ベルトのベルト基体に最適する耐
熱性樹脂ベルトを備えた定着装置が提供されることにな
る。
【0102】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる定着装置の一実施例の構成を
示す正面断面図である。
【図2】定着ローラと加圧ローラとの転接状態を示す図
である。
【図3】駆動機構の構成を取り出して示す正面図であ
る。
【図4】定着ローラに対する加熱ローラの配設位置の許
容範囲を調べるために行われた実験例における構成角度
を示す図である。
【図5】定着ベルトの構成を取り出して示す正面図であ
る。
【図6】定着ベルトの熱応答性を調べるために行われた
実験結果を示す線図である。
【図7】従来の定着装置の構成を概略的に示す正面図で
ある。
【符号の説明】
10 定着装置 12 ハウジング 14 底板 16 側板 18 上カバー部 20 左カバー部 22 揺動レバー 24 第1の支軸 26 第2の支軸 28 定着ローラ 28A 芯金部 28B ローラ本体 30 加圧ローラ 30A 芯金部 30B ローラ本体 32 第1の発熱源 33 第2の発熱源 34 加熱ローラ(支持ローラ) 36 定着ベルト 36a ベルト基体 36b 耐熱弾性離型層 38 オイル塗布ローラ 40 第1のコイルバネ 42 第2のコイルバネ 44 ガイド板 46 入口ポート 48 排紙通路 50 下排紙ローラ 52 駆動機構 54 上排紙ローラ 56 板バネ 58 第1の従動ギヤ 60 ワンウェイクラッチ 62 伝達ギヤ 64 第2の従動ギヤ 66 カラー 68 ケーシング 70 ガイドリブ 72 アイドルギヤ 74 第3の従動ギヤ 76 剥離爪 78 排紙センサ 80 第1のサーミスタ 82 第2のサーミスタ 84 第3のサーミスタ 86 制御装置 88A 第1のヒータドライバ 88B 第2のヒータドライバ 90 電源スイッチ EB エンドレスベルト GE 出力ギヤ S 未定着シート

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】定着ローラと、この定着ローラに所定の圧
    力で転接する加圧ローラと、前記定着ローラから離間し
    て配設された支持ローラと、この支持ローラと定着ロー
    ラとにエンドレスに掛け渡された定着ベルトと、この定
    着ベルトを発熱させ、前記定着ローラ及び加圧ローラの
    転接部を通過するシート上の未定着トナーを加熱する発
    熱手段とを備え、未定着トナーが表面上に担持されたシ
    ートが、前記転接部を一方向に沿って通過することによ
    り、前記未定着トナーを前記シート上に定着させる定着
    装置において、 前記定着ベルトは、耐熱性樹脂から形成されたエンドレ
    ス状のベルト基体と、このベルト基体の外表面に形成さ
    れた耐熱離型層とを備え、 前記ベルト基体の厚さは、60μm以上、400μm以
    下の範囲内に設定されていることを特徴とする定着装
    置。
  2. 【請求項2】前記耐熱性樹脂は、ポリイミドであること
    を特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 【請求項3】前記ベルト基体の厚さは、好ましくは、6
    0μm以上、90μm以下の範囲内に設定することを特
    徴とする請求項1に記載の定着装置。
  4. 【請求項4】前記耐熱性樹脂は、導電性を有するように
    形成されていることを特徴とする請求項1に記載の定着
    装置。
  5. 【請求項5】前記耐熱離型層は、弾性を有して形成され
    ている事を特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  6. 【請求項6】前記耐熱弾性離型層は、シリコーンゴムか
    ら形成されていることを特徴とする請求項5に記載の定
    着装置。
  7. 【請求項7】前記耐熱弾性離型層の厚さを、100μm
    以上、400μmの範囲内に設定することを特徴とする
    請求項5に記載の定着装置。
  8. 【請求項8】前記発熱手段は、前記支持ローラに内蔵さ
    れ、該支持ローラを介して前記定着ベルトを加熱するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006201640A (ja) * 2005-01-24 2006-08-03 Ricoh Co Ltd 定着装置及びこれを用いる画像形成装置

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