JP2001032745A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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JP2001032745A
JP2001032745A JP11207689A JP20768999A JP2001032745A JP 2001032745 A JP2001032745 A JP 2001032745A JP 11207689 A JP11207689 A JP 11207689A JP 20768999 A JP20768999 A JP 20768999A JP 2001032745 A JP2001032745 A JP 2001032745A
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internal combustion
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒のNOx劣化とHC劣化を簡単に判定で
きるシステムを構築する。 【解決手段】 ディーゼルエンジン1の排気管31にN
Ox触媒36を設け、その上流に入ガスNOxセンサ52
を設け、下流に出ガスNOxセンサ54を設け、さら
に、入ガスNOxセンサ52の上流に、排気管31内に
炭化水素(HC)を間欠的に供給するHC供給装置40
を設ける。入ガスNOxセンサ52、出ガスNOxセンサ
54は酸素ポンプを利用したNOxセンサで構成されて
いて、このNOxセンサは、HCの間欠供給に対して干
渉影響を受け、出力が一瞬低下する特性がある。この特
性を利用して、HC間欠供給時における入ガスNOxセ
ンサ52と出ガスNOxセンサ54の出力変化から、N
Ox触媒36のHC劣化を判定する。NOx触媒36のN
Ox劣化は、出ガスNOxセンサ36の出力から判定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関から排出
される排気ガスを浄化する排気浄化装置に関し、特に、
触媒による酸化作用あるいは還元作用を利用して排気を
浄化する排気浄化装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関から排出される排気ガス中の有
害成分の大気への排出量を低減するための一手段とし
て、触媒の酸化作用あるいは還元作用を利用して有害成
分を浄化するシステムがある。
【0003】近年の触媒に関する研究開発により触媒の
性能向上は目覚ましいものがあり、小型でも浄化性能が
高い触媒装置の実現が可能になった。その結果、近年、
車両用内燃機関の排気ガスを浄化する排気浄化システム
として、触媒を組み込んだ排気浄化装置が多用されるに
至っている。
【0004】現在、実用に供されている排気ガス浄化用
の触媒には、酸化触媒、三元触媒、NOx触媒などがあ
り、これら触媒を、内燃機関の燃焼形態や空燃比、ある
いは浄化すべき有害物質の種類などに応じて使い分けて
いる。
【0005】これら触媒のうち、NOx触媒には、選択
還元型NOx触媒と吸蔵還元型NOx触媒がある。選択還
元型NOx触媒とは、酸素過剰の雰囲気で炭化水素(H
C)の存在下でNOxを還元または分解する触媒をい
い、一方、吸蔵還元型NOx触媒とは、流入排気ガスの
空燃比がリーンのときはNOxを吸収し、流入排気ガス
中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出しN2
還元する触媒をいう。これらNOx触媒は、排気ガス中
のHCを酸化して浄化する酸化作用と、排気ガス中のN
Oxを還元して浄化する還元作用を備えている。
【0006】一般に、触媒を長期に亘って使用している
と、その触媒が有する酸化作用や還元作用が衰えていく
という現象がある。上記NOx触媒も例に漏れず、長期
に亘って使用していると、酸化作用の衰えによりHC浄
化能力が低下したり、還元作用の衰えによりNOx浄化
能力が低下したりする。このようにHC浄化能力の低下
(以下、これをHC劣化ということもある)やNOx浄
化能力の低下(以下、これをNOx劣化ということもあ
る)を生じたNOx触媒を使用し続けると、排気ガス中
の有害物質を浄化しきれなくなり、有害物質を含む排気
ガスを大気中に排出する虞れがある。したがって、この
ような浄化能力の低下したNOx触媒に対しては交換等
の措置が必要であり、そのためには触媒の浄化能力の管
理(換言すれば、触媒の劣化判定)が極めて重要であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】触媒の劣化判定技術に
関しては、例えば特開平9−144531号公報に開示
されているものがある。この公報に記載された技術で
は、内燃機関の排気通路に排気ガス中の有害成分を酸化
または還元して浄化する触媒(NOx触媒や三元触媒な
ど)を設け、この触媒の下流に、排気ガス中のNOx濃
度を測定するNOxセンサと、排気ガス中のNOx以外の
有害物質(HCやCO)の濃度を測定するガスセンサ
(HCセンサやCOセンサ)を設置し、NOxセンサの
出力値が所定の値を越えたときに触媒の還元作用が劣化
したものと判定し、前記ガスセンサの出力値が所定の値
を超えたときに触媒の酸化作用が劣化したものと判定し
ている。
【0008】このように、酸化作用と還元作用を併有す
る触媒の劣化を判定するためには従来は二種類のセン
サ、即ち、酸化作用の劣化を判定するために必要なデー
タを得るためのセンサと、還元作用の劣化を判定するた
めに必要なデータを得るためのセンサが必要であった。
その理由は、触媒における酸化作用の劣化と還元作用の
劣化は必ずしも同じ進度で進むとは限らないからであ
る。
【0009】このようにセンサの数が多くなると、コス
トアップになるだけでなく、メンテナンスの対象も多く
なるという不具合もあった。本発明はこのような従来の
技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解
決しようとする課題は、簡単な構造ながら、触媒の浄化
能力を知ることができ、これから触媒の劣化程度を知る
ことができる内燃機関の排気浄化装置を提供することに
ある。
【0010】また、本発明が解決しようとする別の課題
は、酸素ポンプ式のNOx濃度検出手段の出力特性を利
用することにより、NOx濃度検出手段にHC濃度検出
機能を付与し、排気浄化装置の簡略化を図ることにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本出願に係る発明は前記
課題を解決するために、以下の手段を採用した。 (1)本出願に係る第1の発明の内燃機関の排気浄化装
置は、内燃機関の排気ガスのHC濃度を増大せしめるH
C濃度増大手段と、酸素イオン伝導体を用いた酸素ポン
プを有し内燃機関の排気通路に設置されて排気ガスのN
Ox濃度を検出するNOx濃度検出手段と、前記HC濃度
増大手段により排気ガスのHC濃度を急速に増大せしめ
た時における前記NOx濃度検出手段の検出値に基づい
て排気ガスのHC濃度増大量を推定するHC濃度増大量
推定手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有
するNOx濃度検出手段は、流入する排気ガスのHC濃
度(炭化水素濃度)が急速に増大したときに、HC濃度
増大量に応じた干渉影響を受け、流入する排気ガスのN
Ox濃度が変化していないにも拘わらず該NOx濃度検出
手段の検出値が一瞬低下する。第1の発明を初めとする
本出願に係る総ての発明はNOx濃度検出手段のこの出
力特性を利用している。
【0013】内燃機関の排気浄化装置においては、例え
ばNOxに対する還元剤として作用させるためや、触媒
上で酸化させて排気ガス温度を上昇させるためなど、種
々の目的から排気ガスのHC濃度を一時的にあるいは継
続的に増大させる操作を行うことがある。この場合、H
C濃度の管理が非常に重要である。
【0014】この第1の発明に係る内燃機関の排気浄化
装置では、前記HC濃度増大手段により排気ガスのHC
濃度を急速に増大せしめた時に、HC濃度増大量推定手
段が、前記NOx濃度検出手段の検出値の低下量に基づ
いて、排気ガスのHC濃度増大量を推定する。
【0015】この第1の発明において、HC濃度増大手
段によりHC濃度を増大する前における排気ガスのHC
濃度は低い方が好ましい。HC濃度増大前の排気ガスの
HC濃度がHC濃度増大後の排気ガスのHC濃度に比べ
て極めて低い場合には、HC濃度増大量推定手段により
推定されたHC濃度増大量は、HC濃度増大後における
排気ガスのHC濃度にほぼ等しくなるので、したがっ
て、推定されたHC濃度増大量は、HC濃度増大後にお
ける排気ガスのHC濃度とみなすこともできる。
【0016】また、HC濃度に排気ガス流量と流通時間
を乗ずればHC供給量になることから、この第1の発明
においては、排気ガス流量と流通時間が予めわかってい
るか若しくは検出できるようにしておくことにより、H
C濃度増大量推定手段により推定されるHC濃度増大量
はHC供給量と等価であるということができる。
【0017】したがって、前記第1の発明は、(イ)内
燃機関の排気通路にHCを間欠的に供給するHC供給手
段と、(ロ)酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有
し内燃機関の排気通路に設置されて排気ガスのNOx濃
度を検出するNOx濃度検出手段と、(ハ)前記HC供
給手段によるHC供給時における前記NOx濃度検出手
段の検出値に基づいてHC供給量を推定するHC供給量
推定手段と、を備える内燃機関の排気浄化装置と等価で
あるということができる。
【0018】(2)本出願に係る第2の発明の内燃機関
の排気浄化装置は、前記第1の発明を前提として、さら
に、前記HC濃度増大量推定手段により推定された推定
HC濃度増大量と前記HC濃度増大手段により増大すべ
き目標HC濃度増大量との比較値が所定の許容範囲から
外れたときにHC濃度増大手段が故障であると判定する
故障判定手段、を備えることを特徴とする。
【0019】第2の発明において、推定HC濃度増大量
と目標HC濃度増大量との比較値とは、前者と後者の差
であってもよいし、前者と後者の比(商)であってもよ
い。要するに、推定HC濃度増大量と目標HC濃度増大
量の誤差に基づく数値であってHC濃度増大手段の故障
判定の指標となり得るものであればよい。
【0020】(3)本出願に係る第3の発明の内燃機関
の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路に設けられた触
媒と、前記触媒に流入する前記内燃機関の排気ガスのH
C濃度を増大せしめるHC濃度増大手段と、酸素イオン
伝導体を用いた酸素ポンプを有し前記触媒の下流に設置
されて排気ガスのNOx濃度を検出する触媒下流NOx濃
度検出手段と、前記HC濃度増大手段によりHC濃度を
急速に増大せしめた時における前記触媒下流NOx濃度
検出手段の検出値に基づいて前記触媒のHC浄化能力を
推定するHC浄化能力推定手段と、を備えることを特徴
とする。
【0021】前記触媒がHC浄化能力を有している場
合、触媒上流の排気ガスのHC濃度が同一であるときに
は、触媒下流の排気ガスのHC濃度は触媒のHC浄化能
力が高ければ高いほど低くなる。
【0022】第3の発明においては、HC濃度増大手段
により触媒上流の排気ガスのHC濃度を急速に増大せし
め、その時に触媒下流NOx濃度検出手段で検出した検
出値から触媒下流の排気ガスのHC濃度を推定する。こ
れから、HC浄化能力推定手段が触媒のHC浄化能力を
推定する。
【0023】(4)本出願に係る第4の発明の内燃機関
の排気浄化装置は、前記第3の発明を前提として、さら
に、酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し前記触
媒の上流に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出する
触媒上流NOx濃度検出手段を備え、前記HC浄化能力
推定手段は、前記HC濃度増大手段によりHC濃度を急
速に増大せしめた時における前記触媒上流NOx濃度検
出手段の検出値と前記触媒下流NOx濃度検出手段の検
出値とを比較し、その比較値に基づいて前記触媒のHC
浄化能力を推定することを特徴とする。
【0024】触媒のHC浄化能力が同等である場合、触
媒下流のHC濃度は、触媒上流のHC濃度の大きさによ
って異なる。したがって、触媒のHC浄化能力をより正
確に判定するためには、触媒上流のHC濃度を知る必要
がある。
【0025】第4の発明においては、触媒上流の排気ガ
スのHC濃度を、HC濃度増大手段によりHC濃度を急
速に増大せしめた時における触媒上流NOx濃度検出手
段の検出値から推定する。そして、HC浄化能力推定手
段は、触媒上流の排気ガスのHC濃度に対応する触媒上
流NOx濃度検出手段の検出値と、触媒下流の排気ガス
のHC濃度に対応する触媒下流NOx濃度検出手段の検
出値とを比較した比較値の大きさから、触媒のHC浄化
能力を推定する。
【0026】前記比較値は、触媒上流NOx濃度検出手
段の検出値(前者)と触媒下流NOx濃度検出手段の検
出値(後者)の差であってもよいし、両者の比(商)で
あってもよい。比較値を差(前者−後者)で表した場合
には、比較値が大きいほどHC浄化能力が高く、比較値
を後者と前者の比(後者/前者)で表した場合には、比
較値が小さいほどHC浄化能力が高いこととなる。
【0027】(5)本出願に係る第5の発明の内燃機関
の排気浄化装置は、前記第3の発明を前提として、さら
に、前記HC濃度増大手段によって増大せしめられるH
C濃度増大量は内燃機関の運転状態に応じて予め設定さ
れていることを特徴とする。
【0028】HC濃度増大手段によって増大せしめられ
るHC濃度増大量が内燃機関の運転状態に応じて予め設
定されている場合には、触媒上流にNOx濃度検出手段
を設けなくても触媒上流の排気ガスのHC濃度を推定す
ることができるし、また、HC濃度増大手段によりHC
濃度を急速に増大せしめた時における触媒上流NOx濃
度検出手段の検出値を予め推定することもできるので、
触媒上流NOx濃度検出手段を省くことができる。
【0029】(6)本出願に係る第6の発明の内燃機関
の排気浄化装置は、前記第3の発明、または第4の発
明、または第5の発明を前提として、さらに、前記HC
浄化能力推定手段によって推定した前記触媒のHC浄化
能力が所定の能力以下のときに前記触媒はHC劣化した
と判定するHC劣化判定手段を備えることを特徴とす
る。
【0030】(7)本出願に係る第7の発明の内燃機関
の排気浄化装置は、前記第3の発明、または第4の発
明、または第5の発明を前提として、さらに、前記HC
濃度増大手段によるHC濃度増大が行われていない時に
おける前記触媒下流NOx濃度検出手段の検出値から前
記触媒のNOx浄化能力を求め、NOx浄化能力が所定の
能力以下のときに前記触媒がNOx劣化したと判定する
NOx劣化判定手段を備えることを特徴とする。
【0031】本出願の前記第1から第7の発明におい
て、「HC濃度増大手段によりHC濃度を急速に増大せ
しめた時」には、次のまたはが含まれる。 排気ガス中にHCを間欠的に供給する場合のHC間欠
供給時 排気ガス中にHCを連続供給している場合であって瞬
時にHC供給量を急増させた時
【0032】本出願の前記第1から第7の発明におい
て、HC濃度増大手段は、排気通路にHCを間欠的に供
給するHC供給装置で構成することができる。HC濃度
増大手段により排気ガスのHC濃度を増大せしめるHC
成分としては、ガソリンや軽油など内燃機関の燃料を採
用することができる。内燃機関の燃料をHC成分とする
場合には、HC濃度増大手段は、内燃機関の膨張行程や
排気行程において内燃機関の燃焼室に燃料を副噴射する
副噴射装置で構成することができる。内燃機関として
は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン(希薄燃焼
可能なガソリンエンジン、所謂リーンバーンガソリンエ
ンジンを含む)を例示することができる。
【0033】本出願の前記第1から第7の発明におい
て、NOx濃度検出手段における「酸素ポンプ」とは、
酸素をイオン化して酸素イオン伝導体を介して汲み上げ
る機能をいう。
【0034】本出願に係る前記第3から第7の発明にお
いて、触媒としては、吸蔵還元型NOx触媒や選択還元
型NOx触媒を例示することができる。吸蔵還元型NOx
触媒は、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにN
Oxを吸収し、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下す
ると吸収したNOxを放出し、N2に還元する触媒であ
る。この吸蔵還元型NOx触媒は、例えばアルミナを担
体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムN
a、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金
属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土
類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から
選ばれた少なくとも一つと、白金Ptのような貴金属と
が担持されてなる。
【0035】選択還元型NOx触媒は、酸素過剰の雰囲
気で炭化水素の存在下でNOxを還元または分解する触
媒をいい、ゼオライトにCu等の遷移金属をイオン交換
して担持した触媒、ゼオライトまたはアルミナに貴金属
を担持した触媒、等が含まれる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る内燃機関の排
気浄化装置の一実施の形態を図1から図11の図面に基
いて説明する。尚、以下に記載する実施の形態は、本発
明に係る排気浄化装置を内燃機関としての車両用ディー
ゼルエンジンに適用した態様である。
【0037】図1は内燃機関の排気浄化装置の一実施の
形態における全体構成を示す図である。エンジン1は6
気筒ディーゼルエンジンであり、1番気筒(#1)から
6番気筒(#6)の各気筒11,12,13,14,1
5,16の燃焼室には吸気管2、吸気マニホールド3を
介して新気が導入される。吸気管2の途中には、エアフ
ロメータ7と、ターボチャージャ4のコンプレッサ4a
と、インタークーラ5と、吸気絞り弁6が設けられてい
る。吸気絞り弁6は、エンジン1の運転状態に応じてエ
ンジンコントロール用電子制御ユニット(ECU)10
0によって制御される。
【0038】また、エンジン1には、各気筒11〜16
に燃料を噴射する燃料噴射弁21,22,23,24,
25,26が設けられている。燃料噴射弁21〜26の
開弁時期及び開弁時間は、エンジン1の運転状態に応じ
てECU100により制御される。
【0039】各気筒11〜16の燃焼室で生じた排気ガ
スは、排気マニホールド30を介して排気管31に排出
され、図示しないマフラーを介して大気に排出される。
排気マニホールド30に流入した排気ガスの一部は、排
気還流管32を介して吸気マニホールド3に再循環可能
になっている。排気還流管32の途中には、EGRクー
ラ33とEGR弁34が設けられている。EGR弁34
は、エンジン1の運転状態に応じてECU100によっ
て開度制御され、排気還流量を制御する。
【0040】排気管31の途中には、ターボチャージャ
4のタービン4bと、排気絞り弁35と、吸蔵還元型N
Ox触媒36を内蔵したケーシング37が設けられてい
る。吸蔵還元型NOx触媒36については後で詳述す
る。
【0041】排気ガスはタービン4bを駆動し、タービ
ン4bに連結されたコンプレッサ4aを駆動して、吸気
を過給する。排気絞り弁35は、エンジン1の運転状態
に応じてエンジンコントロール用電子制御ユニット(E
CU)100によって制御される。
【0042】排気管31において排気絞り弁35とケー
シング37の間には、このエンジン1の燃料である軽油
を排気管31内に供給するHC供給装置(HC濃度増大
手段)40が設置されている。HC供給装置40は、図
示しない燃料タンクの軽油を昇圧して圧送する供給ポン
プ41と、供給ポンプ41で昇圧された軽油を排気管3
1内に導入する導入管42と、導入管42の途中に設け
られた制御弁43を備えている。
【0043】排気管31においてHC供給装置40より
も下流であってケーシング37よりも上流には、ケーシ
ング37に流入する排気ガス(以下、入ガスという)の
温度に対応した出力信号をECU100に出力する入ガ
ス温センサ51と、入ガスのNOx濃度に対応した出力
信号をECU100に出力する入ガスNOxセンサ(触
媒上流NOx濃度検出手段)52が取り付けられてい
る。
【0044】また、排気管31においてケーシング37
よりも下流には、ケーシング37から流出する排気ガス
(以下、出ガスという)の温度に対応した出力信号をE
CU100に出力する出ガス温センサ53と、出ガスの
NOx濃度に対応した出力信号をECU100に出力す
る出ガスNOxセンサ(触媒下流NOx濃度検出手段)5
4が取り付けられている。
【0045】入ガス温センサ51と出ガス温センサ53
の出力信号に基づいて、ECU100は吸蔵還元型NO
x触媒36の触媒温度を演算する。入ガスNOxセンサ5
2と出ガスNOxセンサ54については後で詳述する。
【0046】ECU100はデジタルコンピュータから
なり、双方向バスによって相互に接続されたROM(リ
ードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモ
リ)、CPU(セントラルプロセッサユニット)、入力
ポート、出力ポートを具備し、エンジン1の燃料噴射量
制御等の基本制御を行うほか、この実施の形態では、H
C供給装置40のHC供給制御等を行っている。
【0047】これら制御のために、ECU100の入力
ポートには、アクセル開度センサ61からの入力信号
と、クランク角センサ62からの入力信号が入力され
る。アクセル開度センサ61はアクセル開度に比例した
出力電圧をECU100に出力し、ECU100はアク
セル開度センサ61の出力信号に基づいてエンジン負荷
を演算する。クランク角センサ62はクランクシャフト
が一定角度回転する毎に出力パルスをECU100に出
力し、ECU100はこの出力パルスに基づいてエンジ
ン回転数を演算する。これらエンジン負荷とエンジン回
転数によってエンジン運転状態が判別される。
【0048】次に、ケーシング37に内蔵された吸蔵還
元型NOx触媒(以下、単にNOx触媒ということもあ
る)36について説明する。吸蔵還元型NOx触媒36
は、例えばアルミナ(Al23)を担体とし、この担体
上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムL
i、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムB
a、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンL
a、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なく
とも一つと、白金Ptのような貴金属とが担持されてな
る。
【0049】このNOx触媒36は、流入排気ガスの空
燃比(以下、排気空燃比と称す)がリーンのときはNO
xを吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸
収したNOxを放出するNOxの吸放出作用を行う。尚、
排気空燃比とは、ここではNOx触媒36の上流側の排
気通路やエンジン燃焼室、吸気通路等にそれぞれ供給さ
れた空気量の合計と燃料(炭化水素)の合計の比を意味
するものとする。したがって、NOx触媒36よりも上
流の排気通路内に燃料、還元剤あるいは空気が供給され
ない場合には、排気空燃比はエンジン燃焼室内に供給さ
れる混合気の空燃比に一致する。
【0050】NOx触媒36の吸放出作用は、図2に示
すようなメカニズムで行われているものと考えられる。
以下、このメカニズムについて担体上に白金Ptおよび
バリウムBaを担持させた場合を例にとって説明する
が、他の貴金属,アルカリ金属,アルカリ土類,希土類
を用いても同様なメカニズムとなる。
【0051】まず、流入排気ガスの空燃比がかなりリー
ンになると流入排気ガス中の酸素濃度が大巾に増大し、
図2(A)に示されるように酸素O2 がO2 -又はO2-
形で白金Ptの表面に付着する。一方、流入排気ガスに
含まれるNOは、白金Ptの表面上でO2 -又はO2-と反
応し、NO2 となる(2NO+O2 →2NO2 )。
【0052】次いで、生成されたNO2は、白金Pt上
で酸化されつつNOx触媒36内に吸収されて酸化バリ
ウムBaOと結合しながら、図2(A)に示されるよう
に硝酸イオンNO3 -の形でNOx触媒36内に拡散す
る。このようにしてNOxがNOx触媒36内に吸収され
る。
【0053】流入排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金
Ptの表面でNO2が生成され、NOx触媒36のNOx
吸収能力が飽和しない限り、NO2がNOx触媒36内に
吸収されて硝酸イオンNO3 -が生成される。
【0054】これに対して、排気空燃比が理論空燃比ま
たはリッチ空燃比になると流入排気ガス中の酸素濃度が
低下するため、NO2の生成量が低下し、反応が逆方向
(NO3 -→NO2)に進み、NOx触媒36内の硝酸イオ
ンNO3 -がNO2またはNOの形でNOx触媒36から放
出される。即ち、流入排気ガス中の酸素濃度が低下する
と、NOx触媒36からNOxが放出されることになる。
【0055】一方、このとき、排気ガス中のHC,CO
は、白金Pt上の酸素O2 -又はO2-と反応して酸化せし
められる。また、流入排気ガス中の酸素濃度の低下によ
りNOx触媒36から放出されたNO2またはNOは、図
2(B)に示されるように未燃HC、COと反応して還
元せしめられてN2となる。
【0056】即ち、流入排気ガス中のHC,COは、ま
ず白金Pt上の酸素O2 -又はO2-とただちに反応して酸
化せしめられ、次いで白金Pt上の酸素O2 -又はO2-
消費されてもまだHC,COが残っていれば、このH
C,COによってNOx触媒から放出されたNOxおよび
エンジンから排出されたNOxがN2に還元せしめられ
る。
【0057】このようにして白金Ptの表面上にNO2
またはNOが存在しなくなると、NOx触媒36から次
から次へとNO2またはNOが放出され、さらにN2に還
元せしめられる。したがって、排気空燃比を理論空燃比
またはリッチ空燃比にすると短時間のうちにNOx触媒
36からNOxが放出され、N2に還元される。
【0058】このように、排気空燃比がリーンになると
NOxがNOx触媒36に吸収され、排気空燃比を理論空
燃比あるいはリッチ空燃比にするとNOxがNOx触媒3
6から短時間のうちに放出され、N2に還元される。し
たがって、大気中へのNOxの排出を阻止することがで
きる。
【0059】ところで、ディーゼルエンジンの場合は、
ストイキ(理論空燃比、A/F=13〜14)よりもは
るかにリーン域で燃焼が行われるので、通常の機関運転
状態ではNOx触媒36に流入する排気ガスの空燃比は
非常にリーンであり、排気ガス中のNOxはNOx触媒3
6に吸収され、NOx触媒36から放出されるNOx量は
極めて少ない。
【0060】また、ガソリンエンジンの場合には、燃焼
室に供給する混合気をストイキまたはリッチ空燃比にす
ることにより排気ガスの空燃比を理論空燃比またはリッ
チ空燃比にし、排気ガス中の酸素濃度を低下させて、N
Ox触媒36に吸収されているNOxを放出させることが
できるが、ディーゼルエンジンの場合には、燃焼室に供
給する混合気をストイキまたはリッチ空燃比にすると燃
焼の際に煤が発生するなどの問題があり採用することは
できない。
【0061】したがって、ディーゼルエンジンでは、N
Ox触媒36のNOx吸収能力が飽和する前に所定のタイ
ミングで、排気ガス中に還元剤を供給して排気ガス中の
酸素濃度を低下せしめ、NOx触媒36に吸収されたN
Oxを放出し還元する必要がある。尚、前記還元剤とし
ては、一般に、ディーゼルエンジンの燃料である軽油を
使用する場合が多い。
【0062】そのため、この実施の形態では、ECU1
00によりエンジン1の運転状態の履歴からNOx触媒
36に吸収されたNOx量を推定し、その推定NOx量が
予め設定した所定値に達したときに、所定時間だけ制御
弁43を開弁して所定量の燃料を排気管31内に供給
し、NOx触媒36に流入する排気ガス中の酸素濃度を
低下させ、NOx触媒36に吸収されたNOxを放出さ
せ、N2に還元するようにしている。つまり、この実施
の形態では、HC供給装置40によって排気管31に炭
化水素(軽油)を間欠的に供給する。尚、供給ポンプ4
1は基本的には常時運転される。
【0063】したがって、この実施の形態では、制御弁
43が閉弁していて排気管31に燃料が供給されていな
いときには、排気ガス中のNOxはNOx触媒36に吸収
され、制御弁43が開弁して排気管31に燃料が供給さ
れているときには、NOx触媒36に吸収されたNOxが
放出され、N2に還元されることになる。
【0064】次に、入ガスNOxセンサ52及び出ガス
NOxセンサ54について説明する。入ガスNOxセンサ
52及び出ガスNOxセンサ54に用いられるNOxセン
サは酸素ポンプ(O2ポンプ)を応用したものであり、
SAE(Society of Aoutomotive Engineers)9801
70号等にも開示されているように既に公知である。こ
のNOxセンサのNOx濃度測定原理について図3を参照
して説明する。
【0065】まず、NOxセンサの基本構造について説
明すると、NOxセンサは、ジルコニア等の酸素イオン
伝導体からなる一対の隔壁201,202に挟まれて形
成されるガス通路203を有している。このガス通路2
03において図3の紙面と平行をなす両側面は絶縁材か
らなる図示しない側壁によって閉塞されており、ガスは
ガス通路203を図3において左側から右側に向かって
流れるようになっている。尚、隔壁201,202は互
いに電気的に絶縁されている。
【0066】ガス通路203の両端部と中央部には多孔
質素材からなる絞り部材204,205,206が設け
られており、これら絞り部材204,205,206の
間に第1反応室211と第2反応室212が形成されて
いる。絞り部材204,205,206は、ガス通路2
03を流通するガス流量を、NOx濃度の測定に適する
流量に制限する絞りとして機能する。
【0067】このNOxセンサを、絞り部材204が設
けられた側をガス流の上流側に位置せしめてガス流内に
配置したとき、ガスは絞り部材204、第1反応室21
1、絞り部材205、第2反応室212、絞り部材20
6の順に通過して下流へと流れる。
【0068】隔壁201において第1反応室211に対
応する部位には、第1反応室211側を陰極、隔壁20
1の外面側を陽極として所定の大きさの電圧を印加する
第1閉回路220が設けられている。
【0069】また、隔壁202において第2反応室21
2に対応する部位には、第2反応室212側を陰極、隔
壁202の外面側を陽極として所定の大きさの電圧を印
加する第2閉回路230が設けられている。
【0070】次に、このNOxセンサのNOx濃度測定原
理を説明する。このNOxセンサではNOx濃度を直接的
に測定するわけではなく、NOxをN2とO2に分解し、
NOxを分解して得たO2の濃度を測定し、これから化学
量論的にNOx濃度を求めるのであるが、この原理によ
り排気ガスのNOx濃度を測定する場合、排気ガス中に
はもともと酸素が存在するため、排気ガス中のNOxを
2とO2に分解する前に排気ガス中の酸素を取り除いて
おかないと、NOx濃度を求めることができない。
【0071】そのために、このNOxセンサでは、初め
に第1反応室211において排気ガス中の酸素を除去
し、次に第2反応室212において排気ガス中のNOx
をN2とO2に分解しNOx濃度を測定する。
【0072】即ち、第1閉回路220によって隔壁20
1には電圧が印加されているので、第1反応室211内
の排気ガス中の酸素のみが選択的にイオン化されて酸素
イオンとなる。尚、この段階ではNOxがN2とO2に分
解されることはない。そして、隔壁201が酸素イオン
伝導体で構成されていることから、この酸素イオンが隔
壁201を第1閉回路220の陰極側から陽極側へ流
れ、その結果、第1閉回路220に電流が流れる。この
ように、空間内の酸素をイオン化して酸素イオン伝導体
を介して取り出す一連の機能を一般に「酸素ポンプ」と
称している。
【0073】ここで、絞り部材204による流量絞り性
能を所定に設定し、第1閉回路220に印加する電圧の
大きさを所定に設定すれば、酸素ポンプによって第1反
応室211内の酸素を外部に汲み出す速度を、絞り部材
204を通り第1反応室211内に新たに流入してくる
酸素の流入速度よりも大きくすることが可能であり、そ
のように設定すれば第1反応室211内の酸素を殆どな
くすことができ、したがって、第1反応室211内の排
気ガスの酸素濃度をほぼ零にすることができる。
【0074】そして、第1反応室211において酸素濃
度を零にされた排気ガスは、絞り部材205を通って第
2反応室212内に流入する。第2反応室212にはN
Oxの還元を促進させるための触媒(図示せず)が設け
られており、この触媒作用によって第2反応室212内
の排気ガス中のNOxはN2とO2に分解せしめられる。
【0075】ここで、第2閉回路230によって隔壁2
02には電圧が印加されているので、NOxの分解によ
って生じた酸素はイオン化して酸素イオンとなり、この
酸素イオンが酸素イオン伝導体で構成されている隔壁2
02を第2閉回路230の陰極側から陽極側へ流れ、そ
の結果、第2閉回路230に電流が流れる。この第2閉
回路230に流れる電流を電流計231で測定し、この
電流値から酸素濃度を求め、さらにこの酸素濃度に基づ
いて化学量論的にNOx濃度を求める。
【0076】以上がNOxセンサの基本原理であるが、
本出願人は、このNOxセンサをある条件下で使用した
ときに該NOxセンサの出力が特異な挙動を示すことに
着目した。まず、入ガスNOxセンサ52のように、吸
蔵還元型NOx触媒の上流に設置されてNOx触媒に流入
する排気ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサの場合
を、図4を参照して説明する。
【0077】説明を簡単にするために、今、NOx濃度
およびHC濃度が共に一定の定常な排気ガスの流れの中
にNOxセンサを設置しているものとする。このときの
NOxセンサの出力は当然のことながらほぼ一定値n1
(この例では約100ppm)となる。
【0078】次に、このNOx濃度一定の排気ガスのH
C濃度だけを一時的に(間欠的に)急速に増大させる
と、排気ガスのNOx濃度は一定であるにも拘わらず、
NOxセンサの出力(即ち、NOx濃度検出値)はHC濃
度に応じた干渉影響を受け、図4に示すように、一度低
下した後、再びHC濃度増大前の定常値(n1)に戻る
という挙動を示す。
【0079】NOxセンサの出力がこのような挙動を示
す理由は次のように推察される。排気ガスのHC濃度を
急激に増大させると、NOxセンサの第1反応室211
において増大したHCとNOxの一部が反応し、NOxが
還元されてN2となり、その結果、第1反応室211内
の排気ガスのNOx濃度が低下する。このNOx濃度を低
下せしめられた排気ガスが第2反応室212に流入する
こととなるので、排気ガスのHC濃度を増大させたとき
にはNOxセンサの出力が一瞬低下すると推察される。
【0080】そして、本出願人はこの現象に再現性があ
ることを実験により確認している。図5はこの実験結果
の一例を示しており、この場合の実験条件としては、N
Ox濃度及びHC濃度が一定の定常な排気ガスが流れる
排気管内にNOxセンサを配置し、このNOxセンサより
も上流の排気管内にHCを瞬時に供給することによって
排気ガスのHC濃度を急速増大せしめた。この実験結果
から、HC濃度増大量(HC供給量)が大きいほどNO
xセンサの出力低下が大きくなり、また、HC濃度増大
量(HC供給量)を同一にした場合には、排気ガスのN
Ox濃度が大きいほどNOxセンサの出力低下が大きくな
ることがわかる。
【0081】したがって、このNOxセンサによって、
HC供給前の排気ガスのNOx濃度と、HC供給後のN
Oxセンサ出力の低下量(以下、これを「落ち込み量」
という)を検出することにより、HC供給量を求めるこ
とができる。そこで、この実施の形態では、HC供給装
置40から排気管31に実際に供給されたHCの供給量
を入ガスNOxセンサ52の出力に基づいて推定演算す
ることができるように、予め実験により、排気ガスのN
Ox濃度と、HC供給量と、HC供給後のNOxセンサ出
力の落ち込み量との関係(即ち、図5に相当する関係)
を求め、これをHC供給量マップとしてECU100の
ROMに記憶させておく。
【0082】次に、出ガスNOxセンサ54のように、
吸蔵還元型NOx触媒の下流に設置されて、NOx触媒に
よってNOxを浄化された排気ガスのNOx濃度を検出す
るNOxセンサの場合を、図6を参照して説明する。
【0083】説明を簡単にするために、NOx触媒には
NOx濃度およびHC濃度が共に一定の定常な排気ガス
が流入するものとする。この場合には、NOx触媒のN
Ox浄化率が変わらなければNOx触媒によりNOxを浄
化された排気ガスのNOx濃度はほぼ一定になるはずで
あるから、NOx触媒下流のNOxセンサの出力は当然の
ことながらほぼ一定値n2(この例では約100pp
m)となる。
【0084】ここで、NOx触媒に流入するNOx濃度一
定の排気ガスのHC濃度だけを一時的に(間欠的に)急
速に増大させると、NOxセンサの出力(即ち、NOx濃
度検出値)が図6に示すように、一度低下した後、今度
は一転してHC濃度増大前よりも大きくなり、その後再
び、HC濃度増大前の定常値(n2)に戻るという挙動
を示す。
【0085】NOxセンサの出力がこのような挙動を示
す理由は次のように推察される。まず、NOxセンサの
出力が一瞬低下する理由について推察する。HC濃度の
高い排気ガスがNOx触媒に流入すると、排気ガス中の
一部のHCはNOx触媒に付着している酸素と反応して
酸化し、また、他の一部のHCはNOx触媒から放出さ
れたNOxを還元するための還元剤として消費される。
そして、NOx触媒において酸素やNOxと反応し得なか
った残りのHCはNOx触媒を素通りしNOx触媒の下流
へと流れることとなる。ここで、NOx濃度を急激に増
大させた排気ガスをNOx触媒に供給した場合には、N
Ox触媒下流の排気ガスのHC濃度も急激に高くなるの
で、この排気ガスがNOx触媒下流のNOxセンサに流入
すると、前述したNOx触媒上流に設置したNOxセンサ
の場合と同様にHC濃度に応じた干渉影響を受け、NO
x触媒下流のNOxセンサの出力が一瞬低下すると推察さ
れる。
【0086】ところで、NOx触媒のHC浄化能力(酸
化作用)が低下すると(即ち、HC劣化が進行すると)
NOx触媒を通過するHC量が増えるので、NOx触媒に
流入する排気ガスのHC濃度を急激に増大させたときに
おけるNOx触媒下流のHC濃度の増大は、HC劣化後
の方がHC劣化前よりも大きくなる。したがって、NO
x触媒上流のHC濃度の増大条件が同じ場合であって
も、NOx触媒のHC劣化後の方がHC劣化前よりも、
NOx触媒下流のNOxセンサ出力の低下量(落ち込み
量)は大きくなる。
【0087】このことから、NOx触媒上流の排気ガス
のHC濃度を急激に増大したときにおけるNOx触媒下
流のNOxセンサの出力低下の状態から、NOx触媒のH
C浄化能力に対する劣化(即ち、HC劣化)の程度を判
定することができる。
【0088】そこで、この実施の形態では、NOx触媒
上流の排気ガスのHC濃度を急激に増大したときにおけ
るNOx触媒上流のNOxセンサ出力の落ち込み量とNO
x触媒下流のNOxセンサ出力の落ち込み量を演算し、こ
れら落ち込み量の比較値を求め、この比較値に基づいて
NOx触媒がHC劣化したか否か判定することにした。
【0089】尚、NOxセンサの出力が増大する理由は
次のように推察される。吸蔵還元型NOx触媒は、排気
ガスのHC濃度を増大することにより吸収されていたN
Oxを放出した場合、排気ガスのHC濃度を増大前の濃
度に戻しても、即座にNOxの放出が停止するわけでは
なく、若干の間、NOxの放出が続く(以下、これを
「NOxのしみ出し」という)という特性を有してい
る。つまり、NOxに対して還元剤として作用するHC
の供給がなくなったにもかかわらず、NOx触媒からN
Oxのしみ出しがあるためNOx触媒下流のNOx濃度が
上昇する。したがって、NOx触媒からNOxのしみ出し
が生じている間は、NOx触媒下流のNOxセンサの出力
が、HC濃度増大前の出力よりも大きくなると推察され
る。尚、本出願人は、NOx触媒下流に配置されたNOx
センサの図6に示すような出力特性についても、再現性
があることを実験により確認している。
【0090】次に、この実施の形態における内燃機関の
排気浄化装置の作用を説明する。前述したように、この
実施の形態では、ECU100によりエンジン1の運転
状態の履歴からNOx触媒36に吸収されたNOx量を推
定し、その推定NOx量が予め設定した所定値に達した
ときに、HC供給装置40によって所定量の炭化水素
(軽油)をNOx触媒36の上流の排気管31に間欠的
に供給し、これによって、NOx触媒36に吸収された
NOxを放出し、N2に還元する。
【0091】HC供給装置40によるHCの間欠供給
は、NOx触媒36に流入する入ガスのHC濃度を一時
的に急速に増大せしめることになるので、このときに入
ガスNOxセンサ52と出ガスNOxセンサ54は前述し
た出力変化を示す。そこで、この実施の形態では、EC
U100は、これら二つのNOxセンサ52,54の出
力に基づいて、 (1)NOx触媒36のNOx浄化率の演算及びNOx劣
化判定 (2)実HC供給量の推定及びHC供給装置の故障判定 (3)NOx触媒36のHC浄化指数の演算及びHC劣
化判定 を行う。以下、それぞれの処理について説明する。
【0092】(1)NOx触媒36のNOx浄化率の演算
及びNOx劣化判定 この排気浄化装置において、ECU100は、HC供給
装置40から排気管31にHC供給がされていない時
(HC非供給時)における入ガスNOxセンサ52と出
ガスNOxセンサ54の出力値から、NOx触媒36のN
Ox浄化能力(還元作用)の大きさを表すNOx浄化率を
演算し、さらにこれに基づいてNOx触媒36がNOx劣
化したか否か判定する。
【0093】即ち、NOx触媒36のNOx浄化率は、H
C非供給時における出ガスNOxセンサ54の出力値
(検出値)を入ガスNOxセンサ52の出力値(検出
値)で除した商を求め、この商を1から引いた値として
求められる。例えば、入ガスNOxセンサ52により検
出されたNOx濃度が100ppmで、出ガスNOxセン
サ54により検出されたNOx濃度が30ppmであれ
ば、この時のNOx触媒36のNOx浄化率は70%とい
うことになる。
【0094】NOx触媒36がNOx劣化していない場合
には、HC供給装置40によるHCの間欠供給により、
NOx触媒36のNOx浄化率を初期の状態に回復するこ
とができる。ところが、NOx触媒36のNOx劣化が進
行すると、HC供給装置40によるHCの間欠供給を行
っても、NOx浄化率を初期の状態に回復させることが
できなくなる。
【0095】そこで、この実施の形態では、ECU10
0は、常時、HC非供給時における出ガスNOxセンサ
54の出力値(検出値)と入ガスNOxセンサ52の出
力値(検出値)に基づいてNOx触媒36のNOx浄化率
を演算し、NOx触媒36の初期のNOx浄化率(以下、
初期NOx浄化率という)と比較してNOx劣化の程度を
求め、そのNOx劣化の程度が所定以上に大きくなった
とき(例えば、NOx浄化率が50%以下になったと
き)にNOx触媒36がNOx劣化したと判定する。
【0096】尚、この実施の形態では、NOx劣化程度
を求める際の基準となる初期NOx浄化率は次のように
して求めた(図7参照)。まだ全くNOxの浄化に供さ
れていない新品のNOx触媒36に、NOx濃度一定(例
えば、100ppm)の排気ガスを流し続け、NOx触
媒36を一旦、NOxで飽和させる。この時、入ガスN
Oxセンサ52と出ガスNOxセンサ54の出力は同じに
なる。
【0097】次に、所定の一定時間(例えば、6〜7
秒)間隔で、通常のHC間欠供給と同じ条件でNOx触
媒36の上流にHCを供給する。尚、図7においてA点
は、HC間欠供給開始点を示している。すると、HC非
供給時において出ガスNOxセンサ54で検出されるN
Ox濃度が徐々に低下していき、HC間欠供給を開始し
てから所定時間経過後(例えば、100〜120秒後)
に収束してほぼ一定値を示す(図7においてB点)。こ
のように収束した直後に、出ガスNOxセンサ54の出
力値と入ガスNOxセンサ52の出力値から演算して得
られたNOx浄化率を、NOx触媒36の初期NOx浄化
率とした。
【0098】次に、この実施の形態におけるNOx触媒
36のNOx劣化判定処理ルーチンを図8を参照して説
明する。このルーチンを構成する各ステップからなるフ
ローチャートはECU100のROMに記憶してあり、
フローチャートの各ステップにおける処理は総てECU
100のCPUによって実行される。
【0099】<ステップ101>まず、ECU100
は、ステップ101において、HC供給装置40から排
気管31にHCが供給されていないとき(HC非供給
時)に入ガスNOxセンサ52で検出された入ガスNOx
濃度と、出ガスNOxセンサ54で検出された出ガスN
Ox濃度を読み込む。
【0100】<ステップ102>次に、ECU100
は、ステップ102に進み、ステップ101で読み込ん
だ入ガスNOx濃度と出ガスNOx濃度から現時点におけ
るNOx触媒36のNOx浄化率(以下、現NOx浄化率
という)を演算する。
【0101】<ステップ103>次に、ECU100
は、ステップ103に進み、予め求めておいた初期NO
x浄化率とステップ101で求めた現NOx浄化率の差を
算出し、この差が予め設定した判定値αよりも大きいか
否か判定する。
【0102】<ステップ104>ステップ103で肯定
判定した場合には、ECU100は、ステップ104に
進んで、NOx触媒36がNOx劣化したと判定し、本ル
ーチンを終了する。
【0103】<ステップ105>ステップ103で否定
判定した場合には、ECU100は、ステップ105に
進んで、NOx触媒36はまだNOx劣化していないと判
定し、本ルーチンを終了する。
【0104】尚、NOx触媒36の上流の排気ガスのN
Ox濃度は、エンジン1の運転状態(運転条件)から推
定することが可能であるので、エンジン1の運転状態と
NOx触媒36の入ガスのNOx濃度とを対応させたマッ
プを予めECU100のROMに記憶させておき、この
マップを参照して入ガスのNOx濃度を推定するように
すれば、上述した「NOx浄化率の演算とNOx劣化判
定」に関する限りは、入ガスNOxセンサ52を省略す
ることも可能である。
【0105】この実施の形態では、ECU100がこの
NOx劣化判定処理ルーチンを実行することにより、本
発明に係るNOx劣化判定手段が実現される。
【0106】(2)実HC供給量の推定及びHC供給装
置の故障判定 次に、この排気浄化装置において、ECU100は、H
C供給装置40により排気管31にHCが間欠供給され
たときにおける入ガスNOxセンサ52の出力変化に基
づいて、排気管31内に実際に供給されたHC供給量
(以下、実HC供給量という)を演算して推定し、この
実HC供給量に基づいてHC供給装置40が故障してい
るか否かを判定する。
【0107】即ち、ECU100は、HC供給装置40
が排気管31内にHCを供給する直前に入ガスNOxセ
ンサ52で検出した入ガスNOx濃度と、HC供給直後
に入ガスNOxセンサ52に生じる出力変化における落
ち込み量に基づき、前述した図示しないHC供給量マッ
プを参照して排気管31に供給された実HC供給量を演
算する。
【0108】次に、ECU100は、HC供給装置40
により排気管31に供給すべき目標HC供給量(ECU
100の指令によりHC供給装置40から供給すべきと
されたHC供給量)と、前記実HC供給量とを比較し、
その比較値(両者の差または商など)に基づいて両者の
誤差が予め設定した許容誤差範囲に入っているか否か判
定する。そして、両者の誤差が許容誤差範囲内であれば
HC供給装置40は正常に稼働していると判定し、許容
誤差範囲から外れた場合にはHC供給装置40が異常で
あると判定する。
【0109】次に、この実施の形態におけるHC供給装
置の故障判定処理ルーチンを図9を参照して説明する。
このルーチンを構成する各ステップからなるフローチャ
ートはECU100のROMに記憶してあり、フローチ
ャートの各ステップにおける処理は総てECU100の
CPUによって実行される。
【0110】<ステップ201>まず、ECU100
は、ステップ201において、HC供給装置40によっ
てHCを供給する前に入ガスNOxセンサ52で検出し
た入ガスNOx濃度を読み込む。
【0111】<ステップ202>次に、ECU100
は、ステップ202に進み、HC供給直後の入ガスNO
xセンサ52の出力変化に基づいて、その落ち込み量を
演算する。
【0112】<ステップ203>次に、ECU100
は、ステップ203に進み、ステップ201で読み込ん
だ入ガスNOx濃度と、ステップ202で演算した落ち
込み量に基づき、HC供給量マップを参照して、実HC
供給量を演算する。
【0113】<ステップ204>次に、ECU100
は、ステップ204に進み、目標HC供給量とステップ
203で演算した実HC供給量との差を算出し、その差
(絶対値)が予め設定した許容範囲βよりも小さいか否
か判定する。
【0114】<ステップ205>ステップ204で肯定
判定した場合には、ECU100は、ステップ205に
進み、HC供給装置40が正常に作動していると判定
し、本ルーチンを終了する。
【0115】<ステップ206>ステップ204で否定
判定した場合には、ECU100は、ステップ206に
進み、HC供給装置40が故障していると判定し、本ル
ーチンを終了する。尚、ステップ206で故障判定され
た場合には、ECU100は、図示しないメーターパネ
ルの警告灯を点灯するなどの処理をすることも可能であ
る。
【0116】尚、この実施の形態では、このHC供給装
置の故障判定処理ルーチンのうちステップ201からス
テップ203をECU100が実行することにより、本
発明に係るHC濃度増大量推定手段が実現され、ステッ
プ204からステップ206をECU100が実行する
ことにより、本発明に係る故障判定手段が実現される。
【0117】(3)NOx触媒36のHC浄化指数の演
算及びHC劣化判定 次に、この排気浄化装置において、ECU100は、H
C供給装置40により排気管31にHCが間欠供給され
たときにおける入ガスNOxセンサ52と出ガスNOxセ
ンサ54の出力変化に基づいて、NOx触媒36のHC
浄化能力(酸化作用)の大きさを表すHC浄化指数(比
較値)を演算し、さらにこれに基づいてNOx触媒36
がHC劣化したか否か判定する。
【0118】HC浄化指数は、HC供給装置40から排
気管31内にHCが供給された直後に生じる出ガスNO
xセンサ54の出力変化における落ち込み量(b)を入
ガスNOxセンサ52の出力変化における落ち込み量
(a)で除した商(b/a)として求める。
【0119】図10は、HC間欠供給時における入ガス
NOxセンサ52及び出ガスNOxセンサ54の出力変化
の一例を示したものであり、図10(A)はNOx触媒
36がHC劣化していないときの出力波形を示し、図1
0(B)はNOx触媒36のHC劣化が相当に進んだと
きの出力波形を示す。前述したように、HC劣化が進む
とNOx触媒36を通過するHCが多くなるので、HC
浄化指数(b/a)が大きくなり、完全に劣化してHC
浄化能力がなくなるとHC浄化指数(b/a)は「1」
になる。
【0120】そこで、この実施の形態では、ECU10
0は、常時、HC間欠供給直後における出ガスNOxセ
ンサ54の出力の落ち込み量(b)と入ガスNOxセン
サ52の出力の落ち込み量(a)を演算し、これらから
NOx触媒36のHC浄化指数(b/a)を演算し、こ
のHC浄化指数(b/a)が予め設定した判定値γより
も大きくなったときにNOx触媒36がHC劣化したと
判定する。尚、判定値γは、この排気浄化装置において
出ガスに許容されるHC濃度(許容出ガスHC濃度)か
ら決定される値であり、例えばγ=0.5と設定するこ
とことができる。
【0121】次に、この実施の形態におけるHC劣化判
定処理ルーチンを図11を参照して説明する。このルー
チンを構成する各ステップからなるフローチャートはE
CU100のROMに記憶してあり、フローチャートの
各ステップにおける処理は総てECU100のCPUに
よって実行される。
【0122】<ステップ301>まず、ECU100
は、ステップ301において、HC供給直後の入ガスN
Oxセンサ52の出力変化に基づいてその落ち込み量
(a)を演算し、HC供給直後の出ガスNOxセンサ5
4の出力変化に基づいてその落ち込み量(b)を演算す
る。
【0123】<ステップ302>次に、ECU100
は、ステップ302に進み、ステップ301で演算して
求めた両NOxセンサ52,54の出力の落ち込み量
(a,b)に基づいて、現時点のHC浄化指数(b/
a)を算出する。
【0124】<ステップ303>次に、ECU100
は、ステップ303に進み、ステップ302で求めた現
時点のHC浄化指数(b/a)が予め設定した判定値γ
よりも大きいか否か判定する。
【0125】<ステップ304>ステップ303で肯定
判定した場合には、ECU100は、ステップ304に
進んで、NOx触媒36がHC劣化したと判定し、本ル
ーチンを終了する。
【0126】<ステップ305>ステップ303で否定
判定した場合には、ECU100は、ステップ305に
進んで、NOx触媒36はまだHC劣化していないと判
定し、本ルーチンを終了する。
【0127】この実施の形態では、このHC劣化判定処
理ルーチンのうちステップ301からステップ302を
ECU100が実行することにより、本発明に係るHC
浄化能力推定手段が実現され、ステップ303からステ
ップ305をECU100が実行することにより、本発
明に係るHC劣化判定手段が実現される。
【0128】尚、HC間欠供給直後における入ガスNO
xセンサ52の出力変化は再現性があり、HCの間欠供
給量に対応してほぼ一定に変化するので、HC間欠供給
直後における入ガスNOxセンサ52の出力の落ち込み
量(a)はHCの間欠供給量がわかっていれば推定する
ことができる。
【0129】したがって、HC供給装置40によるHC
の間欠供給量がエンジンの運転状態に応じて予め設定さ
れている場合には、予め実験により、HC間欠供給量と
入ガスNOxセンサ52の出力の落ち込み量(a)との
関係を求め、これをECU100のROMに記憶させて
おき、このマップを参照して入ガスNOxセンサ52の
出力の落ち込み量(a)を推定するようにすれば、上述
した「NOx触媒36のHC浄化指数の演算及びHC劣
化判定」に関する限りは、入ガスNOxセンサ52を省
略することが可能である。
【0130】このように、この実施の形態の内燃機関の
排気浄化装置では、NOx触媒36の上流と下流に一つ
ずつNOxセンサ52,54を設けただけであるが、こ
れらNOxセンサ52,54の出力を前述の如く所定に
処理することによって、NOx触媒36のNOx浄化能力
(NOx浄化率)を求めて、NOx劣化判定を行うことが
でき、また、実HC供給量を推定して、HC供給装置4
0の故障判定を行うことができ、さらにNOx触媒36
のHC浄化能力(HC浄化指数)を求めて、HC劣化判
定をすることができる。
【0131】〔他の実施の形態〕前述した実施の形態で
は、排気ガスのHC濃度を急速に増大せしめるのに、H
C供給装置40による排気管31へのHCの間欠供給を
採用しているが、これに代えて、例えばエンジンの膨張
行程や排気行程において燃焼室に燃料を副噴射すること
により、排気ガスのHC濃度を急速増大させるようにし
てもよい。
【0132】前述した実施の形態では本発明をディーゼ
ルエンジンに適用した例で説明したが、本発明を希薄燃
焼可能なガソリンエンジンに適用することもできる。ガ
ソリンエンジンの場合には、燃焼室に供給する混合気を
ストイキあるいはリッチ空燃比にすることにより排気空
燃比を理論空燃比あるいはリッチ空燃比にし、排気ガス
中の酸素濃度を低下させて、NOx触媒36に吸収され
ているNOxを放出・還元させることができる。
【0133】前述した実施の形態では、ケーシング37
に内蔵する触媒を吸蔵還元型NOx触媒としたが、この
触媒を選択還元型NOx触媒とすることもできる。触媒
を選択還元型NOx触媒とした場合にも、吸蔵還元型N
Ox触媒の場合と同様の作用・効果が奏される。
【0134】
【発明の効果】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置に
よれば、内燃機関の排気ガスのHC濃度を増大せしめる
HC濃度増大手段と、酸素イオン伝導体を用いた酸素ポ
ンプを有し内燃機関の排気通路に設置されて排気ガスの
NOx濃度を検出するNOx濃度検出手段と、前記HC濃
度増大手段により排気ガスのHC濃度を急速に増大せし
めた時における前記NOx濃度検出手段の検出値に基づ
いて排気ガスのHC濃度増大量を推定するHC濃度増大
量推定手段と、を備えることにより、HC濃度検出手段
がなくても、NOx濃度検出手段の検出値から排気ガス
のHC濃度増大量(HC供給量)を推定することができ
る。
【0135】また、本発明に係る内燃機関の排気浄化装
置において、故障判定手段を備えた場合には、HC濃度
増大手段が故障か否かを判定することができ、故障時の
早期対応が可能になる。
【0136】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によ
れば、内燃機関の排気通路に設けられた触媒と、前記触
媒に流入する前記内燃機関の排気ガスのHC濃度を増大
せしめるHC濃度増大手段と、酸素イオン伝導体を用い
た酸素ポンプを有し前記触媒の下流に設置されて排気ガ
スのNOx濃度を検出する触媒下流NOx濃度検出手段
と、前記HC濃度増大手段によりHC濃度を急速に増大
せしめた時における前記触媒下流NOx濃度検出手段の
検出値に基づいて前記触媒のHC浄化能力を推定するH
C浄化能力推定手段と、を備えることにより、触媒のN
Ox浄化能力を知ることができるだけでなく、触媒のH
C浄化能力を推定することができる。
【0137】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置にお
いて、前記触媒の上流に触媒上流NOx濃度検出手段を
備えた場合には、触媒のHC浄化能力をより正確に推定
することができる。
【0138】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置にお
いて、HC劣化判定手段を備えた場合には、触媒がHC
劣化したか否か判定することができ、劣化後の早期対応
が可能になる。
【0139】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置にお
いて、NOx劣化判定手段を備えた場合には、触媒がN
Ox劣化したか否かを判定することができ、劣化後の早
期対応が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の一実
施の形態の概略構成図である。
【図2】 吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸放出作用を説
明するための図である。
【図3】 前記実施の形態におけるNOxセンサの概略
構成を示す図である。
【図4】 HC間欠供給時における入ガスNOxセンサ
の出力変化の一例を示す図である。
【図5】 HC間欠供給量とNOxセンサ出力の落ち込
み量との関係を示す図である。
【図6】 HC間欠供給時における出ガスNOxセンサ
の出力変化の一例を示す図である。
【図7】 出ガスNOxセンサの出力が収束する様子を
説明するための図である。
【図8】 前記実施の形態におけるNOx劣化判定処理
ルーチンである。
【図9】 前記実施の形態におけるHC供給装置故障判
定処理ルーチンである。
【図10】 前記実施の形態においてHC劣化前と劣化
後の入ガスNOxセンサと出ガスNOxセンサの出力変化
の一例を示す図である。
【図11】 前記実施の形態におけるHC劣化判定処理
ルーチンである。
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン 21〜26 燃料噴射弁 31 排気管(排気通路) 36 吸蔵還元型NOx触媒 40 HC供給装置(HC濃度増大手段) 52 入ガスNOxセンサ(触媒上流NOx濃度検出手
段) 54 出ガスNOxセンサ(触媒下流NOx濃度検出手
段) 100 ECU(HC濃度増大量推定手段、故障判定手
段、HC浄化能力推定手段、HC劣化判定手段、NOx
劣化判定手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G084 BA00 DA04 DA10 DA27 EA05 EA11 EB09 EB22 FA10 FA28 FA38 3G091 AA02 AB02 AB06 BA14 BA15 BA33 CA18 DB10 DB15 EA01 EA07 HA36 HA37 3G301 JA20 JA25 JA26 JB09 LA00 NB03 NC04 NE19 PA11Z PD01Z PE03Z

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気ガスのHC濃度を増大せ
    しめるHC濃度増大手段と、 酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し内燃機関の
    排気通路に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出する
    NOx濃度検出手段と、 前記HC濃度増大手段により排気ガスのHC濃度を急速
    に増大せしめた時における前記NOx濃度検出手段の検
    出値に基づいて排気ガスのHC濃度増大量を推定するH
    C濃度増大量推定手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 【請求項2】 前記HC濃度増大量推定手段により推定
    された推定HC濃度増大量と前記HC濃度増大手段によ
    り増大すべき目標HC濃度増大量との比較値が所定の許
    容範囲から外れたときにHC濃度増大手段が故障である
    と判定する故障判定手段、 を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の
    排気浄化装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関の排気通路に設けられた触媒
    と、 前記触媒に流入する前記内燃機関の排気ガスのHC濃度
    を増大せしめるHC濃度増大手段と、 酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し前記触媒の
    下流に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出する触媒
    下流NOx濃度検出手段と、 前記HC濃度増大手段によりHC濃度を急速に増大せし
    めた時における前記触媒下流NOx濃度検出手段の検出
    値に基づいて前記触媒のHC浄化能力を推定するHC浄
    化能力推定手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  4. 【請求項4】 酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを
    有し前記触媒の上流に設置されて排気ガスのNOx濃度
    を検出する触媒上流NOx濃度検出手段を備え、 前記HC浄化能力推定手段は、前記HC濃度増大手段に
    よりHC濃度を急速に増大せしめた時における前記触媒
    上流NOx濃度検出手段の検出値と前記触媒下流NOx濃
    度検出手段の検出値とを比較し、その比較値に基づいて
    前記触媒のHC浄化能力を推定することを特徴とする請
    求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 【請求項5】 前記HC濃度増大手段によって増大せし
    められるHC濃度増大量は内燃機関の運転状態に応じて
    予め設定されていることを特徴とする請求項3に記載の
    内燃機関の排気浄化装置。
  6. 【請求項6】 前記HC浄化能力推定手段によって推定
    した前記触媒のHC浄化能力が所定の能力以下のときに
    前記触媒はHC劣化したと判定するHC劣化判定手段を
    備えることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記
    載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 【請求項7】 前記HC濃度増大手段によるHC濃度増
    大が行われていない時における前記触媒下流NOx濃度
    検出手段の検出値から前記触媒のNOx浄化能力を求
    め、このNOx浄化能力が所定の能力以下のときに前記
    触媒がNOx劣化したと判定するNOx劣化判定手段を備
    えることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載
    の内燃機関の排気浄化装置。
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