JP2001032528A - 外部養生方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ＰＣ床版を用いた駆体の建設において、盛り
替えの必要がなく、仕上げ作業に支障を与えることのな
い外部養生方法を提供する。 【解決手段】 駆体のＰＣ床版１に設けられた立ち上が
り部１ａに、立ち上がり部１ａの上面に載せる当接部２
ｂと、この当接部２ｂの一端部からほぼ垂直に延びる固
定部２ｃと、当接部の他端部に固定部２ｃとは逆方向に
ほぼ垂直に延びる支持部２ａとからなる養生金物２を載
せ、立ち上がり部１ａの駆体側面に埋め込まれたインサ
ート金具５に、固定部２ｃに備えたボルト４をねじ込ん
で固定する。この養生金物２の支持部２ａに設けた穴３
に通したワイヤー１０により、互いに離間する養生金物
２を連結し、この養生金物２とワイヤー１０との外側に
網６をかけることによりＰＣ床版を用いた駆体の外部養
生を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、端部に立ち上がり
部を有するプレキャストコンクリート床版を施工する駆
体の建設現場外への落下物の発生を防止する外部養生方
法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】建設現場においては、建設中の建設物の
外側に網等を張って建設現場外への落下物の発生を防い
でおり、バルコニーや外廊下用として、端部に立ち上が
り部を有するプレキャストコンクリート床版（以下、Ｐ
Ｃ床版と言う）を施工する建設現場においても、仕上げ
工事等の際に落下物が発生しないように建設物の外側に
養生網を設けている。ここで用いられる養生網は、網と
養生金物からなり、駆体に取り付けられた養生金物の外
側を網が覆うように取り付けられている。従来、このよ
うな養生網による外部養生方法は２通りあり、設置した
網をそのまま残し、養生金物のみを駆体の他の層に盛り
替えて使用していく方法と、最終仕上げが完了するまで
養生金物の盛り替えを行わない方法がある。盛り替えを
行わない方法では、養生金物は主に各層ごとに設置さ
れ、盛り替えを行う方法では主に複数層で一つの養生金
物を設置するようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような盛
り替えを行う外部養生方法では、養生金物が大きいた
め、盛り替え作業が困難であるといった問題点があるほ
か、仕上げ作業中に盛り替えを行わなければならず、仕
上げの一連の作業に支障を与えてしまう。また、盛り替
えを行わない外部養生方法でも、サポートの取り付け作
業が難しいもの、手摺取り付けや塗装作業に支障をきた
すもの等がある。

【０００４】そこで、本発明の課題は、端部に立ち上が
り部を有するＰＣ床版を用いた駆体の建設において、盛
り替えの必要がなく、仕上げ作業に支障を与えることの
ない外部養生方法を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決すべく
請求項１記載の発明は、端部に立ち上がり部（１ａ）を
有するＰＣ床版を施工する駆体の外部養生方法であっ
て、前記立ち上がり部の上面に載せる当接部（２ｂ）
と、この当接部の一端部からほぼ垂直に延びる固定部
（２ｃ）と、当接部の他端部に固定部とは逆方向にほぼ
垂直に延びる支持部（２ａ）とからなる養生金物（２）
を用い、立ち上がり部の上面に当接部を載せ、立ち上が
り部の駆体側面に固定部（２ｃ）を固定して、立ち上が
り部の長手方向に間隔をあけて複数個の養生金物を設置
し、この互いに離間した養生金物同士を連結する連結部
材（例えば、ワイヤー１０）を支持部間に架設し、養生
金物と連結部材との外側に網（６）を配置することを特
徴としている。

【０００６】ここで、養生金物を形成するものとして
は、角形鋼管、溝形鋼、山形鋼などの鋼材が挙げられる
が、養生金物を軽量化するために山形鋼を用いることが
好ましい。

【０００７】以上のように、請求項１記載の発明によれ
ば、養生金物を２ヶ所で直角に屈折した形状にすること
により、養生金物同士を連結する連結部材を架設する支
持部をＰＣ床版の立ち上がり部の外側に配置することが
できる。したがって、養生金物及び網を取り付けた状態
で、ＰＣ床版の立ち上がり部のサポートの取り付けや、
手摺の取り付け、仕上げ塗装等を行うことができ、最終
仕上げ完了までの一連の仕上げ作業に支障を与えること
がない。

【０００８】請求項２記載の発明は、請求項１記載の外
部養生方法であって、養生金物を多層階駆体の各層の立
ち上がり部にそれぞれ取り付けることを特徴としてい
る。

【０００９】このように、請求項２記載の発明によれ
ば、ＰＣ床版の立ち上がり部に取り付ける養生金物を各
層に設置するので、養生金物は小型のもので良く、ＰＣ
床版の立ち上がり部への取り付け作業を容易に行うこと
ができる。また、盛り替え作業を行う必要もない。

【００１０】請求項３記載の発明は、請求項１又は２記
載の外部養生方法であって、立ち上がり部の駆体側面に
インサート金具（５）を埋め込み、このインサート金具
に、養生金物の固定部に備えたボルト（４）をねじ込む
ことで養生金物を固定することを特徴としている。

【００１１】ここで、養生金物を固定するインサート金
具及びボルトの数量は、養生金物を確実に固定できる数
であれば良く、養生金物の大きさ等により任意に設定す
るものとする。

【００１２】このように、請求項３記載の発明によれ
ば、ＰＣ床版の立ち上がり部のインサート金具にボルト
をねじ込むだけで養生金物の固定を行うことができるの
で、固定作業を容易且つ迅速に行うことができる。

【００１３】請求項４記載の発明は、請求項１、２又は
３記載の外部養生方法であって、養生金物の支持部に設
けた穴（３）に連結部材としてのワイヤー（１０）を通
すことを特徴としている。

【００１４】ここで、養生金物を連結するワイヤーの本
数は、養生金物の支持部の長さ等により任意に設定する
ものとする。

【００１５】このように、請求項４記載の発明によれ
ば、ＰＣ床版の立ち上がり部において、互いに離間する
養生金物を連結する連結部材としてワイヤーを用いるこ
とで、軽量且つコンパクト化することができ、ワイヤー
を穴に通すだけで連結可能であるので設置作業を容易に
行うことができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る外部養生方
法の実施の形態例を図１から図４に基づいて説明する。
先ず、図１は養生金物を駆体のＰＣ床版の立ち上がり部
に取り付けた状態を示す駆体の要部断面図である。駆体
のＰＣ床版１は端部に立ち上がり部（手摺壁）１ａを有
しており、２は養生金物、６は網、８は鋼材、９は網で
ある。図２は養生金物の構造を示す側面図である。養生
金物２は、２ヶ所で直角に屈折した形状であり、ワイヤ
ー１０，１０を支持する支持部２ａと、この支持部２ａ
と垂直に結合し、駆体のＰＣ床版１の立ち上がり部１ａ
に、立ち上がり部１ａの長手方向と直角に上方から当接
する当接部２ｂと、この当接部２ｂに垂直に結合し、支
持部２ａとは逆方向に立ち上がり部１ａに沿って伸び
て、立ち上がり部１ａに固定される固定部２ｃの３つの
部分からなる。養生金物２を形成するものとしては、角
形鋼管、溝形鋼、山形鋼などの鋼材が挙げられるが、養
生金物２を軽量化するため、ここでは山形鋼を用いるこ
ととする。支持部２ａは穴３，３を有しており、ワイヤ
ー１０，１０をこの穴３，３に通すことで、ワイヤー１
０，１０を支持している（図３参照）。ここで、穴３の
数及びワイヤー１０の本数は支持部２ａの長さにより適
宜変更できるものとし、支持部２ａの長さは駆体の層及
び立ち上がり部１ａの高さにより決定されるものとす
る。４，４は養生金物２を固定するボルトであり、養生
金物２の固定部２ｃを貫通し、立ち上がり部１ａの駆体
側面にあらかじめ設けられたインサート金具５，５に螺
合することで養生金物２を固定する。ここで、用いるイ
ンサート金具５及びボルト４の数は固定部２ｃの長さや
養生金物２全体の大きさ等により適宜変更できるものと
する。

【００１７】図３は、養生金物を設置した状態を示す立
ち上がり部の正面図である。１２は立ち上がり部１ａと
立ち上がり部１ａとの間の手摺を設ける開口部である。
この開口部１２には駆体側から鋼材８，８，８が取り付
けられており、この鋼材８，８，８には駆体側から網９
が張られている（図１参照）。ここで、鋼材８は立ち上
がり部１ａの高さにより設置する本数を適宜変更できる
ものとする。

【００１８】次に、養生金物を用いた外部養生方法を説
明する。まず、インサート金具５，５があらかじめ埋め
込まれている立ち上がり部１ａに養生金物２を、インサ
ート金具５，５が埋め込まれている部分に固定部２ｃが
当接し、立ち上がり部１ａの上面に当接部２ｂが当接す
るようにのせ、ボルト４，４をインサート金具５，５に
ねじ込んで固定する。同様にしてインサート金具５，５
が埋め込まれている部分に養生金物２を設置していく。
次に、立ち上がり部１ａと立ち上がり部１ａとの間に鋼
材８，８，８を取り付ける。次に、養生金物２の支持部
２ａの穴３，３にワイヤー１０，１０を一本づつ通す。
このワイヤー１０，１０は他の養生金物２の支持部２ａ
に設けた穴３，３にも通し、互いに離隔する養生金物
２，２同士をワイヤー１０，１０で連結する。網６が養
生金物２の外側になるように、上下階のワイヤー１０，
１０同士間で、網６を紐等で固定し、駆体の外部養生を
行う（図１参照）。または、上層のＰＣ床版１の下面
に、フック部又はリング部を有するボルト７を設け、こ
のボルト７に、網６を支持したワイヤー１１を通し、網
６を養生金物２及びワイヤー１０，１０の外側に被せる
ように設置し、外部養生を行う（図４参照）。同様にし
て、各層ごとに養生金物２、ワイヤー１０，１０及び網
６等を設置し、駆体の外部養生を行う。

【００１９】このように、上記実施の形態の外部養生方
法によれば、養生金物を２ヶ所で直角に屈折した形状に
したことで、網６が立ち上がり部１ａに被さることがな
く、立ち上がり部１ａの外側に位置するようになるの
で、網６を取り付けたまま、網６の内側で手摺の取り付
け等を行うことができる。また、ワイヤー１０，１０も
立ち上がり部１ａの外側に位置するようになるので、ワ
イヤー１０，１０や養生金物２を取り付けたまま、サポ
ートの取り付け等を行うことができる。さらに、養生金
物２を形成する鋼材として、山形鋼を用いることで、養
生金物２を軽量化することができる。また、養生金物２
と養生金物２とを連結する連結部材として、ワイヤー１
０を用いたことで、軽量化することができ、さらに、設
置作業が容易となる。さらに、養生金物２を設置する立
ち上がり部１ａにインサート金具５をあらかじめ設けた
ことにより、養生金物２の固定作業が容易になり、ま
た、養生金物２を各層に設けることにより養生金物２の
盛り上げを行う必要がないので、仕上げ作業に支障を与
えることがない。

【００２０】なお、以上の実施の形態例において設定し
たワイヤー１０の本数、ボルト４の数、鋼材８の数等
は、記載した数に限定されるものではなく、立ち上がり
部の高さや養生金物の大きさ等により適宜に変更可能で
ある。また、網の取り付け構造等も任意であり、その
他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であ
ることは勿論である。

【００２１】

【発明の効果】以上のように、請求項１記載の発明に係
る外部養生方法によれば、養生金物を２ヶ所で直角に屈
折した形状にすることにより、養生金物同士を連結する
連結部材を架設する支持部をＰＣ床版の立ち上がり部の
外側に配置することができる。したがって、養生金物及
び網を取り付けた状態でＰＣ床版の立ち上がり部のサポ
ートの取り付けや、手摺の取り付け、仕上げ塗装等を行
うことができ、最終仕上げ完了までの一連の仕上げ作業
に支障を与えることがない。

【００２２】請求項２記載の発明に係る外部養生方法に
よれば、ＰＣ床版の立ち上がり部に取り付ける養生金物
を各層に設置するので、養生金物は小型のもので良く、
ＰＣ床版の立ち上がり部への取り付け作業を容易に行う
ことができる。また、盛り替え作業を行う必要もない。

【００２３】請求項３記載の発明に係る外部養生方法に
よれば、ＰＣ床版の立ち上がり部のインサート金具にボ
ルトをねじ込むだけで養生金物の固定を行うことができ
るので、固定作業を容易且つ迅速に行うことができる。

【００２４】請求項４記載の発明に係る外部養生方法に
よれば、ＰＣ床版の立ち上がり部において互いに離間す
る養生金物を連結する連結部材としてワイヤーを用いる
ことで、軽量且つコンパクト化することができ、ワイヤ
ーを穴に通すだけで連結可能であるので設置作業を容易
に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した一例として、養生金物を駆体
のＰＣ床版の立ち上がり部に取り付けた状態を示す駆体
の要部断面図である。

【図２】養生金物の構造を示す側面図である。

【図３】養生金物を駆体のＰＣ床版の立ち上がり部に取
り付けた状態を示す正面図である。

【図４】養生金物への網のかけ方の他の形態例を示す駆
体の要部断面図である。

【符号の説明】

１ ＰＣ床版 １ａ立ち上がり部 ２ 養生金物 ２ａ支持部 ２ｂ当接部 ２ｃ固定部 ３ 穴 ４ ボルト ５ インサート金具 ６ 網 ７ ボルト ８ 鋼材 ９ 網 １０ワイヤー １１ワイヤー １２開口部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】端部に立ち上がり部を有するプレキャスト
   コンクリート床版を施工する駆体の外部養生方法であっ
   て、 前記立ち上がり部の上面に載せる当接部と、この当接部
   の一端部からほぼ垂直に延びる固定部と、当接部の他端
   部に固定部とは逆方向にほぼ垂直に延びる支持部とから
   なる養生金物を用い、 立ち上がり部の上面に当接部を載せ、立ち上がり部の駆
   体側面に固定部を固定して、立ち上がり部の長手方向に
   間隔をあけて複数個の養生金物を設置し、 この互いに離間した養生金物同士を連結する連結部材を
   支持部間に架設し、 養生金物と連結部材との外側に網を配置すること、を特
   徴とする外部養生方法。
2. 【請求項２】養生金物を多層階駆体の各層の立ち上がり
   部にそれぞれ取り付けること、を特徴とする請求項１記
   載の外部養生方法。
3. 【請求項３】立ち上がり部の駆体側面にインサート金具
   を埋め込み、 このインサート金具に、養生金物の固定部に備えたボル
   トをねじ込むことで養生金物を固定すること、を特徴と
   する請求項１又は２記載の外部養生方法。
4. 【請求項４】養生金物の支持部に設けた穴に連結部材と
   してのワイヤーを通すこと、を特徴とする請求項１、２
   又は３記載の外部養生方法。