JP2001031728A - 共重合体エマルジョンおよびその製造方法 - Google Patents

共重合体エマルジョンおよびその製造方法

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JP2001031728A
JP2001031728A JP11206676A JP20667699A JP2001031728A JP 2001031728 A JP2001031728 A JP 2001031728A JP 11206676 A JP11206676 A JP 11206676A JP 20667699 A JP20667699 A JP 20667699A JP 2001031728 A JP2001031728 A JP 2001031728A
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Japan
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weight
monomer
emulsion
parts
copolymer
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JP11206676A
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English (en)
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Yasuhisa Watabe
康久 渡部
Ginpei Suzuki
銀平 鈴木
Shiro Yasukawa
史郎 安川
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Original Assignee
JSR Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密着性、耐チッピング性、制振性、低温密着
性等に優れた塗膜となる、水系塗料に好適な共重合体エ
マルジョンを提供すること。 【解決手段】 芳香族メチレン系樹脂100重量部の存
在下に、(a)エチレン系不飽和カルボン酸0.1〜1
0重量%およびこれと共重合可能な(b)他の単量体9
9.9〜90重量%を含む単量体200〜3,000重
量部を重合して得られる、ガラス転移温度が−30〜5
0℃の範囲にある共重合体からなる共重合体エマルジョ
ン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族メチレン系
樹脂を含有するカルボキシ変性共重合体からなるエマル
ジョンに関し、さらに詳細には金属あるいはプラスチッ
クなどの表面に塗布された後、乾燥あるいは焼き付けさ
れて被覆膜を形成し、制振性、遮音性、耐チッピング性
等を有し、自動車ボディー鋼板や家庭電化製品、各種機
械、建築材料、建造物などに有用な水系塗料用に好適な
共重合体エマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、走行中に跳ね上げられる飛び
石、砂利等によって自動車ボディーの塗面に傷が付き、
水分、寒冷時の凍結防止剤あるいは海岸付近の塩分等の
付着によって、ボディーに錆が発生する。これを防ぐた
め、自動車ボディーの下部のタイヤハウス、床裏等に
は、耐チッピング塗料を塗布して塗膜を厚くし、塗膜の
弾性により飛び石や砂利の衝突エネルギーを吸収するこ
とによって、傷が素地まで至らないようにしている。ま
た、自動車ボディーには、制振性、遮音性も要求され
る。しかしながら、自動車のボデーに塗布される従来の
耐チッピング塗料では、飛び石、砂利等の跳ね上げによ
って起こる振動を緩和する性質(制振性)は不十分であ
るので、塗膜を厚くするとか、アスファルトシート等の
防音シートを貼り付けするなどが行われている。
【0003】耐チッピング塗料の厚膜化やアスファルト
シートの貼り付けは、自動車の車体重量の軽減化に逆行
し、さらにコスト上昇を招く等の不具合がある。また、
アスファルトシートは、自動車ボディーの複雑な形状を
有する部位への貼り付けが困難であり、また貼り付け作
業は自動化することが困難なため工数が増加する不具合
がある。車、機械、風等による音や振動を制御するに
は、高分子材料の粘弾性挙動を利用して可能になること
は知られており、これに関する特許公報(例えば、特開
平6-41443号、特開平9-221610号)や文献
(例えば、ポリファイル1998年5月号)がある。遮
音性、制振性、耐チッピング性に優れた塗膜を必要とす
る被塗装物が、冬季に、暖房されていない場所あるいは
屋外など、気温が低い状態で塗装される場合がある。こ
のため、水系塗料には低温密着性が必要であるが、従来
の遮音性、制振性、耐チッピング性塗料は、低温密着性
が十分ではなく、用途が限られるという不具合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を解決するために、カルボキシ変性共重合体エ
マルジョンに、芳香族メチレン系樹脂を再乳化させたエ
マルジョンを混合して、相反する性能の両立を試みた
が、耐チッピング性と密着性は向上したが、高温下での
乾燥で塗膜表面に膨れが生じるなど不満足なものであっ
た。しかしながら、芳香族メチレン系樹脂存在下にカル
ボキシ変性共重合体を重合すると、エマルジョン塗膜の
性能が改善され、さらに損失係数(tanδ)の値とそ
のピークを示すときの温度を特定の範囲に制御すると、
適度な膜厚で効果的に遮音性、制振性、耐チッピング性
を付与でき、さらに低温での塗装の可能な水系塗料に使
用できる共重合体エマルジョンが得られることを見出
し、本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族メチレ
ン系樹脂100重量部の存在下に、(a)エチレン系不
飽和カルボン酸0.1〜10重量%およびこれと共重合
可能な(b)他の単量体99.9〜90重量%を含む
(c)単量体(ここで(a)+(b)=(c)である。)
200〜3,000重量部を重合して得られる、ガラス
転移温度が−30〜50℃の範囲にある共重合体からな
る共重合体エマルジョンを提供するものである。
【0006】本発明の共重合体エマルジョンは、前記
(c)単量体が、(a)エチレン系不飽和カルボン酸
0.1〜10重量%、(b-1)炭素数4〜12のアル
キル基を有するアクリル酸アルキルエステル20〜70
重量%およびこれと共重合可能な(b-2)他の単量体
20〜79.9重量%であると、ガラス転移温度がより
適度な範囲となり、重合も安定して行えるので好まし
い。
【0007】本発明の共重合体エマルジョンの共重合体
は、測定周波数30Hzにおける損失係数(tanδ)
が1.0以上、かつ、損失係数のピークを示すときの温
度が0〜60℃であることが好ましい。これは制振性、
遮音性に優れるからである。本発明の共重合体エマルジ
ョンは、単量体の一部または全部に芳香族メチレン系樹
脂を溶解した後、溶液を水と乳化剤とでエマルジョンと
し、単量体の残部がある場合はそれと共に、乳化重合し
て製造されるのが好ましい。芳香族メチレン系樹脂存在
下での単量体の重合は、溶液重合でも可能であり、重合
後に乳化してエマルジョンとすることも可能であるが、
最初から乳化重合するのが効率的であり、また得られる
共重合体の性能も優れている。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて詳細に説明する。本発明で使用する芳香族メチレン
系樹脂は、芳香族化合物がメチレン基によって結合した
化学構造を有するものであり、好ましくは樹脂中、酸素
原子を、酸素検出装置により検出できない程度に、含ま
ないものである。芳香族メチレン系樹脂は、通常、芳香
族化合物とホルムアルデヒドを特定の触媒の存在下で重
合させて製造される。前記触媒として、強酸性陽イオン
交換樹脂を用いることにより、酸素を実質的に含まな
い、本発明で使用するのに好適な芳香族メチレン系樹脂
が製造される。
【0009】芳香族化合物としては、例えばベンゼン、
トルエン、キシレン、メチルベンゼン、トリメチルベン
ゼン等のベンゼン誘導体、ナフタリン、アントラセン等
の多環芳香族化合物ならびにその誘導体が挙げられる。
これらは1種または2種以上で使用される。ホルムアル
デヒドは、ホルムアルデヒド以外に反応中に単量体のホ
ルムアルデヒドを発生するものであってもよく、好まし
くはトリオキサン(ホルムアルデヒドの3量体)であ
る。芳香族メチレン系樹脂は、例えば特開昭61-21
3216号記載の方法により製造される
【0010】本発明で使用する芳香族メチレン系樹脂
は、軟化点が80〜140℃であることが好ましい。8
0℃未満では膨れ限界膜厚が劣り、一方140℃を超え
ると密着性、低温密着性が劣る傾向がある。ここで膨れ
限界膜厚とは、所定の膜厚に塗装後、高温乾燥する際に
塗膜に膨れが生じない限界の膜厚である。上記芳香族メ
チレン系樹脂は単独あるいは2種以上混合して使用する
ことができる。芳香族メチレン系樹脂は、この樹脂の存
在下でエチレン系不飽和カルボン酸その他の単量体を重
合することで、樹脂と共重合体の両者を単に混合したも
のからは予測できない優れた低温密着性、膨れ限界膜厚
を示すようになる。
【0011】本発明で使用する(a)エチレン性不飽和
カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸などを例示することができる。好ま
しい例は、アクリル酸とメタクリル酸である。これらの
エチレン系不飽和カルボン酸単量体は、1種単独で、あ
るいは2種以上を併用することもできる。かかるエチレ
ン系不飽和カルボン酸の使用量は0.1〜10重量%、
好ましくは0.5〜8重量%であり、更に好ましくは1
〜6重量%である。0.1重量%未満の使用では重合時
の共重合体エマルジョンの安定性が悪く、多量の凝固物
の発生を招き、また10重量%を超えると共重合体エマ
ルジョン粘度が大きく上昇し、塗料製造時の充填剤の分
散作業性が悪化する。
【0012】本発明で使用する(b)他の単量体は、前
記(a)以外の(a)と共重合可能なラジカル重合性単
量体であって、アクリル酸アルキルエステル、メタクリ
ル酸アルキルエステル、共役ジエン単量体、芳香族ビニ
ル単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン性不飽和カ
ルボン酸ヒドロキシアルキルエステル単量体、エチレン
性不飽和カルボン酸アミド単量体、エチレン性不飽和ス
ルホン酸エステル単量体、エチレン性不飽和アルコール
単量体およびそれらのエステル単量体、エチレン性不飽
和エーテル単量体、エチレン性不飽和アミン単量体、エ
チレン性不飽和シラン単量体、ハロゲン化ビニル単量体
などが挙げられる。
【0013】アクリル酸アルキルエステルの具体例とし
ては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペン
チル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アク
リル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アク
リル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸
デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、
アクリル酸n−アミル、アクリル酸ラウリル、アクリル
酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシルなどを例示する
ことができる。これらのうち、炭素数4〜12のアルキ
ル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましく、
さらに好ましくは、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニルであり、特
に好ましくはアクリル酸n−ブチルとアクリル酸2−エ
チルヘキシルである。
【0014】メタクリル酸アルキルエステルの具体例と
しては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタ
クリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル
酸ヘプチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸オクチル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル
酸イソノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウン
デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸n−アミ
ル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ラウリル、
メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシルな
どを例示することができる。好ましくは、メタクリル酸
メチルである。
【0015】共役ジエン単量体の具体例としては、1,
3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、
2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペン
チル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタ
ジエン、1,2−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2,
3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロモ−1,
3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、置
換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖および側鎖共役ヘキサ
ジエンなどが挙げられる。好ましくは、1,3−ブタジ
エンである。
【0016】芳香族ビニル単量体の具体例としては、ス
チレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルス
チレン、α−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p
−メトキシスチレン、p−アミノスチレン、p−アセト
キシスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、α−ビ
ニルナフタレン、1−ビニルナフタレン−4−スルホン
酸ナトリウム、2−ビニルフルオレン、2−ビニルピリ
ジン、4−ビニルピリジンなどが挙げられる。好ましく
は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ンである。
【0017】シアン化ビニル単量体の具体例としては、
アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−
メトキシアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−
クロロメタクリロニトリル、α−メトキシメタクリロニ
トリル、シアン化ビニリデンなどを例示することがで
き、これらのうちアクリロニトリルが好ましい。
【0018】エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシア
ルキルエステル単量体の具体例としては、ヒドロキシエ
チルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、
ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピル
メタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒド
ロキシブチルメタクリレートなどを例示することができ
る。
【0019】エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体
の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシ
メチルメタクリルアミド、N−ブトキシエチルアクリル
アミド、N−ブトキシエチルメタクリルアミド、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタ
クリルアミド、N−n−プロピオキシメチルアクリルア
ミド、N−n−プロピオキシメチルメタクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチ
ルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミ
ド、N,N−ジエチルメタクリルアミドなどを例示する
ことができる。
【0020】エチレン性不飽和スルホン酸エステル単量
体の具体例としては、ビニルスルホン酸アルキル、イソ
プレンスルホン酸アルキルなどを例示することができ
る。エチレン性不飽和アルコール単量体およびそれらの
エステル単量体の具体例としては、アリルアルコール、
メタアリルアルコール、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニ
ル、酢酸アリル、カプロン酸メタアリル、ラウリン酸ア
リル、安息香酸アリル、アルキルスルホン酸ビニル、ア
ルキルスルホン酸アリル、アリールスルホン酸ビニルな
どを例示することができる。
【0021】エチレン性不飽和エーテル単量体の具体例
としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニル
エーテル、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテ
ルなどを例示することができる。エチレン性不飽和アミ
ン単量体の具体例としては、ビニルジメチルアミン、ビ
ニルジエチルアミン、ビニルジフェニルアミン、アリル
ジメチルアミン、メタアリルジエチルアミンなどを例示
することができる。
【0022】エチレン性不飽和シラン単量体の具体例と
しては、ビニルトリエチルシラン、メチルビニルジクロ
ロシラン、ジメチルアリルクロロシラン、ビニルトリク
ロロシランなどを例示することができる。ハロゲン化ビ
ニル単量体の具体例としては、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、1,2−ジクロロエチレン、臭化ビニル、臭化ビ
ニリデン、1,2−ジブロモエチレンなどを例示するこ
とができる。上記の(b)他の単量体は、90〜99.
9重量%の範囲で使用される。
【0023】(b)他の単量体は、好ましくは(b-
1)炭素数4〜12のアルキル基を有するアクリル酸ア
ルキルエステル20〜70重量%および(b-2)他の
単量体20〜79.9重量%からなる。(b-1)炭素
数4〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエ
ステルとは、前記のアクリル酸n−ブチル、アクリル酸
イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸オクチル、アクリル酸n−ノニル、アク
リル酸イソノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウン
デシル、アクリル酸ドデシル等を挙げることができる
が、好ましくはアクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−
エチルヘキシルである。これらの(b-1)成分は、共
重合体に適度な柔軟性と伸びを与え、耐衝撃性を付与す
るために効果がある。
【0024】(b-1)炭素数4〜12のアルキル基を
有するアクリル酸アルキルエステルは、全単量体中20
〜70重量%、好ましくは25〜65重量%、更に好ま
しくは30〜60重量%使用する。これが20重量%未
満では、共重合体が硬くなりすぎ密着性、低温密着性等
が不十分となり、また、70重量%を超えると制振性、
耐チッピング性が不十分となる傾向がある。
【0025】前記(b-2)他の単量体とは、前記
(b)で例示した単量体群から(b-1)炭素数4〜1
2のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルを
除く群からなる。(b-2)の好ましい例は、スチレ
ン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリ
ル酸エチル、アクリロニトリルなどを挙げることができ
る。その他の単量体の種類と使用量は、共重合体のガラ
ス転移温度(Tg)が目標の範囲になるように決められ
る。。
【0026】本発明において、芳香族メチレン系樹脂1
00重量部の存在下に、単量体((a)単量体+(b)
単量体)200〜3,000重量部を重合する。単量体
の好ましい量は、300〜2,500重量部、更に好ま
しくは500〜2,000重量部である。200重量部
未満では、重合時のエマルジョンの安定性が悪く、多量
の凝固物の発生を招き、また3,000重量部を超える
と低温付着性、制振性が不十分となる。
【0027】本発明のエマルジョンの共重合体のガラス
転移温度(Tg)は、−30℃〜50℃、好ましくは−
20〜40℃である。ガラス転移温度が−30℃未満で
は、粘着性が強すぎて取り扱い難くなり、また塗膜の剛
性も得られ難く、耐チッピング性が劣る傾向がある。一
方、+50℃を超えると、塗膜が硬すぎて柔軟性に乏し
くなるため、防音性能が不充分となったり、鋼板との密
着性が低下するので、用途が制約されたりする場合があ
【0028】本発明における共重合体は、測定周波数3
0Hzにおける損失係数(tanδ)が1.0以上、好
ましくは1.2以上1.6以下で、かつ、共重合体の損
失係数のピークを示すときの温度が0〜60℃、好まし
くは10〜40℃であると、変形速度の極めて大きい衝
撃的な変形に対して耐性を持ち、このために高い制振性
を示す。一方、芳香族メチレン系樹脂を有するために、
密着性、低温付着性などの他の物性を維持することがで
きる。
【0029】本発明の共重合体エマルジョンは、共重合
体の製造に使用する単量体の一部または全部に、芳香族
メチレン系樹脂を溶解し、これを重合して製造できる。
重合は溶液重合で行い、重合後に水と乳化剤を用いてエ
マルジョンとすることもできるが、乳化重合で行う方が
工数が少なく、安定したエマルジョンが得られる。本発
明の共重合体エマルジョンを乳化重合法で製造するに
は、共重合体の製造に使用する単量体の一部または全部
に、芳香族メチレン系樹脂を溶解し、この溶液を水と乳
化剤を用いてエマルジョンとし、単量体の残部がある場
合は、それと共に乳化重合して共重合体エマルジョンを
製造する。
【0030】単量体を重合反応器に仕込む方法として
は、(1)芳香族メチレン系樹脂を含む単量体を全量一
括で重合反応器に仕込んで重合する方法、(2)芳香族
メチレン系樹脂を含む単量体の一部を重合した後、その
残りを連続的にあるいは断続的に重合反応器に添加する
方法、(3)芳香族メチレン系樹脂を含む単量体を重合
の始めから連続的に重合反応器に添加する方法、あるい
は、(4)芳香族メチレン系樹脂の全量を単量体の一部
に溶解してエマルジョンとして重合反応器に仕込んで重
合を開始し、その後、残りの単量体を重合反応器に添加
する方法、などを採ることができる。また、これらの仕
込み方法を組み合わせることもできる。
【0031】重合に際して用いる単量体は数種類ある
が、これらは全て混合して用いてもよいし、または、単
量体の種類に応じて重合反応器に仕込む順序を変化させ
てもよい。重合温度は、通常5〜90℃、好ましくは2
0〜85℃であり、重合時間は、通常5〜15時間であ
る。本発明のエマルジョン共重合体の粒子径は、70〜
350nmが好ましく、さらに好ましくは100〜30
0nmである。粒子径は、重合に用いる乳化剤の濃度や
単量体の仕込み方法等により制御できる。
【0032】本発明の共重合体エマルジョン最低造膜温
度は、好ましくは60℃未満であり、さらに好ましくは
55℃未満、特に好ましくは50℃未満である。60℃
を超えると密着性、低温付着性、制振性、耐チッピング
性のバランスが劣る。本発明で使用される単量体を乳化
重合するに際しては、公知の方法で水性媒体中で乳化
剤、重合開始剤、分子量調節剤、キレート化剤、無機電
解質などを用いて製造することができる。
【0033】乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、
ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが単独で、
あるいは2種以上を併用して使用できる。アニオン性界
面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステ
ル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸
塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エ
ステルなどが挙げられる。ノニオン界面活性剤として
は、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル
型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型
などが用いられる。両性界面活性剤としては、アニオン
部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸
塩、燐酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン
塩、第4級アンモニュウム塩を持つものが挙げられ、具
体的にはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどの
ベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β
−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オ
クチルジ(アミノエチル)グリシン、などのアミノ酸タ
イプのものなどが用いられる。
【0034】重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合
開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、
2,2’−アゾビスイソブチルニトリルなどの油溶性重
合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重
合開始剤などが、それぞれ単独であるいは組み合わせで
使用できる。
【0035】分子量調節剤としては、四塩化炭素、クロ
ロホルム、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類、n
−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、
n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタ
ン、チオグリコール酸などのメルカプタン類、ジメチル
キサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサント
ゲンジサルフィドなどのキサントゲン類、ターピノーレ
ン、1,1−ジフェニルエチレンなど通常の乳化重合で
使用可能なものを全て使用できる。
【0036】本発明の共重合体エマルジョンを含む水系
塗料は、所望に応じて適当な添加剤類を含有することが
できる。添加剤の例としては、充填剤類、着色剤類、防
腐剤類、分散剤類、増粘剤類、揺変剤類、凍結防止剤
類、pH調整剤類等を例示することができる。
【0037】充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシ
ウム、水酸化アルミニウム、珪藻土、マイカ、カオリ
ン、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、ゴム粉
末、グラファイト、プラスチックバルーン、ガラスバル
ーン等が挙げられ、更に酸化チタン、カーボンブラック
等の着色剤も充填材として使用し得る。これらの充填剤
の使用量は適当に選択できるが、充填剤の添加効果を得
るためには、上記共重合体エマルジョン(固形分とし
て)100重量部に対して、好ましくは100〜500
重量部、さらに好ましくは150〜400重量部であ
る。充填剤使用量が500重量部を超えると、密着性、
耐チッピング性が低下する傾向があり、一方100重量
部未満であると、塗膜形成時に乾燥加熱による膨れ限界
膜厚の低下、若しくは常温乾燥時の乾燥性が遅くなるこ
とがある。
【0038】また、着色剤としては、各種の有機顔料、
無機顔料が広く利用できるが、無毒性防錆顔料の利用が
好ましい。このような顔料の例としては、例えば、リン
酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン
酸チタン等のリン酸系防錆顔料、モリブテン酸亜鉛、モ
リブテン酸カルシウム、モリブテン酸亜鉛カルシウム、
モリブテン酸亜鉛カリウム等のモリブテン酸系防錆顔
料、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸バリウム、
メタホウ酸バリウム、メタホウ酸カルシウム等のホウ酸
系防錆顔料等を挙げることができる。着色剤の使用量も
適当に選択できるが、着色剤の添加効果を得るために
は、好ましくは上記共重合体エマルジョン(固形分とし
て)100重量部に対して1〜50重量部、さらに好ま
しくは5〜40重量部である。50重量部を超えると塗
料の安定性が低下する傾向がり、一方下限未満では、着
色剤の添加効果が得られない。
【0039】分散剤の例としては、ポリカルボン酸ナト
リウム塩、縮合ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、若
しくはアンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルキル
エーテル、若しくはフェノールエーテル、ポリオキシア
ルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、
トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウ
ム等を挙げることができる。その使用量も適当に選択で
きるが、上記共重合体エマルジョン(固形分として)1
00重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より
好ましくは0.05〜7重量部である。10重量部を超
えると、塗膜形成時の乾燥加熱によって膨れ等が生じや
すくなる。
【0040】増粘剤、揺変剤の例としては、ポリビニル
アルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等
のセルロース誘導体、ポリエーテル化合物、ウレタン変
性ポリエーテル系化合物、ポリカルボン酸化合物、およ
びそのナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、ポリエチ
レングリコールエーテル等のポリオキシエチレン誘導
体、アルギン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ベント
ナイト等の無機質等の増粘剤を例示できる。その使用量
は適当に選択できるが、上記共重合体エマルジョン(固
形分として)100重量部に対して、好ましくは20重
量部以下、好ましくは0.1〜20重量部である。
【0041】凍結防止剤の例としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシ
エチレンソルビタンモノラウレート等の凍結防止剤を例
示できる。その使用量は適当に選択できるが、上記共重
合体エマルジョン(固形分として)100重量部に対し
て、好ましくは20重量部以下、より好ましくは0〜1
0重量部である。20重量部を超えると下地である自動
車ボディー鋼板の塗膜を侵すことがある。
【0042】pH調整剤の例としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、アンモニア、モノエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン等を例示できる。その使用量
は上記共重合体ラテックスのpHを所望pH領域に調整
し得る適当量で良い。上記共重合体エマルジョンを含む
塗料組成物は、ニーダー、プラネタリーミキサー、ディ
ゾルパー、コーレスミキサー等の従来の公知の塗料分散
撹拌機によって撹拌、混練り、分散して製造される。ま
た、脱泡工程を含むことも可能である。得られた水系塗
料の性状としては、例えば、比重が約0.9〜1.7、
pHが約7〜11、不揮発分が約60%以上、BH型粘
度計を用いて測定した粘度が約20,000〜70,0
00mPa・sである。
【0043】製造された水系塗料は、エアレススプレ
ー、エアスプレー、ミニベル、回転式塗装機、静電塗装
機、ヘラ塗り、刷毛塗り等の従来公知の塗装手段によっ
て塗布される。本発明による塗料組成物は耐チッピング
性に加えて制振性、密着性、低温付着性を付加したもの
であるため、従来塗布していた自動車ボディー床裏、ロ
ッカーパネル部、フロント、リヤフェンダー部、フロン
トエプロン部等に加えて、従来アスファルトシートを施
工していた車室内側等のフロア部、ダッシュパネル部、
フロア部中央のトンネル部、ドアパネル部等にも塗布す
ることができる。水系塗料の乾燥は、5〜150℃の任
意の条件を選ぶことができるが、通常は80〜140℃
で、1〜120分行うのが好ましい。
【0044】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例
に制約されるものではない。なお、実施例において割合
を示す部および%は、それぞれ重量部および重量%を意
味するものである。実施例、比較例における共重合体エ
マルジョン、共重合体、塗膜などの分析、測定、評価の
方法を次に記載する。
【0045】[分析、測定、評価の方法] (損失係数(tanδ)の測定)共重合体エマルジョン
を、100℃で20時間真空乾燥を行い、試験片のフィ
ルムを作製する。この試験片を動的粘弾性試験機(Dyna
mic Mechanical ThermalAnalyzer:POLYMER LABORATORI
ES社製)に装着し、DIN53440に準拠して、測定
周波数30Hzで測定する。数値が高いほど制振性効果
が大であることを示す。
【0046】(ガラス転移温度(Tg)の測定)共重合
体エマルジョンを、100℃で20時間真空乾燥を行
い、フィルムを作製する。このフィルムのガラス転移温
度(Tg)を、示差走査熱量計(デュポン社製)を用い
てASTM法に準じて測定する。 (エマルジョン粒子径の測定)共重合体エマルジョンの
平均粒子径を、コールター社製のサブミクロンアナライ
ザー(モデルN4)で、常法により求める。
【0047】[水系塗料の調製]共重合体エマルジョンを
用いて、下記の処方により水系塗料を調製する。 (配合処方) 共重合体エマルジョン(固形分として)100.0部 分散剤 0.2部 消泡剤 1.0部 炭酸カルシウム 150.0部 タルク 50.0部 増粘剤 粘度が30、000mPa・sとなるように適当量添加 水 全固形分が70%となるように適当量添加
【0048】[塗膜の調製]水系塗料をエアレススプレー
塗装機にて、厚さ0.8mmの自動車用鋼板に、塗装膜
厚1.6mmの厚さ(乾燥後の膜厚)となるように塗装
する。塗装した板を90℃で10分、次いで120℃で
20分乾燥を行い、試験片とする。
【0049】[塗膜の評価方法] (膨れ限界膜厚)膨れ限界膜厚とは、所定の膜厚に塗装
後、高温乾燥する際に塗膜に膨れが生じない限界の膜厚
であるが、ここでは上記方法で作成した膜厚1.6mm
の試験片の状態を観察して評価する。次の4段階で評価
する。 ◎: 塗膜に膨れ、亀裂等が全く認められない。 ○: 塗膜に膨れ、亀裂等が僅かに認められる。 △: 塗膜に膨れ、亀裂等が少し認められる。 ×: 塗膜に膨れ、亀裂等が著しく認められる。
【0050】(耐チッピング性)試験片をグラベロ試験
機にて6号砕石500grを5Kg/cm2の圧力で5
回噴射し、試験片の状態を観察する。 ◎: 傷つきなし ○: 僅かに傷つきあり △: 層間剥離あり ×: 界面剥離あり
【0051】(密着性)試験片をJIS K 5400
に準じてテープ剥離法(2mmクロスカット)で3回測
定し平均値を求める。数値の大きいほど密着性が良好と
認められる。
【0052】(低温密着性)塗装した板を5℃で1日乾
燥し、得られた塗膜の状態を観察する。 ◎: 塗膜に亀裂なし。爪で塗膜を剥がそうとしても剥
がれない。 ○: 塗膜に亀裂なし。塗膜を剥がすと僅かに剥がれ
る。 △: 塗膜に亀裂はなし。爪で塗膜を剥がそうとすると
簡単に剥がれる。 ×: 塗膜に亀裂が顕著に現れている。
【0053】(性能バランス)制振性・遮音性を示す損
失係数ピーク値、ピーク値温度、ガラス転移温度(T
g)、塗膜の各種評価項目の結果等を総合して、自動車
ボディー用耐チッピング塗料としての可否を判断した。 ◎: 優 ○: 良 △: 若干劣る ×: 不可
【0054】[共重合体エマルジョンの製造] (実施例1)イオン交換水600部に、ラウリル硫酸ソ
ーダ10部とポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル30部とを添加して乳化剤水溶液を調整した。単量体
として、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHAと略
す)500部、スチレン470部、メタクリル酸30部
を混合し、これに軟化温度90℃の芳香族メチレン系樹
脂100部を加え、撹拌して樹脂/単量体溶液を得た。
前記乳化剤水溶液に樹脂/単量体溶液および分子量調節
剤としてn−ドデシルメルカプタン0.2部を加え、十
分撹拌して乳化させた。
【0055】次に、撹拌機、温度計、還流冷却器および
滴下ロートを備えた3L容積の四つ口フラスコにイオン
交換水400部および過硫酸ナトリウム3.0部を仕込
み、窒素置換しながら70℃まで昇温し、液温が70℃
に達した後、上記の樹脂/単量体乳化液を3時間かけて
滴下した。滴下終了後80℃で2時間撹拌を継続し、重
合転化率100%で乳化重合を完結させ、共重合体エマ
ルジョンを製造した。
【0056】(実施例3、5、比較例4〜7)表1、表
2に記載した樹脂と単量体を用いた以外は、実施例1と
同様にして共重合体エマルジョンを製造した。重合転化
率は98〜100%であった。
【0057】(実施例2、4)イオン交換水1,200
部に、ラウリル硫酸ソーダ20部とポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル60部とを添加して乳化剤水溶
液を調整した。表1に記載の単量体に、表1記載の樹脂
を溶解した溶液に、n−ドデシルメルカプタン0.4部
と前記乳化剤水溶液を加え、十分撹拌して乳化させた。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却器および滴下ロートを
備えた3L容積の四つ口フラスコにイオン交換水800
部および過硫酸ナトリウム6.0部を仕込み、窒素置換
しながら70℃まで昇温し、液温が70℃に達した後、
上記の樹脂/単量体乳化液を6時間かけて滴下した。滴
下終了後80℃で2時間撹拌を継続し、重合転化率98
%以上で乳化重合を完結させ、共重合体エマルジョンを
製造した。
【0058】(比較例1)イオン交換水600部に、ラ
ウリル硫酸ソーダ10部とポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル30部とを添加して乳化剤水溶液を調整
した。表1に記載の単量体に、n−ドデシルメルカプタ
ン0.2部と前記乳化剤水溶液を加え、十分撹拌して乳
化させた。次に、撹拌機、温度計、還流冷却器および滴
下ロートを備えた3L容積の四つ口フラスコにイオン交
換水400部および過硫酸ナトリウム3.0部を仕込
み、窒素置換しながら70℃まで昇温し、液温が70℃
に達した後、上記の樹脂/単量体乳化液を3時間かけて
滴下した。滴下終了後80℃で2時間撹拌を継続し、重
合転化率100%で乳化重合を完結させ、共重合体エマ
ルジョンを製造した。
【0059】(比較例2)比較例1で製造した共重合体
エマルジョンを固形分として1000部に対して、軟化
点90℃の芳香族メチレン系樹脂エマルジョン(日本石
油化学工業(株)製:日石ネオポリマー1305-E
M)を固形分として100部を混ぜて、比較例用のエマ
ルジョンとした。
【0060】(比較例3)イオン交換水2,100部
に、ラウリル硫酸ソーダ35部とポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル105部とを添加して乳化剤水溶
液を調整した。表1に記載の単量体に、表1記載の樹脂
を溶解した溶液に、n−ドデシルメルカプタン0.7部
と前記乳化剤水溶液を加え、十分撹拌して乳化させた。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却器および滴下ロートを
備えた3L容積の四つ口フラスコにイオン交換水1,4
00部および過硫酸ナトリウム10,5部を仕込み、窒
素置換しながら70℃まで昇温し、液温が70℃に達し
た後、上記の樹脂/単量体乳化液を10時間かけて滴下
した。滴下終了後80℃で4時間撹拌を継続し、重合転
化率98%で乳化重合を完結させ、共重合体エマルジョ
ンを製造した。
【0061】各実施例、比較例で得たエマルジョンの粒
子径を測定し、表1,2に示した。さらに、エマルジョ
ンから共重合体を分離したものについて、損失係数(t
anδ)、損失係数(tan)ピーク時の温度、およびガ
ラス転移温度(Tg)等を前記の方法に従って測定し、
表1,2に示した。各実施例および比較例の共重合体エ
マルジョンを配合した水性塗料を、前記の配合処方に従
って調製した。この水性塗料を、前記方法にて鋼板に
1.6mmの厚さに塗装して、塗膜試験片を得た。各試
験片について、前記の評価方法で評価した結果を表1、
2に示した。
【0062】[評価結果] (実施例の評価結果)表1に示した実施例1〜5は、本
発明の範囲の共重合体エマルジョンを用いた水系塗料用
エマルジョンである。表の共重合体の性質の欄の損失係
数(tanδ)ピーク値は1.2〜1.5と高く、その
ピーク値の温度は20〜30℃であった。これらは制振
性と遮音性が十分にあることを示している。
【0063】表の塗膜の性質の欄には、膨れ限界膜厚、
耐チッピング性、密着性、低温密着性、性能バランスの
評価結果を示している。これらの結果、塗膜試験片は、
膜厚1.6mmでの高温乾燥で膨れ・亀裂を発生しなか
ったので、膨れ限界膜厚が合格であり、耐チッピング性
に優れ、かつ密着性、低温付着性も十分あることが判
る。
【0064】(比較例の評価結果)比較例1は、芳香族
メチレン系樹脂を含まない以外は実施例1と同じもので
ある。芳香族メチレン系樹脂を含まない共重合体エマル
ジョンは、良好な性能を示すが、低温密着性において、
著しく悪いので、この性能を必要とする分野には使用で
きない。比較例2は、芳香族メチレン系樹脂を含まない
共重合体エマルジョンに、芳香族メチレン系樹脂エマル
ジョンをブレンドした以外は、実施例1と同じものであ
る。このエマルジョンからなる塗膜は、高温乾燥の際に
膨れを生じ、低温密着性も劣ることが判る。さらに、両
者をブレンドするだけでは目的とする性能が得られない
ことが判る。
【0065】比較例3は、樹脂に対する単量体の割合が
本発明の範囲を超えている場合であり、損失係数が低
く、制振性に劣り、また低温密着性にも劣る。比較例4
は、ガラス転移温度が本発明の範囲を超えている場合で
あり、制振性、密着性が著しく悪い。比較例5は、ガラ
ス転移温度が本発明の範囲の下限以下のものであり、耐
チッピング性と制振性が劣る。比較例6,7は、芳香族
メチレン系樹脂以外の樹脂を使用した場合であり、低温
付着性が劣る。
【0066】
【表1】 注:2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
【0067】
【表2】 注:*:芳香族メチレン系樹脂は単量体重合後に混合。
×:測定不能
【0068】
【発明の効果】本発明の共重合体エマルジョンは、水系
塗料としたとき、鋼板に厚膜塗装可能であり、密着性、
低温密着性があり、制振性、耐チッピング性にも優れて
いるので、従来用いられていたアスファルトシート状制
振材に替わることができる。さらに、自動車ボディーへ
の制振材料の施工が、塗装によりできることから、ロボ
ットによる自動化が可能となり極めて工業的価値が高
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BN171 FD010 FD090 FD200 FD330 GH01 HA07 4J026 AB01 BA04 BA05 BA06 BA08 BA09 BA10 BA14 BA16 BA19 BA20 BA25 BA27 BA30 BA31 BA32 BA34 BA35 BA37 BA39 BA40 BA43 BA45 BA46 BA47 BA48 BA49 BA50 BB03 BB04 DB04 DB08 DB10 DB12 DB14 DB15 DB16 FA04 GA01 GA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族メチレン系樹脂100重量部の存
    在下に、(a)エチレン系不飽和カルボン酸0.1〜1
    0重量%およびこれと共重合可能な(b)他の単量体9
    9.9〜90重量%を含む単量体200〜3,000重
    量部を重合して得られる、ガラス転移温度が−30〜5
    0℃の範囲にある共重合体からなる共重合体エマルジョ
    ン。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記単量体が、
    (a)エチレン系不飽和カルボン酸0.1〜10重量
    %、(b-1)炭素数4〜12のアルキル基を有するア
    クリル酸アルキルエステル20〜70重量%およびこれ
    と共重合可能な(b-2)他の単量体20〜79.9重
    量%であることを特徴とする共重合体エマルジョン。
  3. 【請求項3】 請求項1において、共重合体が測定周波
    数30Hzにおける損失係数(tanδ)が1.0以
    上、かつ、損失係数のピークを示すときの温度が0〜6
    0℃であることを特徴とする共重合体エマルジョン。
  4. 【請求項4】 単量体の一部または全部に芳香族メチレ
    ン系樹脂を溶解した後、溶液を水と乳化剤とでエマルジ
    ョンとし、単量体の残部がある場合はそれと共に、乳化
    重合することを特徴とする請求項1、請求項2または請
    求項3記載の共重合体エマルジョンの製造方法。
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