JP2001031574A - 血糖値上昇抑制剤 - Google Patents

血糖値上昇抑制剤

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JP2001031574A
JP2001031574A JP20370899A JP20370899A JP2001031574A JP 2001031574 A JP2001031574 A JP 2001031574A JP 20370899 A JP20370899 A JP 20370899A JP 20370899 A JP20370899 A JP 20370899A JP 2001031574 A JP2001031574 A JP 2001031574A
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amylase
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glucose
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Masaki Matsudaira
昌樹 松平
Norifumi Tawara
憲史 田原
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SANMATSU KOGYO CO
SANMATSU KOGYO Ltd
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SANMATSU KOGYO CO
SANMATSU KOGYO Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な血糖値上昇抑制剤の提供。 【解決手段】 ぶどう糖の1・6結合/1・4結合(1
・4結合に対する1・6結合の割合)が20%以下の高分
岐デキストリンを有効成分とする血糖値上昇抑制剤。高
分岐デキストリンはその分岐部が消化をアミラーゼによ
り受け難く、グルコースの生成を抑制し、血糖値の上昇
を抑制する。高分岐デキストリンは、澱粉をαアミラー
ゼで分解するかあるいはさらにβアミラーゼで分解する
ことによって得ることができる。血糖値上昇抑制剤は、
高分岐デキストリンの粉末、液体等の形で用いられ、飲
食品あるいは経腸栄養剤中に炭水化物の代替品として添
加して用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分岐構造を多く含
む分岐デキストリンの新規用途に関する。本発明の高分
岐デキストリンは、従来のデキストリンにくらべて分岐
構造を多く含み、消化を受け難く、これを投与すると消
化性を調整し血糖値の上昇を抑制することができる。従
って、糖尿病患者又はそのおそれのある人達への血糖値
上昇を抑制する機能をもつ炭水化物として飲食品あるい
は栄養剤に添加することができる。
【0002】
【従来の技術】生体が澱粉や砂糖等の炭水化物を摂取す
ると、消化管内で消化されて澱粉は、ぶどう糖に、砂糖
はぶどう糖と果糖となって小腸から吸収される。吸収さ
れた糖は血液中に入り全身のエネルギーとして利用され
るが、一時的には糖濃度は上昇する。しかし、健全な生
体では糖濃度の上昇に従ってインシュリンが膵臓より供
給され、これによりぶどう糖は肝臓でグリコーゲンに合
成されてぶどう糖濃度を下げるように働く。空腹時には
逆に、このグリコーゲンがぶどう糖に分解されて血中に
供給される。このようにして血中糖濃度は極めて狭い範
囲に常にコントロールされている。
【0003】近年糖尿病及び糖尿病予備軍が急速に増加
していることが知られている。糖尿病患者ではインシュ
リンの生産が悪く、炭水化物を摂取すると血中糖濃度の
上昇を抑制することができない。このような血中糖濃度
の高い状態が続くと、微細血管や神経に損傷を与え、数
々の合併症を惹起することが知られている。しかし、生
体にとって最も重要なカロリー源である、炭水化物を全
く摂取しない訳にはいかず、果糖を用いたりあるいは大
量の繊維質と共に摂取して、炭水化物の吸収を遅くする
等の方法がとられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、イン
シュリンの生産力の低下した糖尿病患者が摂取しても、
血糖値の上昇を抑制し、しかも十分なカロリーをぶどう
糖として消化管から吸収できる新規な血糖値上昇抑制剤
を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の目
的を達成すべく鋭意検討した結果、澱粉が均一な組織を
持つものでなく、人の消化酵素で速やかに分解される部
分と、ゆっくりと分解される部分とがあり、酵素の特性
を利用して分解すると、ゆっくり分解される部分だけは
ぶどう糖が 100個前後結合した高分子のままで残り、分
解され易い部分はぶどう糖が15個以下の低分子にまで分
解するので、この分子の大きさを利用して、大分子の成
分と、小分子の成分の2つの成分に分割することが可能
であることを見出した。この大分子の成分(分岐デキス
トリン)は消化酵素による分解速度が通常のデキストリ
ンにくらべて遅いことが確認された。
【0006】更にこの大分子の成分をβ−アミラーゼで
分解すると、分岐構造をさらに多く含むデキストリン
(高分岐デキストリン) に分解され、その消化酵素によ
る分解速度は通常のデキストリンに比べてはるかに遅
く、糖質を全てこのデキストリンに変えてラットに与え
た場合に、コーンスターチのデキストリンやワキシース
ターチのデキストリンに比べて、血糖値の上昇をほとん
ど抑制することが確認された。
【0007】本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたものであって次のとおりの分岐または高分岐デキス
トリンを有効成分とする血糖値上昇抑制剤に関する。澱
粉を、α−アミラーゼ又は酸で液化後α−アミラーゼで
更に分解するかあるいは、β−アミラーゼ又はα−アミ
ラーゼとβ−アミラーゼとの混合物で分解することによ
って得ることができ、糖の1・6結合/1・4結合(1
・4結合に対する1・6結合の割合)の分岐の多いデキ
ストリンを有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤。
本発明における分岐の多いデキストリンとしては、糖の
1・6結合/1・4結合(1・4結合に対する1・6結
合の割合)が10%未満の分岐デキストリンや10%以上20
%以下の高分岐デキストリンなどがある。本発明におけ
るこれら血糖値上昇抑制剤は、その血糖値上昇抑制作用
を利用して従来の炭水化物(糖質)の代わりにその一部
及び全部をこの血糖値上昇抑制剤で置き換えて糖尿病患
者あるいはその疾病に罹るおそれのある人達の炭水化物
源(糖質)として用いることができる。具体的には、本
発明の炭水化物源(糖質)としてこれらの人達の飲食物
中に添加したり、あるいは経腸栄養剤に添加して用いる
ことができる。
【0008】本発明においては、まず澱粉をαアミラー
ゼまたは酸で分解してぶどう糖がα1・4結合で直線状
に結合した箇所を分解する。このようにするとぶどう糖
の1・6結合/1・4結合(1・4結合に対する1・6
結合の割合)が10%未満の分岐デキストリンが得られ
る。本発明ではこの分岐されたデキストリン画分を使用
する。あるいは、このように分解した後、さらにβ−ア
ミラーゼまたはα−アミラーゼとβ−アミラーゼの混合
物で分解し、α1・4結合を分解する。このようにする
とぶどう糖の1・6結合/1・4結合(1・4結合に対
する1・6結合の割合) が10〜20%の大分子量の分子を
多く含むデキストリン画分と、さらに分解された分岐の
マルトースおよびマルトトリオースを主成分とする画分
とが生成される。本発明ではこの生成物を両画分に分画
し、前者の高分岐デキストリンを使用する。
【0009】澱粉はぶどう糖が数千個のα1・4結合で
直線状に結合したアミロースと直線状のα1・4結合の
所々にα1・6結合の枝分かれを持ったアミロペクチン
からなることが知られている。アミロペクチンの枝分か
れは非常に密に枝分かれした部分と枝分かれのほとんど
無い部分とがあり、α−アミラーゼのようにα1・4結
合をランダムに切断する酵素でも、澱粉に作用させた場
合には分岐の影響でその作用点はランダムでは無い。表
1にコーンスターチをα−アミラーゼで分解した場合の
成分組成を澱粉の分解度に従って示した。ここで示され
るDEは澱粉中の全グルコシド結合の内の分解を受けた
グルコシド結合を 100分率 (%) で示したものである。
【0010】
【表1】
【0011】表1に示すごとく、澱粉をα−アミラーゼ
で分解した場合非常に大きな分子量を持つ大分子成分と
小分子成分とに大きく分かれることがわかる。例えば、
表1のDE20の分解物では、11糖類までの小分子成分に
はほとんど分岐構造が無く、それ以上分解が進むに従い
小分子成分に分岐した成分が徐々に増加することがわか
った。このことは、α−アミラーゼで澱粉を分解度、D
E20まで分解して、小分子成分を分離除去すれば、効率
良く分岐した成分のみを調製できることを示している。
ちなみに、DE20の分解物の大分子の部分の分子量の平
均は約20,000、小分子成分の分子量の平均は約1,000 で
あり大きな開きがある。このような大分子の部分の分岐
度はぶどう糖の1・6結合/1・4結合(1・4結合に
対する1・6結合の割合)(%) が10%未満である。
【0012】本発明ではさらにこの大分子の部分をさら
にβ−アミラーゼによって分解し、分岐度の高い画分を
得てもよい。この分岐度は、ぶどう糖の1・6結合/1
・4結合(1・4結合に対する1・6結合の割合) が10
〜20%である。
【0013】分子量による分画については幾つかの方法
が知られている、分画しようとする物質の分子量に大き
な開きの無い場合は、クロマトグラフィーによる分画が
有効である。また2成分に大きな開きのある場合は、膜
による濾過、溶媒による沈澱等があり、本発明において
は、分画方法には特に制約されない。
【0014】次に参考例を示して本発明の分岐されたデ
キストリンの製造法を具体的に説明する。
【参考例1】コーンスターチ1kgを3lの精製水に分散
し、塩化カルシウム400mg とα−アミラーゼ (ノボ社製
ターマミル120L) 1mlを加え、pH6.5 に調整した。連
続液化装置によって105 ℃5分加熱後、100 ℃にて3時
間反応させた。塩酸を加えpH3.5 に調整して 100℃に保
持して、α−アミラーゼを失活させ反応を停止させた。
この時の反応液のDEは23.3、糖組成は次のようであっ
た。 ぶどう糖 1.6 % マルトース 9.3 マルトトリオース 11.9 マルトテトラオース 7.7 マルトペンタオース 9.8 デキストリン 59.7 溶液は常法に従い、濾過、活性炭による脱色、イオン交
換樹脂による脱塩を行なって精製液とした。精製液はビ
スキング透析膜により流水中で透析し、小分子成分を除
去すると、大分子のデキストリンのみチューブの中に残
存した。この大分子デキストリン (分岐デキストリン)
のDEは 1.2、分子量は約20,000であった。この分岐デ
キストリンのぶどう糖の1・6結合/1・4結合を測定
したところ1.7/19.1=0.089 (8.9%) であった。
【0015】
【参考例2】参考例1の方法で得られた反応液 (約40%
分岐デキストリン含有) 10lを、塩酸でpH6.0 に調整
し、β−アミラーゼ#1500(商品名ナガセ生化学工業社
製) 1gを添加し、60℃で30時間反応させた。反応液をク
ロマトグラフィーによって処理して大分子量の画分を分
離し、モノベット法で精製し、濃縮・乾燥して平均分子
量約10,000の高分岐デキストリンを得た。この高分岐デ
キストリンのぶどう糖の1・6結合/1・4結合(グル
コースの1・4結合に対する1・6結合の割合)は0.15
(15%) であった。
【0016】これらのデキストリン及び市販のアミロペ
クチン (ぶどう糖の1・6結合/1・4結合= 17/325
=0.045 (4.5%))の概念図を図1〜3に示した。参考例
1で得られた分岐デキストリン(図4)、参考例2で得
られた高分岐デキストリン(図5)及び前記市販のワキ
シーコーン澱粉の酵素分解デキストリン(図6)の液体
クロマトグラムを図4〜6に示す。市販のワキシ−コー
ン澱粉の酵素分解デキストリンは数種の不純物が混在し
ているのに対し、高分岐デキストリンおよび分岐デキス
トリンはほとんど単一のピークを示し、不純物の少ない
ものであった。これらの各種デキストリンの粘度を図7
に示す。図7は、各種デキストリンの一定濃度における
粘度CPを30℃においてB型粘度計で測定したものであ
るが、高分岐デキストリンおよび分岐デキストリンの粘
度は、酵素分解デキストリンの粘度よりも高かった。
【0017】また、これらの各種デキストリンの分子量
分布を図8に示した。高分岐デキストリンの平均分子量
は約10,000を、分岐デキストリンの平均分子量は約20,0
00をワキシ−コーン澱粉の酵素分解物の平均分子量は約
4,500をそれぞれ示した。
【0018】
【参考例3】コーンスターチ1kgを3l の水に溶解し、
蓚酸4gを添加した。この澱粉乳のpHは 2.1であった。連
続液化装置によって、 130℃において15分間滞留する速
度で澱粉乳を処理した。この液化液のDEは14.1であっ
た液化液はpHを5.5 に調整し、マルトチーム (長瀬生化
学製)(β−アミラーゼ製剤)0.1%を添加し65℃で40時間
糖化した。糖化後の糖組成は下のようであった。 ぶどう糖 4.5 % マルトース 52.0 マルトトリオース 13.5 デキストリン 31.0 糖化液を精製し、特許第1815698 号に準じて4塔式擬似
移動床クロマト分離装置によりデキストリン部 250g を
分離した。分離したデキストリンのDEは11.3であっ
た。また、このデキストリンの平均分子量は約 1,600
で、ぶどう糖の1・6結合/1・4結合は約 0.15(15
%)であった。
【0019】
【参考例4】コーンスターチ10kgに耐熱性α−アミラー
ゼ (ノボ社製ターマミル120L)10 ml塩化カルシウム3 g
を加えpH6.5 に調整し、液化装置によりDE24.4まで液
化する。定法に従い液化液は濾過、脱色、脱塩して精製
し、クロマト分離の原料とした。クロマト分離は特許第
1815698号明細書記載の方法に従い4塔式擬似移動床で
連続的にデキストリン部分と小分子のマルトオリゴ糖の
部分に分割した。デキストリン部分のDEは7,8 であっ
た。また、平均分子量は約2,000 であり、ぶどう糖の1
・6結合/1・4結合は約8.5 %であった。デキストリ
ン部分を集め、常法に従い、濾過、脱色、脱塩し噴霧乾
燥機により乾燥物3.2 kgを得た。
【0020】
【試験例1】本発明における分岐デキストリン及び高分
岐デキストリンの生化学的な試験結果を示す。 (消化酵素による分岐デキストリン類の分解)通常のコー
ンスターチから調製したデキストリン、ワキシ−スター
チから調製したデキストリン、および参考例1の分岐デ
キストリンの3種について豚膵臓アミラーゼとラット小
腸アセトンパウダーを用いて分解速度を測定した。
【0021】コーンスターチのデキストリンはコーンス
ターチにα−アミラーゼ0.1 %及び塩化カルシウム80pp
m を加えてpH6.5 に調整し、連続液化装置を用いて 100
℃5分間加熱し、ついで95℃において60分間保持して液
化を行なった。液化液は老化を避けるために熱水で希釈
し、冷却しないように速やかに分解試験に用いた。液化
液のDEは7.5 であった。平均分子量は約2,200 でぶど
う糖の1・6結合/1・4結合は約3.5 %であった。こ
れをサンプルAとして示す。ワキシースターチのデキス
トリンは市販のデキストリンを用いた。このデキストリ
ンのDEは5.1 であった。平均分子量は約3,200 で、ぶ
どう糖の1・6結合/1・4結合は約4%であった。こ
れをサンプルBとして示す。参考例1の分岐デキストリ
ン、はDE0.08であった。これをサンプルCとして示
す。
【0022】3種類のデキストリンは試料1g を100 ml
の50mmolリン酸緩衝液pH7.0 に溶解し、膵臓α−アミラ
ーゼ (シグマ社製) 10mgを添加し、38℃で反応させた。
各反応時間におけるソモギーネルソン法による分解度を
表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】(小腸アセトンパウダーによるデキストリ
ンの分解 (DE))上記3種類のデキストリンを50mmolリ
ン酸緩衝液 pH7.0、100 mlに溶解し、ラット小腸アセト
ンパウダー (シグマ社製) 25mgを添加し、38℃において
緩く振盪しながら反応させた。各時間におけるソモギー
ネルソン法による分解度 (DE)を表3に示す。
【0025】
【表3】
【0026】〔表2〕及び〔表3〕に示されるように分
岐デキストリンはコーンスターチのデキストリンよりも
はるかに消化酵素によって分解され難いことがわかる。
ワキシー澱粉は通常のコーンスターチよりも分岐が多
く、ワキシー澱粉から調製されるデキストリンは分岐デ
キストリンの一種であり、コーンスターチのデキストリ
ンよりも分解され難いが、通常のコーンスターチをα−
アミラーゼで分解後分離して調製したデキストリンはワ
キシー澱粉より調製したデキストリンよりも更に分解を
受け難い。
【0027】
【試験例2】次に本発明における高分岐デキストリンの
生化学的な試験結果を示す。 (1) 膵液アミラーゼによる分解度 膵液のα−アミラーゼ(α−amylase from porcine pan
creas. (商品名) シグマ社製)200mg を50mMリン酸緩衝
液(pH7.0) 4 mlに溶解し0.45μのフィルターで濾過した
濾液を酵素として使用した。実際の使用に当たってはこ
の酵素液を10倍に希釈して使用した。基質として参考例
2で得られた高分岐デキストリン、ワキシーコーン澱粉
の酵素分解物 (市販品)を使用した。また、分岐デキス
トリンの膵液アミラーゼによる分解度を参考のために示
した。この分岐デキストリンは参考例1で得られたもの
である。これらの基質を50mMリン酸緩衝液(pH7.0) 5ml
に 1%濃度になるように溶解し、前記10倍に希釈した酵
素液 100μl を加え30℃で 0分、10分、1時間、2時
間、4時間及び6時間反応を行ない、酵素処理液を100
℃で5分加熱して失活させた。この0.2 mlを採取し、そ
れぞれの試料の分解率をソモジー・ネルソン法により測
定した。その結果を図9に示した。
【0028】(2) (腸管アセトンパウダーのアミラーゼ
の分解度) 腸管アセトンパウダーは、シグマ社製のものを使用した
(商品名 IntestinalAceton powder(Rat)) 。基質とし
ては前記試験(1) と同様の高分岐デキストリン、分岐デ
キストリン、ワキシーコーンスターチ酵素分解物を使用
した。これらの基質を50mMリン酸緩衝液 (pH7.0)で50ml
になるように溶解し、腸管アセトンパウダー約50mgを加
えて振盪しながら酵素反応を行ない、30℃で 0分、10
分、1時間、2時間、4時間、6時間毎に反応液を5ml
づつサンプリングし、100 ℃に 5分間加熱して失活させ
た。この反応液を0.45μのフィルターで濾過し、それぞ
れ0.2 mlを摂取してソモジーネルソン法により測定し
た。その結果を図10に示した。
【0029】(3) 前記試験(1) 及び(2) で得られた6時
間反応液の試料について東洋ソーダ製分析用充填剤TSK-
SCX-Na型の2本のカラムを用いて分子量分布を測定し
た。この結果をみると、高分岐デキストリン及び分岐デ
キストリンは、ワキシ−コーン澱粉の酵素分解物にくら
べて膵液α−アミラーゼと腸管アセトンパウダーによっ
て分解を受けにくいことが明らかであった。従って、本
発明における高分岐デキストリンや分岐デキストリンを
投与すると血中のグルコース濃度は急激に増加すること
はない。
【0030】
【試験例3】(食後血糖値抑制効果)6週齢ウィスター系
雄ラットを1群あたり5匹とし、各実験食で10日間の予
備飼育 (前半5日間はミールフィーディングの訓練)し
た。11日目のミールフィーディング終了後、30分、60
分、150 分に尾静脈から採血し、血清グルコース濃度
(血糖値) をグルコースオキシダーゼ法 (V-グルカーゼ
ニッスイ;日水製薬) により測定した。血糖値はmg/dl
である。
【0031】
【表4】
【0032】(飼育方法)次の糖質を含む上記飼料
(〔表4〕)を1日25g ずつ2時間(午前9時30分から
11時30分まで)のミールフィーディングで投与した。飲
水は水道水を自由摂取させた。
【0033】(実験群) 1群 グルコース 2群 分岐デキストリン 3群 高分岐デキストリン 4群 ワキシースターチデキストリン(ワキシ─酵素
分解物) 飼育試験に用いる糖質は以下の方法によって調製した。 グルコース;試薬結晶グルコース 分岐デキストリン;参考例3のクロマトグラフィーによ
る分離試料 高分岐デキストリン:参考例2のクロマトグラフィーに
よる分離試料 ワキシーデキストリン;市販ワキシーデキストリン D
E5.1
【0034】
【表5】 数値は、平均値±標準偏差を示す。各群の個体数は5匹 なおミールフィーディング前の血糖値は 110〜120mg/dl
の範囲であった。
【0035】血糖値上昇抑制結果を〔表5〕に示す。本
発明における血糖値上昇抑制剤は、前記分岐デキストリ
ンあるいは高分岐デキストリンを粉末あるいは液体のま
ゝ用いてもよい。またカプセル剤、顆粒剤、散剤、ドリ
ンク剤等として用いてもよい。これらの剤は通常のこれ
らの剤の製造法で用いられる。しかし、糖尿病患者の炭
水化物(糖質)の代替物として用いるという点を考える
と、飲食品のなかに炭水化物(糖質)に代えて、飲食品
のなかにその品質や風味が低下しない範囲でできるだけ
多量に混入することが望ましい。また、スポーツ選手等
のドリンク剤の炭水化物(糖質)の一部あるいは全部を
血糖値上昇抑制剤で置換することができる。また経腸栄
養剤の炭水化物(糖質)に代えてその全部又は一部を置
換することができる。
【0036】次に本発明の実施例を示す。
【実施例1】次の組成成分〔表6〕を配合したみかん果
汁を製造した。
【表6】 得られたジュースは適度の甘味を有するが引用しても血
糖値の上昇がないものとなった。
【0037】
【実施例2】通常の経腸栄養剤は、デキストリン、乳清
タン白、砂糖、食用食物油脂、脱乳糖脱脂粉乳、中鎖脂
肪、卵黄レシチン、卵黄、香料、ミネラル(ナトリウ
ム、カリウム、塩素、カルシウム、マグネシウム、リ
ン、鉄、銅、亜鉛、イオウ、マンガン等)及びビタミン
(ビタミンA、D、B1 、B2 、C、ナイアシン、ビタ
ミンE、B6 、B12、素酸、ビオチン、コリン)等より
なり、pH約6.2 、比重1.065 〜1.070 浸透圧300 〜340m
Osm/l 、NPC/N 比140 〜160 、フィッシャー比3.0〜3.5
とされている。本実施例の経腸栄養剤は、上記デキス
トリン、砂糖を全てを参考例2または3の高分岐デキス
トリン、または分岐デキストリンで置換した。この経腸
栄養剤の前記数値にほとんど変化がなかった。
【0038】
【発明の効果】アミラーゼは澱粉中の分岐部分に対して
反応し難く、従って分岐部分は、大きな分子のままで残
存する。この分岐部分だけを分離したデキストリンは体
内の消化酵素によっても分解され難く、ラットを使用し
た飼養試験でも分岐デキストリンが血糖値の上昇を効果
的に抑制することが示された。ゆっくりと消化する性質
は、血糖値の上昇が問題となる糖尿病患者や、糖尿病予
備軍だけではなく、運動選手の急激な血糖値の低下によ
る運動能力の低下の防止や長時間の労働に対するエネル
ギーの補給に有効に利用できる新規な糖質となる。この
ように本発明における高分岐デキストリン及び分岐デキ
ストリンはぶどう糖の1・4結合に対する1・6結合の
割合が高いので分岐度が高く、体内で分解し難いので摂
食後の血中の糖度を高めることを抑制することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】アミロペクチン中のぶどう糖の1・6結合と1
・4結合を模式的に示す。
【符号の説明】
──はぶどう糖1分子を示す。
【図2】分岐デキストリン(参考例1)中のぶどう糖の
1・6結合と1・4結合を模式的に示す。
【符号の説明】
──はぶどう糖1分子を示す。
【図3】高分岐デキストリン(参考例2)中のぶどう糖
の1・6結合と1・4結合を模式的に示す。
【符号の説明】
──はぶどう糖1分子を示す。
【図4】高分岐デキストリン(参考例1)の液体クロマ
トグラフィーによる糖組成を示す。
【図5】高分岐デキストリン(参考例2)の液体クロマ
トグラフィーによる糖組成を示す。
【図6】参考例のワキシ−コーンデキストリンの液体ク
ロマトグラフィーによる糖組成を示す。
【図7】各種デキストリンの粘度を示す。
【図8】高分岐デキストリン、分岐デキストリン、ワキ
シ−コーンデキストリンのクロマトグラフィーによる保
持時間(Retention time) を示す。
【図9】試験例1の各種デキストリンの膵液α−アミラ
ーゼによる分解率を示す。
【図10】試験例2の各種デキストリンの腸管アセトン
パウダーによる分解率を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 澱粉をα−アミラーゼ又は酸で液化後α
    −アミラーゼで更に分解するかあるいは、β−アミラー
    ゼ又はα−アミラーゼとβ−アミラーゼとの混合物で分
    解することによって得ることができ、ぶどう糖の1・6
    結合/1・4結合(1・4結合に対する1・6結合の割
    合) が20%以下の分岐の多いデキストリンを有効成分と
    して含有する血糖値上昇抑制剤。
  2. 【請求項2】 分岐の多いデキストリンが、ぶどう糖の
    1・6結合/1・4結合(1・4結合に対する1・6結
    合の割合)が10%未満の分岐デキストリンである請求項
    1記載の血糖値上昇抑制剤。
  3. 【請求項3】 分岐の多いデキストリンが、ぶどう糖の
    1・6結合/1・4結合(1・4結合に対する1・6結
    合の割合)が10%以上20%以下の高分岐デキストリンで
    ある請求項1記載の血糖値上昇抑制剤。
  4. 【請求項4】 糖尿病患者又はその疾病に罹るおそれの
    ある者の炭水化物源として用いる請求項1〜3のいずれ
    かに記載の血糖値上昇抑制剤。
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