JP2001031409A - 水酸アパタイト皮膜の製造方法 - Google Patents

水酸アパタイト皮膜の製造方法

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JP2001031409A JP11208022A JP20802299A JP2001031409A JP 2001031409 A JP2001031409 A JP 2001031409A JP 11208022 A JP11208022 A JP 11208022A JP 20802299 A JP20802299 A JP 20802299A JP 2001031409 A JP2001031409 A JP 2001031409A
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善之 横川
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哲也 亀山
Terubumi Okada
光史 岡田
Masaaki Hattori
昌晃 服部
Masahiko Okuyama
雅彦 奥山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 細菌、ウィルス、動植物細胞及び悪臭成分等
に対する吸着性に優れた水酸アパタイト皮膜を、基材の
形状及び製造過程における浸漬の方法によらず均質に、
安定して製造することができる方法を提供する。 【解決手段】水酸アパタイトの結晶が析出しやすいよう
にサイトを導入した基材を、複数枚積み重ねて水酸アパ
タイトを構成する成分を含有する水溶液に浸漬し、この
サイトが導入された基材1gに対して、0.001〜
0.05g/日の速度で水酸アパタイト皮膜が形成され
るように水溶液を調製する。特に、カルシウムイオンの
濃度は0.01〜2ミリモル/リットルとし、リン酸イ
オンの濃度は0.01〜1ミリモル/リットルとするこ
とが好ましい。また、水溶液の温度は0〜40℃とする
ことが好ましい。更に、水溶液のpHは5〜8とするこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水酸アパタイト皮膜
の製造方法に関する。更に詳しくは、基材の表面に水酸
アパタイト結晶を析出させて水酸アパタイト皮膜を製造
する方法に関する。この水酸アパタイト皮膜が形成され
た基材は、空気清浄機などに用いられる吸着剤、各種の
医療材料、濾過材、及び医療用具等として利用すること
ができる。
【0002】
【従来の技術】近年、ウィルス、細菌及び悪臭成分等に
対する高い吸着性を有するリン酸カルシウム系化合物を
利用した技術が多く開示されている。例えば、リン酸
カルシウム系化合物を備えるフィルタ材(特開昭61−
235752号公報等)、繊維及び紙等の有機高分子
材料に、リン酸カルシウム系化合物からなる粒子を結合
剤等により担持させたもの(特開平3−207414号
公報、特開平5−115572号公報及び特開平6−1
06012号公報等)、予めパルプ等とリン酸カルシ
ウム系化合物からなる粒子を混合し、抄紙した複合フィ
ルタ材等である。
【0003】更に、最近では、不織布等の有機高分子
材料を無機イオンの濃度を体液に近似させた擬似体液等
に浸漬し、生体内の骨形成反応を模倣して、その表面に
リン酸カルシウム系化合物の結晶を析出させた複合繊維
等(特公平7−24686号公報及び特開平8−260
348号公報等)が知られている。特に、上記のよう
な生体内の骨形成反応を模倣して製造されるリン酸カル
シウム系化合物の1種である水酸アパタイトと繊維との
複合繊維材料は、繊維等の基材の表面全体に水酸アパタ
イトが形成されていることが特徴である。そのため、上
記、及びと比べるとリン酸カルシウム系化合物の
有する細菌、ウィルス、動植物細胞及び悪臭成分等に対
する高い吸着性を十分に発揮させることができ、有用で
あると考えられている。
【0004】こののような複合繊維材料を製造する方
法としては、水酸アパタイトの結晶が析出し易いよう
に、核等のサイトを導入した不織布等の有機高分子材料
を擬似体液等に浸漬することにより、生体内の骨形成反
応を模倣してその結晶を析出させることが一般的であ
る。これまでは基材に水酸アパタイトを析出させる場
合、基材の1枚ずつを所定量の擬似体液等に数時間から
数日間浸漬していたが、この方法で多数枚の複合繊維材
料を調製しようとすると時間と手間がかかり、結果とし
て複合繊維材料1枚当たりのコストが高くなってしま
う。そこで、一度に多数枚の不織布等の基材を重ねた状
態で擬似体液に浸漬する方法が考えられるが、この方法
では各基材に均一で偏りのない水酸アパタイト皮膜を形
成させることは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決するものであり、一度に多くの基材に、各基材の
全体にわたって、均一な水酸アパタイト皮膜を形成する
ことができる水酸アパタイト皮膜の製造方法を提供する
ことを目的とする。更に、基材の種類及び形状によら
ず、基材の全体にわたって、均一な水酸アパタイト皮膜
を形成することができる水酸アパタイト皮膜の製造方法
を提供することを目的とする。この方法によると、細
菌、ウイルス、動植物細胞及び悪臭成分等に対する高い
吸着性を有する水酸アパタイト皮膜が形成された基材を
安定して量産することができる。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1発明の水酸アパタイ
ト皮膜の製造方法は、水酸アパタイト結晶を析出させる
ためのサイトが導入された基材を、水酸アパタイト成分
を含有する水溶液に浸漬することにより、上記基材の表
面に水酸アパタイト結晶を析出させ、上記基材1gに対
して、水酸アパタイトからなる皮膜を1日当たり0.0
01〜0.05gの速度(以下、単に皮膜形成速度とい
う。)で成長させることを特徴とする。
【0007】上記「サイト」は、水酸アパタイトの結晶
の析出を促進する反応場である。このサイトを基材に導
入することで、水酸アパタイトの結晶はサイトを起点と
して析出し、より高純度の水酸アパタイト皮膜が基材表
面に形成される。このサイトとしては、通常、水酸アパ
タイトの小結晶、水酸アパタイトの前駆体及びリン酸カ
ルシウムの小結晶等を利用することができる。このよう
なサイトを基材に導入する方法としては、基材を酸化
カルシウム−酸化ケイ素系のガラスを含む擬似体液に浸
漬する方法、基材を塩化カルシウムを含有する水溶液
に浸漬した後、リン酸カリウムを含有する水溶液に浸漬
する方法、基材をリン酸エステル化処理した後、水酸
化カルシウム水溶液に浸漬する方法等を挙げることがで
きる。
【0008】上記第1発明におけるサイトを導入する
「基材」は、その基材を構成する材料及び形状等、特に
限定されない。この基材としては、表面に凹凸を有する
ことが好ましく、特に、有底の穴、貫通孔及び/又は連
通孔等を多く有する多孔質であることが好ましい。更
に、水溶液を通過(加圧であっても、非加圧であっても
よい)させることのできる基材であることが好ましい。
この基材としては、第6発明のように、有機高分子材料
からなる多孔質体を使用することが特に好ましい。
【0009】この多孔質体を構成する材料としては、織
布、不織布、編物及びフェルト等の天然繊維、合成繊維
及び半合成繊維等からなる布地を挙げることができる。
また、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等
の各種の樹脂からなる発泡体(より好ましくは連続気泡
型発泡体)、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂か
らなる多孔質フィルム及び多孔質中空糸膜等の各種の成
形体を挙げることができる。また、これらの基材の形状
としては、シート状、ブロック状、管状、ハニカム構造
及び海綿状等を挙げることができる。更に、これらの基
材が、不織布等のシート状のものであれば複数枚を重ね
合わせた積層物とすることもできる。
【0010】上記基材の「表面」とは、基材が繊維から
なる布地である場合は、布地を構成する繊維の表面であ
り、基材が樹脂発泡体、多孔質フィルム又は多孔質中空
糸膜等の成形体である場合は、有底の穴及、貫通孔び/
又は連通孔等の表面を含むものである。
【0011】また、この基材の表面は親水性であること
が好ましい。基材の表面が疎水性であると水酸アパタイ
ト皮膜の形成時に浸漬する各種の水溶液との濡れが悪
く、水酸アパタイト皮膜が十分に形成されないことがあ
る。そのため、表面が疎水性である基材を用いる場合
は、基材に親水基を導入し親水性を高めておくこと、或
いは表面に予め粗面化処理等を施しておくことが好まし
い。
【0012】上記「水酸アパタイト成分」とは、カルシ
ウムイオン及びリン酸イオン等である。上記「水溶液」
はこれらの水酸アパタイト成分を、通常、飽和濃度乃至
過飽和濃度で含有し、サイトが導入された基材(以下、
単に「サイト導入基材」という。)に形成されたサイト
から主に水酸アパタイトの結晶を析出させることができ
る。この水酸アパタイト成分を含有する水溶液(以下、
単に「水酸アパタイト成分含有水溶液」という。)には
水酸アパタイト成分以外にも、例えば、ナトリウムイオ
ン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、塩素イオ
ン、硫酸イオン及び炭酸イオン等を含有してもよい。
尚、この水溶液に含有される炭酸イオン等を含有する場
合は、炭酸含有アパタイト等が形成されることがある
が、本発明においては何ら問題となることはない。
【0013】本発明においては、皮膜形成速度を特定の
範囲に調整することにより均一な皮膜を得ることができ
る。皮膜形成速度の単位はg/1日・サイト導入基材1
g(以下、単にg/日・gと表記する。)と表すことが
できる。この皮膜形成速度は0.001〜0.05g/
日・gであり、0.003〜0.03g/日・gである
ことが好ましく、0.005〜0.02g/日・gであ
ることがより好ましい。
【0014】この皮膜形成速度が0.05g/日・gよ
り大きいと、不織布等のサイト導入基材を複数枚重ねて
浸漬した場合は、最外層付近のみにしか水酸アパタイト
が析出しないことがあり、また内層に析出した場合であ
っても、外層付近の析出量が極端に大きくなり、各サイ
ト導入基材に均一な水酸アパタイト皮膜を形成すること
は困難である。このことは厚みの大きいサイト導入基材
又はブロック状等の基材を浸漬した場合も同様であり、
これらの基材の外表面付近のみに析出したり、外表面付
近の析出量が内部に比べて極端に多くなることがある。
この皮膜形成速度が0.001g/日・g未満の場合
は、所定量の水酸アパタイト皮膜が形成されるまでに長
時間を要し、実用的でない。
【0015】また、第2発明の水酸アパタイト皮膜の製
造方法は、水酸アパタイト結晶を析出させるためのサイ
トが導入されたシート状の基材の2枚以上を積層し、水
酸アパタイト成分を含有する水溶液に浸漬することによ
り、上記基材の表面に水酸アパタイト結晶を析出させ、
各々の該基材の1gに対して、水酸アパタイトからなる
皮膜を1日当たり0.001〜0.05gの速度(以
下、単に皮膜形成速度という。)で成長させることを特
徴とする。
【0016】第2発明における上記「サイト」及びサイ
トを導入するシート状の「基材」は、第1発明における
と同様である。また、その基材の「表面」に関しても第
1発明と同様である。この基材としては、第6発明のよ
うに有機高分子材料からなる多孔質体であることが好ま
しい。この基材の形状はシート状であれば特に限定され
ない。また、この基材の厚さは特に限定されないが、通
常、10mm以下(より好ましくは0.01〜8mm、
更には0.05〜6mm)であることが好ましい。更
に、上記「積層」の枚数は、特に限定されないが、第2
発明の製造方法はシート状の基材を5枚以上(更には1
0〜100枚、特に10〜40枚)積層する場合に特に
有用である。また、上記「水酸アパタイト成分」及び上
記「水酸アパタイト成分を含有する水溶液」も第1発明
におけると同様である。
【0017】第2発明における皮膜形成速度は、0.0
01〜0.05g/日・gであり、0.003〜0.0
3g/日・gであることが好ましく、0.005〜0.
02g/日・gであることがより好ましい。この皮膜形
成速度が0.05g/日・gより大きいと、第1発明に
おけると同様に、各サイト導入基材に均一な水酸アパタ
イト皮膜を形成することは困難である。この皮膜形成速
度が0.001g/日・g未満の場合は、所定量の水酸
アパタイト皮膜が形成されるまでに長時間を要し、実用
的でない。
【0018】また、本第1及び第2発明のいずれにおい
ても、第3発明のように、水酸アパタイト成分含有水溶
液にはカルシウムイオンが含有され、その濃度は0.0
1〜2mmol/l(より好ましくは0.02〜1.5
mmol/l、更には0.05〜1mmol/l)であ
ることが好ましい。更に、水酸アパタイト成分含有水溶
液にはリン酸イオンが含有され、その濃度は0.01〜
1mmol/l(より好ましくは0.02〜0.7mm
ol/l、更には0.05〜0.5mmol/l)であ
ることが好ましい。
【0019】このカルシウムイオン及びリン酸イオンの
各濃度が0.01mmol/l未満であると、水酸アパ
タイト皮膜の皮膜形成速度が極端に小さくなることがあ
る。また、カルシウムイオンの濃度が2mmol/lを
超える場合及び/又はリン酸イオンの濃度が1mmol
/lを超える場合は、皮膜形成速度が0.05g/日・
gよりも大きくなることがあるため好ましくない。
【0020】また、本第1及び第2発明のいずれにおい
ても、第4発明のように、水酸アパタイト成分含有水溶
液の温度は0〜40℃(より好ましくは5〜35℃、更
には10〜30℃)であることが好ましい。この温度が
0℃未満であると水酸アパタイトが十分に析出しないこ
とがあり、40℃を超えると皮膜形成速度が0.05g
/日・gよりも大きくなることがあるため好ましくな
い。
【0021】更に、本第1及び第2発明のいずれにおい
ても、第5発明のように、水酸アパタイト成分含有水溶
液のpHは5〜8(より好ましくは6〜8、更には7〜
7.5)であることが好ましい。このpHが5未満であ
ると水酸アパタイトが十分に析出しないことがあり、8
より大きいと水酸アパタイト成分含有水溶液中に含まれ
る水酸アパタイト成分であるカルシウムイオン及びリン
酸イオン等のイオン濃度を低下させても、それを上回る
程度に水酸アパタイト成分のイオンの過飽和度が上昇
し、皮膜形成速度が0.05g/日・gを超えることが
あるため好ましくない。
【0022】本発明の製造方法によると、特に、厚さ
0.01〜1mm(特に、0.01〜0.1)のシート
状の基材にサイトを導入し、その10枚以上を積層し、
各々のサイト導入基材における皮膜形成速度を0.00
1〜0.05g/日・gとして、水酸アパタイト成分含
有水溶液に5日間以上浸漬することにより、サイト導入
基材1g当たりに形成される水酸アパタイト皮膜の最大
重量に対する最小重量の比(下記実施例における、M
max/Mmin)は、1.4以下、更には1.35以下、特
に1.3以下という極めて1に近い値に保持することが
できる。
【0023】本第1乃至第6発明の製造方法により形成
された水酸アパタイト皮膜を備える基材は、フィルタ材
とすることができる。特に、シート状のフィルタ材だけ
でなく、厚みの大きい基材や、海綿体等に水酸アパタイ
ト皮膜を形成することによりブロック形状のフィルタ材
を得ることができる。これらのフィルタ材は細菌、ウイ
ルス、動植物細胞及び悪臭成分等に対する高い吸着性を
有するものとなり、更に抗菌性を付与すれば優れた抗菌
性を有するフィルタ材とすることもできる。
【0024】
【作用】本発明は、第1発明及び第2発明のように皮膜
形成速度を所定の範囲とし、通常使用する水酸アパタイ
ト成分を過飽和に含有する水溶液の過飽和の程度を制御
することにより、水酸アパタイト皮膜を形成させる過程
で起こる種々の反応のうちの律速過程を、イオンの拡散
過程から水酸アパタイトの析出反応過程に調整すること
ができる。従って、前述のようにどのような基材であっ
ても大変均一な水酸アパタイト皮膜を得ることができる
ものである。特に、多数の基材に一度に水酸アパタイト
皮膜を形成する場合は、各々の基材に形成される水酸ア
パタイト皮膜の形成速度は大きくないが、全体の生産性
は大きく向上させることができる。尚、過飽和の程度と
は、熱力学に基づく理論飽和溶液に更に水酸アパタイト
成分を含有させ、水酸アパタイト成分含有水溶液を、水
酸アパタイト成分について過飽和の状態とした場合にで
きる過飽和溶液の、理論飽和溶液からの差の大きさをい
う。本発明の製造方法はどのような基材に適用した場合
であっても均一な水酸アパタイト皮膜を得ることができ
るが、中でも厚みの小さいシート状等の基材を複数積み
重ねた状態で水酸アパタイト成分含有水溶液に浸漬する
場合、及び、厚みの大きい基材を使用する場合に特に好
適に使用することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によって更
に詳しく説明する。 実施例1 (1)サイト導入基材の作製 10枚のセルロース繊維製不織布、(旭化成工業株式会
社製、商品名「ベンリーゼ」、目付量13.5g/
2、厚み0.05mm)を、塩化カルシウムを50m
mol/lの濃度で含有する第1水溶液に1時間浸漬し
た。その後、この水溶液から引き上げて、余剰な水分を
切り、温度60℃で乾燥させた。次いで、リン酸水素二
カリウムを50mmol/lの濃度で含有し、そのpH
が約8.9である第2水溶液に1時間浸漬した。その
後、この水溶液から引き上げて、余剰な水分を切り、水
洗した後に、温度60℃で乾燥させ、サイト導入基材を
作製した。
【0026】(2)水酸アパタイト皮膜の形成 塩酸及びトリスヒドロキシアミノメタンでpHを7.4
に調整し、温度36.5℃に保持した、表1に示すイオ
ン組成を有する5000mlの水酸アパタイト成分含有
水溶液に、(1)で得られた10枚のサイト導入基材を
積み重ねた状態で7日間浸漬した。その後、この水溶液
から引き上げて、水洗し、温度60℃で乾燥させた。こ
れにより得られた10枚の水酸アパタイト皮膜の形成さ
れた基材の重量を測定し、サイト導入基材の重量と比較
し、水酸アパタイト皮膜の重量を測定した。更に、これ
らの測定値から皮膜形成速度を算出した。この結果を表
2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】実施例2(水酸アパタイト成分含有水溶液
のpHを変化させた場合) (1)サイト導入基材の作製 実施例1の(1)と同様にサイトを導入した基材を作製
した。 (2)水酸アパタイト皮膜の形成 塩酸及びトリスヒドロキシアミノメタンでpHを7.0
に調整し、温度を36.5℃に保持した、表1に示すイ
オン組成を有する6000mlの水酸アパタイト成分含
有水溶液に、(1)で得られた10枚のサイト導入基材
を積み重ねた状態で7日間浸漬した。その後、実施例1
の(2)と同様な処理を行い、同様にして皮膜の形成さ
れた基材の重量を測定し、皮膜形成速度を算出した。こ
の結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】実施例3(水酸アパタイト成分含有水溶液
の温度を変化させた場合) (1)サイト導入基材の作製 実施例1の(1)と同様にサイトを導入した基材を作製
した。 (2)水酸アパタイト皮膜の形成 塩酸及びトリスヒドロキシアミノメタンでpHを7.4
に調整し、温度を10℃に保持した、表1に示すイオン
組成を有する3000mlの水酸アパタイト成分含有水
溶液に、(1)で得られた10枚のサイト導入基材を積
み重ねた状態で7日間浸漬した。その後、実施例1の
(2)と同様な処理を行い、同様にして皮膜の形成され
た基材の重量を測定し、皮膜形成速度を算出した。この
結果を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】比較例1(水酸アパタイト成分含有水溶液
中のCaイオン及びリン酸イオンの含有量が過多の場
合) (1)サイト導入基材の作製 実施例1の(1)と同様にサイトを導入した基材を作製
した。 (2)水酸アパタイト皮膜の形成 塩酸及びトリスヒドロキシアミノメタンでpHを7.4
に調整し、温度を36.5℃に保持した、表5に示すイ
オン組成を有する3000mlの水酸アパタイト成分含
有水溶液に、(1)で得られた10枚のサイト導入基材
を積み重ねた状態で7日間浸漬した。その後、実施例1
の(2)と同様な処理を行い、同様にして皮膜の形成さ
れた基材の重量を測定し、皮膜形成速度を算出した。こ
の結果を表6に示す。
【0034】
【表5】 尚、表5において**は第3発明の範囲外であることを
示す。
【0035】
【表6】 尚、表6において*は第1及び2発明の範囲外であるこ
とを示す。
【0036】比較例2(水酸アパタイト成分含有水溶液
中のCaイオンの含有量が過多の場合) (1)サイト導入基材の作製 実施例1の(1)と同様にサイトを導入した基材を作製
した。 (2)水酸アパタイト皮膜の形成 塩酸及びトリスヒドロキシアミノメタンでpHを7.4
に調整し、温度を36.5℃に保持した、表7に示すイ
オン組成を有する3000mlの水酸アパタイト成分含
有水溶液に、(1)で得られた10枚のサイト導入基材
を積み重ねた状態で7日間浸漬した。その後、実施例1
の(2)と同様な処理を行い、同様にして皮膜の形成さ
れた基材の重量を測定し、皮膜形成速度を算出した。こ
の結果を表8に示す。
【0037】
【表7】 尚、表7において**は第3発明の範囲外であることを
示す。
【0038】
【表8】 尚、表8において*は第1及び2発明の範囲外であるこ
とを示す。
【0039】実施例1乃至3及び比較例1、2の結果よ
り、サイト導入基材1g当たりに形成された水酸アパタ
イト皮膜の重量(以下、単に、M値という。)を算出
し、このM値の最大値(以下、単にMmaxという。)に
対する各基材のM値の比を図1に示す。この図1より各
基材に形成された水酸アパタイト皮膜の重量のばらつき
具合が分かる。更に、各実施例及び比較例における最大
皮膜形成速度(各表におけるVmax)をX軸に表し、M
maxをM値の最小値(以下、単にMminという。)で除し
た値M max/MminをY軸に表し、図2に示す。この図2
より各実施例及び比較例において形成された水酸アパタ
イト皮膜の、皮膜形成速度に対する皮膜重量のばらつき
具合が分かる。
【0040】これら実施例及び比較例の結果より、実施
例1における皮膜形成速度は0.0180〜0.024
2g/日・gであり、実施例2においては0.0097
〜0.0071g/日・gであり、実施例3においては
0.0070〜0.0086g/日・gである。即ち、
いずれの実施例においても皮膜形成速度は本発明の範囲
内である。このため、図1及び図2から分かるように、
各々の基材において水酸アパタイト皮膜は極めて均一に
形成されていることが分かる。即ち、各基材当たりに形
成された水酸アパタイト皮膜の重量のばらつきが極めて
小さい。
【0041】これに対して、比較例1では、水酸アパタ
イト成分含有水溶液に含まれるCaイオン及びリン酸イ
オンが多すぎ、1枚目及び2枚目の基材における皮膜形
成速度が0.1763g/日・g、及び0.0714g
/日・gと本発明の範囲を大きく外れている。また、比
較例2では、水酸アパタイト成分含有水溶液に含まれる
Caイオンが多すぎ、1枚目及び10枚目の基材におけ
る皮膜形成速度が0.0754g/日・g及び0.05
99g/日・gと本発明の範囲を外れている。このた
め、図1及び図2より明らかなように水酸アパタイト皮
膜は均一には形成されていない。
【0042】更に、実施例1及び実施例3では水酸アパ
タイト成分含有水溶液のpHを7.4とし、実施例2で
は7.0としているが、いずれも本発明の範囲内におい
て変化させているため、いずれの基材にも均一に水酸ア
パタイト皮膜が形成されている。また、実施例1及び実
施例2では水酸アパタイト成分含有水溶液の温度を3
6.5℃としているのに対して、実施例3では10.0
℃としているが、いずれも本発明の範囲内において変化
させているため、いずれの基材にも均一な水酸アパタイ
ト皮膜が形成されている。
【0043】尚、本発明においては、上記の具体的な実
施例に記載されたものに限られず、目的、用途に応じて
本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができ
る。
【0044】
【発明の効果】第1乃至第6発明によれば、基材の種類
及び形状によらず、また一度に多くの基材を擬似体液に
浸漬した場合であっても、更にこれらの基材が重なり合
っていても、いずれの基材にも均一に水酸アパタイト皮
膜を形成することができる。更に、このような水酸アパ
タイト皮膜の形成された複合材料を大量に、安定して、
安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1枚の不織布の各々のM/Mmaxを表したグラ
フである。
【図2】Vmaxと、Mmax/Mminとの相関を表すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀山 哲也 名古屋市守山区小幡北山2761番1394 (72)発明者 岡田 光史 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 服部 昌晃 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 奥山 雅彦 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 4G075 AA24 BB10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸アパタイト結晶を析出させるための
    サイトが導入された基材を、水酸アパタイト成分を含有
    する水溶液に浸漬することにより、上記基材の表面に水
    酸アパタイト結晶を析出させ、上記基材1gに対して、
    水酸アパタイトからなる皮膜を1日当たり0.001〜
    0.05gの速度で成長させることを特徴とする水酸ア
    パタイト皮膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 水酸アパタイト結晶を析出させるための
    サイトが導入されたシート状の基材の2枚以上を積層
    し、水酸アパタイト成分を含有する水溶液に浸漬するこ
    とにより、上記基材の表面に水酸アパタイト結晶を析出
    させ、各々の該基材の1gに対して、水酸アパタイトか
    らなる皮膜を1日当たり0.001〜0.05gの速度
    で成長させることを特徴とする水酸アパタイト皮膜の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 上記水溶液にはカルシウムイオン及びリ
    ン酸イオンが含まれ、該カルシウムイオンの濃度は0.
    01〜2mmol/lであり、該リン酸イオンの濃度は
    0.01〜1mmol/lである請求項1又は2記載の
    水酸アパタイト皮膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記水溶液の温度は0〜40℃である請
    求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の水酸アパタ
    イト皮膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記水溶液のpHは5〜8である請求項
    1乃至4のうちのいずれか1項に記載の水酸アパタイト
    皮膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記サイトを導入する基材は有機高分子
    材料からなる多孔質体である請求項1乃至5のうちのい
    ずれか1項に記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
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