JP2001027346A - フラップ弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 常時は小量の流量で開動し、排水先側の水位
が増水した場合に迅速に閉動する移動浮力ウエイト型フ
ラップ弁を提供する。 【解決手段】 樋管１１に接続して配置する弁箱１４
と、弁箱１４の排水口１５を開閉するフラップ弁体１６
と、フラップ弁体１６を水平支軸１７の軸心廻りに揺動
自在に支持するホルダー部１８と、フラップ弁体１６と
一体に揺動し、フラップ弁体１６の開動時に下り勾配と
なるガイド溝２０を有するウェイトアーム１９と、ウェ
イトアーム１９のガイド溝２０に沿ってフラップ弁体１
６に接近離間する移動浮力ウェイト２１とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、河川樋管等の排水
管に装着するフラップ弁に係り、弁体の開閉動作を補助
する浮力ウエイトを備えたフラップ弁に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、図３に示すように、陸地側もしく
は排水処理場から河川１へ排水するために、堤防２を貫
通して樋管３を配置しており、樋管３の先端にフラップ
弁４もしくはゲートを装着している。このフラップ弁
４、もしくはゲートは排水時に開放し、河川の増水時に
閉栓して河川水の逆流を防止している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、ゲート弁はそ
の開閉操作に動力が必要であり、河川１の水位の変動に
迅速に対応することが難しい。また、フラップ弁４は弁
体５が樋管３を流れる水流を受けて開き、弁体５の自重
を利用して閉動する。しかし、樋管３を流れる水量が少
ない時には弁体５をその自重に抗して開動させることが
困難で、樋管３の流れを阻害する。

【０００４】本発明は上記した課題を解決するものであ
り、常時は小量の流量もしくは、ウェイトによる開モー
メントにより僅かに開動させることも可能で、排水先側
の水位が増水した場合に迅速に閉動するフラップ弁を提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のフラップ弁は、排水管に接続して配置する
弁箱と、弁箱の排水口を開閉するフラップ弁体と、フラ
ップ弁体を水平支軸廻りに揺動自在に支持する支持部
と、フラップ弁体と一体に揺動し、フラップ弁体の開閉
時に下り勾配となるガイド溝を有するウェイトアーム
と、ウェイトアームのガイド溝に沿ってフラップ弁体に
接近離間する移動浮力ウェイトとを有するものである。

【０００６】上記した構成により、基本作動において、
フラップ弁体にはその自重によって水平支軸廻りに弁体
を閉動する閉方向モーメントが作用し、移動浮力ウェイ
トの自重によって弁体を開動する開方向モーメントが作
用する。閉方向モーメントは開度に応じて弁体の重心と
水平支軸との水平方向距離が変化するにつれて変わるが
各開度においてそれぞれ一定であり、開方向モーメント
は移動浮力ウェイトがウェイトアームのガイド溝に沿っ
て水平支軸から離間するほどに大きくなる。

【０００７】フラップ弁体が全閉する状態で、移動浮力
ウェイトが水平支軸に最接近し、開方向モーメントが最
も小さくなる。フラップ弁体が開動するとウェイトアー
ムが一体に揺動してガイド溝が下り勾配となり、移動浮
力ウェイトがガイド溝に沿ってフラップ弁体および水平
支軸から離間し、開方向モーメントが大きくなる。通常
状態において、排水口の周囲の外水面は設定水位以下に
あり、弁箱内の内水面は排水管から弁箱に流入する排水
の水量に伴ってその水位を増加し、フラップ弁体は内水
面と外水面との水位差に応じて作用する水圧を受けて開
動する。このとき、外水面に浮遊する移動浮力ウェイト
が設定水位において水平支軸から最も遠く離間し、フラ
ップ弁体に最大の開モーメントが作用するので、フラッ
プ弁体は流路抵抗とならず、排水量が小量で内水面と外
水面との水位差が小さくても容易に開動し、排水を円滑
に行なうことができる。

【０００８】異常時、例えば雨水等によって河川の水位
が増加し、外水面が設定水位を越えると、外水面の上昇
に伴って移動浮力ウェイトはウェイトアームのガイド溝
に沿って水平支軸に接近移動し、開方向モーメントが小
さくなる。このため、フラップ弁体は閉動し易くなり、
内水面と外水面との水位差が減少するに伴って閉動し、
外水面が上限水位に達すると、移動浮力ウェイトは水平
支軸に最接近して開方向モーメントが最も小さくなり、
フラップ弁体は自重によって全閉する。

【０００９】河川の水位が減少し、外水面が内水面より
低くなると、水位差に応じた水圧を受けてフラップ弁体
が開動し、ウェイトアームのガイド溝が下り勾配に傾斜
し、移動浮力ウェイトが外水面の低下に伴って水平支軸
から離間し、開方向モーメントが大きくなり、フラップ
弁体の開動が容易になって排水が促進される。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１において、樋管１１は陸地側
もしくは排水処理場から河川１２へ排水するために、堤
防（図示省略）を貫通して配置しており、樋管１１の先
端にフラップ弁１３を装着している。このフラップ弁１
３は排水時に開放し、河川１２の増水時に閉栓して河川
水の逆流を防止する。

【００１１】フラップ弁１３は、樋管１１に接続する弁
箱１４に、排水口１５を開閉するフラップ弁体１６を水
平支軸１７の軸心廻りに揺動自在に装着しており、弁箱
１４に設けたホルダー部１８で水平支軸１７を開動自在
に保持している。水平支軸１７にはウェイトアーム１９
がフラップ弁体１６との間に所定角度をあけて装着して
あり、ウェイトアーム１９はフラップ弁体１６と一体に
揺動し、長孔によって形成するガイド溝２０を有してい
る。このガイド溝２０は、フラップ弁体１６の開動時に
ウェイトアーム１９の揺動にともなってウェイトアーム
１９の先端側に向けて下り勾配となり、フラップ弁体１
６の全閉時に水平もしくは水平支軸１７に向けて僅かに
下り勾配となる。

【００１２】ウェイトアーム１９にはガイド溝２０に沿
ってフラップ弁体１６に接近離間する移動浮力ウェイト
２１が装着してある。移動浮力ウェイト２１は、所定の
重量、所定浮力を有して排水口１５の周囲の外水面に配
置するウェイト２２と、ガイド溝２０に摺動自在に係合
するピン部２３と、ウェイト２２とピン部２３を接続す
るロッド部２４とからなり、ピン部２３は回転自在なピ
ンをガイド溝２０に挿通している。

【００１３】移動浮力ウェイト２１は、図２に示すよう
に、前後一対の回転自在なピン３１によってガイド溝２
０に係合する移動体３２にロッド部２４を接続しても良
い。以下、上記した構成における作用を説明する。始め
に、フラップ弁１３の基本作動を説明する。フラップ弁
体１６の水平支軸１７の廻りには、フラップ弁体１６を
閉動方向に付勢する閉方向モーメントと開動方向に付勢
する開方向モーメントが作用する。閉方向モーメントは
フラップ弁体１６の自重によって発生し、開度に応じて
フラップ弁体１６の重心と水平支軸１７との水平方向距
離が変化するにつれて変わるが各開度においてはそれぞ
れ一定であり、開方向モーメントは移動浮力ウェイト２
１の自重によって発生し、移動浮力ウェイト２１がウェ
イトアーム１９のガイド溝２０に沿って水平支軸１７か
ら離間するほどに大きくなる。

【００１４】フラップ弁体１６が全閉する状態で、移動
浮力ウェイト２１は水平支軸１７に最接近し、開方向モ
ーメントが最も小さくなる。フラップ弁体１６が開動す
るとウェイトアーム１９が一体に揺動してガイド溝２０
が下り勾配となり、移動浮力ウェイト２１がガイド溝２
０に沿って水平支軸１７から離間し、ガイド溝２０の終
端位置において開方向モーメントが最も大きくなる。

【００１５】使用時の通常状態において、排水口１５の
周囲の外水面は設定水位ＳＬより下方にあり、弁箱１４
の内部の内水面は樋管１１から流入する排水の水量に伴
ってその水位が増加する。フラップ弁体１６には内水面
と外水面との水位差に応じて水圧が作用し、この水圧を
受けてフラップ弁体１６が開動する。フラップ弁体１６
の開動によってウェイトアーム１９が揺動してガイド溝
２０が下り勾配となり、移動浮力ウェイト２１がガイド
溝２０の終端位置に移動して水平支軸１７から最も遠く
離間し、フラップ弁体１６の水平支軸１７に最大の開モ
ーメントが作用する。

【００１６】このため、フラップ弁体１６は、排水に対
して抵抗とならず、排水量が小量で内水面と外水面との
水位差が小さくても容易に開動し、排水を円滑に行なう
ことができる。異常時、例えば雨水等によって河川１２
の水位が増加して、外水面が設定水位ＳＬを越えると、
移動浮力ウェイト２１が外水面に浮遊し、外水面の上昇
に伴って移動浮力ウェイト２１がウェイトアーム１９の
ガイド溝２０に沿って水平支軸１７に接近移動し、開方
向モーメントが小さくなる。

【００１７】このため、フラップ弁体１６は閉動し易く
なり、内水面と外水面との水位差が減少するに伴って閉
動する。外水面が上限水位ＵＬに達すると、移動浮力ウ
ェイト２１は水平支軸１７に最接近して開方向モーメン
トが最も小さくなり、フラップ弁体１６はその自重によ
って全閉し、外水面側から水圧を受けて弁箱１４に圧接
し、河川水が逆流することを防止する。

【００１８】河川１２の水位が上限水位より低下し、外
水面が内水面より低くなると、その水位差に応じた水圧
を受けてフラップ弁体１６が開動する。この開動によ
り、ウェイトアーム１９のガイド溝２０が下り勾配に傾
斜し、移動浮力ウェイト２１が外水面の低下に伴って水
平支軸１７から離間し、この離間距離の増大に伴って開
方向モーメントが大きくなり、フラップ弁体１６の開動
が容易になって排水が促進される。

【００１９】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、移動浮
力ウェイトが外水面の変動に伴って水平支軸に接近離間
して開方向モーメントが変化し、設定水位以下において
開方向モーメントが最大となってフラップ弁体が容易に
開動するので、小量の排水に対してもフラップ弁体が抵
抗となることなく円滑に排水を行なえる。また、上限水
位において開方向モーメントが最小となってフラップ弁
体が自重で迅速に閉動するので、河川水の逆流を確実に
防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態におけるフラップ弁を示す
正面図である。

【図２】本発明の他の実施の形態におけるフラップ弁の
要部を示す拡大図である。

【図３】従来の樋管の配置構造を示す模式図である。

【符号の説明】

１１ 樋管 １２ 河川 １３ フラップ弁 １４ 弁箱 １５ 排水口 １６ フラップ弁体 １７ 水平支軸 １８ ホルダー部 １９ ウェイトアーム ２０ ガイド溝 ２１ 移動浮力ウェイト ２２ ウェイト ２３ ピン部 ２４ ロッド部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排水管に接続して配置する弁箱と、弁箱
   の排水口を開閉するフラップ弁体と、フラップ弁体を水
   平支軸廻りに揺動自在に支持する支持部と、フラップ弁
   体と一体に揺動し、フラップ弁体の開閉時に下り勾配と
   なるガイド溝を有するウェイトアームと、ウェイトアー
   ムのガイド溝に沿ってフラップ弁体に接近離間する移動
   浮力ウェイトとを有することを特徴とするフラップ弁。