JP2001027216A - ナット固定金具 - Google Patents

ナット固定金具

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JP2001027216A
JP2001027216A JP11202631A JP20263199A JP2001027216A JP 2001027216 A JP2001027216 A JP 2001027216A JP 11202631 A JP11202631 A JP 11202631A JP 20263199 A JP20263199 A JP 20263199A JP 2001027216 A JP2001027216 A JP 2001027216A
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hole
nut
detent
washer
screw insertion
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JP11202631A
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English (en)
Inventor
Yuji Etsuno
雄治 越野
Kazuhiro Arikado
和広 有門
Yoshihiro Nakazawa
芳寛 中澤
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Nichia Steel Works Ltd
Original Assignee
Nichia Steel Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ナット5及びナット固定金具1のワーク2のボ
ルト孔7に対する芯合わせ作業、並びにワーク2に対す
る固定作業を簡単なものにする。 【解決手段】ナット5が嵌まる六角孔6を有する回り止
め部材3と、ボルト用のねじ挿通孔13を有する抜け止
め部材4とによってナット固定金具1を構成し、ボルト
孔7を有するワークに回り止め部材3を六角孔6がボル
ト孔7に合致するように固定し、該六角孔6にナット5
を嵌めてその上から抜け止め部材4をそのねじ挿通孔1
3がナット5のねじ孔に合致するように被せて、回り止
め部材3に固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ナットをワークに
対して回転不能に保持するナット固定金具に関する。
【0002】
【従来の技術】型鋼や鋼板など各種のワークを高力ボル
トとナットによって締結する場合、ナットを回転角法に
よって回転させてワークを締め付けるのが普通である。
しかし、ワークの形状によってはナットを回転させるた
めの締付工具(例えばナットランナー)を使用する作業
スペースが得られないことがある。その場合にはボルト
の頭部に締付工具を適用してセットの締付を行なうこと
になるが、これにはナット側がボルトに対して共回りす
るという問題がある。
【0003】そこで、本願出願人は、この問題を解決す
るために、図19及び図20に示すナット固定金具aを
提案した(特開平11−132218号公報参照)。そ
れは、ナットN及びワッシャーWを通す貫通孔bが形成
されていてワークW1のナット配設面に固定されるプレ
ートcと、該プレートcの貫通孔bに開口部を対向させ
て該プレートcの片面に固定されたキャップdとからな
る。このキャップdは、ナットNの外形と略相似形状に
形成されたナット収容部eと、該ナット収容部eに続い
て上記開口部側の部位に形成されたワッシャー収容部f
とを備え、ナット収容部eは、その二面幅が上記ナット
Nの二面幅よりも広くその対角距離よりも狭くなるよう
に形成されている。
【0004】このナット固定金具aの場合、ナットNを
キャップdに収容した状態で、該キャップdのねじ挿通
孔gとワークW1のボルト孔hとの芯を合わせて該ワー
クW1に溶接することになる。なお、図16において、
Bはボルトである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記ナット固
定金具aでは、ワークW1の上にナットNを並べてその
上から被せるか、事前にナットNをキャップdに収容し
ておいて、このナット固定金具aを一気に反転させてワ
ークW1の上に載せる必要があり、作業性に難があると
いう問題がある。
【0006】すなわち、前者の方法の場合は、ナットN
をワークW1のボルト孔hに芯合わせして並べる必要が
あり、手間がかかるとともに、作業中に芯ずれを生じ易
い。後者の方法の場合は、ナット固定金具aを反転させ
たときにナットNが脱落し易い。しかも、ナット固定金
具aをワークW1に溶接するときには、キャップdのね
じ挿通孔gとワークW1のボルト孔hとの芯を合わせる
必要があるが、ナットNのねじ孔をワークW1のボルト
孔hに合わせた上で、該ナットNのねじ孔にキャップd
のねじ挿通孔を合わせる必要があり、ナットNがキャッ
プd内で動くこともあって、その芯合わせが難しい。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解決するために、ナット固定金具を、ナットNの回
り止めのための部材と、ナットNをワークに保持するた
めの部材との2部材によって構成し、この両部材にナッ
ト固定のための機能を分担させるようにしたものであ
る。
【0008】すなわち、請求項1に係る発明に係るナッ
ト固定金具は、多角形ナットが嵌まり該ナットの回転を
阻止する回り止め孔を有し、ボルトの軸部を通すボルト
孔が設けられたワークに、その回り止め孔とボルト孔と
の芯が合うように固定される回り止め部材と、上記ボル
トのねじ部が通るねじ挿通孔を有し、上記回り止め部材
の回り止め孔に嵌められたナットに、そのねじ挿通孔と
該ナットのねじ孔との芯が合うように被せられ、上記回
り止め部材に固定されて該ナットの上記回り止め孔から
の抜けを阻止する抜け止め部材とを備えていることを特
徴とする。
【0009】これによれば、まず、回り止め部材をワー
クに固定することになるが、その際の回り止め孔とボル
ト孔との芯合わせは、ナットを介さずに当該回り止め部
材とワークとの間で行なうことができる、つまり、ワー
クのボルト孔を見ながら、これに回り止め部材の回り止
め孔を直接合わせることができるため、その作業が容易
になる。
【0010】そうして、このように回り止め部材をワー
クに固定した後に、該回り止め部材の回り止め孔にナッ
トを嵌めればよい。すなわち、ナットを事前にワークの
上に載せる必要はなく、あるいは回り止め部材にナット
を事前に嵌めて回り止め部材を反転させる必要はなく、
ナットの設置が容易になる。
【0011】次に、抜け止め部材を回り止め部材に固定
すれば、ナットが回り止め部材から抜けることがなくな
る。この場合、既にナットのねじ孔は回り止め部材の回
り止め孔に嵌めることによってワークのボルト孔に芯合
わせされた状態になっているから、このナットのねじ孔
に抜け止め部材のねじ挿通孔を合わせればよい。つま
り、当該抜け止め部材のねじ挿通孔をワークのボルト孔
に直接合わせ込む必要はなく、この抜け止め部材の芯合
わせも容易である。
【0012】請求項2に係る発明は、請求項1に記載さ
れているナット固定金具において、上記回り止め部材に
は、上記抜け止め部材をそのねじ挿通孔と回り止め孔と
の芯が合うように案内するガイドが形成されていること
を特徴とする。
【0013】従って、上記ガイドによって抜け止め部材
を案内することによって、そのねじ挿通孔と回り止め孔
との芯合わせを簡単に行なうことができる。
【0014】請求項3に係る発明は、請求項2に記載さ
れているナット固定金具において、上記抜け止め部材
は、ウェブの両側にフランジを有し該フランジの先端に
リップを有するリップ溝形に形成され、そのウェブに上
記ねじ挿通孔が形成されており、上記回り止め部材は、
両側面が互いに平行に延びた板状のものであって、該両
側面には、上記抜け止め部材のリップが該側面の延設方
向にスライドして嵌まるガイド用の凹部が形成されてお
り、上記回り止め部材の回り止め孔と抜け止め部材のね
じ挿通孔とは、上記リップと凹部との係合により上記延
設方向と直交する方向において互いの芯の位置が一致す
るように配置されていることを特徴とする。
【0015】この発明の場合は、回り止め部材をワーク
に固定し、該回り止め部材にナットを嵌めてから、抜け
止め部材を回り止め部材にそのリップが凹部に嵌まるよ
うにスライドさせれば、このスライド方向(上記延設方
向)と直交する方向においては互いの孔の芯出しがなさ
れることになる。従って、抜け止め部材の回り止め部材
におけるスライド位置を調整するだけで互いの孔の芯を
一致させることができ、芯合わせが容易になる。しか
も、抜け止め部材は上記リップと凹部との係合によって
回り止め部材に仮止めされた状態になるから、該抜け止
め部材を回り止め部材に溶接等によって固定することも
容易になる。
【0016】請求項4に係る発明は、請求項1に記載さ
れているナット固定金具において、さらに、ワッシャー
を嵌めるワッシャー孔を有し上記回り止め部材の下側に
配置されて上記回り止め部材及び抜け止め部材と共にワ
ークに保持されるワッシャー保持部材を備えていること
を特徴とする。
【0017】従って、これによれば、ナットだけでなく
ワッシャーをワークに固定することができる。
【0018】請求項5に係る発明は、請求項4に記載さ
れているナット固定金具において、上記回り止め部材
は、上記回り止め孔が形成された板状の本体と、該本体
の下面の該回り止め孔を挟んで相対する位置に配設され
ワークに固定される一対の脚部とを備えてなり、上記ワ
ッシャー保持部材は、上記回り止め部材の板状本体より
も小径の板状に形成されていて、該回り止め部材の相対
する脚部間に側方から差し込まれるものであり、上記抜
け止め部材は、ウェブの両側にフランジを有し該フラン
ジの先端にリップを有するリップ溝形に形成され、その
ウェブに上記ねじ挿通孔が形成されていて、上記回り止
め部材に対して、上記ワッシャー保持部材の差し込み後
に該差し込み方向と直交する方向から嵌め込まれるもの
であり、上記ワッシャー保持部材は、上記回り止め部材
に対して、上記両脚部との接触によって上記ワッシャー
孔が回り止め孔に合うように上記差し込み方向と直交す
る方向の位置決めがなされ、上記抜け止め部材の両リッ
プの先端との接触によって上記ワッシャー孔が回り止め
孔に合うように上記差し込み方向の位置決めがなされ、
上記抜け止め部材は、上記回り止め部材に対して、上記
両側フランジの内面と板状本体の両側縁との接触によっ
て上記ねじ挿通孔が回り止め孔に合うように上記嵌め込
み方向と直交する方向の位置決めがなされることを特徴
とする。
【0019】従って、これによれば、ワッシャー保持部
材をワーク等に対して溶接等によって直接固定すること
なく、回り止め部材と抜け止め部材との協働によってワ
ークに移動しないように保持することができる。
【0020】
【発明の効果】以上のように、請求項1に係る発明によ
れば、多角形ナットが嵌まる回り止め孔を有する回り止
め部材と、ボルト用のねじ挿通孔を有する抜け止め部材
とによってナット固定金具を構成し、ボルト孔を有する
ワークに回り止め部材をその回り止め孔がボルト孔に合
致するように固定し、該回り止め孔にナットを嵌め、そ
の上から抜け止め部材をそのねじ挿通孔がナットのねじ
孔に合致するように被せて上記回り止め部材に固定する
ようにしたから、ナット及びナット固定金具のワークに
対する芯合わせ作業、並びにワークに対する固定作業が
簡単になり、生産性の向上に有利になる。
【0021】請求項2に係る発明によれば、上記回り止
め部材には、上記抜け止め部材をそのねじ挿通孔と回り
止め孔との芯が合うように案内するガイドが形成されて
いるから、そのねじ挿通孔と回り止め孔との芯合わせを
簡単に行なうことができる。
【0022】請求項3に係る発明によれば、上記抜け止
め部材はリップ付きの溝形に形成されてそのウェブにね
じ挿通孔が形成され、上記回り止め部材は両側面が互い
に平行に延びた板状に形成されてその両側面に上記リッ
プがスライドして嵌まる凹部が形成され、上記回り止め
部材の回り止め孔と抜け止め部材のねじ挿通孔とは、上
記リップと凹部との係合により上記延設方向と直交する
方向において互いの芯が一致するように配置されている
から、回り止め部材と抜け止め部材との芯合わせが簡単
になるとともに、抜け止め部材を回り止め部材に仮止め
することができるから、該抜け止め部材を回り止め部材
に固定することも容易になり、生産性の向上にさらに有
利になる。
【0023】請求項4に係る発明によれば、さらに、ワ
ッシャーを嵌めるワッシャー孔を有し上記回り止め部材
の下側に配置されて上記回り止め部材及び抜け止め部材
と共にワークに保持されるワッシャー保持部材を備えて
いるから、ナットだけでなくワッシャーをワークに固定
することができるようになる。
【0024】請求項5に係る発明によれば、回り止め部
材は、回り止め孔を有する板状の本体と、該本体の下面
に配設されワークに固定される一対の脚部とを備え、ワ
ッシャー保持部材は、上記回り止め部材の板状本体より
も小径の板状に形成して上記脚部間に側方から差し込む
ようにし、抜け止め部材は、ウェブにねじ挿通孔を有す
るリップ溝形に形成して上記回り止め部材に対して上記
ワッシャー保持部材の差し込み後に該差し込み方向と直
交する方向から嵌め込むようにし、上記ワッシャー保持
部材を回り止め部材に対して、上記両脚部及び両リップ
先端との接触によって位置決めし、上記抜け止め部材を
回り止め部材に対して、両側フランジの内面と回り止め
部材本体の両側縁との接触によって位置決めするように
したから、ワッシャー保持部材をワーク等に対して溶接
等によって直接固定することなく、回り止め部材と抜け
止め部材との協働によってワークに対して移動しないよ
うに保持することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0026】<実施形態1>図1において、1はナット
固定金具、2はワークであり、ナット固定金具1は回り
止め部材3と抜け止め部材4とによって構成されてい
る。
【0027】回り止め部材3は、図2に示すように、長
方形板状のものであって、六角ナット5が嵌まる複数個
の六角孔6が長手方向に間隔をおいて形成されている。
この六角孔6はボルトを回転させたときのナット5の回
転を阻止するものであり、ワーク2に形成されたボルト
の軸部を通すボルト孔7に対応して配置されている。ま
た、回り止め部材3の互いに平行に延びる両側面(長辺
部)にはその下部が断面逆L字状に切り欠かれて該回り
止め部材3の全長にわたって延びる凹部(ガイド)9,
9が形成されている。
【0028】抜け止め部材4は、長方形板状のウェブ1
0、該ウェブ10の長手方向に延びる両側縁に続く相対
するフランジ11,11、及び該フランジ11,11の
先端に続いて内側へ突出したリップ12,12を備えて
なるリップ付きの溝形鋼によって形成されたものであ
る。そのウェブ10にボルトのねじ部が通る複数個のね
じ挿通孔13が上記回り止め部材3の六角孔6の配置に
対応するように長手方向に間隔をおいて形成されてい
る。リップ12,12は回り止め部材3の凹部9,9に
その端から長手方向にスライドして嵌まるように形成さ
れている。
【0029】上記回り止め部材3の六角孔6と、抜け止
め部材4のねじ挿通孔13とは、上記リップ12,12
と凹部9,9との係合により、幅方向において互いの芯
の位置が一致するように配置されている。
【0030】使用に際しては、まず、回り止め部材3を
ワーク2の上に六角孔6とボルト孔7との芯が一致する
ようにおいて溶接する。この場合の芯合わせは、ワーク
2のボルト孔7を見ながら、これに回り止め部材3の六
角孔6を直接合わせていくようにすればよい。
【0031】次に、回り止め部材3の各六角孔6にナッ
ト5を嵌める。これにより、ナット5は回り止め部材3
に回転不能に保持されるとともに、そのねじ孔14の芯
がワーク2のボルト孔7に合うことになる。
【0032】次に、抜け止め部材4のリップ12,12
を回り止め部材3の凹部9,9にあてがって長手方向に
スライドさせて該リップ12,12を凹部9,9に(凹
部9とワーク2との隙間に)嵌め込み、抜け止め部材4
のねじ挿通孔13の芯をナット5のねじ孔14に合わせ
る。抜け止め部材4はリップ12と凹部9との係合によ
って回り止め部材3に仮止めされた状態になる。そうし
て、抜け止め部材4と回り止め部材3との両端同士を部
分的に溶接することにより、この抜け止め部材4を回り
止め部材3に固定する(図3参照)。
【0033】なお、上記凹部9は、側面の下部を断面逆
L字状に切り欠いてなるものであるが、該側面に開口す
る溝形状にしてもよい。
【0034】図4及び図5には上記ナット固定金具1の
使用例が示されている。これは橋脚21の補強工事に関
するものであり、図4に示すように、橋脚21の周囲に
鋼板22を該橋脚21との間に一定の隙間が形成される
ように巻き、該橋脚21と鋼板22との間にコンクリー
トを充填して、該橋脚21の補強をなす。図4の例で
は、複数の鋼板22が帯状の接続板23によって上下・
左右に連設されている。接続板23は、図5に示すよう
に、鋼板22の表裏両面に対応させて設けられている。
なお、図4において、各接続板23の表面に描いた多数
の点は鋼板22と接続板23とを締結するボルトを表し
ている。接続板23を上下又は左右に相隣る鋼板22,
22に跨って設けることにより、この両鋼板22,22
に接続しているものである。
【0035】施工に際しては、鋼板22の裏面側に設け
る接続板23にナット固定金具1によってナット5を固
定する。その固定方法は先に説明した通りである。
【0036】そうして、まず、1枚の鋼板22の端縁部
を表裏の接続板23,23で挟み(但し各接続板23は
その片側半分ずつが鋼板22に重なるようにする)、ボ
ルト24をワッシャ25に通し、さらに表面側接続板2
3から鋼板22及び裏面側接続板23のボルト孔に通
し、ナット固定金具1に保持されているナット5に螺合
する。このとき、ナット5はナット固定金具1によって
回転不能に保持されているから、ボルト24に締付工具
を適用してもナット5がボルト24と共回りすることが
ない。
【0037】次に、このような接続板23,23が結合
された鋼板22を橋脚21に対してアンカーボルト(図
示省略)によって固定し、その際に該橋脚21と鋼板2
2との間に一定のコンクリート充填スペースが形成され
るようにする。そして、当該鋼板22の端縁部に結合さ
れている表裏の接続板23,23の隙間に別の鋼板22
を差し込み、先と同様にボルト24を鋼板22及び表裏
の接続板23,23に通しナット固定金具1に保持され
ているナット5に螺合する。このとき、裏面側の接続板
23と橋脚21との間にはコンクリート充填スペースし
かなく、締付工具を挿入することができないが、上述の
如くナット5がナット固定金具1に回転不能に保持され
ているから、ボルト24に締付工具を適用することがで
き、ナット5がボルト24と共回りすることがない。
【0038】以上のようにして鋼板22を橋脚21の周
囲に巻いた後、該橋脚21と鋼板22との隙間にコンク
リート26を充填する。このとき、図5に示すように、
コンクリート26がナット固定金具1のねじ挿通孔13
を塞いでも、抜け止め部材4の両端が開放されているか
ら、回り止め部材3と抜け止め部材4との間の空気は外
部に逃げ、内部にコンクリート26が充填される。よっ
て、空気が溜まって部分的な強度低下や発錆を招くこと
は避けられる。
【0039】なお、上記抜け止め部材4は複数のねじ挿
通孔13を備えているが、回り止め部材3の個々の六角
孔6に対して図6に示す1個のねじ挿通孔13を有する
抜け止め部材4を適用するようにしてもよい。
【0040】<実施形態2>図7に本形態に係るナット
固定金具1が示されている。実施形態1では回り止め部
材3の相対応する長辺側の側面に凹部9,9を形成した
が、本形態では相対応する短辺側の側面に凹部9,9を
形成し、抜け止め部材4についても、長方形状ウェブ1
0の短手方向に延びる両側縁にフランジ11,11が形
成され、該フランジ11,11に続いて内側へ突出した
リップ12,12が形成されている。
【0041】従って、本形態の場合も実施形態1と同様
の作用効果が得られ、さらに、ナット固定金具1の開口
が長手方向に大きく広がっているため、内部へのコンク
リートの充填がより確実なものになる。
【0042】<実施形態3>図8に本形態に係るナット
固定金具1が示されている。この形態では実施形態1と
は逆に、回り止め部材3がリップ付きの溝形鋼によって
形成され、抜け止め部材4が長方形板によって形成され
ている。
【0043】すなわち、回り止め部材3は、長方形板状
のウェブ31、該ウェブ31の長手方向に延びる両側縁
に続くフランジ(ガイド)32,32及び該フランジ3
2,32に続いて内側へ突出したリップ33,33を備
え、ウェブ31に複数の六角孔6が長手方向に間隔をお
いて形成されている。一方、抜け止め部材4は長方形板
に複数のねじ挿通孔13が長手方向に間隔をおいて形成
されたものである。回り止め部材3の相対するリップ3
3,33の先端間隔は、六角孔6の対角距離よりも若干
広く形成されている。
【0044】使用に際しては、回り止め部材3のウェブ
31をワーク(図示省略)に、その各六角孔6がワーク
のボルト孔に合うように位置決めして溶接により固定
し、各六角孔6にナット5を嵌めた後、抜け止め部材4
をリップ33,33とナット5との隙間に回り止め部材
3の端からスライドさせて嵌め込む。これにより、回り
止め部材3の六角孔6と抜け止め部材4のねじ挿通孔1
3とは回り止め部材3の幅方向において互いに芯合わせ
された状態になる。
【0045】すなわち、フランジ32,32は、抜け止
め部材4を案内することによって上記芯合わせをするガ
イドを形成している。そして、その各ねじ挿通孔13を
各ナット5のねじ孔に芯合わせして、該回り止め部材3
と抜け止め部材4との両端同士を溶接により部分的に固
定する。
【0046】<実施形態4>図9乃至図12に本形態に
係るナット固定金具1が示されている。
【0047】図9及び図10に示すように、この形態の
回り止め部材3は、長方形板状のウェブ41の長手方向
に延びる両側縁にフランジ42,42が設けられた溝形
鋼によって形成されていて、ウェブ41に複数の六角孔
6(なお、図9,図10では1つのみを図示し他は省略
している。)が長手方向に間隔をおいて形成されてい
る。そして、フランジ42,42の先端近傍の上記六角
孔6に対応する部位に長手方向に延びるスロット(ガイ
ド)43,43が相対向するように形成されている。一
方、抜け止め部材4は、上記スロット43,43に差し
込むことができる板状のものであって、その中央にねじ
挿通孔13が形成されており、図10に示すように曲げ
て使用されるものである。
【0048】すなわち、本形態のナット固定金具1の使
用にあたっては、回り止め部材3のウェブ41をワーク
2に、その各六角孔6がワーク2ボルト孔7に合うよう
に位置決めして溶接により固定し、各六角孔6にナット
5を嵌める。そうして、抜け止め部材4を回り止め部材
3の相対向するスロット43,43に差し込んで、その
ねじ挿通孔13をナット5のねじ孔に芯合わせした後、
該抜け止め部材4スロット43,43より外方へ突出し
た部分を折り曲げることによって、該抜け止め部材4を
回り止め部材3に固定する。
【0049】従って、本形態の場合は、抜け止め部材4
を回り止め部材3に固定するにあたり、溶接を行なう必
要がない。また、スロット43,43は抜け止め部材4
を案内しそのねじ挿通孔13の芯がナット5のねじ孔に
合うように該抜け止め部材4の長手方向の位置決めをす
ることになる。
【0050】図11及び図12は抜け止め部材4につい
ての他の例を示す。この例の抜け止め部材4は、1枚の
長方形薄板を曲げ加工することによって断面T字形に形
成されたものであり、具体的には長方形薄板の中央部に
一定幅をおいてその両側の各々を中央へ向けて折り返す
ことにより2枚重ねの頭部(T字形における頭部)44
が形成され、この両折り返し部分を頭部44の中央でさ
らに頭部44から離れる方向へ直角に曲げて2枚重ねの
脚部(T字形における脚部)45を形成したものであ
り、脚部45を構成する薄板の両端は揃えられている。
そうして、脚部45に重なった2枚の板を貫通するねじ
挿通孔13が形成されている。
【0051】使用に際しては、上記脚部45を回り止め
部材3のスロット43,43に頭部44が一方のフラン
ジ42に当接するまで差し込み、他方のフランジ42の
スロット43より突出した脚部45の該突出部分を図1
2に示すように2枚の板が互いに離れるように直角に折
り曲げて該他方のフランジ42の外面に係止する係止部
46,46を形成する。
【0052】この例では、抜け止め部材4は、回り止め
部材3のスロット43,43によって回り止め部材3の
長手方向における位置決めがなされ、頭部44のフラン
ジ42への当接によって回り止め部材3の幅方向におけ
る位置決めがなされるから、抜け止め部材4を回り止め
部材3に取付けると、そのねじ挿通孔13がナット5の
ねじ孔に自動的に芯合わせされることになる。
【0053】<実施形態5>図13及び図14は本形態
に係るナット固定金具1を示す。
【0054】この形態の回り止め部材3は、実施形態4
と同様のウェブ41にフランジ42,42が設けられた
溝形鋼によって形成されていて、ウェブ41に複数の六
角孔6が長手方向に間隔をおいて形成されている。そし
て、フランジ42,42の先端近傍の上記六角孔6に対
応する部位に係合孔51,51が相対向するように形成
されている。一方、抜け止め部材4は、線材によって形
成されていて、中央に線材を一捲き半させて形成された
ナット押え部52を備え、その中心の孔がねじ挿通孔1
3に形成されている。そして、このナット押え部52よ
り互いに反対方向へ突出させた線材両端部が下方へ折り
曲げられていて、その端部にさらに内側へ折り曲げられ
てなる係合部53,53が形成されている。
【0055】使用に際しては、回り止め部材3のウェブ
41をワーク2に、その各六角孔6がワーク2ボルト孔
7に合うように位置決めして溶接により固定し、各六角
孔6にナット5を嵌める。そうして、抜け止め部材4の
一方の係合部53を回り止め部材3の一方のフランジ4
2の係合孔51に外側から嵌めて係合し、当該線材を撓
ませながら他方の係合部53を他方のフランジ42の係
合孔51に外側から嵌めて係合する。
【0056】これにより、ナット押え部52がナット5
の上側に、そのねじ挿通孔13がナット5のねじ孔に合
った状態に配置されて、ナット5の抜け止め効果が得ら
れる。この形態の場合も、抜け止め部材4の回り止め部
材3への固定に溶接は不要であり、また、抜け止め部材
4の係合部53,53を回り止め部材3の係合孔51,
51に係合すれば、ねじ挿通孔13がナット5のねじ孔
に自動的に芯合わせされた状態になる。
【0057】<実施形態6>図15乃至図18は本形態
に係るナット固定金具1を示す。この形態は回り止め部
材3の下側に配置するワッシャー保持部材61を有する
点に特徴がある。
【0058】回り止め部材3は、図15に示すように、
複数個の六角孔6が長手方向に間隔をおいて形成された
長方形板状の本体3Aと、該本体3Aの両端下面の六角
孔6の群を挟んで相対する位置に配設された一対の脚部
3B,3Bとを備えてなる。脚部3Bは本体3Aの板幅
方向に延びている。但し、その長さは板幅よりも短く、
本体3Aの両側部は脚部3B,3Bより外側へ突出して
いる。
【0059】抜け止め部材4は、実施形態1と同様に長
方形板状のウェブ10、該ウェブ10の長手方向に延び
る両側縁に続く相対するフランジ11,11、及び該フ
ランジ11,11の先端に続いて内側へ突出したリップ
12,12を備えてなるリップ付きの溝形鋼によって形
成されたものである。但し、リップ12,12はその先
端部がウェブ10側へ直角に折り曲げられている。ウェ
ブ10には複数個のねじ挿通孔13が上記回り止め部材
3の六角孔6の配置に対応するように長手方向に間隔を
おいて形成されている。
【0060】ワッシャー保持部材61は、上記回り止め
部材3の板状本体3Aよりも幅狭で且つ長さも少し短い
小径の板状に形成されていて、ワッシャー62を保持す
る複数のワッシャー孔63が上記回り止め部材3の六角
孔6の配置に対応するように長手方向に間隔をおいて形
成されている。
【0061】上記抜け止め部材4のフランジ11,11
は、該フランジ11,11の内面と上記回り止め部材3
の板状本体3Aの両側縁との接触によって、板幅方向に
おいてねじ挿通孔13及び六角孔6の各々の芯が互いに
一致するように、板状本体3Aの板幅に対応する間隔で
形成されている。
【0062】上記抜け止め部材4のリップ12,12
は、該リップ12,12の対向する先端と上記ワッシャ
ー保持部材61の両側縁との接触によって、板幅方向に
おいて六角孔6、ねじ挿通孔13及びワッシャー孔63
の各々の芯が互いに一致するように、フランジ11,1
1からの突出量がきめられて形成されている。
【0063】ワッシャー保持部材61は、その両端と上
記回り止め部材3の両脚部3B,3Bとの接触によっ
て、板長方向において六角孔6及びワッシャー孔63の
各々の芯が互いに一致するように、その長さが決められ
ている。
【0064】使用に際しては、まず、回り止め部材3を
その六角孔6がワーク2のボルト孔7に合致するように
配置して、その脚部3B,3Bをワーク2に溶接する。
次にワッシャー保持部材61を回り止め部材3の脚部3
B,3B間に側方から差し込む。このとき、ワッシャー
保持部材61は、その両端が脚部3B,3Bに案内され
て、そのワッシャー孔63が六角孔6に合うように差し
込み方向と直交する方向、すなわち板長方向の位置決め
がなされる。この段階で、ワッシャー保持部材61の位
置をワッシャー孔63が六角孔6に合うように目視によ
って調節しておく。
【0065】次に、抜け止め部材4を回り止め部材3及
びワッシャー保持部材61に対してその端から嵌め込
む。このとき、抜け止め部材4は、そのフランジ11,
11が回り止め部材本体3Aの両側縁に案内されて、そ
のねじ挿通孔13が六角孔6に合うようにその嵌め込み
方向と直交する方向、すなわち板幅方向の位置決めがな
される。また、ワッシャー保持部材61は、抜け止め部
材4のリップ12,12によって、そのワッシャー孔6
3が六角孔6及びねじ挿通孔13に合うように板幅方向
の位置が規制される。
【0066】そうして、抜け止め部材4の嵌め込み位置
をその全てのねじ挿通孔13が回り止め部材3の全ての
六角孔6に合うように調節した後、この抜け止め部材4
の両端を回り止め部材3に溶接する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係るナット固定金具を示す斜視
図。
【図2】同形態のナット固定金具とナットとワークとの
関係を示す斜視図。
【図3】同形態のナット固定状態を示す断面図。
【図4】同形態のナット固定金具の使用例を示す正面
図。
【図5】同形態のナット固定金具の使用例を示す断面
図。
【図6】同形態の抜け止め部材の他の例を示す斜視図。
【図7】実施形態2に係るナット固定金具の斜視図。
【図8】実施形態3に係るナット固定金具を示す斜視
図。
【図9】実施形態4に係るナット固定金具を示す斜視
図。
【図10】同形態のナット固定状態を示す斜視図。
【図11】同形態の抜け止め部材の他の例を示す斜視
図。
【図12】同抜け止め部材の使用時の曲げ状態を示す斜
視図。
【図13】実施形態5に係るナット固定金具を示す一部
省略した斜視図。
【図14】同形態のナット固定状態を示す断面図。
【図15】実施形態6に係るナット固定金具を示す分解
斜視図。
【図16】同固定金具の組付状態を示す斜視図。
【図17】図16のA−A線断面図。
【図18】図16のB−B線断面図。
【図19】ナット固定金具の従来例を示す斜視図。
【図20】同ナット固定金具の使用状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 ナット固定金具 2 ワーク 3 回り止め部材 4 抜け止め部材 5 ナット 6 六角孔(回り止め孔) 7 ボルト孔 9 凹部(ガイド) 10 ウェブ 11 フランジ 12 リップ 13 ねじ挿通孔 14 ねじ孔 61 ワッシャー保持部材 62 ワッシャー 63 ワッシャー孔

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多角形ナットが嵌まり該ナットの回転を
    阻止する回り止め孔を有し、ボルトの軸部を通すボルト
    孔が設けられたワークに、その回り止め孔とボルト孔と
    の芯が合うように固定される回り止め部材と、 上記ボルトのねじ部が通るねじ挿通孔を有し、上記回り
    止め部材の回り止め孔に嵌められたナットに、そのねじ
    挿通孔と該ナットのねじ孔との芯が合うように被せら
    れ、上記回り止め部材に固定されて該ナットの上記回り
    止め孔からの抜けを阻止する抜け止め部材とを備えてい
    るナット固定金具。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されているナット固定金
    具において、 上記回り止め部材には、上記抜け止め部材をそのねじ挿
    通孔と回り止め孔との芯が合うように案内するガイドが
    形成されているナット固定金具。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載されているナット固定金
    具において、 上記抜け止め部材は、ウェブの両側にフランジを有し該
    フランジの先端にリップを有するリップ溝形に形成さ
    れ、そのウェブに上記ねじ挿通孔が形成されており、 上記回り止め部材は、両側面が互いに平行に延びた板状
    のものであって、該両側面には、上記抜け止め部材のリ
    ップが該側面の延設方向にスライドして嵌まるガイド用
    の凹部が形成されており、 上記回り止め部材の回り止め孔と抜け止め部材のねじ挿
    通孔とは、上記リップと凹部との係合により上記延設方
    向と直交する方向において互いの芯の位置が一致するよ
    うに配置されているナット固定金具。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載されているナット固定金
    具において、 さらに、ワッシャーを嵌めるワッシャー孔を有し上記回
    り止め部材の下側に配置されて上記回り止め部材及び抜
    け止め部材と共にワークに保持されるワッシャー保持部
    材を備えていることを特徴とするナット固定金具。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載されているナット固定金
    具において、 上記回り止め部材は、上記回り止め孔が形成された板状
    の本体と、該本体の下面の該回り止め孔を挟んで相対す
    る位置に配設されワークに固定される一対の脚部とを備
    えてなり、 上記ワッシャー保持部材は、上記回り止め部材の板状本
    体よりも小径の板状に形成されていて、該回り止め部材
    の相対する脚部間に側方から差し込まれるものであり、 上記抜け止め部材は、ウェブの両側にフランジを有し該
    フランジの先端にリップを有するリップ溝形に形成さ
    れ、そのウェブに上記ねじ挿通孔が形成されていて、上
    記回り止め部材に対して、上記ワッシャー保持部材の差
    し込み後に該差し込み方向と直交する方向から嵌め込ま
    れるものであり、 上記ワッシャー保持部材は、上記回り止め部材に対し
    て、上記両脚部との接触によって上記ワッシャー孔が回
    り止め孔に合うように上記差し込み方向と直交する方向
    の位置決めがなされ、上記抜け止め部材の両リップの先
    端との接触によって上記ワッシャー孔が回り止め孔に合
    うように上記差し込み方向の位置決めがなされ、 上記抜け止め部材は、上記回り止め部材に対して、上記
    両側フランジの内面と板状本体の両側縁との接触によっ
    て上記ねじ挿通孔が回り止め孔に合うように上記嵌め込
    み方向と直交する方向の位置決めがなされることを特徴
    とするナット固定金具。
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