JP2001026602A - エンドトキシンショック抑制剤 - Google Patents

エンドトキシンショック抑制剤

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JP2001026602A
JP2001026602A JP20318599A JP20318599A JP2001026602A JP 2001026602 A JP2001026602 A JP 2001026602A JP 20318599 A JP20318599 A JP 20318599A JP 20318599 A JP20318599 A JP 20318599A JP 2001026602 A JP2001026602 A JP 2001026602A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンドトキシンショックを効果的に抑制でき
るエンドトキシンショック抑制剤を提供する。 【解決手段】 ケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体を
有効成分とする。ケラタン硫酸オリゴ糖は、好ましく
は、少なくとも下記式で表される二糖を繰返し構成単位
として1単位以上含むことを特徴とする。 Gal(6S)-GlcNAc(6S) (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
-O-硫酸エステルとなっていることを、-はグリコシド結
合をそれぞれ表す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンドトキシンシ
ョック抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】エンドトキシンショックは、敗血症など
の重篤な細菌感染症などが原因となって感染菌によって
産生されるエンドトキシン(リポ多糖;以下、LPSと
もいう)の作用によって引き起こされるショックであ
る。
【0003】エンドトキシンショックの治療剤として
は、副腎皮質ステロイド剤、抗生物質、抗凝固剤、スル
ファチドナトリウムなどが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エンドトキ
シンショックを効果的に抑制できるエンドトキシン抑制
剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ケラタン
硫酸オリゴ糖およびその誘導体にエンドトキシンショッ
クを抑制する作用があることを見い出し、本発明を完成
した。
【0006】本発明は、ケラタン硫酸オリゴ糖またはそ
の誘導体を有効成分とする、エンドトキシンショック抑
制剤(以下、本発明抑制剤ともいう)を提供する。
【0007】本発明抑制剤においては、ケラタン硫酸オ
リゴ糖は、好ましくは、少なくとも下記式で表される二
糖を繰返し構成単位として1単位以上含む。 Gal(6S)-GlcNAc(6S) (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
-O-硫酸エステルとなっていることを、-はグリコシド結
合をそれぞれ表す)
【0008】さらに好ましくは、ケラタン硫酸オリゴ糖
は、下記式(1)および(2)で表されるものから選ばれるも
のである。
【化3】 Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(1) Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(2) (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
-O-硫酸エステルとなっていることを、β1-4はβ1,4グ
リコシド結合を、β1-3はβ1,3グリコシド結合をそれぞ
れ表す)
【0009】本発明抑制剤において、ケラタン硫酸オリ
ゴ糖の誘導体は、好ましくは、式(3)で示されるもので
ある。
【化4】 (式中、X1〜X5は、それぞれ独立して、水素原子また
はアシル基であり、X1〜X5の少なくとも一つはアシル
基であり、Mは、それぞれ独立して、水素原子、又は電
離していてもよい1もしくは2価の金属もしくは1価の
塩基であり、波線で示した結合はα−グリコシド配位ま
たはβ−グリコシド配位を示す。)
【0010】一般式(3)において、好ましくは、X1〜X
5がいずれも炭素数1〜10のアシル基であり、Mがア
ルカリ金属である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明抑制剤において用いる「ケ
ラタン硫酸オリゴ糖」は、ケラタン硫酸の基本構造(ガ
ラクトース残基またはガラクトース−6−O−硫酸残基
と、N−アセチルグルコサミン−6−O−硫酸残基とが
交互にグリコシド結合した構造)を少なくとも含む二糖
以上のオリゴ糖である限りにおいて特に限定されない。
ケラタン硫酸オリゴ糖は、例えばケラタン硫酸を分解し
て得られる生成物であってもよく、また例えばN−アセ
チルラクトサミン等を硫酸化して得られる生成物であっ
てもよい。
【0012】このようなケラタン硫酸オリゴ糖の中で
も、ケラタン硫酸を分解して得られるオリゴ糖(ケラタ
ン硫酸由来のオリゴ糖)が好ましく、ケラタン硫酸をエ
ンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ型ケラタン
硫酸分解酵素で分解して得られる分解生成物がより好ま
しい。
【0013】なお、このケラタン硫酸オリゴ糖は、シア
ル酸残基及び/又はフコース残基を含んでいてもよい。
通常には、シアル酸残基は、α2,3又はα2,6グリ
コシド結合でガラクトース残基に結合し、フコース残基
は、α1,3グリコシド結合でN−アセチルグルコサミ
ン残基に結合する。
【0014】通常には、ケラタン硫酸オリゴ糖は、硫酸
化されたN−アセチルグルコサミン残基を還元末端に有
する二〜十糖のオリゴ糖であり、N−アセチルグルコサ
ミン残基の6位のヒドロキシル基が硫酸化されているも
のが好ましく、ガラクトース残基の6位のヒドロキシル
基およびN−アセチルグルコサミン残基の6位の両方が
硫酸化されているものがより好ましい。
【0015】さらに好ましくは、ケラタン硫酸オリゴ糖
は、少なくとも、Gal(6S)-GlcNAc(6S)(式中、Galはガ
ラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン
残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6-O-硫酸エステル
となっていることを、-はグリコシド結合をそれぞれ表
す)で表される二糖を繰返し構成単位として1単位以上
含むケラタン硫酸オリゴ糖である。
【0016】さらに好ましくは、前記ケラタン硫酸オリ
ゴ糖は、式(1)で表されるオリゴ糖(以下、L4L4と
もいう)及び式(2)で表されるオリゴ糖(以下、L4と
もいう)から選ばれる。
【化5】 Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(1) Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(2) (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
-O-硫酸エステルとなっていることを、β1-4はβ1,4グ
リコシド結合を、β1-3はβ1,3グリコシド結合をそれぞ
れ表す)
【0017】本発明に用いられるケラタン硫酸オリゴ糖
は、電離した状態のもの、プロトンが付加した構造のも
のを包含する。またケラタン硫酸オリゴ糖の薬学的に許
容される塩も包含する。
【0018】本明細書において、ケラタン硫酸オリゴ糖
の「誘導体」とは、ケラタン硫酸オリゴ糖のヒドロキシ
ル基の水素原子の少なくとも一つ(好ましくは10%以
上)がO−アシル基により置換されたもの(部分または
完全O−アシル化誘導体)を意味し、その薬学的に許容
される塩も包含される。
【0019】薬学的に許容される塩とは、例えば、ナト
リウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属
塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウ
ム塩等の無機塩基との塩、またはジエタノールアミン
塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基
との塩のうち、薬学的に許容されるものであるが、これ
らに限定されるものではない。
【0020】ケラタン硫酸オリゴ糖のヒドロキシル基の
水素原子を置換するアシル基は、好ましくは炭素数1〜
10のアシル基、より好ましくは炭素数1〜10の脂肪
族又は芳香族のアシル基、すなわちヘテロ原子を含むこ
ともあるアルカノイル基又はアロイル基であり、その例
としては、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチ
ル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、プロピ
オニル、n−ブチリル、(E)−2−メチルブテノイ
ル、イソブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル、o−
(ジブロモメチル)ベンゾイル、o−(メトキシカルボ
ニル)ベンゾイル、2,4,6−トリメチルベンゾイ
ル、p−トルオイル、p−アニソイル、p−クロロベン
ゾイル、p−ニトロベンゾイルなどの基が挙げられる。
ケラタン硫酸オリゴ糖が複数のアシル基を有する場合に
は、それらのアシル基は互いに同一でも異なっていても
よい。
【0021】ケラタン硫酸オリゴ糖の還元末端糖の1位
のヒドロキシル基の水素原子がアシル基により置換され
ている場合、そのO−アシル基の配位は、α−グリコシ
ド配位またはβ−グリコシド配位のいずれでもよいが、
α−グリコシド配位であることが好ましい。
【0022】アシル化されたケラタン硫酸オリゴ糖は、
有機溶媒、脂質に対する溶解性の向上、生体膜透過性の
増大、経口投与した場合の消化管吸収量の増大等の利点
を有する。
【0023】本発明抑制剤において、ケラタン硫酸オリ
ゴ糖の誘導体は、好ましくは、上記式(3)で示されるも
のである。なお、上記式(3)においてMは、それぞれ独
立して、水素原子、又は電離していてもよい1もしくは
2価の金属もしくは1価の塩基であり、電離している場
合は、スルホン酸基はマイナスイオンの状態になる。さ
らに好ましくは、X1〜X5のすべてがアセチル基であ
る。特に好ましいものは、下記式(4)で示される誘導体
である。
【化6】 (式中、Acはアセチル基、波線で示した結合は、α−
グリコシド配位またはβ−グリコシド配位を示す。)
【0024】本発明抑制剤中に含有されるケラタン硫酸
オリゴ糖またはその誘導体は、単一の種からなっていて
も、混合物であってもよい。例えば上記式(4)中の波線
で示した部分がα−グリコシド配位である物質の精製品
であってもよく、β−グリコシド配位である物質の精製
品であってもよく、これらの混合物であってもよい。
【0025】本発明に使用されるケラタン硫酸オリゴ糖
は、例えばケラタン硫酸、好ましくは高硫酸化ケラタン
硫酸の緩衝溶液にエンド-β-N-アセチルグルコサミニダ
ーゼ型ケラタン硫酸分解酵素、例えばバチルス属細菌由
来のケラタナーゼ(II)(特開平2−57182号公
報)、またはバチルス・サーキュランスKsT202株
由来のケラタン硫酸分解酵素(国際公開第WO96/16166
号)を作用させて分解した後、得られた分解物を分画す
ることにより得ることができる。得られたオリゴ糖は通
常の分離精製方法、例えば、エタノール沈殿による濃
縮、ゲル濾過および陰イオン交換クロマトグラフィーに
よる分離精製法により、目的のオリゴ糖を分離精製する
ことができる。このような製造方法の例は、国際公開第
WO96/16973号に記載されている。なお、原料となるケラ
タン硫酸は、主としてガラクトースまたはガラクトース
−6−O−硫酸とN−アセチルグルコサミン−6−O−
硫酸との二糖の繰り返し構造で構成され、動物種および
器官などによって硫酸含量が異なっているが、通常はサ
メなどの軟骨魚類、クジラ、ウシなどの哺乳動物の軟
骨、骨や角膜などの生原料から製造されるものを用いる
ことができる。
【0026】原料として使用されるケラタン硫酸は、通
常入手できるものであればよく、特に限定されないが、
構成糖であるガラクトース残基が硫酸化された高硫酸化
ケラタン硫酸(構成二糖あたり1.5〜2分子の硫酸基
を含む高硫酸化ケラタン硫酸をケラタンポリ硫酸という
こともある)を用いることが好ましい。また、ガラクト
ース残基の硫酸基の位置として、6位が好ましい。この
ような高硫酸化ケラタン硫酸は、たとえば、サメなどの
軟骨魚類のプロテオグリカンから取得できる。また、市
販されているものを使用することもできる。
【0027】ケラタン硫酸オリゴ糖のヒドロキシル基の
水素原子のアシル基による置換は、糖のヒドロキシル基
の保護のために通常に行われるアシル化方法に従って行
うことができる。例えば、導入すべきアシル基の反応性
誘導体(アシル基に対応するカルボン酸の無水物(例え
ば、アセチル基を導入する場合は、無水酢酸、プロパノ
イル基を導入する場合は、無水プロピオン酸)、ハロゲ
ン化物など)と、適当な反応溶媒(ピリジン、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド(DMF)、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロ
ロメタン、メタノール、エタノール、水、およびこれら
の混合物など)中でケラタン硫酸オリゴ糖を常法によっ
て反応させることによってアシル基を導入することがで
きる。必要に応じて、ピリジン等の塩基触媒の存在下で
反応させることもできる。
【0028】必要により、アシル化の程度を調整しても
よく、この調整は、上記のアシル化方法において部分的
にアシル化を行うか、または、アシル化されたケラタン
硫酸オリゴ糖からアシル基を部分的に除去することによ
って行うことができる。
【0029】アシル基の除去は、メタノール性アンモニ
ア、濃アンモニア水、ナトリウムメトキシド、ナトリウ
ムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど
を用いて加水分解することによって行うことができる。
得られた誘導体は、逆相高速液体クロマトグラフィー等
で精製することができる。
【0030】本発明抑制剤の有効成分であるケラタン硫
酸オリゴ糖またはその誘導体は、医薬として使用できる
程度に精製され、医薬として混入が許されない物質を含
まないものであることが好ましい。
【0031】本発明抑制剤は、エンドトキシンショック
を抑制するのに有効である。エンドトキシンショックに
は、敗血症(例えばグラム陰性菌感染症)に伴うエンド
トキシンショックが包含される。
【0032】本発明抑制剤は、エンドトキシンショック
の種々の症状を抑制するのに有効であり、特に致死を抑
制するのに有効である。
【0033】また、本発明抑制剤は、エンドトキシンシ
ョックによる致死の主たる要因である播種性血管内凝固
症候群(DIC)の抑制に有効である。従って、本発明
は、ケラタン硫酸オリゴ糖またはその誘導体を有効成分
とする、DIC抑制剤も包含する。
【0034】本発明抑制剤は、純然とした治療目的のみ
ならず、疾患の予防、維持(悪化防止)、軽減(症状の
改善)等を目的として適用することができる。
【0035】本発明においては、対象となる疾患の性質
や進行状況、投与方法などに応じて、任意の剤形を適宜
選択することができる。
【0036】すなわち、本発明抑制剤は注射(静脈内、
筋肉内、皮下、皮内、腹腔内等)、経鼻、経口、経皮、
吸入などにより投与することができ、これらの投与方法
に応じて適宜製剤化することができる。選択し得る剤形
も特に限定されず、例えば注射剤(溶液、懸濁液、乳濁
液、用時溶解用固形剤等)、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤、液剤、リポ化剤、軟膏剤、ゲル剤、坐剤、外
用散剤、スプレー剤、吸入散剤等から広く選択すること
ができる。また、これらの製剤調製にあたり、慣用の賦
形剤、安定化剤、結合剤、滑沢剤、乳化剤、浸透圧調整
剤、pH調整剤、その他着色剤、崩壊剤等、通常医薬に用
いられる成分を使用することができる。
【0037】本発明抑制剤中の有効成分であるケラタン
硫酸オリゴ糖またはその誘導体の配合量ならびに本発明
抑制剤の投与量は、その製剤の投与方法、投与形態、使
用目的、患者の具体的症状、患者の体重、年齢、性別等
に応じて個別的に決定されるべき事項であり、特に限定
されないが、ケラタン硫酸オリゴ糖の臨床量としては成
人1日1回あたり50〜5000mgが例示される。
【0038】なお本発明抑制剤の有効成分であるケラタ
ン硫酸オリゴ糖の安全性については、国際公開第WO96/1
6973号において示されている。
【0039】
【実施例】以下に本発明を、実施例により具体的に説明
する。しかしながら、これらにより本発明の技術的範囲
が限定されるべきものではない。
【0040】
【実施例1】 L4のアセチル化物の合成 L4の二ナトリウム塩(WO96/16973に記載の方法で製造
したもの)を脱イオン水に溶解し、カチオン交換樹脂(D
owex 50W-X4、H+-form;ダウケミカル製)カラムに通し
て酸遊離型とし、直ちに氷冷した。これに対して、引き
続き氷冷下におき、10倍脱イオン水希釈した水酸化テト
ラ−n−ブチルアンモニウムを1.1倍L4-硫酸基当量滴
下した。約1時間攪拌後、反応系を低温下にて減圧濃縮
し、Sephadex-LH20カラム(ファルマシア社)に通して粗
精製後、水溶液から凍結乾燥し、L4−テトラブチルア
ンモニウム塩を得た。
【0041】乾燥したL4−テトラブチルアンモニウム
塩を100mg/mlの濃度でピリジンに溶解し、室温にて攪拌
しながら無水酢酸(L4-総ヒドロキシル基量に対して1.5
倍当量)を滴下して添加した。室温にて24時間攪拌
後、溶媒を低温下で減圧留去し、メタノール/ジエチル
エーテル溶媒系にて再沈殿して粗L4アセチル化物−テ
トラブチルアンモニウム塩を得た。これを陰イオン交換
カラムクロマトグラフィー(LiChroprep NH2;メルク社
製)にてナトリウム塩に交換し、引き続きゲル濾過クロ
マトグラフィー(Cellulofine GCL-25;生化学工業株式
会社販売)にて精製後凍結乾燥して、L4のアセチル化
物(以下、AcL4ともいう)を、α−グリコシド配位体と
β−グリコシド配位体の混合物として得た。またα-グ
リコシド配位体とβ-グリコシド配位体の分離は陰イオ
ン交換クロマトグラフィー(LiChroprep RP-18;メルク
社製)で行い、α−グリコシド配位体を取得した。AcL4
(α−グリコシド配位体)の1H-NMRスペクトルおよび13
C-NMR(DEPT)スペクトルを以下に示す。
【0042】1H-NMRスペクトル1 H-NMR(400MHz、D2O、TSP(δH=0.00ppm)) δH=1.97ppm(s,3H,COCH3 )、2.02(s,3H,COCH3 )、2.
17(s,3H,COCH3 )、2.18(s,3H,COCH3 )、2.217(s,3H,
COCH3 )、2.220(s,3H,COCH3 )、4.07-4.17(m,4H,H-4
A,H-5A,H-6B,H-6'B)、4.22-4.28(m,3H,H-5B,H-6A,H-
6'A)、4.40-4.44(dd,1H,H-2A)、4.91-4.93(d,1H,H-
1B)、5.00-5.04(dd,1H,H-2B)、5.20-5.23(dd,1H,H-
3B)、5.26-5.31(dd,1H,H-3A)、5.485-5.493(d,1H,H
-4B)、6.09-6.10(d,1H,H-1A)
【0043】13C-NMR(DEPT)スペクトル13 C-NMR(100MHz、D2O、TSP(δC=0.00ppm)) δC=22.86ppm(2C,OCOCH3)、23.04(OCOCH3)、23.08
(OCOCH3)、23.43(OCOCH3)、24.47(NHCOCH3)、53.
09(C-2A)、67.98(C-6B)、68.36(C-6A)、70.61(C
-4B)、72.62(C-2B)、73.34(C-5B)、73.56(2C,C-3
A,C-5A)、74.27(C-3B)、77.80(C-4A)、93.38(C-1
A)、102.96(C-1B)
【0044】
【実施例2】 LPS惹起エンドトキシンショックの抑
制 マウスエンドトキシンショックに対するL4およびL4
L4(いずれも国際公開第WO96/16973号に記載の方法で
製造したもの)の効果を検討した。
【0045】(1)試験方法 1.惹起物質 LPS(Lipopolysaccharide, Salmonella abortus equi由
来; SIGMA社)を1.5 mg/mlの濃度にてリン酸緩衝生理食
塩水(PBS)に溶解し、滅菌濾過後に使用した。
【0046】2.検体 1)被検物質 L4(二ナトリウム塩)粉末およびL4L4(四ナトリウム塩)
粉末をそれぞれ6.0%の濃度となるよう注射用蒸留水
(大塚製薬)に溶解後、生理食塩液(大塚製薬)にて所
定濃度に希釈して使用した。 2)対照物質 LPSに対する陰性対照物質(惹起陰性対照物質)とし
て、PBSを滅菌濾過して使用した。また、被検物質に対
する陰性対照物質として、生理食塩液を使用した。
【0047】3.使用動物 8週齢の雌性C57BL/6系マウス(日本エス・エル・シ
ー)を購入し、その2日後に、体重が各群ほぼ均等にな
るように群分けした。
【0048】4.検体の投与 以下に示す群構成に従い、所定用量の各検体をマウスに
皮下(s.c.)投与した。検体はエンドトキシンショック惹
起日まで1日1回、計4日間皮下投与した。
【0049】5.群構成 表1に示す計7群を設定した。
【0050】
【表1】
【0051】6.エンドトキシンショックの惹起 エンドトキシンショック惹起用のLPSは、検体4回目投
与直後に、0.2 ml/匹(300μg/匹)の用量で腹腔内投与
した。非惹起群については、PBSを0.2ml/匹の用量にて
腹腔内投与した。
【0052】7.死亡数の確認 LPS投与から24、48、72時間後に、各群における累積死
亡数を確認した。
【0053】8.統計処理 生理食塩液群と各L4投与群並びに各L4L4投与群間をノ
ンパラメトリックなDunnetの多重比較検定にて評価し
た。
【0054】(2)試験結果 結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】生理食塩液群では、LPS投与後72時間まで
に93.3%が死亡した。これに対し、L4またはL4L4を投
与した群ではいずれも死亡率が低下した。特にL4L4高用
量群での死亡率の低下が顕著であった。非惹起群につい
ては、惹起陰性対照物質の投与後に死亡例は見られなか
った。
【0057】これらのデータから、ケラタン硫酸オリゴ
糖または誘導体によりエンドトキシンショックによる致
死を抑制できることが明らかである。また、予め投与し
ておくことで、その後のエンドトキシンショックによる
致死を抑制できること(予防効果があること)が示唆さ
れた。
【0058】
【発明の効果】本発明により、特にエンドトキシンショ
ックによる致死を抑制できるエンドトキシンショック抑
制剤が提供される。本発明のエンドトキシンショック抑
制剤は、天然物由来の物質を素材としており、その安全
性も高い。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケラタン硫酸オリゴ糖またはその誘導体
    を有効成分とする、エンドトキシンショック抑制剤。
  2. 【請求項2】 ケラタン硫酸オリゴ糖が、少なくとも下
    記式で表される二糖を繰返し構成単位として1単位以上
    含むことを特徴とする、請求項1記載の抑制剤。 Gal(6S)-GlcNAc(6S) (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
    チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
    -O-硫酸エステルとなっていることを、-はグリコシド結
    合をそれぞれ表す)
  3. 【請求項3】 ケラタン硫酸オリゴ糖が、下記式(1)お
    よび(2)で表されるものから選ばれることを特徴とす
    る、請求項2記載の抑制剤。 【化1】 Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(1) Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(2) (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
    チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
    -O-硫酸エステルとなっていることを、β1-4はβ1,4グ
    リコシド結合を、β1-3はβ1,3グリコシド結合をそれぞ
    れ表す)
  4. 【請求項4】 ケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体が下記式
    (3)で示されることを特徴とする、請求項1記載の抑制
    剤。 【化2】 (式中、X1〜X5は、それぞれ独立して、水素原子また
    はアシル基であり、X1〜X5の少なくとも一つはアシル
    基であり、Mは、それぞれ独立して、水素原子、又は電
    離していてもよい1もしくは2価の金属もしくは1価の
    塩基であり、波線で示した結合はα−グリコシド配位ま
    たはβ−グリコシド配位を示す。)
  5. 【請求項5】 X1〜X5がいずれも炭素数1〜10のア
    シル基であり、Mがアルカリ金属であることを特徴とす
    る請求項4記載の抑制剤。
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