JP2001023112A - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JP2001023112A
JP2001023112A JP11188153A JP18815399A JP2001023112A JP 2001023112 A JP2001023112 A JP 2001023112A JP 11188153 A JP11188153 A JP 11188153A JP 18815399 A JP18815399 A JP 18815399A JP 2001023112 A JP2001023112 A JP 2001023112A
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正 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜コイルの形成不良による薄膜コイルの直
流抵抗の増大や薄膜コイルの断線を防止し、薄膜コイル
を正確に所望の形状に形成することができる磁気ヘッド
を提供すること。 【解決手段】 記録媒体との摺動面近傍の非磁性基板1
1に金属磁性層13がそれぞれ形成された一対の磁気コ
ア半体3,4同士が接合されることで磁気ギャップgが
形成されており、前記磁気コア半体3,4の少なくとも
一方の接合面に設けられた薄膜コイル6によって磁路が
形成される磁気ヘッド10において、前記接合面にて露
出する前記非磁性基板11は、前記薄膜コイル6の最内
周よりも内側に配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜コイルが磁気
コア半体同士の接合面に形成されてなる磁気ヘッドの改
良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気ヘッドとしては、例えばVC
R(ビデオカセットレコーダー)用の磁気ヘッドとし
て、フェライトからなる磁気コアの磁気ギャップ形成面
に金属磁性層を成膜したいわゆるメタル・イン・ギャッ
プ(MIG)型の磁気ヘッドや、非磁性セラミック基板
で金属磁性層を挟み込んだ形状の積層型ヘッドなどが実
用化されている。また、今後の高画質化及びデジタル化
などに対応するためには、例えばより高周波帯域で良好
な電磁変換特性を示す必要があり、しかも小さなドラム
上に複数の磁気ヘッドが搭載できなければならない。
【0003】しかしながら、前述のメタル・イン・ギャ
ップ(MIG)型の磁気ヘッドは、インピーダンスが大
きく、高周波帯域での使用には適さない。また、積層型
ヘッドは、高密度記録化によるトラック幅の減少にとも
ない、磁路を構成する金属磁性層の厚さを減少させる必
要がある。このため、積層型ヘッドは、再生効率が低下
する上に、ヘッドの複数化にもある程度の限界がある。
【0004】そこで、高周波帯域対応の磁気ヘッドとし
ては、例えば特開平6−259717号公報に記載され
ているように、通常のVCR用磁気ヘッドよりも金属磁
性層で構成される磁路を小さくし、かつ薄膜工程を用い
て磁気ギャップ形成面(接合面)に薄膜コイルを形成し
た磁気ヘッド(以下「バルク薄膜ヘッド」という。)が
提案されている。
【0005】図24は、従来の磁気ヘッド110の構成
例を示す斜視図であり、図25は、図24の範囲Vの構
成例を示す拡大断面図である。磁気ヘッド110は、両
側の磁気コア半体3,4のギヤップ対向面と同一平面内
に非磁性基板の一部を露出させ、この非磁性基板111
(以下、単に「基板111」という。)と金属磁性層1
13の一部を突き合わせたバルク薄膜ヘッドである。バ
ルク薄膜ヘッド110は、本構造を採用することによ
り、記録フリンジングによる実効記録幅減少量の低滅
や、再生フリンジングによる隣接クロストークの低減等
の効果が得られ、更なる面記録密度の向上が可能となっ
ている。
【0006】バルク薄膜ヘッド110は、図24のよう
に対の磁気コア半体3,4がその金属磁性層113,1
3同士を突き合わして接合一体化して構成されている。
対の磁気コア半体3,4は、非磁性材でなる基板111
の一方の側に金属磁性層113及びガラス17が配置形
成されてなる。両磁気コア半体3,4の少なくとも一方
には、ヘッド巻線を設けるための図24には図示しない
巻線溝が形成され、この巻線溝内に電磁変換を行うため
の薄膜コイル106による巻線が設けられる。バルク薄
膜ヘッド110は、金属磁性層113,13同士の突き
合わせ面において、この薄膜コイル106を挟んで、磁
気記録媒体との摺動面8側にフロントギャップgF、摺
動面8と反対側にバックギャップgBがそれぞれ形成さ
れている。
【0007】磁気コア半体4及び磁気コア半体3の側面
には、薄膜コイル106から伸びる接続端子7,7が形
成されている。この接続端子7,7は、ワイヤー等の結
線により図示しない外部と電気的に接続される。
【0008】図24のバルク薄膜ヘッド110は以上の
ような構成であり、次に図26〜図44を参照しながら
その製造手順を説明する。まず、図26に示すように非
磁性材からなる基板111を用意する。次に、図27の
ようにこの基板111上に磁性コアを形成するための傾
斜面12bを有する磁気コア形成溝12を形成した後、
図28のように斜面12b等に金属軟磁性膜でなる金属
磁性層113を成膜する。次に、図29のように金属磁
性層113を形成した磁気コア形成溝12に対し、例え
ば直角にフロントギャップgF及びバックギヤップgB
を分離する分離溝15及び巻線溝16を形成する。次
に、これらの分離溝15及び巻線溝16等は、ガラス1
7により充填された後、図30のようにポリッシング等
により図34の状態から図35の状態へと平坦になるよ
うに表面処理される。この平坦化処理において、基板1
11の一部を露出させる。フロントギャップgF及びバ
ックギャップgBは、図30の範囲Eを拡大すると図3
1(A),図31(B)及び図31(C)のようになっ
ている。次に、ガラス17が充填された分離溝15内に
は、図32のように端子溝18が形成される。その後、
図33のように端子溝18内には、メッキ等により銅等
の端子様導体19が充填された後、ポリッシング等の工
程により図36(A)の状態から図36(B)及び図3
5の状態へと、基板111は再び表面が平坦化される。
【0009】そして、以下の手順にて図25の薄膜コイ
ル106が形成される。図37(A)、図37(B)及
び図37(C)のように概ね薄膜コイル106の外形の
外側及び内周の内側に対応した位置に、例えばフォトリ
ソグラフィ技術によりレジスト44を形成する。次に図
38のように、例えばイオンエッチングや化学エッチン
グ、パウダービームエッチング等の手法により、ガラス
17において薄膜コイル106を形成する部分が選択的
にエッチングされ、コイル形成溝20が形成される。
【0010】次に、コイル形成溝用のレジスト44を除
去した後、図39(A)、図39(B)及び図39
(C)のようにコイル形成溝20内には、薄膜コイル1
06の形状に対応したレジスト22が例えばフォトリソ
グラフィ技術により形成される。次に、レジスト22同
士の隙間には、図40(A)、図40(B)及び図40
(C)のようにメッキ等を用いて銅等の伝導性の良い電
導体123が充填される。最後に、レジスト22は、図
41のように除去される。このようにして、基板111
には、図42のように電導体123でなる薄膜コイルが
形成される。
【0011】そして、コアは、図43のように磁気コア
半体ブロック28a及び磁気コア半体ブロック28bの
ように1列ずつ切断される。次に、磁気コア半体ブロッ
ク28a及び磁気コア半体ブロック28bは、図44の
ようにギャップ接合が行われた後に接合したコア列が1
つずつ切断されることで、図24のような1つのバルク
薄膜ヘッド110が得られる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、バルク薄膜
ヘッド110は、図30や図33での平坦化処理におい
て、バックギヤップgBに露出している基板111が、
図41のように薄膜コイル106を形成する部分に干渉
する位置まで露出すると、以下に示す理由により、コイ
ル抵抗の増大やコイル断線等の問題が発生する。バック
ギャップgB及びその近傍を構成する材料には、金属磁
性層113の他にも非磁性基板やガラスが使用されてい
る。そして、基板111の材質には、CaO−TiO2
系、BaO−TiO2系、MnO−NiO系等の非磁性
のセラミックス材が一般的に用いられいる。また、ガラ
ス17については、金属磁性層113の耐熱性が一般に
600℃程度が上限となっているため、この温度にて溶
融充填が可能なPbO一SiO2系のいわゆる低融点ガ
ラスが一般的に使用されている。
【0013】既に説明した通り、図38(A)、図38
(B)及び図38(C)に示すコイル形成溝20は、エ
ッチング等により形成されている。図41のように基板
111が薄膜コイル106を形成する部分にまで露出す
ると、コイル形成溝20は、基板111とガラス17と
いう2種類の材料が存在する位置に形成されることにな
る。ここで、基板111に用いられるセラミックス材
と、ガラス17に用いられる低融点ガラスとのの硬度や
化学的耐久性を比較すると、いずれもセラミックス材の
方が勝っている。このため、コイル形成溝20を形成す
る場合の単位時間当たりのエッチング量(エッチングレ
ート)は、ガラス17よりも基板111の方が少なくな
る、つまり、エッチングレートが低くなる。
【0014】例えばイオンエッチングにてコイル形成溝
20を形成する場合においては、低融点ガラス17のビ
ッカース硬度が400〜500であるのに対し、前述の
各種セラミックス材は、ビッカース硬度が800〜10
00と倍になっている。このため、それぞれのエッチン
グレートは、低融点ガラスが20nm/分、セラミック
ス材が10nm/分となっており、セラミックス材のエ
ッチングレートは低融点ガラスの半分となっている。こ
のため、イオンエッチングを用いて、例えばガラス17
の深さが10μmとなるようにコイル形成溝20を形成
した場合には、基板111のエッチングレートはガラス
17のエッチングレートの半分である。このため、基板
111の溝深さは5μm程度となり、図45(B)の範
囲VOに示すようにガラス17と基板111の境界に段
差Dが発生する場合がある。
【0015】かかる段差Dがコイル形成溝20内の薄膜
コイルを形成する部分に発生すると、薄膜コイル106
のメッキ工程において段差D部分でのメッキの成長方向
の違いにより、図46のように段差Dにてメッキ膜(電
導体123)の異常成長が発生する。このため、この状
態にてバルク薄膜ヘッド110を作製すると、薄膜コイ
ル106の直流抵抗の増大やコイル断線等の問題が発生
する。
【0016】また、前述の段差Dが薄膜コイル106を
形成する部分に存在する場合は、薄膜コイル106の形
成をスパッタリングにて行うと、図47に示すように段
差Dの側面がスパッタ粒子進入方向Sに対し平行とな
り、側面に成膜される電導体123が殆ど成長せず、膜
厚が極端に薄くなる。このため、従来のバルク薄膜ヘッ
ド110は、薄膜コイル106における部分的な断面積
の減少によるコイル直流抵抗の増大や、場合によっては
薄膜コイル106が断線してしまうこと等の問題が発生
していた。
【0017】そこで本発明は上記課題を解消し、薄膜コ
イルの形成不良による薄膜コイルの直流抵抗の増大や薄
膜コイルの断線を防止し、薄膜コイルを正確に所望の形
状に形成することができる磁気ヘッドを提供することを
目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的は、請求項1の
発明にあっては、記録媒体との摺動面近傍の非磁性基板
に金属磁性層がそれぞれ形成された一対の磁気コア半体
同士が接合されることで磁気ギャップが形成されてお
り、前記磁気コア半体の少なくとも一方の接合面に設け
られた薄膜コイルによって磁路が形成される磁気ヘッド
において、前記接合面にて露出する前記非磁性基板は、
前記薄膜コイルの最内周よりも内側に配置されているこ
とを特徴とする磁気ヘッドにより、達成される。
【0019】請求項1の構成によれば、磁気コア半体の
接合面にて露出する非磁性基板が薄膜コイルの最内周よ
りも内側に配置されているので、薄膜コイルを形成する
際に、接合面に露出している非磁性基板の存在が薄膜コ
イルを形成するためのコイル形成溝の形成時に影響を与
えることがない。磁気ヘッドは、薄膜コイルを形成する
ためのコイル溝を正確に形成される。従って、このよう
な磁気ヘッドは、薄膜コイルが正確に形成される。
【0020】請求項2の発明は、前記薄膜コイルは、前
記磁気コア半体のバックギャップを中心として巻線する
ように形成されていることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述
べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、
技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明
の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨
の記載がない限り、これらの形態に限られるものではな
い。図1は、本発明の好ましい実施形態としての磁気ヘ
ッド10の構成例を示す斜視図である。図2は、図1の
磁気ヘッド10における範囲Vの一部を省略した構成例
を示す拡大断面図である。この磁気ヘッド10は、例え
ばVCR(ビデオカセットレコーダー)に用いるバルク
薄膜ヘッドに適用した例である。磁気ヘッド10は、例
えば内蔵する巻線を薄膜によって形成させたETF(E
mbeded Thin Fi1m)でなるコイルを有
する。磁気ヘッド10は、図1のように左右別々に作製
された一対の非磁性材料からなる基体1,2にそれぞれ
一方の側に磁路を構成する金属磁性層13が形成された
磁気コア半体3,4の端面同士が、その金属磁性層13
が形成された側を突き合わせ面(以下、「接合面」とい
う。)として突き合わされて、接合一体化されてなる。
【0022】また、両磁気コア半体3,4の金属磁性層
13には、ヘッド巻線に供する巻線溝5が形成され、こ
の巻線溝5を通じて電磁変換を行うための薄膜コイル6
による巻線が設けられている。この薄膜コイル6は、磁
気コア半体3,4の突き合わせ面に形成される。金属磁
性層13の突き合わせ面において、この巻線溝5を挟ん
で、磁気記録媒体との摺動面8側にフロントギャップg
F 、摺動面8と反対側にバックギャップgBがそれぞれ
形成されている。
【0023】そして、図1のように突き合わせ面に形成
された薄膜コイル6の接続端子7,7は、突き合わせ面
に交叉する磁気ヘッド10の側面と同一面内に形成され
る。従って、薄膜コイル6から磁気コア半体3,4にか
けて形成された図示しない配線が、磁気ヘッド10の側
面10aにある薄膜コイル6の端子すなわち接続端子
7,7に電気的接続がされている。さらに、この接続端
子7,7は、ワイヤー等の結線により外部と電気的に接
続される。
【0024】金属磁性層13の材料としては、センダス
ト(Fe−Al−Si合金)が好適であるが、その他こ
れに類似した合金、またFe系微結晶膜等の他の軟磁性
合金も使用できる。
【0025】また、図2に示すように、より高周波領域
において高感度を持たせるためには、非磁性層14を介
して複数の金属磁性層13を形成した積層構造にするの
がよい。このような構造であることにより、金属磁性層
13が複数に分断されるため渦電流損失を低減させるこ
とができる。このときの非磁性層14の材料は、アルミ
ナ、SiO2もしくはSiOでも可能で、これらの混合
物でもよい。非磁性層14の厚みは、最低限絶縁効果の
得られる厚み以上が必要であるが、余り厚すぎると実効
トラック幅が減少し再生出力が低下してしまうことを考
慮する必要がある。
【0026】本実施形態では、Al2O3からなる下地
膜を0.1μm形成した後、金属磁性層13はセンダス
トにより4μmの厚さに、非磁性層14はアルミナによ
り0.15μmの厚さとして、これらを交互に積層させ
て、金属磁性層13を例えば3層とした積層構造を形成
した。
【0027】磁気ヘッド10は以上のような構成であ
り、次に図3〜図23を参照しながらその製造方法につ
いて説明する。まず、図3に示すように非磁性基板11
は、MnO−NiO系等の非磁性材料からなり、その寸
法は例えば長さ30mm,幅30mm,厚さ2mm程度
である。以下、「非磁性基板11」を単に基板11とい
う。
【0028】次に、図4に示すようにこの基板11の主
面上には、磁性コアを形成するための斜面を形成するた
め、片面を例えば45°に成形した砥石によって、鉛直
面12aと斜面12bを有する磁気コア形成溝12が複
数本平行に形成される。斜面12aの傾きは、25°〜
60°程度が望ましく、疑似ギャップの発生の防止やト
ラック幅精度の確保を考えると35°〜50°程度が望
ましい。また、磁気コア形成溝12の深さは、130μ
m程度、幅は150μm程度とした。
【0029】次に、図4に示すように基板11の磁気コ
ア形成溝12を形成した主面上には、スパッタ、蒸着、
MBE(分子線エピタキシー)等の物理的気相成長法や
化学的気相成長法により図5のように金属磁性層13が
成膜される。さらに、磁気コア形成溝12における鉛直
面12aと斜面12bとの間にある水平な底面12cの
金属磁性層13が、除去される。
【0030】次に、図6に示すように基板11には、磁
気コア形成溝12に対しほぼ直交する方向に、隣接する
2つのコア間を分離するフロント・バックギャップ分離
溝(以下「分離溝」という。)15と巻線溝16とがそ
れぞれ形成される。
【0031】分離溝15の深さは、金属磁性層13が完
全に分断される深さが必要であり、本実施形態では磁気
コア形成溝12の上部から例えば150μmの深さの位
置まで形成した。また、分離溝15の幅は、フロントギ
ャップgFが例えば30μm、バックギャップgBが例
えば85μm残るように決定している。この幅は、任意
であり、フロントギャップgFとバックギャップgBの
長さのかねあいにより設定されるものである。
【0032】巻線溝16の深さは、金属磁性層13が切
断されない深さであればよいが、深すぎると磁路長が大
きくなって磁束伝達の効率が低下する。このため、巻線
溝16の深さは、磁気コア形成溝12の上部より20μ
m程度の深さにすることが望ましい。巻線溝16の幅
は、薄膜コイル6の幅と巻線数によるが、本実施形態で
は例えば140μmとした。
【0033】また、それぞれの溝15,16の形状は、
分離溝15に関しては金属磁性層13が切断されていれ
ばよく、形状は問わないが、巻線溝16に関しては例え
ば斜めに切り込んだ形状とし、磁束が集中し高い記録感
度が得られる構成とした。尚、本実施形態では、巻線溝
16のフロントバック側を例えば45°の斜面を有する
砥石により形成したが、斜面の角度が45°でなくても
構わないし、形状も円形若しくは多角形のものでも構わ
ない。
【0034】次に、図7に示すように磁気コア形成溝1
2、分離溝15及び巻線溝16には、それぞれPbO−
SiO2低融点ガラスでなるガラス17により図11の
ように充填され、ポリッシング等により表面が平坦化さ
れる。この平坦化の際には、基板11の主面上の余分な
金属磁性層13が同時に除去され、接合面に基板11が
露出する。
【0035】次に、図9に示すようにガラス17により
充填された分離溝15内には、分離溝15及び巻線溝1
6と平行な方向に端子溝18が形成される。この端子溝
18は、磁気ヘッド10においてバックギャップgBと
なる部分であり、分離溝15と巻線溝16の間の部分よ
りも外側の位置に形成される。
【0036】次に、図10に示すように端子溝18内に
は、銅等の導電性の良い端子用導体19がメッキ等によ
り充填される。そして、後述する薄膜コイル6のコイル
端子となる端子用導体19が形成される。従って、端子
用導体19は所定量研磨され、基板11は、図12のよ
うに再び表面が平坦化される。
【0037】ここで、金属磁性層13の露出幅33は、
図15のように磁気コア形成溝12の深さ方向で一定と
なっている。これに対して、基板11の露出幅35は、
磁気コア形成溝12の底部に近くなるほど増大する。こ
のため、平坦化時の研磨量が大きいほど、基板11の露
出量35が大きくなる。従って、接合面における基板1
1及び金属磁性層13の露出幅の調整では、基板11の
露出幅35の制御が重要である。
【0038】この平坦化処理の際には、図14及び図1
5のように複数回、例えば2回に分けて以下のように平
坦化が行われている。まず、コイル形成溝20(凹部)
を形成する際に基板11の表面に露出している非磁性基
板13の露出量35は、図7の第1の平坦化処理及び、
図10の第2の平坦化処理の2回の平坦化処理にて決定
される。
【0039】第1の平坦化処理は、図11のように基板
11の表面を覆っているガラス17を図12のように除
去し、金属磁性層13を基板11の表面に露出させるた
めに行われている。これにより、次工程である図9の端
子溝入れの位置決めが容易になる。図14に示すよう
に、第1の平坦化処理での基板11の露出量36は、磁
気コア形成溝12の頂点からの研磨量39により決定さ
れる。また、第1の平坦化処理での基板11の露出量3
6は、磁気コア形成溝12の磁気コア形成面12bが傾
斜面のため研磨量39が多くなるほど露出量36が増加
する。
【0040】第2の平坦化処理は、後述するように図1
6においてレジスト44を均一な厚みで形成するために
基板11の表面を平滑にする必要があることから行われ
る。第2の平坦化処理は、図13(A)のように端子溝
18内に端子用導体19を充填した際に端子溝18から
はみ出した端子用導体19を除去し、図13(B)に示
すように基板11の表面を平滑にするために行ってい
る。これらの平坦化処理での基板11の露出量35は、
図14に示すように前述の第1の平坦化処理での露出量
36に、第2の平坦化処理の研磨にて増加した露出量3
7を加えたものとなる。尚、この第2の平坦化処理で
も、第1の平坦化処理と同様に研磨量40が多くなるほ
ど基板11の露出量36が増加する。
【0041】以上のように、基板11の接合面における
露出量35は、第1の平坦化処理における研磨量39及
び第2の平坦化処理における研磨量40によって決定さ
れる。よって、基板11が接合面にて薄膜コイル6を形
成するための部分まで露出しないためには、第2の平坦
化処理後の基板11の露出量35が薄膜コイル6の最内
周よりも内側に位置するように図14の研磨量37を調
整すれば良い。
【0042】本実施形態における薄膜コイル6の場合
は、図20(B)に示すように金属磁性層13から薄膜
コイル6最内周までの距離Lが例えば20μmとなって
いる。図15のように、磁気コア形成溝12の斜面12
bの角度θは、例えば45度となっている。このため、
第1の平坦化処理の研磨量39及び第2の平坦化処理の
研磨量40の合計としての総研磨量41が、磁気コア形
成溝12の頂点から20μm以下になるようにすれば、
基板11の露出量35を20μm以下にすることができ
る。そこで本実施形態では、それぞれの平坦化処理の研
磨量を例えば8μmとし、基板11の露出量を例えば1
6μmとした。
【0043】続いて、ガラス17に薄膜コイル6を形成
する工程について説明する。図8は、図10中の破線で
囲まれた領域Eについて拡大した様子を示している。図
16(A)、図16(B)及び図16(C)に示すよう
に、概ね薄膜コイル6の外形に対応した位置にレジスト
44がフォトリソグラフィ技術により形成される。次に
図17(A)、図17(B)及び図17(C)に示すよ
うに、ガラス17には、イオンエッチングや化学エッチ
ング、パウダービームエッチング等の手法により選択的
にエッチングによってコイル形成溝20が形成される。
【0044】次に、図18(A)、図18(B)及び図
18(C)に示すように、コイル形成溝20には、薄膜
コイル6の形状に対応したレジスト22が例えばフォト
リソグラフィー技術により形成される。このときレジス
ト22のパターンは、前述の端子用導体19を覆うよう
に形成される。次に、図19(A)、図19(B)及び
図19(C)に示すようにメッキ等を用いて銅等の導電
性の良い電導体23がレジスト22間の溝に充填され、
図20(A)及び図20(B)のようにレジスト22を
除去して電導体23でなる渦巻き形状の薄膜コイル6が
形成される。
【0045】次に、基板11は、図21における切断ヶ
所a−a′、切断ヶ所b−b′にて切断され、磁気コア
を構成する1列ずつの磁気半体コアブロック28a,2
8bに分割される。これらの一対の磁気コア半体ブロッ
ク28a,28bは、図22に示すように貼り合わされ
て接合一体化され、図23のように磁気コアブロック2
9を形成する。
【0046】本実施形態では、両磁気コア半体ブロック
28a,28bに薄膜コイル23を形成しているがこれ
に限られず、例えば一方の磁気コア半体ブロックのみに
薄膜コイル6を形成する構成であっても良い。
【0047】また、図示の例では、ヘッドチップは1列
毎に切断してから接合を行っているが、各磁気コア半体
に切断してから接合を行ってもよい。ヘッドチップの接
合方法には、金接合のほか接着剤を用いた接合方法等を
用いることができる。
【0048】最後に、図23の接合一体化した磁気コア
ブロック29を所定の箇所にて切断する。この切断によ
って、切断面には薄膜コイル23の端部を接続した端子
用導体19からなるコイル端子、即ち図1の接続端子
7,7が露出する。このようにして、図1及び図2に示
した構造の磁気ヘッド10を得ることができる。
【0049】本発明の実施形態によれば、前述の平坦化
処理において、基板11が薄膜コイル6の最内周よりも
内側に位置するように露出量を調整しているため薄膜コ
イル6を形成する部分に従来生じていたような有害な段
差が形成されることがない。このため、本発明の実施形
態によれば、かかる段差に起因して薄膜コイル6の断面
積が狭くなることによる直流抵抗の増大や、さらに薄膜
コイル6の断面積が狭くなることによるコイル断線等を
防止することができる。従って、本発明の実施形態によ
れば、薄膜コイル6が正確に所望の形状に形成された磁
気ヘッド10を提供することができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
薄膜コイルの形成不良による薄膜コイルの直流抵抗の増
大や薄膜コイルの断線を防止し、薄膜コイルを正確に所
望の形状に形成することができる磁気ヘッドを提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態としての磁気ヘッド
の構成例を示す斜視図。
【図2】図1の磁気ヘッドにおける範囲Vの一部を省略
した構成例を示す拡大断面図。
【図3】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例を
示す工程図。
【図4】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例を
示す工程図。
【図5】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例を
示す工程図。
【図6】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例を
示す工程図。
【図7】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例を
示す工程図。
【図8】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例を
示す工程図。
【図9】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例を
示す工程図。
【図10】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図11】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図12】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図13】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図14】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図15】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図16】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図17】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図18】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図19】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図20】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図21】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図22】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図23】図1の磁気ヘッドの製造工程の一工程の一例
を示す工程図。
【図24】従来の磁気ヘッドの構成例を示す斜視図。
【図25】図24の磁気ヘッドにおける範囲Vの一部を
省略した構成例を示す拡大断面図。
【図26】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図27】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図28】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図29】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図30】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図31】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図32】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図33】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図34】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図35】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図36】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図37】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図38】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図39】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図40】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図41】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図42】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図43】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図44】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図45】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図46】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【図47】図24の従来の磁気ヘッドの製造工程の一工
程の一例を示す工程図。
【符号の説明】
1・・・基体、2・・・基体、3・・・磁気コア半体、
4・・・磁気コア半体、6・・・薄膜コイル、11・・
・非磁性基板、13・・・金属磁性層、gB・・・バッ
クギャップ
フロントページの続き (72)発明者 高橋 伸司 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5D093 AA01 AB03 AC01 AD05 AD13 AE01 BC09 CA07 DA02 EA02 HA02 HB15 HC03 JA05 5D111 AA01 AA13 AA23 BB12 BB18 DD04 DD06 FF06 FF15 GG16 JJ32 KK01 KK05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体との摺動面近傍の非磁性基板に
    金属磁性層がそれぞれ形成された一対の磁気コア半体同
    士が接合されることで磁気ギャップが形成されており、
    前記磁気コア半体の少なくとも一方の接合面に設けられ
    た薄膜コイルによって磁路が形成される磁気ヘッドにお
    いて、 前記接合面にて露出する前記非磁性基板は、前記薄膜コ
    イルの最内周よりも内側に配置されていることを特徴と
    する磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記薄膜コイルは、前記磁気コア半体の
    バックギャップを中心として巻線するように形成されて
    いる請求項1に記載の磁気ヘッド。
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