JP2001020247A - 鋼板セル型構造物およびそれを用いた消波堤 - Google Patents
鋼板セル型構造物およびそれを用いた消波堤Info
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Abstract
能であると共に、透水性と消波能力を併せ持つ鋼板セル
型の消波堤において、消波能力をより向上させ、また港
内等の静穏度も向上させる。 【解決手段】 港湾や河川に設置される鋼板セル型の消
波構造物であり、円筒形状の鋼板製のセル殻2と中詰材
3からなる鋼板セル構造物1の上部に前面側(沖側)に
向かって下り勾配の階段状の段部4を形成して消波能力
を高め、この段部4が形成された鋼板セル構造物1を波
進行方向と直交する方向に所定の間隔dをおいて配列
し、高い消波能力と透過性を併せ持つ鋼板セル型の消波
堤を構築する。透過率は高い消波能力により従来の鋼板
セル型の消波堤よりも低く抑えることができ、港内等の
静穏度を向上させることができる。
Description
設置される鋼板セル型構造物およびそれを用いた消波堤
に関するものである。
川にある構造物には波の力が作用する。構造物の利用目
的として、波そのものを減少させるものがある。防波堤
がその一例である。
はね返し、港の中の静穏度を保つ構造物である。また、
場所によっては、防波堤に、港の外の波をはね返すだけ
ではなく、消してしまう構造が求められる場合がある。
このような場合、従来であれば、異形ブロックなどの消
波工のように波のエネルギーを拡散させる構造物が利用
されてきた。
になり、異形ブロック等の使用が不経済となってきた。
代わって利用されるようになったのが、スリットを入れ
たり、傾斜・階段状の構造物を水面付近にのみ設置した
防波堤である。これは、波のエネルギーをスリットや階
段で減少・散逸させるタイプの防波堤である。本発明も
このタイプに属する。
術として、次に示すものが提案されている。1つは、特
開平7−317041号公報に記載されている消波構造
物であり、これは複数の水没水平板を沖側に向かって下
る階段状に設置し、最岸側の水没水平板は干潮水位より
上位に配置して、波を破砕するものであるが、波の透過
性が大きすぎ、港内の静穏度が確保できず、防波堤に不
適である。また、大水深や長大な海域に設置する場合、
結局大きな支持架台等が必要となり、経済的な面で実用
性が少ない。
記載されている親水高潮護岸である。この技術は、既設
護岸から適当な距離をおいて浮体を設置し、この浮体の
海側の水際近傍に水に親しむための階段もしくは傾斜を
設け、浮体の陸側には波返しを設けた護岸であり、高潮
時の高波浪を浮体の甲板面を通過する間に破壊し、波エ
ネルギーの大部分を減衰させることができる。しかし、
この護岸は既設護岸の前面に浮体を係留して消波を行う
タイプであり、沖合に新設するような防波堤には不適で
ある。
3807号公報に記載されている鋼製セル構造物からな
る透過式消波堤である。これは、円柱状の鋼製セル構造
物を所定の間隔をおいて一列または複数列に配列し、こ
れらの全てあるいは一部の天端高を越波を生じさせる程
度に低くしたものであり、透水性と消波能力を兼ね備え
ているが、鋼製セル構造物の上部が基本的に平坦である
ため、ある程度の消波能力を有するが、反射率が比較的
大きく、消波能力が充分でなく、スリットや階段式の消
波能力には及ばない。
くなされたものであり、その目的は、大水深においても
安定して経済的に設置が可能であると共に、透水性と消
波能力を併せ持つ鋼板セル型の消波堤において、消波能
力をより向上させることができ、また港内等の静穏度を
向上させることのできる鋼板セル型構造物およびそれ用
いた消波堤を提供することにある。
物は、港湾や河川に設置される鋼板セル型の消波構造物
であり、円柱状の鋼板セル構造物の上部に階段状の段部
が形成されていることを特徴とする(請求項1)。鋼板
セル構造物は、セル殻内に砂,石,コンクリート等の中
詰材を充填し、上部をコンクリート等で封止して構成さ
れており、このような鋼板セル構造物の上部に、前面側
(沖側)が低く、背面側(港側)が高い階段を一体的に
形成する。
を、段部が前面側(沖側)に向かって下り勾配となるよ
うに、かつ連続的に構築せずに所要の間隔をおいて配列
(波進行方向と直交する方向に配列)して鋼板セル型の
消波堤を構成する(請求項2)。波進行方向に対して1
列でもよいし、波進行方向に間隔をおいて複数列として
もよい。
に位置する水平面のレベルが水面以下(干潮水位以下)
となるように鋼板セル構造物を設置する(請求項3)。
以上のような鋼板セル型の消波堤において、鋼板セル構
造物の上部工に階段状の段部を形成し、この鋼板セル構
造物を適当な間隔をおいて配設することにより、 階
段の1段目の直立壁と2段目の直立壁で反射した波にそ
れぞれ位相差が生じることで、反射波が互いに打ち消し
合い(図2(a) 参照)、 波が階段を乗り越える際、
砕波に伴うエネルギー消費が生じ(図2(b) 参照)、
複数の鋼板セル構造物を間隔をおいて並べることで、
階段部に流れ込んだ波が互いにぶつかり合うことによる
消波が生じ(図2(c) 参照)、以上の3つの消波能力の
相乗効果により、従来の鋼板セル型の消波堤よりも高い
消波能力を得ることができる。
式では、大水深に設置することは構造的・経済的に困難
であるが、本発明の直立する鋼板セル型であれば、大水
深(例えば、水深10〜30m)でも安定して、安価に消波
構造物を構築することができる。さらに、従来の鋼板セ
ル型の消波堤と同様に透過性を持たせることができる
が、前述の高い消波能力により、透過率を従来の鋼板セ
ル型の消波堤よりも低く抑えることができ、港内等の静
穏度を向上させることができる。
態に基づいて説明する。この実施形態は本発明を消波堤
に適用した例である。図1は本発明の鋼板セル構造物お
よび鋼板セル型の消波堤の1例を示したものである。図
2は鋼板セル構造物による消波効果を示したものであ
る。図3は鋼板セル構造物の具体的数値例を示したもの
である。図4は鋼板セル型の消波堤を従来と本発明を比
較したものである。
ば15〜30m程度の円筒形状の鋼板製のセル殻2と、この
セル殻2内に充填される砂,石,コンクリート等の中詰
材3から構成され、このような鋼板セル構造物1の上部
に前面側(沖側)に向かって下り勾配の階段状の段部4
を形成して消波能力を高め、この段部4が形成された鋼
板セル構造物1を波進行方向と直交する方向に所定の間
隔dをおいて配列して、高い消波能力と透過性を併せ持
つ鋼板セル型の消波堤を構築する。
のものがあり、特定の方法に限定されないが、1例とし
て根入れ式鋼板セル工法を挙げることができる。この方
法は、ヤードで製作されたセル殻2を曳航し、所定の設
置箇所において多数のバイブロハンマーからなる打設装
置を連動させて海底面に一気に打設し、直ちに、砂,
石,コンクリート等の中詰材3をセル殻2内に投入して
セル殻2を安定化させる工法である。天端面はコンクリ
ート等で覆って封止する。その他、コンクリート底版付
きの円筒ケーソンを海底面に設置する工法などでもよ
い。
切り欠きを形成しておき、この部分にコンクリート等を
階段状に打設することで形成することができ、複数の水
平面と波に対向する複数の直立壁面が形成される。この
図示例では、3段の段部4が形成されており、1段目の
段部4−1と2段目の段部4−2の間に干潮水位(L.
W.L)が位置し、2段目の段部4−2と3段目の段部
4−3の間に満潮水位(H.W.L)が位置するように
する。1段目の段部4−1と2段目の段部4−2の奥行
き長さは、波の波長等から適宜決定し、3段目の段部4
−3の奥行き長さは、乗り越えた波を破壊して波エネル
ギーを減衰させることができる充分な長さを確保する。
なお、この段部4は3段に限らず、セルの大きさ等に応
じて2段や4段以上でもよい。
の配列間隔dは、消波堤の機能を持たせるためには、波
高,周期,水深等にもよるが、一般的にd/D=0.05〜
0.3の範囲に設定するのが好ましい。なお、図示例では
一列に配設した場合を示したが、波進行方向に間隔をお
いて複数列で配設するようにしてもよい。
うに、 階段の1段目の直立壁Aと2段目の直立壁B
で反射した波WaとWbにそれぞれ位相差が生じ、これ
ら反射波Wa,Wbが互いに打ち消し合い、 波Wが
段部4を乗り越える際に破砕に伴うエネルギー消費が生
じ、 鋼板セル構造物1,1間に侵入した波Wが段部
4−1,4−2に横方向から流れ込み、互いにぶつかり
合うことにより消波がなされる。以上の3つの消波能力
の相乗効果により、異形ブロック等の消波工なみの高い
消波能力が得られる(反射率0.5以下)。さらに、鋼
板セル構造物1,1間の隙間により透過性を確保しなが
ら、前述の作用効果により波Wの透過性を低く抑えるこ
とができるため、港内の静穏度を確保することができる
(透過率0.5以下)。
尺:1/41.7) を用い、表1の波浪条件で従来と本発明の
消波実験を行ったところ、表3に示すような結果が得ら
れた。表2は本発明の階段部の構造諸元である。
用した場合について説明したが、これに限らず、港湾や
河川の護岸などにも適用することができる。
で、次のような効果を奏することができる。
部を形成し、この鋼板セル構造物を適当な間隔をおいて
配設することにより、従来の鋼板セル型の消波堤よりも
高く、異形ブロック等の消波工なみの高い消波能力を得
ることができる。
深でも安定して、安価に消波構造物を構築することがで
きる。
過性を持たせることができるが、前述の高い消波能力に
より、透過率を従来の鋼板セル型の消波堤よりも低く抑
えることができ、港内等の静穏度を向上させることがで
きる。
波堤の1例を示したものであり、(a) は鋼板セル構造物
の斜視図、(b) は鋼板セル型の消波堤の平面図、(c) は
鋼板セル型の消波堤の側面図である。
たものであり、(a) は段部の反射波による消波効果を示
す側面図、(b) は段部の砕破による消波効果を示す側面
図、(c) は段部への流れ込みによる消波効果を示す平面
図である。
た側面図である。
比較した平面図および正面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 円柱状の鋼板セル構造物の上部に階段状
の段部が形成されていることを特徴とする鋼板セル型構
造物。 - 【請求項2】 請求項1に記載の鋼板セル構造物が、段
部が前面側に向かって下り勾配となるように、かつ所要
の間隔をおいて配列されていることを特徴とする消波
堤。 - 【請求項3】 段部を構成する水平面のうち、最前に位
置する水平面のレベルが水面以下となるように設置され
ていることを特徴とする請求項2に記載の消波堤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19300699A JP4067705B2 (ja) | 1999-07-07 | 1999-07-07 | 鋼板セル型構造物からなる透過式消波堤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19300699A JP4067705B2 (ja) | 1999-07-07 | 1999-07-07 | 鋼板セル型構造物からなる透過式消波堤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001020247A true JP2001020247A (ja) | 2001-01-23 |
JP4067705B2 JP4067705B2 (ja) | 2008-03-26 |
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Family Applications (1)
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JP19300699A Expired - Fee Related JP4067705B2 (ja) | 1999-07-07 | 1999-07-07 | 鋼板セル型構造物からなる透過式消波堤 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP4067705B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007293778A (ja) * | 2006-04-27 | 2007-11-08 | Nec Corp | 仮想ライブラリ装置と仮想テープの排出、投入方法 |
JP2013112358A (ja) * | 2011-11-28 | 2013-06-10 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | スロッシング防止構造 |
-
1999
- 1999-07-07 JP JP19300699A patent/JP4067705B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007293778A (ja) * | 2006-04-27 | 2007-11-08 | Nec Corp | 仮想ライブラリ装置と仮想テープの排出、投入方法 |
JP4636270B2 (ja) * | 2006-04-27 | 2011-02-23 | 日本電気株式会社 | 仮想ライブラリ装置と仮想テープの排出、投入方法 |
JP2013112358A (ja) * | 2011-11-28 | 2013-06-10 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | スロッシング防止構造 |
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