JP2001020079A - 耐穴あき性に優れた亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐穴あき性に優れた亜鉛めっき鋼板及びその製造方法

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JP2001020079A
JP2001020079A JP11194682A JP19468299A JP2001020079A JP 2001020079 A JP2001020079 A JP 2001020079A JP 11194682 A JP11194682 A JP 11194682A JP 19468299 A JP19468299 A JP 19468299A JP 2001020079 A JP2001020079 A JP 2001020079A
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zinc phosphate
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Naomasa Nakakoji
尚匡 中小路
Kyoko Hamahara
京子 浜原
Kazuo Mochizuki
一雄 望月
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に自動車車体に使用される亜鉛めっき鋼板
の電着塗装後の耐穴あき性を向上させる。 【解決手段】 この発明の亜鉛めっき鋼板は、鋼板表面
上に、片面当たりの付着量が20〜60g/m2である亜鉛めっ
き層を有し、該亜鉛めっき層上に、片面当たりの付着量
が0.5 〜3.0 g/m2でありかつNi:0.5 〜2.5 重量%及び
Mn:2.5 〜5.0 重量%を含有するりん酸亜鉛系皮膜を有
し、さらに該りん酸亜鉛系皮膜上に、片面当たりのMg付
着量が金属Mg換算で0.05〜0.50g/m2であるMg−りん酸化
合物層を有することを特徴とする。また、上記亜鉛めっ
き鋼板の製造方法は、亜鉛めっき鋼板にNiとMnを含むり
ん酸亜鉛処理液を用いてりん酸亜鉛系処理を施した後、
りん酸によってpHを1.5 〜2.7 の範囲に調整したMgイ
オン: 2〜30g/Lを含有する水溶液を塗布し、鋼板温
度が80〜250 ℃となる条件で乾燥させることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、特に自動車車体
として用いる亜鉛めっき鋼板であって、特に電着塗装後
の耐穴あき性を格段に向上させた亜鉛めっき鋼板及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系のめっきを施した鋼板は、自動車
の車体強度が長期間の腐食環境下での使用によって低下
するのを防ぐために広く使用されており、わが国におい
ては、主として亜鉛系合金めっきである亜鉛−ニッケル
合金めっき鋼板と亜鉛−鉄合金めっき鋼板が使用されて
いる。
【0003】これら亜鉛系合金めっきは、亜鉛とニッケ
ル又は鉄とを合金化させることによって、高耐食性を鋼
板に付与することができるものの、合金化による次に示
す生産上の問題点がある。
【0004】亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板は、電気め
っき法によって製造されるが、Niが高価であるためコス
トが高くなり、また、Ni含有量を極めて狭い範囲(通常
12±1重量%)に制御せねばならず製造し難いという問
題点がある。
【0005】亜鉛−鉄合金めっき鋼板は、電気めっき法
と溶融めっき法のいずれかの方法によって製造すること
ができるが、一般には、溶融めっき法によって製造され
ることが多い。
【0006】しかしながら、亜鉛−鉄合金めっき鋼板を
電気めっき法によって製造する場合には、上述した亜鉛
−ニッケル合金めっき鋼板と同様に亜鉛めっき層中の鉄
含有率を極めて狭い範囲に制御する合金制御が困難であ
ることに加えて、めっき液中のFe2+イオンが酸化しやす
く、これによりめっきが不安定となり製造に困難が伴
い、結果的にコストが高くなる問題がある。
【0007】また、亜鉛−鉄合金めっき鋼板を溶融めっ
き法によって製造する場合には、鋼板表面に溶融した亜
鉛を被着させた後に、高温に保持して鋼板と亜鉛を合金
化させる必要があるが、合金化させるための温度及び時
間や溶融亜鉛めっき浴中のAlの影響などによって、均一
な合金めっき層を製造することが困難であり品質が安定
しないという問題がある。さらにこれらの結果としてコ
ストが高くなる。以上示したように亜鉛系合金めっきは
製造が困難であり、さらにコストが高くなるという問題
を有している。
【0008】一方、亜鉛のみをめっきした亜鉛めっき鋼
板は、コストを低く電気めっき法又は溶融めっき法のい
ずれでも製造することができるが、自動車車体に使用さ
れることは希であった。この理由は、亜鉛めっきのみで
は耐食牲が不十分であり、とりわけ、亜鉛めっき鋼板を
長期間にわたって腐食環境下に曝した場合に、腐食によ
って鋼板の穴あきが生じ易く、車体の強度保証上問題が
あるためである。
【0009】ところで自動車車体の製造では、鋼板又は
めっき鋼板をプレス加工した後に、さらに化成処理、電
着塗装、スプレー塗装を順次施してから自動車車体とし
て使用される。
【0010】また、自動車車体において、腐食により最
も穴あきを生じ易い部分は、ドアの下部であると一般に
言われている。この理由は、ドア下部は、その内部に窓
の隙間等を通じて侵入した水が溜まり易い構造になって
おり、腐食の進行速度が他の車体部分に比べて速くなる
傾向があるからである。
【0011】そして、ドアの下部は、化成処理と電着塗
装については廻り込むもののその後に行なわれるスプレ
ー塗装では、隙間が狭いために塗料が廻らずスプレー塗
装による防食効果は期待できないことから、電着塗装後
の耐穴あき性が特に重要となる。
【0012】ここで、亜鉛めっき鋼板の耐食性を向上さ
せる方法として、マグネシウムを利用する方法が有用で
あり、種々の検討がなされている。
【0013】例えば、特公昭55−51437 号公報には、重
りん酸マグネシウムと縮合りん酸塩あるいはホウ素化合
物を含む水溶液で処理し150 〜500 ℃で熱処理する方法
が開示されているが、この方法では、塩水噴霧試験での
耐食性は改善するものの、電着塗装後では腐食湿潤環境
下における塗料密着性が悪いために耐食性が悪く、耐穴
あき性が不十分である。
【0014】また、特開平4−246193号公報には、亜鉛
めっき上にマグネシウム酸化物やマグネシウム水和酸化
物を10〜5000mg/m2 付着させることが開示されている
が、この方法でも、塩水噴霧試験での耐食性は改善する
ものの、電着塗装後では腐食湿潤環境下における塗料密
着性が悪いために耐食性が悪く、耐穴あき性が不十分で
ある。
【0015】さらに、特開昭58−130282号公報には、亜
鉛めっきに化成処理を行った後にMgを10〜10000ppm含有
水溶液を接触させる方法が開示されているが、この方法
では、亜鉛めっき上に化成処理が施されているので、塗
装密着性は向上しているものの、通常のMg塩(塩化物、
硫酸塩、酸化物等)を使用しているため、電着塗装後の
耐穴あき性は不十分である。
【0016】さらにまた、特開昭59−130573号公報に
は、りん酸塩処理後に鉄イオンとマグネシウムイオンを
総量で5〜9000ppm 含有するpH2以上の水溶液に接触
させる方法が開示されているが、この方法では、亜鉛め
っき上にりん酸塩処理が施されているので、塗装密着性
は向上しているものの、処理液中に鉄イオンを含んでい
るため、電着塗装後の耐穴あき性は不十分である。
【0017】加えて、特開昭57−177378号公報には、り
ん酸塩皮膜を形成せしめた後、りん酸塩等の酸化型イン
ヒビターや、マグネシウム塩等の沈殿型インヒビターを
含有する水溶液を付着、乾燥させる塗装前処理法が開示
されているが、りん酸塩皮膜の主成分がりん酸鉄、りん
酸亜鉛、りん酸鉄亜鉛、りん酸カルシウム等であり、ま
た、その後に付着させる水溶液がりん酸塩、マグネシウ
ム塩の単純水溶液であるため、電着塗装後の耐穴あき性
が不十分である。
【0018】よって、上述したように、亜鉛系合金めっ
きはコスト高である。一方コストの低い亜鉛めっきを自
動車車体に使用すると耐食性が問題となる。そこで亜鉛
めっきの耐食性を向上させるために種々の試みがなされ
ている。その中でマグネシウムを利用する方法が開示さ
れているが、これらでは十分な電着塗装後の耐穴あき性
を得ることは難しい。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、特
に自動車車体において、電着塗装後の耐穴あき性に優れ
た亜鉛めっき鋼板及びその製造方法を安価に提供するこ
とにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記問題点
を解決すべく検討を重ねた結果、鋼板表面上に、所定付
着量の亜鉛めっき層、所定量のNiとMnを含有するりん酸
亜鉛系皮膜、及び所定Mg付着量のMg−りん酸化合物層を
順次積層形成すれば、電着塗装後の耐穴あき性を飛躍的
に向上できることを新規に見出し、この発明を完成させ
るに至った。
【0021】即ち、この発明の亜鉛めっき鋼板は、鋼板
表面上に、片面当たりの付着量が20〜60g/m2である亜鉛
めっき層を有し、該亜鉛めっき層上に、片面当たりの付
着量が0.5 〜3.0 g/m2でありかつNi:0.5 〜2.5 重量%
及びMn:2.5 〜5.0 重量%を含有するりん酸亜鉛系皮膜
を有し、さらに該りん酸亜鉛系皮膜上に、片面当たりの
Mg付着量が金属Mg換算で0.05〜0.50g/m2であるMg−りん
酸化合物層を有することを特徴とする。
【0022】また、この発明の亜鉛めっき鋼板の製造方
法は、亜鉛めっき鋼板にNiとMnを含むりん酸亜鉛処理液
を用いてりん酸亜鉛系処理を施した後、りん酸によって
pHを1.5 〜2.7 の範囲に調整したMgイオン: 2〜30g
/Lを含有する水溶液を塗布し、鋼板温度が80〜250 ℃
となる条件で乾燥させることを特徴とする。
【0023】尚、前記水溶液中のMgイオンの供給源は、
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、次亜りん酸マ
グネシウム、りん酸水素マグネシウム、りん酸三マグネ
シウム及びホウ酸マグネシウムの1種又は2種以上であ
ることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明を上記発明特定事
項に限定した理由を説明する。 (1) 亜鉛めっき層 亜鉛めっき層の片面当たりの付着量は20〜60g/m2とす
る。前記付着量が20g/m2未満だと耐穴あき性が不十分で
あり、また、60g/m2超えだと耐穴あき性は十分である
が、大量の亜鉛めっきを付着させることはコスト性を悪
化させるばかりでなく、プレス加工性や溶接性を劣化さ
せることになるからである。
【0025】(2) りん酸亜鉛系皮膜 りん酸亜鉛系皮膜は、片面当たりの付着量が0.5 〜3.0
g/m2でありかつNi:0.5 〜2.5 重量%及びMn:2.5 〜5.
0 重量%を含有することが必要である。
【0026】(i) 片面当たりの付着量:0.5 〜3.0 g/m2 りん酸亜鉛系皮膜は、片面当たりの付着量が0.5 〜3.0
g/m2の範囲とする。前記付着量が0.5 g/m2未満だと、そ
の後に形成されるMg−りん酸化合物層との密着性が劣り
耐穴あき性が不十分であり、また、3.0 g/m2を超える
と、耐穴あき性は十分に得られるが、皮膜形成に長時間
を要しコストの上昇を招くからである。
【0027】 (ii)Ni:0.5 〜2.5 重量%及びMn:2.5 〜5.0 重量% 以下、上記成分組成を採用するに至った経緯を説明す
る。自動車車体の製造工程では、プレス加工後に溶接等
で組み上げられたボディを化成処理し、さらに電着塗
装、スプレー塗装するのが一般的であるが、腐食によっ
て穴あきに至りやすい箇所では、前述したようにスプレ
ー塗装が十分に乗らず、この塗装による防食作用は期待
できないことから、電着塗装後の耐穴あき性が特に重要
となる。
【0028】化成処理と上記各塗装を順次行った亜鉛め
っき鋼板を腐食環境下に曝すと、腐食環境中の水分によ
って化成処理皮膜が復水(吸着水あるいは結合水を持つ
ようになる)して、塗膜膨れを生じやすくなり、その結
果、腐食進行が速くなる傾向がある。
【0029】このため、自動車用の亜鉛めっき鋼板で
は、その化成処理(りん酸亜鉛)皮膜中にNiやMnを含有
させることで、この復水を防ぎ、電着塗装後の耐食性を
改善することが一般に行われている。
【0030】そこで、発明者らは、りん酸亜鉛皮膜中の
Ni及びMnを含有させるとともに、それらの含有量の適正
化を図ることによって電着塗装後の耐穴あき性を向上さ
せるための検討を重ねた。
【0031】その結果、後述するMg−りん酸化合物層を
りん酸亜鉛系皮膜上に形成することを前提として、りん
酸亜鉛系皮膜中のNi及びMnの含有量の適正化を図れば、
耐穴あき性が飛躍的に向上することを新規に見出し、こ
の発明を完成するに至ったのである。
【0032】尚、りん酸亜鉛系皮膜中のNi含有量を0.5
〜2.5 重量%の範囲に、また、Mn含有量を2.5 〜5.0 重
量%の範囲に限定したのは、Ni含有量が0.5 重量%未
満、及びMn含有量が2.5 重量%未満であると、腐食環境
下での塗膜膨れが大きくなって耐穴あき性が十分に得ら
れないからであり、一方、Ni含有量が2.5 重量%超え、
及びMn含有量が5.0 重量%超えであると、理由は定かで
はないがMg−りん酸化合物層との密着性が劣化し耐穴あ
き性が不十分となるからである。
【0033】(3) Mg−りん酸化合物層 Mg−りん酸化合物層は、片面当たりのMg付着量が金属Mg
換算で0.05〜0.50g/m2であることが必要である。前記Mg
付着量が前記範囲よりも少ないと、耐穴あき性が十分に
得られなくなるからである、また、前記Mg付着量を前記
範囲よりも多くしても、必要以上のMg等の使用によるコ
ストの増加を招くだけであって、それ以上の耐穴あき性
の向上効果は期待できないからである。また、りん酸の
付着量はMgイオンの供給源により変化すること、さらに
無塗装での耐穴あき性への効果はMgが大であることから
特に規定は設けない。
【0034】(4) 亜鉛めっき鋼板の製造方法 次に、この発明に従う亜鉛めっき鋼板の製造方法につい
て説明する。
【0035】まず、鋼板表面上に亜鉛めっき層を形成す
る。上記亜鉛めっき層は、公知の電気めっき法及び溶融
めっき法のいずれかのめっき方法によって形成すればよ
い。
【0036】尚、各めっき法によって形成した亜鉛めっ
き層は、亜鉛めっき層中にSn、Ni、Fe、Al等の不可避的
不純物が混入するのが一般的であるため、この発明で
は、これらの不純物を不可避的に混入した亜鉛めっき層
も対象とする。この場合、亜鉛めっき層中の上記不可避
的不純物の各含有量は1重量%以下であることが好まし
い。
【0037】上記亜鉛めっき層を形成した後、NiとMnを
含むりん酸亜鉛処理液を用いてりん酸亜鉛系処理を施し
て、亜鉛めっき層上にりん酸亜鉛系皮膜を形成する。
【0038】りん酸亜鉛系皮膜の形成は、例えば、表2
に示すりん酸亜鉛処理条件にて、処理液中に浸漬処理あ
るいは処理液をスプレー処理する。このりん酸亜鉛系処
理の前には、常法による脱油処理、表面調整処理を行う
ことが好ましい。
【0039】そして、上記りん酸亜鉛系皮膜を形成した
後、この皮膜上にさらにMg−りん酸化合物層を形成す
る。
【0040】Mg−りん酸化合物層の形成は、Mgイオンと
りん酸イオンからなる水溶液を塗布する方法によって行
うことができるが、りん酸亜鉛系皮膜との密着良く被着
するため、りん酸によってpHを1.5 〜2.7 の範囲に調
整したMgイオン: 2〜30g/Lを含有する水溶液を塗布
し、鋼板温度が80〜250 ℃となる条件で乾燥させる方法
によって行うことが必要である。
【0041】前記水溶液の塗布は、スプレー、浸漬、ロ
ールコート、バーコート等の一般的な塗布方法によって
行えばよい。
【0042】前記水溶液中のMgイオンの供給源は、酸化
マグネシウム、水酸化マグネシウム、次亜りん酸マグネ
シウム、りん酸水素マグネシウム、りん酸三マグネシウ
ム及びホウ酸マグネシウムの1種又は2種以上とするこ
とが好ましい。
【0043】尚、上記Mgイオン供給源を含む水溶液中の
pH調整をりん酸で行うこととしたのは、前記水溶液を
りん酸との混合液にすることによって、下地のりん酸亜
鉛系皮膜との結合性が高まるとともに、一部りん酸亜鉛
結晶の隙間に存在する下層の亜鉛めっき層の部分と反応
して密着力も高められ、これが、電着塗装後の耐穴あき
性の向上に有利に作用するからである。
【0044】また、水溶液中のpHを1.5 〜2.7 の範囲
に限定したのは、pHが1.5 未満だと、下地層が溶解す
るようになり、外観や耐食性が劣化するからであり、ま
た、pHが2.7 よりも大きいと、Mgが水酸化物として沈
殿しやすくなるからである。
【0045】さらに、前記水溶液中のMgイオン濃度を 2
〜30g/Lとしたのは、Mgイオン濃度が2g/L未満だ
と、Mg付着量が少なく耐穴あき性が不十分であるからで
あり、また、Mgイオン濃度が30g/L超えだと、Mg付着
量が多すぎるばかりでなく水溶液中に沈殿が生じやすく
なるからである。
【0046】加えて、前記塗布後の乾燥を鋼板温度が80
〜250 ℃となる条件で行うこととしたのは、80℃未満で
は乾燥に長時間を要することになるからであり、また、
250℃よりも高いと、Mg−りん酸化合物層が酸化して、
酸化マグネシウムを生じやすくなるからである。
【0047】以上のことから、この発明では、上記構成
を採用することととし、これによって、亜鉛めっき鋼板
に優れた電着塗装後の耐穴あき性を付与することができ
る。
【0048】尚、上述したところは、この発明の実施形
態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の
変更を加えることができる。
【0049】
【実施例】次に、この発明の実施例について説明する。
表1に示す亜鉛めっき付着量及びめっき法で製造した各
種亜鉛めっき鋼板に、表2に示す条件で浸漬法によるり
ん酸亜鉛系処理を行うことによって、表4に示す付着量
及びNi及びMnの含有量を有するりん酸亜鉛系皮膜をそれ
ぞれ形成した。尚、りん酸亜鉛処理の前には必要に応じ
て脱油処理を行った後、通常の表面調整処理を行った。
りん酸亜鉛系皮膜を形成した後、バーコーター塗装法に
て、Mgイオンとりん酸を含む水溶液を塗布し、電気炉で
乾燥させることによって、Mg−りん酸化合物層を形成し
た。前記塗布条件及びMg−りん酸化合物層の(金属Mg換
算による)Mg付着量については表4に示す。
【0050】上記処理を行った亜鉛めっき鋼板は、自動
車車体製造工程に準じて日本ペイント製「SD250
0」化成処理、日本ペイント製「V20」カチオン型電
着塗装(膜厚10μm)を順次行った。電着塗装後のサンプ
ルはナイフによるクロスカットを入れた後、表3の複合
サイクル腐食試験を行い最大腐食深さ(板厚減少値)を
測定し、この測定値から耐穴あき性を評価した。表4に
この評価結果を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】表4の評価結果から明らかなように、この
発明の亜鉛めっき鋼板は、比較材に比べ耐穴あき性に優
れていることが分かる。
【0056】
【発明の効果】この発明によって、特に自動車車体とし
て用いる亜鉛めっき鋼板であって、特に電着塗装後の耐
穴あき性に優れた亜鉛めっき鋼板を安価に提供すること
が可能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 望月 一雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K026 AA02 AA07 AA12 AA13 AA22 BA03 BA04 BA11 BA12 BB08 CA13 CA18 CA23 CA24 CA26 CA28 CA32 CA36 DA02 DA11 DA15 DA16 EB04 4K027 AA02 AA05 AA22 AB05 AB09 AB42 AC82 AE23

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面上に、片面当たりの付着量が20
    〜60g/m2である亜鉛めっき層を有し、該亜鉛めっき層上
    に、片面当たりの付着量が0.5 〜3.0 g/m2でありかつN
    i:0.5 〜2.5 重量%及びMn:2.5 〜5.0 重量%を含有
    するりん酸亜鉛系皮膜を有し、さらに該りん酸亜鉛系皮
    膜上に、片面当たりのMg付着量が金属Mg換算で0.05〜0.
    50g/m2であるMg−りん酸化合物層を有することを特徴と
    する耐穴あき性に優れた亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 亜鉛めっき鋼板にNiとMnを含むりん酸亜
    鉛処理液を用いてりん酸亜鉛系処理を施した後、りん酸
    によってpHを1.5 〜2.7 の範囲に調整したMgイオン:
    2〜30g/Lを含有する水溶液を塗布し、鋼板温度が80
    〜250 ℃となる条件で乾燥させることを特徴とする耐穴
    あき性に優れた亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記水溶液中のMgイオンの供給源は、酸
    化マグネシウム、水酸化マグネシウム、次亜りん酸マグ
    ネシウム、りん酸水素マグネシウム、りん酸三マグネシ
    ウム及びホウ酸マグネシウムの1種又は2種以上である
    請求項2に記載の亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005206888A (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Nippon Parkerizing Co Ltd 耐食性および上塗り塗装性に優れるリン酸亜鉛系処理材用後処理組成物、後処理方法ならびに後処理されたリン酸亜鉛系処理材

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JP2005206888A (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Nippon Parkerizing Co Ltd 耐食性および上塗り塗装性に優れるリン酸亜鉛系処理材用後処理組成物、後処理方法ならびに後処理されたリン酸亜鉛系処理材

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