JP2001019878A - 電着塗膜形成方法、カチオン電着塗料組成物および電着塗装物 - Google Patents

電着塗膜形成方法、カチオン電着塗料組成物および電着塗装物

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JP2001019878A
JP2001019878A JP11194384A JP19438499A JP2001019878A JP 2001019878 A JP2001019878 A JP 2001019878A JP 11194384 A JP11194384 A JP 11194384A JP 19438499 A JP19438499 A JP 19438499A JP 2001019878 A JP2001019878 A JP 2001019878A
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electrodeposition coating
cationic
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temperature
coating
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English (en)
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Kosuke Muramatsu
孝亮 村松
Ryoichi Murakami
良一 村上
Masaru Ishiwatari
賢 石渡
Tsuneo Ukita
恒夫 浮田
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特に、亜鉛鋼板又は亜鉛めっき鋼板に対するガ
スピンホール発生を抑制し、かつ高いつきまわり性を有
する塗膜が得られるカチオン電着塗料の調整方法を提供
する。 【解決手段】電着塗装において、カチオン電着塗料の最
低造膜温度を電着塗装設定温度の±5℃以内に、塗装時
電導度を1000〜1500μS/cmに調整された電
着塗料を使用し、前記電着塗装設定温度で電着塗装する
電着塗膜形成方法、この塗膜形成方法に用いるカチオン
電着塗料組成物および電着塗装物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の最低造膜温度お
よび塗装時電導度に調整したカチオン電着塗料による電
着塗膜形成方法、この塗膜形成方法に用いるカチオン電
着塗料組成物およびこの電着塗膜形成方法によりカチオ
ン電着塗膜が形成された電着塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】カチオン電着塗料は、自動車ボディーや
部品の下塗りに用いられており、一般にカチオン性基体
樹脂、硬化剤および中和剤等を含む樹脂分散体と、顔料
分散樹脂および顔料を含む顔料分散ペーストとを水性媒
体中に分散して提供される。
【0003】亜鉛めっき鋼板にカチオン電着塗装した場
合、電着塗膜面にクレーター状の異常が発生することが
ある。カチオン電着塗料では、塗装初期に、水の電気分
解で発生した水素ガスが析出膜間に存在しており、電着
が進むに従って膜抵抗が増加し、塗膜にかかる電圧が水
素ガス放電電圧より大きくなると火花放電が起こり、放
電熱によって放電近傍の塗膜の樹脂が硬化し、塗膜の熱
フローが不十分となってクレーター状の異常として残る
現象が見られる。このクレーター状の異常はガスピンホ
ールと呼ばれ、このガスピンホールの発生を抑制できる
性質をガスピンホール性という。
【0004】ガスピンホール性は、水素ガス放電電圧が
低い亜鉛鋼板、亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき
鋼板等の被塗物を用いた場合、特に問題となる。ガスピ
ンホール性を向上するために、溶剤等を添加して柔軟な
析出塗膜を形成し、発生した水素ガスを抜け易くする方
法が、特開昭60−60169号公報および特開昭63
−107786号公報に記載されている。しかし、これ
らの方法では、逆につきまわり性が低下するという問題
点が生じていた。つきまわり性とは、電極部から遠い所
の電着膜が十分に形成されずに薄膜となるが、この薄膜
部の膜厚を厚くする性能のことを示す。
【0005】そこで、ガスピンホールの発生を防止し、
つきまわり性等の性能に悪影響することのない電着塗料
が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鋼板、特に
亜鉛鋼板または亜鉛めっき鋼板に対するガスピンホール
発生を抑制し、かつ高つきまわり性塗膜が得られる電着
塗膜形成方法、この方法に用いられるカチオン電着塗料
組成物およびこの方法で電着塗膜が形成された電着塗装
物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
に鑑み鋭意研究した結果、本発明に至った。課題を解決
するための手段は、下記である。
【0008】1.電着塗装において、カチオン電着塗料
の最低造膜温度を電着塗装設定温度の±5℃以内に、塗
装時電導度を1000〜1500μS/cmに調整され
た電着塗料を使用し、上記電着塗装設定温度で電着塗装
する電着塗膜形成方法。 2.上記最低造膜温度を、上記電着塗装設定温度の−2
〜0℃にする上記記載の電着塗膜形成方法。 3.上記カチオン電着塗料が、カチオン性基体樹脂、硬
化剤および有機溶剤とを含有し、上記記載の電着塗膜形
成方法に用いるカチオン電着塗料組成物。 4.基材に、上記記載の電着塗膜形成方法によりカチオ
ン電着塗膜が形成された電着塗装物。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0010】電着塗膜形成方法 本発明の電着塗膜形成方法は、最低造膜温度を電着塗装
設定温度±5℃以内に調整したカチオン電着塗料を使用
する。上記最低造膜温度が、電着塗装設定温度±5℃以
内であると、電着塗膜形成時に発生する水素ガスが抜け
易くなり、ガスピンホール性がよくなると推測される。
上記範囲を外れると、ガスピンホールが発生する。また
最低造膜温度が、電着塗装設定温度±5℃以内でも、上
記最低造膜温度が、電着塗装設定温度より低い場合に
は、高い場合に比べて作業性、特に研ぎムラの点で、極
めて良好の結果が得られる。好ましくは上記最低造膜温
度を電着塗装設定温度の−2〜0℃である。
【0011】本明細書で、最低造膜温度とは電着塗料浴
の温度と膜厚の関係において、膜厚が極小値に対応する
電着塗料浴の温度をいう。また電着塗装設定温度とは、
電着塗装ラインにおいて電着浴の液温度として設定する
温度をいう。
【0012】上記最低造膜温度を、電着塗装設定温度の
±5℃以内に調整するには、上記電着塗料に含まれるカ
チオン性基体樹脂の分子量を高くする方法、硬化剤とし
て含まれるブロックポリイソシアネート系硬化剤のポリ
イソシアネート成分を芳香族系ポリイソシアネートまた
は脂環族系ポリイソシアネートを用いる方法、さらには
カチオン性基体樹脂および硬化剤からなるビヒクルの塗
膜形成時のフロー性を良好にするために高沸点溶剤量を
減少する方法があり、これら方法の一種またはこれらの
方法を組み合わせた調整によって達成される。
【0013】本発明の電着塗膜形成方法は、上記最低造
膜温度を調整するとともに、塗装時電導度を1000〜
1500μS/cmに調製したカチオン電着塗料を使用
する。電着塗装時に電着塗料に電圧を印加すると、電圧
印加直後に大きな電流が流れた後に急減し、その後は漸
減して定常電流となる。水素ガス起因の放電は、この電
圧印加直後に流れる電流量が多いほど起こり易いことが
確認されている。従って、塗装時の電着塗料の電導度を
下げて流れる電流量を抑えれば、ガスピンホールの発生
を抑制することができる。ところが電導度が、低すぎる
と電極部から遠い所に電流が流れにくくなり、つきまわ
り性が悪くなる。そのため上記電着塗料の塗装時電導度
を1000〜1500μS/cmに調整することによ
り、ガスピンホール性は、さらに向上し、高いつきまわ
り性が得られる。塗装時電導度が1000μS/cm未
満では、つきまわり性が悪くなり、1500μS/cm
を越えるとガスピンホールが発生する。より好ましい塗
装時電導度は1050〜1250μS/cmである。
【0014】塗装時電導度を1000〜1500μS/
cmに調整するには、エポキシ末端をアルキルフェノー
ルまたはカルボン酸で一部反応させた後、アミンでカチ
オン化してカチオン性基体樹脂のカチオン化量を小さく
する方法、またはカチオン性基体樹脂をカチオン化する
際に反応させるアミンの未反応物(フリーアミン)を減
少させる方法がある。さらに電着塗料をUFろ過するこ
とにより、電導度を調整することもできる。例えば電導
度を上記範囲に調整するには、エポキシ樹脂をアミノ化
して得られるアミノ変性エポキシ樹脂を基体樹脂として
用いる場合は、グリシジル基とアミンの反応当量比率を
1.0/0.7〜1.0/0.9の範囲にする。また、
上記アミノ化後、例えばジイソシアネートの1官能基の
みを2−エチルヘキシルセロソルブ等のブロック剤でブ
ロックしたハーフブロックポリイソシアネートを加えて
フリーアミンを消失させれば、さらに調製が容易であ
る。
【0015】本発明の電着塗膜形成方法は、上記調整し
たカチオン電着塗料をカチオン電着塗装によって、導電
性のある基材の表面に上記電着塗装設定温度で電着塗装
する方法である。カチオン電着塗装は、従来行われてい
る方法と同様な方法が適用できる。ただし、本発明で
は、上記調整方法により調整された電着塗料を使用する
工程と、上記電着塗装設定温度で電着塗装する工程とを
含み、順次経る必要がある。具体的には、使用するカチ
オン電着塗料の最低造膜温度を、電着塗装設定温度に対
して±5℃以内に、好ましくは−2〜0℃に設定する必
要がある。塗装条件としては、固形分濃度が5〜40重
量%、好ましくは15〜25重量%となるように、脱イ
オン水で希釈し、さらに、pHを5.5〜8.5の範囲
内の上記カチオン電着塗料からなる電着浴を、電着塗装
設定温度20℃〜35℃で、印加電圧100〜450V
の条件で行うことができる。電着塗装の乾燥膜厚は、5
〜40μm、好ましくは、10〜30μmの範囲内が適
当である。また、電着塗膜の焼付け温度は、一般に10
0〜200℃、好ましくは、140〜180℃で10〜
30分間の範囲で焼き付けることが適している。
【0016】カチオン電着塗料組成物 本発明の電着塗膜形成方法に用いるカチオン電着塗料
は、カチオン性基体樹脂、硬化剤および有機溶剤とを含
有する。
【0017】上記カチオン性基体樹脂は、カチオン電着
塗料に用いる樹脂であれば、特に限定ず、例えばアミノ
基含有モノマーを共重合またはグラフト重合した樹脂、
エポキシ基含有ポリマーにアミンを付加した樹脂、エポ
キシ基含有ポリマーをオニウム塩化した樹脂、ジカルボ
ン酸とポリアミンとの反応生成樹脂、マレイン化ポリマ
ーにアミンを付加した樹脂、イソシアネート含有ポリマ
ーにアミンを付加した樹脂、オキサゾリドン環含有エポ
キシ樹脂をアミン化した樹脂等が挙げられる。
【0018】上記カチオン性基体樹脂の例示中好ましい
ものは、アミノ基含有樹脂である。具体的には、1級ま
たは2級の水酸基と、1級、2級または3級のアミノ基
とを含み、アミノ価が30〜100、より好ましくは、
40〜80で、かつ平均分子量が200〜20000の
アミノ−エポキシ樹脂、アミノ−ポリ(メタ)アクリレ
ート樹脂、およびアミノ−ポリウレタン樹脂である。上
記カチオン性基体樹脂に含まれる水酸基およびアミノ基
は、それぞれ1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
アミノ価が30未満の場合は、安定なエマルションを得
にくく、100を越えると、電導度が高くなりガスピン
ホール性が低下したり、クーロン効率の低下や再溶解性
等の電着塗装作業性に問題が生じるおそれがある。
【0019】上記カチオン性基体樹脂の例示中、分子内
にオキサゾリドン環を含む変性エポキシ樹脂を用いるこ
とも好ましい。この変性エポキシ樹脂は、ジイソシアネ
ート化合物を反応させたビスウレタン化合物あるいは他
の活性水素化合物を反応させたヘテロウレタン化合物
と、エポキシ樹脂とを脱アルコール反応させることによ
り得ることができる。オキサゾリドン環を含む変性エポ
キシ樹脂を基体樹脂として用いれば、加熱減量に起因す
る電着塗膜のやせが起こりにくくなる。
【0020】上記硬化剤は、ブロックポリイソシアネー
ト系硬化剤が好ましい。最低造膜温度を電着塗装設定温
度±5℃以内に調整するためには、上記の通り芳香族系
ポリイソシアネートまたは脂環族系ポリイソシアネート
が好ましく、これらポリイソシアネート化合物に含まれ
るイソシアネート基をブロック剤により完全ブロック化
または部分ブロック化する。
【0021】上記ポリイソシアネート化合物としては、
ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、シクロ
ペンタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、2,5(2,
6)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタンビス(イソシアナ
ートメチル)等の脂環族系ジイソシアネート、トリレン
ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジ
イソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートが好まし
い。また、これらの好ましいポリイソシアネート化合物
と併用してよいポリイソシアネート化合物としては、キ
シリレンジイソシアネート、ジイソシアネートジエチル
ベンゼン等の芳香脂肪族系ジイソシアネート、トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の
アルキレンジイソシアネート類、トリイソシアネートト
ルエン等のトリイソシアネート類、ジフェニルジメチル
メタンテトライソシアネート等のテトライソシアネート
類、トリレンジイソシアネートの2量体または3量体等
の重合ポリイソシアネート類、上記各種ポリイソシアネ
ート化合物にエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、
水添ビスフェノールA、ヘキサントリオール、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ヒマシ油、トリエタノール
アミン等の低分子活性水素含有有機化合物を反応させて
得られる末端イソシアネート含有化合物等が挙げられ
る。
【0022】上記ブロック化に用いるブロック剤として
は、フェノール類、ラクタム類、オキシム類、アルコー
ル類、アミノアルコール、アミン類あるいはイミド類、
マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチ
ル等の活性メチレン含有化合物、メルカプタン類、酸ア
ミド類、イミダゾール類、尿素類、カルバミン酸塩類、
亜硫酸塩類等が挙げられる。
【0023】上記ブロックポリイソシアネート硬化剤の
ブロック剤の解離に解離触媒を用いる場合は、ジブチル
錫ラウレート、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫など
の有機錫化合物や、N−メチルモルホリンなどのアミン
類、酢酸の鉛やストロンチウム、コバルト、銅などの金
属塩が使用できる。解離触媒の濃度は、カチオン電着塗
料中の塗膜形成樹脂(基体樹脂と硬化剤の合計)100
固形分重量部に対し0.1〜6重量部である。
【0024】上記カチオン電着塗料は、基体樹脂/硬化
剤固形分比が、好ましくは50/50〜90/10、よ
り好ましくは60/40〜80/20である。上記割合
から外れると、硬化性に問題を生じるおそれがある。
【0025】上記カチオン電着塗料の中和・水溶化は、
カチオン性基体樹脂および硬化剤を、ギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アクリ
ル酸などの水溶性有機酸または塩酸、リン酸、スルファ
ミン酸などの無機酸を中和剤として含む水性媒体中に分
散することによって行われる。
【0026】上記カチオン電着塗料は、水を溶媒とする
が最低造膜温度を調整する有機溶剤として、エチルセロ
ソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−
エチルヘキシルセロソルブ、n−ヘキシルセロソルブ、
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n
−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールジ
メチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メ
チルエチルケトン、メトキシブタノール、ジオキサン、
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の
水混和性の有機溶剤やキシレン、トルエン、メチルイソ
ブチルケトン、ヘキサン、四塩化炭素、2−エチルヘキ
サノール、イソホロン、シクロヘキサン、ベンゼン等の
水不混和性の有機溶剤を用いる。好ましくは、高沸点溶
剤を用い、その含有比率を低くすることにより、所望の
最低造膜温度とすることができる。そのための好ましい
有機溶剤は、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、
ブチルセロソルブ、2−エチルヘキシルセロソルブ、n
−ヘキシルセロソルブであり、有機溶剤の量は、塗膜形
成樹脂(基体樹脂と硬化剤の合計)100固形分重量部
当たり、0.1〜10重量部が好ましい。
【0027】上記カチオン電着塗料は、上記成分の他
に、必要に応じて架橋性樹脂粒子、顔料および各種添加
剤を含んでいてもよい。上記架橋性樹脂粒子を加えるこ
とにより、塗装される基材のエッジ部の膜厚保持効果を
促進することができる。上記架橋性樹脂粒子としては、
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミ
ン樹脂等のいずれの樹脂であってもかまわないが、製法
の容易さからアクリル樹脂を用いた架橋性粒子であるこ
とが特に好ましい。平均粒径は、0.02〜30μmの
粒子が好ましい。また上記顔料として酸化チタン、ベン
ガラ、カーボンブラック等の着色顔料、ケイ酸アルミニ
ウム、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料、およびリンモ
リブデン酸とアルミニウム、第二鉄、チタニウム、ジル
コニウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、
珪素等の二価または三価金属塩との塩であるリンモリブ
デン酸塩、トリポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等
と上記の二価または三価金属塩との塩である縮合りん酸
塩、具体的にはトリポリリン酸二水素アルミニウム、メ
タリン酸アルミニウム、ピロりん酸第2鉄等の防錆顔料
を添加することもできる。顔料を添加するに際しては、
顔料分散用樹脂を用いてもよい。
【0028】電着塗装物 本発明の塗装物は、上記電着塗膜形成方法で得られる。
上記工程を順次経ることによって、ガスピンホール発生
が抑制され、かつ高いつきまわり性を有する塗膜が得ら
れ、高外観で高耐食性の電着塗装物となる。得られた電
着塗装物は、目的、用途に応じて、中塗塗膜と上塗塗膜
を、または上塗塗膜を順次形成して用いることができ
る。
【0029】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例を挙げて
さらに具体的に説明するが本発明はこれらの実施例にの
み限定されるものではない。
【0030】製造例1 還流冷却器、撹拌機、滴下ロートおよび窒素導入管を備
えた5つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート2
22部、メチルイソブチルケトン(以下「MIBK」と
略す。)99部、およびジブチル錫ジラウレート0.2
部を仕込み、50℃へ昇温し、これにメチルエチルケト
オキシム174部を内温が70℃を越えないように保っ
て滴下した。滴下終了後、IRスペクトルによりイソシ
アネート基のピークが消失するまで70℃に1時間保持
した後、冷却し、ブロックポリイソシアネート硬化剤を
調製した。固形分は80%であった。
【0031】製造例2 別に用意した製造例1と同じ反応容器に、エポキシ当量
188の液状エポキシ樹脂(ダウケミカル社製、商品名
「DER−331J」)681重量部、ビスフェノール
A269部、ノニルフェノール88部およびMIBK1
15部を仕込み、140℃に加温して完全に溶解させ
た。反応触媒として2−エチル−4−メチルイミダゾー
ル2%溶液(キシレン98%)5部を加えた後、140
〜150℃で反応させ、エポキシ当量1210を終点と
してMIBK146部を加えた後、105℃まで冷却さ
せた。次いで、n−メチルエタノールアミン47部、ジ
エチレントリアミンのメチルイソブチレンケチミン(7
3%MIBK溶液)54部を添加し、120℃で1時間
保温し、カチオン性基体樹脂を得た。
【0032】製造例3 製造例2で得たカチオン性基体樹脂1405部に、製造
例1で得た硬化剤340部およびn−ヘキシルセロソル
ブ55部を90℃で30分混合し、88%蟻酸14.6
部で中和した後、脱イオン水1985.4部でゆっくり
希釈し、減圧下で有機溶剤を除去し、固形分36.0%
のエポキシエマルションXを得た。
【0033】製造例4(比較例用) 製造例2で得たカチオン性基体樹脂1405部に、製造
例1で得た硬化剤340部およびn−ヘキシルセロソル
ブ140部を70℃で30分混合し、88%蟻酸16.
7部で中和した後、脱イオン水1898部でゆっくり希
釈し、減圧下で有機溶剤を除去し、固形分36.0%の
エポキシエマルションYを得た。
【0034】製造例5(比較例用) 製造例2で得たカチオン性基体樹脂1405部に、製造
例1で得た硬化剤340部およびn−ヘキシルセロソル
ブ55部を70℃で30分混合し、88%蟻酸20.9
部で中和した後、脱イオン水1979部でゆっくり希釈
し、減圧下で有機溶剤を除去し、固形分36.0%のエ
ポキシエマルションZを得た。
【0035】 製造例6 成 分 重量部 固形分量 2−エチルヘキサノールハーフブロック化 320.0 304 トルエンジイソシアネート(MIBK中) ジメチルエタノールアミン 87.2 87.2 乳酸水溶液 117.6 88.2 エチレングリコールモノブチルエーテル 39.2 − 上記組成に従って、適当な反応容器を用い、室温で2−
エチルヘキサノールハーフブロック化トルエンジイソシ
アネート(MIBK中)をジメチルエタノールアミンに
加えた。混合物は発熱し、これを1時間撹拌した。次い
で、乳酸を仕込み、さらにブチルセロソルブを反応混合
物を65℃で約半時間撹拌し、四級化剤を得た。
【0036】 成 分 重量部 固形分量 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 710.0 681.2 (エポキシ当量193〜203、シェル・ケミ カル・カンパニー社製、商品名「エポン829」) ビスフェノールA 289.6 289.6 2−エチルヘキサノールハーフブロック化 406.4 386.1 トルエンジイソシアネート(MIBK中) 四級化剤 496.3 421.9 脱イオン水 71.2 エチレングリコールモノブチルエーテル 1584.1 − 上記組成に従って、ビスフェノールA型エポキシ樹脂お
よびビスフェノールAを適当な反応容器に仕込み、窒素
雰囲気下150〜160℃へ加熱した。初期発熱反応が
起こった。反応混合物を150〜160℃で約1時間反
応させ、次いで、120℃へ冷却後、2−エチルヘキサ
ノールハーフブロック化トルエンジイソシアネートを加
えた。反応混合物を110〜120℃に約1時間保ち、
次いで、ブチルセロソルブを加えた。次いで、85〜9
5℃に冷却して均一化し、さらに先に製造しておいた四
級化剤を加えた。酸価が1になるまで混合物を85〜9
5℃に保持し、顔料分散用ワニスを得た。樹脂固形分は
50%であった。
【0037】製造例7 製造例6で得た顔料分散用ワニス50部、脱イオン水9
3部、カーボンブラック1.8部、ジブチル錫オキサイ
ド7部、カオリン20部、ケイ酸鉛6部および二酸化チ
タン72.2部を混合し、サンドグラインドミルで分散
し、粒度10μm以下になるまで粉砕して顔料分散ペー
ストを得た。
【0038】実施例1〜3、比較例1〜2 上述した製造例で得たエマルションX、YまたはZ、顔
料分散ペーストおよび脱イオン水を表1に示す組成に従
って配合し、実施例1〜3および比較例1〜2の希釈塗
料を得た。なお実施例2の塗料は、実施例1の塗料をU
Fろ過によって、ろ液を15%抜き取り、抜き取った量
を純水で補給することにより電導度を1100μS/c
mに調整した塗料を使用した。各希釈塗料の最低造膜温
度、塗料電導度、固形分、電着塗装設定温度および各希
釈塗料のガスピンホール性、つきまわり性および作業性
についての評価結果を表1に示す。なお、ガスピンホー
ル性、つきまわり性および作業性による評価方法は後述
の通りである。
【0039】(ガスピンホール性)化成処理を行った合
金化溶融亜鉛めっき鋼板に、200V、220V、24
0V、260V、280V、300Vへそれぞれ5秒で
昇圧後、175秒で各実施例または比較例の塗料を電着
した後、水洗し、160℃で10分間焼き付けし、塗面
状態を観察した。クレーターが発生した電圧が高いほど
ガスピンホール性が良いと評価できる。
【0040】(つきまわり性)つきまわり性は、いわゆ
る4枚ボックス法により評価した。すなわち、図1に示
すように、4枚のリン酸亜鉛処理鋼板(JIS G 3
141 SPCC−SDのサーフダインSD−5000
(日本ペイント社製)処理)11〜14を、立てた状態
で間隔20mmで平行に配置し、両側面下部および底面
を布粘着テープ等の絶縁体で密閉したボックス10を用
いる。なお、鋼板14以外の鋼板11〜13には下部に
8mmφの貫通穴15が設けられている。このボックス
10を、図2に示すように各実施例または比較例の電着
塗料21を入れた電着塗装容器20内に浸漬し、各貫通
穴15からのみ希釈塗料21がボックス10内に侵入す
るようにする。そして、各鋼板を電気的に接続し、最も
近い鋼板11との距離が150mmとなるように対極2
2を配置した。各鋼板11〜14を陰極、対極22を陽
極として電圧を印加して鋼板にカチオン電着塗装を行っ
た。塗装は、印加開始から5秒間で鋼板11のA面に形
成される塗膜の膜厚が20μmに達する電圧まで昇圧
し、その後175秒間その電圧を維持することにより行
った。このときの電着塗装設定温度は28℃に調節し
た。塗装後の各鋼板は、水洗した後、160℃で20分
間焼き付けし、空冷後、対極22に最も近い鋼板11の
A面に形成された塗膜の膜厚と、対極22から最も遠い
鋼板14のG面に形成された塗膜の膜厚とを測定し、膜
厚(G面)/膜厚(A面)の比(G/A値)によりつき
まわり性を評価した。この値が大きいほどつきまわり性
が良いと評価できる。
【0041】(作業性)上記つきまわり性の評価に使用
したものと同じリン酸亜鉛処理鋼板の中央部に幅約2c
m、長さ10cmの範囲を、#400の研磨紙で水研
し、研ぎ滓が残らないよう水洗後、十分に乾燥させた
後、乾燥膜厚が20μmとなるように印加電圧200〜
250V、3分間、各実施例、比較例での塗装設定温度
で電着塗装を行い、塗装後の各鋼板は、水洗した後、1
60℃で20分間焼き付けし、空冷後、塗膜外観を目視
判定し、以下の判定基準で判定した。 ○…研ぎムラなし △…多少研ぎムラが認められる ×…研ぎムラが顕著に認められる
【0042】
【表1】
【0043】表1の結果から明らかのように、本実施例
1〜3は、カチオン電着塗料の最低造膜温度を、電着塗
装設定温度±5℃以内に、塗装時電導度を1000〜1
500μS/cmに調整したことにより、電着塗膜形成
時に発生する水素ガスが抜け易くなり、ガスピンホール
性がよくなり、かつ高いつきまわり性を有する塗膜が得
られた。また実施例1および2は、最低造膜温度が、電
着塗装設定温度より低いので作業性、特に研ぎムラの点
で、極めて良好の結果も得られた。一方、比較例1で
は、カチオン電着塗料の最低造膜温度が、電着塗装設定
温度の±5℃以内から外れているため、比較例2では、
塗装時電導度を1000〜1500μS/cmが外れて
いるため、ガスピンホール性、つきまわり性ともに良く
ない結果となった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、カチオン電着塗料の最
低造膜温度を、電着塗装設定温度の±5℃以内に、塗装
時電導度を1000〜1500μS/cmに調整するこ
とにより、電着塗膜形成時に発生する水素ガスが抜け易
くなり、ガスピンホール性がよくなり、ガスピンホール
発生が抑制され、かつ高いつきまわり性を有する塗膜が
得られるカチオン電着塗料の塗膜形成方法を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】つきまわり性を評価する際に用いるボックスの
一例を示す斜視図である。
【図2】つきまわり性の評価方法を示す説明図である。
【符号の説明】
10ボックス 11リン酸亜鉛処理鋼板 12リン酸亜鉛処理鋼板 13リン酸亜鉛処理鋼板 14リン酸亜鉛処理鋼板 15貫通穴 20電着塗装容器 21電着塗料 22対極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浮田 恒夫 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB89X BB89Y DC12 4J038 CG081 DB001 EA011 KA03 KA06 NA20 PA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電着塗装において、カチオン電着塗料の最
    低造膜温度を電着塗装設定温度の±5℃以内に、塗装時
    電導度を1000〜1500μS/cmに調整された電
    着塗料を使用し、前記電着塗装設定温度で電着塗装する
    電着塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】前記最低造膜温度を、前記電着塗装設定温
    度の−2〜0℃にする請求項1記載の電着塗膜形成方
    法。
  3. 【請求項3】前記カチオン電着塗料が、カチオン性基体
    樹脂、硬化剤および有機溶剤とを含有し、請求項1また
    は2記載の電着塗膜形成方法に用いるカチオン電着塗料
    組成物。
  4. 【請求項4】基材に、請求項1または2記載の電着塗膜
    形成方法によりカチオン電着塗膜が形成された電着塗装
    物。
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