JP2001019402A - 熱化学的分解による水素の製造方法 - Google Patents

熱化学的分解による水素の製造方法

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Sekiei Hayashi
石英 林
Hiroyuki Hatano
博之 幡野
Zenzo Suzuki
善三 鈴木
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    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高圧の水と発生ガス吸収物質を用いて、
熱力学的化学平衡を維持したまま、超臨界に比べて比較
的低い圧力で、水を熱化学的分解することにより水素を
製造する方法を提供する。 【課題を解決する手段】 炭素を含有する物質を高温高
圧の水と反応させ、炭素を含有する物質を熱化学的に分
解しつつ、水を還元して水素を生成させる方法であっ
て、二酸化炭素吸収物質を、少なくとも生成したすべて
の二酸化炭素を吸収できる量反応系に存在させ、かつ、
圧力80気圧以上温度600℃以上の条件で実質上酸化
剤を加えることなく熱化学的分解を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】石炭や石油などの有機物を高
温高圧で熱分解し水素ガスを製造する水素製造方法や、
水性ガスからの水素の製造方法、水を電気分解する水素
の製造方法等は、従来から知られている。本発明は、こ
のような水素を製造する技術分野に属し、その特徴とす
るところは、有機物中の炭素を酸化する際に発生する熱
を利用し、高温高圧の水を熱化学的に分解し水素を選択
的に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石炭、石油、プラスチックス、バイオマ
ス、等の有機物を分解してガス化するプロセスは幾つか
あるが、酸化分解法が最も多く利用されている。酸化分
解法の中でも超臨界水を利用する酸化分解法は分解速度
が高いので最近はよく利用される。図1に従来の超臨界
水を利用した有機物の酸化分解法を示す。有機物は水と
混合され、水が超臨界状態となる反応装置1にポンプ2
で圧送され400℃程度の温度の反応器内での一定時間
反応時間を確保した後、冷却器3で冷却され、減圧され
生成したガス状の酸化分解生成物、水、固体残渣に分離
される。このとき、酸化剤として空気または酸素を別途
反応器3に供給し、発生する熱が不足する場合には外部
から熱を加えることにより超臨界状態を維持する。この
様な操作条件では、ガス状の酸化分解生成物は二酸化炭
素と有機物中の窒素分から生成された窒素ガスが大部分
を占めている。酸化剤を加えずに外部からの熱のみで4
00〜600℃の温度で熱分解を超臨界水中で行う分解
法もあるが、この場合は一酸化炭素、二酸化炭素、低級
炭化水素、水素、窒素を主成分とするガス状の熱分解生
成物と多くの場合液状の生成物が得られる。高温で熱分
解するほどガスの収率は高くなるが、水素の収率は低
い。従来は、有機物を超臨界水中で分解して、有機物由
来のガスを取り出すことに関して、いろいろ研究が行わ
れていたが、有機物中の炭素を用いて、水を還元して水
素を取り出すことは、着目されていなかったし、考えら
れたこともなかった。本発明者は、このような観点か
ら、いかに水の熱化学的分解を起こし、効率よく超臨界
水を還元できるかに的を絞って、鋭意研究した結果、実
質上酸化剤を加えることなく、特定条件の超臨界の水と
二酸化炭素吸収物質を組み合わせれば良いことを見出
し、既に特願平10−356846号及び特願平10−
365994号として出願している。また、1500°
F近辺の高温と20気圧程度の圧力下で、二酸化炭素吸
収物質の存在下、石炭等と水を反応させ、水素と一酸化
炭素、二酸化炭素の混合気体を得ることも米国特許4,
231,760号に記載されている。しかし、この技術
はいわゆる合成ガスを作る技術であり、二酸化炭素吸収
物質を用いて石炭等と水を反応させる点は類似している
が、副生する炭素の化合物は炭化の酸化物である点にお
いて、本発明と決定的に異なる。すなわち、本発明では
水素が大量に発生し、副生する炭素の化合物は、メタン
を主成分とする炭化水素である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、220気圧以
上、600℃の超臨界という条件は、装置を作る上や、
操業の安全性の点で厳しいものがあり、この発明を装置
として具体化してゆくことを念頭において、もう少し緩
やかな条件での水素の製造方法を探っていた。600℃
以上という温度条件は変らないが、圧力が80気圧程度
でも、それほど効率が悪くならないことを見出して、こ
の発明を完成するに至った。この条件は、超臨界の条件
を探っていた我々にとっては思いもよらない結果であっ
た。温度は600℃以下例えば500℃になると、圧力
を250気圧に上げても、水素の収率が下がることも分
かった。しかし、圧力に関しては、超臨界の下限値の約
4割弱の80気圧まで下げても、水素の収率が思ったほ
ど低下しないことが確認された。ただし、80気圧以下
にすると、副生する炭化水素に炭素の酸化物が混入し始
めるので好ましくない。本発明は、特定条件の高温高圧
の水と発生ガス吸収物質を用いて、熱力学的化学平衡を
維持したまま、エネルギー効率を良くし、超臨界に達す
るまでの比較的低い圧力で水素を製造できる条件を発見
したものである。さらに、硫黄やハロゲンを反応器で捕
捉し、生成するガス中に移行させることなく、最終的に
水溶性の塩として回収できることも超臨界で行う場合と
同様である。本発明において、実質上酸化剤を加えない
という意味は、酸化剤を加える必要がないという意味の
ほか、試料ないし原料を反応装置に装填するに際して、
試料ないし原料の中に含まれる空気等をわざわざ除く必
要はないという意味でもあり、この点についても、超臨
界で行う場合と同様に、本発明の重要な構成要件の一つ
である。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明は、「炭素を含有する物
質を高温高圧の水と反応させ、炭素を含有する物質を熱
化学的に分解しつつ、水を還元して水素を生成させる方
法であって、二酸化炭素吸収物質を、少なくとも生成し
たすべての二酸化炭素を吸収できる量反応系に存在さ
せ、かつ、圧力80気圧以上温度600℃以上の条件で
実質上酸化剤を加えることなく熱化学的分解を行う水素
の製造方法。」であって、本発明の基本的な理論を説明
すると超臨界で行う場合と同様に、次ぎのことが言え
る。炭素を含有する物質と超臨界状態の水との反応で形
成されたガス中の一酸化炭素、水蒸気、二酸化炭素、水
素は、化学平衡にある。平衡反応は、 CO+H2O=CO2 +H2 ・・・・・(1) の関係で記述される。ここで反応器の温度、圧力の条件
で二酸化炭素と反応し固体として固定する作用をし、そ
れ自身はこの化学平衡関係になんら影響を与えない物質
(二酸化炭素吸収物質)を予め過剰に反応場に共存させ
れば、ガス中の二酸化炭素の量はこの物質との反応によ
り減少する。
【0005】この減少した二酸化炭素の量に対し前述の
化学平衡関係を維持するためには、必然的にCOとH2
Oとの反応によりCO2とH2を生成する方向に反応が
進行する。生じたCO2は二酸化炭素吸収剤と反応し、
ガスから除去される。この結果最終的にはガス中には極
く少量の一酸化炭素と二酸化炭素および多量の水蒸気と
水素が存在する形で化学平衡となる。ガスと固体(有機
物中の灰分、未反応の二酸化炭吸収剤および二酸化炭素
を吸収して生じた固体物質の混合物)は冷却することに
より水蒸気は水に戻るため分離することが可能となる。
この結果有機物から水素を主成分とするガスを製造する
ことが可能になる。今、二酸化炭素吸収剤をXとすると
化学反応式は C+2H2O+X=(XCO2)+2H2 ・・・・・(2) で記述できる。生成する水素ガスは水を起源とするもの
で、上記の総括反応式は有機物中の炭素と水から選択的
に水素を製造することを示し、これは水の熱化学的分解
反応と見ることができる。
【0006】反応を駆動する熱源としては有機物の保有
する炭素を酸化する際に発生する燃焼熱のほか、反応系
に加える二酸化炭素吸収物質例えばCaOなどは水と反
応してCa(OH)になるとき反応熱を放出するから
当然このような熱も利用することができるが、不足する
場合は外部から熱を加えることにより(2)式を進行さ
せることができる。物質Xを二酸化炭素吸収剤として用
いる場合、 X+CO2 =XCO2 ・・・・・(3) の反応を生じるためには、熱力学的に定まる温度以上で
なければならない。したがって、本発明の反応系の温度
は必然的に上記反応式(3)の生じる温度以上となる。
二酸化炭素吸収剤としてはCaO、MgO、酸化鉄(F
eO,Fe,Fe)等の金属酸化物及び同
種金属の水酸化物(Ca(OH),Mg(OH)
Fe(OH),Fe(OH)等)が代表的なもので
ある。経済的な理由からCaO、Ca(OH)が最も
推奨される物質である。また、実施例としては挙げなか
ったが、MgO、Mg(OH)、FeO、Fe
、Feも有効であることを確認している。
水酸化物は高温の条件では脱水反応 Ca(OH)2 =CaO+H2O ・・・・・(4) Mg(OH)2 =MgO+H2O ・・・・・(5) を生じるので、同種金属酸化物を最初から加えた場合と
反応場は等しくなる。有機物中の硫黄分は上記の反応過
程でXと反応して硫酸塩として固定されるが、この場合
水に難溶性の硫酸塩を生成してしまい好ましくない。こ
れを防ぐため、Xとは別に一旦ガス化で生じるH2Sと
反応しやすい物質Yを加えYとH2Sとの反応で水溶性
の物質を形成させる。
【0007】この結果、有機物中の硫黄は水溶性となる
ため、反応後の二酸化炭素吸収物質や未反応の二酸化炭
素吸収物質、有機物中の灰分等、他の固体から分離する
ことができる。ハロゲンについても同様に水溶性の塩と
して固定可能である。物質Yとしては、NaOH,Na
2CO3、KOH,K2CO3がある。また多くの場合
物質Yは、有機物と超臨界状態の水との反応を促進する
触媒として作用するので好都合である。また、実施例と
してはNa2CO3を用いた場合を示したが、NaO
H、KOH、K2CO3も同様の作用をすることを確認
している。反応が進行するかどうかの見極めには熱力学
的な検討が必要である。主反応の反応熱は C+HO=CO+H 31.4 kcal (吸熱反応) (6) HO+CO=CO+H −9.9 kcal (発熱反応) (7) CaO+CO=CaCO −42.5 kcal (発熱反応) (8) 従って総括の反応は、 C+2HO+CaO=CaCO+2H −21.0kcal (発 熱反応) (9) となり、少なくとも正味発熱反応であり、熱力学的には
自発的に進行することが予想できた。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は以下のとお
りである。 (1) 炭素を含有する物質を高温高圧の水と反応さ
せ、炭素を含有する物質を熱化学的に分解しつつ、水を
還元して水素を生成させる方法であって、二酸化炭素吸
収物質を、少なくとも生成したすべての二酸化炭素を吸
収できる量反応系に存在させ、かつ、圧力80気圧以上
温度600℃以上の条件で実質上酸化剤を加えることな
く熱化学的分解を行う水素の製造方法。 (2) 炭素を含有する物質と二酸化炭素吸収物質を反
応系に供給し、生成した水素と炭酸塩を反応系から取り
出す上記(1)に記載された水素の製造方法。 (3) 炭酸塩を加熱分解し、二酸化炭素吸収物質に変
え、再び反応系に戻す請求項1または上記(2)に記載
された水素の製造方法。 (4) 二酸化炭素を吸収する物質としてCaO、Mg
Oまたは酸化鉄(FeO,Fe,Fe)を
用いる上記(1)ないし上記(3)のいずれかの一つに
記載された水素の製造方法。 (5) 炭素を含有する物質が、石炭、石油、プラスチ
ックス、バイオマス、汚泥、有機廃棄物のいずれか一
つ、または二つ以上である上記(1)ないし上記(4)
のいずれかの一つに記載された水素の製造方法。 (6) 反応温度が650℃〜800℃である上記
(1)ないし上記(5)のいずれかの一つに記載された
水素の製造方法。 (7) 二酸化炭素吸収物質と共に、硫黄やハロゲンと
水溶性の塩を形成する物質を、少なくとも生成した硫黄
やハロゲンをすべて吸収する量反応系に存在させる上記
(1)ないし上記(6)のいずれかの一つに記載された
水素の製造方法。 (8) 硫黄やハロゲンと水溶性の塩を形成する物質と
して、NaOH、 NaCOと、KOH、KCO
からなる群より選ばれる化合物の1種または2種以上
を用いる上記(1)ないし上記(7)のいずれかの一つ
に記載された水素の製造方法。
【0009】
【発明の具体的実施の説明】図2に示す外径58mm内
径13mm反応空間部の長さ130mmのマイクロオー
トクレーブ5を用いて実施した。マイクロオートクレー
ブ5は、基本的に反応空間となる本体51、計測器具連
結部装着蓋52、締付部材53からなる。計測器具連結
部装着蓋52は本体51の上部で締付部材53で締め付
けられる。計測器具連結部装着蓋52は本体51より外
径がわずかに小さくできており、締め付けは、締付部材
53の内側のネジと本体51の上部の外周に切られたネ
ジを旋回させることにより行われる。本体51と計測器
具連結部装着蓋52は、取り外しすることができ、ここ
から試料を入れることが出来る。試料を装填し、締付部
材53と本体51を十分に締め付けた後、ボルト54で
さらに強固に本体51と計測器具連結部装着蓋52を押
圧することができる。計測器具連結部装着蓋52は、バ
ルブ6に通じる微細管55と熱電対の導線56と圧力計
9に通じる微細管57を有する。バルブ6で調節するこ
とにより、反応空間部の圧力を予め調整することが出来
るほか、反応終了後バルブ6を全開して生成した気体を
分析計7に送り込む。熱電対の導線は、反応空間部まで
伸びている。
【0010】既に出願した特願平10−356846号
及び特願平10−365994号の実施においては、反
応系に添加する水の量を測定し、気体の状態方程式によ
り、反応圧力を推定していたが、このような実験装置を
用いた結果、反応系の圧力を実測することができた。本
発明では、圧力はすべて実測した値を記載している。ま
た、反応温度も反応空間に直接熱電対を挿入することが
できるから、より正確な値を得ることができた。
【0011】
【実施例1】反応容器6内に粉砕した太平洋炭(炭素含
有量76%)0.1gと過剰当量のCa(OH)粉末
0.6gとNaOH 0.1gと純水8.0ccを混合
し、本体51の内部に装填した。計測器具連結部装着蓋
52をかぶせて締付部材53と本体51を十分に締め付
けた後、ボルト54でさらに強固に本体51と計測器具
連結部装着蓋52を押圧した。電気炉を用い、熱電対が
650℃を示すまで加熱し、その温度で20分間反応さ
せた。反応後冷却し、バルブ6を開いて、発生したガス
を分析計に送り込み、生成ガスの体積と生成ガスの種類
を測定した。本体51の内部に残された固体と液体は回
収し分析を行った。
【0012】
【実施例2〜5】純水の装填量を6cc,4cc,3c
c及び2ccにすることによって、反応圧力を、それぞ
れ600気圧、340気圧、230気圧、120気圧に
調整したほかは実施例1と同じことを繰り返した。実施
した結果を図3に示す。反応圧力を下げると生成するガ
ス量は減少するが、ガス中の水素の割合は高いままであ
り、単に反応速度が低下しただけであることが証明され
た。(9)式より、炭素1モルより2モルの水素が製造
されるので、理論的には石炭(炭素分76%)の場合
は、2.83Nm3/kgの水素が製造可能である。実
験の結果からは水素の他に若干のCHが副生する。こ
れはCOとHとの反応により生じるものと考えられ
る。NaOHを加えない場合は石炭中のS分はCaSO
として固定されるが非水溶性であるので他の固体物質
からの分離は困難である。しかし、NaOHを添加する
ことにより、石炭中のSは最終的に水溶性のNaSO
として捕捉され、水処理により系外へ抜き出すことが
できるので有利になることは、超臨界で行う場合と同じ
である。
【0013】
【実施例6〜9】木くず、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ン、黒ゴムの4種類の有機物をこの順番で、それぞれ
0.1gを試料とし、これに、二酸化炭素吸収物質であ
るCa(OH)2を0.6g、水を4cc及び反応の触
媒を兼ねた硫黄分捕捉剤としてNa2CO3を0.1g
混合し、電気炉で外部加熱し、反応温度650℃、12
0気圧、反応時間20分の条件で反応させた。反応後冷
却し、バルブ6を解放し、発生したガスは分析装置に導
いて、発生ガス量を測定すると共に、組成はガスクロマ
トグラフにより測定した。反応器内部の固体と液体は回
収し分析を行った。石炭以外の有機物においても、超臨
界で行う場合と同様に、炭素分を含む物質は全て本方法
の対象となり得ることが確認できた。
【0014】
【発明の効果】本発明において特徴的なのは、超臨界で
行う場合と同様に、本方法が石炭以外の有機物にも広く
適応可能な点である。このフレキシビリティーの高さも
注目に値する。本プロセスは原料系によりおおまかに下
記の様に分類される。 (1)石炭を原料とするプロセス (2)重質油、減圧残油等を原料とするプロセス (3)プラスチック類を原料とするプロセス (4)バイオマスを原料とするプロセス (5)汚泥、有機廃棄物を原料とするプロセス プロセス的には若干の相違はあるものの、それぞれの原
料に対しプロセスを組むことが可能で、高効率で水素を
製造し、かつ有害な元素の環境への排出を防止できる。
水素はエネルギー回収と物質回収の両面で考えることが
可能である。また、副生するCOは高濃度で回収する
ことも可能で地球温暖化ガスであるCOの処理、利用
の観点からも非常に有利で、環境に与えるインパクトも
少ない。石炭、石油、バイオマス、プラスチック、汚
泥、有機廃棄物などの炭素含有の熱源物質と水、空気、
石灰石、炭酸ナトリウムという安価で一般的な物質の組
み合わせのみで水素を選択的に製造可能な技術を提供す
ることができる。具体的な効果としては、 (1)化石燃料資源(特に石炭)、バイオマスを環境へ
の負荷を与えず、クリーンな水素エネルギーに変換でき
る。水素はエネルギーとして高効率で使用する方法が各
種開発されており、この結果化石燃料資源の延命化がで
きる。 (2)褐炭等水分を多量に含む場合でも、従来の様に乾
燥させずにそのまま利用することが可能になる。 (3)炭素含有物質中の硫黄、塩素等の環境汚染の原因
となる物質などをも捕捉することが可能である。 (4)プラスチックス類については熱エネルギーの形で
はなく水素に転換可能で、エネルギー回収、物質リサイ
クルどちらの方式にも対応可能。焼却で問題となる、ダ
イオキシンの発生や塩化水素の発生がない。 (5)汚泥、有機廃棄物等については、乾燥させること
なく、処理できるのでエネルギーの無駄遣いが減り、廃
棄物の分別回収の必要がなくなる。など、超臨界で行う
場合と同様の効果が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による超臨界水を利用した有機物の熱
分解酸化プロセスの一例を示した説明図
【図2】本発明の実施に用いた装置の断面図
【図3】本発明の条件での石炭の水との反応で生成した
ガス量とその組成に関する実験結果を示す説明図
【符号の説明】
1…超臨界水反応装置 2…ポンプ 3…冷却器 4…気体分離器 5…マイクロオートクレーブ 51…本体 52…計測器具連結部装着蓋 53…締付部材 54…ボルト 55…バルブ6に通じる微細管 56…熱電対の導線 57…圧力計9に通じる微細管 6…バルブ 7…分析計 8…熱電対 9…圧力計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 石英 東京都港区六本木6−2−31 東京日産ビ ル7階 石炭利用総合センター内 (72)発明者 幡野 博之 茨城県つくば市小野川16番3号 工業技術 院 資源環境技術総合研究所内 (72)発明者 鈴木 善三 茨城県つくば市小野川16番3号 工業技術 院 資源環境技術総合研究所内 Fターム(参考) 4D050 AA01 AB11 AB22 AB27 AB31 BB01 BC01 BC02 BC06 BC10 BD02 BD08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素を含有する物質を高温高圧の水と反
    応させ、炭素を含有する物質を熱化学的に分解しつつ、
    水を還元して水素を生成させる方法であって、二酸化炭
    素吸収物質を、少なくとも生成したすべての二酸化炭素
    を吸収できる量反応系に存在させ、かつ、圧力80気圧
    以上温度600℃以上の条件で実質上酸化剤を加えるこ
    となく熱化学的分解を行う水素の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭素を含有する物質と二酸化炭素吸収物
    質を反応系に供給し、水素と炭酸塩を反応系から取り出
    す請求項1に記載された水素の製造方法。
  3. 【請求項3】 炭酸塩を加熱分解し、二酸化炭素吸収物
    質に変え、再び反応系に戻す請求項1または請求項2に
    記載された水素の製造方法。
  4. 【請求項4】 二酸化炭素を吸収する物質としてCa
    O、MgOまたは酸化鉄を用いる請求項1ないし請求項
    3のいずれかの一つに記載された水素の製造方法。
  5. 【請求項5】 炭素を含有する物質が、石炭、石油、プ
    ラスチックス、バイオマス、汚泥、有機廃棄物のいずれ
    か一つ、または二つ以上である請求項1ないし請求項4
    のいずれかの一つに記載された水素の製造方法。
  6. 【請求項6】 反応温度が650℃〜800℃である請
    求項1ないし請求項5のいずれかの一つに記載された水
    素の製造方法。
  7. 【請求項7】 二酸化炭素吸収物質と共に、硫黄やハロ
    ゲンと水溶性の塩を形成する物質を、少なくとも生成し
    た硫黄やハロゲンをすべて吸収する量反応系に存在させ
    る請求項1ないし請求項6のいずれかの一つに記載され
    た水素の製造方法。
  8. 【請求項8】 硫黄やハロゲンと水溶性の塩を形成する
    物質として、NaOH、NaCOと、KOH、K
    COからなる群より選ばれる化合物の1種または2種
    以上を用いる請求項1ないし請求項7のいずれかの一つ
    に記載された水素の製造方法。
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JP2008546626A (ja) * 2005-06-23 2008-12-25 ジーアールディーシー,エルエルシー 水素の効率的な生産
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