JP2001011784A - ゴム物品補強用スチールコード - Google Patents
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Abstract
ンドを撚り合わせた複撚り構造のコードにおいて、その
コードの内部にまで確実にゴムを浸入させ得る、新規な
構造のスチールコードを提供することにある。 【解決手段】 複数のフィラメントから成る1本のコア
ストランドの周囲に、複数のフィラメントから成る、コ
アストランドと同径の5本のシースストランドを撚り合
わせて構成する。
Description
又は工業用ベルト等のゴム物品の補強材として使用され
るスチールコードに関するものである。
特に建設車両用タイヤ等のオフロード用の大型ラジアル
タイヤ又は弾性クローラは、不整地路又は荒れ地等の悪
路を走行する機会が多く、その走行中に大きな突起物又
は岩石等に乗り上げると、突起物又は岩石等と当接する
部分が局部的に大きく変形する。この際、タイヤの特に
ベルトやクローラの補強材として適用されたコードには
大きな負荷が加わり、上記変形が繰り返されるとコード
の疲労が進行して破断に到り、これがタイヤやクローラ
の耐久性を阻害する原因となっていた。
ドとしては、コード径当たりの切断荷重が高く、且つ良
好な耐疲労特性を呈するものが望まれることから、複数
本のフィラメントを撚ってストランドとし、更にこのス
トランドの複数本を撚り合わせた、所謂複撚り構造のス
チールコードが通常使用されている。
1本のコアストランドの周囲に、これと同径の6本のシ
ースストランドを撚り合わせたものが一般的である。
は、1本のコアストランドの周囲に6本のシースストラ
ンドを撚り合わせて成る、図1に示したようなスチール
コードを埋設した弾性クローラが開示されている。
コードは、1本のコアストランドの周囲に、このコアス
トランドと同径の6本のシースストランドを撚り合わせ
て構成したものであるので、シースストランド相互間に
は隙間が形成されない。従って、補強材としてゴム中に
このコードを埋設したゴム物品を加硫しても、シースス
トランド間を介してコアストランドにまでゴムが浸入し
ない。
チールコードでは、充分なゴムの浸入性が得られずにコ
ード内に空隙を有するため、以下の不利益が発生する。 カット傷等を介して水分がコードに達すると、コード
内の空隙に水分が入り込む結果、腐食が容易にコード内
を伝播してしまう。 ゴムが浸入していない部分において、無拘束のフィラ
メント同士が接触して磨耗が起こり、フィラメントの破
断の原因となる。
アストランドの周りに複数のシースストランドを撚り合
わせた複撚り構造のスチールコードにおいて、そのコー
ドの内部にまで確実にゴムを浸入させ得る、新規な構造
を提供することにある。
目的を達成するために、複数のフィラメントから成る1
本のコアストランドの周囲に、複数のフィラメントから
成り、コアストランドと同径の5本のシースストランド
を撚り合わせて構成したことを特徴とする。
ースストランドを、3本のフィラメントから成るコア
と、コアの周囲に配置した、該コアのフィラメントと同
径の8本のフィラメントから成るシースとから構成する
こと、コアのフィラメントとシースのフィラメントとの
交差角が6°以上であること、そしてコアのフィラメン
トとシースのフィラメントとが同径であること、がそれ
ぞれ有利である。
に具体的に説明する。図2は、3本のフィラメント1に
よるコア2及び8本のフィラメント3によるシース4か
ら成る1本のコアストランド5の周囲に、3本のフィラ
メント1によるコア2及び8本のフィラメント3による
シース4から成る5本のシースストランド6を撚り合わ
せた、この発明によるスチールコードの一例である。
尚、この例では各ストランドを層撚り構造としたが、こ
れに限らず単撚り構造としてもよい。
螺旋状に巻回してコードの束ねを強化することができる
が、このラップフィラメント7は省略することも可能で
ある。
を、1本のコアストランド5の周りに5本のシーススト
ランド6を撚り合わせた構造としたので、シースストラ
ンド6相互間に隙間が形成される。従って、このコード
を埋設したゴム物品の加硫時には、シースストランド間
の隙間を介してコアストランド5にまでゴムが浸入す
る。
コアストランド5に5本のシースストランド6を撚り合
わせた構造(1+5構造)とした場合と、1本のコアス
トランド5に6本のシースストランド6を撚り合わせた
構造(1+6構造)とした場合及び1本のコアストラン
ド5に4本のシースストランド6を撚り合わせた構造
(1+4構造)とした場合とを比較する。
ストランド6間に隙間を形成することができず、このコ
ードを埋設したゴム物品を加硫しても、ゴムはシースス
トランド6間を介してコアストランド5まで浸入しな
い。尚、1+6構造の場合においても、シースストラン
ド6の径をコアストランド5の径に比して小さくすれば
シースストランド6間に隙間を設けることが可能である
が、1+6構造は1+5構造に比してコアストランド5
とシースストランド6との接触箇所が多くなり、接触部
でゴムが浸入し難くなる。又、コアストランドとシース
ストランドとを異径とした場合には、コアストランドと
シースストランドとを別々に2種類製造しなくてはいけ
ないために生産性が低下すると共に、コード径が同じで
あれば、同径とした場合に比してコードの破断強力が低
くなるという不都合を生じる。
は、図2に示した1+5構造に比してシースストランド
6の本数が少ないので、シースストランド6をコアスト
ランド5の回りに撚った際に偏りが生ずる恐れがあり、
この偏りが発生した部分ではゴム浸入性が低いものとな
る可能性がある。又、シースストランド6の本数が少な
いことにより、コード径当たりの切断荷重が低いものと
なり、上述したゴム物品の補強材としての強度を満足す
ることが難しい。
ため、即ち各ストランド5、6の内部までゴムが充分浸
入するために、コアストランド5及びシースストランド
6を図2に例示した、3本のフィラメント1から成るコ
ア2と、コア2の周囲に配置した、該コア2のフィラメ
ント1と同径の8本のフィラメント3から成るシース4
とから構成した、3+8構造とすることが好ましい。
シースストランド6を、共に3+8構造としたことによ
り、従来の3+9構造のものでは達成できなかった、各
ストランド5、6のシースフィラメント3相互間にゴム
を浸入させるための隙間が形成される。従って、このコ
ードを埋設したゴム物品の加硫時には、シースフィラメ
ント3間を介してコアフィラメント1の表面までゴムが
浸入する。
6を3+8構造とした理由について説明する。ストラン
ド5、6を、3本のフィラメント1から成るコア2と、
コア2の周囲に配置した、該コア2のフィラメント1と
同径の7本のフィラメント3から成るシース4とから構
成した、3+7構造とした場合には、ストランド撚り工
程でコアフィラメント1とシースフィラメント3とが入
れ代わるといった不良又はコード撚り工程でシースフィ
ラメント3に偏りが発生するといった不良が生じ、これ
に伴いゴム浸入性の低下を招くからである。
80〜0.85wt%の高強度鋼材から成るフィラメント
1、3を使用することにより、コード径(断面積)当た
りの破断強力を向上させることが好適である。これによ
り補強材としてゴム複合体の強度が確保され、例えばタ
イヤのベルト部分において、同じ強度を達成するのであ
れば、コードの打ち込み本数を減少させることができる
ため、ゴム物品の軽量化を図ることができる。
は、コアフィラメント1の径をシースフィラメント3の
径に対して小さくした場合、シースフィラメント3間の
隙間が狭くなり、ゴムの浸入性を確保することが困難と
なる。
シースフィラメント3の径に対して大きくした場合に
は、シースフィラメント3の偏りにより、コアフィラメ
ント1のシースフィラメント3が当接する表面において
ゴム浸入性が悪化し、コードの生産性が低下する。
性を向上させるために、コアフィラメント1とシースフ
ィラメント3とを同径とするのが望ましい。
に埋設したスチールコードのゴム浸入性を更に向上させ
るためには、各ストランド5、6のコアフィラメント1
とシースフィラメント3との間に更に隙間を形成し、こ
の隙間を介してゴムがコアストランド5にまで充分浸入
するようにすればよい。この隙間を形成するためには、
コアフィラメント1とシースフィラメント3とをある値
以上の角度で交差させて撚り合わせることが好ましい。
1とシースフィラメント3との交差角αを6°以上とす
ることが好ましい。フィラメント1とフィラメント3と
の交差角αはコアフィラメント1の撚り角とシースフィ
ラメント3の撚り角との差の絶対値で定義される。
シースフィラメント3がコアフィラメント1間に落ち込
むこと、即ちシースフィラメント3がコア2の外殻内に
侵入することが防止される。従って、コアフィラメント
1とシースフィラメント3との間に更に隙間が形成され
るので、このコードを埋設したゴム物品の加硫時には、
コアフィラメント1とシースフィラメント3との間の隙
間にゴムが浸入する。
それぞれ撚って成形した後、シースストランド6をコア
ストランド5の周囲に巻回して、表1に示す仕様の各ス
チールコードを製作し、各仕様のコードについて、ゴム
浸入率を2種類(シースストランド間のゴム浸入率及び
コアストランド内のゴム浸入率)測定した。尚、コード
はC含有量が0.80〜0.85wt%の同一鋼材によるスチール
フィラメントを使用し、ストランドの構造は3+8構造
(コードは6×11+1構造)とした。又、交差角は3.
4、7.0、7.1及び12.0とした。
タイヤからコードを抽出し、シースストランドを全て取
り除いてコアストランドを取り出した後、拡大鏡により
4方向から観察し、コアストランドのゴムが被覆した面
積を画像解析装置によって測定すると共に、更にコアス
トランドからコアフィラメントを取り出した後、拡大鏡
により4方向から観察し、コアフィラメントのゴムが被
覆した面積を画像解析装置によって測定し、それぞれ次
式 シースストランド間のゴム浸入率=(コアストランドの
回りのゴム被覆面積/コアストランドの表面積)×10
0 コアストランド内のゴム浸入率=(コアフィラメントの
回りのゴム被覆面積/コアフィラメントの表面積)×1
00 により算出した。以下に実験結果を示す。
ち6×11+1構造(ストランド5、6は3+8構造)
を採用した場合には、シースシースストランド6間のゴ
ム浸入率及びコアストランド5内のゴム浸入率は共に高
い値となった。しかし、発明例1ではコード及びストラ
ンド5、6の構造は上記発明例2〜4と同一であるが、
交差角が6°よりも小さいために、コアストランド5内
のゴム浸入率が発明例2〜4に比して軒並み低いものと
なった。
ランド5、6は3+9構造)を採用した場合には、シー
スストランド6間及びコアフィラメント1間に隙間が形
成されないことにより、シースストランド6間のゴム浸
入率及びコアストランド5内のゴム浸入率は共に低い値
となった。又、比較例、即ち5×12+1構造(ストラ
ンド5、6は3+9構造)を採用した場合には、シース
ストランド6の撚り本数が少ないのでシースストランド
6に偏りが生ずること及びコアフィラメント1間に隙間
が形成されないことにより、シースストランド6間のゴ
ム浸入率及びコアストランド5内のゴム浸入率は共に低
い値となった。
トランド5、6は3+9構造)を採用した場合には、ス
チールコードが1+5構造であるにもかかわらず、スト
ランド5、6が3+9構造であるため、シースストラン
ド6間のゴム浸入率は高いものとなったが、コアストラ
ンド内のゴム浸入率は発明例1〜4に比較して低いもの
となった。
ゴムが浸入できるスチールコードを提供することがで
き、例えばこの発明によるスチールコードをタイヤのベ
ルトに適用することによって、特に荒れ地での耐久性を
向上させた、タイヤを提供することができる。
面図である。
ドの比較例を示す断面図である。
差角を説明する斜視図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 複数のフィラメントから成る1本のコア
ストランドの周囲に、複数のフィラメントから成る、コ
アストランドと同径の5本のシースストランドを撚り合
わせて構成したことを特徴とするスチールコード。 - 【請求項2】 請求項1において、コアストランド及び
シースストランドを、3本のフィラメントから成るコア
と、コアの周囲に配置した、該コアのフィラメントと同
径の8本のフィラメントから成るシースとから構成した
ことを特徴とするスチールコード。 - 【請求項3】 請求項2において、コアのフィラメント
と、シースのフィラメントとの交差角が6°以上である
ことを特徴とするスチールコード。 - 【請求項4】 請求項2又は3において、コアのフィラ
メントと、シースのフィラメントとが同径であることを
特徴とするスチールコード。
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- 1999-06-30 JP JP18453899A patent/JP4450452B2/ja not_active Expired - Fee Related
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