JP2001011338A - Ca−Fe系層状化合物粒子粉末及びその製造法 - Google Patents

Ca−Fe系層状化合物粒子粉末及びその製造法

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JP2001011338A
JP2001011338A JP17968899A JP17968899A JP2001011338A JP 2001011338 A JP2001011338 A JP 2001011338A JP 17968899 A JP17968899 A JP 17968899A JP 17968899 A JP17968899 A JP 17968899A JP 2001011338 A JP2001011338 A JP 2001011338A
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particles
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hydrotalcite
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Tsutomu Katamoto
勉 片元
Toshiki Matsui
敏樹 松井
Tomoyuki Imai
知之 今井
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Toda Kogyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、無害であって、分散性に優れたC
a−Fe系層状化合物を提供する。 【解決手段】 無害であって、分散性に優れたCa−F
e系層状化合物とは、平均板面径が0.1〜3.0μ
m、厚みが0.01〜0.07μmであり、モル比でC
a:Fe=1−x:xと示した場合にxが0.2<x<
0.4であるCa−Fe系ハイドロタルサイト型粒子粉
末であって、該粒子粉末の粒子表面がオキシカルボン
酸、ポリカルボン酸及びロジン化合物から選ばれる一種
又は二種以上で被覆されているCa−Fe系層状化合物
粒子粉末からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無害であって、分
散性に優れたCa−Fe系層状化合物に関するものであ
る。
【0002】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末の主な用途は、ハロゲンイオン捕捉剤であり、ま
た、該粒子粉末は透明感のある黄色を呈し、無害である
ことからそのままで化粧品用材料や食品添加剤などにも
使用できる。
【0003】
【従来の技術】周知の通り、層状化合物には、粘土鉱物
等の他、種々の化合物が存在するが、その内、ハイドロ
タルサイト等の層状複水酸化物(Layered Do
uble Hydroxide)は、層間に種々のイオ
ンや分子等を挿入できる構造を有しているので、アニオ
ン交換機能を発現させることができる。
【0004】一般に、ハイドロタルサイトの構造は、日
本化学会誌、1995(8)、p622〜628に記載
されている通り、「 〔M2+ 1−x3+ (OH)
〔An x/n・yHO〕 ここでM2+
は、Mg2+、Co2+、Ni2+、Zn2+などの二
価金属イオン、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr
3+などの三価金属イオン、Anは、OH、C
、CO 2−、SO 2−などのn価の陰イオン
で、xは一般に0.2〜0.33の範囲である。結晶構
造は、正の電荷をもつ正八面体のbrucite単位が
並んだ二次元基本層と負の電荷を持つ中間層からなる積
層構造をとっている。」とされている。
【0005】ハイドロタルサイトは、古くから制酸剤と
して用いられてきたが、その後、アニオン交換機能を生
かした様々な用途への展開が行われ、例えば、イオン交
換材、吸着剤、脱臭剤、ポリエチレン、ポリプロピレン
及び塩化ビニル等の樹脂・ゴムの安定剤、更には、各種
触媒、農業用フィルムなど多種多様な用途に用いられて
いる。
【0006】また、環境への配慮が求められている現在
にあっては、添加剤であっても無害であることが望まれ
ていることから、毒性がなく、安定な化合物であるハイ
ドロタルサイト型粒子粉末はこのような期待に応えられ
るものといえる。
【0007】ハイドロタルサイト型粒子粉末は、上述の
通り、種々の金属イオンの組み合わせによって合成でき
るが、二価金属イオンとしてMg、三価金属イオンとし
てAlを用いて合成したMg−Al系が一般的である
が、二価金属イオンとしてCa、三価金属イオンとして
Feを用いたCa−Fe系は、Mg−Al系と同様に金
属イオンとして毒性が無いものである。
【0008】ハイドロタルサイト型粒子粉末の製造法と
しては、基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属
イオンを含む金属塩水溶液と、中間層を構成するアニオ
ンを含む水溶液とを混合して、温度、pH値等を制御し
て共沈反応により得る方法が一般的である。また、常圧
での反応以外にも、オートクレーブを使用して水熱反応
により得る方法も知られている。
【0009】現在、塩素含有樹脂は熱分解する際に有害
な塩化水素やダイオキシン等が発生することから、樹脂
フィラーによって塩素化合物を捕捉しようという試みが
行われている。樹脂フィラーとしては、炭酸カルシウム
微粒子粉末や酸化鉄微粒子粉末等を含有させることが知
られており、(特開平8−82411号、特開平8−2
70924号、特開平9−241458号公報等)、ま
た、イオン交換能を有するハイドロタルサイト型粒子粉
末も試みられている。
【0010】ハイドロタルサイト型粒子粉末を樹脂中に
練り込んで用いるためには、該粒子粉末が樹脂中に均一
に分散される必要がある。そこで、ハイドロタルサイト
型粒子粉末の分散性を向上させるため、適度な大きさと
厚さを有し、且つ、粒子相互間の凝集が少ないハイドロ
タルサイト型粒子粉末であることが必要とされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】無害であって、分散性
に優れたCa−Fe系層状化合物粒子粉末は、現在最も
要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0012】即ち、前記共沈反応や水熱反応によって得
られたハイドロタルサイト型粒子粉末は、原料に用いる
金属塩に依存して、有害なアニオン(Cl、N
、SO 2−等)を含有することが多く、無害な
粒子粉末とは言い難いものである。また、無害な粒子粉
末とするためには有害なアニオンをイオン交換などの方
法によって取り除く処理が必要であり、工業的ではな
い。また、従来得られているハイドロタルサイト型粒子
粉末は、板状を呈していることから分散性が十分とは言
い難いものであった。
【0013】炭酸カルシウム微粒子や酸化鉄微粒子は分
散性に劣るため、均一な樹脂混練物を得ることは困難で
あった。
【0014】そこで、本発明は、無害であって、分散性
に優れたCa−Fe系層状化合物を提供することを技術
的課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。
【0016】即ち、本発明は、平均板面径が0.1〜
3.0μm、厚みが0.01〜0.07μmであり、モ
ル比でCa:Fe=1−x:xと示した場合にxが0.
2<x<0.4であるCa−Fe系ハイドロタルサイト
型粒子粉末であって、該粒子粉末の粒子表面が、オキシ
カルボン酸、ジカルボン酸及びロジン化合物から選ばれ
る一種又は二種以上で被覆されているCa−Fe系層状
化合物粒子粉末である。
【0017】また、本発明は、平均板面径が0.1〜
3.0μm、厚みが0.01〜0.07μmであって、
モル比でCa:Fe:Mg:Ti=1−x−y−z:
x:y:zで示した場合に0.2<x<0.4、0<y
<0.05、0<z<0.05を満たすCa−Fe系ハ
イドロタルサイト型粒子粉末であって、該粒子粉末の粒
子表面がオキシカルボン酸、ジカルボン酸及びロジン化
合物から選ばれる一種又は二種以上で被覆されているC
a−Fe系層状化合物粒子粉末である。
【0018】Ca化合物及びFe化合物の混合物を70
0〜1100℃の温度範囲で加熱焼成して得られる複合
酸化物を、100℃以下の水で水和反応させCa−Fe
系ハイドロタルサイト型粒子粉末を得、該粒子粉末をオ
キシカルボン酸、ジカルボン酸及びロジン化合物から選
ばれる一種又は二種以上の表面被覆物によって表面被覆
した後、洗浄、乾燥することを特徴とするCa−Fe系
層状化合物粒子粉末の製造法である。
【0019】本発明の構成を詳しく説明すれば、次の通
りである。
【0020】まず、本発明に係るCa−Fe系層状化合
物粒子粉末について述べる。
【0021】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末の粒子形状は板状である。
【0022】本発明に係るCa−Fe系層状化合物を構
成する粉末の平均板面径は、0.1〜3.0μmであ
る。平均板面径が0.1μm未満の場合には、粒子間の
凝集が大きく分散性が不十分である。3.0μmを超え
る場合には、樹脂との反応性が悪くなるので好ましくな
い。好ましくは0.2〜0.8μmである。
【0023】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末の厚さは、0.01〜0.07μmである。厚さが
0.01μm未満の場合及び0.07μmを超える場合
には、樹脂中での分散性が悪くなる。
【0024】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末の板状比(板面径/厚さ)は、3〜25が好まし
く、より好ましくは5〜20である。
【0025】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末におけるCa及びFeの含有量は、モル比でCa:
Fe=1−x:xと示した場合にxが0.2<x<0.
4である
【0026】xが0.2以下及び0.4以上の場合に
は、ハイドロタルサイト型粒子粉末の単相が得られ難
い。より好ましくは0.25<x<0.35である。
【0027】本発明に係るCa−Fe系層状化合物は、
必要によりMg、Tiを含有してもよい。Mg、Tiを
含有させた場合には、層状化合物粒子粉末の板面径をよ
り容易に制御することができる。
【0028】Mg、Tiを含有させた場合の組成割合
は、モル比でCa:Fe:Mg:Ti=1−x−y−
z:x:y:zと示した場合に、0.2<x<0.4、
0<y<0.05、0<z<0.05である。
【0029】Mgの含有量y及びTiの含有量zはそれ
ぞれ0.05未満が好ましい。0.05以上の場合に
は、ハイドロタルサイト型粒子粉末の単相が得られ難
い。
【0030】尚、本発明に係るCa−Fe系層状化合物
粒子粉末は、前述した組成式のアニオンAnがOH
であることが好ましい。本発明においてはCa化合物を
用いるため、CO 2−が存在する溶液では炭酸カルシ
ウムとして沈殿が生じやすく、水和反応の反応性が低下
する。
【0031】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末は、粒子表面をオキシカルボン酸、ジカルボン酸及
びロジン化合物から選ばれる一種又は二種以上によって
被覆されている。粒子表面を被覆することにより、粒子
相互間の結着が減少され、凝集を解きほぐし、樹脂中で
の分散性が向上する。
【0032】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末の表面被覆量は、Ca−Fe系層状化合物粒子粉末
に対して0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜
7重量%である。
【0033】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末のBET比表面積は、8〜40m/gが好まし
い。8m/g未満の場合には、塩素イオン捕捉効果が
低く、40m/gを越えると、樹脂中に均一に練り込
みにくくなる。より好ましくは10〜30m/gであ
る。
【0034】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末は、有害なアニオンであるCl 、SO 2−の含
有量がそれぞれ300ppm以下であることが好まし
い。より好ましくは、それぞれ100ppm以下であ
る。
【0035】次に、本発明に係るCa−Fe系層状化合
物粒子粉末の製造法について述べる。
【0036】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末は、Ca化合物及びFe化合物の混合物を700〜
1100℃の温度範囲で加熱焼成して複合酸化物を得、
該複合酸化物を100℃以下の水で水和反応させCa−
Fe系ハイドロタルサイト型粒子粉末を得、次いで、当
該ハイドロタルサイト型粒子粉末を表面被覆した後、洗
浄、乾燥することにより得ることができる。
【0037】本発明におけるCa化合物としては、例え
ば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム
等の粒子粉末を用いることができる。
【0038】本発明におけるFe化合物としては、酸化
鉄粒子粉末、含水酸化鉄粒子粉末が使用できる。酸化鉄
粒子粉末としては、ヘマタイト粒子粉末、マグヘマイト
粒子粉末、マグネタイト粒子粉末等を用いることがで
き、含水酸化鉄粒子粉末としては、ゲータイト粒子粉
末、アカゲナイト粒子粉末、レピドクロサイト粒子粉末
等を用いることができる。
【0039】尚、複合酸化物の生成反応を促進するため
に、上記混合物中に炭酸アルカリ塩を含有させてもよ
い。
【0040】炭酸アルカリ塩としては、例えば、炭酸リ
チウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等であり、特に
好ましくは、炭酸ナトリウムである。また、炭酸アルカ
リ塩を混合する割合は、CaとFeの合計モル数に対し
て0.5〜10mol%が好ましい。
【0041】カルシウム化合物と鉄化合物の混合割合
は、Ca化合物が60〜80mol%、Fe化合物が2
0〜40mol%である。
【0042】前記カルシウム化合物粒子粉末、前記鉄化
合物粒子粉末及び炭酸アルカリ塩の混合は、ライカイ
機、ヘンシェルミキサー、サンドミル等による乾式混合
法、又は、湿式アトライター、ホモジナイザー等による
水等を媒体とした湿式混合法のいずれでもよい。なお、
湿式混合法による場合には、混合後、脱水・乾燥を行っ
ておくことが好ましい。
【0043】前記混合物の焼成温度は、700〜110
0℃である。700℃未満の場合には、Ca化合物とF
e化合物の反応性が不十分である。1100℃を超える
場合には、焼成によって生成する複合酸化物の水和反応
性が悪くなる。好ましくは、800〜1050℃であ
る。また、焼成雰囲気は、非酸化性あるいは酸化性のど
ちらでもよい。
【0044】前記加熱焼成後の複合酸化物の粉砕は、乾
式及び湿式のどちらでもよく、所望の板面径まで行うこ
とが好ましい。粉砕機としては、ライカイ機、ピン型ミ
ル、サンドミル、ハンマーミル、アトライター、スタン
プミル及びボールミル等を用いることができる。
【0045】複合酸化物を水和させる水溶液は、特に限
定されるものではないが、炭酸イオン(CO 2−)や
有害なアニオン(Cl、SO 2−)を含まない水溶
液が好ましい。
【0046】複合酸化物を水和する水溶液の温度は、1
0〜100℃が好ましい。
【0047】複合酸化物を水和する時間は、1〜24時
間が好ましい。
【0048】次いで、水和終了後のハイドロタルサイト
型粒子粉末を含有する懸濁液に、オキシカルボン酸、ジ
カルボン酸及びロジン化合物から選ばれる一種又は二種
以上を添加して表面被覆処理を行う。
【0049】オキシカルボン酸としては具体的には、酒
石酸、クエン酸等が挙げられ、また、ジカルボン酸とし
ては、セバシン酸、コハク酸、ロジン化合物としては、
KE−604、SPE−50(どちらも製品名、荒川化
学工業製)等が挙げられる。
【0050】表面被覆処理後、洗浄、乾燥することによ
り、Ca−Fe系層状化合物粒子粉末が得られる。
【0051】Mg、Tiを含有したCa−Fe系層状化
合物粒子粉末を得る場合には、Ca化合物、Fe化合物
と同時にMg化合物又はTi化合物並びにMg化合物と
Ti化合物の両方を混合し、次いで、前記加熱処理、水
和反応及び表面被覆を行うことにより得ることができ
る。
【0052】Mg化合物としては、塩基性炭酸マグネシ
ウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムなどを
用いることができる。Ti化合物としては、酸化チタ
ン、水和酸化チタンなどを用いることができる。
【0053】次に、本発明に係るCa−Fe系層状化合
物粒子粉末をハロゲンイオン捕捉剤として用いた塩素含
有樹脂成形物について述べる。
【0054】塩素含有樹脂としては、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリ
プロピレン、塩素化ポリエーテル等が挙げられる。前記
塩素含有樹脂を主体とする樹脂は、通常、塩素を20〜
80重量%程度含有している。
【0055】本発明における塩素含有樹脂成形物は、本
発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子粉末を20〜8
0重量%、好ましくは30〜50重量%、塩素含有樹脂
が80〜20重量%、好ましくは70〜50重量%から
なる。
【0056】なお、通常使用される滑剤、可塑剤、酸化
防止剤、各種安定剤等の添加剤を配合してもよい。
【0057】本発明に係るCa−Fe系層状化合物を用
いた塩素含有樹脂成型物は、塩素固定化率が50%以上
が好ましく、より好ましくは60%以上である。ここで
塩素固定化率とは、塩素含有樹脂成型物を加熱して分解
生成する全塩化水素の内、Ca−Fe系層状化合物粒子
粉末によって塩素固定化できる収率であり、塩素量で評
価していることから塩素固定化率としているものであ
り、後述する試験法によって測定できる。
【0058】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0059】Ca−Fe系層状化合物粒子粉末の粒子形
状は、電子顕微鏡写真から判断した。
【0060】Ca−Fe系層状化合物粒子粉末の板面径
は、電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示し
た。
【0061】BET比表面積は、BET法により測定し
た値で示した。
【0062】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末を構成する各元素の含有量は、「蛍光X線分析装置
3063M型」(理学電機(株)製)を使用し、JI
SK0119の「けい光X線分析通則」に従って測定し
た。
【0063】Ca−Fe系層状化合物粒子粉末の結晶相
の同定は、X線回折法により行い、「X線回折装置 R
AD−IIA」(理学電機(株)製)(測定条件:ター
ゲットFe、管電圧40kV、管電流25mA)を使用
し、回折角2θが20〜90°で測定した。
【0064】Ca−Fe系層状化合物粒子粉末の粒子の
厚みは、上記X線回折装置を使用し、ハイドロタルサイ
ト型粒子の(003)結晶面の回折ピーク曲線から、シ
ェラーの式を用いて計算した値で示した。
【0065】Ca−Fe系層状化合物粒子粉末の表面被
覆物の量、塩素含有量及びSO の含有量は、「カ
ーボン・サルファーアナライザー:EMIA−2200
(HORIBA製)」によって測定した。
【0066】塩素含有樹脂成型物の塩素固定化率は、下
記の方法によって求めた。塩素含有樹脂成形物70〜8
0mgを三菱化学(株)製燃焼試験装置QF−02型で
燃焼させた。燃焼条件は、700℃×7min、O
00ml/minとした。得られた残渣をイオン交換水
250mlに溶解して得られる溶解液を選別し、その濾
過液を試料液として、JIS K−0101に従って、
チオシアン酸水銀(II)吸光光度法により塩素イオン
(Cl)を定量し、百分率で示した。塩素の固定化率
S(%)は下記式により算出した。
【0067】S(%)=(C/T)×100 ただし、C:残渣中の塩素量(g)、T:塩素含有樹脂
成形物に含まれる塩素量(g)。
【0068】Ca−Fe系層状化合物粒子粉末の塩素含
有樹脂への分散性は、得られた樹脂組成物を目視観察
し、樹脂組成物1cm当たりの凝集物の状態を3段階
で評価した。 ○:凝集物粒子無し。 △:1〜10個の凝集粒子有り。 ×:10個以上の凝集粒子有り。
【0069】塩素含有樹脂成型物の熱安定性は下記の方
法によって求めた。塩素含有樹脂成形物(縦30×横3
0×厚み1mm)を180℃に設定した「ギアー式老化
試験機GPHH−201M型」(タバイエスペック
(株)製)に60min入れ、変色度合いを観察するこ
とで熱安定性を判定し、黒変しなかったものを○、樹脂
全体が黒変したものを×として評価した。
【0070】<Ca−Fe系層状化合物粒子粉末の製造
>ゲータイト粒子粉末22.2g(BET比表面積値2
0m/g、Fe=0.25molに相当)と炭酸カル
シウム粒子粉末75.1g(BET比表面積値0.4m
/g、Ca=0.75molに相当)をライカイ機を
用いて1時間混合した。得られた混合粉末を70gをア
ルミナ製るつぼに入れ、空気中、900℃で2時間マッ
フル炉で加熱処理した。加熱処理後の粒子粉末30gを
ライカイ機を用いて1時間粉砕した。得られた粒子粉末
はオリーブ色であった。
【0071】次いで内容積300mlのビーカに純水を
150ml入れ、撹拌しながら20℃に保持する。上記
で得られた粒子粉末20gを入れ、4時間撹拌する。更
に、クエン酸1gをビーカ内に添加して、15分間撹拌
する。次いで、このスラリーをブフナー漏斗を用いて脱
水した後、60℃で12時間乾燥し、黄色の粒子粉末を
得た。
【0072】得られた粒子粉末はX線回折測定の結果、
結晶相はハイドロタルサイト型であった。粒子形状は、
板状であり、平均板面径が0.75μm、厚みが0.0
43μmであった。
【0073】得られた粒子粉末の組成は、Ca71.4
mol%、Fe28.6mol%(組成比x=0.28
6)であり、クエン酸による被覆量は4.1%であっ
た。不純物としてClを20ppm、SOを60pp
m含有していた。
【0074】<塩素含有樹脂組成物の製造>平均重合度
1300のポリ塩化ビニル(塩素含有量56.8%,信
越化学工業(株)製)30gと上記で得られたCa−F
e系層状化合物粒子粉末25gと可塑剤としてフタル酸
ジオクチル(大八化学工業(株)製)15g、安定剤と
してステアリン酸カルシウム0.1部、ステアリン酸亜
鉛0.2部を混合した。
【0075】得られた混合物を熱間ロール機(2本ロー
ル,ロール幅0.5mm)を用いて、155℃で3分間
混練してシートを作製した。
【0076】このシートを縦150×横100×2枚切
断し、厚み1mmの型枠に入れ、熱プレス機で加熱(1
60℃、10kg/cm圧,2.5min)後、加圧
(50kg/cm、0.5min)した。次いで、こ
れを冷却プレス機(50kg/cm圧)で強制冷却
し、シート状のポリ塩化ビニル樹脂成形物を得た。この
シートを実体顕微鏡で観察した結果、分散性が良好であ
ること(3段階評価の○)を確認した。
【0077】上記ポリ塩化ビニル樹脂成形物の塩素固定
評価における塩素固定化率は60.3%であり、熱安定
性評価においても、黒変しなかった。
【0078】
【作用】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子粉末
は、原料粒子粉末を混合・加熱焼成し、得られた酸化物
を水和して得ることから、所望の組成を容易に得ること
ができ、また、製法上、有害な不純物を含有することが
無いため無害である。
【0079】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒子
粉末が分散性に優れることについて、本発明者は、原料
粒子粉末を混合・加熱焼成して適度な大きさと厚みを有
するCa−Fe酸化物を得、次いで、水和することによ
って、適度な粒子サイズを有するハイドロタルサイト型
粒子粉末が得られたこと及びハイドロタルサイト型粒子
粉末の粒子表面を被覆することにより、粒子間の凝集を
解きほぐし、独立した個々の粒子とすることができたこ
との相乗効果によるものと考えている。
【0080】
【実施例】次に、実施例及び比較例を示す。
【0081】実施例1〜11,比較例1〜5 Fe化合物及びCa化合物の配合組成、焼成条件、水和
条件、表面被覆条件を種々変化させた以外は、前記発明
の実施の形態と同様にしてCa−Fe系層状化合物粒子
粉末を得た。
【0082】この時の主要製造条件を表1及び表2に、
得られた粒子粉末の組成比を表3に、粒子粉末の諸特性
を表4に示した。尚、表2の被覆処理の種類に示した
「ロジンA」はKE−604(荒川化学工業製)、表4
の生成相に示した「HT」は結晶相がハイドロタルサイ
ト型粒子粉末であることをそれぞれ示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【発明の効果】本発明に係るCa−Fe系層状化合物粒
子粉末は、無害であって、分散性に優れていることか
ら、ハロゲンイオン捕捉剤として好適である。
【0088】また、本発明に係るCa−Fe系層状化合
物粒子粉末は、透明感のある黄色を呈し、無害であるこ
とから、そのまま化粧品用材料や食品添加剤などにも使
用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09C 1/04 C09C 1/04 3/10 3/10 Fターム(参考) 4G002 AA06 AB05 AE05 4G004 BA00 4J002 BB241 BD041 BD101 BE041 DE286 FA016 FB236 FB266 4J037 AA09 AA10 AA15 AA21 CB09 CC02 CC14 DD10 EE03 EE26 EE33 EE35 EE43 FF15 FF25

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均板面径が0.1〜3.0μm、厚み
    が0.01〜0.07μmであり、モル比でCa:Fe
    =1−x:xと示した場合にxが0.2<x<0.4で
    あるCa−Fe系ハイドロタルサイト型粒子粉末であっ
    て、該粒子粉末の粒子表面がオキシカルボン酸、ジカル
    ボン酸及びロジン化合物から選ばれる一種又は二種以上
    で被覆されているCa−Fe系層状化合物粒子粉末。
  2. 【請求項2】 平均板面径が0.1〜3.0μm、厚み
    が0.01〜0.07μmであって、モル比でCa:F
    e:Mg:Ti=1−x−y−z:x:y:zで示した
    場合に0.2<x<0.4、0<y<0.05、0<z
    <0.05を満たすCa−Fe系ハイドロタルサイト型
    粒子粉末であって、該粒子粉末の粒子表面がオキシカル
    ボン酸、ジカルボン酸及びロジン化合物から選ばれる一
    種又は二種以上で被覆されているCa−Fe系層状化合
    物粒子粉末。
  3. 【請求項3】 Ca化合物及びFe化合物の混合物を7
    00〜1100℃の温度範囲で加熱焼成して得られる複
    合酸化物を、100℃以下の水で水和反応させCa−F
    e系ハイドロタルサイト型粒子粉末を得、該粒子粉末を
    オキシカルボン酸、ジカルボン酸及びロジン化合物から
    選ばれる一種又は二種以上の表面被覆物によって表面被
    覆した後、洗浄、乾燥することを特徴とするCa−Fe
    系層状化合物粒子粉末の製造法。
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