JP2001011275A - 制振性に優れる熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

制振性に優れる熱可塑性樹脂組成物及びその成形品

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JP2001011275A
JP2001011275A JP11187906A JP18790699A JP2001011275A JP 2001011275 A JP2001011275 A JP 2001011275A JP 11187906 A JP11187906 A JP 11187906A JP 18790699 A JP18790699 A JP 18790699A JP 2001011275 A JP2001011275 A JP 2001011275A
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博 木谷
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裕 五十嵐
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃強度、剛性等の機械的強度や、成形流
動性等の成形加工性に優れ、制振性能、振動吸収性を要
する広い範囲の用途に使用し得る熱可塑性樹脂組成物及
びその成形品を提供する。 【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステル単量体10
〜90重量%と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル
単量体及び必要に応じて用いられるこれらと共重合可能
な他の単量体90〜10重量%とからなり、ガラス転移
点が40℃以上の共重合体(A)10重量部以下と、ス
チレン系樹脂(B)90重量部以下とを合計で100重
量部となるように配合してなる熱可塑性樹脂組成物。こ
の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱可塑性樹脂成形
品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた制振性を有
し、高剛性で、耐衝撃性及び加工性のバランスも良好で
あるため、制振材用として好適な熱可塑性樹脂組成物及
びこの熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱可塑性樹脂
成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活環境の快適化を求める動きが
盛んになり、生活環境にある機器からの振動抑制、騒音
の低減が求められている。特に、事務機、家庭電化製
品、音響機器等においては、更に高品質の音質が求めら
れている。また、生活様式の変化から冷蔵庫、洗濯機、
掃除機などの家庭電化製品が大型化し、それに伴ってこ
れらの電化製品の発する振動や騒音も大きなものとなっ
ていることから、これらの製品では、低振動、低騒音に
よる静粛性が商品の重要な性能の一つとなっている。こ
のため、これらの振動抑制に適した制振用樹脂部材の材
料樹脂として、充分な制振性、剛性と耐衝撃性を有し、
更には、昨今の環境意識が高まる中において、環境に配
慮したリサイクル性等に適応する樹脂が求められてい
る。
【0003】このような状況下において、PS樹脂、A
S樹脂(又は、SAN樹脂)、HIPS樹脂、ABS樹
脂、AAS樹脂、AES樹脂等に代表されるスチレン系
樹脂は、成形性、衝撃性、外観、耐候性等に優れ、必要
特性に応じてそれぞれの樹脂が選択されながら、上記製
品などに広く使用されているが、制振性能に乏しく、低
振動、低騒音を充分に達成できず、この点に関する改良
が切望されている。
【0004】一方、制振性能の高いプラスチックとし
て、ポリオレフィン系樹脂が知られているが、これら
は、成形時のソリの発生や、成形収縮率が大きい為に事
務機器などの高い寸法精度が要求される用途には不適当
であるなどの問題がある。この寸法精度面の対策として
無機充填剤を配合した材料が検討されているが、無機充
填剤の配合により、制振性能が悪化するという問題があ
る。
【0005】また、防振材料、制振材料としては、構造
自体に振動減衰性を有することが望ましいが、一般的に
構造体となり得るような、スチレン系樹脂などの剛性の
高い材料は、振動減衰率が小さく、逆に防振ゴムに代表
されるゴム組成物などの振動減衰率が大きい材料は、剛
性が低いといった二律背反の関係にあるため、構造体と
して制振性能がある樹脂組成物を使用することは困難で
あった。
【0006】この対策として、特開平6−41443号
公報には、アクリル酸エステル単量体及び/又はメタク
リル酸エステルと他の単量体からなるガラス転移点が0
℃以上の共重合体と他の熱可塑性樹脂とを混合すること
が提案されているが、この樹脂組成物は、ガラス転移点
が比較的低いアクリル酸エステル系共重合体を含有する
ことにより、組成物中に極めてゴムに近い性質を付与
し、その結果、制振性を発現させようとするものであ
る。従って、これらの組成物では、室温ないし高温環境
下での制振性はある程度得られるものの、剛性等の物性
が劣り、構造体としてなり難い上に、特に、人が不快感
を受ける高周波域での制振性が劣るなど、幅広い周波数
領域で安定な制振性能を得ることができないことから、
実用性に欠けるものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決し、耐衝撃強度、剛性等の機械的強度や、
成形流動性等の成形加工性に優れ、制振性能、振動吸収
性を要する広い範囲の用途に使用し得る熱可塑性樹脂組
成物、及び、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱
可塑性樹脂成形品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の制振性に優れる
熱可塑性樹脂組成物は、アクリル酸エステル単量体及び
/又はメタクリル酸エステル単量体10〜90重量%
と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体及び必
要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体
90〜10重量%とからなる共重合体であって、ガラス
転移点が40℃以上である共重合体(A)10重量部以
上と、スチレン系樹脂(B)90重量部以下とを含むこ
とを特徴とする(ただし、共重合体(A)とスチレン系
樹脂(B)との合計で100重量部とする。)。
【0009】即ち、本発明者らは、剛性が高く、構造体
として好適なスチレン系樹脂の制振性の改良について鋭
意検討した結果、上記配合の樹脂組成物とすることによ
り、優れた制振性が付与され、高剛性で、耐衝撃性及び
加工性のバランスも良好な制振材用熱可塑性樹脂組成物
が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】本発明において、スチレン系樹脂(B)
は、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体及び必
要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体
からなる共重合体(b−1)、及び/又は、ゴム質重合
体の存在下に芳香族ビニル及びシアン化ビニルを含む単
量体混合物を共重合させてなるゴム含有グラフト共重合
体(b−2)よりなることが好ましい。
【0011】本発明の熱可塑性樹脂組成物はまた、共重
合体(A)とスチレン系樹脂(B)との合計100重量
部に対して、無機充填剤(C)を5〜30重量部、更に
は、ポリオルガノシロキサン化合物(D)を0.01〜
10重量部配合してなることが好ましい。
【0012】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、共
重合体(A)10〜80重量部と、スチレン系樹脂
(B)90〜20重量部とを含むことが好ましく、スチ
レン系樹脂(B)は、共重合体(b−1)5〜85重量
%と、ゴム含有グラフト共重合体(b−2)95〜15
重量%とからなることが好ましい。
【0013】また、共重合体(A)及びスチレン系樹脂
(B)中のアクリル酸エステル単量体及び/又はメタク
リル酸エステル単量体からなる単量体単位の合計の含有
量(S)は、当該熱可塑性樹脂組成物中において10<
(S)<70(重量%)であることが好ましい。
【0014】本発明の制振性に優れる熱可塑性樹脂成形
品は、このような本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形し
てなるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0016】まず、本発明の熱可塑性樹脂組成物につい
て説明する。
【0017】本発明に係る共重合体(A)を構成するア
クリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸
n−ノニル、アクリル酸イソノニル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メ
タクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ノニル、メタ
クリル酸イソノニル、アクリル酸ペンチル、メタクリル
酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アク
リル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘ
キシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、
アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニルなどが挙
げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して
用いることができる。アクリル酸エステル単量体、メタ
クリル酸エステル単量体としては、これらのうち、特に
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルが好ましい。
【0018】上記アクリル酸エステル単量体及び/又は
メタクリル酸エステル単量体は、共重合体(A)中に1
0〜90重量%、好ましくは20〜90重量%、更に好
ましくは40〜80重量%含有される。この含有量が1
0重量%未満では、制振効果が低く、90重量%を超え
ると、制振性、耐衝撃性が共に悪化するので好ましくな
い。
【0019】また、共重合体(A)を構成する芳香族ビ
ニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、
パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特
にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、シ
アン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタ
クリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが
好ましい。これらの芳香族ビニル単量体、シアン化ビニ
ル単量体は、いずれも1種を単独で用いても2種以上を
併用して用いても良い。
【0020】共重合体(A)において、更に必要に応じ
て用いられるこれらと共重合可能な他の単量体として
は、マレイミド化合物、不飽和カルボン酸等が挙げら
れ、マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミ
ド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。不
飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、
イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの単量体
もまた、1種を単独で用いても2種以上を併用して用い
ても良い。
【0021】共重合体(A)中の芳香族ビニル単量体の
含有量は5〜40重量%、シアン化ビニル単量体の含有
量は1〜30重量%、他の単量体の含有量は20重量%
以下とするのが好ましい。
【0022】また、共重合体(A)のガラス転移点は4
0℃以上であり、好ましくは50℃以上であり、更に好
ましくは60℃以上である。ガラス転移点が40℃未満
の共重合体(A)を用いると、剛性が低下し、制振性の
改善効果が充分ではない。なお、本発明において、共重
合体(A)のガラス転移点は、示差熱走査熱量分析計
(DSC:セイコー電子社製)を用いて測定したもので
ある。
【0023】また、共重合体(A)の重量平均分子量
は、好ましくは10000〜250000であり、更に
好ましくは50000〜250000であり、特に好ま
しくは50000〜150000である。共重合体
(A)の重量平均分子量がこの範囲内であれば、一層の
制振性の改善効果を得ることができる。
【0024】本発明に係るスチレン系樹脂(B)は、芳
香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体及び必要に応
じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体からな
る共重合体(b−1)、及び/又は、ゴム質重合体の存
在下に芳香族ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混
合物を共重合させてなるゴム含有グラフト共重合体(b
−2)よりなる。
【0025】ここで、共重合体(b−1)は、芳香族ビ
ニル単量体とシアン化ビニル単量体と、更に必要に応じ
て用いられるこれらと共重合可能な他の単量体を共重合
してなる硬質重合体からなり、このうち芳香族ビニル単
量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメ
チルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチ
レン、α−メチルスチレンが好ましい。また、シアン化
ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリル
ニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好まし
い。他の単量体としては、アクリル酸エステル単量体、
メタクリル酸エステル単量体、マレイミド化合物、不飽
和カルボン酸が挙げられ、このうち、(メタ)アクリル
酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸
メチル等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステ
ルが挙げられ、マレイミド化合物としては、N−フェニ
ルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げ
られ、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これら
のビニル系単量体は、それぞれ1種を単独で或いは2種
以上を併用して用いることができる。
【0026】共重合体(b−1)中の芳香族ビニル単量
体の含有量は50〜85重量%、シアン化ビニル単量体
の含有量は15〜50重量%、他の単量体の含有量は2
5重量%以下とするのが好ましい。
【0027】また、共重合体(b−1)の重量平均分子
量は、好ましくは10000〜250000であり、更
に好ましくは50000〜250000であり、特に好
ましくは100000〜250000である。この範囲
内であれば、制振性だけではなく、高度な精密成形性が
得られ、樹脂成形品を適用した箇所への優れた装填性が
得られることから、より一層の制振性の改善効果が得ら
れる。
【0028】ゴム含有グラフト共重合体(b−2)は、ゴ
ム質重合体の存在下、芳香族ビニル単量体、シアン化ビ
ニル単量体と、必要に応じて用いられる他の単量体をグ
ラフト重合してなる共重合体及び/又はゴム質重合体に
グラフト重合させる上記単量体の単独又は共重合体との
混合物である。
【0029】ゴム含有グラフト共重合体(b−2)中の
ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエンと
共重合可能なビニル単量体との共重合体、アクリル酸エ
ステル重合体、アクリル酸エステル重合体と共重可能な
ビニル単量体との共重合体、エチレン−プロピレン又は
ブテン−非共役ジエン共重合体及びポリオルガノシロキ
サン等が挙げられる。
【0030】ここで、アクリル酸エステル重合体として
は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピ
ルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアク
リレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレ
ート、n−ヘキシルアクリレート2−メチルペンチルア
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オ
クチルアクリレートなどが挙げられ、また、エチレン−
プロピレン−非共役ジエン共重合体に含有されるジエン
としては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエ
ン、1,4−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエ
ン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル
−1,11−トリデカジエン、5−メチレン−2−ノル
ボルネンなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を
用いることができる。
【0031】ゴム質重合体としては、上記例示したもの
の中でも、特にアクリル酸エステル単量体をトリアリル
イソシアヌレート等の多官能架橋剤によって架橋させた
アクリル酸エステル系重合体が、低周波域から高周波域
まで全般的に制振性能を高めることができることから、
好ましく用いられる。
【0032】このゴム含有グラフト共重合体(b−2)
中のゴム含量は30〜70重量%が好ましい。ゴム含量
が30%未満では耐衝撃性に劣り、70%を超えると曲
げ弾性率が低下することから、好ましくない。
【0033】ゴム含有グラフト共重合体(b−2)にグ
ラフト重合するビニル系単量体は、芳香族ビニル単量体
とシアン化ビニル単量体と、必要に応じてこれらと共重
合可能な他の単量体であり、これらの芳香族ビニル単量
体とシアン化ビニル単量体と、更に必要に応じて用いら
れる共重合可能な他の単量体は、上述の共重合体(b−
1)に用いるビニル系単量体と同様な単量体が使用でき
る。
【0034】ゴム含有グラフト共重合体(b−2)中の
芳香族ビニル単量体の含有量は20〜50重量%、シア
ン化ビニル単量体の含有量は5〜25重量%、他の単量
体の含有量は25重量%以下とするのが好ましい。
【0035】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記共重
合体(A)10重量部以上とスチレン系樹脂(B)90
重量部以下とを合計で100重量部となるように含むも
のである。共重合体(A)が10重量部未満でスチレン
系樹脂(B)が90重量部を超えると制振効果が低くな
る。得られる成形品の耐衝撃性等の物性を考慮した場
合、好ましくは共重合体(A)は10〜80重量部でス
チレン系樹脂(B)が90〜20重量部、より好ましく
は共重合体(A)が25〜80重量部でスチレン系樹脂
(B)が75〜20重量部、更に好ましくは共重合体
(A)が45〜80重量部でスチレン系樹脂(B)が5
5〜20重量部、特に好ましくは共重合体(A)が55
〜75重量部でスチレン系樹脂が45〜25重量部であ
ることが望ましい。
【0036】また、スチレン系樹脂(B)は、共重合体
(b−1)5〜85重量%とゴム含有グラフト共重合体
(b−2)95〜15重量%とからなることが好まし
い。ここで共重合体(b−1)が5重量%未満では高周
波域での制振性能が低下し、85重量%を超えると全般
的に制振性が低下する。また、ゴム含有グラフト共重合
体(b−2)が15重量%未満では耐衝撃性が劣った
り、また、制振対策部材に適用する場合、ヒンジ効果が
得られず、挿入時割れたり、隣接部材との密着性に欠け
るものとなり、その結果、制振性が発揮できないことが
ある。また、95重量%を超えると曲げ弾性率が低下
し、構造体として成り立たない場合がある。
【0037】スチレン系樹脂(b)は、特に共重合体
(b−1)5〜85重量%とゴム含有グラフト共重合体
(b−2)95〜15重量%、更には共重合体(b−
1)15〜70重量%とゴム含有グラフト共重合体(b
−2)85〜30重量%、とりわけ共重合体(b−1)
30〜70重量%とゴム含有グラフト共重合体(b−
2)70〜30重量%とからなることが好ましい。
【0038】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、共重合体
(A)とスチレン系樹脂(b)との合計100重量部に
対して、無機充填剤(C)を5〜30重量部含むこと
が、より一層の制振性の向上効果の面で好ましい。
【0039】本発明に使用される無機充填剤(C)とし
ては、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、中
空ガラスビーズ、ガラスミルドファイバー、マイカ、タ
ルク、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、炭素繊維、
チタン酸カリウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、ホ
ウ酸アルミニウムウイスカー、ワラストナイト、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、これ
ら1種又は2種以上を用いることができる。無機充填剤
(C)として好ましいものは、炭酸カルシウム、マイ
カ、タルクであり、特に好ましくは炭酸カルシウム、タ
ルクである。
【0040】このような無機充填剤(C)は、共重合体
(A)とスチレン系樹脂(B)との合計100重量部に
対して、5〜30重量部、特に5〜25重量部、とりわ
け10〜25重量部配合するのが好ましい。この配合量
が5重量部未満では、制振性が充分ではなく、高精度成
形が必要な部品においては、十分な寸法精度が得られな
い。また、30重量部を超えると耐衝撃性が低下するだ
けでなく、制振性も低下することから好ましくない。
【0041】無機充填剤(C)の最も好ましい配合形態
は、炭酸カルシウム(C−1)とタルク(C−2)の組
み合わせからなるものであり、更に好ましくは炭酸カル
シウム(C−1)とタルク(C−2)との合計量中の炭
酸カルシウム(C−1)の含有量が50〜98重量%と
なるように併用添加するのが好ましい。
【0042】この場合、炭酸カルシウムの粒子径は微細
なものがよく、好ましくは1〜50μm、更に好ましく
は1〜40μmであり、特に好ましくは1〜30μmで
ある。また、炭酸カルシウムの形状としては、立体方位
体などよりも、針状が好ましい。
【0043】上記共重合体(A)とスチレン系樹脂
(B)とを合計で100重量部含む熱可塑性樹脂組成
物、好ましくは更に、この合計100重量部に対して、
無機充填剤(C)を5〜30重量部配合した熱可塑性樹
脂組成物であれば、制振性、各種物性ともに従来のスチ
レン系樹脂に比べて、大幅に改善されるが、本発明で
は、更に、共重合体(A)とスチレン系樹脂(B)との
合計100重量部に対して、ポリオルガノシロキサン化
合物(D)を0.01〜10重量部配合することによ
り、これら(A)〜(C)の3成分の配合による優れた
相乗効果が得られ、制振性を飛躍的に改善することがで
きる。
【0044】ここで、ポリオルガノシロキサン化合物
(D)としては、ポリシロキサン結合を有する重合体で
あればよく、その他構造上の制限はなく、例えば、ポリ
ジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリ
メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。コスト、入
手容易性の観点からはポリジメチルシロキサンが好まし
い。
【0045】また、ポリオルガノシロキサン(D)の粘
度としては、制振性能上特に制限はないが、25℃にお
ける粘度が100〜30000センチストークス、更に
500〜20000センチストークスであることが好ま
しく、特に500〜15000センチストークスである
ことが好ましい。この粘度が100センチストークス未
満の場合、制振性は良好なるものの、成形品にブリード
アウトや、射出成形した時にシルバーストリーク等が発
生し易くなることから好ましくなく、30000センチ
ストークスを超える場合、樹脂との混練が難しくなり、
均一な組成物を製造し難くなる。
【0046】ポリオルガノシロキサン化合物(D)の添
加量は、共重合体(A)とスチレン系樹脂(B)との合
計100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ま
しくは0.05〜5重量部、更に好ましくは0.1〜5
重量部であり、この配合量が0.01重量部未満では、
(A)、(B)、及び(C)の3成分配合による相乗効
果が得られず、10重量部を超えると、均一な樹脂組成
物が得難い上に、機械的物性が低下する。
【0047】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物におい
て、共重合体(A)及びスチレン系樹脂(B)中に含ま
れるアクリル酸エステル単量体及び/又はメタクリル酸
エステル単量体からなる単量体単位の合計量(以下
「(メタ)アクリル酸エステル単量体総含有量」と称
す。)(S)が、10<(S)<70重量%であること
が好ましく、更に20<(S)<60重量%、特に30
<(S)<60重量%であることが好ましい。この総含
有量が10重量%未満であると高周波での制振性は優れ
るものの、低周波においては制振性が低下しやすく、7
0重量%を超えると低周波での制振性が優れるものの、
高周波において制振性が低下しやすい。この総含有量が
10〜70重量%であると、周波数領域に関わらず、良
好な制振性が保持できる。
【0048】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、また、他
の熱可塑性樹脂と混合することによって更に任意の特性
を付与することができる。この場合、本発明の熱可塑性
樹脂組成物に加えられる他の熱可塑性樹脂としては、ナ
イロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、ナイロ
ン−46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等
の飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
フェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイ
ド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン、ゴム含有スチレン系樹脂、及びSAN樹脂等が挙
げられ、それぞれ1種を単独で或いは2種以上を混合し
て用いることができるが、好ましくは、相溶性の観点か
ら、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートの飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリメチルメタク
リレート樹脂の中から1種又は2種以上が選ばれる。
【0049】ここで、上記他の熱可塑性樹脂は、共重合
体(A)とスチレン系樹脂(B)との合計100部に対
して、11〜900重量部配合することができる。この
配合量が11重量部未満、又は、900重量部を超える
と、本発明の熱可塑性樹脂組成物と、他の熱可塑性樹脂
との相溶性が悪化して、物性の低下や層状剥離を引き起
こすので好ましくない。
【0050】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
更に難燃剤(E)を配合することにより、難燃性を付与
することができる。この難燃剤としては、一般のゴム、
樹脂などの重合体の難燃剤として用いられるものを使用
することができ、その例としては、ハロゲン含有化合
物、リン含有化合物、チッ素含有化合物、ケイ素含有化
合物などが挙げられる。
【0051】上記ハロゲン含有化合物としては、テトラ
ブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノール
A−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブ
ロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピ
ルエーテル)などのテトラブロモビスフェノールA誘導
体、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジ
フェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ビ
ス(トリブロモフェノキシ)エタン、ヘキサブロモシク
ロドデカンなどを挙げることができる。
【0052】モノブロモフェノール、トリブロモフェノ
ール、ペンタブロモフェノール、トリブロモクレゾー
ル、ジブロモプロピルフェノール、テトラブロモビスフ
ェノールなどを重合することにより、あるいはこれらと
上記ハロゲン含有化合物の群から選ばれた少なくとも1
種のハロゲン含有化合物とを共重合することにより得ら
れるオリゴマータイプのハロゲン含有化合物が挙げられ
る。
【0053】また、テトラブロモビスフェノールAのポ
リカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノー
ルAとビスフェノールAとのポリカーボネートオリゴマ
ー、テトラブロモビスフェノールSのポリカーボネート
オリゴマー、テトラブロモビスフェノールSとのポリカ
ーボネートオリゴマーなども挙げられる。更に、ハロゲ
ン化エポキシオリゴマーなども挙げられる。
【0054】上記リン含有化合物としては、有機系リン
含有化合物、赤リン、ホスフェゼン系化合物、ポリリン
酸アンモニウムなどが挙げられる。このうち、有機系リ
ン含有化合物としは、トリフェニルホスフェートに代表
されるホスフェート類、トリフェニルホスファイトに代
表されるホスファイト類などが挙げられる。これらの有
機系リン含有化合物は、1種を単独で、又は2種以上を
混合して用いてもよい。
【0055】有機リン系化合物として、特に、トリフェ
ニルホスフェート、トリフェニルチオホスフェート、ト
リキシレニルホスフェート、トリキシレニルチオホスフ
ェート、ハイドロキシノンビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノール(ジフェニルホスフェート)など
が好ましい。
【0056】上記チッ素含有化合物としては、トリアジ
ン、トリアゾリシン、尿素、グアニジン、アミノ酸、メ
ラミン及びその誘導体などが挙げられる。
【0057】上記ケイ素含有化合物としては、オルガノ
シロキサンに代表される有機シラン化合物、ポリシラン
などが挙げられる。
【0058】上記難燃剤(E)の配合量は、共重合体
(A)とスチレン系樹脂(B)との合計100重量部に
対して3〜50重量部、好ましくは5〜40重量部とさ
れる。この配合量が3重量部未満では難燃性の付与が不
充分であり、50重量部を超えると耐衝撃性の低下が著
しくなり、好ましくない。
【0059】また、上記難燃剤(E)の効果を更に高め
る為に、アンチモン含有化合物を併用することができ
る。アンチモン含有化合物としては、三酸化アンチモ
ン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン
酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0060】更に、燃焼時の炎の滴下防止の為に、耐ド
リップ防止剤を添加することができる。この耐ドリップ
防止剤としては、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル樹
脂、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
【0061】本発明の樹脂組成物には、必要に応じて顔
料、染料、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止
剤、補強剤、充填剤など各種添加剤をその物性等を損な
わない範囲内に配合することができる。
【0062】これら各構成成分を混合して本発明の熱可
塑性樹脂組成物を製造する方法としては、特に制限はな
いが、溶融混練りが好ましく、例えば、押出機、バンバ
リーミキサー等を用いて行うことができる。
【0063】このような本発明の熱可塑性樹脂組成物を
成形して本発明の熱可塑性樹脂成形品を製造する方法と
しては、特に制限はなく、射出成形、ブロー成形、異形
押出成形、又は、シート状に押出した後、真空成形、圧
空成形するなどの各種の成形方法が適用できる。
【0064】本発明の熱可塑性樹脂成形品は、制振性だ
けでなく、耐衝撃性、剛性、成形加工性に優れることか
ら、この性能を生かした用途に広く用いることができ
る。
【0065】
【実施例】以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて
本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を
超えない限り、以下の実施例により何ら限定されるもの
ではない。なお、以下において、部は重量部を意味する
ものとし、また、共重合体(A)、共重合体(b−1)
の重量平均分子量は、東ソー(株)製:GPC(ゲル・
パーミエ−ション・クロマトグラフィー)を用いた標準
ポリスチレン換算法にて算出した。
【0066】合成例1〜6:共重合体(A−1)〜(A
−6)の製造 表1に示す割合にて、表1に示す重量平均分子量の(メ
タ)アクリル酸エステル系共重合体(A−1)〜(A−
6)を公知の乳化重合により合成した。得られた共重合
体のガラス転移点Tgを示差熱走査熱量分析計(DS
C:セイコー電子製)を用いて測定し、その値を表1に
示した。
【0067】
【表1】
【0068】合成例7:共重合体(b−1−1)の製造 窒素置換した反応器に水120部、アルキルベンゼンス
ルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール
0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部と、アクリ
ロニトリル30部、及びスチレン70部からなるモノマ
ー混合物を加え、開始温度60℃として5時間加熱後、
120℃に昇温し、4時間反応後、重合物を取り出し
た。重合物の重量平均分子量は、166000であっ
た。
【0069】合成例8:共重合体(b−1−2)の製造 単量体として、アクリロニトリル20部、スチレン30
部、α−メチルスチレン10部、メタクリル酸メチル3
0部、N−フェニルマレイミド10部を用いたこと以外
は、合成例7と同様に合成した。重合物の重量平均分子
量は、123000であった。
【0070】合成例9:ゴム含有グラフト共重合体(b
−2−1)の製造 以下の配合にて、乳化重合法によりABS共重合体を合
成した。
【0071】 [配合] スチレン(ST) 30部 アクリロニトリル(AN) 10部 ポリブタジエン・ラテックス 60部 不均化ロジン酸カリウム 1部 水酸化カリルム 0.03部 ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.1部 クメンハイドロパーオキサイド 0.3部 硫酸第一鉄 0.007部 ピロリン酸ナトリウム 0.1部 結晶ブドウ糖 0.3部 蒸留水 190部 オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水
酸化カリウム及びポリブタジエン・ラテックスを仕込
み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウ
ム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままS
T、AN、t−DM及びクメンハイドロパーオキサイド
を2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1
時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たA
BSラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸によ
り凝固し、十分水洗後、乾燥してABSグラフト共重合
体(b−2−1)を得た。
【0072】合成例10:ゴム含有グラフト共重合体
(b−2−2)の製造 ポリブチルアクリレートゴム(架橋剤としてトリアリル
イソシアヌレートを用いて架橋したもの)60部の存在
下、アクリロニトリル10部、スチレン30部を反応さ
せたこと以外は、合成例9と同様にしてAASグラフト
共重合体(b−2−2)を得た。
【0073】なお、その他に比較のために、一般ABS
樹脂(宇部サイコン(株)製:T)を使用した。また、
(C)成分として、炭酸カルシウム(C−1)(日東粉
化工業製:CACO NS1000、平均粒子径:1.
17μm)、タルク(C−2)(日本タルク社製:SI
MGON)、(D)成分として、ジメチルシロキサン
(東レダウコーニング社製:SH200:25℃におけ
る粘度10000センチストークス)を使用した。
【0074】実施例1〜6、比較例1〜5 各重合体を表2,3に示す割合にて、0.5重量部の滑
剤(日本油脂(株)製:PRN−208)と共に混練し
た後、220℃で2軸押出機(東芝(株)製:TEX−
44)にて溶融混合し、ペレット化した。混練により得
られた熱可塑性樹脂組成物中の(メタ)アクリル酸エス
テル単量体総含有量(S)は、表2,3に示す通りであ
る。このペレットを4オンス射出成形機(日本製鋼
(株)製)で240℃にて成形し、必要なテストピース
を作成し、それぞれ次のような評価を行い、結果を表
2,3に示した。
【0075】[メルトフローインデックス] ASTM−D1238 (220℃/10kg) (g
/10min) [アイゾット衝撃強度] ASTM−D256 (常温) (Kg・cm/cm) [曲げ弾性率] ASTM−D790 (常温) (Kg/cm2) [制振性]下記測定装置を用い、JIS G 0602
に規定する中央支持加振法にて下記条件にて機械インピ
ーダンスを測定し、半値幅法によって損失係数を算出し
た。 測定装置:松下インターテクノ(株)製、制振性評価装
置 条件 :20℃における各周波数(100、500、
1200、2500Hz)での損失係数を測定。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】表2,3より次のことが分かる。
【0079】実施例1〜6の結果から明らかなように、
本発明の範囲内であれば、良好な機械的特性と制振性が
得られる。また、実施例3〜6の結果から明らかなよう
に、ポリオルガノシロキサン化合物(D)成分を混合す
ることによって、より一段と制振性能が向上し、また、
無機充填剤(C)が炭酸カルシウムとタルクからなり、
更にポリオルガノシロキサン化合物(D)を混合する
と、共重合体(A)の組成に関わらず、優れた相乗効果
で低周波域から高周波域まで良好な制振性が得られる。
【0080】一方、比較例1より明らかなように、共重
合体(A)と、共重合体(b−1)及びゴム含有グラフ
ト共重合体(b−2)よりなるスチレン系樹脂(B)の
混合割合が、本発明の範囲外であると、制振性が得られ
ないか、機械的特性(耐衝撃性又は剛性)が低下する。
また、比較例2より、共重合体(A)のガラス転移点が
低いと制振性が低下し、物性のバランスも劣るものとな
る。また、比較例3より、共重合体(A)のメタクリル
酸メチル含有量が多いと機械的特性(耐衝撃性又は剛
性)が低下する。
【0081】比較例4より、無機充填剤(C)が多過ぎ
ると、共に制振性が低下することがわかる。
【0082】また、比較例5より、一般ABS樹脂で
は、物性は良好なるものの、制振性が極めて悪いことが
確認できる。
【0083】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の制振性に優
れる熱可塑性樹脂組成物は、特定の(メタ)アクリル酸
エステル単量体を含む共重合体、スチレン系樹脂、更に
は無機充填剤やポリオルガノシロキサン化合物を用いる
ことで、従来のスチレン系樹脂やゴム質重合体を含む熱
可塑性樹脂組成物の欠点を改良した画期的な優れた成形
材料であり、制振性に優れるだけでなく、耐衝撃性、剛
性、成形加工性が高度の状態で良好なバランスを示すも
のである。従って、本発明の熱可塑性樹脂組成物は各種
成形材料として工業的な実用価値は極めて大きい。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 33/06 83:04) Fターム(参考) 3J048 BD01 BD04 EA07 4J002 BC04W BC06X BC08W BC09W BC11W BG04W BG05W BG10W BG11W BN06X BN12X BN14X BN15X CP033 DA026 DE076 DE106 DE136 DE236 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DK006 DL006 FA046 FD016 FD130 GM00 GN00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸エステル単量体及び/又はメ
    タクリル酸エステル単量体10〜90重量%と、芳香族
    ビニル単量体、シアン化ビニル単量体及び必要に応じて
    用いられるこれらと共重合可能な他の単量体90〜10
    重量%とからなる共重合体であって、ガラス転移点が4
    0℃以上である共重合体(A)10重量部以上と、スチ
    レン系樹脂(B)90重量部以下とを含む制振性に優れ
    る熱可塑性樹脂組成物(ただし、共重合体(A)とスチ
    レン系樹脂(B)との合計で100重量部とする。)。
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂(B)が、芳香族ビニル
    単量体、シアン化ビニル単量体及び必要に応じて用いら
    れるこれらと共重合可能な他の単量体からなる共重合体
    (b−1)、及び/又は、ゴム質重合体の存在下に芳香
    族ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物を共重
    合させてなるゴム含有グラフト共重合体(b−2)より
    なる請求項1に記載の制振性に優れる熱可塑性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 共重合体(A)とスチレン系樹脂(B)
    との合計100重量部に対して、無機充填剤(C)を5
    〜30重量部配合してなる請求項1又は2に記載の制振
    性に優れる熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 共重合体(A)とスチレン系樹脂(B)
    との合計100重量部に対して、ポリオルガノシロキサ
    ン化合物(D)を0.01〜10重量部配合してなる請
    求項1ないし3のいずれか1項に記載の制振性に優れる
    熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 共重合体(A)10〜80重量部と、ス
    チレン系樹脂(B)90〜20重量部とを含む請求項1
    ないし4のいずれか1項に記載の制振性に優れる熱可塑
    性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 スチレン系樹脂(B)が、共重合体(b
    −1)5〜85重量%と、ゴム含有グラフト共重合体
    (b−2)95〜15重量%とからなる請求項2ないし
    5のいずれか1項にに記載の制振性に優れる熱可塑性樹
    脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる制振性に優れる熱
    可塑性樹脂成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019119888A (ja) * 2017-12-29 2019-07-22 ロッテ アドバンスト マテリアルズ カンパニー リミテッド ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物およびこれから成形される成形品
JP2020514439A (ja) * 2016-12-30 2020-05-21 ロッテ アドバンスト マテリアルズ カンパニー リミテッド 熱可塑性樹脂組成物

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