JP2001010061A - 液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工方法および液体噴射記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工方法および液体噴射記録ヘッドの製造方法

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JP2001010061A
JP2001010061A JP18289299A JP18289299A JP2001010061A JP 2001010061 A JP2001010061 A JP 2001010061A JP 18289299 A JP18289299 A JP 18289299A JP 18289299 A JP18289299 A JP 18289299A JP 2001010061 A JP2001010061 A JP 2001010061A
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Jun Koide
小出  純
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オリフィスプレートにマスクプレートを密着
させてマスクプレート側からのレーザビームの照射によ
って吐出ノズルを加工する際に、オリフィスプレートと
マスクプレートの相対位置合わせを効率良くかつ容易に
行なうことができる液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加
工方法を提供する。 【解決手段】 無色透明な石英基板の紫外線レーザが入
射する反対面に蒸着した誘電体全反射ミラーコーティン
グ層を吐出口にあわせてエッチング除去してパターン1
1を形成したマスクプレート1を、オリフィスプレート
2に密着させ、投影レンズ102と撮像素子103によ
り、マスクプレート1のパターン11をマスクプレート
1を介する可視光透過で観察し、記録ヘッド本体3の液
流路を透明樹脂製のオリフィスプレート2を介する可視
光透過により観察し、オリフィスプレート2の加工位置
とマスクプレート1のパターン11をアライメントす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録液等の液滴を
飛翔させて記録媒体上に液滴を付着させる液体噴射記録
ヘッドにおける吐出ノズルを紫外線レーザにより昇華加
工する吐出ノズル加工方法に関するものであり、さら
に、液体噴射記録ヘッドの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】インク等の記録液の液滴を飛翔させて記
録媒体上に液滴を付着させる液体噴射記録装置(インク
ジェットプリンタ)において、印刷品質は記録液を吐出
する部分であるノズル部分の特性に大きく依存してお
り、このノズル部分の特性は、ノズル径のばらつきやノ
ズルの形状によってほぼ決定される。このノズルを形成
する方法としては、大きくは2つの方法が用いられてお
り、金属プレートを用いる電鋳法もしくは放電加工法に
より形成する方法と、有機高分子樹脂材料をエキシマレ
ーザに代表される紫外線レーザ等の高エネルギーレーザ
で昇華(アブレーション)加工する方法が提案されてい
るが、現在では、後者の紫外線レーザ加工方法を用いて
微細加工する方法が一般的となっている。
【0003】この紫外線レーザ加工方法においては、フ
ォトマスクを光学的に投影して被加工物であるワークに
結像して加工を行なう方法がとられており、このマスク
投影系を用いる場合、加工する吐出ノズルは加工方向に
先細りの形状でしか加工できず、さらに、有機高分子樹
脂材料を昇華加工する好適なレーザのエネルギー密度で
加工を行なうと、レーザの入射側からレーザの出射側に
かけて加工面積が徐々に減少するいわゆるテーパ形状の
加工特性となる。また、液体噴射記録ヘッドの印刷品質
を上げるために要求されるノズル形状が記録液の吐出側
に先細りのテーパ形状であるため、レーザの加工方法と
しては、記録液の供給側からのレーザ照射によって行な
われ、すなわち、吐出ノズルを形成する吐出口形成プレ
ートは、吐出ノズルを加工形成した後に、記録液を供給
する部材に結合する工程が取られてきた。
【0004】しかしながら、吐出ノズル長は、印刷品質
上、約数10μmから約100μmの長さが要求され、
吐出口形成プレートの厚みも当然のことながら同様の厚
みを有するため、この吐出口形成プレートは非常に薄く
変形しやすい部材であり、吐出口形成プレートに対し液
供給側からレーザ加工しなければならず、そして、吐出
ノズルを加工形成した後に記録液を供給する部材に結合
しなければならないために、結合後、吐出口形成プレー
トがストレス変形を起こし、同一方向に整列した複数の
吐出ノズルが形成できず、記録液の吐出方向がばらばら
になってしまい、印刷品質を劣化させてしまうという問
題点があった。
【0005】そこで、このような問題点を解決するため
に、液体噴射記録ヘッドを組み立てた後に、吐出ノズル
を加工形成する方法が提案されている。例えば、特公平
6−24874号公報には、吐出口形状のパターンが形
成されたマスクプレートを吐出口形成プレートに密着さ
せた形で光ビームを照射し、密着させたマスクプレート
と吐出口形成プレートに光ビームが斜入射するように、
揺動またはピボット回転運動をさせて、光ビームの入射
方向に加工が進行することによって、吐出口形成プレー
トの液吐出側に先細りのテーパ形状の吐出ノズルを形成
する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、前
述した特公平6−24874号公報に記載された方法に
おいては、マスクプレートと吐出口形成プレートを経時
的に光ビームに対して傾ける運動をさせるため、加工開
始状態と加工終了状態によって、つまり、加工の経時的
動作過程によって、液吐出方向軸に対して対称なテーパ
形状を加工することが困難となり、結果的に、個々の液
体噴射記録ヘッドにおいて、記録液の吐出が安定して一
定均一な方向に飛翔させることが難しいという問題点が
ある。
【0007】また、マスクパターンの全体(すなわち、
配列された多数の吐出ノズル)を一括で加工することは
できるが、マスクプレートと吐出口形成プレートを経時
的に光ビームに対して傾ける運動をさせるため、加工時
間が運動動作の時間によって制限され、加工時間が長く
かかり、生産性として不利となるという問題点もある。
【0008】そこで、前述した問題点を解決すべく、本
出願人は、先に、特願平10−182407号出願にお
いて、液体噴射記録ヘッドの吐出口が一次元配列で複数
個または複数個の配列が複数列形成される吐出口形成プ
レートの外面に、形成しようとする吐出口の形状がパタ
ーニングされたマスクプレートを密着させ、マスクプレ
ート面の垂直軸に対して所定角度傾いた方向でかつ回転
対称な方向から複数の高エネルギー紫外線レーザの平行
ビームを同時に照射することによって、吐出口形成プレ
ートに吐出ノズルを昇華加工形成する方法を提案した。
【0009】この方法によって形成される吐出ノズル
は、液吐出方向軸に対して対称な形状であって、吐出口
形成プレートの液吐出側に部分的にまた全体が先細りの
テーパ形状に形成でき、そして、短時間で多数配列され
る吐出ノズルを一括加工することができる。
【0010】しかしながら、前述した加工方法において
も、マスクプレートを吐出口形成プレートに密着配置さ
せる際には、マスクプレートのパターン位置を吐出口形
成プレートの所定の加工位置に位置合わせしなければな
らないけれども、この両者の相対的な位置合わせは容易
にかつ効率良く行なうことができず、吐出ノズルの位置
精度を向上させることが困難であった。
【0011】そこで、本発明は、前述した従来技術の有
する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、吐出
口形成プレートの液吐出側からのレーザビームの照射に
よるレーザ加工によって、液吐出側に先細りのテーパ形
状の吐出ノズルを加工形成する際に、密着させる吐出口
形成プレートとマスクプレートの相対位置合わせを容易
にかつ効率良く行なうことができ、吐出ノズルの位置精
度を向上させることができる液体噴射記録ヘッドの吐出
ノズル加工方法および液体噴射記録ヘッドの製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工方法
は、液体噴射記録ヘッドの吐出口形成プレートの液吐出
側に、形成しようとする吐出口の形状がパターニングさ
れたマスクプレートを密着させ、該マスクプレート側か
ら高エネルギー紫外線レーザビームを照射することによ
って、前記吐出口形成プレートに吐出ノズルを昇華加工
形成する液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工方法にお
いて、前記マスクプレートは、無色透明な石英を基板材
質として、該石英基板に紫外線レーザの波長に合わせた
誘電体全反射ミラーコーティングを施し、該全反射ミラ
ーコーティング層を吐出口の形状にあわせてエッチング
除去してパターンを形成したものを用い、吐出ノズルを
加工する前記吐出口形成プレートの所定加工位置と前記
マスクプレートのパターン位置のアライメントを可視光
による観察により行なうことを特徴とする。
【0013】本発明の液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル
加工方法において、前記可視光による観察は、前記マス
クプレートのパターンを該マスクプレートの石英基板を
介する可視光透過で観察し、前記吐出口形成プレートを
可視光透明樹脂で構成し、該吐出口形成プレート奥の液
流路を該吐出口形成プレートを介する可視光透過で観察
することによって行なうことが好ましい。
【0014】本発明の液体噴射記録ヘッドの製造方法
は、液体噴射記録ヘッド全体を構成する各部材の内、少
なくとも吐出口形成プレートと該吐出口形成プレートを
保持する部材が結合された後に、吐出口形成プレートの
液吐出側に、形成しようとする吐出口の形状がパターニ
ングされたマスクプレートを密着させ、該マスクプレー
ト側から高エネルギー紫外線レーザビームを照射し、前
記吐出口形成プレートに吐出ノズルを昇華加工形成する
液体噴射記録ヘッドの製造方法において、前記マスクプ
レートは、無色透明な石英を基板材質として、該石英基
板に紫外線ビームの波長に合わせた誘電体全反射ミラー
コーティングを施し、該全反射ミラーコーティング層を
吐出口の形状にあわせてエッチング除去してパターンを
形成したものを用い、吐出ノズルを加工する前記吐出口
形成プレートの所定加工位置と前記マスクプレートのパ
ターン位置のアライメントを可視光による観察により行
なうことを特徴とする。
【0015】本発明の液体噴射記録ヘッドの製造方法に
おいて、前記可視光による観察は、前記マスクプレート
のパターンを該マスクプレートの石英基板を介する可視
光透過で観察し、前記吐出口形成プレートを可視光透明
樹脂で構成し、該吐出口形成プレート奥の液流路を該吐
出口形成プレートを介する可視光透過で観察することに
よって行なうことが好ましい。
【0016】
【作用】本発明によれば、液体噴射記録ヘッドの吐出口
形成プレートの液吐出側に、形成しようとする吐出口の
形状がパターニングされたマスクプレートを密着させ、
該マスクプレート側から高エネルギー紫外線レーザビー
ムを照射することによって、吐出口形成プレートに吐出
ノズルを昇華加工形成する液体噴射記録ヘッドの吐出ノ
ズル加工方法において、マスクプレートは、無色透明な
石英を基板として、該基板の紫外線ビームが入射する反
対面(すなわち、吐出形成プレートに密着する面)に、
紫外線レーザの波長に合わせた誘電体全反射ミラーコー
ティングを施し、該全反射ミラーコーティング層を吐出
口形状にあわせてエッチング除去してパターンを形成し
たものを用い、吐出ノズルを加工する吐出口形成プレー
トの所定加工位置とマスクプレートのパターン位置のア
ライメントを可視域光による観察により行なうようにす
ることによって、吐出口形成プレートに密着配置される
マスクプレートのパターンの位置を容易にかつ効率良く
アライメントできるようになり、吐出ノズルの加工位置
精度を大きく向上させることができる。
【0017】また、吐出口形成プレートの液吐出側から
のレーザ加工によって、液吐出方向軸に対して対称な形
状でかつ液吐出側に向かって部分的にまた全体が先細り
のテーパ形状であり、なおかつ液吐出側の開口径を均一
にする吐出ノズルを形成することができ、そして、短時
間で多数の吐出ノズルを一括加工することができる。
【0018】さらに、液体噴射記録ヘッドを組立てた後
の最終工程で吐出ノズルを加工形成することが可能とな
ることで、吐出口形成プレートの組立て結合による変形
に起因する液吐出方向の非等方向性が解消され、かつ、
吐出口形成プレートの液吐出側に先細りのテーパー形状
が形成できることによって、液滴の吐出方向が一定方向
に安定し、吐出する液滴の飛翔スピードが向上し、液体
噴射記録ヘッドの印刷品質が格段に向上するとともに高
速印刷が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0020】図1は、本発明の液体噴射記録ヘッドの吐
出ノズル加工方法を示す概略図であり、以下に、本発明
の吐出ノズル加工方法を詳細に説明する。
【0021】図1において、1は形成しようとする吐出
口の形状に対応するパターン11が形成されたマスクプ
レート、2は吐出ノズル21が形成される吐出口形成プ
レート(以下、オリフィスプレートともいう)、3はオ
リフィスプレート2を結合する液体噴射記録ヘッド本体
である。吐出ノズル21は、オリフィスプレート2を液
体噴射記録ヘッド本体3に組み立て結合した状態の液体
噴射記録ヘッドのオリフィスプレート2に対して、液吐
出側から高エネルギー紫外線レーザビームA,B,C,
Dが照射されることにより加工形成される。これらのレ
ーザビームA,B,C,Dは、あらかじめオリフィスプ
レート2に密着されたマスクプレート1の垂線に対して
それぞれ異なる方向に傾いており、レーザビームA,
B,C,Dの重ね合わせ位置はマスクプレート1のパタ
ーン部分に定められている。
【0022】ここで、各レーザビームA,B,C,Dの
マスクプレート1への照射方向を詳細に述べると、図2
に示すようなxyz座標系を設定した場合、図3に示す
方向、すなわち、各レーザビームは、yz平面への射影
においては、y軸(吐出ノズル21の配列方向)に対し
て各45度の角度(各レーザビーム同士の角度が90
度)を基準状態とし、x軸(マスクプレート1の垂直方
向)に対して同一の傾斜角度θをなすような方向から照
射される。なお、角度θは加工するオリフィスプレート
2の厚さやレーザビームのエネルギー密度によって設計
角度が設定されるが、おおよそ5度から20度の角度に
設定されるものであり、本実施例では15度としてい
る。
【0023】次に、本発明に用いるマスクプレート1の
構成とその製造工程について図4を参照して説明する。
【0024】図4の(a)に示すようにマスクプレート
1の基材としては、無色透明の合成石英板材を所定大き
さに切断した石英基板15を用い、この石英基板15に
おいてオリフィスプレートの吐出ノズル加工時にオリフ
ィスプレートに密着させる側(すなわち、紫外線レーザ
が入射する反対面)(図中上面)に、レーザ加工時に照
射される紫外線レーザの波長に合わせた誘電体多層干渉
膜を蒸着またはスパッタリング工程によってコーティン
グを施し、全反射ミラーコーティング層16を形成し
(同図(b))、その後、全反射ミラーコーティング層
に不図示のレジストパターニングを施した後、全反射ミ
ラーコーティング層16の層厚分を除去するプラズマ照
射によるエッチングを施して吐出口形状に対応するパタ
ーン11を形成し、レジストを除去することにより、同
図(c)に示すようなマスクプレート1が作製される。
【0025】このように作製されるマスクプレート1を
用いてレーザ加工する際に、マスクプレート1に照射さ
れる紫外線レーザは、マスクパターン11のみを透過
し、そのほとんどが反射されるために、マスクプレート
自体にレーザの吸収が起こらず、マスクプレートの熱膨
張や熱変形が生じることがなく、高精度の加工を行なう
ことができ、さらに、マスクプレート自体の耐久性も増
す。
【0026】また、吐出ノズルのレーザ加工において
は、液体噴射記録ヘッド本体3に結合されたオリフィス
プレート2とこのオリフィスプレート2に密着されたマ
スクプレート1を、一体として、加工開始から終了まで
の間に、紫外線レーザビームの照射領域に対して吐出ノ
ズルを形成する配列方向(図1に示す矢印方向H)に往
復移動させることによって、吐出ノズルを加工する紫外
線レーザビームの照射分布のむらを積分効果により加工
形成される各吐出ノズルに対して同一条件で同等に照射
することが可能となり、複数の吐出ノズルは全て均一な
形状で加工される。
【0027】以上のように、液体噴射記録ヘッド本体3
に結合されたオリフィスプレート2にマスクプレート1
を密着させ、マスクプレート側から4つのx軸に対する
軸対称方向からの紫外線レーザの平行ビームA,B,
C,Dを同時に照射し、そして、密着されたマスクプレ
ート1とオリフィスプレート2をレーザ照射領域に対し
て往復移動させることによって、オリフィスプレート2
の厚み方向において、各レーザビームの進行方向に昇華
加工されることによって、液吐出方向に先細りのテーパ
形状を有した複数の吐出ノズル21が形成される。
【0028】なお、このように加工される吐出ノズル2
1の形状は、回転対称な切断円錐形状となるのではな
く、4つのx軸に対する軸対称方向からのレーザ照射加
工であるため、液吐出側においては円錐状であって、記
録液の供給側においては4つの円が放射状に重なった略
四角形の形状であり、オリフィスプレート2の厚み方向
において、徐々に円形から略四角形に変化する形状に形
成される。
【0029】次に、本発明に係る吐出ノズル加工方法に
おけるマスクプレートとオリフィスプレートの相対位置
のアライメント方法について図5を参照して説明する。
【0030】液体噴射記録ヘッド本体3に組み立て結合
されたオリフィスプレート2とマスクプレート1は、上
述したレーザ加工を行なう場所とは別の場所にて、重ね
合わされ、そして、マスクプレート1のパターン11と
液体噴射記録ヘッド本体3の液流路31(図6を参照の
こと)の位置をアライメントする。先ず、マスクプレー
ト1とオリフィスプレート2を重ね合わせて密着させた
状態で、黒体輻射ランプ104の照明下で、投影レンズ
102を介して、CCD等の撮像素子103で液体噴射
記録ヘッド本体3の液流路31を観察する。このとき、
マスクプレート1は、無色透明な石英基板に、照射する
紫外線レーザの光波長に合わせた誘電体多層干渉膜をコ
ーティングしたもので形成されているため、紫外線レー
ザの波長以外では無色透明である。また、オリフィスプ
レート2は可視光にてほぼ無色透明な樹脂(本実施例で
は、ポリサルフォン)を用いているため、マスクプレー
ト1の外側から可視光で観察する場合、液体噴射記録ヘ
ッド本体3の液流路31が観察できることとなる。次
に、投影レンズ102のピント位置を少しずらし、マス
クプレート1のパターン11を観察する。このとき、パ
ターン11はオリフィスプレート側にあり、無色透明な
石英基板からなるマスクプレート1を介する可視光透過
で観察することになる。ここで、パターン11と液流路
31の両者を観察できることで、先ず、液流路31の位
置を確認しておき、その位置に対してパターン11が適
切な位置に来るようにアクチュエータ101を駆動させ
てマスクプレート1の位置を調節する。マスクプレート
1を適切な位置に移動させた後に、不図示のグリッパー
でマスクプレート1と液体噴射記録ヘッド本体3を相対
的に動かないように固定する。このように液体噴射記録
ヘッド本体3の液流路31とマスクプレート1のパター
ン11の位置をアライメントして固定されたマスクプレ
ート1とオリフィスプレート2を含む液体噴射記録ヘッ
ド本体3は、レーザ加工装置の所定位置に移動され、レ
ーザ加工が行なわれる。これにより加工される吐出ノズ
ルの位置精度を大きく向上させることができる。
【0031】次に、上述の吐出ノズル加工方法が適用さ
れる液体噴射記録ヘッドについて、図6を参照して説明
する。
【0032】図6において、33は基板であり、この基
板33上には記録液を吐出するための電気熱変換素子や
電気機械変換素子等の液吐出圧発生素子34が設けられ
ている。この液吐出圧発生素子34は吐出ノズル21に
連通する液流路31内に配されており、個々の液流路3
1は共通液室32に連通している。この共通液室32に
は液供給管(不図示)が接続され、記録液タンクより液
供給管を介して記録液が供給される。また、35は液流
路31および共通液室32を形成するための凹部を有す
る天板であり、この天板35は、基板33と接合される
ことで、液流路31と共通液室32を形成する液体噴射
記録ヘッド本体3を構成する。さらに、液体噴射記録ヘ
ッド本体3の液流路端部側には吐出ノズル21を備える
オリフィスプレート2が設けられている。また、オリフ
ィスプレート2に形成される吐出ノズル21の配置は、
一次元配列で複数個または複数個の配列が複数列という
ように適宜設定することができる。
【0033】このような液体噴射記録ヘッドは以下のよ
うに作製することができる。
【0034】液吐出圧発生用の発熱抵抗素子であるヒー
タ34と不図示のシフトレジスタ等の集積回路や電気配
線をシリコン基板にパターニングして基板33を作製す
るとともに、液流路31および共通液室32となる凹部
と不図示の液供給口をシリコンプレートにケミカルエッ
チングすることにより形成して天板35を作製する。そ
の後、基板33と天板35とを、液吐出側端面および液
流路31となる凹部とヒータ34の配列が一致するよう
にアライメント接合して液体噴射記録ヘッド本体3を形
成した後、吐出ノズルが未形成状態のオリフィスプレー
ト2を液体噴射記録ヘッド本体3の液吐出側端面に接着
する。この状態で上述した吐出ノズル加工方法を用いて
吐出ノズル21を加工形成し、以後、不図示のヒータ駆
動用の端子をパターニングした電気基板を結合するとと
もに、アルミ製のベースプレートを基板33に接合し、
次いで、各部材を保持するホルダおよび記録液供給のた
めの記録液タンクを結合することによって、液体噴射記
録ヘッドを組み立てることができる。
【0035】また、液流路31および共通液室32とな
る凹部と液供給口が形成される天板35と吐出ノズルが
未形成状態のオリフィスプレート2とをポリサルフォン
等の樹脂の射出成形により一体に形成した構造体を、ヒ
ータ34等をパターニングした集積回路シリコンチップ
をマウントした基板33にアライメント接合した後に、
上述した吐出ノズル加工方法を用いて吐出ノズル21を
形成し、以後、不図示のヒータ駆動用の端子をパターニ
ングした電気基板を結合するとともに、アルミ製のベー
スプレートを基板33を接合し、次いで、各部材を保持
するホルダおよび記録液供給のための記録液タンクを結
合することによって、液体噴射記録ヘッドを組み立てる
こともできる。
【0036】以上のように、本発明における吐出ノズル
の加工は、液体噴射記録ヘッドの構成がいかなるもので
あっても、吐出ノズルを形成するオリフィスプレート
が、これを保持する部材に接合された後の工程で行なう
ことができる。このように液体噴射記録ヘッドを製造す
ることで、オリフィスプレートが、この保持部材と結合
されるときに生じるひずみに伴なって、吐出ノズルの配
列が変形したり、吐出ノズルの向きが不均一方向に変形
することによる記録液の吐出方向位置変動が生じること
を防ぐことが可能となる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液体噴射記録ヘッドの吐出口形成プレートの液吐出側
に、形成しようとする吐出口形状がパターニングされた
マスクプレートを密着させ、マスクプレート側から高エ
ネルギー紫外線レーザビームを照射することによって、
吐出口形成プレートに吐出ノズルを昇華加工形成する液
体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工方法において、マス
クプレートは、無色透明な石英を基板として、該基板の
紫外線レーザビームが入射する反対面に、紫外線レーザ
の波長にあわせた誘電体全反射ミラーコーティングを施
し、この全反射ミラーコーティング層を吐出口形状にあ
わせてエッチング除去してパターンを形成したものを用
い、吐出口形成プレートの吐出口を加工する所定加工位
置とマスクプレートのパターン位置のアライメントを可
視光による観察により行なうようになし、さらに詳細に
は、マスクプレートのパターンをマスクプレートの石英
基板を介する可視光透過で観察し、可視光透明樹脂で形
成した吐出口形成プレート奥の液流路を吐出口形成プレ
ートを介する可視光透過で観察することによってアライ
メントを行なうことにより、吐出口形成プレートに密着
配置されるマスクプレートのパターン位置が効率良くか
つ容易にアライメントできるようになり、これによっ
て、密着マスクによるレーザ加工が精度良く行なうこと
ができ、吐出ノズルの加工位置精度を向上させることが
できる。
【0038】また、吐出口形成プレートの液吐出側から
のレーザ加工によって、液吐出方向軸に対して対称な形
状でかつ液吐出側に向かって先細りのテーパ形状で、な
おかつ液吐出側の開口径を均一にする吐出ノズルが形成
でき、そして、短時間で多数配列される吐出ノズルを一
括加工することができる。
【0039】さらに、液体噴射記録ヘッドを組立てた後
の最終工程で吐出ノズルを加工形成することが可能とな
ることで、吐出口形成プレートの組立て結合による変形
に起因する液吐出方向の非等方向性が解消され、かつ、
吐出口形成プレートの液吐出側に先細りのテーパ形状が
形成できることによって、液滴の吐出方向が一定方向に
安定し、液滴の飛翔スピードが向上し、液体噴射記録ヘ
ッドの印刷品質が格段に向上するとともに高速印刷が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工
方法を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は側
面図、(c)は下面図である。
【図2】本発明の液体噴射記録ヘッドの座標系を示す斜
視図である。
【図3】本発明の液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工
方法におけるレーザ照射方向を説明する説明図である。
【図4】本発明の液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工
方法に用いるマスクプレートの製造工程を説明する概略
図である。
【図5】本発明の液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工
方法におけるマスクプレートのパターンと液体噴射記録
ヘッドのアライメント方法を説明するための概略図であ
る。
【図6】本発明の液体噴射記録ヘッドの製造方法によっ
て製造される液体噴射記録ヘッドを示す概略図であり、
(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図であ
る。
【符号の説明】
1 マスクプレート 11 (吐出口)パターン 15 マスク基板 16 全反射ミラーコーティング層 2 オリフィスプレート(吐出口形成プレート) 21 吐出ノズル 3 液体噴射記録ヘッド本体 31 液流路 32 共通液室 33 基板 34 液吐出圧発生素子 35 天板 101 アクチュエータ 102 投影レンズ 103 撮像素子 104 ランプ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体噴射記録ヘッドの吐出口形成プレー
    トの液吐出側に、形成しようとする吐出口の形状がパタ
    ーニングされたマスクプレートを密着させ、該マスクプ
    レート側から高エネルギー紫外線レーザビームを照射す
    ることによって、前記吐出口形成プレートに吐出ノズル
    を昇華加工形成する液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加
    工方法において、 前記マスクプレートは、無色透明な石英を基板材質とし
    て、該石英基板に紫外線レーザの波長に合わせた誘電体
    全反射ミラーコーティングを施し、該全反射ミラーコー
    ティング層を吐出口の形状にあわせてエッチング除去し
    てパターンを形成したものを用い、吐出ノズルを加工す
    る前記吐出口形成プレートの所定加工位置と前記マスク
    プレートのパターン位置のアライメントを可視光による
    観察により行なうことを特徴とする液体噴射記録ヘッド
    の吐出ノズル加工方法。
  2. 【請求項2】 前記可視光による観察は、前記マスクプ
    レートのパターンを該マスクプレートの石英基板を介す
    る可視光透過で観察し、前記吐出口形成プレートを可視
    光透明樹脂で構成し、該吐出口形成プレート奥の液流路
    を該吐出口形成プレートを介する可視光透過で観察する
    ことによって行なうことを特徴とする請求項1記載の液
    体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工方法。
  3. 【請求項3】 液体噴射記録ヘッド全体を構成する各部
    材の内、少なくとも吐出口形成プレートと該吐出口形成
    プレートを保持する部材が結合された後に、吐出口形成
    プレートの液吐出側に、形成しようとする吐出口の形状
    がパターニングされたマスクプレートを密着させ、該マ
    スクプレート側から高エネルギー紫外線レーザビームを
    照射し、前記吐出口形成プレートに吐出ノズルを昇華加
    工形成する液体噴射記録ヘッドの製造方法において、 前記マスクプレートは、無色透明な石英を基板材質とし
    て、該石英基板に紫外線ビームの波長に合わせた誘電体
    全反射ミラーコーティングを施し、該全反射ミラーコー
    ティング層を吐出口の形状にあわせてエッチング除去し
    てパターンを形成したものを用い、吐出ノズルを加工す
    る前記吐出口形成プレートの所定加工位置と前記マスク
    プレートのパターン位置のアライメントを可視光による
    観察により行なうことを特徴とする液体噴射記録ヘッド
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記可視光による観察は、前記マスクプ
    レートのパターンを該マスクプレートの石英基板を介す
    る可視光透過で観察し、前記吐出口形成プレートを可視
    光透明樹脂で構成し、該吐出口形成プレート奥の液流路
    を該吐出口形成プレートを介する可視光透過で観察する
    ことによって行なうことを特徴とする請求項3記載の液
    体噴射記録ヘッドの製造方法。
JP18289299A 1999-06-29 1999-06-29 液体噴射記録ヘッドの吐出ノズル加工方法および液体噴射記録ヘッドの製造方法 Pending JP2001010061A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8288681B2 (en) * 2005-09-08 2012-10-16 Sony Corporation Laser processing apparatus and laser processing method as well as debris extraction mechanism and debris extraction method

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