JP2001006973A - コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

コンデンサおよびその製造方法

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JP2001006973A
JP2001006973A JP17936999A JP17936999A JP2001006973A JP 2001006973 A JP2001006973 A JP 2001006973A JP 17936999 A JP17936999 A JP 17936999A JP 17936999 A JP17936999 A JP 17936999A JP 2001006973 A JP2001006973 A JP 2001006973A
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capacitor
voltage
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electrode
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Toshiharu Saito
俊晴 斎藤
Hiroki Takeoka
宏樹 竹岡
Kohei Shioda
浩平 塩田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 漏れ電流が小さく、無極性、低ESRで小型
・大容量の新規フィルムコンデンサおよびその製造方法
を提供することを目的とする。 【解決手段】 多孔性電極であるエッチドアルミニウム
箔1上に有機高分子誘電体層のスチレンとアクリル酸と
アクリル酸エチルの共重合体2を形成し、前記誘電体層
上に第1の導電性高分子層であるポリエチレンジオキシ
チオフェン3と第2の導電性高分子層であるポリピロー
ル4を形成し、さらに集電体層を形成し、リード付けを
行いコンデンサ素子を完成する。そして、電極リード間
に、少なくとも一回以上極性を反転させた電圧を一定時
間印加して、誘電体中の空間電荷を低減し、なおかつ誘
電体の電気的弱点部に隣接している微小領域の導電性高
分子を効率的かつ選択的に絶縁化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器・電子機
器・音響機器の電子回路などに用いるコンデンサおよび
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、機器の小型化・薄型化・軽量化、
および電気機器回路の高密度化・デジタル化に伴い、電
子部品に対する小型化、高性能化、高信頼性化の要望が
ますます高まってきている。そのような情勢の中で、コ
ンデンサも同様に小型で大容量を有し、かつ高周波領域
でのインピーダンスの低いものが強く要求されている。
【0003】高周波領域でインピーダンスが低いコンデ
ンサには、有機高分子フィルムを誘電体としたフィルム
コンデンサがあるが、誘電体の比誘電率が2〜3と小さ
いことと薄膜化が2μm程度までが限界であることか
ら、高い静電容量を得るには形状が大きくなったり、価
格が高くなるという問題があった。
【0004】一方、アルミニウムの酸化皮膜を誘電体と
したアルミ電解コンデンサは、小型で大容量を有する
が、高周波領域におけるインピーダンスや誘電特性が前
記のフィルムコンデンサに比べ劣るという欠点あった。
そこで、高周波特性を改善するために、アルミ電解コン
デンサの駆動用電解液をそれよりも導電性の高いテトラ
シアノキノジメタン(TCNQ)錯体やポリピロールな
どの固体材料に置き換えたアルミ固体電解コンデンサが
開発され、実用化に到っている。しかし、いずれにして
もアルミ電解コンデンサは誘電体の酸化皮膜に極性があ
るために、逆電圧印加によって破壊しやすいという欠点
があった。
【0005】さらに、エッチドアルミニウム箔表面上に
アルミニウムの酸化皮膜ではなく、電着法により1μm
以下の薄い有機高分子誘電体皮膜を形成させ、さらにそ
の表面上に導電性高分子を形成させた新しいタイプの小
型・大容量フィルムコンデンサの製造方法も提供されて
いる(例えば、特開平4-87312号公報、特開平9-
115767号公報参照)。これらの発明は、誘電体で
ある有機高分子皮膜の無極性、低誘電正接などという長
所を維持しつつ、静電容量の拡大を図ったものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、これまで
エッチドアルミニウム箔のような多孔性電極上に電着に
よって有機高分子誘電体を形成し、その誘電体表面上に
導電性高分子を形成したコンデンサの特性について鋭意
研究を重ねてきた。その結果、小型・大容量化という観
点からは優れた特性が得られたが、その一方で、漏れ電
流が大きいという欠点を改善しなければならないという
課題が残されていた。
【0007】漏れ電流が大きくなる場合の原因として
は、有機高分子誘電体膜に欠陥などの電気的弱点部が存
在すること、電着後の誘電体膜に空間電荷が残留してい
ること(参考文献:F.Beck,Process i
n Organic Coatings,4(197
6)1−60.)、吸着水分によるプロトン(水素イオ
ン)伝導の寄与があることなどが考えられる。これらの
要因は、製造プロセス上どうしても発生する可能性があ
る。しかし、コンデンサ素子を樹脂外装する前に、これ
らの諸要因を取り除くことができれば、漏れ電流を低下
させることができ、歩留まり向上も期待できる。
【0008】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、漏れ電流が小さく、無極性で小型で大容量を有し、
歩留まりの良い新しいタイプのコンデンサおよびその製
造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明のコンデンサは、金属電極上に有機高分子誘
電体層を有し、前記誘電体層上に導電性高分子層を有
し、さらに前記導電性高分子層上に集電体層を有し、前
記集電体に一つの電極リードが接続され、もう一つの電
極リードが金属電極に接続されたものであって、前記誘
電体層は、少なくとも一回以上極性を反転させた電圧を
一定時間印加されたものであることを特徴としている。
【0010】また、本発明のコンデンサの金属電極は、
多孔性電極であることを特徴としている。そして、多孔
性電極は、エッチドアルミニウム箔あるいはタンタルの
焼結体が好適である。
【0011】また、本発明のコンデンサの有機高分子誘
電体層は、電着によって形成されたものであることを特
徴としている。
【0012】そして、有機高分子誘電体層の中でも、ア
クリル樹脂が本発明のコンデンサには適している。
【0013】また、アクリル樹脂の中でも、スチレンと
アクリル酸とアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸
エステルとの共重合体が本発明のコンデンサには好適で
ある。
【0014】また、有機高分子誘電体層の中でも、ポリ
イミドが本発明のコンデンサには適している。
【0015】ポリイミドの中でも、カルボン酸基を有す
るポリイミドが、ポリアミック酸を経ないで、ポリイミ
ドのままで電着可能であることから本発明のコンデンサ
には好適である。
【0016】また、本発明のコンデンサは、導電性高分
子層内の微小領域において導電性が乏しい部分を有する
ことを特徴としている。
【0017】また、本発明のコンデンサの導電性高分子
は、ポリピロールまたはポリエチレンジオキシチオフェ
ンのいずれかを少なくとも一つ以上含むものであること
を特徴としている。
【0018】また、本発明のコンデンサの導電性高分子
上の集電体層は、グラファイト層および導電性接着剤層
が積層されたものであることを特徴としている。
【0019】また、本発明のコンデンサの誘電体層は、
三角波電圧を印加したものであることを特徴としてい
る。
【0020】また、本発明のコンデンサの誘電体層は、
正弦波電圧を印加したものであることを特徴としてい
る。
【0021】上記の目的を達成するための本発明のコン
デンサの製造方法は、金属電極上に有機高分子誘電体層
を形成する工程と、前記有機高分子誘電体層表面上に対
向電極として導電性高分子層を形成する工程と、前記導
電性高分子層上に集電体層を形成する工程と、一つの電
極リードを集電体層に接続させる工程と、もう一つの電
極リードを金属電極に接続する工程と、前記二つの電極
リード間に少なくとも一回以上極性を反転させた電圧を
一定時間印加する工程とを有することを特徴としてい
る。
【0022】また、本発明のコンデンサの製造方法は、
金属電極が多孔性電極であることを特徴としている。そ
して、多孔性電極の中でもエッチドアルミニウム箔また
はタンタルの焼結体が本発明のコンデンサの製造方法に
は好適である。
【0023】また、本発明のコンデンサの製造方法は、
有機高分子誘電体層を形成する工程が、電着法によるも
のであることを特徴としている。
【0024】また、電着により形成された有機高分子誘
電体層は、アクリル樹脂またはポリイミドが本発明のコ
ンデンサの製造方法には好適である。
【0025】また、本発明のコンデンサの製造方法にお
いて、少なくとも一回以上極性を反転させた電圧を一定
時間印加する工程は、三角波電圧を印加することを特徴
としている。
【0026】また、本発明のコンデンサの製造方法にお
いて、少なくとも一回以上極性を反転させた電圧を一定
時間印加する工程は、正弦波電圧を印加することを特徴
としている。
【0027】また、少なくとも一回以上極性を反転させ
た電圧を一定時間印加する工程は、20〜100℃の温
度範囲で、なおかつ相対湿度50〜100%の雰囲気中
で行うことが本発明のコンデンサの製造方法には適して
いる。
【0028】また、少なくとも一回以上極性を反転させ
た電圧を一定時間印加する工程は、50〜200度の温
度範囲で行うことが本発明のコンデンサの製造方法には
適している。
【0029】さらに、少なくとも一回以上極性を反転さ
せた電圧を一定時間印加する工程において、ピーク電圧
を時間経過とともに徐々に増大させ、目的電圧に到達し
たら一定時間保持することも本発明のコンデンサの製造
方法には好適である。
【0030】また、本発明のコンデンサの製造方法は、
少なくとも一回以上極性を反転させた電圧を一定時間印
加する工程の後、コンデンサ素子に吸着した水分を完全
に除去する工程と、樹脂外装する工程とを有することも
特徴としている。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、
金属電極上に有機高分子誘電体層を有し、前記誘電体層
上に導電性高分子層を有し、さらに前記導電性高分子層
上に集電体層を有し、前記集電体に一つの電極リードが
接続され、もう一つの電極リードが金属電極に接続され
たものであって、前記誘電体層は、少なくとも一回以上
極性を反転させた電圧を一定時間印加されたものである
ことから、誘電体中の空間電荷を低減し、なおかつ誘電
体の電気的弱点部に隣接している微小領域の導電性高分
子を誘電体を破壊することなしに効率的かつ選択的に絶
縁化させる作用を有する。
【0032】本発明の請求項2記載の発明は、金属電極
が多孔性電極であることから、電極の表面積を大きくす
る作用を有する。
【0033】本発明の請求項3記載の発明は、多孔性電
極がエッチドアルミニウム箔またはタンタルの焼結体で
あることから、電極の表面積を大きくする作用を有す
る。
【0034】本発明の請求項4記載の発明は、有機高分
子誘電体層が電着によって形成されたものであることか
ら、電着液の組成の調節や電気的な制御により、形状の
複雑な電極上に絶縁性の有機高分子薄膜を有するコンデ
ンサが得られる。
【0035】本発明の請求項5記載の発明は、有機高分
子誘電体層がアクリル樹脂であることから、電着によっ
て形成可能で、絶縁性、密着性に優れるという作用を有
する。
【0036】本発明の請求項6記載の発明は、アクリル
樹脂がスチレンとアクリル酸とアクリル酸エステルある
いはメタクリル酸エステルとの共重合体であることか
ら、高絶縁抵抗であるため、つきまわり性に優れ、薄膜
化に適した誘電体となっている。
【0037】本発明の請求項7記載の発明は、有機高分
子誘電体層がポリイミドであることから、耐熱性、絶縁
性に優れた誘電体となっている。
【0038】本発明の請求項8記載の発明は、ポリイミ
ドがカルボン酸基を有するポリイミドであることから、
ポリアミック酸を経ないでポリイミドのままで電着でき
るという作用を有する。
【0039】本発明の請求項9記載の発明は、導電性高
分子層内の微小領域において導電性が乏しい部分を有す
ることから、誘電体層の電気的弱点部を補う作用を有す
る。
【0040】本発明の請求項10記載の発明は、導電性
高分子がポリピロールまたはポリエチレンジオキシチオ
フェンのいずれかを少なくとも一つ以上含むものである
ことから、導電性、耐熱性、耐湿性に優れた対極となっ
ている。
【0041】本発明の請求項11記載の発明は、集電体
層がグラファイト層および導電性接着剤層が積層された
ものであることから、電極リードを容易に接着可能で、
電極リード接続時の電気抵抗の増加を最小限にとどめる
ことができる。
【0042】本発明の請求項12記載の発明は、誘電体
層が三角波電圧を印加したものであることから、誘電体
中の空間電荷を低減し、なおかつ誘電体の電気的弱点部
に隣接している微小領域の導電性高分子を誘電体を破壊
することなしに効率的かつ選択的に絶縁化させる作用を
有する。
【0043】本発明の請求項13記載の発明は、誘電体
層が正弦波電圧を印加したものであることから、誘電体
中の空間電荷を低減し、なおかつ誘電体の電気的弱点部
に隣接している微小領域の導電性高分子を誘電体を破壊
することなしに効率的かつ選択的に絶縁化させる作用を
有する。
【0044】本発明の請求項14記載の発明は、金属電
極上に有機高分子誘電体層を形成する工程と、前記有機
高分子誘電体層表面上に対向電極として導電性高分子層
を形成する工程と、前記導電性高分子層上に集電体層を
形成する工程と、一つの電極リードを集電体層に接続さ
せる工程と、もう一つの電極リードを金属電極に接続す
る工程と、前記二つの電極リード間に少なくとも一回以
上極性を反転させた電圧を一定時間印加する工程とを有
することから、誘電体中の空間電荷を低減し、なおかつ
誘電体の電気的弱点部に隣接している微小領域の導電性
高分子を誘電体を破壊することなしに効率的かつ選択的
に絶縁化させ、さらに酸化皮膜の生成を抑制する作用を
有する。
【0045】本発明の請求項15記載の発明は、金属電
極が多孔性電極であることから、静電容量を増大させる
作用を有する。
【0046】本発明の請求項16記載の発明は、多孔性
電極がエッチドアルミニウム箔またはタンタルの焼結体
であることから、静電容量を増大させる作用を有する。
【0047】本発明の請求項17記載の発明は、有機高
分子誘電体層を形成する工程が電着法によるものである
ことから、複雑な表面形状の電極にも電気的な制御によ
り膜厚をコントロールして絶縁性の有機高分子誘電体皮
膜を形成できる。
【0048】本発明の請求項18記載の発明は、電着に
より形成された有機高分子誘電体層がアクリル樹脂また
はポリイミドであることから、耐熱性、絶縁性、密着性
に優れる作用を有する。
【0049】本発明の請求項19記載の発明は、少なく
とも一回以上極性を反転させた電圧を一定時間印加する
工程が三角波電圧を印加することから、直流電圧を一定
時間印加するよりは酸化皮膜の生成を抑制することがで
き、そして空間電荷を減少させることもでき、さらにジ
ュール熱の拡散性に優れることから、誘電体の電気的弱
点部に隣接している微小領域の導電性高分子を誘電体を
破壊することなしに効率的かつ選択的に絶縁化させる作
用を有する。
【0050】本発明の請求項20記載の発明は、少なく
とも一回以上極性を反転させた電圧を一定時間印加する
工程が正弦波電圧を印加することから、直流電圧を一定
時間印加するよりは酸化皮膜の生成を抑制することがで
き、そして空間電荷を減少させることもでき、さらにジ
ュール熱の拡散性に優れることから、誘電体の電気的弱
点部に隣接している微小領域の導電性高分子を誘電体を
破壊することなしに効率的かつ選択的に絶縁化させる作
用を有する。
【0051】本発明の請求項21記載の発明は、少なく
とも一回以上極性を反転させた電圧を一定時間印加する
工程が、20〜100℃の温度範囲で、なおかつ相対湿
度50〜100%の雰囲気中で行うことから、短時間に
誘電体の電気的弱点部近傍の導電体層の微小領域を絶縁
化できる。
【0052】本発明の請求項22記載の発明は、少なく
とも一回以上極性を反転させた電圧を一定時間印加する
工程が、50〜200℃の温度範囲で行うことから、短
時間に誘電体の電気的弱点部近傍の導電体層の微小領域
を絶縁化でき、さらに短時間で空間電荷を低減できる。
【0053】本発明の請求項23記載の発明は、少なく
とも一回以上極性を反転させた電圧を一定時間印加する
工程において、ピーク電圧を時間経過とともに徐々に増
大させ、目的電圧に到達したら一定時間保持することか
ら、誘電体を破壊する確率を低減することができる。
【0054】本発明の請求項24記載の発明は、少なく
とも一回以上極性を反転させた電圧を一定時間印加する
工程の後、コンデンサ素子に吸着した水分を完全に除去
する工程と、樹脂外装する工程とを有することから、プ
ロトン伝導の影響となるプロトンを除去することができ
る。
【0055】(実施の形態1)以下に本発明の実施の形
態について、図面を参照しながら説明する。
【0056】図1は本実施の形態で説明するコンデンサ
の断面図であり、図2は実施の形態で説明するコンデン
サの製造方法のフロー図である。
【0057】まず、目的とするコンデンサの構成を図1
を用いて詳細に説明する。
【0058】1は多孔性の金属電極であるエッチドアル
ミニウム箔であり、その表面上に有機高分子誘電体層と
してスチレンとアクリル酸とアクリル酸エチルの共重合
体2が電着によって形成されている。スチレンとアクリ
ル酸とアクリル酸エチルの共重合体2の表面上には、第
1の導電性高分子層である化学重合によって形成したポ
リエチレンジオキシチオフェン3と第2の導電性高分子
層である電解重合によって形成したポリピロール4があ
る。
【0059】そして、ポリピロール4の表面上には、コ
ロイダルグラファイトを塗布することによって形成した
グラファイト層5と銀塗料を塗布することによって形成
した導電性接着剤層6を積層してなる集電体層がある。
7が集電体の導電性接着剤層6によって接着された電極
リードであり、8がエッチドアルミニウム箔1に溶接さ
れた電極リードである。
【0060】また、9は、少なくとも一回以上極性の反
転する電圧を印加したことによって生じた導電性高分子
層内の導電性が乏しい部分である。この導電性が乏しい
部分9は、少なくとも一回以上極性の反転する電圧を印
加したことによる熱拡散性の良いジュール熱によって生
じたことから、誘電体弱点部近傍の微小領域に選択的に
形成されたものである。スチレンとアクリル酸とアクリ
ル酸エチルの共重合体2は、高温で少なくとも一回以上
極性の反転する電圧を印加したことによって、漏れ電流
が増大する原因となる空間電荷の影響を低減してある。
また、10は電極間のショートを防ぐために設けた絶縁
物層である。上記構成の素子をエポキシ樹脂で外装すれ
ば、本実施の形態1の目的のコンデンサの構成となる。
【0061】実施の形態1では、多孔性金属電極にエッ
チドアルミニウム箔1を採用したが、本発明はこれに限
定されるものではない。タンタルの焼結体やステンレス
繊維やスポンジニッケルや他の材質の金属を多孔化した
ものでも良いことは言うまでもない。
【0062】また、有機高分子誘電体には、スチレンと
アクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体2を用いた
が、本発明はこの材料に限定されるものではない。他の
アクリル樹脂やポリイミドなど電着可能な高分子ならば
本発明には好適である。好ましくは、電着後絶縁性の優
れたスチレンとアクリル酸とアクリル酸エステル類ある
いはメタクリル酸エステル類との共重合体が良い。ま
た、ポリイミドでは、カルボン酸基を有しポリイミドの
ままで電着可能な材料が長期的特性の安定性に優れるた
め本発明には好適である(例えば、特開平9-1048
39号公報参照)。
【0063】また、第1の導電性高分子層および第2の
導電性高分子層には、化学重合によるポリエチレンジオ
キシチオフェン3と電解重合によるポリピロール4を採
用したが、本発明はこの材料に限定されるものではな
い。他のπ電子共役系の複素環式化合物であっても良
い。例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラ
ン、およびそれらの誘導体のいずれかを本実施の形態で
採用した材料と置き換えても良い。好ましくは、導電
性、耐熱性、耐湿性に優れた、ポリピロールとポリエチ
レンジオキシチオフェンのいずれか少なくとも一つ以上
を導電性高分子層内に含ませることが良い。
【0064】つぎに、上記構成のコンデンサの製造方法
の一例を図2を用いて以下に詳細に説明する。
【0065】電着液には、主剤であるスチレンとアクリ
ル酸とアクリル酸エチルとの共重合体(分子量約2万)
が硬化剤であるベンゾグアナミン系樹脂と水溶液中でミ
セル構造をとって分散しているものを用いた。ミセルの
直径は約0.05μmである。この水溶液の構成成分
は、固形分が10質量%、イオン交換水86質量%、ブ
チルセロソルブ4質量%である。固形分中の主剤と硬化
剤の配合の質量比は7対3である。また、固形分を液中
に分散させる際には、アニオン電着法でよく行われるよ
うに、固形分中のカルボン酸基の一部をトリエチルアミ
ンを適量加えて中和し、分散性を高めた。
【0066】まず、ステップ1で上記電着液を直径80
mmの陰極となる円筒型のステンレス容器に入れる。次
に、8mm×5mmに切断したエッチドアルミニウム箔
電極1の5mm×5mmの部分を電着液に浸漬し陽極と
した。次に、両電極間に、印加電圧40V(一定)で、
5分間通電することにより、エッチドアルミニウム箔電
極1表面に有機高分子誘電体であるスチレンとアクリル
酸とアクリル酸エチルとの共重合体2を形成させた。そ
の後、誘電体層を形成した試料を水洗した後、80#C
で20分間乾燥し、180#Cで30分間熱処理するこ
とにより、ベンゾグアナミン系樹脂とスチレンとアクリ
ル酸とアクリル酸エチルとの共重合体とを硬化反応さ
せ、耐熱性、絶縁性に優れたスチレンとアクリル酸とア
クリル酸エチルとの共重合体2を誘電体層とする素子を
作製した。
【0067】次に、ステップ2で、0.3mol/lの
ナフタレンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液と1mo
l/lのエチレンジオキシチオフェンモノマー(バイエ
ル社製)のエタノール溶液を混合したものを誘電体が形
成された部分に塗布した。そして、この素子を80℃で
5分間熱処理し、化学重合を促進させた。このような操
作を行うことにより、ナフタレンスルホン酸第二鉄は化
学重合の酸化剤として作用し、スチレンとアクリル酸と
アクリル酸エチルとの共重合体2表面上に第1の導電性
高分子層であるポリエチレンジオキシチオフェン3を形
成できる。そして、ポリエチレンジオキシチオフェン形
成後は、エタノールとイオン交換水で素子を数回洗浄し
た。
【0068】つづいて、ステップ3で、ポリエチレンジ
オキシチオフェン3が形成された素子をピロール1部、
支持電解質として40質量%ブチルナフタレンスルホン
酸ナトリウム水溶液1部、蒸留水40部を混合した溶液
に浸漬して、ポリエチレンジオキシチオフェン3が形成
された一部に電解重合時の陽極となる外部電極を設け
た。そして陰極となる対極を液中に設けて、二つの電極
間に電流密度1mA/cm2の一定電流で30分間電解
重合して第2の導電性高分子層であるポリピロール層4
を形成した。その後、イオン交換水で素子を洗浄した。
【0069】なお、本発明は、実施の形態1のステップ
3および4で導電性高分子を形成した方法に限定される
ものではない。また、導電性高分子や酸化剤(ドーパン
ト)の種類も実施の形態1で用いた材料に限定されるも
のではない。
【0070】次に、ステップ4で、ポリピロール層4の
表面上にコロイダルグラファイトを塗布することにより
グラファイト層5を形成した。さらに、グラファイト層
5表面上に導電性接着剤層6を塗布することにより集電
体層を完成した。なお、本実施の形態1では、導電性接
着剤層6に銀塗料を用いた。
【0071】次に、ステップ5で、導電性接着剤層6で
電極リード7を接着し、さらに誘電体が形成されていな
い部分のエッチドアルミニウム箔電極1に電極リード8
を溶接した。
【0072】次に、ステップ6で、120℃の恒温槽中
で、二つの電極リード7、8間に三角波電圧を印加し
た。三角波電圧を印加した条件は、電圧掃引速度1V/
秒で、2分間隔で正負両方向とも0.2Vずつピーク電
圧を徐々に増加させた(初期のピーク電圧:±0.2
V)。最終的に、ピーク電圧を±13Vまで上昇させた
後、その電圧で1時間保持した。なお、このステップ6
では、電圧印加のプログラムを組んだファンクションジ
ェネレータ(HB105北斗電工製)でバイポーラ電源
(BPA701Aメトロニクス製)を制御して希望波形
電圧を印加した。
【0073】なお、本発明における電圧の印加パターン
は、本実施の形態1の方法に限定されるものではない。
好ましくは、実施の形態1のように、ピーク電圧を徐々
に上昇させた方が歩留まりが向上するので良い。また、
印加する波形は、正弦波電圧など極性が反転するものな
らば、本発明の目的に適合できる可能性がある。パルス
波などの他の波形であっても良い。
【0074】電着した有機高分子膜には、電着時の電圧
印加によって生成した空間電荷が残留していることが報
告されている(参考文献:F.Beck,Proces
sin Organic Coatings,4(19
76)1−60.)。このような極性が反転する電圧を
高温で印加し続けると、漏れ電流の原因となる誘電体中
の空間電荷を低減することができる。このような操作
は、室温よりも高くなおかつ高分子誘電体の熱分解温度
よりも低い温度範囲で行うとより効果が得られる。その
ような温度範囲では、室温よりも高分子中の分子運動が
起こり易い状態にあるため、極性の反転する電圧を印加
すると残留していた電荷が打ち消されると推定される。
最適温度は、使用する誘電体材料によっても異なるが、
好ましくは50〜200℃の温度範囲が良い。
【0075】また、ステップ6の操作を行うと、上記の
効果に加えて次のような効果が得られる。それは、誘電
体の電気的弱点部に隣接している微小領域の導電性高分
子を、誘電体を破壊することなしに効率的かつ選択的に
絶縁化させることもできるということである。つまり、
極性を反転させながら電圧を印加した際に、誘電体の電
気的弱点部に隣接している微小領域の導電性高分子にジ
ュール熱が発生し、選択的に導電性高分子の微小部分が
熱によって絶縁化され、その結果導電性高分子層内に導
電性の乏しい部分9ができる。実施の形態1のように三
角波を印加すると、大電流が継続的に誘電体の電気的弱
点部に隣接している微小領域の導電性高分子に流れるこ
とがないので、発生するジュール熱の拡散性に優れる。
そのため誘電体を熱劣化することなしに導電性高分子の
微小領域のみを効率的かつ選択的に絶縁化できるものと
推定できる。なお、上記の誘電体の電気的弱点部とは、
膜中の欠陥や他の部分よりも膜厚が極めて薄い部分など
電気抵抗の低い部分のことである。
【0076】さらに、正負方向に極性を反転させて電圧
を連続的に印加することによって、アルミを陽極にして
直流電圧を印加し続ける場合よりも酸化皮膜の生成も抑
制することができる。そのためコンデンサを完成させた
後に、より無極性のコンデンサとなる効果がある。この
ように、誘電体を形成した後に、極性が反転する電圧を
印加しても漏れ電流が増大しないのは、誘電体が酸化皮
膜とは違って元々無極性であるためである。
【0077】次に、ステップ7で、120℃の真空炉中
で1時間コンデンサ素子を樹脂外装前に乾燥させた。こ
のようにするとプロトン伝導の影響となる吸着水分を完
全に取り除くことができる。なお、この乾燥工程は、実
施の形態1の方法が好適であるが、本発明はこの実施の
形態1の方法に限定されるものではない。例えば、10
0℃以上の恒温槽に数時間入れておくだけでも良いこと
は言うまでもない。
【0078】最後に、ステップ8で、エポキシ樹脂で外
装して、実施の形態1のコンデンサを完成させた。この
ような方法で、コンデンサを10個作製した。その10
個のコンデンサの120Hzの静電容量とtanδ、1
MHzの等価直列抵抗(ESR)、±10Vの漏れ電流
(LC)の平均値を表1に示す。漏れ電流は、エッチド
アルミニウム箔電極1を、陽極として測定した場合を正
(+)方向とした。
【0079】
【表1】
【0080】(実施の形態2)実施の形態1のステップ
6で三角波ではなく、0.5MHzの正弦波を印加した
こと以外は、実施の形態1と同様な方法でコンデンサを
10個作製した。
【0081】正弦波は、ピーク電圧が0.5V/minとい
う上昇速度で正負方向に徐々に増加するような波形プロ
グラムをファンクションジェネレータを用いて発生させ
た。最終的にピーク電圧が±13Vに到達した後、その
電圧で1時間保持した。
【0082】上記のように作製したコンデンサ10個の
120Hzの静電容量とtanδ、1MHzの等価直列
抵抗(ESR)、±10Vの漏れ電流(LC)の平均値
を表1に示す。
【0083】(実施の形態3)実施の形態3では、実施
の形態1のステップ6において、三角波電圧印加する際
の雰囲気を次のように変更した。温度を85℃に変更
し、さらに相対湿度85%に雰囲気調整された恒温高湿
槽中で実施の形態1と同様な三角波電圧を印加した。
【0084】上記の変更点以外は、実施の形態1と同様
な方法でコンデンサを10個作製した。実施の形態3の
コンデンサ10個の120Hzの静電容量とtanδ、
1MHzの等価直列抵抗(ESR)、±10Vの漏れ電
流(LC)の平均値を表1に示す。
【0085】なお、本発明は、実施の形態3のステップ
6の雰囲気条件に限定されるものではない。好ましく
は、50〜100℃の温度範囲で、なおかつ相対湿度5
0〜100%の雰囲気中で行うと良い。
【0086】(実施の形態4)実施の形態4では、多孔
性電極をエッチドアルミニウム箔ではなくタンタルの焼
結体(3mm×3mm×2mm)を用いたこと以外は、
実施の形態1と同様な方法でコンデンサを10個作製し
た。実施の形態4のコンデンサ10個の120Hzの静
電容量とtanδ、1MHzの等価直列抵抗(ES
R)、±10Vの漏れ電流(LC)の平均値を表1に示
す。
【0087】(実施の形態5)実施の形態1で誘電体を
ポリイミドに変更したこと以外は、同様な方法でコンデ
ンサを10個作製した。
【0088】実施の形態4におけるポリイミドは、カル
ボン酸基を有するポリイミドが溶液中に分散している電
着液を用いて電着したものである。なお、この際のポリ
イミドは、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸無水物と1,3−ジアミノ安息香酸との反応
生成物であるものを用いた。
【0089】本発明では、実施の形態4で用いたポリイ
ミド材料に限定されるものではない。様々なテトラカル
ボン酸無水物とジアミンとの反応生成物から生成できる
ポリイミドが適用可能である。
【0090】実施の形態5のコンデンサ10個の120
Hzの静電容量とtanδ、1MHzの等価直列抵抗
(ESR)、±10Vの漏れ電流(LC)の平均値を実
施の形態4として表1に示す。
【0091】(比較例1)比較例1では、実施の形態1
でステップ6を行わなかったこと以外は、実施の形態1
と同様な方法でコンデンサを10個作製した。作製した
コンデンサ10個の120Hzの静電容量とtanδ、
1MHzの等価直列抵抗(ESR)、±10Vの漏れ電
流(LC)の平均値を比較例1として表1に示す。
【0092】(比較例2)比較例2では、実施の形態1
でステップ7を行わなかったこと以外は、実施の形態1
と同様な方法でコンデンサを10個作製した。作製した
コンデンサ10個の120Hzの静電容量とtanδ、
1MHzの等価直列抵抗(ESR)、±10Vの漏れ電
流(LC)の平均値を比較例2として表1に示す。
【0093】(比較例3)実施の形態1のステップ6に
おいて、三角波ではなくアルミを陽極として直流一定電
圧13Vを2時間印加したこと以外は、実施の形態1と
同様な方法でコンデンサを10個作製した。
【0094】上記のように作製したコンデンサ10個の
120Hzの静電容量とtanδ、1MHzの等価直列
抵抗(ESR)、±10Vの漏れ電流(LC)の平均値
を比較例3として表1に示す。
【0095】(比較例4)実施の形態4と同様なポリイ
ミドを誘電体として用いたが、実施の形態1のステップ
6のような三角波電圧を印加しなかったこと以外は、実
施の形態4と同様な方法でコンデンサを10個作製し
た。作製したコンデンサ10個の120Hzの静電容量
とtanδ、1MHzの等価直列抵抗(ESR)、±1
0Vの漏れ電流(LC)の平均値を比較例4として表1
に示す。
【0096】(性能検討)実施の形態1では、三角波電
圧を印加しなかった比較例1や比較例3よりもtan
δ、漏れ電流が小さくなった。これは、三角波を印加し
たことによって、残留していた空間電荷を低減できたこ
とと、誘電体の電気的弱点部に隣接している微小領域の
導電性高分子を、誘電体を破壊することなしに効率的か
つ選択的に絶縁化させることができたためである。この
ように微小領域のみ絶縁化される場合には、tanδや
ESRの特性には表1に示すようにほとんど影響がな
い。
【0097】また、実施の形態1では、樹脂外装前に乾
燥を行わなかった比較例2よりもtanδ、漏れ電流が
小さくなった。これは、吸着していた水分を、樹脂外装
する前に真空乾燥により除去できたために、プロトン伝
導による影響を低減できたことによるものである。
【0098】実施の形態2では、正弦波を印加したこと
により、実施の形態1と同様な効果が得られたため、比
較例1や比較例3よりもtanδ、漏れ電流が小さくな
った。
【0099】実施の形態3では、高湿度中で三角波を印
加したことにより、誘電体の電気的弱点部に隣接してい
る微小領域の導電性高分子が水の影響で実施の形態1や
2よりもさらに効率的に絶縁化できたため、実施の形態
1から5の中で最も漏れ電流が小さくなった。水分は、
導電性高分子の酸化劣化を促進させることはよく知られ
ている(例えば、特開平9-246114号、9-246
115号公報参照)。この場合には、微小領域のみを絶
縁化するのに効率的かつ選択的に作用したものと思われ
る。最終的に樹脂外装前に乾燥により吸着させた水分を
除去すると、表1の実施の形態3のコンデンサのように
優れた特性が得られた。
【0100】実施の形態4では、多孔性電極にエッチド
アルミニウム箔よりも表面積が大きいタンタルの焼結体
を用いたため、静電容量が最も大きくなった。
【0101】実施の形態5では、誘電体材料を実施の形
態1の場合と変えてポリイミドにしたが、実施の形態1
と同様の効果が得られた。比較例4と比べても、tan
δ、漏れ電流が小さかった。
【0102】表1の結果をまとめると、実施の形態1か
ら5のコンデンサは、比較例1から4と比較して、ta
nδおよび漏れ電流が小さい点で優れている。また、こ
の漏れ電流のデ−タから、実施の形態1から5のいずれ
のコンデンサもほぼ無極性となっていることがわかる。
【0103】一方、+13Vという直流電圧を印加しつ
づけた比較例3は、ジュール熱の拡散性が劣るため、誘
電体が劣化したサンプルもあった。そのため、漏れ電流
の平均値が大きくなった。また、絶縁化される導電性高
分子の領域が大きくなり過ぎたことにより、ESR、t
anδが増加し、静電容量が実施の形態1から3よりも
小さくなった。また、電圧印加中に若干アルミニウムの
酸化皮膜が生成したため、実施の形態1から3よりも極
性が大きくなった。また、実施の形態1から5では、導
電性高分子層にポリエチレンジオキシチオフェンとポリ
ピロールを用いたことと、集電体層にコロイダルグラフ
ァイトと銀塗料を用いたことから、表1の1MHzにお
けるESRの値が20〜40mΩと全体的に小さくする
ことができた。
【0104】
【発明の効果】以上のように本発明のコンデンサは、金
属電極上に有機高分子誘電体層を有し、前記誘電体層上
に導電性高分子層を有し、さらに前記導電性高分子層上
に集電体層を有し、前記集電体に一つの電極リードが接
続され、もう一つの電極リードが金属電極に接続された
ものであって、前記誘電体層は、少なくとも一回以上極
性を反転させた電圧を一定時間印加されたものであるこ
とから、漏れ電流が小さくなる効果を有する。
【0105】また、金属電極が多孔性電極であることか
ら、小型・大容量のコンデンサとなる効果を有する。
【0106】また、多孔性電極がエッチドアルミニウム
箔またはタンタルの焼結体であることから、小型・大容
量のコンデンサとなる効果を有する。。
【0107】また、有機高分子誘電体層が電着によって
形成されたものであることにより、形状の複雑な電極上
に絶縁性の有機高分子薄膜を配置することが可能なた
め、小型・大容量のコンデンサとなる。
【0108】また、有機高分子誘電体層がアクリル樹脂
であることにより、耐熱性、密着性に優れた誘電体を有
するコンデンサが得られる。
【0109】また、アクリル樹脂がスチレンとアクリル
酸とアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル
との共重合体であることにより、つきまわり性に優れ、
薄膜化に適した誘電体であることから、小型・大容量化
したコンデンサが得られる。
【0110】また、有機高分子誘電体層がポリイミドで
あることから、耐熱性、絶縁抵抗に優れたコンデンサが
得られる。
【0111】また、ポリイミドがカルボン酸基を有する
ポリイミドであることから、ポリアミック酸を経ないで
ポリイミドのままで電着でき、長期的信頼性に優れたコ
ンデンサが得られる。
【0112】また、導電性高分子層内の微小領域におい
て導電性が乏しい部分を有することから、漏れ電流の小
さいコンデンサが得られる。
【0113】また、導電性高分子がポリピロールまたは
ポリエチレンジオキシチオフェンのいずれかを少なくと
も一つ以上含むものであることから、低ESRで長期的
に特性の劣化が少ないコンデンサが得られる。
【0114】また、集電体層がコロイダルグラファイト
および導電性接着剤が積層されたものであることから、
コンデンサのESRを小さくできる。
【0115】また、誘電体層が三角波電圧を印加したも
のであることにより、誘電体中の空間電荷を低減し、な
おかつ誘電体の電気的弱点部に隣接している微小領域の
導電性高分子を誘電体を破壊することなしに効率的かつ
選択的に絶縁化させたことから、漏れ電流が小さいコン
デンサが得られる。
【0116】また、誘電体層が正弦波電圧を印加したも
のであることにより、誘電体中の空間電荷を低減し、な
おかつ誘電体の電気的弱点部に隣接している微小領域の
導電性高分子を誘電体を破壊することなしに効率的かつ
選択的に絶縁化させたことから、漏れ電流が小さいコン
デンサが得られる。
【0117】以上のように本発明のコンデンサの製造方
法は、金属電極上に有機高分子誘電体層を形成する工程
と、前記有機高分子誘電体層表面上に対向電極として導
電性高分子層を形成する工程と、前記導電性高分子層上
に集電体層を形成する工程と、一つの電極リードを集電
体層に接続させる工程と、もう一つの電極リードを金属
電極に接続する工程と、前記二つの電極リード間に少な
くとも一回以上極性を反転させた電圧を一定時間印加す
る工程とを少なくとも含むことから、漏れ電流の小さ
い、無極性のコンデンサを製造できる。
【0118】また、金属電極が多孔性電極であることか
ら、小型・大容量のコンデンサを製造できる。
【0119】また、多孔性電極がエッチドアルミニウム
箔またはタンタルの焼結体であることから、小型・大容
量のコンデンサを製造できる。
【0120】また、有機高分子誘電体層を形成する工程
が電着法によるものであることにより、多孔性電極にも
電気的な制御により膜厚をコントロールして絶縁性の有
機高分子誘電体皮膜を形成できることから、小型・大容
量のコンデンサを製造できる。
【0121】また、電着により形成された有機高分子誘
電体層がアクリル樹脂またはポリイミドであることか
ら、長期的信頼性に優れたコンデンサを製造できる。
【0122】また、少なくとも一回以上極性を反転させ
た電圧を一定時間印加する工程が三角波電圧を印加する
ことから、漏れ電流が小さく、無極性なコンデンサを製
造できる。
【0123】また、少なくとも一回以上極性を反転させ
た電圧を一定時間印加する工程が正弦波電圧を印加する
ことから、漏れ電流が小さく、無極性なコンデンサを製
造できる。
【0124】また、少なくとも一回以上極性を反転させ
た電圧を一定時間印加する工程が、20〜100℃の温
度範囲で、なおかつ相対湿度50〜100%の雰囲気中
で行うことから、歩留まりが向上し、漏れ電流の小さな
コンデンサが製造できる。
【0125】また、少なくとも一回以上極性を反転させ
た電圧を一定時間印加する工程が、50〜200度の温
度範囲で行うことから、歩留まりが向上し、漏れ電流の
小さなコンデンサが製造できる。
【0126】また、少なくとも一回以上極性を反転させ
た電圧を一定時間印加する工程において、ピーク電圧を
時間経過とともに徐々に増大させ、目的電圧に到達した
ら一定時間保持することから、歩留まりの良く漏れ電流
の小さいコンデンサが製造できる。
【0127】また、少なくとも一回以上極性を反転させ
た電圧を一定時間印加する工程の後、コンデンサ素子に
吸着した水分を完全に除去する工程と、樹脂外装する工
程とを有することにより、プロトン伝導の影響となるプ
ロトンを除去することができ、漏れ電流の小さいコンデ
ンサを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のコンデンサの断面の模
式図
【図2】同コンデンサの製造方法のフロー図
【符号の説明】
1 エッチドアルミニウム箔 2 スチレンとアクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体 3 ポリエチレンジオキシチオフェン 4 ポリピロール 5 グラファイト層 6 導電性接着剤層 7 電極リード 8 電極リード 9 導電性が乏しい部分 10 絶縁物層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/18 311 H01G 4/18 311Z 324 324Z (72)発明者 塩田 浩平 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E082 AB01 BB05 BC39 EE02 EE03 EE13 EE15 EE23 EE24 EE31 FG03 FG37 FG38 FG41 HH27 HH48 JJ25 JJ26 MM27 PP06 PP08 PP10

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属電極上に有機高分子誘電体層を有
    し、前記誘電体層上に導電性高分子層を有し、さらに前
    記導電性高分子層上に集電体層を有し、前記集電体に一
    つの電極リードが接続され、もう一つの電極リードが金
    属電極に接続されたものであって、前記誘電体層は、少
    なくとも一回以上極性を反転させた電圧を一定時間印加
    されたものであることを特徴とするコンデンサ。
  2. 【請求項2】 金属電極が多孔性電極であることを特徴
    とする請求項1記載のコンデンサ。
  3. 【請求項3】 多孔性電極がエッチドアルミニウム箔ま
    たはタンタルの焼結体であることを特徴とする請求項2
    記載のコンデンサ。
  4. 【請求項4】 有機高分子誘電体が電着によって形成さ
    れたものであることを特徴とする請求項1記載のコンデ
    ンサ。
  5. 【請求項5】 有機高分子誘電体が、アクリル樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
  6. 【請求項6】 アクリル樹脂が、スチレンとアクリル酸
    とアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルと
    の共重合体であることを特徴とする請求項5記載のコン
    デンサ。
  7. 【請求項7】 有機高分子誘電体が、ポリイミドである
    ことを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
  8. 【請求項8】 ポリイミドがカルボン酸基を有するポリ
    イミドであることを特徴とする請求項7記載のコンデン
    サ。
  9. 【請求項9】 導電性高分子層内の微小領域において導
    電性が乏しい部分を有することを特徴とする請求項1記
    載のコンデンサ。
  10. 【請求項10】 導電性高分子がポリピロールまたはポ
    リエチレンジオキシチオフェンのいずれかを少なくとも
    一つ以上含むものであることを特徴とする請求項1また
    は9のいずれかに記載のコンデンサ。
  11. 【請求項11】 集電体層がグラファイト層および導電
    性接着剤層が積層されたものであることを特徴とする請
    求項1記載のコンデンサ。
  12. 【請求項12】 誘電体層は、三角波電圧を印加したも
    のであることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
  13. 【請求項13】 誘電体層は、正弦波電圧を印加したも
    のであることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
  14. 【請求項14】 金属電極上に有機高分子誘電体層を形
    成する工程と、前記有機高分子誘電体層表面上に対向電
    極として導電性高分子層を形成する工程と、前記導電性
    高分子層上に集電体層を形成する工程と、一つの電極リ
    ードを前記集電体層に接続させる工程と、もう一つの電
    極リードを金属電極に接続する工程と、前記二つの電極
    リード間に少なくとも一回以上極性を反転させた電圧を
    一定時間印加する工程とを有することを特徴とするコン
    デンサの製造方法。
  15. 【請求項15】 金属電極が多孔性電極であることを特
    徴とする請求項14記載のコンデンサの製造方法。
  16. 【請求項16】 多孔性電極がエッチドアルミニウム箔
    またはタンタルの焼結体であることを特徴とする請求項
    15記載のコンデンサの製造方法。
  17. 【請求項17】 有機高分子誘電体層を形成する工程
    が、電着法によるものであることを特徴とする請求項1
    4に記載のコンデンサの製造方法。
  18. 【請求項18】 電着により形成された有機高分子誘電
    体層が、アクリル樹脂またはポリイミドであることを特
    徴とする請求項17に記載のコンデンサの製造方法。
  19. 【請求項19】 少なくとも一回以上極性を反転させた
    電圧を一定時間印加する工程は、三角波電圧を印加する
    ことを特徴とする請求項14記載のコンデンサの製造方
    法。
  20. 【請求項20】 少なくとも一回以上極性を反転させた
    電圧を一定時間印加する工程は、正弦波電圧を印加する
    ことを特徴とする請求項14記載のコンデンサの製造方
    法。
  21. 【請求項21】 少なくとも一回以上極性を反転させた
    電圧を一定時間印加する工程は、20〜100℃の温度
    範囲で、なおかつ相対湿度50〜100%の雰囲気中で
    行うことを特徴とする請求項14、19、20のいずれ
    かに記載のコンデンサの製造方法。
  22. 【請求項22】 少なくとも一回以上極性を反転させた
    電圧を一定時間印加する工程は、50〜200℃の温度
    範囲で行うことを特徴とする請求項14、19、20の
    いずれかに記載のコンデンサの製造方法
  23. 【請求項23】 少なくとも一回以上極性を反転させた
    電圧を一定時間印加する工程において、ピーク電圧を時
    間経過とともに徐々に増大させ、目的電圧に到達したら
    一定時間保持することを特徴とする請求項14、19、
    20、21、22のいずれかに記載のコンデンサの製造
    方法。
  24. 【請求項24】 請求項14から23のいずれかのコン
    デンサの製造方法において、少なくとも一回以上極性を
    反転させた電圧を一定時間印加する工程の後、コンデン
    サ素子に吸着した水分を完全に除去する工程と、樹脂外
    装する工程とを有することを特徴とするコンデンサの製
    造方法。
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