JP2001006738A - リチウム・ポリマ二次電池 - Google Patents

リチウム・ポリマ二次電池

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JP2001006738A
JP2001006738A JP11173233A JP17323399A JP2001006738A JP 2001006738 A JP2001006738 A JP 2001006738A JP 11173233 A JP11173233 A JP 11173233A JP 17323399 A JP17323399 A JP 17323399A JP 2001006738 A JP2001006738 A JP 2001006738A
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polymer
lithium
secondary battery
positive electrode
particles
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Kazunori Kubota
和典 久保田
Yasuhiro Kamiyama
康博 上山
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特別な回路や機構を電池に付加することなく
熱暴走を防止できるリチウム・ポリマ二次電池を提供す
る。 【解決手段】 正極11および負極12からなる一対の
電極と、正極11と負極12との間に配置されたポリマ
電解質層13とを備え、正極11、負極12およびポリ
マ電解質層13から選ばれる少なくとも一つがポリマ粒
子を含み、そのポリマ粒子の融点が80℃以上150℃
以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゲル状ポリマ電解質
を用いるリチウム二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話、携帯情報端末等形態電
子機器の性能は、搭載される半導体素子、電子回路だけ
でなく充電可能な二次電池に大きく依存しており、搭載
電池の容量アップと共に、軽量・コンパクト化を同時に
実現することが望まれている。
【0003】これまで、これら電池には鉛電池やニッケ
ルカドミウム電池が用いられてきたが、エネルギー密度
不足で軽量・コンパクト化に対応することが困難であっ
た。
【0004】そこで、ニッケルカドミウム電池の約2倍
のエネルギー密度を有するニッケル水素電池が開発さ
れ、次いでそれを上回るリチウムイオン電池が開発さ
れ、脚光を浴びている。しかし、いずれの電池も液体電
解質を使用しており、液漏れを防ぐために金属缶に充填
しているため、厚さ及び軽量化の限界があった。
【0005】そこで、液体電解質の代わりにポリマ電解
質を用いたリチウム・ポリマ二次電池が開発されてい
る。このリチウム・ポリマ二次電池は、金属缶を用いる
必要がないため、軽量化及び薄膜化が容易であり、電子
機器の軽量・コンパクト化を実現するためには欠かすこ
とのできない二次電池の一つである。
【0006】これらリチウム・ポリマ二次電池は、液体
電解質を用いないために液漏れがなく、安全性に優れた
電池であることから電気自動車等の過酷な環境での使用
も望まれている。そこで、更なる安全性向上も望まれ、
特に過充電等で電池が発熱した時に熱暴走を未然に防ぐ
ことが重要である。
【0007】このような熱暴走を防ぐ手段として、過充
電防止機構を搭載した電子回路による方法、過充電時の
ガス発生を利用した機械的電流遮断による方法等が提案
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法では、熱暴走を防止するための特別な回路や機
構を電池に付加することが必要になるため、電池がコス
ト高になり、また、商品設計上制約が生じるという問題
があった。
【0009】上記問題を解決するため、本発明は、特別
な回路や機構を電池に付加することなく熱暴走を防止で
きるリチウム・ポリマ二次電池を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のリチウム・ポリマ二次電池は、正極および
負極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に配置さ
れたポリマ電解質層とを備えるリチウム・ポリマ二次電
池であって、前記正極、前記負極および前記ポリマ電解
質層から選ばれる少なくとも一つがポリマ粒子を含み、
前記ポリマ粒子の融点が80℃以上150℃以下である
ことを特徴とする。上記本発明のリチウム・ポリマ二次
電池では、過充電によって電池温度が異常に高温になっ
たときに、電池に含まれるポリマ粒子が溶融することに
よって、電池の充電が抑制される。したがって、本発明
のリチウム・ポリマ二次電池によれば、特別な回路や機
構を電池に付加することなく熱暴走を防止できるリチウ
ム・ポリマ二次電池が得られる。
【0011】上記本発明のリチウム・ポリマ二次電池で
は、セラミクス粒子をさらに含み、前記ポリマ電解質層
は、前記ポリマ粒子と前記セラミクス粒子とを含むこと
が好ましい。上記構成によれば、充放電時に生じる正極
および負極の膨張収縮を抑制することができる。したが
って、上記構成とすることによって、正極とポリマ電解
質層との剥離、または負極とポリマ電解質層との剥離を
抑制することができ、サイクル特性が良好なリチウム・
ポリマ二次電池が得られる。
【0012】上記本発明のリチウム・ポリマ二次電池で
は、前記ポリマ粒子の一次粒子の平均粒子径が、0.0
05μm以上10μm以下であることが好ましい。前記
ポリマ粒子の一次粒子の平均粒子径を0.005μm以
上とすることによって、充放電時の正極および負極の膨
張を防ぐことができ、サイクル特性が良好なリチウム・
ポリマ二次電池が得られる。また、前記ポリマ粒子の一
次粒子の平均粒子径を10μm以下とすることによっ
て、電極間のリチウムイオンの移動が良好なリチウム・
イオン二次電池が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。
【0014】本発明のリチウム・ポリマ二次電池の一部
拡大断面図を図1に模式的に示す。
【0015】図1を参照して、本発明のリチウム・ポリ
マ二次電池は、正極11および負極12からなる一対の
電極と、正極11と負極12との間に配置されたポリマ
電解質層13とを備える。そして、通常、本発明のリチ
ウム・ポリマ二次電池は、図1に示した正極11と負極
12とが、電解質層13を挟んで積層され容器に収めら
れた構造を有する。その際、正極11と負極12とは、
巻回されてもよいし、略平行に複数の電極が積層されて
もよい。
【0016】正極11は、集電体11aと正極層11b
とを含む。正極11は、たとえば、図1に示すように集
電体11aと正極層11bとが積層された構造や、網体
からなる集電体と正極層とが一体となった構造を有す
る。集電体11aには、たとえば、アルミニウム箔やア
ルミニウム製網体などを用いることができる。
【0017】負極12は、集電体12aと負極層12b
とを含む。負極12は、たとえば、図1に示すように、
集電体12aと負極層12bとが積層された構造や、網
体からなる集電体と負極層とが一体となった構造を有す
る。負極層12bは、電解質層13を挟んで正極11の
正極層11bに対向するように配置されている。負極1
2の集電体12aには、たとえば、銅箔や銅製網体など
を用いることができる。
【0018】ポリマ電解質層13は、ゲル状のポリマ電
解質からなり、正極11と負極12との間に配置されて
いる。
【0019】本発明のリチウム・ポリマ二次電池では、
正極11、負極12およびポリマ電解質層13から選ば
れる少なくとも一つがポリマ粒子(図示せず)を含み、
そのポリマ粒子の融点が80℃以上150℃以下であ
る。
【0020】上記ポリマ粒子には、たとえば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ
メタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリアミド、
ポリイミド、ポリウレタンまたはポリ塩化ビニル等のポ
リマーを粒子化したものであって、融点が80℃以上1
50℃以下のものを用いることができる。これらのポリ
マ粒子は、単体でも、共重合化したものでもよい。融点
が80℃以上150℃以下のポリマ粒子を用いることに
よって、通常の充放電サイクルに大きな影響を与えるこ
となく熱暴走を防止することができる。
【0021】また、本発明のリチウム・ポリマ二次電池
を1C充電で120%充電したときの平均電池温度(こ
こで、電池温度とは電池の容器の温度をいう)をT
(℃)としたときに、ポリマ粒子の融点Tm(℃)が、
T+20≦Tm≦T+40の関係を満たすことが好まし
い。ポリマ粒子の融点Tm(℃)が、T+20≦Tmの
関係を満たすことによって、通常の充放電サイクルでは
ポリマ粒子が溶融することを防止できるため、サイクル
特性が良好なリチウム・ポリマ二次電池が得られる。ま
た、ポリマ粒子の融点Tm(℃)が、Tm≦T+40の
関係を満たすことによって、熱暴走時の過充電を防止で
きる。
【0022】さらに、上記ポリマ粒子の一次粒子の平均
粒子径は、0.005μm以上10μm以下であること
が好ましい。
【0023】以下に、正極11の正極層11b、負極1
2の負極層12b、ポリマ電解質層13について説明す
る。
【0024】正極層11bは、活物質、導電材、非水電
解液およびポリマを含み、必要に応じて上記ポリマ粒子
をさらに含む。
【0025】正極層11bに用いる活物質としては、た
とえば、リチウムマンガン複合酸化物、二酸化マンガ
ン、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバル
ト酸化物、リチウム含有コバルトニッケル酸化物、リチ
ウムを含む非晶質五酸化バナジウムのような種々の酸化
物、あるいは二硫化チタン、二硫化モリブデンなどが挙
げられる。
【0026】正極層11bに用いる導電材としては、た
とえば、人造黒鉛、アセチレンブラックなどのカーボン
ブラックなどが挙げられる。
【0027】正極層11bに用いる非水電解液は、非水
溶媒に電解質を溶解することによって調整される。電解
液に用いる非水溶媒としては、たとえば、エチレンカー
ボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネ
ート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、
γーブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、
1,2−ジメトキエタン、1,3−ジメトキシプロパ
ン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチ
ルテトラヒドロフランまたはγーブチロラクトン、ある
いはこれらの混合液などが挙げられる。また、電解液に
含まれる電解質としては、たとえば、過塩素酸リチウム
(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiP
6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒
素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホ
ン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメ
チルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2
2]等のリチウム塩などを用いることができる。
【0028】正極層11bに用いるポリマとしては、た
とえば、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピ
レン(VDF-HFP)の共重合体などが挙げられる。
VDFは共重合体の骨格部で機械的強度の向上に寄与
し、HFPは前記共重合体に非晶質として取り込まれ、
上記非水電解液の保持とリチウムイオンの透過部として
機能する。
【0029】負極層12bは、リチウムイオンを吸蔵す
る炭素系材料、非水電解液およびポリマを含み、必要に
応じてさらに上記ポリマ粒子を含む。
【0030】負極層12bに用いられる上記炭素系材料
としては、たとえば、有機高分子化合物(たとえば、フ
ェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、セルロース等)
を焼成することにより得られるもの、コークスやピッチ
を焼成することにより得られるもの、または人造グラフ
ァイト、天然グラファイトなどを挙げることができる。
また、負極層12bに用いられる非水電解液、ポリマお
よびポリマ粒子は、上述した正極層11bに用いられる
ものと同様のものを用いることができる。
【0031】ポリマ電解質層13は、非水電解液および
ポリマを含み、必要に応じて上記ポリマ粒子を含む。ポ
リマ電解質層13がポリマ粒子を含む場合には、必要に
応じてさらにセラミクス粒子を含んでもよい。
【0032】ポリマ電解質層13に用いられる非水電解
液、ポリマおよびポリマ粒子には、正極層11bで説明
したものと同様のものを用いることができる。
【0033】ポリマ電解質層13に用いられるセラミク
ス粒子には、たとえば、アルミナ、シリカゲル、チタニ
アまたはマグネシア、あるいはこれらの混合物等が挙げ
られる。
【0034】本発明のリチウム・ポリマ二次電池は、正
極11、負極12およびポリマ電解質層13から選ばれ
る少なくとも一つがポリマ粒子(図示せず)を含み、そ
のポリマ粒子の融点が80℃以上150℃以下である。
したがって、本発明のリチウム・ポリマ二次電池によれ
ば、充電時に電池温度が異常に高くなった場合でも、電
池に含まれるポリマ粒子が溶融してそれ以上充電される
ことを防止できる。そのため、本発明のリチウム・ポリ
マ二次電池では、特別な回路や機構を電池に付加するこ
となく熱暴走を防止できる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。
【0036】(実施例1)本発明のリチウム・ポリマ二
次電池を製造した一例について、以下に説明する。
【0037】正極層は、以下のように作製した。まず、
ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(V
DF-HFP)からなるポリマをアセトンに10重量%
溶解することによって、ポリマ溶液を作製した。次に、
リチウム含有コバルト酸化物を70重量%、アセチレン
ブラックを10重量%、前述したポリマ溶液を20重量
%になるように混合した。この混合液をドクターブレー
ドによって成膜し、常温で静置して自然乾燥させること
によって、厚さ100μmのシート状正極層を作製し
た。
【0038】負極層は、以下のように作製した。まず、
ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(V
DF-HFP)からなるポリマをアセトンに10重量%
溶解することによって、ポリマ溶液を作製した。次に、
グラファイトカーボンを80重量%、前述したポリマ溶
液を20重量%になるように混合した。この混合液をド
クターブレードによって成膜し、常温で静置して自然乾
燥させることによって、厚さ150μmのシート状負極
層を作製した。
【0039】ポリマ電解質層は、以下のように作製し
た。まず、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロ
ピレン(VDF-HFP)からなるポリマをアセトンに
10重量%溶解することによって、ポリマ溶液を作製し
た。次に、ポリマ粒子であるポリエチレン粒子(一次粒
子の平均粒子径:0.01μm、融点:90℃)が50
重量%、前述したポリマ溶液が50重量%になるように
これらを混合し、この混合液をドクターブレードによっ
て成膜し、常温で静置して自然乾燥させることによっ
て、厚さ30μmのシート状ポリマ電解質層を作製し
た。
【0040】次いで、2枚の前記シート状正極層の間に
アルミニウム製網体を配置して熱ロール圧延機によって
圧延、積層し、シート状正極とした。また、2枚の前記
シート状負極層の間に銅製網体を配置して熱ロール圧延
機によって圧延、積層し、シート状負極とした。次に、
上記正極と負極との間に上記シート状ポリマ電解質層を
配置し、熱ロール圧延機により積層した。
【0041】この積層物を、電解液に20分間浸漬する
ことによって、前記シート状正極層、シート状負極層お
よびシート状ポリマ電解質層に前記電解液を含浸させ、
本発明のリチウム・ポリマ二次電池を製造した。このと
き、電解液には、エチレンカーボネート(EC)に六フ
ッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル溶解した電
解液を用いた。このようにして、リチウム・ポリマ二次
電池を作製した。
【0042】(実施例2)本発明のリチウム・ポリマ二
次電池を製造した他の一例について、以下に説明する。
【0043】正極層は以下のように作製した。まず、ビ
ニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(VD
F-HFP)からなるポリマをアセトンに10重量%溶
解することによって、ポリマ溶液を作製した。次に、リ
チウム含有コバルト酸化物を60重量%、アセチレンブ
ラックを10重量%、前述したポリマ溶液を20重量
%、ポリエチレン粒子(一次粒子の平均粒子径:0.0
1μm、融点:90℃)を10重量%になるように混合
した。この混合液をドクターブレードによって成膜し、
常温で静置して自然乾燥させることによって、厚さ10
0μmのシート状正極を作製した。
【0044】ゲル状ポリマ電解質層については、上述し
た正極層のポリマ溶液をドクターブレードによって成膜
し、常温で静置して自然乾燥させることによって、厚さ
30μmのシート状ポリマ電解質層を作製した。すなわ
ち、ゲル状ポリマ電解質層は、正極層に用いたポリマ溶
液のみで作製した。
【0045】上述した正極層およびゲル状ポリマ電解質
層以外は、実施例1と同様の方法で作製し、本発明のリ
チウム・ポリマ二次電池を作製した。
【0046】(実施例3)本発明のリチウム・ポリマ二
次電池を製造したその他の一例について、以下に説明す
る。
【0047】負極層は、以下のように作製した。まず、
ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(V
DF-HFP)からなるポリマをアセトンに10重量%
溶解することによって、ポリマ溶液を作製した。次に、
グラファイトカーボンを70重量%、前述したポリマ溶
液を20重量%、ポリエチレン粒子(一次粒子の平均粒
子径:0.01μm、融点:90℃)を10重量%にな
るように混合した。この混合液をドクターブレードにて
成膜し、常温で静置して自然乾燥することによって厚さ
150μmのシート状負極を作製した。
【0048】ゲル状ポリマ電解質層については、負極層
に用いたポリマ溶液をドクターブレードによって成膜
し、常温で静置して自然乾燥させることによって、厚さ
30μmのシート状ポリマ電解質層を作製した。
【0049】上述した負極層およびゲル状ポリマ電解質
層以外は、実施例1と同様に作製し、本発明のリチウム
・ポリマ二次電池を作製した。
【0050】(実施例4)本発明のリチウム・ポリマ二
次電池を製造したその他の一例について、以下に説明す
る。
【0051】ゲル状ポリマ電解質層は、以下のように作
製した。まず、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロ
プロピレン(VDF-HFP)からなるポリマをアセト
ンに10重量%溶解することによってポリマ溶液を作製
した。次に、ポリマ粒子であるポリエチレン粒子(一次
粒子の平均粒子径:0.01μm、融点:90℃)を2
5重量%、セラミクス粒子であるシリカゲル粒子(一次
粒子の平均粒子径:0.01μm)を25重量%、前述
したポリマ溶液を50重量%になるように混合した。次
に、この混合液をドクターブレードによって成膜し、常
温で静置して自然乾燥させることによって、厚さ30μ
mのシート状ポリマ電解質層を作製した。ゲル状ポリマ
電解質層以外は実施例1と同様に作製し、本発明のリチ
ウム・ポリマ二次電池を作製した。
【0052】(比較例1)比較例1として、ポリマ粒子
を含まないリチウム・ポリマ電池を作製した一例につい
て、以下に説明する。
【0053】比較例1では、実施例1で説明したポリマ
溶液をドクターブレードによって成膜し、常温で静置し
て自然乾燥させることによって、厚さ30μmのシート
状ポリマ電解質層を作製した。すなわち、比較例1のポ
リマ電解質層は、ポリマ粒子を含まない。また、ポリマ
電解質層以外は実施例1と同様に作製し、リチウム・ポ
リマ二次電池を作製した。
【0054】(比較例2)比較例2として、ゲル状ポリ
マ電解質層に含まれるポリエチレン粒子の融点が70℃
である以外は実施例1と同様であるリチウム・ポリマ二
次電池を作製した。
【0055】(比較例3)比較例3として、ゲル状ポリ
マ電解質層に含まれるポリエチレン粒子の融点が200
℃である以外は実施例1と同様であるリチウム・ポリマ
二次電池を作製した。
【0056】以上のように作製された電池について、3
C(3A)の定電流で過充電状態となるように充電し、
充電時間と電池温度との関係について測定した。なお、
電池温度は、電池の容器表面に熱伝対を密着させて測定
した。測定結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1に示したように、実施例1〜4および
比較例2のリチウム・ポリマ二次電池では、過充電状態
となっても発煙が生じなかった。これは、電池温度が1
00℃付近に達すると、正極、負極またはポリマ電解質
層内のポリエチレン粒子が溶融し、ポリエチレンの膜を
形成したためであると考えられる。ポリエチレンは導電
性がほとんどないので、電池に電流が流れなくなり熱暴
走を未然に防ぎ、電池の発煙が生じなかったものと考え
られる。
【0059】比較例2においては、電池の発煙は生じな
いが、70℃程度でポリエチレン粒子が溶融し、電池と
して機能しなくなった。電池の使用環境として、70℃
付近での用途は十分考えられるため、このような電池は
用いることはできない。したがって、リチウム・ポリマ
二次電池に含まれるポリマ粒子の融点は、80℃以上で
あることが好ましい。
【0060】比較例3のリチウム・ポリマ二次電池で
は、ポリエチレン粒子の融点が200℃であるため、電
池温度が200℃に達するまでポリエチレン粒子が溶融
せず、発煙を生じたものと思われる。
【0061】また、実施例1〜4および比較例1〜3に
ついて、充電電流40mA、充電電圧4.2V、充電時
間10時間の定電流定電圧充電を行った後、放電電圧が
2.7Vになるまで40mAの定電流で放電する充放電
を繰り返し行い、各電池の1サイクル目及び50サイク
ル目の放電容量を測定した。測定結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】表2に示したように、実施例1〜4のリチ
ウム・ポリマ二次電池は、サイクル特性が良好な電池で
あることが分かった。特に実施例4のリチウム・ポリマ
二次電池は、ポリマ電解質層内にシリカゲル粒子を含有
しているため、充放電時に生じる正極層および負極層の
膨張収縮を抑制することができる。この抑制効果によ
り、正極層とポリマ電解質層との剥離、または負極層と
ポリマ電解質層との剥離を抑制することができ、サイク
ル特性がより向上したものと思われる。
【0064】以上、本発明の実施の形態について一例を
挙げて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定され
ず、本発明の技術的思想に基づいて、様々な実施形態へ
の適用が可能である。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のリチウム
・ポリマ二次電池は、正極、負極およびポリマ電解質層
から選ばれる少なくとも一つが、融点が80℃以上15
0℃以下のポリマ粒子を含む。したがって、本発明のリ
チウム・ポリマ二次電池によれば、特別な回路や機構を
電池に付加することなく熱暴走を防止できるリチウム・
ポリマ二次電池を提供する。
【0066】また、本発明のリチウム・ポリマ二次電池
では、上記ポリマ粒子の一次粒子の平均粒子径を0.0
05μm以上10μm以下とすることによって、サイク
ル特性の良好なリチウム・ポリマ二次電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリチウム・ポリマ二次電池につい
て、一部拡大断面を示す模式図である。
【符号の説明】
11 正極 11a、12a 集電体 11b 正極層 12 負極 12b 負極層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ05 AJ12 AK02 AK03 AK05 AL06 AM01 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 BJ02 BJ04 DJ08 DJ09 DJ16 EJ08 EJ12 HJ05 HJ14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極および負極からなる一対の電極と、
    前記一対の電極間に配置されたポリマ電解質層とを備え
    るリチウム・ポリマ二次電池であって、 前記正極、前記負極および前記ポリマ電解質層から選ば
    れる少なくとも一つがポリマ粒子を含み、 前記ポリマ粒子の融点が80℃以上150℃以下である
    ことを特徴とするリチウム・ポリマ二次電池。
  2. 【請求項2】 セラミクス粒子をさらに含み、 前記ポリマ電解質層は、前記ポリマ粒子と前記セラミク
    ス粒子とを含む請求項1に記載のリチウム・ポリマ二次
    電池。
  3. 【請求項3】 前記ポリマ粒子の一次粒子の平均粒子径
    が、0.005μm以上10μm以下である請求項1ま
    たは2に記載のリチウム・ポリマ二次電池。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002067355A1 (fr) * 2001-02-22 2002-08-29 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Batterie lithium - polymere
JP2013171681A (ja) * 2012-02-20 2013-09-02 Asahi Kasei Corp 非水電池用電解液及びそれを用いた電池

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