JP2001006216A - 光学的情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

光学的情報記録媒体及びその製造方法

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JP2001006216A
JP2001006216A JP11172549A JP17254999A JP2001006216A JP 2001006216 A JP2001006216 A JP 2001006216A JP 11172549 A JP11172549 A JP 11172549A JP 17254999 A JP17254999 A JP 17254999A JP 2001006216 A JP2001006216 A JP 2001006216A
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substrate
adhesive
thin film
recording medium
optical information
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JP11172549A
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English (en)
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Hidemi Isomura
秀己 磯村
Eiji Ono
鋭二 大野
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線硬化型接着剤、ホットメルト樹脂ある
いはカチオン重合系接着剤を用いて基板を貼り合わせた
場合でも、ノイズの発生を防止することができる、光透
過性のある積層薄膜層を備えた実用的な光ディスクを提
供する。 【解決手段】 2層構造の光ディスクにおいては、第1
基板1及び第2基板2の、信号記録用の案内溝が形成さ
れた基板表面上にそれぞれ、エネルギー光線の照射によ
り情報を記録することができる積層情報薄膜層3、4が
設けられている。ここで、第1基板1と第2基板2と
は、積層情報薄膜層3、4が両基板間に位置し、かつ両
基板の基板表面同士が対向するようにして、記録された
信号の再生波長の光に対する光透過率が80%以下の接
着剤で貼り合わされている。かかる構成により、ノイズ
の発生を防止することができる実用的な光ディスクが得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2枚の基板が貼り
合わされてなる、記録可能な光学的情報記録媒体、とく
に光ディスクと、その製造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ光線を利用して高密度な情報の再
生あるいは記録を行う技術は公知であり、この技術は主
に光ディスクとして実用化されている。そして、光ディ
スクは、再生専用型光ディスクと、追記型光ディスク
と、書換型ディスクとに大別することができる。ここ
で、再生専用型光ディスクは、音楽情報を記録したコン
パクトディスク(CD)や画像情報を記録したレーザデ
ィスク(LD)等として商品化され、また追記型光ディ
スクは、文書ファイルや静止型ファイル等として商品化
されている。そして、現在では、書換型ディスクを中心
に研究開発が進められており、書換型ディスクは、パソ
コン用のデータファイル等として商品化されつつある。
【0003】このような光ディスクの形態としては、厚
さ1.2mmの透明な樹脂基板の一方の基板表面(主
面、広がり面)に情報記録層を設け、この情報記録層の
上に、オーバコート等の保護層を設けたもの、あるいは
基板と同一の保護板を接着剤で貼り合わせたものなどが
一般的である。
【0004】また、近年、光ディスクの高密度化を目的
として、レーザ波長を短くし、かつ開口数(NA)の大
きな対物レンズを用いるといった検討が進められてい
る。しかしながら、このような短波長化及び高NA化
は、レーザ光の投入方向に対する光ディスクの傾き角度
(チルト)の許容値を小さくするといった問題を生じさ
せる。ここで、チルトの許容値を大きくするには、基板
の厚さを薄くすることが有効であり、このため、例えば
DVD(デジタルバーサタイルディスクないしはデジタ
ルビデオディスク)では、基板厚さが0.6mmとされ
ている。しかしながら、厚さ0.6mmの樹脂基板は、
単板構造では機械的強度が比較的弱いので、DVDは、
普通、情報記録面を内側にして2枚の基板が貼り合わさ
れた2層構造とされている。
【0005】ここで、基板の貼り合わせ方法としては、
例えば、次のようなものがあげられる。第1に、1つの
基板上にUV樹脂(紫外線硬化樹脂)を塗布し、これに
もう1つの基板を密着させ、UV(紫外線)を照射して
硬化させるといった方法、いわゆるUV工法があげられ
る。第2に、基板の貼り合わせ面側にホットメルト樹脂
を塗布した後、両基板を密着させるといった方法があげ
られる。第3に、両基板を、粘着シート(両面テープ)
で貼り合わせるといった方法があげられる。第4に、基
板の貼り合わせ面側に、カチオン重合系樹脂を主成分と
するUV樹脂を、スクリーン印刷等によって、例えば2
0μmの厚さで塗布し、紫外線を照射して粘着性を発現
させた後両基板を密着させ、硬化が完了するまで養生す
るといった方法、いわゆる遅効性UV法があげられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、2層構
造の光ディスクにおける基板の貼り合わせ方法としてU
V工法を用いた場合、光ディスクの積層薄膜層は、その
構成によってはかなりの光透過率をもつので、照射され
たレーザ光のうち記録薄膜を透過した光が裏面の基板の
アドレスを有するセクタで反射して戻ってくる。このた
め、かかる従来の光ディスクでは、この反射光に起因し
て記録再生時にノイズが発生するといった問題があっ
た。また、ホットメルト樹脂あるいはカチオン重合系接
着剤を用いるようにした貼り合わせ方法では、塗布ムラ
に起因して生じる泡の影響により、記録再生時にノイズ
が発生するといった問題があった。
【0007】本発明は、上記従来の問題を解決するため
になされたものであって、両基板の貼り合わせに紫外線
硬化型接着剤、ホットメルト樹脂あるいはカチオン重合
系接着剤を用いた場合でもノイズが発生しない、光透過
性をもつ積層薄膜層が設けられた2層構造の光ディスク
ないしは光学的情報記録媒体と、その製造方法とを提供
することを解決すべき課題ないしは目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた、本発明の第1の態様にかかる光学的情報記
録媒体は、(a)第1基板と第2基板の少なくとも一方
(好ましくは両方)において、信号記録用の案内溝が形
成された基板表面(主面、広がり面)上に、エネルギー
光線の照射により情報を記録することができる積層薄膜
層(積層情報薄膜層)が設けられ、(b)第1基板と第
2基板とが、積層薄膜層が両基板間に位置し、かつ両基
板の基板表面同士が対向するようにして、接着剤で貼り
合わされている光学的情報記録媒体であって、(c)記
録された信号の再生波長の光に対する接着剤の光透過率
が80%以下であることを特徴とするものである。
【0009】本発明の第2の態様にかかる光学的情報記
録媒体の製造方法は、(a)第1基板と第2基板の少な
くとも一方(好ましくは、両方)について、信号記録用
の案内溝が形成された基板表面上に、エネルギー光線の
照射により情報を記録することができる積層薄膜層を設
ける工程と、(b)第1基板と第2基板とを、積層薄膜
層が両基板間に位置し、かつ両基板の基板表面同士が対
向するようにして、接着剤で貼り合わせる工程とを含ん
でいる光学的情報記録媒体の製造方法であって、(c)
接着剤として、記録された信号の再生波長の光に対する
光透過率が80%以下の接着剤を用いることを特徴とす
るものである。
【0010】本発明の第1又は第2の態様にかかる光学
的情報記録媒体又はその製造方法においては、接着剤は
紫外線硬化型接着剤であるのが好ましく、該接着剤の消
衰係数は0.003以上であるのがさらに好ましい。そ
して、積層薄膜層の光透過率は10%以上であるのが好
ましい。また、基板の信号記録領域は、アドレスを有す
るセクター構造領域であるのが好ましい。
【0011】本発明の第3の態様にかかる光学的情報記
録媒体は、(a)第1基板と第2基板の少なくとも一方
において、信号記録用の案内溝が形成された基板表面上
に、エネルギー光線の照射により情報を記録することが
できる積層薄膜層と、該積層薄膜層を覆うオーバーコー
トとが設けられ、(b)第1基板と第2基板とが、積層
薄膜層及びオーバーコートが両基板間に位置し、かつ両
基板の基板表面同士が対向するようにして、接着剤で貼
り合わされている光学的情報記録媒体であって、(c)
オーバーコートの光透過率が80%以下であることを特
徴とするものである。
【0012】本発明の第4の態様にかかる光学的情報記
録媒体の製造方法は、(a)第1基板と第2基板の少な
くとも一方について、信号記録用の案内溝が形成された
基板表面上に、エネルギー光線の照射により情報を記録
することができる積層薄膜層を設ける工程と、(b)基
板表面上に紫外線硬化型樹脂をスピンコート法により塗
布した後で紫外線を照射し、積層薄膜層を覆うオーバー
コートを設ける工程と、(c)第1基板と第2基板と
を、積層薄膜層及びオーバーコートが両基板間に位置
し、かつ両基板の基板表面同士が対向するようにして、
接着剤で貼り合わせる工程とを含んでいる光学的情報記
録媒体の製造方法であって、(d)オーバーコートの材
料である紫外線硬化型樹脂の光透過率を80%以下に設
定することを特徴とするものである。
【0013】本発明の第3又は第4の態様にかかる光学
的情報記録媒体又はその製造方法においては、接着剤
は、カチオン重合系紫外線硬化型樹脂、ホットメルト樹
脂又は粘着シートであるのが好ましい。そして、オーバ
コートの消衰係数は0.006以上であるのが好まし
い。また、積層薄膜層の光透過率は10%以上であるの
が好ましい。
【0014】かくして、両基板の貼り合わせに紫外線硬
化型接着剤、ホットメルト樹脂あるいはカチオン重合系
接着剤を用いた場合でもノイズが発生しない、光透過性
をもつ積層薄膜層が設けられた実用的な2層構造の光学
的情報記録媒体が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。光ディスク装置においては、前記のとお
り、光ディスク等の光学的情報記録媒体(以下、「光記
録媒体」という)に記録される情報を高密度化するた
め、レーザの短波長化とレンズの高NA(開口数)化と
が図られている。これに伴って光記録媒体の基板の薄型
化が求められ、このため、例えばDVDでは、一般に基
板の厚さは0.6mmとされている。しかしながら、樹
脂製基板の場合、厚さが0.6mmの単板構造では、そ
の機械的強度が比較的低いので、該光記録媒体は、普
通、2枚の基板が情報記録面が内側となるようにして貼
り合わされた2層構造とされる。
【0016】そして、かかる光記録媒体のうち、情報の
書き換えが可能なタイプの光記録媒体すなわち書換型光
記録媒体は、一般に、ポリカーボネイト(ポリカーボネ
ート)等からなる透明な基板の表面上に、2つの誘電体
層でサンドイッチ状にはさまれた記録層が設けられ、さ
らにこの上に反射層が設けられた構造とされている。こ
こで、各誘電体層は、光記録媒体内に侵入してくる水分
や酸素から記録層を保護し、あるいは信号記録時におい
て記録層が高温に達した場合に基板がダメージを受ける
のを防止するために設けられる。このため、書換型光記
録媒体では、ほとんどの場合、誘電体層は必須の構成要
素である。また、反射層は、記録層を光学的にエンハン
スして再生信号を増大させ、あるいは記録層を冷却する
ために設けられる。
【0017】ここで、誘電体層の材料としては、金属や
半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、フッ化物、
炭化物等、あるいはこれらの混合物を用いることができ
る。より具体的には、SiO2、SiO、Al23、G
eO2、In23、Ta25、TeO2、TiO2、Mo
3、WO3、ZrO2、Si34、Ge34、AlN、
BN、TiN、ZnS、CdS、CdSe、ZnSe、
ZnTe、AgF、PbF2、MnF2、NiF2、Si
Cの単体、あるいはこれらの混合物を用いることがで
き、さらにはダイヤモンド薄膜、ダイヤモンドライクカ
ーボン等も用いることができる。
【0018】記録層の材料としては、相変化により情報
を記録するタイプの光記録材料の場合は、GeSbT
e、InSbTe、InSbTeAg、GaSb、In
GaSb、GeSnTe、AgSbTe等の合金を用い
ることができる。なお、他のメカニズムにより情報を記
録するタイプの光記録材料を用いてもよい。
【0019】反射層の材料としては、Au、Al、C
u、Cr、Ni、Ti等の金属材料を主成分とする材
料、あるいはこれらの混合物を用いることができる。ま
た、誘電体層、記録層又は反射層の成膜手法としては、
スパッタ法や真空蒸着法等を用いることができる。
【0020】そして、本願発明者は、かかる構造の書換
型光記録媒体(光ディスク)では、積層薄膜層は、その
膜厚ないしは構成によっては光透過率が非常に高くなる
ということを見出した。また、本願発明者は、かかる膜
厚ないしは構成の積層薄膜層においては、基板の貼り合
わせに用いられる紫外線ランプの波長(360nm)付
近での紫外線の透過率はおよそ10%であり、該積層薄
膜層を通しての紫外線照射でも、接着剤が充分に硬化
し、基板の貼り合わせが可能であることを見出した。
【0021】しかしながら、このように基板が貼り合わ
された光記録媒体の信号の再生波形を観察したところ、
波形に歪みが発生していることが判明した。これは、裏
面のアドレスを有するセクタにより反射光量が変化した
ことにより生じたものであると推察される。この歪みに
より、光記録媒体のデータが復元できないこともありう
る。また、ホットメルト樹脂あるいはカチオン重合系接
着剤を用いて基板の貼り合わせを行った場合、塗布ムラ
に起因して生じる泡の影響により、記録再生時にノイズ
が発生することがある。かくして、本願発明者は、基板
の貼り合わせに用いられる紫外線硬化型接着剤の光透過
率が80%以下であれば、製作された記録媒体(光ディ
スク)のノイズを低レベルに抑制することができるとい
うことを見出した。
【0022】(実施の形態1)以下、本願発明者の上記
知見に基づいて、本発明の実施の形態1を詳細に説明す
る。この実施の形態1では、第1基板と第2基板とが、
紫外線硬化型接着剤(UV樹脂)で貼り合わされてなる
両面記録再生型光ディスク(光記録媒体)ないしはその
製造方法について説明する。
【0023】図1に示すように、実施の形態1にかかる
両面記録再生型光ディスクにおいては、第1基板1の一
方の基板表面(主面、広がり面)に信号記録用の案内溝
(図示せず)が形成され、この基板表面(以下、「案内
溝側表面」という)上に、少なくとも誘電体層と記録層
とが積層されてなる積層情報薄膜層3(積層薄膜層)が
設けられている。他方、第2基板2の、第1基板1の案
内溝側表面と対向する方の基板表面にも信号記録用の案
内溝(図示せず)が設けられ、この基板表面(案内溝側
表面)上には、第1基板1の積層情報薄膜層3と同一構
成である積層情報薄膜層4が設けられている。そして、
第1基板1と第2基板2とは、それぞれの案内溝側表面
が互いに対向するようにして、すなわち両基板1、2間
に両積層情報薄膜層3、4をはさむようにして、紫外線
硬化型接着剤で貼り合わされている。
【0024】第1基板1と第2基板2とは同一構成であ
って、いずれもインジェクション法により製作された、
厚さ0.6mm、直径120mm、中心穴径15mmの
ポリカーボネイト基板である。そして、前記のとおり、
両基板1、2の各案内溝側表面には、それぞれ、信号記
録用の案内溝が設けられるとともに、積層情報薄膜層
3、4が設けられている。各積層情報薄膜層3、4は、
それぞれ、詳しくは図示していないが、基板1、2の案
内溝側表面上に順次積層された、第1誘電体層と、記録
層と、第2誘電体層と、反射層とで構成されている。
【0025】ここで、各積層情報薄膜層3、4は、およ
そ次のような手順で形成される。すなわち、まず、基板
1、2の案内溝側表面上に、スパッタ法により厚さ11
0nmのZnS−SiO2層(ZnSとSiO2の混合物
からなる誘電体層)が形成され、これが第1誘電体層と
される。次に、この第1誘電体層の上に、レーザー照射
によりアモルファスと結晶との間で可逆的に状態変化す
ることができる、厚さ10nmの相変化型の記録層(G
eSbTe合金)が形成される。そして、この記録層の
上に、厚さ20nmのZnS−SiO2層が形成され、
これが第2誘電体層とされる。さらに、この第2誘電体
層の上に、厚さ20nmのAu膜が形成され、これが反
射層とされる。なお、この積層情報薄膜層3、4の光透
過率を測定したところ、両基板1、2の貼り合わせに用
いられる紫外線ランプの主波長(360nm)付近で
は、紫外線透過率が13%であった。
【0026】次に、両基板1、2の貼り合わせに用いら
れるUV樹脂(紫外線硬化型接着剤)に、光透過率が6
0%となるように顔料が添加される。この顔料は、UV
樹脂に適用できるものであれば何でもよいが、用いられ
る光の吸収が大きいものがとくに有利である。具体的に
は、例えば、黒色のカーボンブラック、セラミックブラ
ック、緑色の酸化クロム、青色のウルトラマリンブルー
等を用いることができる。なお、この実施の形態1で
は、黒色のカーボンブラックが用いられている。そし
て、UV樹脂を用いて、該UV樹脂の膜厚が40μmと
なるように、両基板1、2が貼り合わされ、本発明にか
かる光ディスクが製作される。なお、比較のため、顔料
が添加されていないUV樹脂を用いて、上記の本発明に
かかる光ディスクの場合と同様に、基板1、2を貼り合
わせて比較用の光ディスクが製作された。
【0027】そして、このように製作された本発明にか
かる光ディスクと比較用の光ディスクとについて、レー
ザ波長が650nmであり、開口数(NA)が0.6で
ある光学系を有する信号評価装置により、各光ディスク
を6m/sで回転させながら最短マーク長が0.6μm
の(8−16)変調信号を記録し、この後再生を行って
BER(ビットエラーレート)の評価を行った。
【0028】この評価によれば、顔料が添加されていな
いUV樹脂で貼り合わされた比較用の光ディスク(従来
例)ではBERが3×10-4であるのに対し、顔料が添
加されたUV樹脂で貼り合わされた本発明にかかる光デ
ィスクではBERが2×10 -5である。したがって、本
発明にかかる光ディスクでは、比較用の光ディスクに比
べて、ノイズの発生が低減されるといった良好な結果が
得られる。なお、顔料が添加されていないUV樹脂で貼
り合わされた比較用の光ディスクのBERが悪いのは、
照射されたレーザ光のうち記録膜を透過した光の反射量
が、裏面の基板のアドレスを有するセクタにより変化し
てしまい、これにより再生波形にひずみが生じるからで
あると推察される。
【0029】この実施の形態1では、前記のとおり、U
V樹脂(紫外線硬化型接着剤)の光透過率を60%に設
定しているが、この光透過率は80%以下であれば、上
記結果と同様の良好な特性を得ることができる。なお、
かかるUV樹脂においては、一般的な膜厚において消衰
係数が0.003以上であれば、光透過率がおおむね8
0%以下となるので、消衰係数に基づいてUV樹脂の光
透過率を設定ないしは調整するようにしてもよい。
【0030】(実施の形態2)以下、実施の形態2を説
明する。この実施の形態2では、それぞれオーバーコー
トを備えた第1基板と第2基板とが、カチオン重合系接
着剤で貼り合わされてなる両面記録再生型光ディスクな
いしはその製造方法について説明する。
【0031】図2に示すように、この両面記録再生型光
ディスクにおいては、第1基板5の一方の基板表面に信
号記録用の案内溝(図示せず)が形成され、この基板表
面(以下、「案内溝側表面」という)上に、少なくとも
誘電体層と記録層とが積層されてなる積層情報薄膜層7
が設けられている。さらに、第1基板5の案内溝側表面
上には、該案内溝側表面の一部(周縁部)と積層情報薄
膜層7とを覆う(保護する)オーバーコート9が設けら
れている。
【0032】他方、第2基板6の、第1基板5の案内溝
側表面と対向する方の基板表面にも、信号記録用の案内
溝(図示せず)が形成され、この基板表面(以下、「案
内溝側表面」という)上には、第1基板5の積層情報薄
膜層7と同一構成である積層情報薄膜層8が設けられて
いる。さらに、第2基板6の案内溝側表面上には、該案
内溝側表面の一部(周縁部)と積層情報薄膜層8とを覆
う(保護する)オーバーコート10が設けられている。
【0033】そして、第1基板5と第2基板6とは、そ
れぞれの案内溝側表面(オーバーコート9、10)が互
いに対向するようにして、すなわち両基板5、6間に両
積層情報薄膜層7、8及び両オーバーコート9、10を
はさむようにして、カチオン重合系接着剤で貼り合わさ
れている。
【0034】第1基板5と第2基板6とは同一構成であ
って、いずれもインジェクション法により製作された、
厚さ0.6mm、直径120mm、中心穴径15mmの
ポリカーボネイト基板である。そして、前記のとおり、
両基板5、6の各案内溝側表面には、それぞれ、信号記
録用の案内溝が形成されるとともに、積層情報薄膜層
7、8が設けられている。各積層情報薄膜層7、8は、
それぞれ、詳しくは図示していないが、基板5、6の案
内溝側表面上に順次積層された、第1誘電体層と、記録
層と、第2誘電体層と、反射層とで構成されている。
【0035】ここで、各積層情報薄膜層7、8は、およ
そ次のような手順で形成される。すなわち、まず、基板
5、6の案内溝側表面上に、スパッタ法により厚さ11
0nmのZnS−SiO2層(ZnSとSiO2の混合物
からなる誘電体層)が形成され、これが第1誘電体層と
される。次に、この第1誘電体層の上に、レーザー照射
によりアモルファスと結晶との間で可逆的に状態変化す
ることができる、厚さ10nmの相変化型の記録層(G
eSbTe合金)が形成される。そして、この記録層の
上に、厚さ20nmのZnS−SiO2層が形成され、
これが第2誘電体層とされる。さらに、この第2誘電体
層の上に、厚さ20nmのAu膜が形成され、これが反
射層とされる。
【0036】さらに、積層情報薄膜層7、8を保護する
ために、スピンコート法により、該積層情報薄膜層7、
8ないしは基板5、6の案内溝側表面(積層情報薄膜層
7、8によって覆われていない部分)に、厚さ5μmの
紫外線硬化型樹脂層が形成される。そして、この紫外線
硬化型樹脂層に紫外線が照射され、該紫外線硬化型樹脂
層が硬化してオーバコート9、10となる。
【0037】ここにおいて、オーバーコート9、10の
材料として用いられるUV樹脂(紫外線硬化型樹脂)に
は、その光透過率が60%となるように顔料が添加され
る。この顔料は、UV樹脂に適用できるものであれば何
でもよいが、用いられる光の吸収が大きいものがとくに
有利である。例えば、黒色のカーボンブラック、セラミ
ックブラック、緑色の酸化クロム、青色のウルトラマリ
ンブルー等を用いることができる。なお、この実施の形
態2では、黒色のカーボンブラックが用いられている。
【0038】この後、遅効性UV法により、両基板5、
6の貼り合わせが行われる。具体的には、まず両基板
5、6のオーバコート9、10に、それぞれ、カチオン
重合系樹脂を主成分とする紫外線硬化型接着剤が、スク
リーン印刷法により20μmの厚さで塗布される。次
に、この接着剤に紫外線が照射される。そして、接着剤
に粘着性が発現した後、第1基板5と第2基板6とが、
それぞれのオーバーコート9、10が互いに対向するよ
うにして密着させられ、養成される。これにより、第1
基板5と第2基板6とが貼り合わされ、本発明にかかる
光ディスクが完成する。なお、比較のため、オーバーコ
ートの材料として、顔料が添加されていないUV樹脂
(オーバコート剤)を用いて、上記の本発明にかかる光
ディスクの場合と同様に、比較用の光ディスクが製作さ
れた。
【0039】そして、このように製作された本発明にか
かる光ディスクと比較用の光ディスクとについて、レー
ザ波長が650nmであり、開口数(NA)が0.6で
ある光学系を有する信号評価装置により、各光ディスク
を6m/sで回転させながら、5MHzと3MHzとで
交互に10回オーバライトした後、5MHzの信号のC
NR(信号雑音比)を測定・評価した。なお、ディスク
特性の良否は、CNRが50dB以上であるか否かを基
準にして評価した。
【0040】この評価においては、顔料が添加されてい
ないUV樹脂(オーバコート剤)を用いた比較用の光デ
ィスク(従来例)では、CNRが48dBであるのに対
し、顔料が添加されたUV樹脂(オーバコート剤)を用
いた本発明にかかる光ディスクでは、CNRが52dB
であった。したがって、本発明にかかる光ディスクで
は、比較用の光ディスクに比べて、ノイズが低減される
といった良好な結果が得られていることがわかる。な
お、顔料が添加されていないUV樹脂(オーバコート
剤)を用いた比較用の光ディスクのCNRが悪いのは、
照射されたレーザ光がオーバコートを透過した後、塗布
ムラにより生じた泡の影響により乱され、これによりノ
イズが発生したためであると推察される。
【0041】この実施の形態2では、両基板5、6の貼
り合わせ方法として遅効性UV法を用いているが、貼り
合わせ方法はこれに限定されるものではなく、例えばホ
ットメルト樹脂で貼り合わせる方法、あるいは粘着シー
トで貼り合わせる方法を用いた場合でも、同様の効果が
得られる。また、オーバーコートの材料であるUV樹脂
(オーバーコート剤)においては、一般的な膜厚におい
て消衰係数が0.006以上であれば、その光透過率が
おおむね80%以下となるので、消衰係数に基づいてU
V樹脂(オーバーコート剤)の光透過率を設定ないしは
調整するようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】以上、本発明によれば、両基板の貼り合
わせに紫外線硬化型接着剤、ホットメルト樹脂あるいは
カチオン重合系接着剤を用いた場合でもノイズが発生し
ない、光透過性をもつ積層薄膜層が設けられた実用的な
2層構造の光学的情報記録媒体ないしは光ディスクが得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかる光ディスクの
断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態2にかかる光ディスクの
断面図である。
【符号の説明】
1…第1基板、2…第2基板、3…積層情報薄膜層、4
…積層情報薄膜層、5…第1基板、6…第2基板、7…
積層情報薄膜層、8…積層情報薄膜層、9…オーバコー
ト、10…オーバーコート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D029 RA04 RA05 RA08 RA25 RA28 RA29 RA30 5D121 AA01 AA02 AA04 AA07 EE03 EE22 FF01 FF03

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1基板と第2基板の少なくとも一方に
    おいて、信号記録用の案内溝が形成された基板表面上
    に、エネルギー光線の照射により情報を記録することが
    できる積層薄膜層が設けられ、 前記第1基板と前記第2基板とが、前記積層薄膜層が両
    基板間に位置し、かつ両基板の基板表面同士が対向する
    ようにして、接着剤で貼り合わされている光学的情報記
    録媒体であって、 記録された信号の再生波長の光に対する前記接着剤の光
    透過率が80%以下であることを特徴とする光学的情報
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記接着剤が紫外線硬化型接着剤である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学的情報記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記接着剤の消衰係数が0.003以上
    であることを特徴とする、請求項1に記載の光学的情報
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記積層薄膜層の光透過率が10%以上
    であることを特徴とする、請求項1に記載の光学的情報
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記基板の信号記録領域が、アドレスを
    有するセクター構造領域であることを特徴とする、請求
    項1に記載の光学的情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 第1基板と第2基板の少なくとも一方に
    ついて、信号記録用の案内溝が形成された基板表面上
    に、エネルギー光線の照射により情報を記録することが
    できる積層薄膜層を設ける工程と、 前記第1基板と前記第2基板とを、前記積層薄膜層が両
    基板間に位置し、かつ両基板の基板表面同士が対向する
    ようにして、接着剤で貼り合わせる工程とを含んでいる
    光学的情報記録媒体の製造方法であって、 前記接着剤として、記録された信号の再生波長の光に対
    する光透過率が80%以下の接着剤を用いることを特徴
    とする光学的情報記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記接着剤が紫外線硬化型接着剤である
    ことを特徴とする、請求項6に記載の光学的情報記録媒
    体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記接着剤の消衰係数が0.003以上
    であることを特徴とする、請求項6に記載の光学的情報
    記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記積層薄膜層の光透過率が10%以上
    であることを特徴とする、請求項6に記載の光学的情報
    記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記基板の信号記録領域が、アドレス
    を有するセクター構造領域であることを特徴とする、請
    求項6に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 第1基板と第2基板の少なくとも一方
    において、信号記録用の案内溝が形成された基板表面上
    に、エネルギー光線の照射により情報を記録することが
    できる積層薄膜層と、該積層薄膜層を覆うオーバーコー
    トとが設けられ、 前記第1基板と前記第2基板とが、前記積層薄膜層及び
    前記オーバーコートが両基板間に位置し、かつ両基板の
    基板表面同士が対向するようにして、接着剤で貼り合わ
    されている光学的情報記録媒体であって、 前記オーバーコートの光透過率が80%以下であること
    を特徴とする光学的情報記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記接着剤が、カチオン重合系紫外線
    硬化型樹脂、ホットメルト樹脂又は粘着シートであるこ
    とを特徴とする、請求項11に記載の光学的情報記録媒
    体。
  13. 【請求項13】 前記オーバコートの消衰係数が0.0
    06以上であることを特徴とする、請求項11に記載の
    光学的情報記録媒体。
  14. 【請求項14】 前記積層薄膜層の光透過率が10%以
    上であることを特徴とする、請求項11に記載の光学的
    情報記録媒体。
  15. 【請求項15】 第1基板と第2基板の少なくとも一方
    について、信号記録用の案内溝が形成された基板表面上
    に、エネルギー光線の照射により情報を記録することが
    できる積層薄膜層を設ける工程と、 前記基板表面上に紫外線硬化型樹脂をスピンコート法に
    より塗布した後で紫外線を照射し、前記積層薄膜層を覆
    うオーバーコートを設ける工程と、 前記第1基板と前記第2基板とを、前記積層薄膜層及び
    前記オーバーコートが両基板間に位置し、かつ両基板の
    基板表面同士が対向するようにして、接着剤で貼り合わ
    せる工程とを含んでいる光学的情報記録媒体の製造方法
    であって、 前記オーバーコートの材料である紫外線硬化型樹脂の光
    透過率を80%以下に設定することを特徴とする光学的
    情報記録媒体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記接着剤が、カチオン重合系紫外線
    硬化型樹脂、ホットメルト樹脂又は粘着シートであるこ
    とを特徴とする、請求項15に記載の光学的情報記録媒
    体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記オーバコートの消衰係数が0.0
    06以上であることを特徴とする、請求項15に記載の
    光学的情報記録媒体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記積層薄膜層の光透過率が10%以
    上であることを特徴とする、請求項15に記載の光学的
    情報記録媒体の製造方法。
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