JP2001003677A - ワークステーションタイプのトンネル拡幅装置およびトンネル拡幅工法 - Google Patents

ワークステーションタイプのトンネル拡幅装置およびトンネル拡幅工法

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JP2001003677A
JP2001003677A JP11178658A JP17865899A JP2001003677A JP 2001003677 A JP2001003677 A JP 2001003677A JP 11178658 A JP11178658 A JP 11178658A JP 17865899 A JP17865899 A JP 17865899A JP 2001003677 A JP2001003677 A JP 2001003677A
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widening
widened
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Hiroyuki Inoue
博之 井上
Shigeru Hashizume
茂 橋詰
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Abstract

(57)【要約】 【課題】第三者災害防止対策を講じながら全工期を通じ
た一般車両通行の確保ができ、拡幅工期の短縮・工事費
のコストダウンが可能なワークステーションタイプのト
ンネル拡幅装置およびトンネル拡幅工法を提供する。 【解決手段】既設トンネルTの内部に一般車両の通行を
防護する防護架台3を移動自在に配置し、掘削機械5と
エレクター6と裏込め装置7とを防護架台3に搭載し、
掘削機械5にて既設トンネルTの断面周囲を拡幅して所
定距離掘削し、防護架台3を切羽側へ所定距離分移動さ
せ、拡幅トンネルMの内周壁にエレクター6にてPC環
片10を組み付けて所定距離分の支保工を生成し、PC
環片10を組み付けた所定距離分の支保工と拡幅された
内周壁との隙間に裏込め装置7にて裏込め材を注入し、
掘削手順・防護架台を移動して支保工を組み付ける手順
・裏込め手順を所定距離毎に行って拡幅トンネルを施工
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、既設トンネルの使
用を妨げることなく、既設トンネルの拡幅工事をするた
めのトンネル拡幅装置およびトンネル拡幅工法に関し、
特に断面幅が6.0m以上の既設トンネルを12m以上
の断面幅に拡幅して拡幅トンネルを施工する場合に好適
なワークステーションタイプのトンネル拡幅装置および
トンネル拡幅工法に関する。
【0002】
【従来の技術】経年化した既設トンネルに対し、改修工
事のみを行うのではなく、交通量の増加などを勘案し、
改修工事と同時に既設トンネルの断面幅を拡幅する工事
を行う場合がある。
【0003】特に、1993年11月に道路構造令が改
正され、一般道路トンネルの整備に「2車線および歩
道」(第3種あるいは第4種道路に相当)の建築限界が
確保できる断面幅(標準的には12m)が義務付けられ
た。従って、経年化した既設トンネルを改修する場合、
既設トンネルの断面幅が12mに満たないと、前記要求
規定を満たすように拡幅工事を行うことが必要となって
きている。
【0004】かかる既設トンネルの拡幅工事を行う場
合、従来は一般車両の通行を止めて全断面工法で拡幅
工事を行い、この期間中は迂回通路を設け対処してい
た。また、迂回通路を設けずに、既設トンネル部に防
護措置を施して(即ち第三者災害防止対策を講じながら
活線状態で)既設トンネルを拡幅する方法も提案されて
いる(特公平2−36755号)。この方法は、既設ト
ンネルの両側に先進側壁導坑を掘削すると共に、先進側
壁導坑と活線部分との間に側壁を構築して一般通行車両
を防護するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般車両の
通行を止めて行う従来の拡幅工法では工事終了まで迂回
措置を講じなければならず、通行者に多大な迷惑をかけ
てしまうといった問題がある。
【0006】また、活線状態で先進側壁導坑と活線部分
との間に側壁を構築しながら掘削する従来の拡幅工法で
は、第三者災害を防止しながら慎重に工事を行わなけれ
ばならないので掘削月進が短くなり、工期、工事費がか
さんでしまうといった問題があり、必ずしも最善の方法
ではない。
【0007】本発明は、前記課題に鑑みて創案されたも
のであり、第三者災害防止対策を講じながら全工期を通
じた一般車両通行の確保ができ、拡幅工期の短縮・工事
費のコストダウンが可能なワークステーションタイプの
トンネル拡幅装置およびトンネル拡幅工法を提供するこ
とを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のワークステーシ
ョンタイプのトンネル拡幅装置は、上記課題を解決する
ために以下の手段を採用した。
【0009】すなわち、本発明のワークステーションタ
イプのトンネル拡幅装置は、既設トンネルの断面幅を拡
幅して拡幅トンネルを施工するためのトンネル拡幅装置
において、前記既設トンネルの内部に移動自在に配置さ
れ、一般車両の通行を防護する移動式防護架台と、この
移動式防護架台に搭載され、前記既設トンネルの断面周
囲を掘削して拡幅する掘削機械と、前記移動式防護架台
に搭載され、掘削により拡幅された前記拡幅トンネルの
内周壁に沿ってプレキャストコンクリートの環片を組み
付けて支保工とするエレクターと、前記移動式防護架台
に搭載され、前記拡幅された内周壁と前記環片を組み付
けた支保工との隙間に裏込め材を注入する裏込め装置と
を備えたことを特徴とする。
【0010】この構成により、移動式防護架台を設けて
掘削・支保工等の作業空間と一般車両の通行とを分離し
たので、第三者災害防止対策を講じながら全工期を通じ
た一般車両通行の確保ができる。
【0011】また、移動式防護架台に搭載した掘削機械
・エレクター・裏込め装置が移動しながら掘削・支保工
等の作業を行うので、拡幅工期の短縮・工事費のコスト
ダウンが可能となる。
【0012】また、本発明のワークステーションタイプ
のトンネル拡幅装置は、前記移動式防護架台と前記拡幅
トンネルの内周壁とを係合・離脱自在とする係脱手段を
前記移動式防護架台に搭載した構成のものや、前記掘削
機械によって掘削された掘削土を排出する掘削土排出手
段を有する構成のものや、前記移動式防護架台が前記既
設トンネルの軸心方向と並行に移動する移動手段を有す
る構成のものも例示できる。
【0013】本発明のワークステーションタイプのトン
ネル拡幅工法は、上記課題を解決するために以下の手段
を採用した。すなわち、本発明のワークステーションタ
イプのトンネル拡幅工法は、既設トンネルの断面幅を拡
幅して拡幅トンネルを施工するためのトンネル拡幅工法
において、前記既設トンネルの内部に一般車両の通行を
防護する防護架台を移動自在に配置する手順と、掘削機
械とエレクターと裏込め装置とを前記防護架台に搭載す
る手順と、前記掘削機械にて前記既設トンネルの断面周
囲を拡幅して所定距離掘削する手順と、前記防護架台を
前記切羽側へ前記所定距離分移動させ、拡幅された前記
拡幅トンネルの内周壁に前記エレクターにてプレキャス
トコンクリート(PC)の環片を組み付けて前記所定距
離分の支保工を生成する手順と、前記環片を組み付けた
前記所定距離分の支保工と前記拡幅された内周壁との隙
間に前記裏込め装置にて裏込め材を注入する手順とを備
え、前記掘削手順・防護架台を移動して支保工を組み付
ける手順・裏込め手順を前記所定距離毎に行って前記拡
幅トンネルを施工することを特徴とする。
【0014】この拡幅工法により、防護架台を移動しな
がら掘削・PCの環片による支保工の組み付け等の作業
を行うので、拡幅工事が効率的に施工でき、かつ通行者
に迷惑をかけることがない。
【0015】また、この拡幅工法により、掘削手順・防
護架台を移動して支保工を組み付ける手順・裏込め手順
を前記所定距離毎に行うので、拡幅工期の短縮・工事費
のコストダウンが可能となる。
【0016】更に、この拡幅工法により、PCの環片に
よる支保工の推進に連動させ、前記支保工と前記内周壁
とに隙間が発生すると同時に前記隙間に端部より裏込め
材を注入するので、裏込め注入時期が掘進と同時になる
べく速やかに、かつ完全に充填を行いことによって、地
山の緩みと沈下の防止等を行うことができる。
【0017】また、本発明のトンネル拡幅工法は、前記
掘削機械にて前記切羽を掘削する時に前記防護架台と前
記拡幅トンネルの内周壁とを係合し、前記防護架台を移
動させる時に前記係合を解除する手順を有する構成のも
のも例示できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態にか
かるワークステーションタイプのトンネル拡幅装置およ
びトンネル拡幅工法を図に基づき説明する。
【0019】[ワークステーションタイプのトンネル拡
幅装置の全体構成]トンネル拡幅装置1は、図1の平面
断面図および図2の縦断面図に示すように、既設トンネ
ルTの路盤上に設置された移動手段2と、この移動手段
2上を走行することによって移動自在に配置された移動
式防護架台3と、移動式防護架台3に作業枠4を介して
搭載した掘削機械5・エレクター6・裏込め装置7と、
移動式防護架台3と拡幅トンネルの内周壁とを係合・離
脱自在とする係脱手段8と、移動式防護架台3(および
作業枠4)の外部に設置した掘削土排出手段9とを備え
ている。
【0020】移動手段としてのレール2は既設トンネル
Tの軸心方向と並行して既設トンネルTの路盤上に2本
平行して設置されている。レール2は拡幅工事区間の全
延長に亘って敷設されていると共に、既設トンネルTの
坑口よりも更に外側の、明かり部にも延長して敷設され
ている。レール2は既設トンネルT内を通行する一般車
両の障害とならないように、既設トンネルT内の両隅に
敷設されている。
【0021】移動式防護架台3は円弧状扁平箱形を有
し、既設トンネルTの断面形状に合わせてその内周面に
余裕を持って収容される大きさに形成されている。移動
式防護架台3は、図4に示すように、その両側下端部に
レール2の頂部を凹部で受けるレール受け部31,31
を設け、レール2上をトンネルの軸心方向に移動できる
構造となっている。
【0022】移動式防護架台3は一般車両の通行を防護
するものであると共に、掘削機械5・エレクター6・裏
込め装置7等を作業枠4を介して搭載するものである。
そして、移動式防護架台3は掘削作業による落石等の外
力に充分抵抗できる強度を有する鉄板等で構成されてい
る。
【0023】作業枠4の1つである掘削機ガイドレール
4aはアーチ状のガイドであり、移動式防護架台3に固
定されている。そして、掘削機械としての自由断面掘削
機5は、掘削機ガイドレール4aに設置され、掘削機ガ
イドレール4aに沿って円弧状に移動しながら既設トン
ネルT上方周囲の切羽Eを掘削する。そして、掘削機ガ
イドレール4aは、移動式防護架台3と同様、掘削作業
による落石等の外力及び掘削機械5の荷重に充分抵抗で
きる強度を有する鉄板等で構成されている。
【0024】作業枠4の1つであるPC覆工架台4bは
移動式防護架台3の中間部に設置されたアーチ状の架台
である。そして、エレクター6は、PC覆工架台4bに
設置され、掘削によって拡幅された拡幅トンネルMの内
周壁に沿ってアーチ状に支える部材(支保工)を組み付
ける。なお、支保工は、拡幅トンネルMが崩れないよう
にトンネルに働く荷重に抵抗して、必要とされる断面を
保持し、トンネルの使用目的を担う永久構造物である。
【0025】この実施の形態では、エレクター6はプレ
キャストコンクリートの環片(以下、PC板という)1
0をアーチ状に組み付けて支保工とする。PC板10は
縦に連結するとアーチ状の支保工となるように予め工場
にて製作されたものである。
【0026】PC板搬送装置11は図1及び図2に示す
ように、移動式防護架台3後部からエレクター6までを
繋ぐように移動式防護架台3に設置されている。PC板
搬送装置11はPC板10を移動式防護架台3後部から
エレクター6まで搬送する装置である。
【0027】エレクター6はPC板10を1枚ずつグリ
ップ(把握)するグリップアームをPC覆工架台4bに
沿って多数有している。このグリップアームは伸縮、前
後動、回転機能を備えている。エレクター6はグリップ
アームに1枚ずつPC板10を把持させ、グリップアー
ムを伸縮・前後動・回転させてPC板10を所定のアー
チ形状に能率的に組み立てるものである。また、エレク
ター6は動力源として油圧式、電動式、手動式を組み合
わせ方式を用いている。
【0028】なお、エレクター6はPC板10の組み付
けに際して、アーチ状に組み付けた各PC板10の継手
位置が前回組み付けたアーチ列の各PC板10の継手位
置に揃うこと(いも継ぎ)のないように必ず千鳥組に組
み付ける(図3参照)。
【0029】作業枠4の1つである裏込め装置ガイドレ
ール4cは移動式防護架台3の中間部に設置されたアー
チ状のガイドである。そして、裏込め装置7は、裏込め
装置ガイドレール4cに設置され、裏込め装置ガイドレ
ール4cに沿って円弧状に移動しながら裏込め注入工を
行う。なお、裏込め注入工は自由断面掘削機5にて拡幅
した拡幅トンネルMの内周面とアーチ状に組み上げたP
C板10との隙間を裏込め材(セメントミルク又はモル
タル)で埋める作業をいう。また、裏込め注入の役割
は、地山の緩みと沈下の防止、地山とPC板10を
一体化させることによりトンネルTの早期安定を図る、
PC板10からの漏水の防止を図るなどである。
【0030】係脱手段であるグリッパー8,8は、図1
に示すように、移動式防護架台3と拡幅トンネルMの内
周壁(すなわち支保工)とを係合・離脱自在とするもの
である。このグリッパー8,8は移動式防護架台4中間
部の両側に設置され、同時に伸長することにより内周壁
と係合して移動式防護架台3を拡幅トンネルMの内周壁
に固定し、あるいは縮小することによって内周壁から離
脱する。
【0031】掘削土排出手段であるチェンコンベア9
は、切羽E近傍から拡幅工事区間の全延長に亘って、移
動式防護架台3の両側に配置しされている。チェーンコ
ンベア9は、掘削機械5によって掘削された掘削土(ズ
リ)を後方へ排出するズリ出しコンベアである。
【0032】[ワークステーションタイプのトンネル拡
幅工法]本発明のワークステーションタイプのトンネル
拡幅工法は、既設トンネルの断面幅を拡幅して拡幅トン
ネルを施工する拡幅工法であり、この実施の形態では、
既設断面幅が7.0mの既設トンネルTを拡幅断面幅が
12mの拡幅トンネルMに施工する場合で説明する。
【0033】まず、既設トンネルTの路盤上にレール2
を拡幅工事区間の全延長に亘って敷設する。レール2は
既設トンネルTの坑口よりもさらに外側の、明かり部に
も延長して敷設される。
【0034】次に、図4および図6に示すように、敷設
されたレール2上に、レール受け部31,31を介して
移動式防護架台3を設置する。なお、設置方法は図示し
ないクレーンで吊り下げて設置する。また、掘削機ガイ
ドレール4a、PC覆工架台4b、裏込め装置ガイドレ
ール4c等の作業枠4は予め移動式防護架台3上に設置
されている。
【0035】次に、図1、図2及び図7に示すように、
移動式防護架台3上の作業枠4に自由断面掘削機5、エ
レクター6、及び裏込め装置7を設置する。すなわち、
掘削機ガイドレール4aに自由断面掘削機5を設置し、
PC覆工架台4bにエレクター6を設置し、裏込め装置
ガイドレール4cに裏込め装置7を設置する。また、移
動式防護架台3後部からエレクター6までを繋ぐように
PC板搬送装置11を移動式防護架台3上に設置する。
更に、移動式防護架台3の両側にグリッパー8を設置す
る。
【0036】移動式防護架台3に各装置が設置されれ
ば、レール2上の移動式防護架台3を拡幅切羽Eに向か
って任意の方法により移動させる。なお、移動式防護架
台3は、既設トンネルTの内周面に沿って挿入できる形
状となっているので、掘削工事の能力、進行速度に応じ
て充分に安全が確保される位置まで挿入する。
【0037】次に、自由断面掘削機5はアーチ状の掘削
機ガイドレール4aに沿って円弧状に移動しながら既設
トンネル上方周囲の拡幅切羽Eを所定距離L(例えば1
m)掘削する。また、自由断面掘削機5は既設トンネル
Tの覆工コンクリートを撤去する作業を行う(図8参
照)。なお、拡幅及び撤去作業中は、岩石、土砂、廃材
などが移動式防護架台3上部に落下するが、移動式防護
架台3を用いて第三者災害防止対策を講じているので、
一般車両の通行が確保できる。
【0038】そして、掘削時のズリ(落下してくる岩
石、土砂、廃材など)は、移動式防護架台3の両側に配
置されたチェーンコンベア9により坑外に搬出される。
次に、エレクター6は、自由断面掘削機5が所定距離L
分(1m)掘進したところで、PC板10の覆工建て込
み作業を行う。
【0039】すなわち、PC板10が移動式防護架台3
の後方よりPC板搬送装置11を介してエレクター6ま
で搬送されると、エレクター6は図8及び図9に示すよ
うに、PC板10をそれぞれのグリップアームに把持
し、PC板10をアーチ状に所定距離L分(PC板10
の幅が1mであれば1列分)配列する。
【0040】次に、図10に示すように、移動式防護架
台3を切羽E側へ所定距離L分前進移動させる。する
と、エレクター6はグリップアームを伸縮・前後動・回
転させてPC板10を拡幅トンネルMの内周壁に押し付
けて所定距離L分の支保工を生成する。このように、自
由断面掘削機5が所定距離(1m)掘削すると、エレク
ター6が拡幅断面にPC板10をアーチ状に組み付けて
覆工する。
【0041】なお、PC板10の組み付けに際して、ア
ーチ状に組み付けた各PC板10の継手位置が前回組み
付けた列の各PC板10の継手位置に揃うこと(いも継
ぎ)のないように必ず千鳥組に組み付ける。
【0042】次に、PC板10の覆工建て込み作業が終
了すると、裏込め装置7は、裏込め装置ガイドレール4
cに沿って円弧状に移動しながら裏込め注入工を行う。
PC板10の覆工建て込み(支保工)及び裏込めが終了
すると、自由断面掘削機5は次の切り羽を施工する。
【0043】以上のように、このトンネル拡幅工法は掘
削、PC覆工建て込み、裏込め注入の作業を1サイクル
ずつずらして、同時並行で行っていく。そして、トンネ
ル拡幅工事が進み、グリッパー8,8が拡幅トンネルM
の内周壁(即ち、支保工の内壁)に係合する位置まで前
進すると、グリッパー8,8を用いて移動式防護架台3
を地山に固定させながら作業を行う。すなわち、自由断
面掘削機5が掘削作業を行う場合、グリッパー8,8を
伸長させて移動式防護架台3を地山に固定させる。そし
て、移動式防護架台3を所定距離分移動させる場合、グ
リッパー8,8を縮小させて移動式防護架台3を地山か
ら離脱させる。
【0044】この実施の形態によれば、トンネルの拡幅
工事中は、既設トンネルT内は移動式防護架台3により
保護されているため、トンネル利用者は安全である。ま
た、掘削から覆工が連続して行われるので、作業範囲が
狭い場合でも適用しやすく、施工後の断面開放も可能で
ある。結果として、トンネル内の交通を工事期間中長期
に亘り、遮断せずに施工できる。
【0045】この実施の形態によれば、自由断面掘削機
5、エレクター6、及び裏込め装置7が拡幅切羽面Eに
沿って自由に移動できるので、作業効率が向上する。こ
の実施の形態の月進は中硬岩地山で84m程度と早く、
工期が短縮できることに加えて機械化によって省力化も
図られることから、トータルコストを低く抑えることが
できる。
【0046】この実施の形態では、PC板10の推進に
連動させ、隙間が発生すると同時にPC板10の端部か
ら裏込め材を隙間に注入するので、裏込め注入時期が掘
進と同時になるべく速やかに、かつ完全に充填を行いこ
とによって、地山の緩みと沈下の防止等を行うことがで
きる。
【0047】なお、この実施の形態では、断面幅が7.
0mの既設トンネルを拡幅して断面幅が12mの第3種
道路(歩道付き2車線道路)用の拡幅トンネルを施工す
る場合で説明したが、本発明は断面幅が7.0mの既設
トンネルを拡幅する工事に限定されるものではない。本
発明は断面幅が6.0m以上である既設トンネルを12
m以上の第3種あるいは第4種道路用の断面幅に拡幅し
て拡幅トンネルとする拡幅工事に好適な工法である。
【0048】また、この実施の形態では、掘削機械とし
て自由断面掘削機5を使用して説明したが、本発明に使
用する掘削機械は拡幅工事の環境条件に応じて適宜最適
な掘削機械を選択すればよいのであって、自由断面掘削
機5に限定されるものではない。
【0049】更に、この実施の形態では、移動式防護架
台3に通行車両の防護機能と各種装置を搭載する架台機
能とを持たせて、レール2上を移動させる場合で説明し
たが、防護機能と架台機能とをそれぞれ別体に構成し、
別々の移動手段(レール)にて移動させる構成も本発明
に含まれる。
【0050】
【発明の効果】本発明により、以下の効果が得られる。
本発明によれば、トンネルの拡幅工事中は、既設トンネ
ル内は移動式防護架台により保護されているため、トン
ネル利用者は安全である。また、掘削から覆工が連続し
て行われるので、作業範囲が狭い場合でも適用しやす
く、施工後の断面開放も可能である。結果として、トン
ネル内の交通を工事期間中長期に亘り、遮断せずに施工
できる。
【0051】また、本発明によれば、掘削機械、エレク
ター、及び裏込め装置が拡幅切羽面に沿って自由に移動
できるので、作業効率が向上する。更に本発明の月進は
従来の工法より早く、工期が短縮できることに加えて機
械化によって省力化も図られることから、トータルコス
トを低く抑えることができる。
【0052】更にまた、本発明では、PCの環片による
支保工の推進に連動させ、前記支保工と前記内周壁とに
隙間が発生すると同時に前記隙間に端部より裏込め材を
注入するので、裏込め注入時期が掘進と同時になるべく
速やかに、かつ完全に充填を行うことによって、地山の
緩みと沈下の防止等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅装置
の平面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅装置
の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅装置
の一部縦断面図である。
【図4】図2の切羽位置から見た断面図である。
【図5】図3の支保工位置から見た断面図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅工法
の手順説明図であり、移動式防護架台を設置した状態を
示す。
【図7】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅工法
の手順説明図であり、各種装置を移動式防護架台に搭載
した状態を示す。
【図8】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅工法
の手順説明図であり、地山を掘削している状態を示す。
【図9】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅工法
の手順説明図であり、地山掘削終了と共にPC板を配列
している状態を示す。
【図10】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅工
法の手順説明図であり、移動式防護架台を前進させてい
る状態を示す。
【図11】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅工
法の手順説明図であり、PC板で覆工している状態を示
す。
【図12】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅工
法の手順説明図であり、裏込めを注入している状態を示
す。
【図13】本発明の実施の形態にかかるトンネル拡幅工
法の手順説明図であり、次の切羽を掘削している状態を
示す。
【符号の説明】
1…トンネル拡幅装置(ワークステーション) T…既設トンネル M…拡幅トンネル 2…レール 3…移動式防護架台 4…作業枠 4a…掘削機ガイドレール 4b…PC覆工架台 4c…裏込め装置ガイドレール 5…自由断面掘削機(掘削機械) 6…エレクター 7…裏込め装置 8…グリッパー(係脱手段) 9…チェンコンベア(ズリ出し装置) 10…PC板(プレキャストコンクリートの環片) 11…PC板搬送装置 31…レール受け部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】既設トンネルの断面幅を拡幅して拡幅トン
    ネルを施工するためのトンネル拡幅装置において、 前記既設トンネルの内部に移動自在に配置され、一般車
    両の通行を防護する移動式防護架台と、 この移動式防護架台に搭載され、前記既設トンネルの断
    面周囲を掘削して拡幅する掘削機械と、 前記移動式防護架台に搭載され、掘削により拡幅された
    前記拡幅トンネルの内周壁に沿ってプレキャストコンク
    リートの環片を組み付けて支保工とするエレクターと、 前記移動式防護架台に搭載され、前記拡幅された内周壁
    と前記環片を組み付けた支保工との隙間に裏込め材を注
    入する裏込め装置とを備えたことを特徴とするワークス
    テーションタイプのトンネル拡幅装置。
  2. 【請求項2】前記移動式防護架台と前記拡幅トンネルの
    内周壁とを係合・離脱自在とする係脱手段を前記移動式
    防護架台に搭載した請求項1記載のワークステーション
    タイプのトンネル拡幅装置。
  3. 【請求項3】前記掘削機械によって掘削された掘削土を
    排出する掘削土排出手段を有する請求項1または請求項
    2のいずれかに記載のワークステーションタイプのトン
    ネル拡幅装置。
  4. 【請求項4】前記移動式防護架台は、前記既設トンネル
    の軸心方向と並行に移動する移動手段を有する請求項1
    から3のいずれかに記載のワークステーションタイプの
    トンネル拡幅装置。
  5. 【請求項5】既設トンネルの断面幅を拡幅して拡幅トン
    ネルを施工するためのトンネル拡幅工法において、 前記既設トンネルの内部に一般車両の通行を防護する防
    護架台を移動自在に配置する手順と、 掘削機械とエレクターと裏込め装置とを前記防護架台に
    搭載する手順と、 前記掘削機械にて前記既設トンネルの断面周囲の切羽を
    拡幅して所定距離掘削する手順と、 前記防護架台を前記切羽側へ前記所定距離分移動させ、
    拡幅された前記拡幅トンネルの内周壁に前記エレクター
    にてプレキャストコンクリートの環片を組み付けて前記
    所定距離分の支保工を生成する手順と、 前記環片を組み付けた前記所定距離分の支保工と前記拡
    幅された内周壁との隙間に前記裏込め装置にて裏込め材
    を注入する手順とを備え、 前記掘削手順・防護架台を移動して支保工を組み付ける
    手順・裏込め手順を前記所定距離毎に行って前記拡幅ト
    ンネルを施工することを特徴とするトンネル拡幅工法。
  6. 【請求項6】前記掘削機械にて前記切羽を掘削する際に
    は、前記防護架台と前記拡幅トンネルの内周壁とを係合
    し、前記防護架台を移動させる際には、前記係合を解除
    する手順を有する請求項5記載のトンネル拡幅工法。
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