JP2001002507A - 殺生物用液剤および殺菌・殺虫方法 - Google Patents

殺生物用液剤および殺菌・殺虫方法

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JP2001002507A
JP2001002507A JP11175618A JP17561899A JP2001002507A JP 2001002507 A JP2001002507 A JP 2001002507A JP 11175618 A JP11175618 A JP 11175618A JP 17561899 A JP17561899 A JP 17561899A JP 2001002507 A JP2001002507 A JP 2001002507A
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allyl alcohol
methyl iodide
biocidal
mol
fumigation
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JP11175618A
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Nobuhiro Taguchi
信洋 田口
Takaaki Miyazawa
孝明 宮沢
Itsuki Fujita
逸樹 藤田
Shigeki Akagawa
茂樹 赤川
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Nippoh Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Nippoh Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 殺菌・殺虫および除草を行うための殺生物用
液剤を提供する。 【解決手段】 有効成分としてアリルアルコールを含有
することを特徴とする殺生物用液剤である。更にヨウ化
メチル、n−ヘキサンを含有することができる。本発明
の殺生物用液剤は、建屋または構造物、土壌、青果、切
花等の殺菌・殺中並びに除草をすることができる。特
に、アリルアルコールとヨウ化メチルとの相乗作用は、
殺菌・殺虫効果のみならずヨウ素の遊離を防止し、容器
の腐食を防止し、貯蔵などの安全性にも極めて優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アリルアルコール
自体、更にヨウ化メチルなどを含む殺生物用液剤および
これを用いた殺菌・殺虫方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人の活動は多種多様な生物と調和を保ち
つつ営まれているが、時としてある種の生物は害となり
有害生物と呼ばれる。有害生物の必要上の排除は生活や
産業活動維持のために不可欠となっており、その対策と
しては殺菌・殺虫・除草あるいは駆除があり殺生物剤等
の薬剤を使用することが多い。これら薬剤の使用形態と
しては、散布、塗布、設置または燻蒸等の形態が一般的
である。
【0003】例えば、殺菌・殺虫を目的とする薬剤の剤
型の一つである燻蒸は、薬剤をガス化して使用するもの
である。土壌、農産物、建屋・構造物から文化財等も対
象とすることができ、燻蒸対象の規模や量に対応しやす
く、かつ有効成分がガス化していることから使用量を少
なくでき、燻蒸後の薬剤成分の排除も容易で残留性も低
いという利点がある極めて有用な殺菌・殺虫手段であ
る。このような燻蒸剤として、臭化メチル、青酸、エチ
レンオキシド、リン化水素、フッ化サルフリル、クロル
ピクリン、ホルムアルデヒド、二硫化炭素、メチルイソ
シアネート、D−D剤等の単剤またはこれらの合剤があ
る。
【0004】しかしながら、これらの中で臭化メチル
は、殺虫効果が優れることや商品の価格、人に対する安
全性等から多用される化合物であったが、臭素がオゾン
層破壊物質となることが判明して以来、一部の不可欠用
途、検疫・出荷前処理並びに緊急使用の場合を除いて、
生産その使用が極めて限定された。したがって、臭化メ
チルの代替品の選択が急務となっている。
【0005】一方、臭化メチルの代替えとして、有効性
においてほぼ同等で物理的性質も比較的臭化メチルに近
いヨウ化メチルの使用の可能性が注目されている。例え
ば、特表平10−513487号公報には、植物病原
体、線虫、細菌および雑草を効果的に制御する土壌燻蒸
剤としてのヨウ化メチルの使用が開示されている。ま
た、特開平10−29901号公報には、有機溶剤とヨ
ウ化メチルとを含有する土壌燻蒸剤が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ヨウ化
メチルは僅かな光あるいは保管状態等の因子によりヨウ
素を遊離することは知られるところであり、燻蒸剤とし
て遊離ヨウ素を含むことは燻蒸剤そのものの劣化にとど
まらず、ヨウ素の性質から明らかなように容器・気化器
等金属への腐食を招き、更に、浸透漏洩、被燻蒸物への
予想外の薬害を生じさせる原因となる。このことは、製
造・保管輸送上の安全性についても危惧される重大な問
題である。ヨウ素の遊離防止あるいは遊離したヨウ素の
トラップについては遮光、銅箔の使用などが知られるが
簡便ではなく、本質的な防止策とは言いがたい。しかし
ながら、上記公報ではこれらについて何らの開示もな
い。
【0007】また、ヨウ化メチルは臭化メチルと同様
に、殺虫性に比較して殺菌性が弱くカビ等の微生物を燻
蒸する場合には、大量の投薬が必要となる欠点がある。
実際の燻蒸では、害虫のみならず有害菌を燻蒸対象とす
る場合が多く、投薬量として最も効果の弱い対象物を基
準とすると使用量が増大する。このため、燻蒸後の薬剤
回収が困難となり、かつ大気中への放散量も増え、環境
悪化の一因となってしまう。したがって、臭化メチルの
殺菌性を高めるために臭化メチルと殺菌剤との合剤化が
行われ、例えば、臭化メチルとエチレンオキシドとの合
剤液剤が現在使用されているが、この液剤の殺菌性は、
燻蒸時の湿度条件が30〜50%を最良とし、それ以外
では期待した効果が得られない。また、湿度環境が整っ
たとしても水分含量の高い被燻蒸物ではその効果は疑わ
しく、青果、木材の燻蒸には殺菌効果は期待できない。
加えて、エチレンオキシドの持つ性質の1つとして重合
性があり、当該液剤においても保存時温度、容器内の金
属酸化物等が原因と考えられる保存容器内での固結、臭
化メチルとの2層分離現象が発生し、燻蒸作業を中断し
たとの報告もある。
【0008】一方、燻蒸剤における臭化メチルの代替え
として、既存のクロルピクリン、二硫化炭素、フッ化サ
ルフリル等はそもそも性能的に臭化メチルに劣り、拡散
性、殺卵あるいは浸透性に問題がある。また、輸入され
る木材・青果・穀物の燻蒸に関しては、検疫制度下植物
防疫法の観点から、外来の害虫・微生物・草木によって
本邦の自然環境や農業に及ぼす影響を最小限に止める意
味でも効果のスペクトルは広くなければならないが、十
分なものはない。加えて、高濃度での使用による薬害、
爆発性等取り扱い上の難点等から、これを満足するもの
は無い。
【0009】また、ヨウ化メチルを代替剤として用いる
場合の根本的な問題として、製造原料のヨウ素の希少性
をわすれてはならない。ヨウ素は貴重な地下資源であ
り、産業上の採算ベースとしての採集地域が限定されて
いる。すなわち、日本はその主要な供給国であり、チリ
の46%に次いで二番目であって44%を供給し、残り
10%はアメリカ合衆国が供給している。また、その供
給量は全世界でも年間16,000トン程である。現
に、ヨウ化メチルは化学合成時のメチル化試薬として僅
かに市場に流通しているにすぎず、燻蒸剤として使用す
るには価格が高い。普及に関しては、製造量の問題と有
効性を高めるための手段を検討し、いかに少量で効果を
発揮できるかの技術の確立が不可欠である。
【0010】すなわち、殺生物用製剤の開発としては、
薬剤としての有効性、安全性に加え、環境問題および製
剤の安定性の問題が十分に考慮されなければならない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新たな殺
菌・殺虫用製剤の開発を鋭意行ったところ、アリルアル
コールを燻蒸剤として使用すると極めて殺菌性に優れる
こと、更にヨウ化メチルを配合したところ、極めて優れ
た殺菌・殺虫用製剤となり、かつヨウ化メチルのヨウ素
の遊離を抑制するなど従来にない効果を奏することを見
出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】すなわち、上記課題は、以下の(1)〜
(15)により達成される。
【0013】(1) 有効成分としてアリルアルコール
を含有することを特徴とする殺生物用液剤。
【0014】(2) 有効成分として、更にヨウ化メチ
ルを含有する上記(1)記載の殺生物用液剤。
【0015】(3) 更に、溶剤としてn−ヘキサンを
含む上記(1)または(2)記載の殺生物用液剤。
【0016】(4) アリルアルコールの含有量が1〜
95重量%であることを特徴とする上記(2)または
(3)記載の殺生物用液剤。
【0017】(5) ヨウ化メチルの含有量が1〜60
重量%であることを特徴とする上記(2)〜(4)のい
ずれか1項に記載の殺生物用液剤。
【0018】(6) n−ヘキサンの含有量が1〜15
重量%である上記(3)〜(5)のいずれか1項に記載
の殺生物用液剤。
【0019】(7) 上記(1)〜(6)のいずれか1
項記載の殺生物用液剤の有効量を燻蒸することを特徴と
する建屋または構造物の殺菌・殺虫方法。
【0020】(8) 前記有効量が、アリルアルコール
とヨウ化メチルの合計量として0.05〜2.0モル/
3である上記(7)記載の殺菌・殺虫方法。
【0021】(9) 上記(1)〜(6)のいずれか1
項記載の殺生物用液剤の有効量を土壌中に燻蒸すること
を特徴とする土壌の殺菌・殺虫方法。
【0022】(10) 前記有効量が、アリルアルコー
ルとヨウ化メチルの合計量として100〜50,000
ppmである上記(9)記載の殺菌・殺虫方法。
【0023】(11) 上記(1)〜(6)のいずれか
1項記載の殺生物用液剤の有効量を土壌中に燻蒸するこ
とを特徴とする除草方法。
【0024】(12) 前記有効量が、アリルアルコー
ルとヨウ化メチルの合計量として0.1〜3.0モル/
2である上記(11)記載の除草方法。
【0025】(13) 上記(1)〜(6)のいずれか
1項記載の殺生物用液剤の有効量を野菜、果物、穀類、
切花および木材からなる群から選ばれる1以上に燻蒸す
ることを特徴とするこれらの殺菌・殺虫方法。
【0026】(14) 前記有効量が、アリルアルコー
ルとヨウ化メチルの合計量として0.05〜2.0モル
/m3である上記(13)記載の殺菌・殺虫方法。
【0027】(15) 前記殺生物用液剤が、燻蒸の前
に予備加熱されることを特徴とする上記(7)〜(1
4)のいずれか1項に記載の方法。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の第一は、有効成分として
アリルアルコールを含有することを特徴とする殺生物用
液剤である。アリルアルコールは、一般的な工業原料で
あり、沸点96.9℃、引火点32℃の無色透明、臭い
のある軽い液体で火災・爆発の危険性がある。従来の用
途として、樹脂製造、化学薬品の製造の中間体が知られ
ているが、生物への毒性がありカタラーゼ作用の抑制な
どが知られるに過ぎず、殺菌・殺虫性への使用は知られ
ていない。しかしながら殺菌・殺虫剤について各種検討
し、アリルアルコール自体を燻蒸したところ、極めて優
れた殺菌・殺虫効果を奏した。このようなアリルアルコ
ールの効果は従来全く知られていなかったことである。
【0029】ここにアリルアルコールを燻蒸剤として用
いる場合、コクゾウ虫を指標とした建屋燻蒸における殺
虫有効投与量は0.1〜2.0モル/m3、サツマイモ
ネコブ線虫を指標した土壌燻蒸では有効濃度は600〜
50,000ppm、シロツメクサを指標とし土壌をビ
ニールシートで被覆して燻蒸をおこなつた除草では0.
1〜3.0モル/m2である。また、黒コウジカビを指
標とした穀類の殺菌有効投与量は0.2〜2.0モル/
3である。なお、アリルアルコールの供給は本邦にお
いても年間45,000トンの生産があり、価格も1k
gあたり数百円と安価である。上記のごとく、一般に燻
蒸剤に求められる基本的な性能として、被燻蒸物への低
薬害性、殺菌・殺虫の有効性、商品の価格・供給量、燻
蒸における操作性、人に対する安全性、低毒性等が挙げ
られるが、殺菌剤としてのアリルアルコールの使用はこ
れらの条件に見合うものと考えられる。
【0030】本発明では、有効成分としてアリルアルコ
ールに更にヨウ化メチルを含有することができる。カビ
等に対する殺菌性および殺虫性をもつアリルアルコール
と、昆虫、線虫等に対する突出した殺虫性および除草へ
の効果をもつヨウ化メチルとの液剤であり、相乗効果が
得られる。ここに、本発明の殺生物用液剤では、アリル
アルコールの含有量が1〜95重量%、より好ましくは
5〜80重量%である。また、ヨウ化メチルの含有量が
1〜60重量%であること、より好ましくは5〜50重
量%である。この範囲で相乗効果に優れるからである。
【0031】ヨウ化メチルは、有機体に含まれるアミノ
酸やペプチド中のNH2 基やSH基への2分子求核置換
反応を起こし、殺生物作用を奏すると考えられる。燻蒸
剤として用いる場合、ヨウ化メチル単独で使用した場合
は、コクゾウ虫を指標とした殺虫有効投与量は建屋燻蒸
で0.01〜2.0モル/m3、サツマイモネコブ線虫
を指標した土壌燻蒸では有効濃度が120ppm〜5
0,000ppm、シロツメクサを指標とし土壌をビニ
ールシートで被覆して燻蒸をおこなつた除草では0.1
〜2.0モル/m2である。また、黒コウジカビを指標
とした穀類燻蒸における殺菌有効投与量は0.4〜2.
0モル/m2である。
【0032】一方、ヨウ化メチルとアリルアルコールを
混合し合剤化することで、殺生物性への相乗効果が得ら
れる。本発明の殺生物用液剤のヨウ化メチルとアリール
コールの配合比率としては上記混合割合の中で、更に、
ヨウ化メチル1モルに対してアリルアルコールを5〜1
5モル混合、より好ましくは、5〜10モル混合するこ
とである。なお、殺虫・殺菌の効果は、投薬方法や対象
虫・菌等によって異なり、上記範囲内で適宜選択するこ
とができる。
【0033】具体的には、実際に燻蒸使用した投薬結果
から以下の観点を得ている。即ち、コクゾウ虫に対する
最低有効投薬量は、アリルアルコールとヨウ化メチルの
合計モル数として合剤において0.05モル/m3であ
り、投与した成分量としてはヨウ化メチル0.0083
5モル/m3およびアリルアルコール0.04165モ
ル/m3で有効である。同様にアリルアルコールのみの
必要量が0.1モル/m3であり、両者の相乗効果が明
らかである。また、黒コウジカビに対する最低有効投薬
量は、合剤において0.05モル/m3であり、その投
与した成分量としてはヨウ化メチル0.00455モル
およびアリルアルコール0.04545モルである。同
様にヨウ化メチルのみの必要量が0.2モル/m3であ
って、両者による相乗効果が明かである。更に、サツマ
イモネコブセンチュウに対する最低有効薬剤濃度は24
0ppmであり、その存在する成分量としてはヨウ化メ
チル40ppmおよびアリルアルコール200ppmで
あり、特にヨウ化メチルのみの必要量が120ppmで
あることに比較して、より効果的である。加えて、シロ
ツメクサを指標とした除草効果では土壌面での被覆燻蒸
においてヨウ化メチル、アリルアルコール、両者の合剤
がそれぞれ0.2モル/m2の投与でいずれの薬剤の場
合でも燻蒸終了1カ月までにシロツメクサの再発芽が見
られなかったことから、合剤は単独使用に比較して同等
以上の効果を発揮する。また、その殺生物効果を投薬モ
ル量を比較し、臭化メチルあるいは臭化メチル・エチレ
ンオキシド合剤とくらべても、本発明の組成物は少量で
高い有効性を有する。このことは、燻蒸剤のなかでもヨ
ウ化メチルの効果は高いのであるが、本発明の組成物は
それを上回る極めて優れた効果を有するといえる。更
に、アズキゾウムシに0.05モル/m3の燻蒸で有効
であり、および臭化メチルに比較的抵抗性があるとされ
るヒラタコクヌストモドキに対しても0.2モル/m3
と高い有効性を示したことから、殺虫・殺菌に対するス
ペクトルが広いと考えられる。
【0034】即ち、本発明の殺生物用液剤を建屋または
構造物の殺菌・殺虫に使用するには、アリルアルコール
を単独使用する場合の他、アリルアルコールとヨウ化メ
チルとの双方を有効成分とする場合にも、これら有効成
分の合計量、即ち合剤の場合には、アリルアルコールと
ヨウ化メチルの合計量として0.05〜2.0モル/m
3、より好ましくは0.1〜1.5モル/m3であること
が好ましい。
【0035】同様に、本発明の殺生物用液剤を土壌中に
燻蒸に使用するには、アリルアルコールとヨウ化メチル
の合計量として100〜50,000ppm、特には2
00〜20,000ppmであることが好ましい。
【0036】また、本発明の殺生物用液剤を除草に使用
するには、アリルアルコールとヨウ化メチルの合計量と
して0.1〜3.0モル/m2、特には0.5〜2.0
モル/m2であることが好ましい。
【0037】更に、本発明の殺生物用液剤を野菜、果
物、穀類、切花および木材等建屋、土壌燻蒸、除草以外
の燻蒸に使用するには、アリルアルコールとヨウ化メチ
ルの合計量として0.05〜2.0モル/m3、より好
ましくは0.1〜1.5モル/m3であることが好まし
い。
【0038】本発明の殺生物用液剤は、上記のごとく優
れた殺菌、殺カビ、殺虫効果を示す。
【0039】適用できる害虫としては、例えば、サツマ
イモネコブセンチュウ、土壌センチュウ、メセンチュ
ウ、ネグサレセンチュウ、マツノザイセンチュウ等の線
虫類;コクゾウ虫等の長ゾウ虫類の害虫;シロイチモジ
ヨトウ、コブノメイガ、ハスモンヨトウ、カブラヤガ、
ヨトウガ、タマナギンウワバ、ニカメイガ、サンカメイ
ガ、ナシオオシンクイ、ハイマダラメイガ、マメノメイ
ガ、イネツトムシ、ワタアカミムシ、ジャガイモガ、モ
ンシロチョウ、ノシメマダラメイガ、チャノコカクモン
ハマキ、キンモンホソガ、ミカンハモグリガ、ブドウホ
ソハマキ、ナシヒメシンクイ、マメシンクイガ、モモシ
ンクイガ、ブドウスカシバ、チャノホソガ、コナガ、イ
ガ等の鱗し目の害虫;タバココナジラミ、オンシツコナ
ジラミ、ミカントゲコナジラミ、ワタアブラムシ、ユキ
ヤナギアブラムシ、リンゴワタムシ、モモアカアブラム
シ、ダイコンアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、マ
メアブラムシ、コミカンアブラムシ、ミカンクロアブラ
ムシ、ブドウネアブラムシ、ムギミドリアブラムシ、ジ
ャガイモヒゲナガアブラムシ、チャノミドリヒメヨコバ
イ、フタテンヒメヨコバイ、ヒメトビウンカ、トビイロ
ウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ、タイワンツ
マグロヨコバイ、シロオオヨコバイ、ルビーロウムシ、
オリーブカタカイガラムシ、サンホーゼカイガラムシ、
リンゴカキカイガラムシ、アカマルカイガラムシ、アカ
ホシマルカイガラムシ、ヤノネカイガラムシ、クワコナ
カイガラムシ、ミカンコナカイガラムシ、イセリアカイ
ガラムシ、リンゴキジラミ、ミナミアオカメムシ、ホソ
ヘリカメムシ、ナシグンバイ等の半し目害虫;イネミズ
ゾウムシ、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、コロ
ラドハムシ、テンサイトビハムシ、コクゾウムシ、クリ
ヤケシキスイ、ニジュウヤホシテントウ、インゲンマメ
ゾウムシ、アズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシ、ド
ウガネブイブイ、ヒメコガネ、マメコガネ、ゴマダラカ
ミキリ、タバコシバンムシ、ヒメマルカツオブシムシ、
コクヌストモドキ、ヒラタキクイムシ等の鞘し目害虫;
アカイエカ、チカイエカ、シナハマダラカ、ヒトスジシ
マカ、イネハモグリバエ、ダイズサヤタマバエ、イネカ
ラバエ、イネミギワバエ、イエバエ、クロキンバエ、タ
マネギバエ、ウリミバエ、ミカンコミバエ等の双し目害
虫;ネギアザミウマ、カキクダアザミウマ、ミナミキロ
アザミウマ、イネアザミウマ、チャノキイロアザミウマ
等のアザミウマ目昆虫;クロゴキブリ、ヤマトゴキブ
リ、ワモンゴキブリ、チャバネゴキブリ、コバネイナ
ゴ、トノサマバッタ等の直し目害虫;カブラハバチ等の
膜し目害虫;ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダ
ニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビダ
ニ、ニセナシサビダニ、イエダニ、ツツガムシ類、ケナ
ガコナダニ等のダニ目害虫;その他、イヌノミ、アタマ
ジラミ、ヤマトシロアリ、ヤケヤスデ、ゲジ等が例示で
きる。
【0040】本発明の殺生物用液剤が有効である殺菌、
殺カビの対象としては、サツマイモの立枯れ病、つる割
れ病、紫紋羽病、黒あざ病;ジャガイモのそうか病、黒
あざ病;ウリ類の苗立枯れ病、つる割れ病、疫病;メロ
ンの黒点根腐れ病;ナスの半身萎凋病、青枯れ病;トマ
トの白絹病、萎凋病、半身萎凋病、青枯れ病;イチゴの
疫病、萎黄病;ホウレンソウの立枯れ病、萎凋病、根腐
れ病;アブラナ科野菜の根こぶ病、根くびれ病、萎黄
病、黄化病;ニンジンの根腐れ病、乾腐病;エンドウの
根腐れ病;インゲンの白絹病;セルリーの萎黄病、黄化
病;パセリの萎凋病;タバコの立枯れ病、疫病、黒根
病、矮化病;カーネーションの立枯れ病、萎凋病等の糸
状菌、細菌によって起こる病害があり、さらには各種の
ウィルス病、センチュウ類、ハリガネムシ、ネキリム
シ、ケラ等がある。
【0041】また、本発明の殺生物用液剤が有効な除草
の対象として、シロツメ草等のマメ科の雑草、イネ科、
カヤツリグサ科雑草、及び広葉雑草等がある。
【0042】本発明の殺生物用液剤は、上記のごとく殺
菌・殺虫効果において単剤と比較する際立つ相乗効果を
有するのであるが、この合剤は殺菌・殺虫効果の他に、
ヨウ素の遊離を有効に防止する作用を有するのである。
すなわち、ヨウ化メチルは光の影響を受け、あるいは保
存中の諸条件においてヨウ素を遊離することがある。遊
離したヨウ素は揮発性で特異な臭気をもち、その蒸気は
紫色で不活性ガスを除くほとんどの元素と化合物をつく
り、多くの金属とも常温で反応する。浸透性に優れ吸着
性もあるため、プラスチック等を着色したり紙等におい
ては糖類の螺旋構造の中に入り込みクラスレート化合物
を生じて暗青紫色の発色を呈する。また、ベンゼン、ク
ロロホルム、アルコールなどの溶剤中で褐色ないしは紫
色を呈するが、紫色溶液中ではヨウ素は分子状で存在
し、褐色溶液中では溶媒と結合していると考えられてい
る。したがって、ヨウ化メチルがヨウ素を遊離すると、
実際の燻蒸への使用を考えた場合、ヨウ化メチル分子の
消滅に起因する有効成分の損失、遊離ヨウ素による被燻
蒸物への影響、容器や気化器等の金属部分の腐食による
製造・保存・輸送時の事故への懸念につながる。
【0043】しかし、本発明においては、アリルアルコ
ールと併存することでこのヨウ素の遊離を有効に防止す
ることができるのである。すなわち、アリルアルコール
は、分子内に二重結合を有し、これが特に溶液中のよう
に分子間作用が起こりやすい状態でアリルアルコールと
併存する。このため、光ラジカル作用が弱められヨウ素
の遊離が防止されるのである。しかも極微量にヨウ素が
分離しても、ヨウ素自体を二重結合が引き寄せヨウ素蒸
気の発生をくい止めることができるのである。実際に、
光の存在下においてヨウ化メチルが瞬時に紫ががった褐
色に着色するのに対し、アリルアルコールを混合した場
合では無色からごく薄い黄色の着色にとどまる。なお、
ヨウ化メチルおよびアリルアルコールからなる本発明の
液剤を混合時より2カ月間放置した保存品においても、
有効性は損なわれることはなかった。
【0044】また、本発明の殺生物用液剤には、溶剤と
して更にn−ヘキサンを配合することができる。n−ヘ
キサンを添加することで揮発性が向上し、燻蒸剤として
より一層適する。また、上記のようにヨウ化メチルはヨ
ウ素を遊離しやすいのであるが、n−ヘキサンを組成物
に共存させると着色することがない。これは組成物中で
分子会合の状態を無極性分子のn−ヘキサンが変化さ
せ、ひいては溶剤の揮発性を向上させる効果を示唆する
ものと思われる。ここに、ヘキサンの含有量は、本発明
の殺生物用液剤中に1〜15重量%、より好ましくは2
〜6重量%である。
【0045】光等のラジカル発生原因は、ヨウ化メチル
からのヨウ素遊離を促し、ヨウ化メチル自体の分解ある
いは溶液の着色などの劣化をもたらすのであるが、加え
て、ヨウ化メチルの製造・保管・運送・使用として考え
た場合には、遮光、温度等保存条件を十分に注意する必
要が生ずる。ヨウ素が遊離して存在すると、製造機器、
容器、燻蒸時に用いられる配管・バルブ・気化器等へ影
響が、および保管時にはその条件、温度、気密性、容器
材質、保管の期間などに厳重な管理が必要となるからで
ある。容器腐食等が発生し容器の耐久性が損なわれれば
重い液体であるヨウ化メチルの運搬は非常に危険とな
り、極微量の漏洩においてもヨウ化メチルの毒性を考え
れば安全管理上の重大な問題となるからである。
【0046】本発明者は遊離ヨウ素の影響を調べるた
め、代表的な金属、ニッケル、アルミニウム、SUS3
04、銅、鉄、SUS316および真鍮のテストピース
を密閉容器中でその一部を液浸させ腐食性の低減を検討
した。すると、ヨウ化メチルがSUS316を除く全て
の金属に影響を及ぼしたのであるが、アリルアルコール
を配合すると明らかな軽減効果が認められた。このよう
なアリルアルコールの効果は、全く予想できないもので
あた。さらに、燻蒸時のガスによる薬害の検討として、
上記金属および澱粉紙を燻蒸雰囲気下に曝露することで
検討したところ、ヨウ化メチルの高濃度燻蒸において鉄
の酸化および澱粉紙の青色化を引き起こすことに対し、
アリルアルコールを配合するとその発生が認められず薬
害を防止することができたのである。なお、このような
遊離ヨウ素の発生が原因と思われる金属腐食、液剤劣
化、薬害は、アリアルコール濃度1〜95重量%で達成
され、より好ましくは20〜95重量%である。また、
n−ヘキサンを加えるには1〜15重量%であり、特に
は2〜6重量%で有効にその効果が得られる。
【0047】上記のように、本発明の殺生物用液剤はア
リルアルコールを含むのであるが、有機化合物の多くが
燃焼性を持っていることは良く知られる。ことに燻蒸剤
として用いられる物質はそもそも揮発し易い性質を利用
したもので、引火・爆発の危険性がある物も多い。実
際、殺菌剤として用いられるエチレンオキシドは、燻蒸
に使用する場合には窒素置換した環境下、減圧下もしく
はガス化時には消火性のある化合物(例えば臭化メチル
など)共存させるなど、燃焼性低減のために様々な工夫
をした上で実用化されている。本発明においてその燻蒸
剤としての性能が明らかになったアリルアルコールの引
火点は21.5℃、発火点は443℃と燃焼性を示して
いる。しかも燃焼性と揮発性には深い関係があり、例え
ば、灯油のような液状の有機物質であっても燃焼の本質
はガス化した分子が酸素と反応しているのである。ガス
と酸素との反応の多くはラジカル反応で急激な連鎖が起
こる複雑な過程であることが知られている。一方、この
ような反応の負触媒としてはハロゲンなどのラジカル反
応抑制剤が有効でハロゲンの種類によってその効果が異
なることが知られている。例えば、プロパンの着火温度
はメチルハライドを添加することで上がり、その効果は
電気陰性度が小さくイオン半径が大きいほど強い。ハロ
ゲン種別ではF<Cl<Br<Iの順になつている。従
って、ヨウ化メチルをアリルアルコールに添加すること
でアリルアルコール自体の燃焼性を低減することが実現
でき、燻蒸作業のように物質をガス化して用いる場合は
特に安全性を確保する面で有用となるのである。
【0048】なお、本発明の殺生物用液剤には、他の溶
剤を本発明の上記特性を損なわない程度に配合すること
ができる。この様な溶剤としては、トルエン、キシレ
ン、クメン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類、
ケロシン、鉱油等のパラフィン系炭化水素類、メチレン
クロリド、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケト
ン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエー
テル類、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステル、脂
肪酸ブチルエステル、脂肪酸グリセリンエステル等のエ
ステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニト
リル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
n-プロパノール、エチレングリコール等のアルコール
類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキサイド、N-メチルピロリドン、水等があ
る。
【0049】本発明の殺生物用液剤は、そのままあるい
は上記のごとく、水、エタノール等適当な溶剤と混ぜて
直接かけるあるいは汚水等に混合するあるいは塗布や噴
霧することで有害生物を駆除するために用いることがで
きる。また、下記に示す仕様において燻蒸剤として用い
ることができ、好ましい。
【0050】被燻蒸物は特に限定されるものではない
が、例えば、土壌、樹木、木材、竹材、穀物、青果、切
り花、倉庫、家具、機器、器具、資材、家屋、ビニール
ハウス、衣類、洞窟、文化財、コンテナ、船舶、航空
機、自動車、紙、書籍、絵画、玩具、貨幣、動物舎など
である。
【0051】燻蒸方法は殺生物性が確保されるものであ
れば特に限定されるものではないが、有効成分を自然に
気化させる方法のほか、気化器を用いて予備加熱または
加熱する方法、チャンバー等燻蒸器による燻蒸、被覆燻
蒸、建屋などでの密閉燻蒸あるいは土壌内部への灌注な
どである。
【0052】使用温度は特に限定されるものではない
が、好ましくは15〜40℃である。また、気化器等を
用いて組成物を速やかにガス化しての燻蒸は効果的であ
る。
【0053】湿度は特に限定されるものではないが、好
ましくは20〜90%である。
【0054】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。なお、本発明では、殺昆虫性の指標として玄米を用
いて温度27℃、湿度75%にて飼育したコクゾウ虫の
成虫・蛹・卵虫および小麦粉を用いて飼育したヒラタコ
クヌストモドキの成虫、アズキを用いて飼育したアズキ
ゾウ虫の成虫を、殺菌性の指標としてポテトデキストロ
ース培地を用いて温度27℃、湿度75%にて培養した
黒コウジカビをさらに滅菌した玄米を用いて温度23
℃、湿度75%にて10日間以上馴養したものを、殺線
虫性の指標として養土中で温度23℃、湿度75%にて
10日間以上馴養したサツマイモネコブセンチュウを、
除草の指標として路地に繁茂したシロツメクサのコロニ
ーをそれぞれ試験に供した。
【0055】殺昆虫性、殺菌性、殺線虫性の試験は、デ
シケータを用いた密封系を作製し、供試生物を入れた
後、薬剤の所定量を溶液あるいはガスとしてシリンジを
用いてガスクロマト用セプタムを介して投薬した。な
お、温度は25℃とした。また、除草の試験は土壌面を
防水性のビニールシートで覆ったのち薬剤の所定量を溶
液でシリンジを用いてシート被覆内に投薬した。
【0056】(実施例1)予め供試虫および供試菌を配
置した密封系内に所定量の投薬を行い、供試虫および供
試菌の死滅を判定することで燻蒸の有効性を検討した。
尚、臭化メチル・エチレンオキシド合剤についてはガス
状にて試験した。また、使用した液剤はアリルアルコー
ル、アリルアルコールとヨウ化メチルとの組成比を5モ
ル:1モル(組成2)、10モル:1モル(組成1)、
15モル:1モル(組成0)(これらの組成番号は、以
下においても同一の組成を示す。)の3種類とした液剤
である。燻蒸は25℃,24時間とした。
【0057】結果の判定はコクゾウ虫の成虫15匹に対
する効果を試験終了後の致死で、蛹および卵については
27℃、湿度75%の孵卵器内でその後30日までの孵
化を確認することで、黒コウジカビの殺菌効果を試験し
たカビ付きの玄米をポテトデキストロース寒天平板培地
上に移しその後7日間の増殖の確認において行い、有効
性の判断は供試した虫並びに菌の100%致死をもって
有効とした。
【0058】結果は表1に示すように、アリルアルコー
ル単独でも殺菌・殺虫効果を発揮した。また、組成物
(組成1,2)ではカビに対する有効投薬量が0.05
モル/m3でアリルアルコール単独の0.1モル/m3
比較して合剤化により有効性に対する明らかな相乗効果
が認められた。また、昆虫に対する有効投薬量が、組成
物(組成2)では0.05モル/m3(投薬した成分量
としてはアリルアルコール0.04165モル/m3
ヨウ化メチル0.00835モル/m3)であり、ヨウ
化メチルの0.01モル/m3と比較した場合でも有効
性に遜色は無かった。さらに、実際の燻蒸において虫と
菌を一度に対象とする燻蒸での最低投薬量としては組成
物(組成2)で0.05モル/m3で他に類をみない程
の少量で燻蒸が完了した。
【0059】
【表1】
【0060】(実施例2)予め供試虫を配置した密封系
内に所定量の投薬を行い供試虫の死滅を判定することで
燻蒸の有効性を検討した。また、使用した液剤は、アリ
ルアルコール単独、アリルアルコールおよびヨウ化メチ
ルの組成比を5モル:1モル(組成2)、10モル:1
モル(組成1)、15モル:1モル(組成0)の3種類
とした。燻蒸は25℃,48時間とした。
【0061】100匹のサツマイモネコブセンチュウが
存在する養土20gを100mlのビーカーに入れ(深
さ1.5cm程度)さらに燻蒸用の密封系として1.5
Lのデシケータ内におさめた後燻蒸した。結果の判定
は、燻蒸した養土を薬剤放散のためにドラフト内で燻蒸
終了24時間まで放置した後にその養土の10gを用い
ベルマン法に従い生存虫を実体顕微鏡にてカウントする
ことで行ない、生存虫検出0匹をもって有効とした。
尚、実施したベルマン法の回収率は18%であった。
【0062】結果は表2に示すように全ての実施系で効
果を確認したが、アリルアルコール単独でもサツマイモ
ネコブセンチュウに対する殺生物性を発揮した。また、
組成物(組成2)では線虫に対する有効濃度が240p
pmで臭化メチルと同等、組成物(組成2)に於ける成
分濃度としてはアリルアルコール200ppmとヨウ化
メチル40ppmであり、ヨウ化メチルの120ppm
と比較した場合でも有効性に遜色はなかった。
【0063】
【表2】
【0064】(実施例3)表3に示す液剤を用いて、路
地に繁茂したシロツメクサのコロニーの除草試験を行っ
た。路地の1m2を防水性のビニールシートで覆い被覆
燻蒸した。燻蒸は18〜25℃にて120時間行ない、
結果の判定は燻蒸終了後30日間の観察を行ないシロツ
メクサの再発芽が起こらない場合を有効とした。結果は
表3に示すように全ての実施系で同様に除草効果を確認
した。
【0065】
【表3】
【0066】(実施例4)ヨウ化メチルに表4に示す所
定量のn−ヘキサンを添加し全体量を約2mlとした溶
液の2系列を調製し、片方の系列には0.1mlのアリ
ルアルコールをさらに添加した。これら2系列およびヨ
ウ化メチルに所定量のアリルアルコールを添加し全体量
を約2mlとした溶液の合わせて3つの溶液系列を調製
し、それら溶液をガラス製の密封容器に入れ室内(18
〜26℃)で2週間放置して光による溶液の変化を観察
した。
【0067】結果は表4に示すようにヨウ化メチルを含
む溶液は褐色の着色を示した。一方、アリルアルコール
の0.1mlをさらに添加したヨウ化メチルを含む溶液
の系列では一切着色は認められなかった。また、n−ヘ
キサンを含まない溶液の系列においては、ヨウ化メチル
だけの溶液は褐色の着色を示し、アリルアルコールを添
加したヨウ化メチルを含む溶液の系列では無色あるいは
僅かな着色(淡微黄色)を示したにすぎず、アリルアル
コールの添加がヨウ化メチルを含む溶液の劣化を著しく
抑制した。なお、放置後の溶液色は、JIS Z 87
21標準色票によった。
【0068】
【表4】
【0069】(実施例5)ヨウ化メチルに所定量のアリ
ルアルコールを添加し全体量を約2mlとした溶液の系
列を2系列調製し、ヨウ化メチルを含む溶液の1系列に
は0.2gの錆びた鉄線を入れた。2系列のヨウ化メチ
ルを含む溶液をガラス製の密封容器に入れ70℃温水槽
で12時間加温、温水槽から取り出し常温にて12時間
保持する温度処理を連続して10日間行ない溶液の状態
を観察した。
【0070】結果は表5に示すように鉄線を含まない系
列のヨウ化メチルだけの溶液は褐色の着色を示した。一
方、アリルアルコールを添加したヨウ化メチルを含む溶
液の系列では無色あるいは僅かな着色(淡褐色)を示し
たにすぎずアリルアルコールの添加でヨウ素の遊離は著
しく抑制された。また、鉄線を入れた系列のヨウ化メチ
ルだけの溶液は暗褐色の着色を示し、鉄線は形状が崩壊
して沈殿状になった。一方、アリルアルコールの添加お
よび鉄線を入れたヨウ化メチルを含む溶液の系列では無
色あるいは僅かな着色(淡褐色)を示したにすぎず鉄線
は形状を留めアリルアルコールの添加で溶液および金属
への影響は著しく抑制された。なお、放置後の溶液色
は、JIS Z 8721標準色票によった。
【0071】
【表5】
【0072】(実施例6)ヨウ化メチル、アリルアルコ
ールおよび本発明の1形態である液剤の各5mlをガラ
ス製試験管(内径20mm,長さ120mm)に入れ、
それぞれ個別に予め脱脂(エタノール)・洗浄(精製
水)・風乾・乾燥(シリカゲル入りデシケータ)して重
量を測定したニッケル、アルミニウム、SUS304、
SUS316、銅、鉄および真鍮の各テストピースの1
枚を入れた後シリコンセンにて密栓した。各試験管を室
内(15〜25℃)で静置し状態の変化を観察するとと
もに5日後に各テストピースを取り出して洗浄(精製
水)・風乾・乾燥(シリカゲル入りデシケータ)して重
量を測定した。なお、使用した液剤(組成1)はアリル
アルコールおよびヨウ化メチルの組成比を10モル:1
モルとした。
【0073】試験後の溶液・テストピースの状態変化お
よびテストピースの重量損失は表6に示す通りであっ
た。結果は、ヨウ化メチルはSUS316除く全ての金
属表面に腐食後等何らかの影響を与えた。一方、アリル
アルコールおよび液剤では銅、鉄、真鍮に影響を与え
た。また、重量損失では0.1を超える損失としてヨウ
化メチルと(ニッケル、アルミニウム、銅、鉄、真
鍮)、アリルアルコールと(ニッケル、銅、鉄、真
鍮)、液剤と(ニッケル、銅、鉄、真鍮)に観られ、特
に重大な損失(>1.0)としてヨウ化メチルの鉄にお
いて3.07が認められた。溶液の状態ではヨウ化メチ
ルの鉄との組み合わせを除く全ておよび液剤と鉄で、褐
色系の着色、アリルアルコールと銅および液剤(合剤)
と銅で青緑の着色が観られたが、ヨウ化メチル溶液の劣
化および溶液あるいは蒸気に曝露される金属面の腐食は
アリルアルコールを添加することによって抑制できるこ
とが明らかとなった。
【0074】
【表6】
【0075】(実施例7)ヨウ化メチル、アリルアルコ
ールおよび本発明の1形態である液剤の蒸気がニッケ
ル、アルミニウム、SUS304、SUS316、銅、
鉄、真鍮の各テストピースおよび澱粉紙に与える影響を
試験した。試験は被試験物をデシケータ内で各溶液につ
いて燻蒸処理(投薬量:1モル/m3,温度25℃,燻
蒸は温度25℃の室内で72時間)することで行った。
なお、使用した液剤(組成1)はアリルアルコールおよ
びヨウ化メチルの組成比を10モル:1モルである。
【0076】試験後のテストピースの状態変化および澱
粉紙への影響は表7に示す通りであった。結果は、ヨウ
化メチル投薬では鉄表面の酸化が促進された。また、燻
蒸後の澱粉紙に精製水を噴霧したとき青色の発色を確認
したことでヨウ素の遊離を確認した。一方、アリルアル
コール、液剤では変化を認めずヨウ化メチルによる燻蒸
下にアリルアルコールを存在させることで被燻蒸物に対
する薬害を抑制することができた。
【0077】
【表7】
【0078】(実施例8)実施例1に示す組成2を混合
調製後ガラス製容器で2カ月間放置した。放置後の有用
性について試験した。評価は実施例1に準じた。その結
果を表8に示す。
【0079】表8から明らかなように、コクゾウ虫、黒
コウジカビに0.05モル/m3と実施例1と同様の結
果を示したことから、これらに対する有効性は変わらな
かった。また、アズキゾウムシに0.05モル/m3
ヒラタコヌストモドキに0.2モル/m3の投薬量で有
効であり、その効果にスペクトルは多種の害虫にも及ぶ
ことが示唆された。
【0080】
【表8】
【0081】(実施例9)実施例8に示す組成2の揮発
性を検討した。試験は、組成物2の5mlを10ml容
のルツボにいれたものを2つ用意し、1つはそのまま、
他の1つには0.5mlのn−ヘキサンを加えたうえで
同時に100℃のサンドバス上にのせて蒸発の状態と時
間を確認した。結果を表9に示す。
【0082】表9に示すように、残渣は認められなかっ
た。尚、全量の蒸発に要する時間は,n−ヘキサンを加
えた場合では短時間であった。
【0083】
【表9】
【0084】
【発明の効果】(1) 実施例に示されるごとく本発明
の液剤は昆虫、線虫、雑草、カビ等への殺生物をもち効
果スペクトルの広い殺生物剤として有効に利用できる。
特に、ヨウ化メチルとアリルアルコールはともに液体で
あり、かつ沸点が100℃以下、常温でガス化し易すい
性質から特に燻蒸剤に適している。
【0085】(2) 本発明では、無極性の炭化水素液
体であるn−ヘキサンを加えて揮発性を改良することで
寒冷地においても効果的な燻蒸を行う事ができる。
【0086】(3) 本発明の液剤はアリルアルコール
を使用することで優れた殺虫性をもちつつも殺菌性に弱
くヨウ素の遊離に十分な対策を必要とするヨウ化メチル
剤の抱える問題を解決した。すなわち、ヨウ化メチルと
アリルアルコールの単独使用に比較して、単剤の使用や
これらの順次投薬では得られない、燃焼性低減効果、ヨ
ウ素の遊離防止効果、金属腐食性低減効果および液剤の
劣化防止効果と驚くべき相乗効果が得られた。この殺生
物用液剤は、殺菌・殺虫および除草効果をも備え、殺生
物性が強く少投薬量で効果を示するため過剰の薬剤使用
を防止することができる。このため、環境への影響を最
小限に止めることができる。
【0087】(4)本発明の液剤の1形態であるヨウ化
メチルとアリルアルコールの合剤は、ヨウ化メチルの難
燃性および易揮発性、アリルアルコールのヨウ素遊離性
低減作用をいかした安定な溶液であり、金属腐食性の低
減、薬害低減、燃焼性の低減を実現させ製造・保管・輸
送・使用時を通して安全に取り扱うことができる有用な
殺生物剤である。安価で供給量の確保が可能であるアリ
ルアルコールを用いることで経済的にも有利な燻蒸が可
能となる。この経済性は、従来品である臭化メチルの価
格が、1kgあたり1000円程度であることに匹敵す
る。
【0088】(5) 本発明では、貴重な地下資源由来
で量の確保が困難で高価なヨウ化メチル剤に対し、安価
で大量に供給可能なアリルアルコールを合剤とすること
で、有効性、安全性がすぐれるばかりでなく貴重な地下
資源の有効利用にも貢献するものである。過度の投薬を
防止し、環境へも十分な配慮がなされた理想的な薬剤が
提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 逸樹 千葉県夷隅郡夷隅町松丸1240番地 日宝化 学株式会社内 (72)発明者 赤川 茂樹 東京都中央区日本橋室町3丁目3番3号 日宝化学株式会社内 Fターム(参考) 4H011 AA01 AA03 AB01 AC01 BA04 BA06 BB02 BB03 BC01 DA13 DC05 DD04 DD06 DE04 DF04 DG05

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効成分としてアリルアルコールを含有
    することを特徴とする殺生物用液剤。
  2. 【請求項2】 有効成分として、更にヨウ化メチルを含
    有する請求項1記載の殺生物用液剤。
  3. 【請求項3】 更に、溶剤としてn−ヘキサンを含む請
    求項1または2記載の殺生物用液剤。
  4. 【請求項4】 アリルアルコールの含有量が1〜95重
    量%であることを特徴とする請求項2または3記載の殺
    生物用液剤。
  5. 【請求項5】 ヨウ化メチルの含有量が1〜60重量%
    であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に
    記載の殺生物用液剤。
  6. 【請求項6】 n−ヘキサンの含有量が1〜15重量%
    である請求項3〜5のいずれか1項に記載の殺生物用液
    剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項記載の殺生
    物用液剤の有効量を燻蒸することを特徴とする建屋また
    は構造物の殺菌・殺虫方法。
  8. 【請求項8】 前記有効量が、アリルアルコールとヨウ
    化メチルの合計量として0.05〜2.0モル/m3
    ある請求項7記載の殺菌・殺虫方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれか1項記載の殺生
    物用液剤の有効量を土壌中に燻蒸することを特徴とする
    土壌の殺菌・殺虫方法。
  10. 【請求項10】 前記有効量が、アリルアルコールとヨ
    ウ化メチルの合計量として100〜50,000ppm
    である請求項9記載の殺菌・殺虫方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6のいずれか1項記載の殺
    生物用液剤の有効量を土壌中に燻蒸することを特徴とす
    る除草方法。
  12. 【請求項12】 前記有効量が、アリルアルコールとヨ
    ウ化メチルの合計量として0.1〜3.0モル/m2
    ある請求項11記載の除草方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜6のいずれか1項記載の殺
    生物用液剤の有効量を野菜、果物、切花、穀類、竹材お
    よび木材からなる群から選ばれる1以上に燻蒸すること
    を特徴とするこれらの殺菌・殺虫方法。
  14. 【請求項14】 前記有効量が、アリルアルコールとヨ
    ウ化メチルの合計量として0.05〜2.0モル/m3
    である請求項13記載の殺菌・殺虫方法。
  15. 【請求項15】 前記殺生物用液剤が、燻蒸の前に予備
    加熱されることを特徴とする請求項7〜14のいずれか
    1項に記載の方法。
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